性的不能で離婚できる2つのケースとポイントや注意点を弁護士が解説
この記事を読んで理解できること
- 性的不能を理由に離婚できる2つのケース
- 性的不能を理由に離婚するための2つのポイント
- 性的不能で離婚する際の2つの注意点
- 性的不能が理由の離婚は弁護士に相談した方がよい2つの理由
あなたは、
- 性的不能な夫とうまくいかず離婚しようか迷っている
- そもそも性的不能が理由で離婚はできるのだろうか
- 性的不能を理由に離婚する場合の注意点を知りたい
などとお考えではありませんか?
性行為が愛情表現のすべてではありませんが、性的不能によりスキンシップが減ると、夫との距離が遠くなるのは自然なことかもしれません。
結論からお伝えすると、夫の性的不能を理由に離婚できるケースは、以下の2つです。
- 配偶者が離婚に合意した場合(協議離婚・調停離婚)
- 性的不能が「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められた場合
ただし、離婚の可能性を高めるためには、以下の2つのポイントがあります。
- 医療機関で診断または治療してもらった証拠を残す
- 夫婦関係が破綻したことを証明する
夫が話し合いで離婚に応じてくれた場合には問題ありませんが、合意を得られない場合は、上記の点をそれぞれ示す必要があるからです。
この記事では、
1章で、性的不能を理由に離婚できる2つのケースを
2章では、性的不能を理由に離婚するための2つのポイントを
3章では、性的不能で離婚する際の2つの注意点を
4章では、性的不能が理由の離婚は弁護士に相談した方がよい2つの理由
について解説します。
性的不能な夫との離婚を検討している方は、この記事を読んでしっかり理解し、今後の行動の参考にしてください。
目次
1章:性的不能を理由に離婚できる2つのケース
夫の性的不能を理由に離婚できる2つのケースは、以下のとおりです。
- 配偶者が離婚に合意した場合(協議離婚・調停離婚)
- 性的不能が「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められた場合(裁判離婚)
その前に、そもそも性的不能とは、どういった状態をさすのでしょうか。
認識に相違がないよう、まずは性的不能について確認していきましょう。
1-1:性的不能とは
たとえば、以下の状態です。
- 心理的な要因による性欲の障害
- 加齢や薬の副作用による勃起不全
- 複雑な要因が絡み合った射精障害
このように、本人の意思にかかわらず性行為ができない状態を、性的不能と言います。
一方で、以下のようなケースは性的不能ではありません。
- 仕事で疲れていて性行為をする気になれない
- 子作りがプレッシャーでつらくて拒否をする
- 妻と性行為する気になれず断っている
上記の場合、そもそも「性行為をする気がない」ため、離婚する場合には性的不能と争点が異なります。
性的不能とは、身体・精神的理由により、本人の意思にかかわらず性行為ができない状態であることを理解しておきましょう。
1-2:配偶者が離婚に合意した場合(協議離婚・調停離婚)
性的不能を理由に離婚ができるケースの1つ目は、「配偶者が離婚に合意した場合」です。
離婚は理由に関係なく、お互いが合意すれば成立します。
あなたが、夫の性的不能を理由に離婚したいことを夫に伝え、合意を得られれば離婚できます。
話し合いによって成立する離婚を「協議離婚」と言い、離婚が成立するまでの時間が短くてすむメリットがあります。
夫婦間の話し合いで合意が得られない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停では、話し合いに裁判官や調停委員などの第三者を交え、離婚だけでなく慰謝料や養育費・財産分与などの離婚条件の合意を目指します。
調停離婚は、協議離婚と比べて、離婚成立までに時間がかかる傾向にありますが、以下のメリットがあります。
- 夫と直接話す必要がない
- 離婚後のトラブルを最小限にできる
話し合いや調停で配偶者が離婚に合意した場合は、性的不能などの離婚理由にかかわらず離婚できます。
1-3:性的不能が「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められた場合(裁判離婚)
話し合いをしても、離婚の合意を得られなかった場合には離婚裁判を申し立てます。
裁判で離婚を認めてもらうには、性的不能が法的離婚事由に該当すると判断される必要があります。
法的離婚事由とは、以下の5つをさします。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みがない強度の精神病
- その他の婚姻を継続し難い重大な事由
上記の中で、性的不能が該当する可能性があるのは、5番目の「婚姻を継続し難い重大な事由」です。
性的不能が、婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると判断され得る例として、次のものがあげられます。
- 夫の性的不能によって、長期間性交渉がなかった場合
- 性的不能であることを隠して結婚していた場合
上記はあくまで一例で、重要なのは、夫の性的不能が、婚姻関係を破綻させる原因となっているかどうかです。
そこで、性的不能が婚姻関係を破綻させる原因になっていることを証明するためのポイントを、次の章で解説します。
2章:性的不能を理由に離婚するための2つのポイント
夫の性的不能を理由に離婚するための2つのポイントは、以下のとおりです。
- 医療機関で診断または治療してもらった証拠を残す
- 夫婦関係が破綻したことを証明する
それぞれ解説します。
2-1:医療機関で診断または治療してもらった証拠を残す
夫の性的不能が事実であることを証明するためにも、医療機関で診断または治療してもらった証拠を残しておきましょう。
医療機関の受診歴を残しておくと、
- 性的不能が生じた時期
- 性的不能の診断と結婚との前後関係
- 性行為がない期間
を示す証拠となり、「婚姻を継続し難い重大な事由」として認められやすくなるからです。
もし、通院記録を残していない場合には、受診した医療機関に問い合わせてみましょう。
医療機関は、5年間の診療情報を保管しておく義務があるため、5年以内であれば、過去の通院歴を証明できる可能性があります。
ただし、本人の同意がなければ原則として照会できないため、夫の承諾・協力を得るか、離婚訴訟で裁判所から文書提出命令を出してもらう必要があります。
2-2:夫婦関係が破綻したことを証明する
性的不能を理由に離婚するためには、性的不能により夫婦関係が破綻したことを証明する必要があります。
- 性的不能によりセックスレスになった経過を日記などに残す
- 性的不能が原因で夫婦関係が破綻した証拠を残す
それぞれ解説します。
2-2-1:性的不能によりセックスレスになった経過を日記などに残す
性的不能になるとセックスレスになりますが、「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められるためには、経過など以下のことを残しておくと有利です。
- いつからセックスレスになったか
- どのくらいの頻度で性行為を試みて断念したか
- 断念した際に、お互いがどのような言動を発したか
このような経過を、できるだけ細かく日記などに記しておくと、離婚事由として認められやすくなります。
2-2-2:性的不能が原因で夫婦関係が破綻した証拠を残す
性的不能が原因で、夫婦関係が破綻した証拠を残すのも有効です。
たとえば、
- 性的不能により険悪になった様子がわかるSNSやメールでのやりとり
- 性的不能により極端に夫婦での共同作業が減ったことがわかる日記やボイスレコーダー
などです。
証拠を残す際に注意したいのが、「できるだけ細かく記録に残すこと」です。
断片的な内容だと、前後の様子や経緯がわからない場合があるため、証拠として認められない可能性があるからです。
離婚を検討し始めたそのときから、夫婦のやりとりを細かく残しておくようにしましょう。
3章:性的不能で離婚する際の2つの注意点
性的不能で離婚する際の注意点が、2つあります。
- 性的不能が病気や加齢による場合は、協議離婚を目指す
- 自分自身の不倫トラブルに注意する
それぞれ解説します。
3-1:性的不能が病気や加齢による場合は協議離婚を目指す
性的不能が病気や加齢による場合は、協議離婚を目指しましょう。
夫に性行為をする意思があるにもかかわらず、病気や加齢により性行為ができない場合には、離婚訴訟を提起しても離婚が認められない可能性が高いからです。
また、あなたが一方的に離婚したいと思っていても、夫が夫婦関係を修復するために、性的不能を改善しようと努力しているとしましょう。
その場合、「夫婦関係の修復が見込めない」とは判断されないため、離婚が認められない可能性が十分にあります。
性的不能を理由に離婚したい気持ちはわかりますが、お互いの将来について、日頃から話し合う姿勢が大切です。
3-2:自分自身の不倫トラブルに注意する
性的不能の夫と離婚を検討している場合、自分自身の不倫トラブルに注意が必要です。
欲求を解消したい気持ちがあっても、あなた自身が不倫してバレてしまうと、逆に離婚請求され、場合によっては慰謝料を請求される可能性があります。
また、疑わしい行動をして不倫を疑われると、離婚について冷静に話し合えないおそれがあります。
夫との離婚を検討している場合は、離婚が成立するまで、他の異性とのトラブルには十分に注意しましょう。
4章:性的不能が理由の離婚は弁護士に相談した方がよい2つの理由
性的不能が理由の離婚を、弁護士に相談した方がよい2つの理由は、以下のとおりです。
- 離婚できる可能性が高まる
- 離婚調停・離婚訴訟になっても任せられる
それぞれ解説します。
4-1:離婚できる可能性が高まる
性的不能の夫と離婚を検討している場合、弁護士に相談すると離婚できる可能性が高まります。
あなたと夫とのこれまでの様子や、現在の状況を聞いた上で、離婚事由となる証拠を探ってくれるからです。
場合によってはあなたも気づいていない、他の離婚事由に該当する事項があるかもしれません。
実際に、Xでは以下のような投稿があります。
離婚事件は、協議離婚や調停離婚で解決する割合が非常に多いため、裁判で確実に勝てるというケースではなくても、弁護士が就くことは珍しくありません。
— @再婚パパ社長投資家。Time is Love. (@bekkyotsuresari) July 15, 2019
そもそも、裁判で離婚が認められるためには、浮気や暴力といった明確な離婚原因が必要になります。離婚訴訟で勝訴できるとは限らないのです。
弁護士に相談しておくと、さまざまな角度から離婚できる可能性を探ってくれます。
離婚をしたいが自分一人では不安という方は、まずは信頼できる弁護士に相談してみるとよいでしょう。
4-2:離婚調停・離婚訴訟になっても任せられる
夫との話し合いがまとまらず、離婚が調停や訴訟となった場合には、準備のために時間と労力を要します。
しかし、弁護士に依頼しておくと、必要書類の作成や夫側とのやりとりを行なってくれるため、安心して任せられます。
また、肝心の「離婚が認められるかどうか」についても、弁護士に依頼すると、
- こちらの言い分を過不足なく調停委員に伝えられる
- 調停や裁判の現場でフォローしてもらえる
- 相手の反論に対して的確に対応してくれる
このようなメリットがあります。
離婚調停・離婚訴訟になっても安心して任せられるため、性的不能の夫との離婚を検討している方は、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
まとめ:性的不能で離婚を検討している人は弁護士に相談しよう
■性的不能を理由に離婚できる2つのケース
- 配偶者が離婚に合意した場合(協議離婚・調停離婚)
- 性的不能が「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められた場合(裁判離婚)
■性的不能を理由に離婚するための2つのポイント
- 医療機関で診断または治療してもらった証拠を残す
- 夫婦関係が破綻したことを証明する
- 性的不能によりセックスレスになった経過を日記などに残す
- 性的不能が原因で夫婦関係が破綻した証拠を残す
■性的不能で離婚する際の2つの注意点
- 性的不能が病気や加齢による場合は協議離婚を目指す
- 自分自身の不倫トラブルに注意する
■性的不能が理由の離婚は弁護士に相談した方がよい2つの理由
- 離婚できる可能性が高まる
- 離婚調停・離婚訴訟になっても任せられる
弁護士法人新橋第一法律事務所は、相談者さまの気持ちに寄り添い、ご希望に沿った対応を心がけています。
初回相談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。