- 2024.03.25
- 2024.11.14
- #ブラック企業診断
【ブラック企業診断】4つの判断基準の具体例と対処法を弁護士が解説
この記事を読んで理解できること
- あなたの会社もブラック?ブラック企業診断チェックリスト
- ブラック企業を判断するための4つの判断基準
- 今後やるべき3つの行動
- 就職・転職でブラック企業を見抜くポイント
あなたは、
「うちの会社ってブラック企業かも?」
と、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
- 残業時間が長い
- 残業代が出ない
- 休みが取れない
- 上司からパワハラを受ける
などのことがあると、このまま今の会社にいて良いのか不安になりますよね。
そこでこの記事では、1章であなたの会社がブラック企業なのかどうか判断できるチェックリストを、2章ではより掘り下げた判断基準について解説します。
さらに、3章ではもしあなたの会社がブラック企業であった場合に、今後やるべき行動方法について、4章では就職・転職でブラック企業を見抜くポイントについて解説します。
最後まで読んで、あなたの会社のブラック度と今後の行動方法について明らかにしましょう。
目次
1章:あなたの会社もブラック?ブラック企業診断チェックリスト
当サイト(クエストリーガルラボ)では、ブラック企業について、
“従業員を採用してから辞めさせるまで過酷な労働環境や低待遇で働かせ続けて、会社だけが儲けようとする企業のこと”
と定義しています。
あなたの会社が、ブラック企業である可能性はどのくらいあるのでしょうか?
それでは、さっそくあなたの会社の「ブラック度」を診断しましょう。以下のチェックリストから、いくつ当てはまるか数えてみてください。
あなたはいくつ当てはまりましたか?それでは、あなたのブラック度を診断してみましょう。
1〜3個:ブラック度 ★★★
3〜5個:ブラック度 ★★★★
5個以上:ブラック度測定不能 ★★★★★
1つでも当てはまれば、あなたの会社はブラック企業である可能性があります。
3つを超える場合は、ブラック企業である可能性が高く、5個を超える場合は限りなくブラック企業であると判断できます。
あなたの会社のブラック度はいくつでしたか?
それでは、これらのチェック項目について、4つの判断基準からさらに掘り下げて解説します。
しっかり読んで、あなたの会社がブラック企業かどうかより正確に判断しましょう。
2章:ブラック企業を判断するための4つの判断基準
それでは、ブラック企業を判断するために、
- 労働時間からみる判断基準
- 賃金からみる判断基準
- 人事関係からみる判断基準
- その他の判断基準
という4つの基準について、詳しく解説します。
2-1:労働時間からみるブラック企業の基準
まずは労働時間からみる基準です。
「月の残業時間がオーバーしている」
「休憩時間や休日が取れていない」
「働いた時間がごまかされている」
などの違法なケースがよくありますので、客観的な基準を知っておくことが大切です。
2-1-1:80時間を超える残業が2ヶ月以上続いている
1ヶ月の残業時間が、2ヶ月以上にわたって「80時間」を超えていたら、その会社はブラック企業である可能性がかなり高いです。
というのも、厚生労働省では、残業時間が月に80時間を超えることを「過労死ライン」と定めているからです。
もしも働き過ぎで脳や心臓に疾患を抱えてしまった場合、発症前の2ヶ月ないし6ヶ月にわたって1ヶ月の残業時間が80時間を超えていたら、労働災害(労災)として認められる可能性が高いのがこの基準です。
さらに、月の残業時間が100時間を超えていたら、1ヶ月でも「過労死基準」を超えることになります。
労働時間からみるブラック企業の基準について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
労働時間からブラック企業を判断しよう!3つの基準と取るべき行動
2-1-2:休日が週1日も取れないことがある
労働基準法では、会社は労働者に対して週1日以上の休日(法定休日)を与えなければならないと決められています。
そのため、この休日も出勤させられることが続いていれば、あなたの会社はブラック企業である可能性が高いです。
2-1-3:休憩時間がない
休憩時間とは、従業員が労働時間の途中に、休息のために労働義務から解放される時間のことをいいます。
「会社の指揮命令下には置かれない時間」ですから、自由に利用できる時間を意味します。
会社は労働者に対し、労働時間が6時間を超える場合には最低でも45分以上、労働時間が8時間を超える場合には、最低でも1時間以上の休憩を与えなければならないとされています。
休憩時間に電話番をさせられるなど、会社の都合で行動を縛られている時間は、「休憩時間」ではなく「労働時間」です。
また休憩時間は、労働時間の途中に与えなければなりません。
始業後1時間、あるいは終業の1時間前を休憩時間とすることは許されません。
2-1-4:早出・研修・準備・後片付けの時間などが労働時間にカウントされない
ノー残業デイだからといって、早く出社させて就業時間の前に仕事をさせたり、営業後の片づけの時間を労働時間にカウントしない企業があります。
実労働時間が8時間でも、その前後の出社・労働を求める企業はブラック企業です。
しかも、その出社は自主的に行ったと判断されるのです。
また、始業前・退社後に掃除を定める企業もありますね。
この掃除も、会社に指示されているなら立派な仕事です。
他にも、以下のような作業は労働に値する可能性があるので、労働時間と認められず働かされていないか、確認してみましょう。
- 掃除:始業前や就業後の掃除時間
- 着替え:制服、作業服、防護服などに着替える時間
- 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
- 仕込み時間:開店前の準備やランチとディナーの間の仕込み時間
- 準備時間:店舗などで開店前の準備をする時間
- 待機時間:トラックの荷待ちの時間
- 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
- 研修:会社からの指示で参加した研修
- 自宅の作業:仕事が終わらず自宅に持ち帰って仕事した時間
2-2:賃金からみる基準
次に、賃金から見るブラック企業の基準を解説します。
「給料や残業代が出ない」
「残業代が不当に少なくされている」
「急に給料が減額された」
などの違法なケースがありますので、どんな場合が違法になるのかしっかり把握しておきましょう。
2-2-1:給料や残業代が支払われない
いくら働いても、給料や残業代に反映されないと、モチベーションは下がりますよね。
過去にも、給料や残業代に関する事例は数多くあり、以下3つに分類することができます。
1.定期賃金の未払い
給料の全部、もしくは一部が未払いというケースは最も悪質といえます。
もしあなたも給料が未払いになっていたら、一刻も早く行動を起こす必要があるでしょう。
2.給料が最低賃金以下
あなたの基礎時給を算出してみましょう。
給料が月給の場合は、その給料を「170時間」で割った金額が、だいたいの基礎時給になります。
例)給料15万円だった場合
給料15万円÷170時間=882円/基礎時給
この場合、東京都の最低時給(1,072円)を下回っています。
このように、給料は受け取っていても、それが最低賃金以下だった場合は違法です。
3.残業代の未払い
● 残業時間がサービス残業にされている
● 残業代を「みなし残業代(固定残業代)」で払っていたが、それが残業した時間に見合っていなかった
などのものです。
※みなし残業代(固定残業代)については、
ブラック企業の7つの手口!違法に働かされた時の対処法を弁護士が解説
をご覧ください。
思い当たることはありませんか?
給料・残業代の未払いは違法ですので、請求することで取り返すことができる可能性は高いです。
2-2-2:労働契約書や就労規則にはない給料の減額がある
「今月ノルマ未達成だった社員は、給料を半額にする!」
ブラック企業は、社員が知識を持っていないのをいいことに、不当に給料を減額し、それを正当化しようとします。
こんな横暴なやり方で従業員をやる気にさせようとしても、まったくやる気になりませんよね。
ここまで極端でなくても、契約書は会社と従業員とで約束したものですから、この約束を会社が勝手に破って給料を下げることは契約違反です。
「給料減額に同意します」という書類にサインを書くよう上司に求められても、書類にサインをする義務はありません。
仮に同意しても、給料が減額された結果として、時給換算で最低賃金を割っているような場合は無効となります。
また、会社の就業規則や労働協約に反した給与減額の合意も無効となります。
2-2-3:不明確な給料明細からの天引き
給料明細を見ると、以下のようなものが、総支給額から天引きされていると思います。
- 税金(所得税、住民税)
- 社会保険料
- 雇用保険料
これらの法律で定められている費用に関しては、従業員の了解を得なくても、給料から天引きできます。
しかし、上記以外のものを一方的に天引きすることは許されません。
例えば、以下のようなものが、あなたの同意なしに天引きされていたら違法の可能性が高いです。
- 旅行の積立費
- 親睦会費
- 業務上必要な事務手数料や研修費用
- 業務上のミスで生じた損害
- 遅刻、無断欠勤などの罰金
一方的に給料が天引きされている場合、未払い分の賃金についても返還を求めることができます。
2-2-4:業績や売上は上昇しているのに昇給がない・賞与が年齢と共に減少する
勤続年数を重ね自身の能力も上がり、会社の業績も上がっているのに昇給がないという場合は、ブラック企業である可能性があります。
毎月同じ金額を従業員に払い続けるだけで利益が上がっていくなら、会社側としてはこれほど良いことはありません。
再就職が難しいとされる年代の従業員を、ターゲットにするこうしたやり方も、ブラック企業ならではの特徴といえます。
2-3:人事関係にみる基準
ここでは、人事関係に見るブラック企業の基準を解説します。
これまで納得のいかなかった会社の理不尽な対応が、もしかすると違法である可能性があります。
2-3-1:肩書きだけの管理職(名ばかり管理職)にする
法律上、「管理監督者」にあたる人は、
- 残業代を払わなくて良い
- 残業時間に上限が無い
- 法定休日を与える必要がない
と定められています。
そのため、ブラック企業は「肩書きだけの管理職(名ばかり管理職)」を増やして、社員を安い賃金で長時間こき使う方法として利用していることがとても多いです。
ただし、「管理監督者」として認められるには、いくつかのルールがあり、役職がついているだけでは、管理監督者とは認められません。
もし、あなたが「名ばかり管理職」であり、会社から残業代を払ってもらえていないなら、過去3年までさかのぼり、未払いの残業代を支払ってもらえる可能性があります。
管理職について、詳しくは
管理職とは?残業代ゼロはウソ!法律上の3つの要素と悪用される手口
をご覧ください
2-3-2:男女間で評価が不公平
「上司から女性であることを理由に疎まれ、男性社員だけ優遇されている」
一概には言えませんが、上記のような不当な扱いも、違法である可能性があります。
法律では、
“賃金や労働時間、その他の労働条件について、男女間で差別的扱いはしてはならない”
という決まりがあります。
「差別的な扱い」を正確に判断することは難しいですが、明らかに不平等を感じるような待遇であれば、違法である可能性を疑ってもいいでしょう。
男女間の評価や待遇の差について疑わしいことがあれば、証拠を集めて労働基準監督署や弁護士に相談することをおすすめします。
2-3-3:大量採用・大量離職
ブラック企業には、社員を「大量採用・大量離職」させる特徴があります。
大量に採用するのは、社員を使い潰して辞めさせ、会社にとって「つかえる人材」のみを選別していくためです。
つまり、使い捨てを前提に大量に採用し、過酷なノルマと長時間労働で社員を使いつぶすという、ブラック企業のやり方なのです。
就職や転職を考える場合は、その会社の「離職率」もチェックしてみてください。
あなたの会社にも同様の特徴があれば、ブラック企業である可能性が高いです。
厚生労働省で発表されている雇用動向調査結果等も参考にしてみるといいかもしれません。
(参照)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/17-2/index.html
2-3-4:不当解雇が横行している
従業員には退職の意思がないのに、会社側から一方的に解雇を通告するのは、違法である可能性が高いです。
これを「不当解雇」と言います。
不当解雇には、以下のようなものが挙げられます。
- 労働者の国籍、信条、社会的身分を理由とした解雇
- 業務上の負傷や疾病のための療養期間及びその後30日間の解雇
- 産前産後休暇の期間およびその後30日間の解雇
- 解雇予告を行わない解雇
- 解雇予告手当を支払わない即時解雇
- 労働基準法やそれに基づく命令違反を告発したことを理由とした解雇
- 労働組合に加入したことなどを理由とする解雇
- 不当労働行為を労働委員会等に申し立てなどをしたことを理由とする解雇
- 女性であることを理由とした解雇
あなたが不当に解雇を言い渡されていたり、周りに不当に解雇された人がいれば、あなたの会社はブラック企業である可能性が高いです。
法律上、会社はこのような理由で社員を解雇することはできないことになっています。
そのため、あなたに非がないのに、ある日突然会社からクビを言い渡されても応じる必要はありません。
2-3-5:退職させてくれない
ブラック企業は、社員をできるだけ使い倒すために、退職を希望しても辞めさせない場合があります。
なぜなら、会社側にとって、「安い賃金でも文句を言わずに働いてくれる社員」に辞められてしまうのは大きな損失だからです。
そのため、ブラック企業は社員の退職希望を拒否することがあります。
しかし、労働者には会社を辞める権利があるため、会社がそれを拒否することはできません。
ただし、退職が即日受理されるというケースは稀です。
一般的には一か月前とされている会社が多いですが、どのくらい前に退職の意思を伝えれば良いのかは、契約書や就業規則に記載されていますから、お互い気持ち良く事を運ぶためにも、そのルールに従うのが得策でしょう。
たとえ会社が退職を認めない場合でも、退職届を提出すれば、法律上、退職が認められることを知っておいてください。
2-4:その他の基準
ここまで「労働時間」「賃金」「人事関係」に見るブラック企業の基準を解説してきましたが、それ以外にも、
- パワハラ
- セクハラ
- 洗脳
- 自己都合退職にさせる
などの特徴もありますので、みていきましょう。
2-4-1:「洗脳」や「自己都合退職」に追い込む
法律では、簡単に従業員を解雇できない決まりになっています。
そのため、ブラック企業は会社に都合の良いように従業員を「洗脳」し、従業員自ら「辞めたい」と言わせるような状況に追い込もうとします。
「お前は本当に使えないな。何かあったら、お前が全部責任を取れ。」
ブラック企業はこのように、
- 人格を否定する言葉を繰り返して従業員を精神的に追い込む
- とても達成できない目標設定や課題を与えて脅す
などの方法で社員を精神的に追い詰めていきます。
また、うつ病や適応障害と診断された従業員に対し、「やっぱり君はうちには合わないんだよ」と言って退職を促す事例もあります。
あなたの会社でもこのようなことがされていたら、ほぼ間違いなくブラック企業でしょう。
2-4-2:セクシャル・ハラスメントの被害
セクハラ(セクシャル・ハラスメント)は、職場における性差別的な要素を含む一切の言動を意味し、会社はセクハラへの対策を法律で義務付けられています。
あなたの会社では、以下のような行為が行われていませんか?
- 事業主が性的な関係を要求したが拒否されたので解雇する
- 人事考課などを条件に性的な関係を求める
- 職場内での性的な発言に対し抗議した者を配置転換する
- 上司などの立場を利用し部下に性的関係を求める
- 性的な好みで雇用上の待遇に差をつける
- 性的な話題をしばしば口にする
- 恋愛経験を執ように尋ねる
- 宴会で男性に裸踊りを強要する
- 特に用事もないのに執ようにメールを送る
- 私生活に関する噂などを意図的に流す
(参照)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
以上のようなセクハラ行為が黙認されていたら、あなたの会社はブラック企業である可能性が高いです。
特に悪質なケースなら、慰謝料請求できる可能性もあります。
セクハラについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【会社のセクハラ】チェックリストと対抗策や3つの相談先とは?
2-4-3:危険な状況で作業させる
危険な場所や作業における作業者の安全確保対策は、会社で義務付けられています。
もし、以下のような状況下で働かされることがあるなら、ブラック企業の可能性があります。
- 安全確保が甘い現場で働かされた。
- 身の危険を感じる状況での仕事がある。
- 無資格者なのに資格が必要な作業をさせられた。
- 保護具が必要な現場で、保護具なしで作業させられた。
万が一のことが起きてからでは遅すぎます。
怪我・病気になる前に、その環境から抜け出すことをおすすめします。
2-4-4:労働災害をごまかす
通勤中や労働時間中、時として思いもよらないアクシデントに見舞われる可能性がありますね。
たとえば、
- 職場の食品工場で床が濡れていたため滑って転んで怪我をしてしまった。
- 製造ラインで手を挟んで怪我をした。
- 通勤中に自転車で転んで怪我をした。
- 炎天下の現場で熱中症で倒れて病院に行った。
こうしたケースでは、労災(労働災害)認定がされる可能性があります。
しかし、一部のブラック企業では労災(労働災害)の申請をしないように指示されてしまうことがあります。
あなたの会社はどうでしょうか?
2章では、ブラック企業を正しく判断するためのより深掘りした判断基準について解説しましたが、いかがだったでしょうか?
これから、あなたの会社がブラック企業だった場合の対応方法について解説します。
3章:今後やるべき3つの行動
あなたがブラック企業にいる場合、これから紹介する行動をとることで、現状を変える必要があります。
そうしなければ、会社から都合良くこき使われ続けることになってしまうでしょう。
- 現状の改善要求をする方法
- スムーズな退職をする方法
- 慰謝料や残業代を請求する方法
という3つの方法について、これから解説します。
3-1:現状の改善要求は「労働組合」や「労働基準監督署」へ
もしあなたが、
- 今ある不満さえなくなれば現在の会社に勤め続けたい
- 転職活動をするくらいなら現状に留まりたい
という場合は、会社に改善要求をする必要があります。
その場合は、労働組合や労働基準監督署に相談しましょう。
もし、社内に労働組合がない場合は、個人で入ることのできる社外の労働組合を利用することもできます。
また、労働基準監督署では労働者からの相談によって会社を調査することも可能です。
調査によってブラック企業であると判断された場合は、労働基準監督署から指導が入ることになるので、会社は改善を余儀なくされます。
3-2:スムーズに退職する方法
ブラック企業を抜け出したとしても、今よりも条件の良い会社に就職できるとは限りません。
あなたの置かれている状況にもよりますが、多くの場合は、現在の職場で働きながら転職活動を始めるのが妥当でしょう。
もし、今すぐ辞められる状況であれば、退職を見据えて、
- 未払い分の残業代の請求
- 有休の消化
- 退職金の請求
など、あなたにとって不利益とならぬよう綿密な計画を立て、スムーズに退職しましょう。
3-3:慰謝料や残業代を請求する
会社に対してダメージを与えることができ、かつあなたにとってもっともメリットが大きい方法があります。
それが「慰謝料」や「未払いの給料・残業代」を請求することです。
会社に対して金銭的な請求を行う上では、以下の3つのポイントに気をつける必要があります。
3-3-1:早めに証拠集めをはじめる
会社に慰謝料や未払いの給料・残業代を請求するためには、
- どのような行為に対して慰謝料を請求するのか
- どれくらいの未払い賃金があるのか
を証明することができる証拠が必要です。
証拠は弁護士に依頼して集めてもらうこともできますが、弁護士が要求しても提出しない悪質なブラック企業も存在します。
そのため、できるだけ会社に在籍しているうちに自分で集めておくことをおすすめします。
集めるべき証拠について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【弁護士が解説】残業代をアップさせる証拠一覧と集め方マニュアル
3-3-2:残業代請求は3年の時効が成立する前にはじめる
未払いの給料や残業代を請求することができるのは、「3年」の時効が成立するまでです。
時効が成立してしまうと、二度と取り返すことができなくなりますので、できるだけ早めに行動を起こす必要があります。
時効について、詳しくは以下の記事をご覧になってください。
残業代にも時効がある?毎月残業代が消滅する「時効」の仕組みと時効を止める3つの方法
3-3-3:金銭の請求は弁護士に依頼する
会社に対して、自分で慰謝料や未払い賃金を請求することもできます。
しかし、会社側にも顧問弁護士がいて、あなた個人では対等に戦えない可能性が高いです。
慰謝料・未払い賃金の請求の成功の可能性を高め、1円でも多く請求するために、弁護士を利用することをおすすめします。
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟(裁判)」になることは少ないです。
おそらくあなたが心配しているであろう「費用」の面でも、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
詳しくは、以下の記事をご覧になってください。
不当解雇の慰謝料請求の詳しい方法については、
不当解雇で訴えたい!慰謝料請求の手順と戦い方を弁護士が徹底解説
未払い給料の請求方法については、
二度ともらえなくなる前に!未払い給料の3年の時効と集めるべき証拠
残業代請求の詳しい方法や、弁護士の選び方のポイントについては、
【残業代請求】弁護士選びの8つのポイントと解決までの流れや費用を解説
それでは、最後にこれから就職・転職するという人に向けて、ブラック企業を見抜くポイントをお伝えします。
4章:就職・転職でブラック企業を見抜くポイント
就職・転職でブラック企業を見抜くポイントは、次の3つです。
- 求人情報のポイント
- 面接時のポイント
- 自分で情報を集める場合のポイント
それぞれ解説していきます。
4-1:求人情報のポイント
就職・転職の際に、求人情報からブラック企業を見抜くポイントは、次の5つです。
- 常に求人をかけている
- 給与が不相応に高い
- 経歴、職歴を問わない
- みなし残業代制・裁量労働制での採用と書かれている
- 仕事内容が不明確
それぞれ解説していきます。
4-1-1:常に求人をかけている
2、3ヶ月も同じ求人を続けている企業は、社員がすぐに辞めてしまうことを前提にして、大量募集・大量採用を行っている可能性があります。
このような企業は、ブラック企業の可能性が高いといえます。
なぜなら、ブラック企業は、従業員を育てるつもりがなく、使い捨ての駒のように扱うため離職率が高くなるからです。
そのため、人手不足を解消するために、常に大量採用を行っているのです。
4-1-2:給与が不相応に高い
求人情報で、給与が明らかに同業他社より高い場合は、ブラック企業の可能性があります。
なぜなら、掲載されている金額には、「業績給」や「固定残業代」含まれている場合があるからです。
例えば、「業績給」が含まれている場合は、厳しいノルマが課されるだけで、成績が上がらなければ低い基本給だけになってしまいます。
また、「固定残業代」が含まれる場合は、給与を多く見せかけることができますし、残業時間と金額が不明確な場合は、長時間の残業や超過分の残業代の未払いが生じる可能性があります。
4-1-3:経歴、職歴を問わない
「経歴、職歴を問いません」こういった求人を行っている企業は、ブラック企業の可能性があります。
なぜなら、門戸を広げてより多くの求職者を大量募集・大量採用して、人手不足を解消しようとしているからです。
また、とりあえず多くの求職者を集めて、その中から人物や学歴・職歴、資格などを見極めて選考するといった、会社都合の求人を行っている企業もあります。
こういった求人は、採用されたとしてもきちんと教育してもらえなかったり、根性論できつい仕事を強いられる可能性があります。
4-1-4:みなし残業代制・裁量労働制での採用と書かれている
みなし残業代制・裁量労働制での採用と書かれている求人は、はじめから残業が前提となっていて労働時間が長いブラック企業の可能性があります。
みなし残業制度とは、固定残業代制のことで、「一定の残業時間分の残業代を、最初から給料として払っておく制度」のことを言います。
例えば「みなし残業40時間」の場合は、月給には40時間分の残業代が既に含まれているため、他の企業より給料を多く見せることができます。
さらに、毎日2時間ほどの残業が始めから見込まれているだけでなく、
「うちはみなし残業制だから、残業しても残業代は出ない」
と、残業代を固定してごまかしている場合もあります。
裁量労働制とは、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ会社側と協定などで決めた時間を労働時間と「みなす」制度のことを言います。
例えば、会社側と1日のみなし労働時間を1日8時間と決めていた場合、働いた時間が10時間でも14時間でも、その日に働いた時間は8時間とみなされることになり、残業代は発生しません。
裁量労働制は本来、エンジニアやデザイナーなど専門性の高い業務にかかわる社員が対象とされていますが、ブラック企業では悪用されている場合があります。
裁量残業制については、次の記事で詳しく解説しています。
裁量労働制にも残業がある!制度の考え方と残業代が貰える条件を解説
4-1-5:仕事内容が不明確
仕事内容が不明確で詳しい説明がない場合は、注意が必要です。
例えば、
「カスタマーサポート」
「テレフォンアポインター」
「メンテナンスアドバイザー」
など、イメージの良さそうな職種が並べられていても、実際は
「クレーム電話の応対・処理係」
「営業の新規開拓のための電話係」
「住宅リフォームなどの個別営業」
といった単調でプレッシャーのかかる職種だったりするおそれがあります。
そのため、業務内容の詳しい説明がない場合は、詳しく調べるか直接確認することが重要です。
4-2:面接時のポイント
就職・転職の面接の際に、ブラック企業を見抜くポイントは、次の3つです。
- 面接官や社内の様子が異様
- 質問に対して曖昧な回答しかない
- その場で内定が出る
それぞれ解説していきます。
4-2-1:面接官や社内の様子が異様
面接の際に、面接官の態度が横柄だったり、社内の様子が暗く活気がなかったり、少しでも異様な感じがした場合は注意が必要です。
特に面接官の態度が悪い会社は、上司が部下に対して高圧的な態度をとることが常態化している場合が多いため、選考を辞退することをおすすめします。
4-2-2:質問に対して曖昧な回答しかない
業務内容や勤務形態、残業などに関するこちらの質問に対して、曖昧な回答しか得られない場合は、ブラック企業の可能性が高いです。
なぜなら、入社するまで会社としては、実情を隠しておきたい理由があると考えられるからです。
例えば、毎日の残業が日常化して「みなし残業制」が悪用されている状況だったり、ノルマやプレッシャーの厳しい業務内容が多い場合もあります。
面接の際は、職と人を求めるそれぞれの立場に上下はないので、気になることは全て質問することが重要です。
4-2-3:その場で内定が出る
面接の場ですぐに内定が出て承諾を求める企業は、ブラック企業の可能性が高いので注意が必要です。
なぜなら、ブラック企業は、従業員を育てるつもりがなく、使い捨ての駒のように扱うため、離職率が高く人手不足に陥っている企業が多いからです。
内定後すぐに承諾を求められる場合や、内定辞退を認めさせない企業は、ブラック企業ではないか再度面接状況や求人情報などを確認することをおすすめします。
4-3:自分で情報を集める場合のポイント
自分で企業の情報を集める方法としては、インターネットでその企業の口コミを調べたり、実際に夜間や休日に電話をかけてみることがあげられます。
ネットの口コミは、実際にその企業の社員や元社員が書いたものか確認できないため鵜呑みにはできませんが、あまり否定的な意見が多い場合はやはり注意が必要です。
さらに、深夜や休日に電話を掛けてもつながるようであれば、残業が常態化していることも考えられます。
まとめ:ブラック企業を診断
いかがでしたか?
最後にもう一度、今回の内容を振り返りましょう。
ブラック企業は、以下のような基準から判断することができます。
【労働時間について】
- 休日が週1日も取れない
- 休憩時間がない
- 労働時間と認められない労働がある
【賃金について】
- 給料や残業代が支払われない
- 労働契約書や就労規則にはない給料の減額がある
- 不明確な給料明細からの天引き
- 業績や売上は上昇しているのに昇給がない、賞与が年齢と共に減少する
【人事関係について】
- 名ばかり管理職にする
- 男女間で評価が不公平
- 大量採用・大量離職
- 不当解雇が横行している
- 退職させてくれない
【その他】
- 「洗脳」や「自己都合退職」に追い込む
- セクシャル・ハラスメントの被害
- 危険な状況で作業させる
- 労働災害をごまかす
あなたの会社がブラック企業だった場合、
- 労働組合や労働局に訴えて現状の改善を要求する
- 在職中に転職活動を初め、退職前に未払い残業代の請求や有休取得の行動をはじめる
- 弁護士に依頼して「慰謝料」や「未払い賃金」を請求する
などの行動を起こすことができます。
会社からこき使われないよう、自分なりの行動方法を検討していきましょう。
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