【1分で分かる】ブラック企業の11の特徴と3つの対処法


この記事を読んで理解できること
- ブラック企業とは?ブラック企業の特徴12個
- 今いる会社がブラックだとわかった時の対処法
- 転職時にブラック企業を見抜くポイント
- ホワイト企業の4つの特徴
あなたは、
「ブラック企業の特徴が知りたい」
「ブラック企業には就職・転職したくない」
「今の会社がブラック企業だったらどうしよう」
などとお考えではないですか。
就職する際は、誰でも良い会社に入りたいと思うのは当然のことで、最初からブラック企業だと分かっていれば、その会社に入社する人は誰もいません。
しかし、ブラック企業としてニュースになるような会社では、表向きは社員に優しいふりをして、実際は巧妙な手口で社員をこき使っているケースも珍しくありません。
そのため、就職を希望する会社、あるいは今の会社がブラックかどうかを知るためには、求人情報や面接、社内の細かなルールや雰囲気などからブラック企業の特徴を見抜く必要があります。
この記事では、ブラック企業とはどういったものか、その特徴について解説します。
また、今の会社がブラック企業だとわかった時の3つの対処法や、転職の際にブラック企業を見抜くポイントと、転職を目指したいホワイト企業の4つの特徴についても解説していきます。
それぞれの内容にしっかりと目を通して、ぜひ役立ててください。
1章:ブラック企業とは?ブラック企業の特徴12個
ブラック企業に明確な定義はありませんが、当サイト(クエストリーガルラボ)では、
「従業員を採用してから辞めさせるまで過酷な労働環境や低待遇で働かせ続けて、会社だけが儲けようとする企業のこと」
をブラック企業と呼んでいます。
この章ではそんなブラック企業の特徴を、次の3つのテーマに分けて、わかりやすく解説します。
- 労働時間にかかわる特徴
- 賃金にかかわる特徴
- 社風、体質にかかわる特徴
特徴だけでなく、労働時間などの法律に基づいた基準を知ることは、自分の身を守ることにもつながるので、しっかりと読んでみてください。
1-1:労働時間にかかわる特徴
まずは、労働時間にかかわる特徴について解説します。
ブラック企業は、利益のために社員を都合の良く働かせて使い潰す会社です。
そのため、労働時間に関して理不尽なルールを設けたり、社員に無理な働かせ方をさせたりします。
代表的な特徴を順番に見ていきましょう。
1-1-1:長時間残業を強いる
ブラック企業の特徴で最も頻繁に見られるのが、会社が社員に長時間残業させることです。
労働基準法では「法定労働時間」として1⽇8時間・1週40時間が限度と決められており、それを超える場合は36協定・特別条項付き36協定の締結・届出が必要となります。
また、協定で労使が合意した場合でも、
- 時間外労働が年720時間以内
- 時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
- 時間外労働と休⽇労働の合計について、「2~6ヶ⽉平均」が全て1⽉当たり80時間以内
- 時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6ヶ⽉が限度
と定められています。
このラインを超えて社員を働かせる会社は、ブラック企業の可能性があると疑う必要があります。
残業時間からブラック企業を判断するには、次のような基準が参考になります。
- 1ヶ月の残業時間が80時間以上
まず目安になるのが、「過労死ライン」と言われる1ヶ月80時間以上の残業です。
「過労死ライン」とは、厚生労働省の通達に基づいて目安とされる基準で、あなたの会社の1ヶ月の残業時間が「80時間」を超えていたら、ブラック企業である可能性がかなり高いと言えるでしょう。
過労死ラインについては、以下の記事が参考になりますので、興味がある方はご確認ください。
命の危険があります!80時間の過労死基準と現状を変えるたった1つの方法
- 1ヶ月の残業時間が100時間以上
月の残業時間が100時間を超えていた場合は、1ヶ月でも「過労死基準」を超えることになるため、その会社は完全にブラック企業だといえます。
この「100時間」も「過労死ライン」で設定されている基準で、もしも過労死につながる脳や心臓の疾患が発症する前の1ヶ月間に100時間を超える残業があった場合、労災として認められる可能性が高くなります。
100時間ラインについては、以下の記事をご参照ください。
残業100時間は過労死基準!心身や生活への影響と現状を変える方法とは?
1-1-2:休日も出勤させる
ブラック企業の特徴として、休日も出勤させるケースがあげられます。
多くの場合は、社員に休日を与えずに出社させるばかりか、働いた分の「割増賃金(※)」も支払おうとしません。
※会社側が、社員に残業、休日出勤、深夜勤務をさせた場合に支払わなければいけない賃金。
労働基準法では、会社は社員に対して週1日以上の休日を与えなければいけないと決められています。
また、社員に休日出社させた場合には、その分の賃金も支払う必要があります。
そのため、休日も出勤させられることが続き、その分の賃金も上乗せされていない場合は、ブラック企業である可能性が高いと言えます。
1-1-3:有給休暇が取れない
休んだ分の給料が支払われる「有給休暇」は、法律で決められた労働者の権利です。
しかし、働く人の頭数を減らさないために、この権利を簡単に使わせないブラック企業も多くあります。
法律上、会社側は有給休暇の申請を受け、都合が悪ければ日程の変更を求めることができますが、理由を提出させたり有休を拒否したりすることはできません。
会社によっては、以下のようなルールが定められていることがありますが、これらは全て違法になります。
一例を確認してみましょう。
- 休む理由を書いて上司に提出するよう強制される
- 有給取得に際し上司や会社の許可が必要
- 正社員以外は有給休暇が取れない
- 取得日数は成果に応じて会社が決める
原則的に有休は、理由なく社員が自由に取ることができます。
有休取得に厳しい制限を設けている会社は、ブラック企業の疑いがあります。
有給休暇から見るブラック企業については、以下の記事をご覧ください。
有給が取れない方必見!基本的ルールと上手な取得方法を弁護士が解説
1-2:賃金にかかわる特徴
次は、賃金にかかわるブラック企業の特徴です。
ブラック企業は社員のことよりも会社の利益を優先するため、社員の賃金を少しでも支払わずに済むように、次で説明するような様々な方法を使います。
会社側に騙されず、正しい給料を受け取るためにしっかりと確認しましょう。
1-2-1:給料や残業代の未払いがある
ブラック企業は、手っ取り早く会社の利益を増やすために、社員の給料を減らそうとすることがあります。
例えば、
- 給料の全部、もしくは一部を未払いにする
- 最低賃金以下の給料しか支払わない
- 残業代をごまかす、あるいは払わない
- 裁量労働制を不当に適用して残業代をごまかす
- みなし残業代を悪用して長時間残業させる
といった方法を使います。
給料や残業代の未払いは違法となりますので、こうした会社は明らかにブラック企業と言えるでしょう。
1-2-2:勤務時間にカウントされない時間がある
1日の労働時間は8時間と決まっていても、その前後や休憩など何かと理由をつけて社員を働かせようとするのもブラック企業の特徴です。
社員を働かせるだけでなく、会社の指示ではなく社員が自主的に行った作業だと主張することもあります。
ブラック企業は、この時間の賃金を支払わなくて済むようにこうした建前を使うのです。
ブラック企業によく見られる、勤務時間としてカウントされないケースには、次のようなものがあります。
- 掃除:始業前や就業後の掃除時間
- 着替え:制服、作業服、防護服などに着替える時間
- 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
- 仕込み時間:ランチとディナーの間の仕込み時間
- 準備時間:店舗などで開店前の準備をする時間
- 待機時間:トラックの荷待ちの時間
- 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
- 研修:会社からの指示で参加が義務付けられる研修
こうした時間は、本来は労働時間としてカウントされるべきケースが多いので、当てはまる人はチェックしてみましょう。
また、30分未満の時間は切り捨てる、ある時間に一度タイムカードを切る、など勤務時間についての独自のルールを持っている会社にも注意が必要です。
1-2-3:給料の減額がある
社員に責任のない一方的な理由をつけて給料を減額するというのもブラック企業の特徴です。
例えば、次のような理由での減額があったら要注意です。
- ガソリン代の高騰
- 経営状態の悪化
- 営業成績が良くない
社員の給料は入社時に、会社側と労働契約書や就業規則で定められています。
これは社員と会社の約束事なので、会社が一方的に給料を下げることはできません。
また、社員の同意を得ず、変更の告知もせずに勝手に就業規則を変えて給料を減額するブラック企業もありますが、こうした行為も無効になります。
1-2-4:不明瞭な名目で天引きがある
また、社員の同意を得ずに、色々な名目で細かく天引きを行うのもブラック企業の特徴です。
税金(所得税、住民税)や社会保険料、雇用保険料といった法律で定められている費用は、社員が了解しなくても給料から天引きできますが、それ以外の名目で勝手に天引きすることはできません。
ブラック企業がよく使う方法ですが、以下のような費用が社員の同意なしに天引きされていたら違法の可能性が高くなります。
運送業や飲食業など業務上のミスが起きやすい業種では、社員のミスによって生まれた損失を、給料から差し引くことがあります。
こうした会社は、ブラックな体質を持った会社だといえるので注意しましょう。
1-3:社風、体質にかかわる特徴
労働時間や給料以外にも、ブラック企業に共通する特徴的な社風、体質があります。
ブラック企業では、幹部社員が経営者に似たブラックな考え方を持つようになり、法律への意識が甘くなりがちです。
一般常識や法律よりも理不尽な社内の論理が優先され、理由もなく社員を追い詰める場面がよく見られます。
1-3-1:パワハラが横行している
ブラック企業では、売上アップや社員を洗脳したり退職に追い込んだりするために、パワハラが日常化することが多くなります。
厚生労働省はパワハラを6つの類型に分けていますが、暴言や暴力だけでなく精神的な攻撃や人間関係の破壊もパワハラになります。
会社内でこうしたことが行われている会社はブラック企業である可能性が高いので、しっかりと身を守りましょう。
パワハラの具体的な行動としては、次のようなものがあげられます。
1-3-2:名ばかり管理職にされる
ブラック企業は、本来は管理職ではない社員を管理職として扱う「名ばかり管理職」にすることで、負う必要のない責任を押し付けたり、残業代を支払わなかったりすることがあります。
会社の中で持っている肩書きと、法律上の管理職である「管理監督者」は、重ならないことが多くあります。
「管理監督者」として認められるには、会社の経営陣と一体的に行動していることなど厳しいルールがあり、課長などの役職がついているだけで認められるわけではありません。
「名ばかり管理職」などの肩書きや待遇を利用して社員を不利な立場に追い込む行動も、ブラック企業の特徴と言えるでしょう。
1-3-3:社員を退職させない
会社のために限界まで働かせるために、社員が退職を希望しても辞めさせないというのもブラック企業の特徴です。
しかし、退職することを拒否された場合でも社員には「会社を辞める権利」があります。
法律上は、退職の2週間以上前に意思を伝えることで、退職することができます。
会社の退職拒否や嫌がらせに負けず、そうしたブラック企業からはいち早く抜け出せるようにしましょう。
1-3-4:社内で精神論が多い
社員をギリギリまで使い潰すために、精神論や壮大なビジョンを語ることが多いのもブラック企業の特徴です。
例えば
- 「やる気」「情熱」といった言葉で社員を盛り上げようとする
- 「世界」「平和」など壮大なビジョンを語りたがる
- 「夢」「自己実現」など仕事を自分の頑張りに結びつけようとする
といった精神論を多用する会社がそれに当たります。
これらは、到底こなすことのできない仕事量を、気合いややる気といった精神論で納得させたり、大きなビジョンと結びつけることで意義を感じさせたりするための方法です。
また、こうしたブラック企業では、
- 朝礼で社訓を大声で読ませる
- 体力的に辛いだけの訓練がある
などの特徴もよく見られます。
精神論や根性論が持ち出される会社では、無理な働かせ方や、過大なノルマが日常化していることがあるので注意が必要です。
2章:今いる会社がブラックだとわかった時の対処法
もし、あなたがこうした特徴を持つブラック企業で働いている場合、どのような対処法を取れば良いでしょうか。
会社に使い潰されないよう身を守るためには、
- 労働基準監督署や労働組合に相談する
- すぐに退職する
- 慰謝料や残業代を請求する
といった方法をとることができます。
順番に解説していきます。
2-1:労働基準監督署や労働組合に相談する
ブラックな体質や制度があっても、そうした部分が解消されるなら今のまま会社で働き続けたい、という人もいるのではないでしょうか。
そうした場合は、会社に改善を要求する必要があるので、労働基準監督署や労働組合に相談しましょう。
労働基準監督署は労働者からの相談によって会社を調査することも可能です。
ブラック企業には指導が入ることになっていますが、慢性的な人員不足のためその効果は限定的だと言えるかもしれません。
2-2:退職・転職の準備をする
あなたの会社がブラック企業だった場合、専門家に相談するだけでなく、ブラック企業を退職し、もっと労働環境の良い企業に転職する準備を進めることが重要です。
2-2-1:ブラック企業を退職する流れ
ブラック企業から転職するためには、まずは退職するための流れについて、正しく押さえておく必要があります。
退職する場合の流れは、次のようになります。
ポイントは、
- できるだけ1ヶ月以上前(最低でも2週間前)に退職の意思を伝えておく
- すぐに転職しない場合は、失業保険受給の手続きを進めておく
- 退職拒否された場合は会社に内容証明で退職届を提出すればOK
という点です。
退職時の注意点について、詳しくは以下の記事で解説しています。
今すぐ辞めよう!ブラック企業を穏便かつ確実に退職する方法と2つの注意点
2-2-2:ブラック企業から転職するための準備
ブラック企業から転職するためには、まずは働きながらでも転職活動を進めていく必要があります。
なぜなら、転職先が決まっている状態で退職できれば、無収入の期間が短くなり経済的な負担を抑えることができるからです。
過酷なブラック企業に勤めながら転職活動を進めることは大変ですが、ネットでの情報収集や転職サイトを利用するなど、前もって転職活動を進めていくことをおすすめします。
また、転職先が決まり会社を退職する前に、「残業代の請求」の準備をはじめておくこともとても重要です。
2-3:慰謝料や残業代を請求する
これまで働いていたブラックな会社から未払いの賃金や残業代を取り戻すためには、
- 自分で請求する方法
- 弁護士に依頼する方法
という2つの方法が考えられます。
それぞれのメリットとデメリットは次の通りです。
残業代をより高額かつ確実に取り返すためには、弁護士に依頼することが最善です。
なぜなら、残業代の計算や交渉は、専門的な知識が必要なため、1人で戦っては会社側に負けてしまうからです。
弁護士に依頼した場合、
- 交渉
- 労働審判
- 訴訟(裁判)
といった手段によって、残業代請求の手続きが進められます。
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟」になることは少ないです。
おそらくあなたが心配しているであろう「費用」の面でも、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
弁護士に依頼すると、あなたの「会社と戦う」という精神的負担を、弁護士が肩代わりしてくれるだけでなく、時間・手間を節約することもできるのです。
ただし、弁護士に依頼する場合は「弁護士なら誰でもいいだろう」とは考えないでください。
実は、法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の件については、あまり知識がない弁護士が多いです。
そのため、残業代請求に強い弁護士に依頼することをおすすめします。
残業代請求に強い弁護士の選び方や、相談の流れ・かかる費用などについて、詳しくは以下の記事に書いていますので、ご覧になってください。
【残業代請求】弁護士選びの8つのポイントと解決までの流れや費用を解説
3章:転職時にブラック企業を見抜くポイント
転職時にブラック企業を見抜くポイントは、次の3つです。
- 求人情報のポイント
- 面接時のポイント
- 自分で情報を集める場合のポイント
それぞれ解説していきます。
3-1:求人情報のポイント
就職・転職の際に、求人情報からブラック企業を見抜くポイントは、次の5つです。
- 常に求人をかけている
- 給与が不相応に高い
- 経歴、職歴を問わない
- みなし残業代制・裁量労働制での採用と書かれている
- 仕事内容が不明確
それぞれ解説していきます。
3-1-1:常に求人をかけている
2、3ヶ月も同じ求人を続けている企業は、社員がすぐに辞めてしまうことを前提にして、大量募集・大量採用を行っている可能性があります。
このような企業は、ブラック企業の可能性が高いといえます。
なぜなら、ブラック企業は、従業員を育てるつもりがなく、使い捨ての駒のように扱うため離職率が高くなるからです。
そのため、人手不足を解消するために、常に大量採用を行っているのです。
3-1-2:給与が不相応に高い
求人情報で、給与が不相応に同業他社より高い場合は、ブラック企業の可能性があります。
なぜなら、掲載されている金額には、「業績給」や「固定残業代」含まれている場合があるからです。
例えば、「業績給」が含まれている場合は、厳しいノルマが課されるだけで、成績が上がらなければ低い基本給だけになってしまいます。
また、「固定残業代」が含まれる場合は、給与を多く見せかけることができますし、残業時間と金額が不明確な場合は、長時間の残業や超過分の残業代の未払いが生じる可能性があります。
3-1-3:経歴、職歴を問わない
「経歴、職歴を問いません」こういった求人を行っている企業は、ブラック企業の可能性があります。
なぜなら、門戸を広げてより多くの求職者を大量募集・大量採用して、人手不足を解消しようとしているからです。
また、とりあえず多くの求職者を集めて、その中から人物や学歴・職歴、資格などを見極めて選考するといった、会社都合の求人を行っている企業もあります。
こういった求人は、採用されたとしてもきちんと教育してもらえなかったり、根性論できつい仕事を強いられる可能性があります。
3-1-4:みなし残業代制・裁量労働制での採用と書かれている
みなし残業代制・裁量労働制での採用と書かれている求人は、はじめから残業が前提となっていて労働時間が長いブラック企業の可能性があります。
みなし残業制度とは、固定残業代制のことで、「一定の残業時間分の残業代を、最初から給料として払っておく制度」のことを言います。
例えば「みなし残業40時間」の場合は、月給には40時間分の残業代が既に含まれているため、他の企業より給料を多く見せることができます。
さらに、毎日2時間ほどの残業が始めから見込まれているだけでなく、
「うちはみなし残業制だから、残業しても残業代は出ない」
と、残業代を固定してごまかしている場合もあります。
裁量労働制とは、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ会社側と協定などで決めた時間を労働時間と「みなす」制度のことを言います。
例えば、会社側と1日のみなし労働時間を1日8時間と決めていた場合、働いた時間が10時間でも14時間でも、その日に働いた時間は8時間とみなされることになり、残業代は発生しません。
裁量労働制は本来、エンジニアやデザイナーなど専門性の高い業務にかかわる社員が対象とされていますが、ブラック企業では悪用されている場合があります。
裁量残業制については、次の記事で詳しく解説しています。
裁量労働制にも残業がある!制度の考え方と残業代が貰える条件を解説
3-1-5:仕事内容が不明確
仕事内容が不明確で詳しい説明がない場合は、注意が必要です。
例えば、
「カスタマーサポート」
「テレフォンアポインター」
「メンテナンスアドバイザー」
など、イメージの良さそうな職種が並べられていても、実際は
「クレーム電話の応対・処理係」
「営業の新規開拓のための電話係」
「住宅リフォームなどの個別営業」
といった単調でプレッシャーのかかる職種だったりするおそれがあります。
そのため、業務内容の詳しい説明がない場合は、詳しく調べるか直接確認することが重要です。
3-2:面接時のポイント
就職・転職の面接の際に、ブラック企業を見抜くポイントは、次の3つです。
- 面接官や社内の様子が異様
- 質問に対して曖昧な回答しかない
- その場で内定が出る
それぞれ解説していきます。
3-2-1:面接官や社内の様子が異様
面接の際に、面接官の態度が横柄だったり、社内の様子が暗く活気がなかったり、少しでも異様な感じがした場合は注意が必要です。
特に面接官の態度が悪い会社は、上司が部下に対して高圧的な態度をとることが常態化している場合が多いため、選考を辞退することをおすすめします。
3-2-2:質問に対して曖昧な回答しかない
業務内容や勤務形態、残業などに関するこちらの質問に対して、曖昧な回答しか得られない場合は、ブラック企業の可能性が高いです。
なぜなら、入社するまで会社としては、実情を隠しておきたい理由があると考えられるからです。
例えば、毎日の残業が日常化して「みなし残業制」が悪用されている状況だったり、ノルマやプレッシャーの厳しい業務内容が多い場合もあります。
面接の際は、職と人を求めるそれぞれの立場に上下はないので、気になることは全て質問することが重要です。
3-2-3:その場で内定が出る
面接の場ですぐに内定が出て承諾を求める企業は、ブラック企業の可能性が高いので注意が必要です。
なぜなら、ブラック企業は、従業員を育てるつもりがなく、使い捨ての駒のように扱うため、離職率が高く人手不足に陥っている企業が多いからです。
内定後すぐに承諾を求められる場合や、内定辞退を認めさせない企業は、ブラック企業ではないか再度面接状況や求人情報などを確認することをおすすめします。
3-3:自分で情報を集める場合のポイント
自分で企業の情報を集める方法としては、インターネットでその企業の口コミを調べたり、実際に夜間や休日に電話をかけてみることがあげられます。
ネットの口コミは、実際にその企業の社員や元社員が書いたものか確認できないため鵜呑みにはできませんが、あまり否定的な意見が多い場合はやはり注意が必要です。
さらに、深夜や休日に電話を掛けてもつながるようであれば、残業が常態化していることも考えられます。
次の章では、ブラック企業から転職したいホワイト企業の特徴について解説します。
4章:ホワイト企業の4つの特徴
ここまで、ブラック企業の基準について解説してきましたが、この章では、ホワイト企業の特徴について解説していきます。
ホワイト企業とは、簡単に言うと「法令を遵守し、労働者が働きやすい会社」だといえます。
ホワイト企業の特徴は、次の5つです。
- 離職率が低い
- 福利厚生が充実している
- 残業時間が少ない
- 基本給が高く明確な評価制度がある
それぞれ解説していきます。
ホワイト企業の特徴をしっかり理解して、より労働環境の良い会社に転職できるように心がけてください。
4-1:離職率が低い
ホワイト企業は、社員が働きやすい環境を整えているため、離職率が低いという特徴があります。
離職率が低い企業は、社員の勤続年数も長くなるため、20代から50代まで社員の年齢層の偏りが少なくなります。
そのため、仕事のノウハウや専門技術が継承され、会社の実績にも好影響を与えることができます。
「就職四季報」には、各企業の「新卒入社3年後離職率」というデータが記載されており、業種によって異なりますが、その平均はおおむね30%程度とされています。
4-2:福利厚生が充実している
ホワイト企業は、福利厚生が充実していることも特徴です。
福利厚生には、雇用保険や健康保険・厚生年金保険などの法律で義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が任意で提供する「法定外福利厚生」があります。
法定外福利厚生は、企業によって内容が異なりますが、その充実度によって社員の働きやすい環境が整えられます。
法定外福利厚生としては、次のようなものがあげられます。
- 住宅手当
- 通勤手当
- 健康診断補助
- 社員食堂
- 育児手当
- 託児施設
- 資格取得費
4-3:残業時間が少ない
ホワイト企業は、残業時間が少ないことも大きな特徴といえます。
一般的には、月の残業時間が20時間以下の場合は、残業時間が少ないといえます。
ホワイト企業では、常に仕事の効率化を図り業務内容を見直したりシステム化するなど、無駄な残業が生じないように取り組んでいます。
残業をせず定時で上がることが当たり前になることで、社員の意識や働き方も変わり、自分の時間を楽しむ余裕も生まれるため、より仕事に集中できる環境になります。
4-4:基本給が高く明確な評価制度がある
ホワイト企業は、基本給が高く、社員の働きが適切に評価される明確な評価制度がある、ことも特徴といえます。
基本給の高さは、企業の業績が良く安定していて、その成果が社員に還元されている証となります。
また、明確で公正な評価制度によって、社員それぞれの会社への貢献度が評価されることで、社員のモチベーションも上がり、会社への信頼度が増し離職率も下げることができます。
適正な労働時間で高い利益を生み、社員に対して適切に還元されていることが、ホワイト企業の特徴だといえます。
ここまで解説してきたブラック企業の特徴や、ブラック企業への対処法を知り、目指すべきホワイト企業の特徴をよく理解して、より良い転職先が見つかるように行動してください。
まとめ:ブラック企業の特徴
いかがでしたか?
最後に今回の内容をもう一度簡単に振り返ってみましょう。
利益のために社員を好き勝手に働かせようとするブラック企業には、共通する特徴的な行動パターンがあります。
そうした特徴は性質ごとに大きく以下の3つに分けられます。
- 労働時間にかかわる特徴
- 賃金にかかわる特徴
- 社風、体質にかかわる特徴
ブラック企業は、会社の利益のために社員を都合の良く働かせようとするため、
- 長時間残業を強いる
- 休日も出勤させる
- 有給休暇が取れない
といった行動をとることが多くなります。
また、社員に支払う給料を少しでも減らそうとするため、
- 給料や残業代の未払いがある
- 勤務時間にカウントされない時間がある
- 給料の減額がある
- 不明瞭な名目で天引きがある
などの特徴が目立ちます。
それ以外にも、ブラック企業はブラックな体質が会社内にはびこっているため、
- パワハラが横行している
- 名ばかり管理職にされる
- 社員を退職させない
- 社内で精神論が多い
といった言動が非常に多くなるようです。
こうしたブラック企業に使い潰されないようにするためには、
- 労基署や労働組合に相談する
- 退職・転職の準備をする
- 慰謝料や残業代を請求する
といった対処法をとって自分の身を守りましょう。
ブラック企業の特徴を見逃さず、次の行動を取るのが遅れないようにしましょう。