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SE・PG必見!【IT業界における裁量労働制】法律から見る違法性の高いケースとは

QUEST法律事務所

代表弁護士住川 佳祐

裁量労働制のエンジニア

最近話題の「裁量労働制」ですが、あなたは正しくルールを理解できていますか?

IT業界では裁量労働制が適用されている人も多いと思います。しかし、弁護士として労働問題に積極的に取り組んできた私の経験上、IT業界には、

「本当は裁量労働制が適用できない仕事」

についているのに、裁量労働制で働かされ、本来よりも安い賃金しかもらっていないエンジニアも多く見受けられます。

実は、以下の図のように、PG(プログラマー)寄りのエンジニアには、裁量労働制が適用できない可能性が高いです。

IT業界の裁量労働制の判断基準

あなたは、仕事がPG(プログラマー)寄りで仕事の裁量性が少ないのに、残業しても残業代が一切出ないという状況ではありませんか?

そこでこの記事では、あなたが「裁量労働制が適用できる仕事なのか」正しく判断できるように、IT業界における裁量労働制の考え方やルール、適用できる仕事や違法になるケースについて、詳しく解説します。

さらに、本来は裁量労働制が適用できないのに、裁量労働制で働いているという人の、今後の対処方法についてもお伝えします。

IT業界で働くSEPGの方はぜひこの記事を読んで参考にしてください。


1章:まずは裁量労働制の定義・考え方を知ろう

裁量労働制は、「自由な働き方ができる」と期待される一方で、本来の意味とは別の方向性で適用されることもしばしばあるようです。

特にIT業界では、

  • そもそも会社が裁量労働制を正しく理解していないために、違法な状況が放置されている
  • 会社がわざと裁量労働制を使って、社員を残業代ゼロで働かせている

というケースを何度も見てきました。

そこで、

「裁量労働制の正しい定義・ルール」

について解説しますので、まずは正しい知識を押さえてください。

①裁量労働制の仕組み

裁量労働制の仕組み

裁量労働制は、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ会社側と協定などで決めた時間を労働時間と「みなす」制度です。

例えば1日のみなし労働時間を8時間と設定した場合は、 実際に働いたのが3時間でも、8時間働いたとみなされることになります。

その一方で、会社側と1日のみなし労働時間を18時間と決めていた場合、働いた時間が10時間でも14時間でも、その日に働いた時間は8時間とみなされることになり、残業代は発生しません。

※似ているようで異なる制度に、「フレックスタイム制」があります。これらの違いについては、以下の記事を参考にしてください。

【裁量労働制とは?】弁護士が解説する本当の意味と残業代のカラクリ

社員
じゃあ、これが適用されたら誰でも「長時間残業でも残業代ゼロ」になってしまいますよね?
 
弁護士
そうなんです。そのため、裁量労働制が適用できる業務には範囲が決められており、一部の業務の人にしか適用することができません。
 

②裁量労働制が適用できる業務

会社の中には、業務の自由度が大きく、毎日同じように時間を決めて働くとかえって不都合な立場の人もいます。

裁量労働制はこういった状況を想定し規定された制度なので、適用される業種も限定されています。

裁量労働制が適用される業務は「専門業務型」と「企画業務型」の2つで、これらに当てはまる業種以外の人に裁量労働制を適用することはできません。

※どちらも会社が勝手に決めて導入することはできません。

それぞれのタイプで、適用できる条件が決まっているのですが、IT業界のエンジニアの場合に裁量労働制を適用するとすれば、「専門業務型」となります。

社員
エンジニアは、みんな「専門業務型」の裁量労働制の対象になるということ?
 
弁護士
そうではないんです。「エンジニア」の中でも、本当に自分の裁量で仕事をしている人でなければ、この制度の対象にはなりません。
 専門業務型の裁量労働制の、基本的な考え方は理解できましたか?次に、エンジニアの場合の裁量労働制の考え方について、詳しく解説します。


2章:プログラマーへの裁量労働制はほぼ違法!?

IT業界のエンジニアには、大きく分けて「PG(プログラマー)と「SE(システムエンジニア)」がいます。

  • PG(プログラマー):SEが作成した設計書の通りに、プログラミングを行う
  • SE(システムエンジニア):システム、プログラムの設計を行う

結論から言うと、裁量労働制はPG(プログラマー)には適用することができません。

労働基準法で、PG(プログラマー)は裁量労働制の対象外と明確に決められているからです。

専門業務型の裁量労働制を適用できる職種は、細かく規定されており、ITエンジニアについては、

「情報処理システムの分析又は設計の業務」

と規定されています。(労働基準法施行規則22条の22 22号)

そして、この「情報処理システムの分析又は設計の業務」の内容については、詳しくは以下のように定められています。

【「情報処理システムの分析又は設計業務」の詳細】

(ⅰ)ニーズの把握、ユーザーの業務分析等に基づいた最適な業務処理方法の決定及びその方法に適合する機種の選定
(ⅱ)入出力設計、処理手順の設計等アプリケーション・システムの設計、機械構成の細部の決定、ソフトウェアの決定等
(ⅲ)システム稼動後のシステムの評価、問題点の発見、その解決のための改善等の業務をいうものであること。プログラムの設計又は作成を行うプログラマーは含まれないものであること。

引用:東京労働局「専門業務型裁量労働制の適正な導入のために」p.3http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/senmonsairyou.pdf

(ⅲ)を見れば分かる通り、そもそもPG(プログラマー)は、裁量労働制の対象外なのです。そのため、PG(プログラマー)として雇用されているのに、裁量労働制で働かされている場合は違法の可能性が高いです。

社員
なるほど。しかし、実際の現場では、肩書きはSEなのに、やっていることはPGという人もいます。そんな場合はどう考えたら良いんでしょうか?
 
弁護士
そうですよね。SEの場合は、実際の業務の内容から考えていくことができます。
 


3章:SEにおける裁量労働制が違法となる場合とは?

一部の会社では、業務内容がPG(プログラマー)に近い人も、SE(システムエンジニア)扱いで、裁量労働制が適用されていることがあります。

そんな場合は、違法である可能性が高いため、「自分もそうかも?」と思い当たる人は、注意して読んでみてください。

それでは、

  • 裁量労働制が適用されて法的に問題ないSE
  • 裁量労働制が適用されると「違法」の疑いがあるSE

について確認しましょう。

3-1:裁量労働制が適用されて法的に問題ないSE

先ほどの【「情報処理システムの分析又は設計業務」の詳細】を見ると、規定されている業務は、一般的なシステム開発業務における「上流工程」の業務であると考えることができます。

つまり、下の図における「上流工程」の業務が中心のSE(システムエンジニア)は、裁量労働制で働くことが、法的には問題にならないと考えられます。

エンジニアの業務プロセスと裁量労働制

そのため、あなたが、

  • 要件定義や、システムの設計が業務の中心
  • 実際の開発・実装にあたるプログラミング系の業務は、PG(プログラマー)に指示して行わせている

と言う場合、あなたの状況は違法ではない可能性が高いでしょう。

次に、法的に問題になるSE(システムエンジニア)について解説します。

3-2:裁量労働制が適用されると「違法」の疑いがあるSE

先ほどの図の「下流工程」にあたる部分が業務の中心になっている場合、あなたは裁量労働制の対象外である可能性が高いです。

一部のIT企業では、エンジニアとプログラマーが混同され、

「エンジニアだから裁量労働制が適用できる」

と考えられていることがあります。

裁量労働制がプログラマーに適用されるイメージ

しかし、もしあなたが、

  • 設計書を渡されて、その通りにプログラミングしている
  • 上司の指示に従って開発、実装業務を行っている

という場合、仮に肩書きがSE(システムエンジニア)でも、実態としてはPG(プログラマー)に近いため、裁量労働制が適用されているなら、「違法」と判断されることが多いです。

その場合、あなたには残業代をもらう権利があります。

実際、過去にはSE(システムエンジニア)の裁量労働制が違法とされ、残業代の支払いが認められたケースがあります。

SEの裁量労働制が違法とみなされ1,140万円の支払いが認められた裁判例】

(判旨)
「本来プログラムの分析又は設計業務について裁量労働制が許容されるのは,システム設計というものが,システム全体を設計する技術者にとって,どこから手をつけ,どのように進行させるのかにつき裁量性が認められるからであると解される。」
と判事しています。

この裁判例で、裁量労働制が違法とみなされたポイントは、以下の3点です。

①裁量性がない

「〇社(取引先:著者追記)は,下請である原告に対しシステムの一部しか発注していないのであり,しかもその業務につきかなりタイトな納期を設定していたことからすると,下請にて業務に従事する者にとっては,裁量労働制が適用されるべき業務遂行の裁量性はかなりなくなっていたということができる。」

②ノルマもきつい

「専門業務型裁量労働制に含まれないプログラミング業務につき未達が生じるほどのノルマを課していた」

③営業活動もしている

「営業活動にも従事していたということができる。」

以上から,

業務は「情報処理システムの分析又は設計の業務」であったとはできず,専門業務型裁量労働制の要件を満たしていると認めることはできない。」

としています。

要点をまとめると、以下のようになります。

システムエンジニアであったとしても、実際の業務内容を見てみると、システムエンジニア本来の業務の他、プログラミングや営業活動もやらされ、厳しい納期の設定やノルマが設けられているような場合は業務に、裁量が特にありません。

このような裁量性の範囲の低い業務を行っている場合は、裁量労働制から外れる業種となる可能性が高いのです。


4章:裁量労働制の運用に疑問を感じが場合にできる3つの対処方法

もしあなたやあなたの周りの人が、

「裁量労働制によって、違法に働かされているかも」

と思う場合、今後の対処方法としては、以下のものが考えられます。

  • 労働基準監督署に相談する
  • 本社に事実を報告する
  • 転職して残業代を請求する

それぞれの方法について、解説します。

4-1:労働基準監督署に相談する

労働基準監督署とは、労働基準法にのっとって全国の会社を監督する行政機関です。「労働基準法違反」が疑われるトラブルについては、労働基準監督署に相談することができます。

労働基準監督署に相談することで、

  • 労働基準法にのっとった、具体的なアドバイスを受けることができる
  • 会社の違法行為が疑われる場合は、会社に対して「調査」「是正勧告」を行うなどの、対応を取ってくれる

などの期待ができます。

ただし、労働基準監督署は、すべての相談に対して動いてくれるわけではないため、「私のトラブルを解決してほしい!」と訴えても、確実に行動してくれるとは限りません。

また、専門業務型裁量労働制に該当するかどうかは、法的判断であるところ、労働基準監督署が法的判断までしてくれるという可能性はとても低いのです。

特に、あなたの業務の実態がPG(プログラマー)なのか、SE(システムエンジニア)なのか判断することは、労働基準監督署には難しい可能性もあります。

そこで次に、現状を本社などに訴えるという選択肢もあります。

4-2:本社に事実を報告する

あなたが「裁量労働制によって、違法に働かされている」と思う場合、それをあなたの会社の本社や親会社に報告する、という選択肢もあります。

なぜなら、本社や親会社は、現場の社員がどういう状況にあるのか知らない可能性がありますし、実態が公になることを恐れて、誠実に対応してくれる可能性もあるからです。

しかし、

  • 本社や親会社にそんなこと言えない
  • そんなことはもう試したが、何も変わらなかった
  • 本社がそもそも裁量労働制を悪用している。

などの場合は、別の選択肢を考える必要があります。

4-3:転職して残業代を請求する

現状を変える最も抜本的な解決策が、転職するという方法だと私は考えます。

確かに、転職することは簡単な選択肢ではありません。しかし。転職を機に、「裁量労働制の適用が違法だったこと」を理由に、本来なら支払われるはずだった残業代を、会社に請求することもできます。

残業代の請求方法には、以下の2つのやり方がありますので、ぜひ参考にしてみてください。


まとめ

いかがでしたか?

最後に、今回の内容を振り返りましょう。

【裁量労働制とは】

裁量労働制とは、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ会社側と協定などで決めた時間を労働時間と「みなす」制度。

IT業界のエンジニアの場合、裁量労働制を適用するとすれば「専門業務型」で、業務の内容によっては違法になります。

PG(プログラマー)

→裁量労働制は適用できないため、適用されていたら違法の可能性が高い。

SE(システムエンジニア)

→上流工程を行うSEなら違法ではないが、下流工程を行う、業務の実態がPG(プログラマー)に近いSE(システムエンジニア)の場合は、違法の疑いがある。

もしあなたが、「裁量労働制が適用できないSE(システムエンジニア)」なのに、裁量労働制を適用されて、残業代ゼロで働かされている場合、以下の対処方法ができます。

  • 労働基準監督署に相談する
  • 本社に事実を報告する
  • 転職して残業代を請求する

正しいルールを覚えて、もし必要なら行動をはじめてみてはいかがでしょうか?

【参考記事一覧】

裁量労働制とフレックスタイム制の違いについて、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

【裁量労働制とは?】弁護士が解説する本当の意味と残業代のカラクリ

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