遠方の相手に慰謝料請求する場合の、知っておくべき3つのポイント
この記事を読んで理解できること
- 慰謝料請求の相手が遠方に住む場合、裁判は請求する側の地域で行われる
- 電話会議が認められれば、遠方の裁判所に行かなくてよい
- 遠方への慰謝料請求で、電話会議を利用できるケースは2つ
- 遠方への慰謝料請求で、電話会議が利用できないケースは2つ
- 遠方への慰謝料請求は、弁護士に依頼するのがオススメ
あなたは、
- 遠方にいる相手に慰謝料請求するには、どうすればよいのか知りたい
- 遠方にいる相手に慰謝料請求する場合の、注意点を知りたい
- 遠方に住む夫の不倫相手に慰謝料を請求する場合、どちらの居住地の弁護士に依頼すべきか知りたい
などとお考えではありませんか?
遠方の相手に慰謝料請求すると、手続きのたびに現地に出向かないといけないのか、心配になりますよね。
結論から言えば、遠方にいる相手に慰謝料請求する際、知っておきたいポイントは、以下の3つです。
- 慰謝料請求の相手が遠方に住む場合、裁判は請求する側の地域で行われる
- 電話会議が認められれば、遠方の裁判所に行かなくてよい
- 遠方への慰謝料請求で、電話会議が認められるケースと認められないケースがある
この記事を読めば、「遠方の相手への慰謝料請求は、どちらの地域の裁判所にすべきか」とあわせて、「遠方の裁判所に行かなくてよい電話会議とは何か」「電話会議が認められるケースと認められないケース」について理解できます。
具体的には、
1章では、慰謝料請求の相手が遠方に住む場合、裁判は請求する側の地域で行われる
2章では、電話会議が認められれば、遠方の裁判所に行かなくてよい
3章では、遠方への慰謝料請求で、電話会議を利用できる2つのケース
4章では、遠方への慰謝料請求で、電話会議が利用できない2つのケース
5章では、遠方への慰謝料請求は、弁護士に依頼するのがオススメだということ
について、詳しく説明します。
この記事を読んで、遠方の相手に慰謝料を請求するときの参考にしてください。
目次
1章:慰謝料請求の相手が遠方に住む場合、裁判は請求する側の地域で行われる
遠方に住む相手に慰謝料請求する場合、知っておきたいポイントは以下の3つです。
- 通常は、慰謝料の権利者が住む地域の裁判所で裁判が行われる
- 遠方の裁判所に慰謝料請求されることもある
- 裁判期日当日は、裁判所へ出頭する必要がある
それぞれ説明します。
1-1:通常は、慰謝料の権利者が住む地域の裁判所で裁判が行われる
通常、不倫などの慰謝料請求の裁判は、慰謝料の権利者の住所地を管轄する、地方裁判所で起こされます。
裁判期日には、当事者双方が裁判所に出頭し、それぞれの主張を述べるというのが、裁判の原則です。
1-2:遠方の裁判所に慰謝料請求されることもある
遠方の裁判所に慰謝料請求される具体例は、以下の2つです。
- 単身赴任者と不倫していて、相手が転勤などで遠方の自宅に戻った場合
- 不倫相手が離婚し、その後、遠方へ引っ越した配偶者に慰謝料請求された場合
これらのように、不倫相手の配偶者が遠方に在住の場合、遠方の裁判所で裁判を起こされる可能性があります。
1-3:裁判期日当日は、裁判所へ出頭する必要がある
裁判期日には、原告と被告が、裁判所でそれぞれの主張を述べます。
そのため、遠方の裁判所に慰謝料請求された場合、裁判期日当日には、当事者双方が裁判所へ出頭しなければなりません。
2章:電話会議が認められれば、遠方の裁判所に行かなくてよい
本来、裁判期日には、裁判所に出頭する必要がありますが、遠方に居住する人にとっては非常に大きな負担です。
この場合、裁判所が設けている「電話会議」という方法を使えば、裁判所に出頭せずとも手続きをすすめられます。
「電話会議」について知っておきたいポイントは、以下の3つです。
- 電話会議とは「電話による会議システム」のこと
- 最後まで一度も出廷せずに、裁判をすすめられる
- 電話会議のデメリット
それぞれ説明します。
2-1:電話会議とは「電話による会議システム」のこと
裁判所が遠方にあるなど、どうしても裁判所に出頭できない事情がある場合、例外的に「電話会議」という方法が用いられます。
「電話会議」とは、電話による会議システムのことで、裁判所に出頭することなく、裁判期日に参加できる制度です。
「電話会議」は特殊な電話機を用いて行われ、裁判官と、原告、被告の3者が、グループ通話のように同時に話ができます。
「電話会議」の制度を活用することで、遠方の裁判所に出頭する必要がなくなるため、弁護士に支払う日当や、交通費の節約にもつながるというメリットもあります。
2-2:最後まで一度も出廷せずに、裁判をすすめられる
通常、地方裁判所での訴訟では、初回と最終回、さらに尋問が必要とされる場合に、口頭弁論期日が設けられます。
しかし、第1回口頭弁論期日は、答弁書などの必要書類を提出することにより、口頭弁論期日において答弁書通りの反論をしたとみなされます。
また、 第2回目以降の裁判期日についても、電話会議の制度を活用して、裁判所に出頭することなく裁判を進められることもあります。
不倫などの慰謝料請求の裁判の多くは、「裁判上の和解」の成立により終結します。
そのため、電話会議を活用して「裁判上の和解」が成立すれば、結果として一度も遠方の裁判所に出頭することなく、裁判を終えられる可能性も十分にあります。
2-3:電話会議のデメリット
遠方の裁判所に慰謝料請求された場合、電話会議の制度を利用することで、出頭しなくてもよい半面、デメリットもあります。
電話会議では音声しか聞こえないので、裁判官や相手弁護士の表情がわかりません。
そのため、微妙なニュアンスがつかみにくく、状況の流れを感じ取るのが難しいと思うことがあるかもしれません。
3章:遠方への慰謝料請求で、電話会議を利用できるケースは2つ
遠方への慰謝料請求で、電話会議を利用できるケースは、以下の2つです。
- 訴訟のとき
- 調停のとき
それぞれ説明します。
3-1:訴訟のとき
訴訟とは、裁判官が当事者双方の言い分を聞いたうえで、どちらが正しいかを判断し、問題の解決を図る制度のことです。
「訴訟」と「裁判」は、日常的に同じ意味で用いられます。
裁判手続きが、「弁論準備手続」によってすすめられる場合、裁判所が認めれば電話会議を利用できます。
ただし、「口頭弁論期日」においては、原則として裁判所へ出頭する必要があるため、電話会議は利用できません。
弁論準備手続と、口頭弁論期日の内容は、以下のとおりです。
- 弁論準備手続:公開の法廷ではなく、準備室で双方の当事者と裁判官が、今後の裁判のすすめ方について話し合いをする手続きのこと
- 口頭弁論期日:公開の法廷で、双方の当事者の言い分を裏付けるための証拠を調べる日時のこと
3-2:調停のとき
調停とは、当事者双方の話し合いにより、互いに譲り合って問題の解決を図る制度のことです。
調停には当事者双方の出頭が必要とされますが、遠方に居住しているなど、難しいケースもあるでしょう。
このような場合には、電話会議を利用したいと申し出て、裁判所に認められれば、電話会議を利用して調停手続きをすすめられます。
4章:遠方への慰謝料請求で、電話会議が利用できないケースは2つ
遠方への慰謝料請求で、電話会議が利用できないケースは、以下の2つです。
- 裁判上の和解が成立しないとき
- 当事者本人、証人への尋問手続きが必要なとき
それぞれ説明します。
4-1:裁判上の和解が成立しないとき
裁判所が手続きに関与し、当事者双方が一定の条件で和解することを、「裁判上の和解」といいます。
裁判上の和解が成立すれば、確定判決と同等の効力を有します。
しかし、弁論準備手続きを行ったにもかかわらず、当事者双方に歩み寄る姿勢がみられず、裁判上の和解が成立しなかった場合は、電話会議を利用できません。
この場合は、判決によって問題を解決することになるため、口頭弁論期日が設けられます。
口頭弁論期日においては、原則として裁判所に出頭しなければなりません。
4-2:当事者本人、証人への尋問手続きが必要なとき
裁判上の和解が成立しない場合、判決によって問題を解決すると上述しました。
この場合、判決が出されるまでに、当事者や証人に対して尋問手続きが行われることがあります。
尋問手続きでは、裁判官が、当事者本人や証人の主張を直接聞く必要があるため、裁判所に出頭しなければなりません。
5章:遠方への慰謝料請求は、弁護士に依頼するのがオススメ
慰謝料請求の裁判を起こされた場合は、避けられないため、精神的にも時間的にも大きな負担となります。
遠方での裁判となれば、なおさらでしょう。
弁護士に依頼することで、慰謝料請求に関する面倒な手続きや交渉を一任できるため、交渉を有利に進すすめられるでしょう。
まとめ:遠方に居住する相手への慰謝料請求は「電話会議」で対応できる
遠方に住む相手に慰謝料請求する場合、知っておきたいポイントは以下の3つです。
- 通常は、慰謝料の権利者が住む地域の裁判所で裁判が行われる
- 遠方の裁判所に慰謝料請求されることもある
- 裁判期日当日は、裁判所へ出頭する必要がある
裁判所に出頭せずに裁判をすすめられる「電話会議」について、知っていきたいポイントは、以下の3つです。
- 電話会議とは「電話による会議システム」のこと
- 最後まで一度も出廷せずに、裁判をすすめることもできる
- 電話会議のデメリット
また、遠方への慰謝料請求で、電話会議を利用できるケースは、以下の2つです。
- 訴訟のとき
- 調停のとき
遠方への慰謝料請求で、電話会議を利用できないケースは、以下の2つです。
- 裁判上の和解が成立しないとき
- 当事者本人、証人への尋問手続きが必要なとき
遠方に住む相手から慰謝料を請求された場合、必ずしも現地に出向く必要はありません。
当事者双方が遠方に居住している場合、「電話会議」という手段を使って、現地に行かずとも裁判をすすめられます。
また、弁護士に依頼することで、精神的、時間的負担を軽減することもできます。
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