
あなたは、こんな悩みをお持ちではありませんか?
「会社が突然倒産してしまった」
「給料が未払いのまま経営者が行方不明になった」
「退職した会社が倒産して、未払い給料が帰ってこなくなった」
会社が倒産してしまうと、「自分の未払いの給料はどうなるんだろう?」と不安になりますよね。
でも、安心してください。
未払いの給料は、適切な手順を踏むことで取り返せる可能性が高いのです。
なぜなら、倒産した会社に資産が残っていれば、その資産から社員の給料・退職金が支払われますし、資産が残っていなくても、国の救済制度で未払い給料の最大8割をもらうことができるからです。
ただし、ケースによってはあなたが自分で手続きを行わなければならないため、正しい行動の方法を知っておく必要があります。
そこでこの記事では、まずは会社が倒産した場合に取り返すことができる「給料の範囲」や「種類」を紹介し、次に「具体的な手続きの流れ」を詳しく解説します。
この記事をブックマークに入れて、読みながら行動に移していくことをおすすめします。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■会社が倒産した場合は、未払い給料・退職金の一部もしくは全部を取り返すことができる
■会社に資産が残っている場合の、未払い給料・退職金の一部もしくは全部を取り返すための流れ
■会社から全額を取り返せなかった場合や、そもそも会社が法律上の倒産手続きを行っていなかった場合は、「未払い賃金立替制度」を利用できる
【未払い賃金立替制度が利用できる条件】
①未払賃金の合計が2万円以上あること
②倒産後2年以内に立替払いを請求すること
③会社の倒産の半年前から倒産後1年半の間に退職した人
④倒産した会社が1年以上事業活動を行っていたこと
1章:会社が倒産してしまった!その未払いの給料は取り戻すことができる
会社が倒産してしまった場合、
- 未払い給料はいくら取り返せるのか
- いつ振り込んでもらうことができるのか
などが気になると思います。
そこで、まずは未払い給料の取り返せる金額や期間について、
- 倒産した会社に資産が残っている場合
- 倒産した会社に資産が残っていなかった場合
の2つに分けてご紹介します。
もしそれよりも、すぐに手続きの方法が知りたい場合は、2章から読んでください。
1-1:倒産した会社にお金が残っていれば社員の給料が支払われる
まずは、倒産した会社に資産が残っている場合に、あなたに支払われる給料や退職金の範囲・金額などについて解説します。
まず、そもそも会社が破産手続きをすると、会社に残っている様々な財産は、社員や取引先、銀行などの「会社に払ってもらってないお金がある人(債権者)」に、法律で決められた優先順位に従って振り分けられます。
会社の取る倒産手続きによって未払い給料の支払いの範囲や金額が異なりますが、最も多い「破産手続き」の場合を解説します。
会社が破産手続きを行った場合、社員の未払い給料は、
①破産手続きの3ヶ月前までの未払い給料(財団債権)
②3ヶ月前より前の未払い給料(優先的破産債権)
に分けられ、①→②の順番で、他の債権者よりも優先して支払われます。
それぞれ解説します。
1-1-1:破産手続きの3ヶ月前までの未払い給料(財団債権)
会社が破産手続きを開始し、会社に資産が少しでも残っている場合、最優先で支払われるのが、未払い給料のうち「財団債権」になる部分です。
財団債権になるのは以下の賃金です。
(以下、具体的な計算は、正確性よりもむしろわかりやすさを重視して簡略化したものです。)
【財団債権になる給料・退職金の範囲】
A.破産手続き開始の3ヶ月前までの未払い給料
B.Aと同額の未払いの退職金
(財団債権の例)毎月の給料が20万円の場合
未払い給料:20万円×3ヶ月分=60万円
3ヶ月分の未払い給料と同額の退職金:60万円
財団債権の合計:120万円
が、最優先で支払われるということです。
破産手続きの開始から3ヶ月までに発生したものであれば、財団債権には以下のものも含まれます。
- 基本給
- 固定手当(役職手当、住宅手当、業務手当など)
- 残業代
- 通勤手当・賞与
【財団債権が支払われる時期】
財団債権の場合は、破産手続きの途中でも支払いを受けることができます。
財団債権以外の債権(倒産手続きから3ヶ月以上前の未払い給料など)は、「配当手続き」まで支払いを受けることができません。
配当手続きとは(基本的には)すべての債権者を確定し、すべての財産を換価した後に支払われる、もっとも最後の手続きです。
それに対して、破産手続きから3ヶ月前までの未払い給料は、手続きの途中でも随時支払われていくだけでなく、基本的に全額が支払われるのです。
ただし、具体的な支払いの時期はケースバイケースのため、詳しくは、会社に代わって破産手続きを行っている「破産管財人」等の人に聞いてみましょう。
※破産管財人とは、会社が倒産手続きを行った場合に、裁判所から指名されて、破産手続きを行う弁護士のことです。
なるほど!最優先で支払ってもらえるなら、取り返せる可能性は高いっていうことでしょうか?
会社に支払い能力がなければ返ってきませんので、全額もらえるとは期待しない方が良いでしょう。また、「3ヶ月」の期間の基準日は、あなたの退職日ではなく、破産手続きの開始日であることに注意してください。
そうなんですね・・・じゃあ、3ヶ月より前の分の未払い給料はどうなるんでしょうか?
全額の支払いは期待できませんが、3カ月より前の文の給料も優先的に支払ってもらうことができますので、これから解説します。
1-1-2:3ヶ月前より前の未払い給料(優先的破産債権)
「財団債権」に該当しない部分の未払い給料や退職金は、「優先的破産債権」になるため、「財団債権」の次に支払いの優先度が高いです。そのため、他の債権者よりも優先して支払いを受けることができます。
【優先的破産債権になる給料・退職金の範囲】
A.破産手続き開始の3ヶ月より前の未払い給料
B.財団債権の対象にならなかった部分の退職金
簡単には、未払い給料や退職金のうち「財団債権」に該当しなかった部分のものが、「優先的破産債権」になると考えましょう。
(計算は、わかりやすさを重視して記載しております。)
(優先的破産債権の例)
- 毎月の給料が20万円
- 未払い給料:破産手続きの開始から半年前の給料までが未払い
- 未払いの退職金:200万円
①優先的破産債権になる未払い給料
3ヶ月前〜半年前までの未払い給料:
20万円×3ヶ月=60万円
②優先的破産債権になる未払い退職金
200万円-60万円(財団債権になる部分)=140万円
優先的破産債権の合計
200万円
が、財団債権に次いで支払われるということです。
【優先的破産債権が支払われる時期】
優先的破産債権は、配当手続きの中で優先的に支払われます。そのため、財団債権と違い、支払いは配当手続きまで待たなくてはなりません。
財団債権でも優先的破産債権でも、どちらも優先して支払われるなら、社員からしたら結局同じじゃないのかな?
財団債権や優先的破産債権には、会社が支払わなければならない税金なども含まれます。そのため、財団債権の支払いで会社のお金がなくなってしまえば、優先的破産債権に該当する部分の未払い給料は1円も出なくなるのです。
優先されるのは社員の給料だけじゃないんですね・・・
そういうことですね。さらに、先ほども触れたように財団債権の方が支払ってもらえる時期が早いというのも違いです。
じゃあ、会社にお金がまったくなかったら、私たち社員は未払いの給料や退職金を諦めるしかないのでしょうか?
そんなことはありません。倒産した会社の社員の未払い給料や退職金を国がかわりに立替払いしてくれる「未払い賃金立替制度」が使えます。
【コラム:民事再生手続きの場合は支払われる給料の範囲が異なる】
1-1では破産手続きが行われた会社の場合の、社員の未払い給料・退職金の扱いについて解説しました。
しかし、会社の倒産手続きには、「破産」以外にも「民事再生」などの会社を再建することを目的とした手続きが行われることがあります。
民事再生の手続きの場合は、未払いの給料・退職金(労働債権)が基本的にすべて「一般優先債権」になり、財団債権と同様の扱いを受けます。
つまり、「破産」であっても「民事再生」であっても、会社に残っている資産の範囲内で、あなたの給料は優先的に支払われるのです。
1-2:会社に資産がなくても国がかわりに未払い給料を支払ってくれる
会社は破産手続きをする時点で、社内に資産がほとんど残っていない可能性が高いです。そのため、社員が未払い給料や退職金を全額取り返せる可能性は低く、その一部か、もしくは1円も会社から払ってもらえない可能性すらあります。
さらに、会社が破産手続きをしておらず、会社の業務が停止したまま経営者と連絡が取れなくなってしまった、などの場合もあり得ます。
そんな場合に利用できるのが未払い賃金立替制度です。この制度では、国が倒産した会社にいた社員の未払い給料・退職金をかわりに払ってくれるのです。
1-1で紹介した方法で未払い給料・退職金を一部もらっていた場合でも、残りの未払い分について「未払い賃金立替制度」を利用して取り返すことができます。
利用できる条件は以下の通りです。
【未払い賃金立替制度が利用できる条件】
- 未払賃金の合計が2万円以上あること
- 倒産後2年以内に立替払いを請求すること
- 会社の倒産の半年前から倒産後1年半の間に退職した人
- 倒産した会社が1年以上事業活動を行っていたこと
対象となるのは未払いの給料や退職金ですが、以下の範囲・期間の給料や退職金が立替払いの対象になります。
【立替払いの対象となる範囲】
- 毎月定期的に支払われる賃金(基本給、残業代、深夜手当、休日手当など)
※毎月一定の期日に支払われていた給料で、税金や社会保険料などの控除を差し引く前の金額
※賞与、福利厚生費、通勤手当などは含まれない - 退職金
【立替払いの対象となる期間】
退職日の6か月前から、立替払い請求日までの間に支払期日が到来する未払い賃金
【支払われる賃金の金額】
- 原則的に賃金の8割
- 以下の上限内で支払われる
《未払賃金支払いの上限》
退職日時点の年齢 |
未払い賃金の上限 |
立替払いの上限 |
30歳未満 |
110万円 |
88万円 |
30歳以上45歳未満 |
220万円 |
176万円 |
45歳以上 |
370万円 |
296万円 |
このように、未払い給料や退職金のうち最大8割が、総額88万〜296万円の範囲内で支払われます。
【立替金が振り込まれるタイミング】
未払い賃金立替制度では、立替金があなたの口座に振り込まれるタイミングはケースバイケースです。そのため、いつまで振り込まれるのかは、手続きを行っている破産管財人や労働基準監督署の担当者に聞いてみなければ分かりません。
立替金がいつまでにもらえるのかは分からないんですね。ところで、実際に利用するためには何から始めれば良いんでしょうか?
それでは、これからそれぞれの手続きを行うためにやるべきことを、順番に解説していきます。
2章:倒産後に行うべき未払い給料請求の手続きの流れ
会社が倒産した後に行うべき手続きの流れは、会社の倒産状態によって異なります。
- 会社が法律上の倒産手続きを行っている場合(法律上倒産)
- 会社が倒産手続きを行っていないが、事実上の倒産状態にある場合(事実上倒産)
それでは、あなたの会社が法律上の倒産手続きを行っている場合の手続きの流れから解説します。
2-1:破産手続きの中で給料を回収する方法
あなたの会社が「法律上倒産」、つまり法律上の倒産手続きが行われている場合は、
A.会社から未払い給料・退職金などを支払ってもらうための手続き
B.未払い賃金立替制度を利用する手続き
の2つを行う必要があります。
まずは、Aから解説します。
①破産管財人等の証明者からの「受任通知」を受領
あなたの会社が倒産の手続きの準備をはじめると、「これから倒産の手続きをはじめるので、この人を破産管財人(※)にお願いしました。今後の手続きなどについてはこの人に聞いてください。」という通知がきます。これが「受任通知」です。
倒産の手続きの種類によって、破産管財人であったり、再生債務者であったりしますが、基本的に立場は同じです。
※破産管財人とは、会社が倒産手続きを行った場合に、裁判所から指名されて、破産手続きを行う弁護士のことです。
会社が倒産したなら、まずはこの通知が来るのを待ちましょう。
②「債権届出書(債権調査票)」の送付
受任通知が来たら、次に通知に添付されている「債権届出書(債権調査票)」を送付します。
債権届出書(債権調査票)とは「私にはこれだけの未払いの給料や退職金があります」ということを、破産管財人等の証明者に知らせる書面のことです。
債権届出書(債権調査票)に、あなたの未払い給料・退職金の金額を正確に記入しましょう。もし自分の正しい未払い分の金額が分からなければ、破産管財人等の証明者に聞いて作成します。
作成したら、破産管財人等に提出すると、管財人が裁判所に提出します。
これを提出することで、会社に支払い能力があれば、あなたは未払いの給料・退職金の一部の支払いを受けることができます。
③配当を受ける
債権届出書(債権調査票)を提出すると、手続きに従って配当を受けることができます。つまり、各債権者に倒産した会社の資産が振り分けられていくのです。
ただし、1章で解説したように、社員の給料・退職金は優先的に支払われますので、配当手続きより前に支払われる部分もあります。
ただし、この手続きだけであなたの給料・退職金が全額取り返せる可能性は低いです。そこで、次に「未払い賃金立替制度」の利用が必要になります。
書面の書き方や自分の未払いの給料の計算方法などは、専門的な知識が必要なのでしょうか。
基本的に、会社にかわって倒産手続きを行う、破産管財人等の「証明者」に聞きながら手続きを行えばいいので、専門的な知識などは必要ありません。ただ、今後やるべきことが分からなくなったら、この記事を参照して流れを再確認してください。
会社が法律上の倒産手続きを経ていない場合(事実上倒産の場合)や、破産手続きでも未払い給料・退職金の全額が支払われない場合、未払い賃金立替制度からの手続きを行っていく必要があります。そこで、次に未払い賃金立替制度を利用する流れについて解説します。
2-2:未払い賃金立替制度を利用する手続き
未払い賃金立替制度の手続きは、「法律上倒産」の場合と「事実上倒産」の場合とで、必要な手続きが異なります。
まずは、法律上倒産の場合から解説します。
2-2-1:法律上倒産の場合
会社が「法律上倒産」の場合は、会社が法律にのっとって倒産の手続きをしているため、あなたの手間は少なくすみます。
破産手続きにも費用がかかるため、お金のない中小企業などでは、倒産時に法的な手続きが行われないことも多いです。そのような場合は、2-2-2を読んでください。
法律上倒産の場合、手続きは以下のような流れになります。
①破産管財人等か裁判所から「証明書」を交付してもらう
②証明書に必要事項を記入し、労働者健康福祉機構に提出
③立替金が口座に入金される
法律上倒産の場合、手続きは破産管財人等の「証明者」が行ってくれることが多いです。しかし、自分でやらなければならない場合もあるため、簡単に解説します。
①破産管財人等や裁判所から「証明書」を交付してもらう
会社が破産手続きを行っている場合は、まず、破産管財人等の「証明者」に、あなたの未払い賃金の金額や倒産日などについて証明してもらう必要があります。
この証明者に、まず破産等の申立日や退職日、立替払いが必要な金額などが記載された「証明書(未払賃金の立替払事業様式第10号)を交付してもらいます。
会社が破産手続きをしている場合は、会社から「証明書」が送られてきますし、来なければこちらから、知らされている破産管財人に問い合わせてみましょう。
②証明書に必要事項を記入し、労働者健康福祉機構に提出
次に、もらった証明書に必要事項を記入して、「労働者健康福祉機構」に提出します。
※労働者健康福祉機構とは、厚生労働省の管轄の組織で、証明書の審査や未払賃金の立替払いを行います。
ステップ①でもらった「証明書」の左半分の請求書の部分に必要事項を記入し、破産管財人等の証明者に見せ、その請求書・証明書を労働者健康福祉機構に送付して、手続きは完了です。
ただし、立替払の請求ができるのは、裁判所による破産等の決定の日の翌日から「2年以内」ですので、必ずその期間内に手続きを完了するようにしましょう。
場合によっては、破産管財人等の証明者が証明書や請求書をまとめて労働者健康福祉機構に送ってくれることもあります。
この「証明書」は、労働者健康福祉機構のHPからダウンロードすることも可能です。
未払賃金立替払請求書・証明書及び立替払請求における各種届出一覧」
③立替金が口座に入金される
送付した請求書は、労働者健康福祉機構によって審査され、法律上の要件を満たしていれば、あなたの銀行口座に未払賃金の一部が入金されます。
2-2-2:事実上倒産の場合
あなたの会社が倒産手続きを行っておらず、「事実上倒産」の状態にある場合は、これまでの説明とは違う手続きが必要になります。よく注意して行動してください。
あなたの会社が、「事実上倒産」のケースなら、手続きは以下の流れになります。
①労働基準監督署に行って「認定申請」を行う
②労働基準監督署で「確認申請書」を提出
③交付された「確認通知書」を「労働者健康福祉機構」に提出
④未払い賃金立替制度があることを証明する
⑤立替金が口座に入金
順番に解説します。
①労働基準監督署に行って「認定申請」を行う
「事実上倒産」の場合は、まずはその会社が倒産状態にあるのかどうか、労働基準監督署に認定してもらう必要があります。
そのため、まずは労働基準監督署に相談に行き、「認定申請書」を交付してもらい、記入・提出する必要があります。また、e-GovのHP上からも申請することができます。
未払賃金立替払請求書・証明書及び立替払請求における各種届出一覧」
認定申請には、3つ注意点があります。
- 同じ会社の人が既に申請していれば、あなたが行く必要はない
- 退職日から6ヶ月以内に「認定申請書」を提出する
- 倒産した会社の所在地の労働基準監督署に「認定申請書」を提出する
「認定申請」をすると、労働基準監督署が会社が倒産しているのかどうか調査します。
そして、あなたの会社が「事実上の倒産」状態にあることが認められたら、次にあなたに未払いの賃金があることを証明する必要があります。それが次のステップです。
②労働基準監督署で「確認申請書」を提出
「確認申請書(未払賃金の立替払事業様式第4号)」には、認定の申請日や退職日、未払賃金の金額などを記載します。こちらも、e-GovのHP上から申請することができます。
未払賃金立替払請求書・証明書及び立替払請求における各種届出一覧」
これは、ステップ①の申請とは異なり、社員それぞれが自分で行う必要があります。これも、①のステップで行った労働基準監督署で行います。
「確認申請書」を提出したら、労働基準監督署から「受け取りましたよ」という「確認通知書」が交付されます。
ただし、確認通知書が交付されたからと言って、あなたの未払賃金の交付が決まったわけではありません。あくまで「申請書を受け取りましたよ」という通知であり、引き続き手続きが必要です。
③交付された「確認通知書」を「労働者健康福祉機構」に提出
ステップ②でもらった「確認通知書」の左半分には、
- 未払賃金の立替払請求書
- 退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書
が印刷されています。
これらに必要事項を記入し、労働者健康福祉機構に提出すれば、あなたの手続きは完了です。
ただし、立替払の請求ができる期間は、労働基準監督署によって倒産が認定された翌日から「2年以内」ですので、それまでの間に必ず手続きを行ってください。
④未払賃金が存在することを証明する
労働者は、未払い賃金が存在することを証明する書類の提示を求められる場合があります。
そのため、以下のものを集めておき、求められたらすぐに提示できるようにしておきましょう。
- 給与明細
- タイムカード
- 労働契約書
- 就業規則
⑤立替金が口座に入金
送付した請求書は、労働者健康福祉機構によって審査され、法律上の要件を満たしていれば、あなたの銀行口座に未払賃金の一部が入金されます。
このように「法律上倒産」の場合は破産管財人等の証明者に、「事実上倒産」の場合は労働基準監督署に聞きながら、手続きを進めればOKです。
利用の流れが分かりました!さっそく手続きを始めます。
流れが分からなくなったら、またこの記事を参照してみてください。
まとめ:会社が倒産したときの未払い給料
いかがでしたか?
最後にもう一度、今回の内容を振り返ってみましょう。
まず、多くの会社は倒産手続き時に「破産手続き」を行います。その場合は、あなたの給料・退職金は、以下のように分けられます。
【財団債権になる給料・退職金の範囲】
A.破産手続き開始の3ヶ月前までの未払い給料
B.Aと同額の未払いの退職金
【優先的破産債権になる給料・退職金の範囲】
A.破産手続き開始の3ヶ月以上前の未払い給料
B.財団債権の対象にならなかった部分の退職金
会社に資産が残っている場合は、以下の手続きを経て未払い給料・退職金の一部もしくは全部を取り返すことができます。
ただし、全額を取り返せなかった場合や、そもそも会社が法律上の倒産手続きを行っていなかった場合は、「未払い賃金立替制度」を利用できます。
【未払い賃金立替制度が利用できる条件】
①未払賃金の合計が2万円以上あること
②倒産後2年以内に立替払いを請求すること
③会社の倒産の半年前から倒産後1年半の間に退職した人
④倒産した会社が1年以上事業活動を行っていたこと
正しい手続きを行えば、あなたの給料や退職金の大部分を取り返せる可能性もあります。この記事で解説した流れを覚えて、損しないように行動を起こしていきましょう。