- 更新日:2024.09.13
- #経済的DVとは
※ 経済的DVとは?自分は該当するかチェック|知っておきたい対処法4つ
この記事を読んで理解できること
- 経済的DVとは
- 経済的DVを受けているのかをチェック
- 経済的DVの対処法4つ
あなたは、
- 経済的DVって何のこと?
- どんな行為が経済的DVになる?
- 自分は経済的DVを受けているのかもしれない
といった疑問や考えをお持ちではありませんか?
なんとなく意味は想像できても、何が経済的DVなのかを説明するのは難しいですよね。
結論から言うと、経済的DVとは「金銭的な自由を奪い相手を支配する」ことです。
通常のDVと違って身体的な暴力ではなく、経済的な側面から相手を支配し追い詰める行為を指します。
この記事を読むことで、経済的DVの定義を知り、具体的な事例について学べます。
さらに、
- 経済的DVに該当する行為、しない行為
- 経済的DVに対処する方法
についても解説するので、「経済的DVを受けているかもしれない」と思ったときに必要な情報を網羅できるでしょう。
この記事では、
1章で、経済的DVとは
2章で、経済的DVに該当するのかをチェック
3章で、経済的DVの対処法4つ
について説明しています。
この記事を読んで、「経済的DVとは何か」、その定義や具体的なケース、今後の対処法などをおさえましょう。
1章:経済的DVとは
この章では、
- 経済的DVの定義
- 経済的DVの具体的な事例
について、詳しく解説します。
1-1:経済的DVとは「金銭的な自由を奪い相手を支配する」こと
経済的DVとは「金銭的な自由を奪い、相手を支配しようとする行為」を指します。
通常のDV(ドメスティック・バイオレンス)が身体的な暴力であるのに対し、経済的DVはパートナーを精神的に、金銭面から追い詰める暴力です。
経済的DVは周囲に気づかれにくく、被害者本人ですらDVを受けている自覚のないケースもあります。
また家庭の経済状況やパートナーとの関係性によっても変わってくるため、経済的DVといえるかの判断は難しいところです。
「自分が経済的DVを受けているかチェックしたい」という方は、2章から読んでみるのもよいでしょう。
1-2:経済的DVの具体的な事例
ここでは、経済的DVを受けている具体的な事例を紹介します。
- 【ケース①】自分の貯金を切り崩して家計を支えている
- 【ケース②】夫に専業主婦を強いられる
それぞれ順に解説します。
1-2-1:【ケース①】自分の貯金を切り崩して家計を支えている
■A美さん(32歳):出産を機にそれまでの仕事を辞め、パート勤務をしている
出産のタイミングでフルタイムの仕事を辞め、パートとして働いているA美さんのケースです。
結婚当初のルールでは「生活費はお互い半分ずつ出す」と決めていました。
ただし、それができたのはフルタイムで働いていたからです。
パート勤務である今の収入では無理だと伝えているにもかかわらず、夫からは以前と変わらない生活費を出すよう強要されています。
そのためA美さんは自身の貯金を切り崩し、毎月の生活費にあてているとのことです。
夫の収入が低いわけでもなく、夫自身は好きなことにお金を使っているため、不満が絶えません。
このように、夫は自由にお金を使っておきながら、妻にだけ経済的負担を強いるようなケースは、経済的DVと判断される可能性があります。
1-2-2:【ケース②】夫に専業主婦を強いられる
■B子さん(27歳):結婚を機に退職し、専業主婦となる
結婚を機に退職し、専業主婦となったB子さんのケースです。
B子さんは夫の職場がある地域に引っ越してきたため、これまでの仕事を辞めなければなりませんでした。
そろそろ生活も落ち着いてきたので働きたい意思を伝えたところ、B子さんの夫は働くことを認めず「専業主婦として家事だけをするように」と言います。
夫の収入だけで決して十分とは言えない経済状況なのに、「なぜ専業主婦でいなければならないのか」という理由を説明してはくれません。
どうやらB子さんが自由に使える収入を得ることを、夫は快く思ってはいないようです。
このように、妻の金銭的な自由を奪い自分の支配下に置く行為も、経済的DVと認められる可能性があります。
2章:経済的DVを受けているのかをチェック
この章では、自分が経済的DVを受けているかどうかをチェックできます。
- 経済的DVに該当する可能性があるケース
- 経済的DVに該当しないケース
これから紹介するそれぞれのケースを、ご自身に当てはめて考えてみましょう。
2-1:経済的DVに該当する可能性があるケース
ここでは、経済的DVに該当する可能性があるケースを紹介します。
- 生活費を十分に渡さない
- お金の使い方を厳しく管理する
- 生活に支障の出るレベルで借金や浪費をする
- 相手が働いて収入を得ることを認めない
- 給与や貯金の金額を配偶者に教えない
それぞれ順に解説します。
2-1-1:生活費を十分に渡さない
夫婦が生活を維持していくために必要なお金を妻(夫)に渡さないという行為は、経済的DVに該当する可能性があります。
また、たとえお金を渡していたとしても、明らかに足りなければ同様に経済的DVとなり得ます。
妊娠や出産などで妻が働けなくなったり、子供関連で出費が増えたりしても、今まで通りのお金しか渡さないといったケースもあります。
2-1-2:お金の使い方を厳しく管理する
行き過ぎたお金の管理も、経済的DVに該当する可能性があります。
たとえば以下のような例です。
- レシートと引き換えにしかお金を渡さない
- 節約のためと言って、猛暑の中エアコンを使わせない
- 明らかに不可能な金額でやりくりするよう強制する
妻(夫)には認めないのに、自分は自由にお金を使うといった傾向が見られる場合もあります。
2-1-3:生活に支障の出るレベルで借金や浪費をする
経済的DVと聞くと、「必要なお金を渡さない」といったイメージを持つ人が多いでしょう。
しかし、それだけではありません。
下のポストのように、相手からお金を巻き上げたり、借金に手を出したりするのも経済的DVになり得ます。
経済的DVはなー、
— s e l e n e ☪︎。:* (@lunasun_h001) August 25, 2023
私は目が覚めるまでだいぶかかった。
私はたしかににどんぶりだけど、
お金を管理してあげるという名目で私から給料を巻き上げ、
それでも足りない分は借金してまで遊ぶ元彼はマジで人間じゃなかった。
2-1-4:相手が働いて収入を得ることを認めない
妻(夫)が働くことを認めず、ずっと家にいるように強制するのも経済的DVのうちの1つです。
経済的DVを図る人間は支配欲が強いため、相手が働いて自由に使えるお金を手にすることを嫌がります。
そのため、仕事を辞めさせたり、専業主婦でいるように強要したりするのです。
2-1-5:給与や貯金の金額を配偶者に教えない
夫婦であるにもかかわらず、自分の給与や貯金額をパートナーに教えないことも、経済的DVに該当する可能性があります。
そもそも夫婦には扶養義務があるため、生活レベルが同一であるべきです。
給与の額を隠すのは、相手が妥当な生活費を請求してくることを避けているからかもしれません。
「自分は好きにお金を使いたいが、相手には使わせたくない」といった身勝手さが見え隠れしています。
2-2:経済的DVには該当しないケース
ここでは、経済的DVには該当しないケースを紹介します。
一見すると経済的DVを受けているように思える場合でも、以下にあてはまると経済的DVではないと判断される可能性が高いでしょう。
- どちらかが働かなくても生活できている
- 借金や浪費をしていても家計に影響はない
それぞれ解説します。
2-2-1:どちらかが働かなくても生活できている
夫(妻)に専業主婦(専業主夫)でいるよう求められたとしても、家計にまったく問題なく生活できているのであれば、経済的DVとは認められない可能性があります。
ただし、「働いていない方にも自由に使えるお金があるかどうか」も大切なポイントです。
また、経済的DVとまではいえなくても、本当は働きたい配偶者に専業主婦でいるよう強要することは、離婚の理由となる可能性はあります。
2-2-2:借金や浪費をしていても家計に影響はない
パートナーが借金や浪費をしていたとしても、生活に影響のないほど少額である場合、経済的DVだと判断されないことがほとんどでしょう。
多少金遣いが荒かったとしても、自分の収入の中で完結しており、生活費を十分に出しているのであれば、あまり問題視されることはありません。
3章:経済的DVの対処法4つ
この章では、経済的DVの対処法を4つ紹介します。
- 夫婦間で話し合いを行う
- 弁護士や第三者に相談する
- 法的な手続きをとる
- 離婚する
それぞれ詳しく説明します。
3-1:夫婦間で話し合いを行う
まずは夫婦間で話し合い、
- 何が問題となっているのか
- どのように解決を図りたいのか
それぞれの考えを共有することが大切です。
経済的DVは、加害者自身が自覚なく行っているものもあります。
家計の内訳を示し、具体的に足りない金額を伝えることで、相手も納得して解決できるかもしれません。
3-2:弁護士や第三者に相談する
当事者2人で話がまとまらなかった場合、第三者を介することも考えてみましょう。
地域の女性センターや、自治体が運営する窓口でも相談を受け付けています。
内閣府の「DV相談ナビ(#8008)」や「DV相談+(プラス)0120-279-889」といったサービスもあるので、どこに相談すべきかわからない場合、こちらに電話してみるとよいでしょう。
生活費の請求など根本的な解決を図りたければ、弁護士に相談するのが一番の近道です。
3-3:法的な手続きをとる
夫婦には扶養義務があるため、生活に必要なお金は支払わなければなりません。
この費用を請求するには、
- 内容証明郵便で婚姻費用の分担請求を送る
- 家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申立てる
という2通りの手段が考えられます。
なお、法的手段は手順も複雑になってくるため、迷わず弁護士へ相談することをオススメします。
3-4:離婚する
経済的DVの最後の対処法となるのが「離婚」です。
ここでは、
- 離婚する3通りの方法
- 裁判離婚で必要な経済的DVの証拠
上の2点について詳しく説明します。
3-4-1:離婚する3通りの方法
通常、離婚には以下3通りの方法があり、
- 協議離婚:当事者同士で話し合いを行う
- 調停離婚:法律の専門家が間に入って条件をとりまとめる
- 裁判離婚:裁判所に判断を委ねる
下に行くにつれて難易度が高くなり、時間もお金もかかります。
裁判まで離婚話がもつれた場合、経済的DVを受けた証拠をしっかりと提示しましょう。
3-4-2:裁判には経済的DVの証拠が必要
話がまとまらず裁判にまで発展した場合には、経済的DVがあったという証拠が必要です。
具体的には、以下のようなものが証拠として認められやすいです。
- 生活が困窮しているとわかるもの(家計簿、レシート、領収証など)
- 経済的DVの記録(日記やメモなど)
- お金に関する暴言などの録音や録画
- 加害者の借金の記録(借用書やカードの明細など)
裁判を自分に有利に進めるためにも、あらかじめ準備しておきましょう。
まとめ:経済的DVとは「金銭的な自由を奪い相手を支配する」こと
今回は、
- 経済的DVとは
- 経済的DVに該当するのかチェックする方法
- 経済的DVの対処法4つ
についてお伝えしました。
最後に、これまでの内容をまとめます。
■経済的DVとは
経済的DVとは「金銭的な自由を奪い、相手を支配しようとすること」です。
パートナーを金銭面から精神的に追い詰める行為で、被害者自身がDVを受けている自覚のないケースもあります。
■経済的DVに該当するのかチェックする方法
経済的DVに該当する可能性があるケースには、以下のようなものがあります。
- 生活費を十分に渡さない
- お金の使い方を厳しく管理する
- 生活に支障の出るレベルで借金や浪費をする
- 相手が働いて収入を得ることを認めない
- 給与や貯金の金額を配偶者に教えない
反対に、上の条件を満たしていても、経済的DVと認められる可能性が低いのは次のようなケースです。
- どちらかが働かなくても生活できている
- 借金や浪費をしていても家計に影響はない
■経済的DVの対処法4つ
経済的DVを受けていると感じた場合、なんらかの形で対処しましょう。
主に考えられるのは以下の4つです。
- 夫婦間で話し合いを行う
- 弁護士や第三者に相談する
- 法的な手続きをとる
- 離婚する
婚姻費用の請求であったり、離婚であったりといった法的手段に出る際は、弁護士への相談をオススメします。
今回の記事が、経済的DVで悩んでいる方の参考になり、何から手をつければよいかの道筋を示せたならば幸いです。