- 更新日:2024.10.09
- #離婚性格の不一致
性格の不一致で離婚可能?離婚できるケースと慰謝料・財産について解説
この記事を読んで理解できること
- 「性格の不一致」5つのパターン
- 性格の不一致を理由に離婚できるのか?
- 離婚した場合の慰謝料や財産分与など
- 離婚問題を弁護士に依頼する4つのメリット
あなたは、
「性格の不一致で離婚できるの?」
「性格の不一致で離婚する方法が知りたい」
「離婚問題を早く解決したい」
などとお考えではないですか。
結論から言うと、性格の不一致を離婚の理由にする場合は、必ずしも離婚できるとは限りません。
なぜなら性格の不一致は、法律で認められた離婚の理由、5つの離婚事由には直ちに当てはまらないため、原則的に相手の合意が得られない場合は離婚できないからです。
法律で定められた5つの離婚事由は、次のようになります。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
(民法第770条)
※悪意の遺棄とは、例えば「生活費を渡さない」「家庭を捨てて省みない」「同居を拒否する」など、正当な理由もなく夫婦間の義務を履行しないことをいいます。
そのため、性格の不一致は離婚の理由としてよくあげられますが、離婚訴訟を申し出た場合は、それだけの理由では離婚が認められない可能性が高いです。
この場合は、夫婦間の話し合いによる離婚協議や離婚調停を通して、相手に離婚の合意を得ることによって離婚することになります。
この記事では、1章で「性格の不一致」5つのパターンを、2章では性格の不一致を理由に離婚できるのか、3章では離婚した場合の慰謝料や財産分与などについて解説していきます。
さらに4章では、離婚問題を弁護士に依頼する4つのメリットについて解説していきます。
個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■性格の不一致を理由に配偶者に離婚を求めても、相手の合意が得られず他に離婚理由がない場合は、離婚訴訟を申し立てても離婚できない可能性が高いです。
■性格の不一致を理由に離婚できるケースとしては、配偶者の合意が得られている場合になります。
■配偶者の合意を得て離婚するための流れ
- 話し合いで決める協議離婚
- 離婚調停による離婚
- 離婚訴訟を申し立てる
■性格の不一致を理由に離婚した場合
- 慰謝料は請求できない
- 共有財産は夫婦で分ける
- 親権は話し合って決める
■離婚問題を弁護士に依頼することによって、離婚の話し合いをスムーズにかつ有利に進めることができます。
また、離婚協議での合意が得られず、離婚調停・訴訟に進んだ場合でも安心して任せることができます。
離婚の合意が得られた場合は、離婚協議書の作成や公正証書にする手続きによって、離婚後のトラブルなどを未然に防ぐことができます。
1章:「性格の不一致」5つのパターン
離婚を考える理由として「性格の不一致」がよくあげられますが、その主な内容としては次の5つがあげられます。
- 性格が違いすぎる
- 価値観・金銭感覚が合わない
- 趣味や感情の共有ができない
- 教育方針が合わない
- 性の不一致(セックスレス等)
それぞれ解説していきます。
1-1:性格が違いすぎる
性格が違いすぎる例として夫婦でよくありがちなのが、片方が几帳面でもう片方がズボラな場合などです。
どちらにしろお互いに我慢できる程度なら問題はありませんが、度が過ぎる場合や長年我慢を強いられていた場合などは、離婚を考える十分な理由になります。
例えば、一方の配偶者が几帳面すぎて何事にも細かく口出しされて、もう一方の配偶者が常に窮屈な思いをしていたり、逆に何事も几帳面な配偶者に対して、もう一方がズボラで家の片づけや食事の用意などもままならず、几帳面な配偶者がずっと我慢している場合などです。
こうした性格の違いからくるストレスが溜まっていくにしたがって、離婚願望が強まっていくことになります。
1-2:価値観・金銭感覚が合わない
夫婦として生活していくうえでの価値観や金銭感覚のずれが大きい場合も、性格の不一致と言えます。
仕事に対する考え方や余暇の過ごし方など、夫婦でもその捉え方が異なる場合が多いです。
よくある例としては、夫が仕事に一生懸命になるあまりに家族のことを疎かにしたり、疲れて休日の家族サービスも満足に出来ないために、家族も余暇を楽しむことができないケースなどです。
このような場合は、夫婦・家族としての生活の捉え方・価値観が、お互いに合っていないといえます。
また、金銭感覚が合わない場合は、片方が必要とする買い物やお金の使い方であっても、もう片方にとっては浪費としか思えず、「理解できない」「もったいない」といった反応しかできません。
こういった金銭感覚のずれも、積み重なることによって夫婦間の大きな溝となっていきます
1-3:趣味や感情の共有ができない
共通の趣味や、好きな音楽や映画・テレビ番組など、お互いに楽しめるものが多いほど感情を共有することができるため、一緒にいる時間を楽しむことができます。
逆に、夫婦として趣味や感情が共有できない場合は、コミュニケーションを図る上でも障害となり、日常生活の中で「嬉しい」「楽しい」「悲しい」などといった共感できるポイントがだんだん少なくなっていきます。
1-4:教育方針が合わない
子育て中の夫婦で、子供の教育方針が合わない、大きなずれを感じるといった場合も、性格の不一致といえます。
子どもの教育方針には、勉強や習い事などに限らず、「好きなことをさせたい」「できるだけ自由にさせたい」といった育て方も関係してきます。
この教育方針のずれは、子供が生まれた時から親の手元を離れるまでずっと続くため、子供を第一に考える親にとってはとても大きな障害となります。
1-5:性の不一致(セックスレス等)
性の不一致(セックスレス等)は、夫婦関係においては大事な問題でありながら、とてもプライベートな側面があるため、なかなか表面化しづらい問題です。
そのため、性の不一致に悩んでいても、相手には言いづらかったり、友人や専門家にも相談しづらい問題だといえます。
性格の不一致を理由に離婚を求める配偶者の中には、性の不一致(セックスレス等)の問題を持つ方が少なからず存在すると思われます。
2章:性格の不一致を理由に離婚できるのか?
ここでは、性格の不一致を理由に離婚できるのか、離婚できるケース、離婚できないケース、それぞれを解説していきます。
2-1:離婚できないケース
性格の不一致を理由に配偶者に離婚を求めても、相手の合意が得られず他に離婚理由がない場合は、離婚訴訟を申し立てても離婚できない可能性が高いです。
なぜなら先に解説したように、性格の不一致は、法律で定められた5つの離婚事由には直ちに当てはまらないからです。
そのため、1章で解説した「性格の不一致」の5つのパターンを理由に離婚を主張する場合は、婚姻関係が修復不能なまでに破綻していると認められる証拠が必要となります。
婚姻関係が破綻している証拠としては、
- 長期間別居・家庭内別居している
- 夫婦がお互いに修復する意思を失っている
- DVやモラハラなど夫婦関係が極端に悪化している
などといったものがあげられます。
2-2:離婚できるケースとその流れ
性格の不一致を理由に離婚できるケースとしては、配偶者の合意が得られている場合になります。
配偶者の合意を得て離婚するための流れとしては、次のようになります。
- 話し合いで決める協議離婚
- 離婚調停による離婚
- 離婚訴訟を申し立てる
それぞれ解説していきます。
2-2-1:話し合いで決める協議離婚
配偶者との話し合いによって、離婚の合意を得て条件などを取り決めることで、協議離婚することができます。
協議離婚の流れとしては、次のようになります。
- 夫婦の話し合いで、離婚条件(慰謝料、財産分与、親権など)を決める
- 離婚条件を離婚協議書にまとめる
- 作成した離婚協議書を公正証書にまとめる
- 離婚届を作成し、役場に提出する
離婚の方法としては最も多い形ですが、話し合い、口頭で離婚条件を決めて、離婚届けを出すだけでは、後から問題が生じる可能性があります。
特に、離婚後に慰謝料や養育費など金銭による支払いを受けるときには、支払われない場合に備えて、できれば公正証書を作成されることをおすすめします。
公正証書とは、公証役場で公証人が法律にしたがって作成する公文書のことです。
公正証書に記載された慰謝料や養育費などの未払いが発生した際は、裁判を起こさなくても、相手の給料や財産を差し押さえるなど法的手続きをとることができます。
2-2-2:離婚調停による離婚
夫婦間の話し合いによる協議離婚がうまくいかなかった場合は、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることができます。
離婚調停によって夫婦双方が合意した場合は、合意した内容が調停調書に記載され、調停離婚が成立することなります。
申立人は、調停成立の日から10日以内に、離婚届に離婚調停調書の謄本を添えて、市町村役場に提出しなければなりません。
もし、相手が離婚を拒否したり、金銭面や子供の親権等で合意が得られない場合は、調停不成立となります。
その場合は、離婚をあきらめるか、離婚を再度協議するか、あるいは家庭裁判所に離婚訴訟を申し立てるか選択することになります。
2-2-3:離婚訴訟を申し立てる
離婚調停で合意が得られない場合は、離婚訴訟を申し立てることができます。
ただし、性格の不一致を理由に離婚を主張する場合は、婚姻関係が修復不能なまでに破綻していると認められる証拠が必要となります。
離婚訴訟の流れとしては、次のようになります。
- 家庭裁判所に離婚訴訟の訴状を提出
- 裁判所から口頭弁論期日の呼出状
- 第1回口頭弁論が開かれる
- 第2回目以降も口頭弁論が開かれる
- 判決、裁判の終了
離婚訴訟の内容はもちろん様々ですが、裁判にかかる期間は1年以上となることが多いです。
離婚訴訟では、離婚協議・調停のような話し合い、合意による決定ではなく、提出された訴状・書面等をもとに、裁判官の判断によって離婚の成否や慰謝料等が決められるのが原則です。
ただし、双方が希望すれば、和解によって離婚をしたり慰謝料額を決めたりすることも可能です。
離婚の問題について、ここまで合意が得られずに離婚訴訟にまで及んだ場合は、弁護士への依頼を強くおすすめします。
3章:離婚した場合の慰謝料や財産分与など
配偶者と離婚の合意が得られた場合は、通常は慰謝料や財産分与・親権などの離婚条件を話し合いによって取り決めます。
ここでは、性格の不一致を理由に離婚する際の、次の3つの離婚条件について解説していきます。
- 慰謝料は請求できない
- 共有財産は夫婦で分ける
- 親権は話し合って決める
3-1:慰謝料は請求できない
性格の不一致を理由に離婚した場合は、基本的には相手に離婚の慰謝料は請求できません。
なぜなら、離婚の慰謝料とは、離婚の原因となる不貞行為やDVなどによって被った精神的損害に対する金銭的賠償だからです。
性格の不一致を理由とした離婚の場合は、どちらかに有責となる行為があるわけではないため、慰謝料を請求する権利は発生しません。
3-2:共有財産は夫婦で分ける
財産分与は婚姻中に夫婦で築き上げた共有財産がその対象となります。
財産分与の割合は、夫婦が共働きの場合でも配偶者が専業主婦(夫)の場合でも、原則として2分の1で分配されることになります。
専業主婦(夫)の場合でも、その婚姻期間中の財産形成への貢献度は同等であると認められる、ということです。
ただし、配偶者の取得した資格や努力によって多額の資産を築き、財産形成に対する貢献度が大きいと認められる場合は、専業主婦(夫)の財産分与の割合は2分の1に満たない場合もあります。
結婚前に夫婦それぞれが所有していた財産や、婚姻中に個人として相続した財産などは、特有財産として財産分与の対象外となります。
3-3:親権は話し合って決める
夫婦間に未成年の子供がいる場合、離婚を成立させるためには、夫婦どちらか一方を親権者として指定する必要があります。
そのため、親権者の決定も、夫婦間の話し合いから始まります。
子供の将来を考えて、親として子供の利益を最優先事項として話し合い、親権者を決めることが重要です。
先に説明したように、離婚、親権等に関する合意が得られた場合は、合意の内容を記載した離婚協議書を作成します。
養育費等の支払いを離婚後も受ける場合は、未払い等の金銭トラブルに備えて「公正証書」にしておく方が賢明です。
しかし、夫婦間の話し合いで、親権者の指定だけでなく、離婚に関するいろいろな条項が合意に至らない場合は、家庭裁判所へ離婚調停の申し立てを行う必要があります。
4章:離婚問題を弁護士に依頼する4つのメリット
性格の不一致を理由に離婚する際に、弁護士に依頼するメリットとしては、次の4つがあげられます。
- 話し合いを有利に進められる
- 手続きを弁護士に任せられる
- 離婚成立後のトラブルを防げる
- 離婚調停・訴訟に進んだときも安心
それぞれ解説していきます。
4-1:話し合いを有利に進められる
協議離婚を法律のプロである弁護士に依頼することで、各離婚条件の話し合いを有利に進められる可能性が高まります。
また、相手が離婚に応じない状況でも、弁護士に依頼することで、夫婦間では難しい離婚交渉もスムーズに進み、協議離婚の成立が望める場合があります。
弁護士は、法律のプロであるだけでなく、交渉のプロでもあるので、あなたの主張を法的に有効な形で提示するだけでなく、落としどころを踏まえて交渉を進めていくことができます。
4-2:手続きを弁護士に任せられる
協議離婚を弁護士に依頼した場合、あなたの代理人として、相手との交渉など一切の連絡の窓口となるので、あなたは相手と直接かかわる必要はなくなります。
また、離婚交渉だけでなく、各種手続きも弁護士に任せることができます。
協議離婚が成立した場合、弁護士が離婚協議書を作成し、協議離婚で合意が得られた各条件を書面化し、証拠として残しておくことができます。
また、離婚協議書で強制執行認諾文言付公正証書を作成する合意を得て、公正証書にする手続きを行うことができます。
強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくことで、養育費等の未払いなどが発生した際は、裁判を起こさなくても相手の給料や財産を差し押さえるなど法的手続きをとることができます。
4-3:離婚成立後のトラブルを防げる
協議離婚を弁護士に依頼することによって、離婚で合意された各条件が、こちらに不利な内容となっていないか、離婚後も合意を守ってもらえる内容となっているかなどを、チェックすることができます。
離婚成立後のよくあるトラブルとしては、主に次の4つがあげられます。
- 財産分与・慰謝料など金銭の未払い
- 不動産の名義変更やローンの未払い
- 養育費の未払いや最終年齢
- 離婚後の財産分与・慰謝料・年金分割の請求
弁護士は、こういったトラブルを防ぐための離婚協議書や公正証書など、対処法を熟知しているので、離婚後のこうした不安を抑えることができます。
4-4:離婚調停・訴訟に進んだときも安心
離婚協議での合意が得られず、離婚調停・訴訟に進んだ場合でも、弁護士はこれまでの当事者双方の状況を理解しているので、十分に対応することができます。
そのため、離婚調停の今後の見通しや、離婚条件に関するアドバイスなどが得られるので、離婚調停に進んでも安心して任せることができます。
また、離婚調停に必要な訴状や書類の作成、手続き等の煩雑な作業もすべて任せることができます。
これによって、離婚調停の準備や離婚調停期間中の精神的負担を、軽減することができます。
まとめ
ここまで、「性格の不一致」の5つのパターン、性格の不一致を理由に離婚できるケース、離婚できないケース、離婚した場合の慰謝料や財産分与などついて解説してきました。
最後に今回の内容をまとめます。
■性格の不一致を理由に配偶者に離婚を求めても、相手の合意が得られず他に離婚理由がない場合は、離婚訴訟を申し立てても離婚できない可能性が高いです。
■性格の不一致を理由に離婚できるケースとしては、配偶者の合意が得られている場合になります。
■配偶者の合意を得て離婚するための流れ
- 話し合いで決める協議離婚
- 離婚調停による離婚
- 離婚訴訟を申し立てる
■性格の不一致を理由に離婚した場合
- 慰謝料は請求できない
- 共有財産は夫婦で分ける
- 親権は話し合って決める
■離婚問題を弁護士に依頼することによって、離婚の話し合いをスムーズにかつ有利に進めることができます。
また、離婚協議での合意が得られず、離婚調停・訴訟に進んだ場合でも安心して任せることができます。
離婚の合意が得られた場合は、離婚協議書の作成や公正証書にする手続きによって、離婚後のトラブルなどを未然に防ぐことができます。
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。