【不倫の慰謝料】請求できる6つの条件と慰謝料相場、高額請求する方法


この記事を読んで理解できること
- 不倫の慰謝料を請求できる6つの条件
- 不倫の慰謝料相場と慰謝料金額を決める7つの要素
- 不倫慰謝料の請求方法2パターン
あなたは、
「不倫の慰謝料っていくらになるの?」
「そもそも慰謝料を請求できるのかどうか知りたい」
「慰謝料を請求する方法が知りたい」
「できるだけ高額の慰謝料を請求したい」
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
不倫されると、怒りや悲しみの感情でいっぱいになり「仕返ししたい」「怒りをぶつけたい」という気持ちになりますよね。
そんなあなたに伝えたいのが、まずは一度できるだけ冷静になってこれからの適切な行動方法を考えることです。
なぜなら、適切な行動を取らなければ、
- 慰謝料請求に失敗して1円ももらえない
- 本来もらえるはずの金額よりずっと少ない金額しかもらえない
- 自分が罪に問われる
ということにもなりかねないからです。
そこでこの記事では、1章で不倫の慰謝料を請求できる6つの条件を、2章で不倫の慰謝料相場と慰謝料金額を決める7つの要素を、3章で慰謝料を請求する方法について解説します。
読みたいところからよんで、ぜひすぐに行動に移ってください。
1章:不倫の慰謝料を請求できる6つの条件
不倫相手に慰謝料を請求できる条件としては、次の6つがあげられます。
- 不倫相手の身元が確認できている
- 配偶者と肉体関係があった
- 不倫相手は既婚者だと知っていた・知ることができた
- もともと夫婦関係は破綻していなかった
- 不倫によって夫婦関係が悪化または破綻した
- 時効が成立していない
それぞれ解説していきます。
1-1:不倫相手の身元が確認できている
不倫の慰謝料を請求する条件としては、配偶者の不倫相手の身元を確認することがあげられます。
なぜなら、不倫の慰謝料を請求する場合、請求書の交付を受ける相手方の氏名・住所が必要だからです。
自分で調べても不倫相手の身元が分からない場合は、探偵事務所など専門家に浮気調査を依頼することをおすすめします。
探偵事務所に依頼することによって、不倫相手の身元だけでなく、浮気現場の写真や動画など有力な証拠を獲得できる可能性が高くなります。
1-2:配偶者と肉体関係があった
不倫の慰謝料を請求するための条件としては、配偶者と不倫相手に肉体関係(不貞行為)があることを、証明あるいは推認できる十分な証拠が必要です。
なぜなら、そもそも不貞行為とされる肉体関係を不倫相手が認めない場合、不貞行為があったことを証明する証拠がなければ、相手が慰謝料の請求に応じることはないからです。
不倫(不貞行為)の証拠になるもの、ならないものは以下の通りです。
【証拠になるもの】
- 写真
→ラブホテルや旅館で泊まった写真など) - 録音した音声データや録画した撮影データ
→性行為やそれを予測させる会話等の録音、撮影 - クレジットカードの利用明細、レシート
→ラブホテルや旅行先で利用したと思われるもの、避妊具等の明細やレシート - メール、LINEや手紙
→不倫相手とのやり取りが残っているもの - SNSやブログ
→不倫相手との交際や行為について書かれたもの - 手帳、日記、メモ
→配偶者との会話や目撃した行為等について、継続的にとった手書きの記録 - 興信所や探偵の調査報告書
→興信所、探偵に調査依頼した場合
ただし、肉体関係がない場合であっても、キスなどの行為をしていれば、「婚姻共同生活の平和を維持する権利」の侵害にあたるとして、慰謝料を請求できる場合もあります。
証拠が多いほど、弁護士や裁判官に対する説得力を高めることができます。
2-3:不倫相手は既婚者だと知っていた・知ることができた
不倫の慰謝料を請求できる条件としては、不倫相手が既婚者だと知っていた、あるいは知ることができた場合となります。
例えば、同じ会社に勤めていて結婚していることや子供がいることを知っていた場合(故意)や、同僚や共通の友人などから既婚者であることは知り得た場合(過失)などがあげられます。
既婚者であるあなたの配偶者との不貞行為は、あなたの権利を侵害し精神的苦痛を与えたことになりますので、故意に行っていた場合は当然不法行為となり、故意ではなく過失の場合でも不法行為が成立します。
2-4:もともと夫婦関係は破綻していなかった
不倫の慰謝料を請求するための条件としては、不貞行為が行われた時点では、夫婦関係が破綻していなかったことがあげられます。
なぜなら、不倫をする前から離婚に向けた話し合いを進めていたり、すでに離婚を前提に別居していて夫婦関係が破綻していた場合は、慰謝料を請求できない可能性があるからです。
不倫の慰謝料は、不貞行為によって夫婦関係が壊され精神的苦痛を味わったことに対する賠償となるため、すでに夫婦関係が破綻していた場合は、損害が発生しないため慰謝料請求は認められません。
2-5:不倫によって夫婦関係が悪化または破綻した
すでに解説したように、不倫の慰謝料は、不貞行為による精神的苦痛に対する賠償となるため、夫婦が離婚した場合に限らず、夫婦関係が悪化または破綻した場合も、慰謝料が請求できる条件になります。
ただし、不貞行為によって夫婦関係が破綻し離婚する場合に比べて、精神的苦痛の程度は軽いと考えられるため、請求できる慰謝料額は低くなる傾向にあります。
2-6:時効が成立していない
不倫の慰謝料の請求には、不貞行為の事実と不倫相手を知ってから3年間という消滅時効があるため、時効が成立していないことが条件となります。
不倫相手を知ったということは、その名前や住所など慰謝料請求が可能な情報が得られた場合をいうため、不倫相手が存在することを知っただけの状況では時効期間とはなりません。
また、不貞行為がきっかけで離婚に至った場合は、離婚した時点から6ヶ月以内であれば、すでに3年間が経過した不貞行為であっても配偶者には慰謝料請求が可能となります。
2章:不倫の慰謝料相場と慰謝料金額を決める7つの要素
不倫の慰謝料は、過去の類似の判例から相場が決まっています。
そこでこの章では、次の3つ項目について解説していきます。
- 不倫の慰謝料相場
- 慰謝料金額を決める7つの要素
- 【参考】不倫慰謝料請求の過去の判例
2-1:不倫の慰謝料の相場
不倫の慰謝料相場は、過去の判例から大まかには以下のように決まっています。
【不倫(不貞行為)の慰謝料相場】
- 不倫はしたが夫婦関係は継続:50万~100万円
- 不倫が原因で別居に至った:100万~200万円
- 不倫が原因で離婚に至った:150万~300万円
上記のように相場が異なるのは、慰謝料の金額は、不倫(不貞行為)によって夫婦関係が破綻したかどうか、という点によって大きく左右されるからです。
離婚、別居する場合は、不倫(不貞行為)を原因として夫婦関係が破綻したと考えられるため、慰謝料の金額が高額になります。
一方で、離婚、別居しない場合は、不倫(不貞行為)で夫婦関係が破綻するほどの被害はなかったと考えられるため、慰謝料の金額が少なくなるのです。
さらに、不倫慰謝料の金額は様々な要素から決まるため、上記の相場を超えた高額請求が可能なこともあります。
2-2:相場を高額にする7つの要素
不倫の慰謝料は過去の類似の判例を判断材料にして、金額が決められることが多いです。
したがって、以下の7つの要素のうち「増額」が多い場合ほど高額請求できる可能性が高いです。
(年数や回数はあくまで目安です)
※なお、上記の要素が一つあるだけで高額の慰謝料が確実に取れるというわけではありません。
不倫慰謝料の相場や高額請求できるポイントについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【2024年度版】不倫慰謝料相場は50万~300万円!金額を決める7つの要因と高額請求法
2-3:【参考】不倫慰謝料請求の過去の判例
繰り返しになりますが、不倫の慰謝料は過去の判例を参考に決まります。
そこで、代表的な判例をいくつか紹介します。
似た状況だからといって、同じ慰謝料がもらえるというわけではありませんので、慰謝料の金額は参考程度にしてください。
【不倫(不貞行為)の期間が長かったために高額の慰謝料が認められた例】
同事案は,不貞行為による妊娠出産や,離婚届の偽造等,婚姻期間以外にも様々な特殊事情がありましたが、不倫(不貞行為)の期間が17年にも及んでいたことから、800万円の慰謝料請求が認められたケースがあります。
(東京地裁平成21年4月8日)
【不倫(不貞行為)の回数が多かったために慰謝料が増額された例】
不倫(不貞行為)の回数が20回程度もあったことから、320万円の慰謝料の支払いが認められたケースがあります。
(岐阜地裁平成26年1月20日)
【婚姻関係の長さが慰謝料の増額要因になった例】
夫婦関係が15年以上続いていたことから、それを破綻させられたことによる精神的苦痛は大きかったとして、婚姻関係の長さが増額要因になったケースがあります。慰謝料は200万円が認められました。
(東京地裁平成24年3月29日)
【不倫(不貞行為)を止めてくれなかったため300万円の慰謝料が認められた例】
妻が夫の不倫相手に対して、再三にわたって夫と別れるように要求したにもかかわらず、それを拒否し続けたことから、不倫相手からの300万円の慰謝料の支払いが認められたケースがあります。
(東京地裁平成19年4月5日)
【謝罪がないことが指摘された例】
不倫相手が不倫(不貞行為)について謝罪していないことを要因とし、他の事情と相まって慰謝料を増額し、220万円の請求が認められたケースがあります。
(東京地裁平成25年1月17日)
3章:不倫慰謝料の請求方法2パターン
不倫で慰謝料を請求する方法には、自分ですべての手続きを行う方法と、弁護士に依頼する方法があり、それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。
上記のメリット、デメリットがあるため、それぞれ以下のような人におすすめです。
【自分で請求する方法】
- とにかく費用をかけたくない人
- 自分の力だけで解決したい人
【弁護士に依頼する方法】
- できる限り高額請求したい人
- 手間や時間をかけたくない人
- 加害者と直接やり取りしたくない人
- 「慰謝料を踏み倒される」などのトラブルを避けたい人
それぞれの手続きの流れについて解説します。
3-1:自分で請求する流れ
不倫の慰謝料請求を自分で行う場合は、以下のような流れで手続きを進めることになります。
ステップ①証拠集め
↓
ステップ②加害者への配達証明付き内容証明の送付
↓
ステップ③自分で直接相手と交渉する(裁判外交渉)
↓
ステップ④訴訟(裁判)を提起する
順番に解説します。
3-1-1:ステップ①証拠集め
自分で請求する場合も、弁護士に依頼する場合も、慰謝料を請求するためには「証拠」が必要です。
そのため、まずはできるだけ早い段階で、できるだけたくさんの証拠を集めておくことが大事なのです。
証拠については3章でお伝えした通りです。
3-1-2:ステップ②加害者への配達証明付き内容証明の送付
証拠を集めたら、次にやらなければならないのが「配達証明付き内容証明郵便」です。
【配達証明付き内容証明郵便とは】
内容証明とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる手紙の一種です。
配達証明とは、配達先の宛名、日付を証明してくれる仕組みです。
配達証明付き内容証明郵便を送ることで、
- 不倫慰謝料請求の「3年の時効」を止めて、余裕を持って請求手続きを進められる
- 慰謝料請求の意思表示をした証拠になる
- 相手に対して心理的圧力をかけられる
といったメリットがあるため、必ず最初に作成、送付するようにしましょう。
内容証明の作成、送付方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【不倫慰謝料請求書テンプレート】書き方や注意点、送付方法を解説
3-1-3:ステップ③自分で直接相手と交渉する(裁判外交渉)
内容証明を送付したら、相手から何らかの反応が返ってくると思います。
その場合は、それから慰謝料請求の交渉(裁判外交渉)を開始してください。
自分だけで手続きをする場合は、電話や対面で加害者、もしくは加害者の代理人である弁護士と直接話して交渉します。
交渉する中で、
- 慰謝料の金額
- 支払い方法や支払い期限
について明確に定め、交渉で合意できたら「示談書」を作成しましょう。
ただし、実際には自分だけで交渉する場合、互いに感情的になって交渉が膠着したり、トラブルになったりすることがあります。
なので、最初から弁護士に依頼することが望ましいです。「どうしても弁護士費用を払う資力がない」「どうしても不倫をした加害者に直接謝罪させたい。」などの事情がなければ,最初から弁護士に依頼することをお勧めします。
※示談書の作成方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【2024年度版】【雛形付き】不倫慰謝料請求でスムーズに示談書を作成する全手法
3-1-4:ステップ④訴訟(裁判)を提起する
当事者同士での裁判外交渉では、
- 慰謝料の金額に折り合いがつかない
- 不倫の事実を加害者が認めない
などの原因で、解決に至らないことも多いです。
その場合は、訴訟(裁判)を提起して、裁判所で不倫慰謝料を請求することになります。
自分で訴訟(裁判)を提起する場合は、まずは「訴状」を作成して裁判所に提出します。
不倫慰謝料請求での裁判について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【2024年度版】不倫裁判とは?裁判の流れと注意点について現役弁護士が解説
3-2:弁護士に依頼して請求する流れ
不倫(不貞行為)の慰謝料請求を弁護士に依頼した場合、解決までの流れは以下のようになります。
※法律事務所によって流れが異なる可能性があるため、あくまで一般的な流れだと考えてください。
弁護士に依頼して慰謝料請求する場合は、
ステップ①証拠集め
↓
ステップ②弁護士への相談、依頼
↓
ステップ③裁判外の交渉(話し合い)による和解
↓
ステップ④裁判(訴訟)での解決
という順番で進めていきます。
慰謝料は、配偶者にも不倫相手にも請求可能です。
弁護士に依頼したら、後の手続きはほとんど弁護士が代理で行います。
裁判外の交渉だけなら、早ければ数ヶ月程度で終わりますが、裁判(訴訟)になった場合は、もっと期間が延び、長いケースでは1年以上かかることもあります。
そのため、多くの場合で裁判(訴訟)は最終手段であり、できるだけ裁判外の交渉で解決できるように弁護士が行動します。
また、裁判(訴訟)になると、自分が出廷して発言しなければならないようなイメージをお持ちかもしれませんが、弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として出廷するため、あなたが裁判所に行く必要はありません。
3-3:慰謝料請求は弁護士に依頼するのがおすすめ
不倫の慰謝料請求は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
なぜなら、弁護士であれば、過去の裁判例や解決事例に基づいて交渉できるので、より高額な慰謝料が得られる可能性があるからです。
自分一人で交渉に当たる場合に比べて、自分の要求が通る可能性や、より高額な慰謝料を獲得できる可能性が高まります。
また、不倫相手が弁護士をつけてきた場合でも、対等な立場で交渉を進めることができるので、適正な慰謝料金額で合意することができます。
さらには、不倫相手が慰謝料の支払いや示談書の条項を守らなかった場合は、示談書に記載した違約金の請求などを任せることができます。
また、弁護士に慰謝料請求を依頼すると、慰謝料請求から示談交渉まですべて任せられるというメリットがあります。
弁護士が代理人として不倫相手やその弁護士との交渉を進めることによって、あなたへ直接的な連絡がくることはないため、不倫相手側とのやり取りで不愉快な思いをする心配は無くなります。
また、内容証明郵便による慰謝料の請求書の送付や、示談合意後の示談書の作成など、必要な手続きまで全て行ってもらうことができます。
まとめ:不倫慰謝料の高額請求
最後に今回の内容をまとめます。
■不倫相手に慰謝料を請求できる条件
- 不倫相手の身元が確認できている
- 配偶者と肉体関係があった
- 不倫相手は既婚者だと知っていた・知ることができた
- もともと夫婦関係は破綻していなかった
- 不倫によって夫婦関係が悪化または破綻した
- 時効が成立していない
【不倫(不貞行為)の慰謝料相場】
- 不倫はしたが夫婦関係は継続:50万~100万円
- 不倫が原因で別居に至った:100万~200万円
- 不倫が原因で離婚に至った:150万~300万円
この記事で紹介したポイントを押さえて、今すぐ行動をはじめましょう。