- 2024.03.13
- 2025.01.13
- #再婚禁止期間とは
再婚禁止期間とは|定義や例外となるケース7つ!民法改正の変更点も
この記事を読んで理解できること
- 再婚禁止期間とは?
- 2024年3月31日までと、4月1日以降の違い
- 再婚禁止期間の例外となるケース7つ
- 離婚後に再婚するなら、知っておくべきこと3つ
あなたは、
- 再婚禁止期間って何?
- どのくらいの期間、再婚してはいけないの?
- 再婚禁止期間があるのは何のため?
といった疑問をお持ちではありませんか?
たしかに、再婚禁止期間の存在は知っていても、その定義をはっきりと説明することは難しいですよね。
結論からいうと、再婚禁止期間とは「女性にだけ適用される、再婚を制限するルール」のことです。
再婚禁止期間には、「生まれてくる子供の父親を特定する」といったねらいがあるため、法律適用の範囲も妊娠・出産のできる女性に限られています。
この記事を読むことで、
- 再婚禁止期間とは何か
- なぜ再婚禁止期間があるのか
といった、再婚禁止期間の定義と目的が明らかになります。
さらに、法律の改正や、再婚が制限されない7つの例外についても解説するので、再婚禁止期間をより深く理解できるでしょう。
この記事では、
1章で、再婚禁止期間とは
2章で、2024年3月31日までと、4月1日以降の違い
3章で、再婚禁止期間の例外となるケース7つ
4章で、離婚後に再婚するなら、知っておくべきこと3つ
について説明しています。
この記事を読んで、再婚禁止期間について抱いていたさまざまな疑問を解決しましょう。
目次
1章:再婚禁止期間とは?
この章では、「再婚禁止期間とは何か」について、以下の3つの観点から解説します。
- 再婚禁止期間の定義
- 再婚禁止期間が設けられている理由
- 再婚禁止期間に違反したらどうなるか
それぞれ説明します。
1-1:再婚禁止期間とは「女性の再婚を制限するルール」のこと
再婚禁止期間とは、民法によって定められたルールで、女性だけに適用されます。
このルールにより、女性は離婚した後の100日間、再婚ができません。
こうした違いは、妊娠・出産の能力に関係しています。
次の節で、再婚禁止期間が設けられている理由について説明します。
1-2:再婚禁止期間が設けられている理由
出産の事実があるため、子供の母親が誰なのかは、生まれた瞬間にはっきりします。
しかし父親が誰であるかは、正確にはわかりません。
そこで、民法では以下のように定められています。
- 結婚後200日以降に生まれた子は、現在の夫の子供
- 離婚後300日以内に生まれた子は、前の夫の子供
ただし、このルールだけだと十分ではありません。
上の図のように、離婚直後に再婚して妊娠した場合、
- 前の夫の子供
- 再婚した夫の子供
の2パターンが考えられてしまうのです。
こうした100日間の重複を避けるため、「再婚禁止期間」が設けられました。
100日の再婚禁止期間を経て再婚・出産した場合、お腹の赤ちゃんは紛れもなく「再婚した夫の子供である」と認められることになります。
1-3:再婚禁止期間に違反した場合
ここでは、再婚禁止期間に違反した場合、どうなるのかについて解説します。
結論からいうと、とくにペナルティはありません。
ただし、トラブルが起こる可能性もあるので注意しましょう。
順に説明します。
1-3-1:とくにペナルティはない
再婚禁止期間の義務を守らなかったからといって、とくにペナルティが科されることはありません。
そもそも、再婚禁止期間中に婚姻届が出されても受理されないため、必要以上に心配しなくてよいでしょう。
しかし、稀なケースではあるにせよ、誤って受理されてしまうこともあるようです。
その場合、「公益的取消し」といって当事者や親族から取消しを請求でき、取り消された場合は婚姻自体が無効となります。
1-3-2:子供の父親が再婚相手ではなくなることもある
血縁関係のあるなしにかかわらず、法律の上での父親を決めるルールがあります。
これを「嫡出推定」といい、詳しくは4章で説明します。
再婚禁止期間内に結婚すると、この「嫡出推定」のルール上、子供の法律上の父親が元夫になってしまう可能性があるのです。
2章:2024年3月31日までと、4月1日以降の違い
この章では、2024年4月1日を境に異なる「再婚禁止期間」の扱いについて解説します。
具体的には、
- 2024年4月1日から再婚禁止期間は廃止
- 再婚禁止期間が廃止になる以外の変更点
上2つのトピックについて、順番に説明します。
2-1:2024年4月1日から再婚禁止期間は廃止
2024年4月1日を境に、再婚禁止期間の扱いが変わります。
- 2024年3月31日まで:離婚から100日間は再婚禁止
- 2024年4月1日以降:再婚禁止期間を廃止
そこで、ここでは、
- 再婚禁止期間が廃止になった理由
- 再婚禁止期間が廃止になるメリット・デメリット
上の2点について解説します。
2-1-1:再婚禁止期間が廃止になった理由
改正前の民法では、生まれてくる子供の父親が誰かを推定するために、
- 結婚後200日以降に生まれた子は、現在の夫の子供
- 離婚後300日以内に生まれた子は、前の夫の子供
ということが定められていました。
しかし、現在はDNA鑑定などによって、子供の父親が誰であるかをかなり正確に検査できます。
さらに「女性のみが再婚を制限されるのはおかしい」と、男女平等の観点から法律を批判する声は古くからありました。
そういった理由から、再婚禁止期間をおく必要性がないと考えられるようになり、廃止に至ったのです。
2-1-2:再婚禁止期間が廃止になるメリット・デメリット
ここでは、再婚禁止期間が廃止になることで考えられる、メリット・デメリットについて整理します。
■メリット
- すぐに再婚できる
- 戸籍上の心配がなくなるため、安心して子供の出生届を出せる
■デメリット
- お腹の赤ちゃんが前の夫の子供だった場合、トラブルに発展する
再婚禁止期間がなくなり、すぐ結婚できるようになれば、子供は再婚後の夫の戸籍に入ります。
以前は前の夫の戸籍に入ってしまうため、出生届が出せないケースも多発していましたが、今後心配はなくなります。
しかしデメリットとしては、もともと再婚禁止期間として設定されていた100日間は、前の夫と再婚後の夫、どちらの子供も身ごもる可能性があることです。
万が一お腹の子供が再婚後の夫の子ではなかった場合、トラブルに発展するかもしれないという点は注意しておきましょう。
2-2:再婚禁止期間が廃止になる以外の変更点
民法改正に伴い、押さえておくべきトピックは再婚禁止期間だけではありません。
- 嫡出推定が見直される
- 妻や子供からの嫡出否認が可能になる
上の2点についても変更があります。
それぞれ解説します。
2-2-1:嫡出推定が見直される
子供の父親を特定するためのルールを、「嫡出推定規定」といいます。
この嫡出推定規定に関して、2024年3月末までは、「結婚して200日が経過したあと、または離婚後300日以内に生まれた子供は、前の夫の子供と推定する」と定められていました。
ところが2024年4月1日以降、ルールが変更されます。
「再婚している場合、離婚から300日以内に生まれた子供でも、現在の夫の子と推定する」と定められたのです。
図で見てみましょう。
なお、再婚していない場合は以下のとおりです。
- 離婚後300日以内の出産:前夫の戸籍に入る
- 離婚後300日医工の出産:父親欄が空欄で、母親の戸籍に入る
2-2-2:妻や子供からの嫡出否認が可能になる
法律上の父子関係を否定するための手続きを、「嫡出否認」といいます。
この嫡出否認についても、2024年4月1日から変更されます。
■2024年3月31日まで
- 嫡出否認の訴えを起こせる者:夫のみ
- 訴えを起こせる期間:子供の出生を知ったときから1年以内
■2024年4月1日以降
- 嫡出否認の訴えを起こせる者:夫、母と子および前夫
- 訴えを起こせる期間:子供の出生を知ったときから3年以内
2024年3月31日までは、法律上の父に対してのみ、嫡出否認を訴える権利が認められていました。
しかし改正後は、母と子、および前夫も否認できるようになります。
また、訴えを起こせる期間も延長され、子の出生を知ってから1年以内だったものが、3年以内に変わりました。
3章:再婚禁止期間の例外となるケース7つ
この章では、再婚禁止期間が適用されないケースを紹介します。
具体的には、以下の7つです。
- 離婚したときに妊娠していない
- 離婚前から妊娠していて、離婚後に出産した
- 離婚した前の夫と再婚する
- 夫の生死3年以上不明という理由で裁判離婚した
- 離婚成立の理由が夫の失踪宣告だった
- 高齢のため妊娠する可能性がない
- 離婚後に避妊手術を受けている
それぞれ解説します。
3-1:離婚したときに妊娠していない
離婚したときに妊娠していなければ、身ごもっている子が前夫の子でないことは明白であり、再婚禁止期間中でも結婚できます。
ただし、その場合は医師の証明書が必要なので注意しましょう。
「妊娠したのは離婚日よりも後だった」という医師の証明を添付すれば、婚姻届は受理されます。
3-2:離婚前から妊娠していて、離婚後に出産した
離婚前に妊娠していて離婚後に出産した場合、生まれてきた子供は前夫の子供とされます。
また、それ以降に生まれる子供が、新しい夫の子供であることは明らかです。
したがって、このケースでも再婚禁止期間中の再婚が認められています。
3-3:離婚した前の夫と再婚する
再婚禁止期間が設けられているのは、誰が父親かわからなくなる事態を避けるためです。
もし離婚した前の夫と再婚すれば、子供がいつ生まれようと問題ありません。
子供の父親が誰であるかを考える必要がないからです。
3-4:夫の生死3年以上不明という理由で裁判離婚した
夫の生死が3年以上不明であれば、裁判所に申し立てて離婚できます。
その場合、前の夫が子供の父親でないことは明らかなため、再婚禁止期間中でも結婚可能です。
3-5:離婚成立の理由が夫の失踪宣告だった
行方不明など、生死のわからない状態が長期間続く場合、一定の要件を満たせば「失踪宣告」という制度が適用されます。
失踪宣告を受けた人間は、死亡したとみなされ、離婚する正当な理由になります。
また、失踪していた人間が父親である可能性は限り無く低いため、再婚禁止期間中であっても結婚できるのです。
3-6:高齢のため妊娠する可能性がない
再婚禁止期間を設定する理由は、出産に深く関わってきます。
女性が高齢であって、妊娠する可能性がないと判断された場合、再婚禁止期間中の結婚が認められます。
3-7:離婚後に避妊手術を受けている
女性が高齢のケースと同じく、「妊娠できない」と判断されれば、再婚禁止期間中であっても結婚できます。
避妊手術や、病気などで子宮の全摘出をしていれば妊娠はできないため、再婚禁止期間は適用されません。
なお、この場合も医師の証明書が必要です。
4章:離婚後に再婚するなら、知っておくべきこと3つ
この章では、離婚後すぐの再婚を考えている人に、必ず知っておいてほしいことを紹介します。
具体的には、以下の3つです。
- 離婚後300日以内の出産は、前の夫の子供になる
- 再婚後も養育費の請求はできる
- 再婚相手と子供が親子になるには養子縁組がいる
それぞれ順番に説明します。
4-1:離婚後300日以内の出産は、前の夫の子供になる
離婚と妊娠がほぼ同時に起こると、「離婚後300日問題」を考える必要があります。
子供の戸籍に関わるため、避けては通れない問題です。
ここでは、
- 離婚後300日問題とは
- 前夫の子供にしたくないなら法的手続きが必要
上の2点について解説します。
4-1-1:離婚後300日問題とは
再婚していない状態で、離婚してから300日以内に出産すると、たとえ血の繋がりがなくても、法律上の子供の父親は前の夫になってしまいます。
これが離婚後300日問題です。
前夫ではなく今のパートナーを法律上の父親にしたい場合、2024年4月1日以降は、出産までに再婚するのがもっともシンプルな方法です。
しかし、さまざまな事情からすぐには再婚できないケースもあるでしょう。
今のパートナーを法律上の父親にする方法を、簡単に紹介します。
4-1-2:前夫の子供にしたくないなら法的手続きが必要
法律の上だけでも前の夫の子供にはしたくないといった場合、裁判所で法的措置をとり、前夫と子供の父子関係と解消できます。
法的措置とは、
- 嫡出否認
- 親子関係不存在確認
- 強制認知
この3つが考えられます。
赤ちゃんが前の夫の子供とされてしまうのを避けるため、出生届を出さないことを選ぶ人もいますが、子どもにとってのリスクが大きいのでオススメしません。
4-2:再婚後も養育費の請求はできる
たとえ自分が再婚したり、元配偶者が再婚したりしても、養育費の支払い義務が消えるわけではありません。
親子である以上扶養義務があるため、引き続き養育費を支払い続ける必要があります。
ただし状況によっては支払いの免除や減額もあり得るため、ケースに応じて専門機関に相談しましょう。
4-3:再婚相手と子供が親子になるには養子縁組がいる
自分に連れ子がいる場合、再婚相手と子供が親子になるには、養子縁組の手続きが必要です。
実は、結婚すれば自動的に親子関係が生じるわけではありません。
戸籍の上でも親子となりたい場合、婚姻届を出すのとは別に手続きがいると理解しておきましょう。
まとめ:再婚禁止期間は2024年4月1日をもって廃止
今回は、
- 再婚禁止期間とは何か
- 法改正前と改正後の違い
- 再婚禁止期間が適用されない7つのケース
- 離婚後に再婚を考えているなら知っておくべきこと
について解説しました。
最後に、これまでの内容をまとめます。
■再婚禁止期間とは
再婚禁止期間とは、民法によって定められたルールで、離婚した後の100日間、女性が再婚することを制限しています。
再婚禁止期間が設けられている一番の理由は、父親を早い段階で特定し、生まれてくる子供が困らないようにするためです。
■法改正の前と後
再婚禁止期間は、2024年4月をもって廃止されます。
2024年3月31日までと、4月1日以降では、再婚禁止期間以外にもいくつか法改正が行われました。
再婚禁止期間の廃止で男女の不平等を是正し、出生届が提出されないといった問題に対処するねらいがあります。
■再婚禁止期間の例外となるケース7つ
再婚禁止期間が適用されず、例外となる7つのケースについてお伝えしました。
具体的には以下の7つです。
- 離婚したときに妊娠していない
- 離婚前から妊娠していて、離婚後に出産した
- 離婚した前の夫と再婚する
- 夫の生死3年以上不明という理由で裁判離婚した
- 離婚成立の理由が夫の失踪宣告だった
- 高齢のため妊娠する可能性がない
- 離婚後に避妊手術を受けている
■離婚後すぐに再婚を考えているなら、知っておくべきこと
最後は、離婚後すぐに結婚を考えている女性が、知っておくべき3つのトピックについてお伝えしました。
- 離婚後300日問題とは
- 再婚後も養育費の請求はできる
- 再婚相手と子供が親子になるには養子縁組がいる
今回の記事が、「再婚禁止期間とは何か」「なぜ再婚禁止期間があるのか」と疑問に思っていた方のお役に立てば幸いです。