【弁護士が解説】不倫をばらす、ばらされる場合の法的リスクと対処法
この記事を読んで理解できること
- 不倫されて、相手の不倫をばらしたい場合
- 不倫相手の配偶者に、不倫をばらしたい場合
- 不倫をばらすと脅された場合のリスクや対処法
あなたは、
- 配偶者との不倫をばらして二人に仕返ししたい
- 不倫相手の配偶者に不倫をばらして離婚させたい
- 不倫をばらすと脅された、どうしよう?
などとお考えではないですか?
結論から言うと、不倫されたり不倫しているといったお互いの立場に関係なく、配偶者や不倫相手の不倫をばらす行為や「不倫をばらす」と脅す行為は、名誉棄損罪や脅迫罪に問われる可能性があります。
なぜなら、配偶者や不倫相手の不倫・不貞行為が事実だとしても、それを会社や友人など第三者に告げる行為は誰にも許されないからです。
例えば、配偶者に不倫され、怒りに任せて不倫相手の会社やネットなどに不倫をばらした場合、名誉毀損罪に問われる可能性があります。
さらに、不倫相手の名誉やプライバシーを侵害したとして、慰謝料請求される可能性もあります。
また、不倫をしていて、不倫相手の配偶者に不倫をばらすと脅して離婚を迫った場合は、脅迫罪に問われる可能性があります。
さらに、不倫された配偶者から、不貞行為による慰謝料請求される可能性があります。
そこでこの記事では、1章で不倫されて相手の不倫をばらしたい場合、2章では不倫相手の配偶者に不倫をばらして離婚させたい場合、それぞれのリスクと対処法を解説します。
さらに3章では、不倫をばらすと脅された場合のリスクや対処法などについて解説していきます。
この記事をしっかり読んで、「不倫をばらす」行為のリスクを冷静に理解し、後悔することのないように行動しましょう。
1章:不倫されて、相手の不倫をばらしたい場合
不倫された被害者の場合、
- 不倫相手の職場や知人に不倫をばらして仕返ししたい
- 不倫した配偶者の不倫をばらして嫌がらせしたい
- SNSで不倫相手の不倫をばらしたい
などと考えてしまうこともあると思います。
しかし、不倫がたとえ事実であったとしても、不倫をばらしたり、「ばらすぞ」と脅したりすれば、名誉棄損罪や脅迫罪に問われる可能性があります。
そこで、
- 不倫をばらすリスク
- 合法的に相手に制裁を与える方法
について解説していきます。
1-1:不倫をばらすリスク
不倫相手の会社や友人などに不倫をばらすリスクとしては、次の2つがあげられます。
- 名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性がある
- 慰謝料を減額あるいは請求される可能性がある
それぞれ解説していきます。
1-1-1:名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性がある
名誉毀損罪になる可能性がある行為としては、例えば次のようなものがあげられます。
- 不倫した配偶者や不倫相手の職場に、電話やメール、郵送で不倫された事実をばらす
- ネットに不倫の事実やそれが分かる画像や動画、実名を出した文章などをアップして拡散する
名誉毀損罪とは、「人の名誉を毀損した場合の罪」のことで、「3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金」という刑事罰が科せられます。
さらに、名誉を毀損された人から、名誉やプライバシーを侵害したとして、慰謝料請求される可能性もあります。
つまり、名誉毀損罪が成立した場合は、刑務所に入ることになったり、あなたが不倫された配偶者や不倫相手に対して、お金を支払わなければならなくなる可能性があります。
名誉毀損にあたるのは、他人の社会的な評価や地位を下げるようなことを、不特定多数の人に分かるような方法で伝える行為です。
そのため、たとえ不倫が事実であったとしても、それを他人にばらすと、名誉毀損罪に問われる可能性が高いのです。
侮蔑罪になる可能性がある行為としては、例えば次のようなものがあげられます。
- 不倫相手の家に行って外から大声で「浮気女」「淫乱」などと叫ぶ
- 不倫相手の職場で「最低な男」「間男」などと罵倒する
侮辱罪とは、「人を侮辱した場合の罪」のことで、拘留または科料という罪になります。
侮辱罪の方が刑事罰は軽いのですが、侮辱された被害者から慰謝料請求される可能性があります。
名誉毀損罪との違いは、例としてあげたように、事実を指摘していない場合や、内容が抽象的であるような場合が侮辱罪になります。
したがって、事実ではないことで、不特定多数の人の前で罵倒した場合は、侮辱罪に問われる可能性があります。
1-1-2:慰謝料を減額あるいは請求される可能性がある
不倫されて、相手への仕返しのつもりで不倫をばらした場合、慰謝料を減額される可能性があります。
一例として、当メディア「クエストリーガルラボ」を運営している弁護士法人新橋第一法律事務所の解決事例から、次の事例を紹介します。
依頼女性は、職場で知り合った男性と不倫してしまい、不倫相手の奥さんに300万円の慰謝料を請求されました。
相手の奥さんは、夫の不倫を知ると別居に踏み切り、不倫相手である依頼女性の知人や職場に不倫のことを口外してしまいました。
依頼女性は、奥さんに嫌がらせされたうえに、300万円という大金を請求されたことに納得できず、当事務所の無料相談を利用して交渉を依頼されました。
ご依頼を受け当事務所は、相手方が不倫を職場などに口外するという嫌がらせを行ったことを、減額要素として主張し交渉しました。
その結果、交渉段階で和解が成立し、慰謝料は100万円まで減額させることができました。
※不倫慰謝料特設サイト:職場で知り合った男性と不倫してしまい、300万円の慰謝料請求
さらに、不倫をばらすリスクとして、逆に慰謝料を請求されるケースもあります。
例えば、ダブル不倫の場合、不倫をばらすことによって不倫相手の配偶者に知られてしまい、自分の配偶者が慰謝料を請求されてしまう可能性があります。
不倫を理由に配偶者と離婚した場合は、慰謝料請求によって直接経済的負担が生じることはありませんが、配偶者の金銭的不安が重くなるため、離婚による財産分与や養育費の支払い等に影響が生じる可能性はあります。
また離婚には至らず、配偶者が請求された慰謝料を、夫婦の共有財産から支払わざる負えない場合は、不倫の状況によっては、慰謝料を請求したとしても損をすることもあります。
1-2:合法的に相手に制裁を与えることができる
不倫されたあなたは、不倫をばらすリスクを負わなくても、配偶者と不倫相手に合法的に制裁を与えることができます。
なぜなら、不倫(不貞行為)は違法行為にあたるため、不倫の被害者であるあなたは、配偶者と不倫相手に、慰謝料を請求することがでるからです。
さらに、配偶者に対しては、不倫(不貞行為)を理由に離婚請求することができます。
不倫の慰謝料相場は、過去の判例から大まかには次のように決まっています。
【不倫の慰謝料相場】
■不倫はしたが夫婦関係は継続:50万円~100万円
■不倫が原因で別居に至った:100万円~200万円
■不倫が原因で離婚に至った:150万円~300万円
このように、配偶者や不倫相手に対しては、慰謝料請求という形で金銭的に制裁を与えることができるのです。
慰謝料請求について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【2024年度版】【保存版】不倫で慰謝料請求!高額請求のポイントと知っておきたい知識
配偶者に対しては、離婚を請求することで制裁を与えることができます。
なぜなら離婚する場合は、前述の慰謝料以外に、
- 財産分与(結婚後に形成した財産を分け合うこと)
- 親権(子供がいる場合、子供を育てる権利を片方が持つこと)
- 養育費(子供がいる場合、子供の養育にかかる費用を片方の親が支払うこと)
なども一緒に請求できるからです。
2章:不倫相手の配偶者に、不倫をばらしたい場合
あなたが不倫をしている場合、気持ちが押さえられなくなって、
- 不倫相手に「不倫していることを奥さんにばらす」と脅して、自分に気持ちを向かせたい
- 不倫相手に離婚して欲しいので「ご主人に不倫をばらす」と迫った
などと思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、このようなことをしてしまうと、あなたは脅迫罪に問われたり、不倫の被害者から慰謝料請求される可能性が高まります。
そこでこの章では、
- 不倫相手の配偶者に不倫をばらした場合のリスク
- 絶対にやってはいけない行動
- 不倫関係を清算させるためにこれからやるべきこと
この3点を解説していきます。
2-1:不倫相手の配偶者に不倫をばらした場合のリスク
不倫相手の配偶者に不倫をばらした場合のリスクとして、次の2つがあげられます。
- 脅迫罪に問われる可能性がある
- 不倫相手の配偶者から慰謝料請求される
それぞれ解説していきます。
2-1-1:脅迫罪に問われる可能性がある
不倫相手に「不倫していることを奥さんにばらす」と脅した場合、脅迫罪に問われる可能性があります。
脅迫罪とは、相手を畏怖、つまり怖がらせることで成立する犯罪のことです。
脅迫罪について、法律では次のように定められています。
刑法第222条1項
「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」
したがって、
「離婚してくれなければ、不倫をばらす」
などと言うことは、相手の名誉に害を与える行為とされ、脅迫罪に問われる可能性があります。
脅迫罪で相手から訴えられた場合、「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」という刑事罰を科せられたり、精神的苦痛を受けたことを理由に、慰謝料を請求される可能性もあります。
こうした罪に問われる可能性があるため、どれだけ相手に強い気持ちがあっても、絶対に「不倫をばらす」と脅すことはやめましょう。
さらに、不倫を不倫相手の配偶者にばらした場合、不倫相手の配偶者から慰謝料請求される可能性が高いです。
2-1-2:不倫相手の配偶者から慰謝料請求されるリスクがある
不倫によってパートナー以外の人と肉体関係(性交渉や性交類似行為)を持った場合は、不貞行為にあたるため違法です。
そのため、あなたと不倫相手は「不倫の加害者」として、不倫相手の配偶者から慰謝料請求される可能性があります。
不倫の慰謝料の相場は、条件によって異なり50万円〜300万円程度になります。
【不倫の慰謝料相場】
■不倫はしたが夫婦関係は継続:50万円~100万円
■不倫が原因で別居に至った:100万円~200万円
■不倫が原因で離婚に至った:150万円~300万円
つまり、不倫の加害者であるあなたが、不倫相手の配偶者に不倫をばらすことは、慰謝料請求されるリスクを自ら作ってしまうことになります。
また、不倫をばらしたところで不倫相手が離婚するとは限らないため、不倫がばれて不倫相手から関係を断絶されたうえに、不倫相手の配偶者から数百万円の慰謝料を請求された、という最悪の結果を招く可能性もあります。
したがって、不倫しているのであれば、自分からそれをばらすような行為は絶対にやめるべきです。
慰謝料請求された場合の対処法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【2024年度版】【示談書雛形付き】不倫で慰謝料請求されたら?慰謝料を減額・回避する方法
さらに、慰謝料相場について詳しく知りたい方は以下の記事も読んでみてください。
内縁の妻の浮気慰謝料相場は50~300万円!慰謝料に影響する7つの要素
2-2:絶対にやってはいけない行動
ここまで、不倫相手の配偶者に不倫をばらした場合のリスクにつて解説しましたが、次に絶対にやってはいけない行動を2つあげておきます。
- 不倫相手の配偶者と直接会ってばらす
- 不倫関係をSNSなどで拡散する
それぞれ解説します。
2-2-1:不倫相手の配偶者と直接会ってばらす
不倫相手の配偶者と直接会ってばらすことは、絶対にやめましょう。
なぜなら、不倫したあなたは不貞行為の加害者であり、不倫相手の配偶者はその被害者にあたるため、目の前に現れたあなたに対しては敵意しか向けられないからです。
そのため、最初は冷静な話し合いのつもりでも、お互いに感情的になり言い争いに変わり、最悪の場合は暴力沙汰になる可能性もあります。
先に解説したように、不倫相手の配偶者に不倫をばらす行為は、自ら慰謝料請求されるリスクを作ってしまうことになり、さらに大きなトラブルを招く可能性が高まります。
2-2-2:不倫関係をSNSなどでばらして拡散する
不倫関係をSNSなどでばらし拡散することは、絶対にやめましょう。
なぜなら、本名を書きこんでいない投稿でも、情報を目にした人が明らかに誰のことを指しているのか特定できる可能性がある場合は、名誉棄損に問われる可能性があるからです。
SNSは、誰でも自由に閲覧・投稿し気軽に利用することができるため、悪意のある投稿も瞬く間に拡散されるケースが多いです。
匿名で投稿した場合でも、法的措置によってアカウントを特定することが可能なため、軽い嫌がらせのつもりでつぶやいた一言でも大きなトラブルに発展する可能性がります。
2-3:不倫関係を清算させるためにこれからやるべきこと
不倫関係をばらした場合、あなた自信の立場が危うくなってしまうため、不倫関係を清算させるためにこれからやるべきことをあげていきます。
■まだばらしてない場合はすぐ別れる
まだ、不倫のことを不倫相手の配偶者やその他の第三者にもばらしていない場合は、そのまますぐに不倫関係を終わらせてなかったことにしましょう。
なぜなら、繰り返しになりますが、不倫が人にばれると、不利な立場に追い込まれるのはあなただからです。
■すでに誰かにばらしてしまった場合は弁護士に相談する
すでに誰かにばらしてしまった場合は、すぐに弁護士に相談してください。
なぜなら、不倫をばらせば相手はすぐに行動をはじめて、
- 不倫相手の配偶者から慰謝料を請求される
- 不倫相手の配偶者から、何らかの嫌がらせを受ける
- トラブルが大きくなれば、あなたが不倫したことが職場や知人、家族などに知られ、人からの信用を失う
といったことになりかねないからです。
弁護士に相談すれば、
- 慰謝料請求されても、支払う慰謝料を最小限にすることができる
- 弁護士が代理人となって手続きや交渉を進めるため、手間や時間、心理的ストレスを最小限にして解決できる
といったメリットがあります。
したがって、不倫をばらしてしまったなら、すぐに弁護士に相談して今後の対応を相談することが重要です。
3章:不倫をばらすと脅された場合のリスクや対処法
- 不倫相手から「今の奥さん(旦那さん)と別れてくれないと、不倫をばらす」と言われている
- 不倫相手の配偶者から「慰謝料を1000万円支払わないと不倫を会社にばらす」と言われている
などの場合、それは2章で解説した脅迫罪に当たります。
あなたが不倫の加害者であっても、そういった脅迫が正当化されることはありません。
そこで、
- ばらすと脅迫された場合のリスク
- ばらすと脅迫された場合の対処法
を解説します。
3-1:ばらすと脅迫された場合のリスク
あなたが、不倫をばらすと脅されている場合、そのままの状況を放置すると次のようなリスクがあります。
- 配偶者にばれて離婚や慰謝料を請求される
- 近所や友人知人、ネットなどにばらされて信用を失う
- 職場にバラされて、実質的に不利益な扱いを受ける
不倫相手がばらすと脅迫してくる場合は、あなたに対して強い執着心を持っていて、思い詰めている可能性が高いです。
また、不倫相手の配偶者からばらすと言われている場合は、相手はあなたに強い敵意、憎しみを持っているため、すぐにでも対処しなければ取り返しのつかないことになる可能性があります。
そのため、もしすでに脅迫されているという場合は、この後解説する正しい対処法をすぐにはじめることが大事です。
3-2:ばらすと脅迫された場合の対処法
不倫をばらすと脅迫されている場合、今すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
繰り返しになりますが、脅迫は犯罪ですので、法的な対処法を取ることで、トラブルを避けられる可能性があります。
弁護士に相談すれば、
- 脅迫されている相手に対して、脅迫は罪になることを指摘して、ばらされることを防ぐ
- トラブルになった場合も、弁護士が代理人となって手続き、交渉などを行う
- 不倫がばれて慰謝料請求されても、慰謝料の金額を最大限減額、免除する
といったことができます。
あなた一人で対処しようとすると、
- 相手の感情を逆なでし、ばらされてしまう
- 高額の慰謝料を請求され、言われるままに支払ってしまう
といった可能性があるため、対応は全て専門家である弁護士に任せることが重要です。
詳しい弁護士選びの方法や、弁護士に依頼する方法について、以下の記事で解説しています。
【2024年度版】不倫慰謝料相談に強い弁護士の選び方!依頼のメリットもあわせて解説
まとめ:不倫をばらすリスクと問われる刑罰
最後に今回の内容をまとめます。
- 名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性がある
- 慰謝料を減額あるいは請求される可能性がある
- 慰謝料請求
- 離婚請求
- 慰謝料請求
- 脅迫罪に問われる可能性がある
- 不倫相手の配偶者から慰謝料請求される
- まだばらしてない場合はすぐ別れる
- すでに誰かにばらしてしまった場合は弁護士に相談する
- 配偶者にばれて離婚や慰謝料を請求される
- 近所や友人知人、ネットなどにばらされて信用を失う
- 職場にバラされて、実質的に不利益な扱いを受ける
- 今すぐ弁護士に相談する
不倫をばらすリスクと問われる刑罰をよく理解して、間違った行動を起こさないように注意してください。