離婚に向けての別居4つのケース、別居の準備と注意点を弁護士が解説

著者情報

住川 佳祐
(QUEST法律事務所 代表弁護士)

東京弁護士会所属。東京大学法学部卒。『NHK あさイチ』のTV出演の他、『プレジデント』『ダイヤモンド・セレクト』などメディア掲載多数。QUEST法律事務所のHPはこちら。

離婚で別居する場合のポイント

あなたは、

離婚したいので別居できないかな?」

「離婚前に別居しても大丈夫かな?」

「離婚前に別居したら不利にならないか心配」

などとお考えではありませんか?

結論から言うと、4つのケースでは、離婚に向けてすぐに別居しても、正当な理由として認められる可能性が高いです。

  • DV、モラハラがある
  • 不貞行為(浮気・不倫)がある
  • 生活費をもらえない
  • 多額の借金が発覚した

しかし、このような正当な理由も無く、相手の同意も得ずに別居した場合は、離婚の原因はあなたにあるとして不利な状況になることがあります。

離婚に向けて別居を考えている場合は、別居に向けての準備や、別居に対する相手の同意、あるいは別居に至る正当な理由が必要になります。

この記事では、1章で離婚に向けてすぐに別居できる4つのケースを、2章では離婚前に別居するメリット・デメリットを、3章では別居する前に準備することについて解説していきます。

さらに、4章では、別居や離婚を弁護士に相談するメリットについて解説します。

個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。

【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】

■離婚に向けてすぐに別居できる4つのケース

  • DV、モラハラがある
  • 不貞行為(浮気・不倫)がある
  • 生活費をもらえない
  • 多額の借金が発覚した

■離婚前に別居するメリット

  • 婚姻関係が破綻している証拠になる
  • 離婚の意思が強いことを示せる

■離婚前に別居するデメリット

  • 夫婦関係を修復することが難しくなる
  • 相手の不貞行為や浪費等の証拠が集められなくなる

■別居する前に準備すること

  • 住む場所を確保する
  • 別居後の仕事を決めておく
  • 子供の養育環境を確保する
  • 相手に離婚の原因があれば証拠を集めておく
  • 相手の収入や、相手名義の財産等を把握する

■別居や離婚を弁護士に相談するメリット

  • 別居や離婚する際のアドバイスを受けられる
  • 相手に会わずに離婚手続きを任せられる
  • 婚姻費用や財産分与、養育費などの請求もできる
  • 離婚を有利な条件で進められる

離婚で別居する場合のポイント


1章:離婚に向けてすぐに別居できる4つのケース

離婚に向けて別居を考えている場合、すぐに別居できるケースとして、次の4つがあげられます。

  • DV、モラハラがある
  • 不貞行為(浮気・不倫)がある
  • 生活費をもらえない
  • 多額の借金が発覚した

    これらのケースは、どれも離婚に至る正当な理由として認められるので、別居することで不利になる可能性は低いと言えます。

    さらに、ケースによっては、慰謝料を請求できる可能性もあります。

    それぞれ解説していきます。

    1-1DV、モラハラがある

    夫婦生活においての相手からのDV、モラハラが原因で離婚を考えている場合は、すぐにでも別居する必要があります。

    特に、相手からの暴力がひどい場合は、あなた自身の安全を考えてすぐに避難し、できれば弁護士、あるいは各自治体の公的な支援センターなどに相談されることをおすすめします。

    なぜなら、このようなケースでは、夫婦間で冷静に話し合うことはできず、暴力がエスカレートする可能性もあり、最悪の場合は、刑事事件となる危険性をはらんでいるからです。

    配偶者の暴力で悩まれている場合の、各自治体の相談窓口はこちらです。

    ※「配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす施設一覧」

    1-2:不貞行為(浮気・不倫)がある

    相手に不貞行為(浮気・不倫)がある場合は、離婚に向けてすぐに別居することができます。

    ただし、相手の不貞行為は正当な離婚事由(理由)となりますが、それを立証する証拠が必要になります。

    相手の不貞行為を証明する十分な証拠がある場合は、離婚が認められるだけでなく、慰謝料を請求することができます。

    弁護士
    不貞行為の証拠だけでなく、別居する前に準備することについては、このあと3章で詳しく解説します。
     

    1-3:生活費をもらえない

    相手から生活費が貰えない場合は、離婚に向けてすぐに別居することができます。

    生活費を渡さないという行為は、「悪意の遺棄」にあたり法的な離婚事由として認められるだけでなく、慰謝料を請求することができます。

    また、同じ理由で別居中であっても生活費を渡す義務があるので、専業主婦など相手より収入が少ない場合は、離婚までの期間、生活費(婚姻費用)を請求することができます。

    また、子供がいる場合は、子供の生活費についても請求が可能です。

    1-4:多額の借金が発覚した

    相手が家庭を顧みず、自分の趣味やギャンブルなどのために多額の借金をしていたことが発覚した場合は、離婚に向けてすぐに別居することができる可能性が高いです。

    ここでいう借金は、夫婦生活を営むための住宅ローンや自動車ローンなどではなく、あくまで個人の欲や楽しみのための浪費によるものとなります。

    この借金によって生活費を渡さない場合は、1-3の「悪意に遺棄」にあたり、隠れて多額の借金や借金を繰り返していた場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚できる可能性が高いと言えます。

    このように相手の多額な借金が発覚した場合は、別居や離婚の正当な理由となり得ますが、同時にその借金の内容を調べて、離婚した際のその借金の取り扱い方を考える必要があります。

    なぜなら、借金の担保に自宅が入れられていたり、あなたの名義を勝手に使われていたり、連帯保証人にされている場合があるからです。

    さらに、相手が亡くなった場合は、離婚前であればあなたに、離婚後であれば子供に借金が相続される可能性があります。


    2章:離婚前に別居するメリット・デメリット

    ここでは、離婚に向けて別居した場合の、メリットとデメリットについて解説していきます。

    2-1:離婚前に別居するメリット

    離婚前に別居するメリットとしては、次の2つがあげられます。

    • 婚姻関係が破綻している証拠になる
    • 離婚の意思が強いことを示せる

    離婚前の別居期間が長くなった場合は、「すでに婚姻関係が破綻している」と、判断される可能性があります。

    1章であげたような正当な離婚事由がない別居の場合でも、事案によっては別居期間2~3年で、5年であれば多くの場合、「すでに婚姻関係が破綻している」と判断され離婚が認められます。

    また、別居して新しい生活を始めることによって、離婚の意志が強いことを相手にしっかり示すことができます。

    相手が離婚に反対している場合は、距離を置くことで冷静に話し合うきっかけとなり、離婚後の生活が相手にとっても現実味を帯びてくることになります。

    2-2:離婚前に別居するデメリット

    離婚前に別居するデメリットとしては、次の2つがあげられます。

    • 夫婦関係を修復することが難しくなる
    • 相手の不貞行為や浪費等の証拠が集めにくくなる

    前にあげたように、別居することによって離婚が現実味を帯びてくると、さらに夫婦間の溝が大きくなり、夫婦関係を修復することは難しくなります。

    別居を始めるにあたっても、それなりの労力とお金をかけることになるので、あなた自身も、後には引けない状況に追い込まれる形になります。

    また、離婚の原因が相手の不法行為にある場合は、別居した後はその証拠を収集することが難しくなります。

    さらに、離婚の財産分与に必要な、相手の財産状況や借金などを調べることも、別居した後では難しくなる場合があります。


    3章:別居する前に準備すること

    離婚に向けての別居をする場合には、事前の準備が必要となります。

    準備する必要があるものとしては、次の5つがあげられます。

    • 住む場所を確保する
    • 別居後の仕事を決めておく
    • 子供の養育環境を確保する
    • 相手に離婚の原因があれば証拠を集めておく
    • 相手の収入や、相手名義の財産等を把握する

      それぞれ解説していきます。

      3-1:住む場所を確保する

      離婚に向けて別居する場合には、新しい生活を始めるための住まいが必要となります。

      別居の住まい探しも、希望の場所や予算を検討して、さらに、引っ越すタイミングなども考えるとなかなか難しい場合があります。

      それでも、新しい住居を契約し、別居後の生活の場が確保できると、覚悟も決まり新しい生活に向けてのスタートを切ることができます。

      まとまったお金が必要となる住まい探しは、考えることが多く時間や労力も必要で、またどれが正解か悩むことも多々ありますが、根気よく探すことが重要です。

      また、離婚に向けての別居の場合は、住民票をすぐに移すことが重要です。

      住民票を移すことによって、別居の事実を公的に証明することができるだけでなく、役所や金融機関、生活に必要な各種の手続きがスムーズに行えるようになります。

      3-2:別居後の仕事を決めておく

      別居後に自立した生活を送るためには、安定した仕事を確保する必要があります。

      特に女性の場合は、経済的な自立が早期に実現できるかが、別居さらには離婚後の生活を左右するおおきな要因となります。

      もしあなたが専業主婦の場合は、ハローワーク(子供がいる場合は、マザーズハローワーク)などを使って、就職先を見つける必要があります。

      あなたがすでに働いている場合は、現在の仕事の収入で試算し、それでは足りない場合は、転職やスキルアップで収入増を目指すことが大事です。

      3-3:子供の養育環境を確保する

      離婚に向けた別居の場合は、親子で暮らす住居だけでなく、事前に子供の学校や幼稚園・保育園などの養育環境を考える必要があります。

      また別居の際に、子供の住民票も一緒に移すことによって、子供の学校や幼稚園・保育園等の編入や児童手当等の手続きがスムーズに行えます。

      そのため、別居後の新しい環境においても、子供の養育が十分に行えるようになります。

      離婚が成立した後は、離婚の手続きだけでなく、子供に関する様々な手続きも必要になります。

      離婚後の手続きについて、詳しくは次の記事で解説しています。

      【チェックリスト付】離婚後の手続きや準備物・注意点を弁護士が解説

      3-4:相手に離婚の原因があれば証拠を集めておく

      相手に離婚の原因があり別居する場合には、相手の不倫やDV、セックスレスなどの離婚原因の証拠となる画像や音声、詳細な記録などを集めておく必要があります。

      なぜなら、離婚の原因が相手にある場合は、相手の不貞などの不法行為を証明する十分な証拠によって、離婚が認められるだけでなく、慰謝料を請求することができるからです。

      これらの証拠は、別居後には集めることが難しくなるので、離婚を決意した段階から意図的に集めていく必要があります。

      不倫やDV、セックスレスなどの証拠の集め方について、詳しくは次の記事で解説しています。

      離婚の慰謝料相場は?請求できる5つのケースと証拠を弁護士が解説 

      3-5:相手の収入や、相手名義の財産等を把握する

      離婚に向けて別居する場合は、相手の収入だけでなく、財産や退職金、年金分割、公的な助成金などもよく調べて、資料を準備しておく必要があります。

      集めておく資料としては、次のようになります。

      • 預貯金通帳(通帳のコピー)
      • 所得を証明する書類(給与明細、確定申告書類など)
      • 不動産登記簿
      • 証券口座の明細
      • 生命保険に関する書類
      • 夫の会社の退職金支給条件や現在の退職金支給実態
      • 厚生年金保険料の支払い実績(標準報酬)

      これらの資料を別居前から集めることによって、離婚の際の財産分与で、見落としなく妥当な金額を請求することができます。

      離婚の財産分与について、詳しくは次の記事で解説しています。

      【弁護士が解説】離婚の財産分与の分け方と有利にする3つのポイント


      4章:別居や離婚を弁護士に相談するメリット

      別居や離婚を弁護士に相談するメリットとしては、次の4つがあげられます。

      • 別居や離婚する際のアドバイスを受けられる
      • 相手に会わずに離婚手続きを任せられる
      • 婚姻費用や財産分与、養育費などの請求もできる
      • 離婚を有利な条件で進められる

        それぞれ解説していきます。

        4-1:別居や離婚する際のアドバイスを受けられる

        弁護士に相談することによって、別居や離婚する際のアドバイスを受けることができます。 

        別居や離婚の理由や実情は、夫婦によって様々です。

        そのため、別居の準備や別居するタイミング、離婚の成否や親権の獲得、財産分与・慰謝料・養育費等の請求など、それぞれに違った対応・解決法が必要になります。

        弁護士に相談し適確なアドバイスを受けることによって、夫婦の実情に合った最善の方法を、選択できる可能性が高くなります。

        4-2:相手に会わずに離婚手続きを任せられる

        相手に会いたくない場合は、弁護士に依頼することによって、相手に一度も会わずに離婚交渉を進め、離婚を成立させることも可能になります。

        また、離婚調停・訴訟などに進んだ時には、必要書類等の準備や、すべての手続きを任せることができます。

        特に、DVやモラハラなどで、相手と連絡を取りたくない、別居先・新しい住所を知られたくない場合は、弁護士に離婚交渉を任せることによって、離婚成立だけでなく精神的な負担も軽減することができます。

        4-3:婚姻費用や財産分与、養育費などの請求もできる

        弁護士に依頼することで、別居中の婚姻費用や財産分与・養育費など、夫婦それぞれの収入状況などをもとに、適切な金額を算定して請求することができます。

        婚姻費用とは、婚姻中の夫婦の生活にかかる費用のことで、食費や住居費、養育費、医療費などを指します。

        夫婦が別居する際に、収入の少ないほうが収入の多い相手に、離婚までの婚姻費用を請求することができます。

        財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた共有財産を、離婚時に公平に分け合うことを言います。

        財産分与で争いがある場合、弁護士に依頼することで現在の財産に対する明確な算定や、相手に対する正当な要求を行うことができます。

        養育費とは、未成年の子供が自立するまでの、食費、学費、医療費、家賃などの子供の生活全般にかかる費用のことです。

        子供と一緒に暮らす親(監護権者)が、子供と暮らさない親に対して養育費を請求することができます。

        4-4:離婚を有利な条件で進められる

        弁護士に依頼することで、離婚協議や離婚調停・訴訟、どの段階においても、依頼者に有利な条件を最優先にして交渉を進めていくことができます。

        離婚協議では、弁護士はあなたの代理人として、相手である配偶者やその弁護士に、あなたの希望内容や条件を提示し、話し合い(協議)を進めていくことができます。

        離婚調停では、あなたと同席して法的なアドバイスや、あなたに有利な実情を調停委員に対して、論理的に説明していきます。

        また、離婚訴訟では、あなたの希望に沿う形で、法的に適切な主張やそれを立証する証拠を提示し、有利な判決が得られる可能性を高めることができます。

        弁護士
        離婚に向けて別居を考えられている場合は、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

        なぜなら、ここまで解説してきたように、別居して離婚を成立させるためには、周到な準備が必要となるからです。

        ぜひ、当事務所(QUEST法律事務所)の無料法律相談を活用して、あなたに合った解決法を見つけてください。

         


        まとめ

        ここまで、離婚に向けた別居について解説してきました。

        最後に、今回の内容をまとめます。

        ■離婚に向けてすぐに別居できる4つのケース

        • DV、モラハラがある
        • 不貞行為(浮気・不倫)がある
        • 生活費をもらえない
        • 多額の借金が発覚した

        ■離婚前に別居するメリット

        • 婚姻関係が破綻している証拠になる
        • 離婚の意思が強いことを示せる

        ■離婚前に別居するデメリット

        • 夫婦関係を修復することが難しくなる
        • 相手の不貞行為や浪費等の証拠が集められなくなる

        ■別居する前に準備すること

        • 住む場所を確保する
        • 別居後の仕事を決めておく
        • 子供の養育環境を確保する
        • 相手に離婚の原因があれば証拠を集めておく
        • 相手の収入や、相手名義の財産等を把握する

        ■別居や離婚を弁護士に相談するメリット

        • 別居や離婚する際のアドバイスを受けられる
        • 相手に会わずに離婚手続きを任せられる
        • 婚姻費用や財産分与、養育費などの請求もできる
        • 離婚を有利な条件で進められる

        いかがでしたか。

        この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。

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