協議離婚にかかる弁護士費用と4つのメリット【早見表あり】
この記事を読んで理解できること
- 協議離婚を弁護士に依頼すべき5つのケース
- 協議離婚を弁護士に依頼する4つのメリット
- 協議離婚の弁護士(法律事務所)の選び方
- 離婚問題を弁護士に依頼する費用と相場
あなたは、
「協議離婚について弁護士に相談できるかな?」
「協議離婚したいけど弁護士に依頼するメリットは?」
「協議離婚を弁護士に依頼すると費用はどれくらいかな?」
などの、不安やお悩みをお持ちではないですか?
結論から言うと、夫婦で離婚の条件を話し合う協議離婚の段階から、弁護士に依頼して離婚交渉を進めた方が、離婚を有利な条件で成立させる可能性が高くなります。
また、協議離婚の段階で離婚が成立した場合は、離婚調停・訴訟まで進んだ場合より、時間はもちろん弁護士費用も抑えることができます。
さらに、夫婦間の話し合いを始める前から、離婚交渉が難しくなると予想される、次の5つのケースがあります。
- 相手が離婚に応じない
- DVなどで相手と直接話し合いたくない
- 財産分与で争いがある
- 慰謝料を請求したい
- 相手側に弁護士がいる
これらの場合は、早めに弁護士に依頼されることをおすすめします。
この記事では、1章で協議離婚を弁護士に依頼すべき5つのケースについて、2章では協議離婚を弁護士に依頼する4つのメリットについて解説します。
そして、3章では、協議離婚の弁護士(法律事務所)の選び方、4章では、離婚問題を弁護士に依頼する費用と相場について解説していきます。
個々の内容をしっかりと理解して、今後の行動に役立ててください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点
■協議離婚を弁護士に依頼すべき5つのケース
- 相手が離婚に応じない
- DVなどで相手と直接話し合いたくない
- 財産分与で争いがある
- 慰謝料を請求したい
- 相手側に弁護士がいる
■協議離婚を弁護士に依頼する4つのメリット
- 話し合いを有利に進められる
- 手続きを弁護士に任せられる
- 離婚成立後のトラブルを防げる
- 離婚調停・訴訟に進んだときも安心
■協議離婚の弁護士(法律事務所)の選び方
- 各法律事務所の無料相談を利用する
- 弁護士との相性や信頼感、費用等を比較する
1章:協議離婚を弁護士に依頼すべき5つのケース
協議離婚を弁護士に依頼すべきケースとして、次の5つがあげられます。
- 相手が離婚に応じない
- DVなどで相手と直接話し合いたくない
- 財産分与で争いがある
- 慰謝料を請求したい
- 相手側に弁護士がいる
これらのケースは、それぞれ離婚交渉が難しい、あるいは不利になる可能性が高いと予想されるケースです。
この状況を乗り越えて、希望の条件で離婚を成立させるためには、弁護士に依頼されることをおすすめします。
それぞれ解説していきます。
1-1:相手が離婚に応じない
夫婦間の話し合いで、相手が頑なに離婚に応じず、離婚交渉が進まない場合は、弁護士に依頼されることをおすすめします。
相手が離婚に応じない理由としては、
- まだやり直せると思っている
- 離婚する理由がわからない
- 意地でも離婚したくない
- 世間体が気になる
など、様々でありまた複雑で、話し合いの糸口さえつかめない場合もあります。
こういった場合、弁護士に依頼することで、離婚成立への可能性が高まります。
なぜなら、弁護士に離婚交渉を依頼することで、
- あなたが離婚を望む本気度が伝わる
- 冷静に話し合える可能性が高くなる
- 離婚に向けて法律に沿った交渉ができる
- 財産分与や慰謝料など具体的な金額の交渉ができる
- 離婚の争点それぞれの落としどころが判断できる
からです。
そのため、相手が協議離婚に応じるだけでなく、離婚条件の交渉が、有利な形で進められる可能性が高まります。
1-2:DVなどで相手と直接話し合いたくない
DVやモラハラなどの被害を受けていて、相手と直接話し合いたくない、または話し合えない場合は、弁護士に依頼されることをおすすめします。
特に、相手からの暴力がひどい場合は、あなた自身の安全を考えてすぐに避難し、離婚を前提に別居されることも必要です。
なぜなら、このようなケースでは、夫婦間で冷静に話し合うことはできず、暴力がエスカレートする可能性もあり、最悪の場合は、刑事事件となる危険性をはらんでいるからです。
できるだけ早く、弁護士あるいは各自治体の公的な支援センターなどに、相談されることをおすすめします。
1-3:財産分与で争いがある
協議離婚において、財産分与で争いがある場合は、弁護士に依頼されることをおすすめします。
なぜなら、弁護士に依頼することで現在の財産に対する明確な算定や、相手に対して正当な請求を行うことができるからです。
さらに、将来の退職金や年金の扱い方などを、取り決める適確なアドバイスを受けることができます。
また、ローンの残っている不動産の財産分与については、不動産の名義や離婚後も所有するか処分するかなど、名義変更やローンの引継ぎなどいろいろな手続きが必要となります。
さらに、税金の問題や不動産の持ち分やローンの負担分、分与の差額分の支払いなど金銭的トラブルになる可能性も多くあります。
こういった場合でも、弁護士であれば、相手に対して法律に基づいた財産分与の説明と請求を行うことができます。
離婚の財産分与について、詳しくは次の記事で解説しています。
【弁護士が解説】離婚の財産分与の分け方と有利にする3つのポイント
1-4:慰謝料を請求したい
協議離婚の原因が、相手の不貞行為(不倫や浮気)やDVなどの不法行為にある場合は、あなたが負った精神的な苦痛(損害)に対する慰謝料を請求することができます。
弁護士に依頼することによって、相手の不法行為を明らかにする手段や証拠の集め方、相手との協議離婚の進め方などの適確なアドバイスを受けることができます。
慰謝料を請求できるケースでも、その内容・事例によって請求できる慰謝料の金額は様々ですが、大体の相場としては次の表のようになります。
さらに、弁護士に依頼することで、それぞれの状況に合わせて慰謝料を増額できる可能性もあります。
離婚の慰謝料や相場について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
離婚の慰謝料相場は?請求できる5つのケースと証拠を弁護士が解説
1-5:相手側に弁護士がいる
協議離婚で相手側に弁護士がいる場合、あなたが弁護士に依頼していないと、交渉において圧倒的に不利になります。
なぜなら、弁護士は法律のプロであり、依頼人の利益のために、熟練したスキルによって交渉を進めてくるからです。
相手側だけに弁護士がついている状態では、離婚の合意だけでなく、財産分与や慰謝料の請求など、離婚条件の全ての交渉で不利な結果となる可能性が高くなります。
さらに、交渉がまとまらず離婚調停に進んだ場合は、相手側の弁護士は依頼人にアドバイスを送るだけでなく、代理人として調停の場に同席し、依頼人の主張を調停委員に直接説明することができます。
このような状況では、あなたの方が、圧倒的に不利な形で離婚交渉が進められることになります。
コラム:弁護士と司法書士・行政書士との違い
離婚問題の相談先として、司法書士や行政書士などもあげられる場合があります。
しかし、司法書士や行政書士は、弁護士のように相手との交渉や、離婚条件の内容など離婚全般についての相談を行うことはできません。
司法書士の基本的な業務は、登記と申請手続きなので、離婚調停申立書等や離婚請求訴訟の訴状等の裁判所に提出する書類の作成や、財産分与の登記業務などとなります。
行政書士の基本的な業務は、官公庁に提出する書類や権利義務に関する書類の作成なので、離婚の合意内容を離婚協議書に作成したり、公正証書にする際の手続きなどとなります。
このように、離婚の相談先としては、弁護士を選ばれることが、あらゆる問題に対処できる最善策だと言えます。
2章:協議離婚を弁護士に依頼する4つのメリット
協議離婚を弁護士に依頼するメリットとしては、次の4つがあげられます。
- 話し合いを有利に進められる
- 手続きを弁護士に任せられる
- 離婚成立後のトラブルを防げる
- 離婚調停・訴訟に進んだときも安心
それぞれ解説していきます。
2-1:話し合いを有利に進められる
離婚交渉を法律のプロである弁護士に依頼することで、協議離婚の各離婚条件の話し合いを、有利に進められる可能性が高まります。
また、1-1であげたように、相手が離婚に応じない状況でも、弁護士に依頼することで、夫婦間では難しい離婚交渉もスムーズに進み、協議離婚の成立が望める場合があります。
弁護士は、法律のプロであるだけでなく、交渉のプロでもあるので、あなたの主張を法的に有効な形で提示するだけでなく、落としどころを踏まえて交渉を進めていくことができます。
2-2:手続きを弁護士に任せられる
協議離婚を弁護士に依頼した場合、あなたの代理人として、相手との交渉だけでなく連絡の窓口となるので、あなたは相手と直接かかわる必要はなくなります。
また、離婚交渉だけでなく、各種手続きも弁護士に任せることができます。
協議離婚が成立した場合、弁護士が離婚協議書を作成し、協議離婚で合意が得られた各条件を書面化し、証拠として残しておくことができます。
また、離婚協議書で強制執行認諾文言付公正証書を作成する合意を得て、公正証書にする手続きを行うことができます。
強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくことで、慰謝料・養育費等の未払いなどが発生した際は、裁判を起こさなくても相手の給料や財産を差し押さえるなど法的手続きをとることができます。
2-3:離婚成立後のトラブルを防げる
協議離婚を弁護士に依頼することによって、離婚で合意された各条件が、こちらに不利な内容となっていないか、離婚後も合意を守ってもらえる内容となっているかなどを、チェックすることができます。
離婚成立後のよくあるトラブルとしては、主に次の4つがあげられます。
- 財産分与・慰謝料など金銭の未払い
- 不動産の名義変更やローンの未払い
- 養育費の未払いや最終年齢
- 離婚後の財産分与・慰謝料・年金分割の請求
弁護士は、こういったトラブルを防ぐための離婚協議書や公正証書など、対処法を熟知しているので、離婚後のこうした不安を抑えることができます。
2-4:離婚調停・訴訟に進んだときも安心
協議離婚での合意が得られず、離婚調停・訴訟に進んだ場合でも、弁護士はこれまでの当事者双方の状況を理解しているので、十分に対応することができます。
そのため、離婚調停の今後の見通しや、離婚条件に関するアドバイスなどが得られるので、離婚調停に進んでも安心して任せることができます。
また、離婚調停に必要な訴状や書類の作成、手続き等の煩雑な作業もすべて任せることができます。
これによって、離婚調停の準備や離婚調停期間中の精神的負担を、軽減することができます。
3章:協議離婚の弁護士(法律事務所)の選び方
協議離婚を決意したら、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
なぜなら、離婚に必要な準備や取り組み方、今後の見通しなどいろいろなアドバイスを受けることができるからです。
協議離婚の弁護士(法律事務所)の選び方として、次の2つがあげられます。
- 各法律事務所の無料相談を利用する
- 弁護士との相性や信頼感、費用等を比較する
それぞれ解説していきます。
3-1:各法律事務所の無料相談を利用する
最近では、離婚問題の相談料を無料とする法律事務所が多くなっています。
複数の法律事務所の無料相談を利用することによって、離婚問題の見通しなどを説明してもらうだけでなく、あなたに合った弁護士を選ぶこともできます。
無料相談をした事務所に、必ず依頼しなければいけないというわけではないので、積極的に活用されることをおすすめします。
※当事務所(弁護士法人新橋第一法律事務所)も相談無料ですので、ぜひ相談先として検討してみてください。
3-2:弁護士との相性や信頼感、費用等を比較する
複数の法律事務所との無料相談を利用して、弁護士費用の安い法律事務所を探す方法もあります。
各法律事務所によって、弁護士報酬は様々で、着手金や成功報酬、財産分与や慰謝料等の報酬など複雑な場合が多いです。
また弁護士費用が、ただ安ければいいというものでもありません。
各法律事務所の弁護士の対応や、費用等の説明などを通して、弁護士との相性や信頼感など、総合的に判断して決められることが重要です。
弁護士への離婚相談をおすすめする5つのケースや、弁護士に依頼するメリットなどついて、詳しくは次の記事で解説しています。
離婚問題を弁護士に依頼すべき5つのケースとメリット、費用相場も解説
4章:離婚問題を弁護士に依頼する費用と相場
離婚の弁護士費用の相場としては、次のようになります。
こちらの弁護士費用相場は、着手金・成功報酬・経済的利益報酬の相場表となります。
離婚問題のケースは様々なので、内容によって金額は変わります。
さらに、弁護士の出張による日当、調停や裁判での収入印紙代やコピー代、交通費といった実費等が発生します。
これから、離婚協議、離婚調停、離婚裁判の各段階での、弁護士費用の相場について解説していきます。
4-1:離婚協議の弁護士費用と相場
離婚協議の弁護士費用相場は、着手金と離婚が成立した場合の成功報酬を合わせて、20~60万円となります。
財産分与や慰謝料、養育費などが得られた場合は、その利益に対する10~20%の報酬金が発生します。
離婚交渉が成立し、離婚協議書の作成を依頼する場合は、5~10万円ほどになります。
4-2:離婚調停の弁護士費用と相場
離婚調停の弁護士費用相場は、着手金と離婚が成立した場合の成功報酬を合わせて、40~60万円となります。
離婚協議の場合と同様に、財産分与や慰謝料、養育費などが得られた場合は、その利益に対する10~20%の報酬金が発生します。
離婚協議の段階で弁護士に依頼していて、離婚調停へと進んだ場合は、法律事務所によって離婚調停の着手金が発生しないところと、着手金を通常の半額程度とするところがあるようです。
4-3:離婚裁判の弁護士費用と相場
離婚裁判の弁護士費用相場は、裁判から弁護士に依頼した場合は、着手金と離婚が成立した場合の成功報酬を合わせて、50~100万円となります。
離婚調停を弁護士に依頼して、離婚調停では解決せずに離婚裁判に進んだ場合は、合計して70~100万円程度となります。
ただし、これらの金額は、あくまで離婚の可否のみが争点となっている場合となります。
財産分与や慰謝料、養育費等が争点となっている場合は、弁護士費用はさらに高額となる可能性があります。
まとめ
ここまで、協議離婚を弁護士に依頼すべき5つのケース、弁護士に依頼するメリット、弁護士の選び方と弁護士費用などついて解説してきました。
最後に今回の内容をまとめます。
■協議離婚を弁護士に依頼すべき5つのケース
- 相手が離婚に応じない
- DVなどで相手と直接話し合いたくない
- 財産分与で争いがある
- 慰謝料を請求したい
- 相手側に弁護士がいる
■協議離婚を弁護士に依頼する4つのメリット
- 話し合いを有利に進められる
- 手続きを弁護士に任せられる
- 離婚成立後のトラブルを防げる
- 離婚調停・訴訟に進んだときも安心
■協議離婚の弁護士(法律事務所)の選び方
- 各法律事務所の無料相談を利用する
- 弁護士との相性や信頼感、費用等を比較する
■離婚の弁護士費用の相場
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。
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