公務員の不倫でクビになることはまれ。発覚時の影響と適切な対処法

監修者

弁護士法人新橋第一法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

公務員の不倫でクビになることはまれ。発覚時の影響と適切な対処法
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 公務員の不倫がクビや減給にならない理由は2つ
  • 公務員の不倫が発覚して処分されるケースがある
  • 公務員の不倫が発覚した場合の影響は主に3つ
  • 公務員の不倫が発覚しないよう取るべき行動は3つ
  • 不倫がバレたときの適切な対処法

あなたは、

  • 不倫した公務員がバレた場合どうなるのか知りたい
  • 不倫した公務員がバレないようにするにはどうしたらよいか?
  • 公務員が不倫するケースって多い?

とお考えではありませんか。

職場などで不倫が明らかになることで、社会的な損失を受けることは極力避けたいですよね。

結論から言えば、公務員の不倫が発覚しても、職を辞めることになるのはまれです。

これは、不倫が欠格条項(公務員になれない条件)に該当しないためです。

しかし、不倫が露呈した場合、家庭や職場などへの影響は大きいと言えます。

この記事では、不倫が発覚した場合のリスクや、発覚しないための対処方法を説明します。

また、公務員の不倫に関するクビにならない法的根拠や、処分されるケースなどがわかります。

具体的には、

1章で、公務員の不倫がクビや減給にならない理由は2つ

2章で、公務員の不倫が発覚して処分されるケースがある

3章で、公務員の不倫が発覚した場合の影響は主に3つ

4章で、公務員の不倫が発覚しないよう取るべき行動は3つ

5章で、不倫がバレたときの適切な対処法

について詳しく説明します。

この記事を通じて、公務員の不倫に関して自身の行動を再考してください。

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1章:公務員の不倫がクビや減給にならない理由は2つ

公務員の不倫が公になった場合、本当にクビにならないのでしょうか。

国家公務員、地方公務員とも、クビにや減給になる条件が定められています。

その条件に当てはまらなければ、クビや減給にはならないとも言えます。

該当する条件は、以下の2つです。

  • 欠格条項:公務員などの職業に就くことを認めないとした規定
  • 懲戒事由:どのような行為が懲戒処分の対象となるか

それぞれ説明します。

1-1:公務員が不倫でクビにならないのは欠格条項に当たらないから

公務員が不倫をしてもクビにならない理由は、法律に定められている条件に該当しないためです。

公務員がクビになるのは、欠格条項に該当するケースです。

公務員の場合、禁固以上の刑(禁錮以上の刑とは、死刑、懲役刑、禁錮刑労務作業のない身柄拘束刑のこと)などが欠格条項に該当します。

*詳細は以下の、公務員法をご参照ください。

国家公務員法第三十八条(欠格条項)

地方公務員法第十六条(欠格条項)

1-2:公務員が不倫で降格や減給にならないのは懲戒事由に当たらないから

公務員不倫が降格や減給にならない理由も、法律に定められている条件に該当しないからです。

公務員が減給や降格になるのは、懲戒事由に該当するケースです。

懲戒事由の具体的な項目は、一般企業などでも会社ごとに定められている場合があります。

公務員の場合、公務員法に明記されています。

*詳細は以下の公務員法をご参照ください。

国家公務員法第八十二条

地方公務員第二十九条

2章:公務員の不倫が発覚して処分されるケースがある

公務員が不倫しただけで、処分されることは基本的にありませんが、仕事をせずに不倫していると処分される可能性があります。

実際に、業務中に連絡を取り、都庁内でわいせつ行為を行った都庁職員が、懲戒処分を受けたケースが報告されています。

勤務中に業務用パソコンで私用メール、庁舎内でわいせつ行為の都職員男女を懲戒処分

警察官や教員なども、警察庁や各都道府県の教育委員会が定める懲戒処分の指針に基づいて、懲戒処分を受ける可能性があります。

また、消防士の不倫による懲戒免職の事例があります。

それぞれ説明します。

2-1:警察官の場合

警察庁の懲戒処分の指針には、「公務の信用を失墜するような不相応な借財、不適切な異性交際等の不健全な生活態度をとること」は懲戒処分になるとの記載があります。

不倫も、「不適切な異性等の不健全な生活態度」と解釈できます。

具体例として、不倫をした男女の警察官が、戒告処分を受けた事例が報道されています。

不倫で処分された男女の巡査、復縁して再び処分 「相手への思い断ち切れなかった」 | 総合 | 神戸新聞NEXT

2-2:教師の場合

教師が生徒や保護者と不倫行為を行った場合は、処罰の対象となる可能性があります。

東京都教育委員会は「懲戒処分の指針」において、「教職員の主な非行に対する標準的な処分量分」を定めています。

不倫行為そのものは懲戒対象になっていませんが、教師の特殊性から次の規定が存在します。

  • 「児童・生徒に対する性的行為等」の項目で「同意の有無を問わず、性行為を行った場合(未遂を含む。)」を免職とする
  • 「保護者に対する性的行為等」の項目で、「同意の有無を問わず、性行為を行った場合(未遂を含む。)」を免職・停職・減給とする

そのため、不倫行為の相手が児童・生徒、その保護者の場合は、それだけで懲戒処分が科せられることとなります。

2-3:消防士の場合

消防署の職員に対する懲戒などについては、地方公務員法が適用されます。

消防組織法第16条

消防職員に関する任用、給与、分限及び懲戒、服務その他身分取扱いに関しては、この法律に定めるものを除くほか、地方公務員法の定めるところによる

したがって、地方公務員の説明と同様に、不倫行為で懲戒処分を受けることはありません。

ただし、消防士においても懲戒免職の事例が存在します。

消防士男女が仮眠室で性行為、発覚後に「していない」とウソ…その後も署内で行為継続

3章:公務員の不倫が発覚した場合の影響は主に3つ

公務員には、不倫に対する明確な処分規定は存在しませんが、不倫が発覚した場合は、その影響は職場や家庭など多岐にわたります。

具体的な影響は以下のとおりです。

  • 職場への影響
  • 家庭への影響
  • 金銭的な影響

それぞれ説明します。

3-1:職場への影響

公務員の不適切な行動は、個人だけでなく職場全体にも波及する可能性があります。

  • 信頼の喪失:公務員は公共の信頼を重んじており、不倫が明らかになると、信頼を失う可能性がある
  • 人間関係の悪化:職場の人間関係が悪化し、雰囲気やチームワークに悪影響を及ぼす
  • キャリアへの影響:昇進や異動の機会を失う可能性がある
  • メンタルヘルスへの影響:ストレスや罪悪感から、精神的な問題を抱える可能性がある

3-2:家庭への影響

不倫は子どもを巻き添えにして、家庭全体にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

  • 信頼関係の崩壊:配偶者との信頼関係が崩れ、家庭内の緊張が高まる
  • 子どもへの悪影響:子どもがいる場合、親の不倫が子どもの心理的な健康に影響を及ぼす可能性がある
  • 社会的な評価の低下:地域社会や親戚からの評価が下がることも考えられる
  • 離婚の可能性:不倫が原因で離婚に至ることもあり、親権など財産分与など複雑な問題が発生する

3-3:金銭的な影響

不倫は金銭的な面でも、多大な影響を及ぼす場合があります。

  • 慰謝料の請求:配偶者や不倫相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性がある
  • 示談金の支払い:不倫相手やその配偶者と示談に至った場合、示談金を支払う必要がある
  • 離婚に伴う費用:離婚が決定した場合、弁護士費用、裁判費用、財産分与、養育費などが発生する
  • 収入の減少:昇進の機会を失う、降格によって将来的な収入も影響を受けるなど、懲戒処分により収入が減少する

4章:公務員の不倫が発覚しないよう取るべき行動は3つ

公務員の不倫が発覚する主な理由は、不倫相手がその関係を職場や家庭に暴露するからです。

不倫が発覚しないよう取るべき行動は、以下の3つです。

  • 不倫相手には誠意ある対応が不可欠
  • 早急に不倫相手と別れる場合に有効な手段
  • 不倫相手との間で合意書を締結する

それぞれ説明します。

4-1:不倫相手には誠意ある対応が不可欠

不倫がバレないためには、不倫相手と別れるのが一番です。

ただし、その際に不倫相手が感情的になるリスクもあるので、以下のような対応が不可欠です。

■直接的かつ誠実なコミュニケーションを求める

状況や感情を隠さずに、オープンに話し合いを進める

■自己の誤りを認める

不倫に至った背景や自身の行動について、率直かつ責任を持って認める。

■今後の方針を明確にする

今後の関係(不倫関係を解消すること)について、はっきりとした方針を示す。

■感情の整理を促す

不倫相手に、感情を整理する時間や空間を与える。

4-2:早急に不倫相手と別れる場合に有効な手段

一刻も早く状況をクリアにし、二次的なトラブルを未然に防ぐためには、迅速な行動で不倫関係を終結させることが必要です。

不倫相手と早急に別れるための有効な手段は、以下のとおりです。

■断りの伝え方を工夫する

直接対話が難しい場合、メールや電話を通じて早急に別れを伝える。

言葉選びに注意し、相手の感情を尊重する形で別れを切り出す。

■公共の場で会う機会を避ける

不倫相手との接触を最小限に抑えるために、会社や学校、共通の友人のイベントなどには、できるだけ参加しない。

■SNSと距離を置く

不倫相手との連絡手段として使っているソーシャルメディアでは、ブロックや非表示設定を使用して、相手の投稿を見ない。

■サポートを得る

親しい友人や家族に状況を打ち明ける。

心の支えがあれば、別れの決断をより強く持てる。

■物理的な距離を置く

不倫相手と同じ職場や学校にいる場合、可能であれば異動や転校などを検討する。

同じ空間にいないことで、別れがより実感される。

■専門的なサポートを検討する

カウンセラーなどの協力を得て、感情や別れのプロセスをサポートしてもらう。

また、示談金などの法律関係の問題は、弁護士に相談する方法もある。

これらの手段を組み合わせ、状況に応じて適切な方法を選ぶことで、早急に不倫相手との別れを実現できます。

4-3:不倫相手との間で合意書を締結する

不倫行為をやめただけでは、不倫相手から過去の事実が漏れてしまう可能性があります。

これを防ぐ方法は、不倫相手との合意書をかわし、お互いが過去の不倫行為について第三者に漏らさないことを約束することです。

不倫の事実が漏れた場合は、違約金が発生することを合意書に明記することが重要です。

ただし、不倫相手には合意書に応じる義務はないので、拒否された際に強制することはできません。

合意書を締結する際には、弁護士を介して交渉を行うことのがおすすめです。

5章:不倫がバレたときの適切な対処法

1章で述べたように、通常公務員は単なる不倫行為だけで処分を受けることはありません。

しかし、不倫行為によって仕事をおろそかにしたり、就業時間内に密会をしたりという心当たりがある場合は、要注意です。

5-1:所属機関から処分を受けたときの対処法

不倫が職場にバレて処分を受ける可能性がある場合、以下の2点を確認しましょう。

5-1-1:処分が適正かどうかの確認

不倫行為によって職務に集中できず、仕事がおろそかになった場合分限免職処分(職務適正性を欠くと判断された公務員に課される処分)を受ける可能性があります。

5-1-2:不倫行為以外の不正行為がなかったかの確認

就業中に業務以外のメールを相手とやり取りしてないか、就業時間内に密会をしていないかなど、自分の行動を振り返ることが必要です。

公務員の不倫カップルが、勤務時間内に不貞行為に及んだ時は、職務専念義務違反に抵触する可能性があります。

5-2:不倫慰謝料を請求されたときの対処法

不倫相手の配偶者などから慰謝料を請求された場合は、以下のように対処するのが望ましいです。

  • 不倫慰謝料の相場を確認する
  • 請求内容と請求金額を確認する
  • 事実関係と自分の言い分を確認する

不倫相手の配偶者から慰謝料請求された場合の詳しい対処法は、こちらを参考にしてください。

【保存版】奥さんから慰謝料請求された時に知っておくべき全知識

まとめ:公務員の不倫がクビや減給にならない理由と発覚した場合の対処法

公務員が不倫でクビや減給にならない理由は、以下の2つです。

  • 公務員が不倫でクビにならないのは欠格条項に当たらないから
  • 公務員が不倫で降格や減給にならないのは懲戒事由に当たらないから

公務員の不倫が原因でクビになることは、まれなことと言えます。

しかし、仕事中の不貞行為や、警察官や教師の場合は処罰の適応になるケースもあります。

さらに、公務員の不倫は、法的な処分に至らない場合でも、様々な影響を及ぼします。

その影響として、以下の3つがあります。

  • 職場への影響
  • 家庭への影響
  • 金銭的な影響

これらの影響を最小限に抑えるには、不倫の発覚を未然に防ぐことが重要です。

そのために必要な行動は、以下の3つです。

  • 不倫相手には誠意ある対応で接する
  • 早急に不倫相手と別れる場合に有効な手段を状況に応じて選択する
  • 不倫相手との間で合意書を締結する

それでも、不倫が発覚した場合に適切な対処法として、以下の2つがあります。

  • 所属機関から処分を受けたときの対処法
  • 不倫慰謝料を請求されたときの対処法

公務員の不倫でお悩みの方は、参考にして行動に移してください。

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