- 更新日:2024.08.26
- #会社倒産給料未払い
会社が倒産!未払い給料を取り返すためにやるべき事を弁護士が徹底解説
この記事を読んで理解できること
- 会社が倒産しても資産が残っていれば未払い給料は取り戻せる
- 会社に資産がなくても未払賃金立替払制度が利用できる
- 会社の倒産が心配な場合は早めに弁護士に相談を
あなたは、
「会社が突然倒産したら給料の未払い分はどうなる?」
「会社が倒産しても未払い給料を請求できる?」
「倒産後に未払い給料を取り返す手続きが知りたい」
などとお考えではないですか?
結論から言うと、会社が倒産した時の未払い給料は、適切な手順を踏むことで、少なくとも一部は取り返せる可能性が高いです。
なぜなら、倒産した会社に資産が残っている場合は、その資産から社員の給料・退職金が支払われますし、資産が残っていなくても、国の未払賃金立替払制度で未払い給料の最大8割をもらうことができるからです。
ただし、会社が倒産手続を行っていない場合は、倒産する前に早めに未払い給料を請求することをおすすめします。
そこでこの記事では、1章では会社が倒産し資産が残っている場合に未払い給料は取り戻す方法を、2章では会社に資産がなく未払賃金立替払制度を利用する方法について解説します。
さらに、3章では会社の倒産が心配な場合は早めに弁護士に相談すべき理由について解説します。
もし会社が倒産した場合でも、未払いの給料を取り戻す方法や、国が未払い賃金の一部を立替払する未払賃金立替払制度を利用する方法があります。
この記事の内容をしっかり理解して速やかに行動し、対応が遅れて後悔しないですむようにしてください。
目次
1章:会社が倒産しても資産が残っていれば未払い給料は取り戻せる
そもそも会社が破産手続をすると、会社に残っている様々な財産は、社員や取引先、銀行などの「会社にお金の支払いを求める権利がある人(債権者)」に、法律で決められた優先順位に従って振り分けられます。
会社の取る倒産手続によって未払い給料の支払いの範囲や金額が異なりますが、最も多い「破産手続」の場合を解説します。
会社が破産手続を行った場合、社員の未払い給料は、
① 破産手続の3ヶ月前までの未払い給料(財団債権)
② 3ヶ月前より前の未払い給料(優先的破産債権)
に分けられ、①→②の順番で、他の債権者よりも優先して支払われます。
それぞれ解説します。
1-1:破産手続の3か月前までの未払い給料(財団債権)
会社が破産手続を開始し、会社に資産が少しでも残っている場合、最優先で支払われるのが、未払い給料のうち「財団債権」になる部分です。
財団債権になるのは、以下の賃金です。
(以下、具体的な計算は、正確性よりもむしろわかりやすさを重視して簡略化したものです。)
【財団債権になる給料・退職金の範囲】
A)破産手続開始の3か月前までの未払い給料
B)Aと同額の未払いの退職金
毎月の給料が20万円の場合
未払い給料:20万円×3か月分=60万円
3か月分の未払い給料と同額の退職金:60万円
財団債権の合計:120万円
が、最優先で支払われるということです。
破産手続の開始から3か月までに発生したものであれば、財団債権には以下のものも含まれます。
- 基本給
- 固定手当(役職手当、住宅手当、業務手当など)
- 残業代
- 通勤手当・賞与
【財団債権が支払われる時期】
財団債権の場合は、破産手続の途中でも支払いを受けることができます。
財団債権以外の債権(倒産手続から3か月以上前の未払い給料など)は、「配当手続」まで支払いを受けることができません。
配当手続とは、(基本的には)すべての債権者を確定し、すべての財産を換価した後に支払われる、最後の手続きです。
それに対して、破産手続から3か月前までの未払い給料は、手続きの途中でも随時支払われていくだけでなく、基本的に全額が支払われるのです。
ただし、具体的な支払いの時期はケースバイケースのため、詳しくは、会社に代わって破産手続を行っている「破産管財人」等の人に聞いてみましょう。
※破産管財人とは、会社が倒産した場合に、裁判所から指名されて、破産手続を行う弁護士のことです。
未払い給料は、取り返せる可能性はありますが、会社に支払い能力がなければ返ってきませんので、全額もらえるとは期待しない方が良いでしょう。
また、「3か月」の期間の基準日は、あなたの退職日ではなく、破産手続の開始日であることに注意してください。
全額の支払いは期待できませんが、3か月より前の未払い給料も優先的に支払ってもらうことができますので、これから解説します。
1-2:3か月前より前の未払い給料(優先的破産債権)
「財団債権」に該当しない部分の未払い給料や退職金は、「優先的破産債権」になるため、「財団債権」の次に支払いの優先度が高いです。
そのため、他の債権者よりも優先して支払いを受けることができます。
【優先的破産債権になる給料・退職金の範囲】
A)破産手続開始の3か月より前の未払い給料
B)財団債権の対象にならなかった部分の退職金
簡単には、未払い給料や退職金のうち「財団債権」に該当しなかった部分のものが、「優先的破産債権」になると考えましょう。
(計算は、わかりやすさを重視して記載しております。)
- 毎月の給料が20万円
- 未払い給料:破産手続の開始から半年前の給料までが未払い
- 未払いの退職金:200万円
①優先的破産債権になる未払い給料
3か月前〜半年前までの未払い給料:20万円×3か月=60万円
②優先的破産債権になる未払い退職金
200万円-60万円(財団債権になる部分)=140万円
優先的破産債権の合計:200万円
が、財団債権に次いで支払われるということです。
【優先的破産債権が支払われる時期】
優先的破産債権は、配当手続の中で優先的に支払われます。
そのため、財団債権と違い、支払いは配当手続まで待たなくてはなりません。
ただし、財団債権や優先的破産債権には、会社が支払わなければならない税金なども含まれるため、財団債権の支払いで会社のお金がなくなってしまった場合は、優先的破産債権に該当する部分の未払い給料は支払われません。
1-3:破産手続の中で未払い給料を回収する方法
あなたの会社が「法律上倒産」、つまり法律上の倒産手続が行われている場合は、
A)会社から未払い給料・退職金などを支払ってもらうための手続き
B)未払賃金立替払制度を利用する手続き
の2つを行う必要があります。
まずは、Aから解説します。
倒産手続されている場合の手続きの流れは、次の図のようになります。
それぞれ解説していきます。
1-3-1:破産管財人等の証明者からの「受任通知」を受領
あなたの会社が倒産の手続きの準備をはじめると、
「これから倒産の手続きをはじめるので、この人を破産管財人にお願いしました。今後の手続きなどについてはこの人に聞いてください。」
という通知がきます。
これが「受任通知」です。
破産管財人とは、会社が倒産手続を行った場合に、裁判所から指名されて、破産手続を行う弁護士のことです。
倒産の手続きの種類によって、破産管財人であったり、再生債務者であったりしますが、基本的に立場は同じです。
会社が倒産した場合は、まずはこの通知が来るのを待ちましょう。
1-3-2:「債権届出書(債権調査票)」の送付
受任通知が来たら、次に通知に添付されている「債権届出書(債権調査票)」を送付します。
債権届出書(債権調査票)とは、「私にはこれだけの未払い給料や退職金があります」ということを、破産管財人等の証明者に知らせる書面のことです。
債権届出書(債権調査票)に、あなたの未払い給料・退職金の金額を正確に記入しましょう。
書面の書き方や未払い給料の計算方法などは、基本的に会社にかわって倒産手続を行う、破産管財人等の「証明者」に聞きながら手続きを行えばいいので、専門的な知識などは必要ありません。
作成した債権届出書(債権調査票)を破産管財人等に提出すると、管財人が裁判所に提出します。
債権届出書(債権調査票)を提出することで、会社に支払い能力がある場合は、あなたは未払い給料・退職金の一部の支払いを受けることができます。
1-3-3:配当を受ける
債権届出書(債権調査票)を提出すると、手続きに従って配当を受けることができます。
つまり、各債権者に倒産した会社の資産が振り分けられていきます。
1章で解説したように、社員の給料・退職金は優先的に支払われるため、配当手続より前に支払われる部分もあります。
ただし、この手続きだけであなたの給料・退職金が全額取り返せる可能性は低いです。
破産手続でも未払い給料・退職金の全額が支払われない場合や、会社が法律上の倒産手続を経ていない場合(事実上倒産の場合)は、未払賃金立替払制度の手続きを行っていく必要があります。
そこで、3章では未払賃金立替払制度を利用する流れについて解説します。
【コラム:民事再生手続きの場合は支払われる給料の範囲が異なる】
1-1では破産手続が行われた会社の場合の、社員の未払い給料・退職金の扱いについて解説しました。
しかし、会社の倒産手続には、「破産」以外にも「民事再生」などの会社を再建することを目的とした手続きが行われることがあります。
民事再生の手続きの場合は、未払いの給料・退職金(労働債権)が基本的にすべて「一般優先債権」になり、財団債権と同様の扱いを受けます。
つまり、「破産」であっても「民事再生」であっても、会社に残っている資産の範囲内で、あなたの給料は優先的に支払われます。
2章:会社に資産がなくても未払賃金立替払制度が利用できる
会社は破産手続をする時点で、社内に資産がほとんど残っていない可能性が高いです。
そのため、社員が未払い給料や退職金を全額取り返せる可能性は低く、その一部か、もしくは1円も会社から払ってもらえない可能性すらあります。
さらに、会社が破産手続をしておらず、会社の業務が停止したまま経営者と連絡が取れなくなってしまった、などの場合もあり得ます。
そんな場合に利用できるのが、未払賃金立替払制度です。
2-1:未払賃金立替払制度とは
未払賃金立替払制度とは、会社が倒産して給料や退職金が支払われないまま退職した労働者に対して、国が未払賃金の一部を立替払する制度です。
1章で解説した方法で未払い給料・退職金を一部もらっていた場合でも、残りの未払い分について「未払賃金立替払制度」を利用して取り返すことができます。
利用できる条件は以下の通りです。
【未払賃金立替払制度が利用できる条件】
- 未払賃金の合計が2万円以上あること
- 倒産後2年以内に立替払いを請求すること
- 会社の倒産の半年前から倒産後1年半の間に退職した人
- 倒産した会社が1年以上事業活動を行っていたこと
対象となるのは未払いの給料や退職金ですが、以下の範囲・期間の給料や退職金が立替払いの対象になります。
【立替払いの対象となる範囲】
- 毎月定期的に支払われる賃金(基本給、残業代、深夜手当、休日手当など)
※ 毎月一定の期日に支払われていた給料で、税金や社会保険料などの控除を差し引く前の金額
※ 賞与、福利厚生費、通勤手当などは含まれない - 退職金
【立替払いの対象となる期間】
退職日の6か月前から、立替払い請求日までの間に支払期日が到来する未払い賃金
【支払われる賃金の金額】
- 原則的に賃金の8割
- 以下の上限内で支払われる
《未払賃金支払いの上限》
退職日時点の年齢 |
未払い賃金の上限 |
立替払いの上限 |
30歳未満 |
110万円 |
88万円 |
30歳以上45歳未満 |
220万円 |
176万円 |
45歳以上 |
370万円 |
296万円 |
このように、未払い給料や退職金のうち最大8割が、総額88万〜296万円の範囲内で支払われます。
【立替金が振り込まれるタイミング】
未払賃金立替払制度では、立替金があなたの口座に振り込まれるタイミングはケースバイケースです。
そのため、いつまで振り込まれるのかは、手続きを行っている破産管財人や労働基準監督署の担当者に聞いてみなければ分かりません。
2-2:未払賃金立替払制度を利用する手続き
会社が倒産した後に行うべき手続きの流れは、会社の倒産状態によって異なります。
- 会社が法律上の倒産手続を行っている場合(法律上倒産)
- 会社が倒産手続を行っていないが、事実上の倒産状態にある場合(事実上倒産)
まずは、法律上倒産の場合から解説します。
2-2-1:法律上倒産の場合
会社が「法律上倒産」の場合は、会社が法律にのっとって倒産の手続きをしているため、あなたの手間は少なくすみます。
法律上倒産の場合、手続きは以下のような流れになります。
① 破産管財人等か裁判所から「証明書」を交付してもらう
② 証明書に必要事項を記入し、労働者健康安全機構に提出
③ 立替金が口座に入金される
法律上倒産の場合、手続きは破産管財人等の「証明者」が行ってくれることが多いです。
しかし、自分でやらなければならない場合もあるため、簡単に解説します。
①破産管財人等や裁判所から「証明書」を交付してもらう
会社が破産手続を行っている場合は、まず、破産管財人等の「証明者」に、あなたの未払い賃金の金額や倒産日などについて証明してもらう必要があります。
この証明者に、まず破産等の申立日や退職日、立替払いが必要な金額などが記載された「証明書(未払賃金の立替払事業様式第10号)」を交付してもらいます。
会社が破産手続をしている場合は、会社から「証明書」が送られてきますし、来なければこちらから、知らされている破産管財人に問い合わせてみましょう。
②証明書に必要事項を記入し、労働者健康安全機構に提出
次に、もらった証明書に必要事項を記入して、「労働者健康安全機構」に提出します。
労働者健康安全機構とは、厚生労働省の管轄の組織で、証明書の審査や未払賃金の立替払いを行います。
①でもらった「証明書」の左半分の請求書の部分に必要事項を記入し、破産管財人等の証明者に見せ、その請求書・証明書を労働者健康安全機構に送付して、手続きは完了です。
ただし、立替払の請求ができるのは、裁判所による破産等の決定の日の翌日から「2年以内」ですので、必ずその期間内に手続きを完了するようにしましょう。
場合によっては、破産管財人等の証明者が証明書や請求書をまとめて労働者健康安全機構に送ってくれることもあります。
この「証明書」は、労働者健康安全機構のHPからダウンロードすることも可能です。
※「労働者健康安全機構:未払賃金立替払請求書・証明書及び立替払請求における各種届出一覧」
③立替金が口座に入金される
送付した請求書は、労働者健康福祉機構によって審査され、法律上の要件を満たしていれば、あなたの銀行口座に未払賃金の一部が入金されます。
破産手続にも費用がかかるため、お金のない中小企業などでは、倒産時に法的な手続きが行われないことも多いです。
そのような場合は、次に解説する事実上倒産の場合の手続きが必要になります。
2-2-2:事実上倒産の場合
あなたの会社が倒産手続を行っておらず、「事実上倒産」の状態にある場合は、これまでの説明とは違う手続きが必要になります。
あなたの会社が、「事実上倒産」のケースの場合は、手続きは以下の流れになります。
① 労働基準監督署に行って「認定申請」を行う
② 労働基準監督署で「確認申請書」を提出
③ 交付された「確認通知書」を「労働者健康安全機構」に提出
④ 未払賃金立替払制度があることを証明する
⑤ 立替金が口座に入金
順番に解説します。
①労働基準監督署に行って「認定申請」を行う
「事実上倒産」の場合は、まずはその会社が倒産状態にあるのかどうか、労働基準監督署に認定してもらう必要があります。
そのため、まずは労働基準監督署に相談に行き、「認定申請書」を交付してもらい、記入・提出する必要があります。
また、e-GovのHP上からも申請することができます。
※「労働者健康安全機構:未払賃金立替払請求書・証明書及び立替払請求における各種届出一覧」
認定申請には、3つ注意点があります。
- 同じ会社の人が既に申請していれば、あなたが行く必要はない
- 退職日から6か月以内に「認定申請書」を提出する
- 倒産した会社の所在地の労働基準監督署に「認定申請書」を提出する
「認定申請」をすると労働基準監督署が、会社が倒産しているのかどうか調査します。
そして、あなたの会社が「事実上の倒産」状態にあることが認められた場合は、次にあなたに未払い賃金があることを証明する必要があります。
②労働基準監督署で「確認申請書」を提出
「確認申請書(未払賃金の立替払事業様式第4号)」には、認定の申請日や退職日、未払賃金の金額などを記載します。
こちらも、e-GovのHP上から申請することができます。
※「労働者健康安全機構:未払賃金立替払請求書・証明書及び立替払請求における各種届出一覧」
これは、①の申請とは異なり、社員それぞれが自分で行う必要があり、労働基準監督署で行います。
「確認申請書」を提出したら、労働基準監督署から「受け取りましたよ」という「確認通知書」が交付されます。
ただし、確認通知書が交付されたからと言って、あなたの未払い賃金の交付が決まったわけではありません。
あくまで「申請書を受け取りましたよ」という通知であり、引き続き手続きが必要です。
③交付された「確認通知書」を「労働者健康安全機構」に提出
②でもらった「確認通知書」の左半分には、
- 未払賃金の立替払請求書
- 退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書
が印刷されています。
これらに必要事項を記入し、労働者健康安全機構に提出すれば、あなたの手続きは完了です。
ただし、立替払の請求ができる期間は、労働基準監督署によって倒産が認定された翌日から「2年以内」ですので、それまでの間に必ず手続きを行ってください。
④未払賃金が存在することを証明する
労働者は、未払い賃金が存在することを証明する書類の提示を求められる場合があります。
そのため、以下のものを集めておき、求められたらすぐに提示できるようにしておきましょう。
- 給与明細
- タイムカード
- 労働契約書
- 就業規則
⑤立替金が口座に入金
送付した請求書は、労働者健康安全機構によって審査され、法律上の要件を満たしている場合は、あなたの銀行口座に未払い賃金の一部が入金されます。
このように「法律上倒産」の場合は破産管財人等の証明者に、「事実上倒産」の場合は労働基準監督署に、聞きながら手続きを進めれば大丈夫です。
2-3:未払賃金立替払制度を利用する場合の注意点
未払賃金立替払制度を利用する場合、次の3つの注意点があります。
- 倒産認定日の翌日から2年の時効がある
- 不正受給は罰則がある
- 課税される
ここまでの解説でもふれましたが、未払賃金立替払制度は、倒産認定日の翌日から2年で請求できなくなります。
また、未払い給料の額や退職日などを偽って申請するなど、不正に受給した場合は罰則があり、立替払金の返還だけでなく加えて同額の納付が求められます。
さらに、詐欺罪(刑法246条1項)に問われる可能性があります。
立替払金を受けた場合は、退職所得として課税されます。
ただし、立替払金の金額によっては、退職所得控除があるため非課税になる可能性があります。
3章:会社の倒産が心配な場合は早めに弁護士に相談を
会社の業績が悪くなり未払い給料が発生するなど、倒産が心配な場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談するメリットとしては、次の2つがあげられます。
- 会社が倒産する前に未払い給料を請求する
- 会社が倒産した場合すぐに対応できる
それぞれ解説していきます。
3-1:会社が倒産する前に未払い給料を請求する
会社が倒産する前に未払い給料を請求するためには、弁護士に依頼することをおすすめします。
なぜなら、未払い給料の計算や交渉は、専門的な知識が必要なため、1人で戦っても十分に請求が認められないおそれが大きいからです。
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟(裁判)」になることは少ないです。
ほとんどが、会社との交渉や労働審判という、訴訟(裁判)よりも簡単な手続きで解決します。
また、未払い給料の請求に積極的に取り組んでいる「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
未払い給料で困っている場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
3-2:会社が倒産した場合すぐに対応できる
ここまで解説してきたように、会社が倒産した場合は、会社に未払い給料を請求することを断念して、未払賃金立替払制度の利用を検討することも重要です。
また、会社が破産手続を行っていない場合は、労働基準監督署において「認定申請」を行う必要があります。
弁護士に相談することで、未払い給料の回収の見込みや、今後の手続き方法やその流れなど、適確なアドバイスを受けることができます。
まとめ:会社が倒産したときの未払い給料
最後にもう一度、今回の内容を振り返ってみましょう。
まず、多くの会社は倒産手続時に「破産手続」を行います。
その場合、あなたの給料・退職金は、以下のように分けられます。
【財団債権になる給料・退職金の範囲】
A)破産手続開始の3ヶ月前までの未払い給料
B)Aと同額の未払いの退職金
【優先的破産債権になる給料・退職金の範囲】
A)破産手続開始の3ヶ月以上前の未払い給料
B)財団債権の対象にならなかった部分の退職金
会社に資産が残っている場合は、以下の手続きを経て未払い給料・退職金の一部もしくは全部を取り返すことができます。
ただし、全額を取り返せなかった場合や、そもそも会社が法律上の倒産手続を行っていなかった場合は、「未払賃金立替払制度」を利用できます。
【未払賃金立替払制度が利用できる条件】
① 未払賃金の合計が2万円以上あること
② 倒産後2年以内に立替払いを請求すること
③ 会社の倒産の半年前から倒産後1年半の間に退職した人
④ 倒産した会社が1年以上事業活動を行っていたこと
正しい手続きを行えば、あなたの給料や退職金の大部分を取り返せる可能性があります。
この記事で解説した流れを覚えて、損しないように行動を起こしていきましょう。