弁護士会照会制度とは?照会できる情報と照会申請の費用・拒否について解説

監修者

弁護士法人新橋第一法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

弁護士会照会制度とは?照会できる情報と照会申請の費用・拒否について解説
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 弁護士会照会制度(23条照会)とは?
  • 弁護士会照会制度の照会手続きと費用
  • 弁護士会照会制度を利用する際の注意点
  • 照会を求められたときは回答する義務がある

あなたは、

  • 弁護士会照会制度について知りたい
  • 弁護士会照会制度で何が調べられるの?
  • 照会を求められたら答える義務はある?

などとお考えではないですか?

結論から言うと、弁護士会照会制度とは、弁護士が依頼を受けた案件に必要な情報や証拠を、弁護士会をとおして照会する制度です。

たとえば、不倫相手に慰謝料を請求したいと思っても、相手の連絡先がわからないケースもあります。

そんなときに、弁護士会照会制度を利用して、不倫相手の住所や氏名などの情報を、弁護士会をとおして調べてもらいます。

相手の連絡先がわかれば、弁護士を通じて慰謝料を請求したり、不倫相手と別れさせたりすることができます。

このように、弁護士会照会制度は、弁護士が問題解決のための情報を得る手段なのです。

もちろん、不倫相手に慰謝料を請求するケースに限らず、弁護士が依頼を受けたさまざまな案件の、重要な情報や証拠を収集するために利用されます。

また、弁護士が個人で調べるのではなく、弁護士会が審査を行ったうえで情報を照会し報告を求めます。

そこでこの記事では、

1章では、弁護士会照会制度(23条照会)とは?

2章では、弁護士会照会制度の照会手続きと費用

3章では、弁護士会照会制度を利用する際の注意点

4章では、照会を求められたときは回答する義務がある

について解説します。

弁護士会照会制度について詳しく知りたい方は、この記事の内容をしっかり理解して今後に活かしていきましょう。

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1章:弁護士会照会制度(23条照会)とは?

弁護士会照会制度(23条照会)とは、どんなものなのでしょうか。

  • 弁護士会照会制度とは弁護士が依頼を受けた事件の情報を照会できる制度
  • 弁護士会照会制度で照会できる主な情報

について解説します。

1-1:弁護士会照会制度とは弁護士が依頼を受けた事件の情報を照会できる制度

弁護士会照会制度は、弁護士法第23条の2にもとづき、弁護士が弁護士会を通じて事件解決に必要な事項を、個人・企業・官公庁などに対して調査・照会する制度です。

弁護士が依頼された事件を解決するには、事実を立証するための資料や情報が不可欠です。

訴えたい相手の居場所や連絡先がわからなければ、交渉することすらままならないでしょう。

これらを、依頼者がすべて把握しているとは限らないことから、資料・情報を保有している可能性がある企業・団体・官公庁への照会が必要となるのです。

弁護士会照会制度は、事件解決に必要な範囲で、弁護士会を通じて相手方の資料・情報を入手できる制度です。

1-2:弁護士会照会制度で照会できる主な情報

弁護士会照会制度で照会できる主な内容として、住所・氏名などの個人情報が挙げられます。

たとえば、不倫相手の電話番号や携帯・スマホのメールアドレスなど、一部の情報がわかっている場合、通信会社に照会を求めることで、住所や氏名などほかの情報を得られる可能性があります。

素性の分からない不倫相手でも、連絡を取れる情報が得られれば、弁護士を通じて慰謝料を請求することができるわけです。

法律上は、具体的に照会できる内容は定められていませんが、個人情報のほかには次のようなものが挙げられます。

  • 病名や病状を病院に照会
  • 銀行の預金や取り引きの有無
  • 生命保険や保有株式など
  • 出入国の記録や在日外国人の住所
  • 店舗の営業者や許可番号など

これらの情報は、弁護士がいつでも照会できるわけではなく、依頼を受けた事件のために必要性が認められた場合のみ照会できます。

そのため、単に相手の居場所や連絡先を知りたい、というだけでは照会してもらえません。

2章:弁護士会照会制度の照会手続きと費用

弁護士会照会制度は、弁護士が所属する弁護士会が調査します。

ここでは、弁護士会紹介に必要な、

  • 弁護士会照会制度の手続き
  • 弁護士会照会制度の費用相場

について解説します。

2-1:弁護士会照会制度の手続き

弁護士会照会制度を利用するには、次のようなステップがあります。

  1. 弁護士に依頼する
  2. 弁護士が所属弁護士会に、「照会申出書」を提出
  3. 弁護士会の審査通過後に、弁護士会が照会先に「照会書」を送付 
  4. 照会先から弁護士会に回答が送付される
  5. 弁護士会から弁護士に回答が交付される

弁護士が「照会申出書」を提出したあとは、弁護士会による審査が行われ申出について審議します。

審査を通過した照会申出のみが照会対象となり、照会を受けた団体や企業からの回答は、弁護士会を通じて担当弁護士に回答が送られる流れとなっています。

公的な制度として、照会に至るまでには適正かつ厳正な審査が行われています。

2-2:弁護士会照会制度の費用相場は、5、000円~1万円

弁護士会照会制度を利用するための費用は、具体的な金額は定められていないため、所属する弁護士会によって異なりますが、相場としては1件5、000円~1万円となっています。

また、弁護士会照会制度を利用するには弁護士に事件を依頼する必要があるため、事件処理に関する弁護士費用が別途かかることは覚えておきましょう。

3章:弁護士会照会制度を利用する際の注意点

弁護士会照会制度を利用する際は、いくつか気をつけなければならないことがあります。

  • 弁護士会の審査で必要性が認められないと照会できない
  • 弁護士会照会で取得した情報は使い回せない
  • 求めた情報のすべてが開示されるわけではなく拒否される可能性もある

それぞれ解説します。

3-1:弁護士会の審査で必要性が認められないと照会できない

弁護士会照会制度は、たとえば不倫相手への慰謝料請求などの案件を、弁護士に依頼することが大前提であり、弁護士による手続きを経て照会を求めます。

しかし、弁護士会照会の申請をしても、弁護士会の審査で必要性が認められなければ情報の照会はされません。

弁護士会で厳正な審査が行われるのは、事件解決に必要と認められる事項に限るためであり、単に情報を得るために利用されることを防ぐためです。

3-2:弁護士会照会で取得した情報は使い回せない

弁護士会照会で得た情報は、照会申請した内容・目的以外の利用は禁止されています。

ほかの目的で利用した場合は、弁護士が懲戒処分などの処罰を受ける可能性があります。

これは個人情報保護の観点と守秘義務があるためで、依頼者も得た情報は慎重に扱わなければなりません。

ほかの人に話してしまうと、個人情報保護法に抵触するおそれもあるでしょう。

こうしたことから、弁護士会照会で得た情報は、悪用禁止、使い回すことはできません。

3-3:求めた情報のすべてが開示されるわけではなく拒否される可能性もある

照会を受けた企業や団体・官公庁が、開示する内容としてふさわしくない、もしくは関係機関が開示しないと判断した場合は、回答を得られない可能性もあります。

基本的には弁護士法23条により、個人情報保護の例外的な対応として、本人の同意なしでも第三者に情報提供できる制度ですが、照会を受けた機関がプライバシー保護を重視している場合は、拒否されることもあります。

拒否された場合は、強制的に回答を求めることはできず、また法的にもそのような効力がないことは覚えておきましょう。

なお、拒否されたとしても、照会を依頼した費用は支払わなければなりません。

4章:照会を求められたときは回答する義務がある

弁護士会から照会を求められた各機関は、法律で定められている制度であることから、法律に則った対応が必要になります。

そのため、

  • 回答義務があるため原則として回答しなければならない
  • 回答したことで損害賠償の責任を負うことはほぼない

それぞれ解説します。

4-1:回答義務があるため原則として回答しなければならない

弁護士会照会制度は、弁護士法で定められている制度なので、照会を求められた官公庁や企業などの団体は、原則として回答する義務があります。

回答する際は、回答書などの送付があれば記入して報告するか、別の書式を使用して回答書類とすることもできます。

不要な情報は、黒塗りにして提出することも可能です。

ただ例外的に、照会の必要性が十分ではない、適当ではないと照会先が判断し、個人情報であることやプライバシー情報であることを理由に、回答を拒否されることもあります。

4-2:回答したことで損害賠償の責任を負うことはほぼない

弁護士会照会で照会された情報は、弁護士会が相当性と必要性を厳正に審査しており、回答された情報が流出・流用されることはありません。

そのため、照会先が回答したことで、不法行為として損害賠償の責任を負うことはほぼありません。

回答された情報によって不利益を被る人がいる場合もありますが、回答報告した照会先は法に則って対応しているため、プライバシー侵害などが認められない限りは不法行為にはあたらない点は覚えておきましょう。

ただ、弁護士会照会で得た情報を、申請時とは別の目的で使用した場合は、申請した弁護士に処罰が下ることもあります。

しかし、そのようなことが起こらないよう、法規制や弁護士会での厳正な審査が行われているのです。

まとめ:弁護士会照会制度とは弁護士が問題解決のために情報を求める手段

最後に今回の内容を振り返ります。

■弁護士会照会制度とは、弁護士が依頼を受けた案件に必要な情報を照会できる制度

■弁護士会照会制度で照会できる主な情報

  • 氏名・住所などの個人情報
  • 病名や病状を病院に照会
  • 銀行の預金や取り引きの有無
  • 生命保険や保有株式など
  • 出入国の記録や在日外国人の住所
  • 店舗の営業者や許可番号など

■弁護士会照会制度の費用相場は、5、000円~1万円

■弁護士会照会制度を利用する際の注意点

  • 弁護士会の審査で必要性が認められないと照会できない
  • 弁護士会照会で取得した情報は使い回せない
  • 求めた情報のすべてが開示されるわけではなく、拒否される可能性もある

■照会を求められたときは回答する義務がある

  • 回答義務があるため原則として回答しなければならない
  • 回答したことで損害賠償の責任を負うことはほぼない

この記事の内容を参考にして、今後の生活に役立ててください。

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