管理職とは?残業代ゼロはウソ!法律上の3つの要素と悪用される手口

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監修者 住川佳祐

弁護士法人QUEST法律事務所
住川 佳祐

管理職とは?残業代ゼロはウソ!法律上の3つの要素と悪用される手口
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 管理職とは?求められる3つの役割と待遇
  • 管理職の2つの問題
  • 管理職の残業代が認められるケースと事例
  • 管理職でも残業代を取り返すことができる2つの方法

あなたは、

「管理職とはどんな役職?」
「管理職とはどんな役割があるのか知りたい」
「管理職によくある残業の問題とは何?」

などと考えではないですか?

結論から言うと、管理職とは社内の組織を監督する役職のことで、組織の目標達成や部下の指導育成など組織を管理し運営する重要な役割を担っています。

管理職の種類は、企業内の組織、部署やチームによって様々で、一般的には部門を管理する「部長」、課を管理する「課長」などで、他には「主任」「係長」「マネージャー」といった役職も管理職とみなされることがあります。

ここで、管理職によくある残業の問題としてあげられるのは、次の2つです。

  • 管理職だから残業代は出ない
  • 管理職は労働時間の規定が適用されない

これは、労働基準法上の「管理監督者」が、労働基準法で定められた労働時間や休憩、休日などの規定が適用されないため、一般の管理職も「管理監督者」とみなして取り扱っているためです。

しかし、先にあげたように企業内でも管理職とみなされる役職はいろいろありますが、実際は「管理監督者」には該当しない場合がほとんどです。

そこでこの記事では、1章で管理職とはなにか、管理職に求められる3つの役割を、2章では管理職の2つの問題を、3章では管理職の残業代が認められるケースと事例について解説します。

さらに4章では管理職でも残業代を取り返せる2つの方法について解説していきます。

管理職になって、会社から不当な扱いを受けないためにも、最後まで読んで正確な知識を身につけてください。

未払い残業代を取り返したいというあなたへ、まずはお気軽にご相談ください
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1章:管理職とは?求められる3つの役割と待遇

そもそも、管理職とはどういった役職で、どういった役割があるのか、これから解説していきます。

1-1:管理職とは「社内の組織を監督する役職者」を指す

管理職とは、次の図にあるように「社内の組織を監督する役職者」を指します。

一般的な意味での管理職の特徴

このように各部署にはそれぞれ部長が置かれ、その下には営業一課、総務課、秘書課などの課長や、係長・室長などが置かれます。

また、各支店や営業店舗ごとに置かれる支店長や店長も、それぞれ管理職として各店を管理・運営する役職となります。

このように管理職は、それぞれが任された組織を監督する役職ですが、その職務内容や権限は企業によって様々です。

管理職の権限として図に示した、

  • 組織の業務の計画、実行、指示
  • 組織内での人事(採用、評価)
  • 組織内での部下の育成
  • 組織内での重要事項の意思表示
  • 社内外での組織の代表としての折衝

など、これらの権限が及ぶ範囲もそれぞれの企業・役職によって異なります。

1-2:管理職に求められる3つの役割

管理職に求められる役割としては、次の3つがあげられます。

  • 組織の業務管理
  • 部下の育成・マネジメント
  • 経営側と部下の橋渡し

それぞれ解説していきます。

1-2-1:組織の業務管理

管理職の役割の一つは、任された組織の目標達成に向けて、計画立案、人員配置、予算管理を行い、進捗状況を把握しながら業務を管理していくことです。

また、組織の現状を分析することで、新たな取り組みや業務の改善を常に心掛け、より効率的に成果を出せるように検討を進めていきます。

さらに、組織内の労働環境の改善にも努め、社員の労働時間の管理だけでなく、衛生管理や福利厚生まで社員が働きやすい環境を整えることも重要な役割です。

最終的には、会社全体の現状を常に意識し、組織として会社への貢献度をさらに高めていくことが求められます。

1-2-2:部下の育成・マネジメント

管理職の役割としては、組織力向上のための部下の育成と、チームワークを高めるためのリーダーシップやコミュニケーションスキルなどのマネジメント能力が求められます。

なぜなら、組織として円滑に業務を進め十分な成果を得るためには、組織全体のモチベーションを高める組織力が最も重要だからです。

また、部下のスキルアップを図るためには、教育だけでなく、それぞれの個性を把握したうえでの細かいサポートが必要になります。

そのためには、自ら積極的にコミュニケーションを取り、それぞれの特性や志向を理解し、組織内の風通しを良くしていくことが重要な役割となります。

1-2-3:経営側と部下の橋渡し

管理職の役割としては、会社の経営理念や経営方針を部下に伝え、組織内に浸透させることで、経営側と部下の橋渡しになることがあげられます。

管理職は、会社全体の現状を常に意識し、組織として会社への貢献度をさらに高めていくことを常に心掛けています。

そのため、組織としても経営側の方針をしっかり理解し、価値観を共有することで、同じ目標に向かって会社全体で業績アップを図ることができます。

管理職は、経営側と一般社員の中間に位置し、経営側の視点を持ちながら一般業務に携わることで、会社全体をまとめる役割を担っています。

1-3:管理職の待遇

一般的に、管理職は自分の監督する組織の責任を負わなければならず、業務の範囲も広いため、それに見合った待遇を受けます。

例えば、

  • 基本給が上がる
  • 役職手当などの固定手当が毎月支払われる

などの待遇を受けるのが一般的です。

しかし一方では、

  • 管理職だから残業代は出ない
  • 管理職は労働時間の規定が適用されない

といった、残業代や労働時間など、一般社員とは違った問題も見受けられます。

そこで次の章では、この管理職が抱える2つの問題について解説していきます。

2章:管理職の2つの問題

管理職の問題として、次の2つがあげられます。

  • 管理職は残業代が出ない
  • 管理職は大きな負担が伴う

この問題はそれぞれ、会社が一般の管理職を、労働基準法で定められた労働時間や休憩、休日などの規定が適用されない「管理監督者」とみなして扱っているためです。

それぞれ解説していきます。

2-1:管理職は残業代が出ない

管理職になると、会社から「管理職は残業代が出ない」と言われることがあります。

その理由の一つは、先にあげたように会社が一般の管理職を「管理監督者」とみなして扱っているためです。

またもう一つの理由は、残業代の代わりに、管理職には役職手当が支給されているからというものです。

それぞれ解説していきます。

2-1-1:管理監督者は残業代の支給の対象とならない

労働基準法第41条2号では、労働基準法に定められた労働時間や休憩、休日などの規定の、例外の対象が定められています。

労働基準法第41条

この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一  別表第1第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者

二  事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

三  監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

この中で「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」は、「管理監督者」と呼ばれ残業代についても支給の対象とはなりません。

しかし、会社の基準で管理職を定めたとしても、労働基準法の管理監督者に該当するとは言えません。

労働基準法における管理監督者の要素として、次の3つがあげられます。

  • 経営者に近い責任・権限を与えられている
  • 労働時間管理を受けていない
  • 地位にふさわしい待遇を受けている

これらの条件を満たしていない場合は、法律上の管理監督者に該当しない可能性が高いです。 

管理監督者に該当しない場合は、労働基準法に定められた労働時間や休憩、休日などの規定の対象となるため残業代が認められます。

実際ほとんどの管理職は、この条件を満たしているとは言えないため、当然残業代が支払われるはずですが、「課長」「店長」という肩書を口実にして残業代が支払われていないケースが多いです。

2-1-2:管理職には役職手当が支給されるから

管理職には、残業代のかわりに「役職手当」や「管理職手当」「役付手当」などが支給されているから、と主張する会社が多く見られます。

しかしこうした手当は、残業代ではないものに残業代という名目を与えているにすぎないことが多く、このような場合は残業代の代わりとは認められません。

例えば、あなたが「課長」の立場にいる場合、仕事の内容や責任の範囲が他の社員とは異なるため、その対価として待遇に差をつけるために支払われるのが、そうした「役職手当」の本来の意味合いです。

過去の裁判例においても、課長に与えられていた「役付手当」が固定残業代であると会社が主張したことに対して、「その名称からしても課長という職責に対する手当としての側面も否定できない」ことを理由の一つとして、残業代の代わりにはならないと判断されたものがあります。
(スタジオツインク事件・東京地判平成23年10月25日)

2-2:管理職は大きな負担が伴う

会社が一般の管理職を「管理監督者」とみなして扱っている場合、労働時間や休憩・休日の規定が適用されないため、管理職が長時間労働を強いられるケースが多くなっています。

2019年の労働安全衛生法の改正によって、部下である社員の労働時間の削減が優先されるため、上司である管理職の業務量が増加する傾向が多くみられます。

このように、管理職は、組織の目標を達成し、部下の育成とマネジメントといった重責が課せられる中、自らの業務をこなしながら、部下の業務も補うという大きな負担が課せられています。

3章:管理職の残業代が認められるケースと事例

ここまでの解説でお分かりのように、会社が「管理職は残業代が出ない」と主張する理由は、必ずしも正当な理由とは言えない可能性があります。

そこでこの章では、管理職の残業代が認められるケースと、実際に裁判所の判断で管理監督者とみなされなかった事例とみなされた事例について解説します。

3-1:管理職の残業代が認められるケース

管理職の残業代が認められるケースとしては、管理職の職務内容や権限・待遇が、労働基準法の管理監督者に該当しない場合です。

労働基準法における管理監督者の要素として次の3つがあげられます。

  • 経営者に近い責任・権限を与えられている
  • 労働時間管理を受けていない
  • 地位にふさわしい待遇を受けている

これらの条件を満たしていない場合は、法律上の管理監督者に該当しない可能性が高いです。 

そのため管理職であっても、労働基準法に定められた労働時間や休憩、休日などの規定の対象となるため残業代が認められます。

実際ほとんどの管理職は、この条件を満たしているとは言えないため、当然残業代が支払われるはずですが、「課長」や「係長」「店長」という肩書を口実にして残業代が支払われていないケースが多いです。

条件を上から順に見ていきましょう。

■経営者に近い責任・権限を与えられている
管理職が、重要な会議に出席したり、社員の募集や会社の重要な決定に関わる権限を持っていない場合は、経営者に近い責任や権限を与えられているとは認められません。

そのため、管理職の肩書きを持っていても、自らの裁量で行使できる権限が少なく、上司の命令を部下に伝達するだけの役割しかない場合は、条件を満たしていないため管理監督者とは認められにくいです。

■労働時間管理を受けていない
管理監督者の立場にある人は、出勤や退勤の時間を自分で決定できる権限を持っていなければいけません。

そのため、勤務時間が決められており、遅刻や早退が会社からペナルティにされる場合は、条件を満たしていないため管理監督者とは認められにくいです。

■地位にふさわしい待遇を受けている
管理監督者の立場にあるかどうかは、給料や手当の額も判断材料となります。

例えば、「他の社員に比べて非常に高い賃金をもらっている」というのが一つの目安です。

わずかに役職手当がつくくらいでは、管理監督者の地位にふさわしい賃金とは言えません。

ただし、「非常に高い賃金」というのは業界や会社によって判断が曖昧であるため、待遇を基準にした判断は補足程度となります。

管理職の実態が、以上の条件を満たしておらず、管理監督者とは判断できない場合は、管理職であっても残業代が認められます。

3-2:管理監督者とみなされなかった事例とみなされた事例

管理職が、裁判所の判断で管理監督者とみなされるかどうかは、その実際の職務内容や待遇などの条件によって異なります。

過去の裁判例からみても、経営者と一体的な立場にあり、強い労務権限があるような場合でない限り、管理職という肩書だけで、「管理監督者」であると判断される可能性は低いといえます。

管理監督者とみなされなかった事例としては、次のようなものがあります。

◆生産工場の課長(サンド事件 大阪地判昭和58年7月12日)
このケースで、課長は従業員40人の工場で生産・人事管理に関わっていました。

しかし、裁判所の判断として
  • 人事の決定権を与えられていなかったこと
  • 勤務時間の拘束を受け、裁量の度合いが小さかったこと
  • 会社の利益を代表し、工場での業務を遂行するような職務内容、待遇を与えられていなかったこと

から管理監督者として認められませんでした。

◆学習塾の営業課長(育英社事件 札幌地判平成14年4月18日)
この事例で、営業課長は人事管理を含めた運営に関する管理業務全般の事務を担当。

しかし、裁判所は
  • 裁量的な権限が認められていなかったこと
  • 出退勤について、タイムカードへの記録が求められ、他の従業員と同様に勤怠管理が行われていたこと
  • 給与等の待遇も一般従業員と比べてそれほど高いとはいえなかったこと

に着目し、管理監督者性を否定しました。

一方で、管理監督者とみなされた事例としては、次のようなものがあります。

◆医療法人の人事課長(医療法人徳州会事件 大阪地裁昭和62年3月31日)
医療法人の人事第2課長として看護婦の募集業務などに従事した職員が、時間外・休日・深夜労働の割増賃金支払いを求めて提訴。

裁判所は、
  • 看護婦の採否の決定や労務管理で経営者と一体的な立場にあったこと
  • タイムカードの記録を求められていたものの、労働時間は裁量に任せられていたこと
  • 役付手当、特別調整手当が支給されていたこと

から管理監督者の地位にあったとしました。

以上の裁判例からみても、経営者と一体的な立場にあり、強大な労務権限があるような場合でない限り、管理職であっても残業代が支払われない管理監督者とはみなされません。

このように、管理職という肩書だけで管理監督者として認められるのは稀なため、多くのケースで残業代が認められる可能性があると言えます。

4章:管理職でも残業代を取り返すことができる2つの方法

管理職でも残業代を取り返せる方法には、次の2つがあります。

  • 自分で会社に内容証明を送る
  • 弁護士に残業代請求を依頼する

それぞれ解説していきます。

また、「自分の本当の残業代」を計算する方法や、残業代請求のための2つのポイントを解説していきます。

4-1:残業代を取り返す2つの方法

残業代を取り返すためには、大きく分けて次の2つの方法があります。

・自分で請求する方法
・弁護士に依頼する方法

自分で請求するとお金がかからないため、金銭的な面で有利なようですが、自分で会社と交渉する手間がかかり、取り返せる金額が少なくなることもあります。

弁護士への依頼の場合は取り返せる可能性が高く、手間がかからないのでおすすめです。

また、ここまで解説してきたように、管理監督者の判断や会社との交渉は、弁護士の専門的な知識が必要になります。

自分で請求する場合と、弁護士に依頼する場合のメリット・デメリットは次のようになります。

残業代請求を自分でやる場合と弁護士に依頼する場合の違い

このように、自分で請求する方法では、手間・時間・精神的負担が大きいだけでなく、弁護士に頼む方法に比べて回収できる金額が少なくなる可能性が高いです。

弁護士に相談するというと

「裁判みたいな大事になるのはちょっと・・・」
「費用だけで100万円くらいかかるのでは?」

と考えてしまう人もいるかもしれません。

しかし、弁護士に頼む=裁判ではありません。

残業代の請求でいきなり裁判になることは少なく、多くの場合「交渉」や「労働審判」という形で会社に請求していきます。

また、残業代請求に強い「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。

弁護士に依頼した場合の流れは、次のようになります。

弁護士に依頼した場合の流れ

弁護士に依頼すると、あなたの「会社と戦う」という精神的負担を、弁護士が肩代わりしてくれるだけでなく、時間・手間を節約することもできるのです。

ただし、弁護士に依頼する場合は、「弁護士なら誰でもいいだろう」とは考えないでください。

実は、法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の事案については、あまり知識がない弁護士が多いです。

そのため、残業代請求に強い弁護士に依頼することをおすすめします。

残業代請求に強い弁護士の選び方や、相談の流れ・かかる費用などについて、詳しくは以下の記事に書いていますので、ご覧ください。

【残業代請求】弁護士選びの8つのポイントと解決までの流れや費用を解説

4-2:残業代の計算方法

残業代の計算方法をわかりやすく解説します。

一般に残業代は、

固定残業代制の計算式

という式で計算することができます。

基礎時給とは、月給を時給に換算した金額のことです。

基礎時給の計算式

なお、この「月給」には、課長手当なども含めて計算することができます。

基礎時給に入れられる手当・入れられない手当

例えば、月給が25万円で役職手当が2万円、1か月の平均所定労働時間が170時間の場合、基礎時給は

(基本給25万円+2万円)÷170時間=約1,588円

になります。

実際には権限を持っていない基本給25万円の課長が、残業代をもらえていなケースについて考えてみましょう。

残業が平均1日3時間、出社日が20日だった場合の残業代は次のようになります。

1,588円×1.25倍(割増率)×60時間=11万9,100円

過去3年分(36か月)に遡ると、

11万9,100円×36=428万7,600円

と400万円以上になります。

残業代の計算について詳しくは以下の記事をご参照ください。

残業時間と残業代の計算方法やよくある疑問と残業代が少ない時の請求方法

4-3:残業代請求のために集めるべき証拠一覧

残業代請求の手段と残業代の計算方法について、簡単に解説しました。

次に、残業代を請求する上で最も大事な、「証拠」について解説します。

残業代を請求する最初のステップとして、自分で証拠集めを始めることをおすすめします。

証拠集めも弁護士に依頼することは可能ですが、弁護士が証拠を要求しても提出しない悪質な会社もあるため、会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことがより確実なのです。

残業代請求の証拠として有効なのは、以下のようなものです。

【勤怠管理している会社で有効な証拠】
  • タイムカード
  • 会社のパソコンの利用履歴
  • 業務日報
  • 運転日報
  • メール・FAXの送信記録
  • シフト表
【勤怠管理していない会社で有効な証拠】
  • 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
  • 残業時間の計測アプリ
  • 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)

会社が勤怠管理をしていないため、自分で勤務時間を記録する場合は、毎日手書きで、1分単位で時間を書きましょう。

具体的な業務についても書くのがベストです。

家族に帰宅を知らせるメールは、裁判になると証拠としては弱いので、できるだけ手書きでメモを取りましょう。

証拠は、できれば3年分あることが望ましいですが、なければ一部でもかまいません。

できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。

ただし、手書きの場合絶対に「ウソ」の内容のことを書いてはいけません。

証拠の中にウソの内容があると、その証拠の信用性が疑われ、証拠として利用できなくなり、残業していた事実を証明できなくなる可能性があります。

そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、曖昧さが指摘されないようにしておきましょう。

4-4:残業代請求には3年の時効がある

未払いの残業代の請求には「3年」の時効があり、時効が成立すると二度と請求できなくなります。 

時効の基準となるのは、「毎月の給料日」です。

【給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合】
例えば、給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合、2020年2月16日から3月15日までの給料は、2020年4月30日に支払われます。

そのため、2020年3月15日締めの給料は、2023年の4月30日経過時に時効を迎えます。

そこで、2020年3月15日締めの給料の時効を止めるためには、2023年の4月末までに「時効を止める」手続きを行う必要があります。

残業代請求の3年の時効

毎月の給料日がくるたびに時効が成立し、1か月分の残業代が消滅してしまいます。

少しでも多くの残業代を取り返すために、できるだけ早く行動を開始しましょう。

まとめ:管理職とは「社内の組織を監督する役職者」

最後にもう一度、今回の内容を振り返りましょう。

管理職とは「社内の組織を監督する役職者」を指す。

管理職に求められる3つの役割
  • 組織の業務管理
  • 部下の育成・マネジメント
  • 経営側と部下の橋渡し

管理職でも、法律上の「管理監督者」の要素を満たしていない場合は、普通の社員と同じように労働時間や残業代の規定が適用される。

労働基準法における管理監督者の3つの要素
  • 経営者に近い責任・権限を与えられている
  • 労働時間管理を受けていない
  • 地位にふさわしい待遇を受けている
管理監督者の要素を満たしている場合
  • 残業時間の上限がない
  • 法定休日が必要ない
  • 休憩時間が必要ない
  • 残業代が払われない
【勤怠管理している会社で有効な証拠】
  • タイムカード
  • 会社のパソコンの利用履歴
  • 業務日報
  • 運転日報
  • メール・FAXの送信記録
  • シフト表
【勤怠管理していない会社で有効な証拠】
  • 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
  • 残業時間の計測アプリ
  • 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)

会社側の「管理職には残業代が出ない」といった言葉に丸めこまれることなく、しっかりともらえる残業代を請求しましょう。

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