児童扶養手当とは?基礎知識と注意点、収入別モデルケース2つも解説

監修者

弁護士法人QUEST法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

児童扶養手当とは?基礎知識と注意点、収入別モデルケース2つも解説
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 児童扶養手当とは?
  • 児童扶養手当を受給できたケース2つ
  • 児童扶養手当の手続き
  • 児童扶養手当受給中の注意点3つ
  • 児童扶養手当の他にもらえる公的扶助

あなたは、

  • 児童扶養手当とは何か?
  • 児童扶養手当の支給額は?
  • 手当の支給条件について知りたい

このようにお考えではありませんか?

言葉は聞いたことがあっても、児童扶養手当について、事細かな知識を持っているという人はそれほど多くないでしょう。

結論から言うと、児童扶養手当とは「ひとり親を支援するお金」であり、ひとり親家庭の経済的な不安をやわらげ、自立した生活を助けるために支給されます。

条件を満たせば誰でも受給できますが、いくつか押さえておかなければならない注意点があります。

なぜなら、児童扶養手当は、親の所得や扶養する人数に応じて金額が決定され、手当をもらい続けるためには、毎年必ず行わなければならない手続きがあるからです。

この記事を読むことで、児童扶養手当とは何か、その受給額や支給条件がわかります。

また、手続きの流れと注意点にも触れているので、「もしかしたら児童扶養手当を利用するかもしれない」という方の参考になるでしょう。

この記事では、

1章では、児童扶養手当とは?

2章では、児童扶養手当を受給できたケース2つを紹介

3章では、児童扶養手当の手続き

4章では、児童扶養手当受給中の注意点3つ

5章では、児童扶養手当の他にもらえる公的扶助

について詳しく解説します。

この記事を読んで、児童扶養手当とは何かを知り、金額や支給条件についての知識を身に付けましょう

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1章:児童扶養手当とは?

この章では、児童扶養手当の押さえておきたい基礎知識と、

  • 支給額
  • 支給条件

に焦点をあてて解説します。

1-1:児童扶養手当とは「ひとり親を支援するお金」のこと

児童扶養手当とは、離婚や死別などでひとり親になった家庭を支援するための給付金です。

児童扶養手当は、法律で以下のように定義されています。

「父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給し、もつて児童の福祉の増進を図ることを目的とする」(児童扶養手当法1条)

児童扶養手当の支給対象者は、18歳未満(一定以上の障害を持つ場合は20歳未満)の児童を持つ父または母、もしくはその児童を養育している者に限られます。

また、いつまでもらえるのかについては、「18歳になる日以後の最初の3月31日まで支給」と定められており、一般的に高校を卒業するまでと考えればよいでしょう。

児童扶養手当の支給時期は、2カ月に1回、1月、3月、5月、7月、9月、11月の奇数月で、受給者の口座に振り込まれます。

1-2:児童扶養手当の支給額

ここからは、児童扶養手当でもらえるお金について見ていきます。

具体的には、

  • 金額の種類2つ
  • 金額を決定する基準

に絞って解説します。

1-2-1:もらえる金額は2種類

児童扶養手当には、「全部受給」と「一部支給」といった2種類の金額が設定されています。

各区分でいくらもらえるのかは、以下の表のとおりです(2023年4月神戸市の場合)。

児童扶養手当(2023年4月神戸市の場合)

「全部受給」であれば、子供1人だと43,070円、2人だと10,170円加算された53,240円がひと月あたりに支給されます。

また、支給額は一定ではありません。

物価の変動に合わせて、毎年改定されています。

「全部受給」と「一部受給」のどちらの金額になるかは、受給者の前年の所得と扶養する人数によって決まることを覚えておきましょう。

1-2-2:扶養人数と所得で額が決定

もらえる金額の種類に対して、所得と扶養する人数の関係は以下の表のとおりです。

児童扶養手当(扶養人数と所得で額)

たとえば、母と子供2人の世帯の場合、母親の所得が125万円未満であれば全部支給125万円以上268万円未満であれば一部支給となります。

所得には制限があり、限度額を超えた場合には児童扶養手当が支給されません。

また、実家で暮らすなど生計を共にする親族がいる場合、受給者以外にも扶養義務者がいることになります。

その扶養義務者にも所得制限があることを知っておきましょう。

そして、もし離婚して養育費を受け取っているのであれば、その額の8割を所得に加算したもので判定されます。

1-3:児童扶養手当の支給条件

児童扶養手当が支給されるには、いくつか条件があります。

  • 支給対象になる人
  • 支給対象から外れる人

それぞれどういったケースなのか解説します。

1-3-1:ひとり親であれば支給対象になる

児童扶養手当は、離婚や死別などの理由でひとり親であれば支給対象になります。

また、離婚が成立していなくても、

  • 父または母の生死が不明である場合
  • 裁判所からDV(配偶者からの暴力)保護命令が出た場合
  • 父または母から1年以上遺棄されている場合

上記のような条件があれば受給できます。

1-3-2:支給対象にならない人もいる

先に述べた条件を満たしていたとしても、以下に当てはまる場合は支給されません。

  • 親子が日本国内に住んでいない
  • 子供が児童福祉施設等に入所している、または里親に委託されている
  • 子供が父または母と生計を同じくしている(父または母が重度障害である場合を除く)
  • 事実婚を含め、父または母の配偶者に養育されている

また、各自治体によっても条件が異なるため、支給対象なのか知りたい場合は、役所やウェブサイトで確認しておきましょう。

2章:児童扶養手当を受給できたケース2つ

この章では、児童扶養手当を受給できた2つのケースを紹介します。

  • 子供と申請者の2人暮らし(申請者の年間所得90万円、養育費が月に3万円)
  • 子供2人と申請者、祖父母の5人暮らし(申請者の年間所得120万、養育費なし、祖父の年間所得180万円)

どのくらいの額を受給できるのか、それぞれ見ていきましょう。

2-1:子供と申請者の2人暮らし

最初は、離婚して子供1人と申請者(母)の2人だけで暮らしているケースです。

申請者は、諸々の控除を加味した年間の所得が82万円で、別れた夫から月に3万円の養育費を得ています。

この場合、年間所得に養育費の8割を足したもので受給額が判定されます。

【判定を受ける所得】

82万+3万(ひと月の養育費)×12カ月×0.8 = 1,108,000円

算出された1,108,000円を扶養人数1人の所得制限に照らし合わせると、230万円以下であることから、一部受給の対象者であることがわかりました。

児童扶養手当を受給できたケース1つ目

一部受給の場合、月にいくらもらえるのかは所得によります

計算式は、以下のとおりです。

【第1子の手当額一部支給の計算式】

支給金額(月額)=44,130円(注1) - (年間所得-全部支給の所得制限限度額)× 0.0235804(注2)

注1:子供1人扶養の場合の一部支給限度額。

注2:扶養する子供の数が1人の場合は「0.0235804」、2人目は「0.0036364」、3人目以降は「0.0021748」をかける。

この母親のケースだと、

44,130円 - (110万8,000円-87万) × 0.0235804 = 38,517.8648

となり、ひと月あたり38,520円が支給されることがわかりました。

2-2:子供2人と申請者、祖父母の5人暮らし

2つ目は、離婚してひとり親になった申請者(母)と子供2人が、母方の実家で祖父母と5人で暮らしているケースです。

申請者の母は、年間の所得が120万円で養育費なし、同一生計である祖父は年間180万円の所得を得ています。

【判定を受ける所得】

  • 1,200,000円(母)
  • 1,800,000円(祖父)

120万円を扶養人数2人の所得制限に照らし合わせると、125万円以下であり、祖父も312万円の所得制限を超えていないことから、全部受給の対象者であることがわかりました。

児童扶養手当を受給できたケース2つ目

この母親のケースでは、子供が2人いるため、

44,140円(全部支給の第1子分)+10,120円(第2子の加算分)= 54,560

となり、ひと月あたり54,560円が支給されることがわかります。

なお、実家で同居している扶養義務者の所得が限度額以上であれば、児童扶養手当は支給されません

このケースで仮に祖父の年間所得が312万以上であれば、手当は一切支給されないことになります。

3章:児童扶養手当の手続き

この章では、児童扶養手当の申請手続きについて見ていきましょう。

  • 手続きを行う場所
  • 申請時に必要な書類

それぞれ説明します。

3-1:手続きを行う場所

児童扶養手当の手続きは、住んでいる区市町村の窓口で行います。

自治体によっては代理申請が認められる場合もありますが、原則として申請者本人の来所が必要なので注意しましょう。

3-2:申請時に必要な書類

申請手続きに必要な書類は、以下のとおりです。

  • 印鑑(シヤチハタは不可)
  • 身分証明書
  • 請求者と対象児童の戸籍謄本または抄本(原本)
  • マイナンバーが確認できるもの
  • 前年の所得が証明できるもの
  • 申請者本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

離婚などで戸籍謄本が手に入りにくい場合、一時的に離婚届受理証明書でも可とする自治体もあります。

各自治体によっては、この他に必要な書類もあるので、事前に電話などで問い合わせてから準備するようにしましょう。

書類に不備がなければ、請求した月の翌月から手当が支給されます。

4章:児童扶養手当受給中の注意点3つ

児童扶養手当は、一度認定を受ければその後ずっと支給されるというものではありません

  • 毎年の現況届の提出
  • 一部支給停止措置の時期を把握
  • 資格喪失時は連絡

といった注意点3つをそれぞれ解説します。

4-1:忘れずに現況届の提出を

児童扶養手当を継続して受給するには、毎年8月に「現況届」を提出しなければなりません。

 

こちらのXのポストにもあるように、現況届の提出が遅れた場合、手当の支給が一時差し止められます

最悪の場合、受給資格がなくなってしまうため、必ず期日内に提出しましょう。

自治体によっては、郵送での提出ができるところもあります。

4-2:一定の年数で手当が半額に

児童扶養手当の支給開始から5年が経過すると、手当額の半額カットの対象となってしまいます。

この「一部支給停止措置」は、ひとり親の就労意欲を促すためのものです。

ただし、必要な書類を提出すれば適用を除外できます。

たとえば、このようなつぶやきもあります。

 

自治体から送付された「児童扶養手当一部支給停止適用除外事由届出書」に、

  • 就労中であること
  • 求職活動中であること
  • 身体または精神に障害があること
  • 負傷または疾病などにより就業することが困難であること
  • 子供または親族の介護などで就労が困難であること

いずれかの事由が証明できる添付書類を添え、窓口に提出しましょう。

4-3:支給対象から外れていないか確認を

児童扶養手当はひとり親を支援する給付金なので、結婚してひとり親でなくなれば、受給資格がなくなります

その場合、速やかに「児童扶養手当資格喪失届」を届け出なければなりません。

結婚の他にも、

  • 事実上の婚姻関係(同棲あるいは生活費を援助されるなど)となったとき
  • 子供が父親または母親に引き取られた、施設に入った、里親に預けられたなどで、受給者の手から離れたとき
  • 受給者や子供の住所が日本国内になくなったとき
  • 受給者本人や子供が死亡したとき

といった際には、受給資格がなくなります。

もし手当の不正な受け取りがあった場合、過払いとなった手当は返還しなければなりません

さらに悪質な場合は、法律で罰せられることもあるので十分注意が必要です。

5章:児童扶養手当の他にもらえる公的扶助

児童扶養手当の他にも、

  • 特別児童扶養手当
  • ひとり親家庭等医療費助成制度
  • その他の控除・減免制度

など、ひとり親家庭を支援する給付金や制度があります。

ただし、制度の存在を知らなければ利用できないため、積極的に情報を集めるように意識しましょう。

 

それぞれ解説します。

5-1:特別児童扶養手当

特別児童扶養手当は、精神または身体に障害のある子供を育てる養育者が対象で、満20歳になるまで給付金が支給されます。

特別児童扶養手当の給付自体は、ひとり親に限ったものではありません。

ただし、ひとり親である場合、児童扶養の給付も満20歳まで延長される点を押さえておきましょう。

金額は障害の等級によって異なり、療育手帳のない発達障害の子供であっても申請可能です。

また、自治体によっては障害を持つ子供を支援する独自の制度を設けているところもあるので、一度窓口で尋ねてみてもよいでしょう。 

5-2:ひとり親家庭等医療費助成制度

ひとり親家庭の子供やその養育者が、病院などで診察を受けた際に、医療費の一部を自治体に助成してもらえる制度が、「ひとり親家庭等医療費助成制度」です。

病院の窓口で健康保険証と一緒に、「助成資格証明書(医療証)」を提示することで受給できます。

児童扶養手当と同じく、所得制限があるので注意しましょう。

5-3:その他の控除・減免制度

ひとり親家庭を支援する制度は、

  • 通勤定期券の割引
  • 水道基本料金の免除
  • 粗大ごみの手数料免除
  • バスや地下鉄の特別乗車券の交付

など、各自治体によっても異なるものの、多々あります。

上記はほんの一例ですので、一度問い合わせてみるとよいでしょう。

まとめ:児童扶養手当とは「ひとり親を支援するお金」のこと

児童扶養手当とは、離婚や死別でひとり親になった家庭を支援するための給付金です。

経済的な安定や自立の促進を主な目的としており、子供が18歳になる日以降、最初の3月31日まで受給できます。

支給額は、

  • 全部支給
  • 一部支給

の2種類あり、扶養人数と所得に応じて決定されます。

児童扶養手当には所得制限があり、所得が限度額を超えていた場合は支給されません。

母親の実家などで暮らしていて、同居している親族(祖父母など)がいる場合は、その親族の所得も判定の対象となるので注意しましょう。

申請手続きは、各自治体の窓口でできます。

お住まいの地域やひとり親になった経緯によって提出書類が異なるため、事前に電話で問い合わせることをオススメします。

また、児童扶養手当の受給中も以下の3つに注意しましょう。

  • 毎年の現況届の提出
  • 一部支給停止措置の時期を把握
  • 資格喪失時は連絡

現況届は毎年8月に必ず提出する必要があり、忘れていた場合は手当の支給が遅れてしまいます。

最初に支給を受けた月から5年が経過すると「一部支給停止措置」の対象となります

手当の半額カットを免れたい場合は、求められる書類を忘れず提出しましょう。

自身の再婚や子供の扶養者が変わった場合などは受給資格を失うため、速やかに届け出なければなりません

さらに、児童扶養手当の他にも、

  • 特別児童扶養手当
  • ひとり親家庭等医療費助成制度

など、ひとり親を支援する制度があるので、お時間のあるときに調べてみるとよいでしょう。

給付金を本当に必要としている方がスムーズに手続きできるよう、この記事が参考になれば幸いです。

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