- 更新日:2024.08.28
- #慰謝料請求無視
【弁護士が解説】慰謝料請求を無視したい・無視された場合の全知識
この記事を読んで理解できること
- 【請求された側】不倫の慰謝料請求を無視してはダメ
- 【請求された側】不倫の慰謝料を請求された場合に、無視せずにやるべきこと
- 【請求する側】不倫の慰謝料請求を無視されたらどうなるのか?
- 【請求する側】不倫の慰謝料請求を無視された場合にやるべきこと
- 【請求する側】慰謝料請求を無視されたときにやってはいけないこと
あなたは、
「不倫の慰謝料請求を無視したい」
「慰謝料請求を無視したらどうなるの?」
「慰謝料請求を無視されたらどうしたら良い?」
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
結論から言えば、慰謝料請求を無視すると「訴訟(裁判)」になったり、示談や訴訟の場で不利になるなどの大きなデメリットがあります。
そのため、慰謝料請求を無視することは絶対にやめてください。
また、慰謝料を請求されて無視されたという場合は、この記事で紹介する対処法を実践してください。
この記事では、まずは慰謝料請求を無視しては駄目な理由と、無視せずにやるべきことを紹介します。
「慰謝料請求された(不倫した側)」という方は1章、2章をお読みください。
また、慰謝料請求を無視されたという場合にやるべきことも解説しています。
「慰謝料請求する(不倫された側)」は3章、4章をお読みください。
この記事を読み、すぐに行動を開始してください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
不倫慰謝料請求された場合は、無視してはいけません。その理由は下記の通りです。
■不倫慰謝料請求を無視しては駄目な理由
- 理由①訴訟になる可能性がある
- 理由②示談・裁判で不利になる可能性がある
- 理由③被害者が感情的になり過激な行動を取る可能性がある
具体的な行動方法は、記事の中で解説しています。
慰謝料請求して、無視されたという場合は下記のような対処法を取ることができます。
■慰謝料を無視された場合にやるべきこと
- まずは内容証明の期限まで待つ
- 連絡が来た場合、示談交渉をはじめる
- 連絡が来なければ、弁護士に相談する
目次
1章:【請求された側】不倫の慰謝料請求を無視してはダメ
慰謝料を請求されると「支払いたくない」「対応するのが面倒」と思われることがあるかもしれません。
しかし、繰り返しになりますが、不倫の慰謝料請求を無視しては絶対にダメです。
その理由は以下の通りです。
【不倫慰謝料請求を無視しては駄目な理由】
- 理由①訴訟になる可能性がある
- 理由②示談・裁判で不利になる可能性がある
- 理由③被害者が感情的になり過激な行動を取る可能性がある
順番に解説します。
1-1:理由①裁判になる可能性がある
不倫の慰謝料請求は、多くの場合、まずは郵送によって書面で請求されます。
請求書には通常、
「〇年〇月〇日までに慰謝料を支払うこと」
「期日までに支払いがない場合、訴訟を提起すること」
と記載されているものです。
そのため、あなたが慰謝料の請求を無視してしまった場合、相手は「期日までに支払いがなかった」と判断し、訴訟を提起する可能性が高いです。
また、口頭で「慰謝料を請求する」と言われた場合でも、あなたが無視すれば相手は裁判を起こす可能性があります。
訴訟になれば、膨大な手間や時間がかかりますので、慰謝料請求を無視せず、訴訟を提起される前に対処することが大事です。
1-2:理由②示談・裁判で不利になる可能性
不倫の慰謝料金額は、さまざまな要素から決まります。
その要素の一つとして、加害者の謝罪の意思なども判断材料にされることがあります。
もし、あなたが慰謝料請求を無視し続けて、訴訟になってしまった場合、無視したことで「反省の意思がない」と考えられ、あなたに不利になる可能性があります。
また、慰謝料請求を無視したことで、請求者の主張が認められやすくなることもあります。
そうなれば、あなたはより高額な慰謝料を相手に支払わなければならなくなる可能性もあるのです。
1-3:理由③被害者が感情的になり過激な行動を取る可能性がある
私の弁護士としての経験上、不倫の被害者は非常に感情的になっていることがあります。
その場合、
- あなたの自宅や会社に、被害者が直接訪ねてくる
- あなたが不倫したことを、家族や会社、近所などに言いふらされる
などの過激な対応を取り、あなたに仕返ししようとすることがあります。
こうしたことが起こることを避けるためにも、慰謝料請求を絶対に無視してはならないのです。
2章:【請求された側】不倫の慰謝料を請求された場合に、無視せずにやるべきこと
不倫で慰謝料を請求された場合、無視せずに以下の流れで行動してください。
順番に説明します。
2-1:相手の要求の内容を確認する
慰謝料を請求された場合、まず必要なのが相手の要求の内容を確認することです。
慰謝料を請求された場合、以下のケースがあります。
- 内容証明郵便(※)で請求書が送付される
- 相手から直接電話などで連絡が来る
- 弁護士から電話などで連絡が来る
というケースがあります。
※内容証明郵便とは、郵便局が通知書の内容と、その通知書が相手方に配達されたことを証明してくれる郵便の仕組みのことです。
内容証明の場合は書面で、電話等の場合は直接、以下のことを確認することが大事です。
【確認すべきこと】
- 支払い期日は何日になっているか
→いつまでに行動をするべきか確認する必要があるため - 相手は何を要求しているのか
→要求している慰謝料の金額や、慰謝料以外にも要求があるのか確認し、内容によっては交渉する必要があるため - 相手は何を根拠に慰謝料を請求しているのか
→慰謝料を請求するための十分な根拠がなければ、支払いを免除できるため
そのため、請求書に何を証拠にしているか確認するか、分からなければ弁護士に相談してみる - 「職場にバラす」「ネットで拡散する」など脅迫めいたことを言っていないか
→脅迫されている場合は、脅迫罪として逆に訴えたり、慰謝料請求できない根拠を伝えて、トラブルを避ける必要があるため
これらについて確認することで、これからやるべきこと、交渉すべき内容が分かります。
2-2:今後の対処法について弁護士に相談・依頼する
相手の要求内容について分かったら、できるだけ早いうちに弁護士に相談しましょう。
弁護士は、不倫トラブルの代理人として、被害者と連絡を取り、示談交渉を行い、必要であれば裁判の対応まで行うことができます。
そのため、結果として、
- 慰謝料を減額、免除できる
- 「不倫をばらされる」などのトラブルを避けられる
- 相手と直接会ったり、連絡を取ったりする必要がなく、精神的ストレスが少なくなる
- 手間、時間が最小限になる
などが可能なのです。
特に重要なのが、慰謝料を減額、免除できる可能性があることです。
たとえば、以下の場合は慰謝料を減額、免除できる可能性が高いです。
- 相場を超えた高額な慰謝料を請求されている
- 不倫の回数が少ない、または期間が短い
- 相手から強引に誘われていた
- 不倫の証拠が一切ない
- そもそも不倫していない
逆に、あなたが一人で対応しようとすると以下のようになる可能性があります。
- 不当に高額な慰謝料を支払ってしまう
- 示談後に再び請求される
- 不倫をばらされる
- 相手と直接会ったり、連絡を取る必要があり、精神的ストレスが大きい
- 相手との対応のために膨大な手間や時間がかかる
したがって、できるだけ早い段階で弁護士に依頼することが大事なのです。
慰謝料を減額、免除できるケースや弁護士に依頼する場合の流れなどについて、詳しくは以下の記事で説明しています。
【示談書雛形付き】不倫で慰謝料請求されたら?慰謝料を減額・回避する方法
2-3:弁護士に依頼し示談交渉を行う
弁護士に依頼したら、それから示談交渉(裁判外交渉)を行うことになります。
示談交渉(裁判外交渉)とは、裁判ではなく話し合いによって双方の言い分を聞き、解決を図る方法のことです。
※示談について詳しくは以下の記事をお読みください。
【図解】不倫の示談を最大限有利に進める方法と3つの注意点を徹底解説
示談による解決は、裁判に比べて手間や時間がかからないメリットがあります。
ただし、これもあなたが自分だけで行おうとすると、相手に有利に進められ不当に高い慰謝料を支払ってしまう可能性があります。
不倫の慰謝料には相場があるため、状況によってあなたが支払うべき慰謝料の金額は大体決まってきます。
そのため、適正な金額まで慰謝料を減額するためにも、示談は弁護士に任せることをおすすめします。
不倫の慰謝料相場について、詳しくは以下の記事で解説しています。
まさか自分の家庭で・・不倫の慰謝料相場と増額・減額を左右する7つの要因とは
不倫トラブルに強い弁護士の選び方について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【保存版】不倫の慰謝料請求に強い弁護士の基準を現役弁護士が解説
3章:【請求する側】不倫の慰謝料請求を無視されたらどうなるのか?
不倫の加害者に慰謝料を請求したのに、無視されてしまったという場合、まず知っておいてほしいのが「内容証明に法的拘束力はない」ということです。
つまり、内容証明で「〇月〇日までに〇万円を支払ってください」と記載し、送付したとしても、相手に強制的に支払わせることはできないのです。
ただし、相手が請求を無視した場合は、あなたにとって有利になる可能性がありますので、解説します。
無視された場合の行動方法をすぐに知りたいという場合は、4章からお読みください。
3-1:慰謝料請求が全額認められる可能性がある
慰謝料請求が無視されると、あなたの請求額が全額認められる可能性があります。
そもそも、慰謝料請求を無視し続けられた場合は、訴訟(裁判)を提起する必要があります。
相手からの連絡がなければ、示談交渉(裁判外交渉)を行うことができないからです。
訴訟(裁判)になっても相手からの連絡がなければ、原則的に、加害者の言い分はないものとして被害者であるあなたの主張通りの判決が下されます。
3-2:判決が出ても支払われなければ強制執行(差し押さえ)も可能になる
もし、判決が出ても相手がそれを無視し、慰謝料を支払わなかった場合は、相手に財産があれば、「強制執行」という差し押さえ等の手段を取ることができます。
つまり、相手が勤務先からもらっている給料等の一部を強制的に差し押さえ、そこから慰謝料を支払わせることも可能になるのです。
加害者からすれば、慰謝料の負担が発生するだけでなく、強制執行に伴って勤務先等にトラブルを抱えていることがばれるリスクまであります。
そのため、通常は無視され続けてもあなたにとって不利になることは少ないのです。
4章:【請求する側】不倫の慰謝料請求を無視された場合にやるべきこと
慰謝料請求を無視された場合、以下のことをやるべきです。
【慰謝料を無視された場合にやるべきこと】
- まずは内容証明の期限まで待つ
- 連絡が来た場合、示談交渉をはじめる
- 連絡が来なければ、弁護士に相談する
順番に解説します。
4-1:内容証明の期限まで待つ
まず、慰謝料を請求するときに内容証明郵便(※)で請求書を送付する必要があります。
※内容証明郵便とは、郵便局が配達したことを証明してくれる郵便の仕組みのことです。
内容証明で請求する際に、
「〇年〇月〇日までに、〇万円支払うこと」
「期限までに支払いがない場合、法的措置を取る(訴訟を提起する)こと」
などと記載しておくことが大事です。
上記のことを記載した内容証明を送っていた場合は、まずは期日までは相手からの連絡を待つことが大事です。
連絡がなければ、次の行動に移りましょう。
内容証明ではなく、普通の郵便や電話など、証拠に残りにくい方法で請求していた場合は、改めて内容証明郵便で請求書を送りましょう。
内容証明で請求することで、無視されても請求していたことが証拠に残るからです。
内容証明での慰謝料請求の方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【無料テンプレート付き】内容証明で不倫慰謝料を請求する全手法
4-2:連絡が来た場合、示談交渉をはじめる
内容証明に書いた期日までに連絡が来た場合は、示談交渉(裁判外交渉)をはじめて話し合う必要があります。
相手があなたの要求をすべて受け入れて慰謝料を支払うと言っている場合は、示談書を作成すれば解決できます。
示談書とは、話し合った内容を必ず守らせるために書面にしたものです。
示談書の作成方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【雛形付き】不倫慰謝料請求でスムーズに示談書を作成する全手法
しかし、多くのケースではあなたの要求や言い分に反論し、
「慰謝料は支払わない」
「〇万円は高すぎる」
「不倫していない」
などと言ってきます。
その場合、あなたと加害者との間で争いになり話し合いによって解決を図る必要があります。
しかし、通常は当事者同士では、
- 感情的になって話が進まない
- 証拠があっても相手が認めず、慰謝料の支払いを認めない
- 慰謝料の金額が「不当に高い」「払えない」などと言われ、決着がつかない
といった状況に陥ることが多いです。
そのため、示談で解決しようとする場合も、できるだけ早い段階で弁護士に相談、依頼することが大事です。
弁護士に依頼すれば、
- 相手にプレッシャーを与え話し合いを円滑に進めやすい
- 状況に応じた妥当な金額の慰謝料を請求できる
- 示談交渉にかかる手間、時間や精神的ストレスを最小限にできる
といったメリットがあります。
不倫の慰謝料請求を弁護士に依頼する流れやポイントについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【保存版】不倫の慰謝料請求に強い弁護士の基準を現役弁護士が解説
4-3:連絡が来なければ、弁護士に相談する
内容証明によって慰謝料を請求したのに、相手から何の連絡も帰ってこない、無視され続けるという場合は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
4-3-1:弁護士に依頼するメリット
内容証明による不倫の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットは、次の3つです。
- 内容証明の作成、送付からその後の対応まで、すべて行ってくれる
- 弁護士が代理人になるため、手間や時間、ストレスが最小限になる
- より確実に慰謝料を支払わせることができる
無視され続けた場合は、最終的には訴訟(裁判)を起こす必要がありますが、訴訟(裁判)を起こすには、法的な知識が必要で、手続きに大きな手間、時間がかかってしまいます。
しかし、弁護士はあなたの代理人として訴訟を提起することができますので、弁護士に依頼すれば、あなたの負担が最小限になります。
そのため、慰謝料請求が無視され続ける場合は、弁護士に依頼することが大事なのです。
4-3-2:弁護士に依頼するデメリット
弁護士に依頼するデメリットとしては、自分一人で解決するよりも費用がかかることがあげられます。
不倫問題を弁護士に依頼した際の費用は、それぞれの法律事務所の料金体系によって異なりますが、主な費用としては次のようになります。
最近では、浮気・不倫問題の相談料は、初回のみ無料としている法律事務所も多いようですが、相場としては1時間1万円となります。
弁護士に依頼した時点で発生する着手金の相場は、20万~30万円程度、弁護活動が成功した場合の成功報酬の相場は、慰謝料の10~20%程度となります。
また、相手方との交渉で合意が得られず訴訟に進んだ場合は、依頼した時に支払った着手金とは別に、訴訟事件に対する着手金も必要になります。
それぞれの法律事務所の料金体系によって、実際にかかる費用は異なるため、初回の相談時に無料見積もりを依頼することをおすすめします。
また弁護士の中には、依頼者が損することがないように、請求に失敗した場合は着手金を返金する制度を採用している事務所もあります。
当メディア、クエストリーガルラボを運営している弁護士法人新橋第一法律事務所は、
- 不倫トラブルに強い
- 着手金返金制度あり
- 全国対応で郵送、電話、メールだけで解決可能
という法律事務所です。
相談無料ですので、まずは一度ご相談ください。
5章:【請求する側】慰謝料請求を無視されたときにやってはいけないこと
慰謝料請求を無視されたときにやってはいけないことは、次の3つです。
- 相手の職場などに押しかけたり誹謗中傷をネットに書き込む
- 無視した相手の両親など縁者に慰謝料請求する
- 無視した相手に退職を強要する
それぞれ解説していきます。
5-1:相手の職場などに押しかけたり誹謗中傷をネットに書き込む
慰謝料請求を無視されたからといって、相手の職場などに押しかけたり誹謗中傷をネットに書き込むようなことはやってはいけません。
不倫相手の会社に嫌がらせの電話を何度もかけ続けたり、社内に中傷するビラを撒いたりした場合は、会社の業務を妨害したとして、威力業務妨害罪に問われる可能性があります。
また、SNSなどのネット上や会社・職場内に、不倫相手が特定できる形で不倫の事実を暴露した場合は、名誉毀損罪に問われる可能性があります。
なぜなら、不特定または多数が知り得る状況で、不倫という具体的な事実を告げて、相手の社会的評価を低下させたことになるからです。
また、ネット上で「不倫女」「クソ野郎」などと罵っただけでも、侮辱罪となる可能性があります。
5-2:無視した相手の両親など縁者に慰謝料請求する
慰謝料請求を無視した不倫相手の両親など縁者に、慰謝料を請求するようなことはやってはいけません。
なぜなら、不倫相手の両親や縁者は不法行為に対しては何ら関与していないため、慰謝料を支払う義務を負うことはないからです。
不貞行為に全く関係のない相手を脅してお金(慰謝料)を払わせる行為は、相手を畏怖させて(恐怖を与えて)財物を交付させるという恐喝罪に問われる可能性があります。
5-3:無視した相手に退職を強要する
慰謝料請求を無視した不倫相手に対して、
「退職しなければ会社にバラすぞ」
「会社にバラされたくなかったら土下座して謝れ」
などと脅した場合は、強要罪に問われる可能性があります。
なぜなら、不倫された怒りに任せて不倫相手に対して退職を求めることは、法的に強制することはできないため、脅迫行為によって義務のないことを求めていることになるからです。
また、退職を強要しない場合であっても、
「不倫を会社にバラすぞ」
などと脅しただけで脅迫罪に問われる可能性があります。
まとめ:不倫の慰謝料請求を無視した・無視された場合
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
【不倫慰謝料請求を無視しては駄目な理由】
- 理由①訴訟になる可能性がある
- 理由②示談・裁判で不利になる可能性がある
- 理由③被害者が感情的になり過激な行動を取る可能性がある
【慰謝料を無視された場合にやるべきこと】
- まずは内容証明の期限まで待つ
- 連絡が来た場合、示談交渉をはじめる
- 連絡が来なければ、弁護士に相談する
この記事の内容を参考に、すぐに行動を開始してください。