【ブラック企業の4つの相談先】相談できることと解決までの流れを解説
この記事を読んで理解できること
- 泣き寝入りはダメ!ブラック企業で悩む人はまず「相談すること」が大切
- ブラック企業の4つの相談先とは
- まずは証拠集めからはじめよう
自分が「ブラック企業で働いている」という自覚のあるあなたは、それをどこかに相談したいと考えているのではないでしょうか?
職場がブラック企業だと毎日会社に行くのが苦しくなってきますよね。
あなたは、上司からこんな事を言われていませんか?
「 会社に来るのが辛い?それを成長痛って言うんだよ。 それを乗り越えたら新しい自分になれるさ!」
「まだこいつは使えそうだから、ギリギリまで辞めさせずに、最後の一滴まで搾り取ってやるぜ! 」
ブラック企業はあなたのことをできるだけ安く、都合良く使うことで人件費を抑え、自分たちの利益を1円でも多くしようと考えています。
しかし、ブラック企業の本音に気が付いたとしても、どこに相談するか分からなければ、現状を変えることは難しいですよね。
こんな状況にあるあなたは、適切なところに相談することで、「慰謝料」や「未払い残業代」をもらうことができる可能性が高いです。
この記事を読むことで、ブラック企業の問題で悩むあなたが、「どこに」「どうやって」相談できるのか、理解することができます。
この記事を読み終わったらすぐに行動を起こすことができるでしょう。
しっかり最後まで読んで、自分がやるべきことを理解してください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■ブラック企業について相談するメリット
- 外部に相談することで「確実」かつ「円滑」に悩みを解消することができる可能性がある。
- 未払い残業代が返ってくる。
- 不当な解雇・出向などの処分が保留されることがある。
■ブラック企業について相談できる相談先
- 労働基準監督署
- 労働局
- 労働組合
- 弁護士→弁護士に相談することで、より確実に解決できる可能性がある
■ブラック企業のことを相談するためには、証拠を集めておくことが大事
1章:泣き寝入りはダメ!ブラック企業で悩む人はまず「相談すること」が大切
会社のことで悩むあなたに、まずお伝えしたいことは「泣き寝入りせず、相談すること」です。
多くの人はあまり知らないようですが、ブラック企業のことを相談できる相談先は、全国にたくさん存在します。
相談することで、あなたの悩みを解消できる可能性があります。
それでは、相談することのメリットと、お悩み別のおすすめの相談先について詳しく見ていきましょう。
1-1:外部に相談することであなたに訪れる3つの変化
これから紹介する相談先に相談することで、あなたには3つの変化が訪れます。
- 外部に相談することで「確実」かつ「円滑」に悩みを解消することができる可能性がある。
- 未払い残業代が返ってくる。
- 不当な解雇・出向などの処分が保留されることがある。
それぞれについて詳しく解説します。
1.外部に相談することで「確実」かつ「円滑」に悩みを解消することができる可能性がある
自分だけで会社を相手に交渉をしようとしても、相手は様々な問題の対応に慣れているブラック企業です。
そのため、あなた個人では手に負えない可能性が高いです。
そこで、行政組織や同じ悩みを持つ人が集まる労働組合などに行くことで、個人では解決できない問題を解決に導くことが可能になるのです。
2.未払い残業代が返ってくる
多くのブラック企業は、従業員の残業代を適正に払っていません。
しかし、個人で未払いの残業代の支払いを要求しても、うまく丸め込まれてしまう可能性が高いです。
外部に相談することで、未払いの残業代が返ってくる可能性が高くなります。
3.不当な解雇・出向などの処分が保留されることがある
外部の相談先に相談して裁判を起こした場合、「仮処分申立」して「退職強要禁止の仮処分」「出向の効力停止の仮処分」などの対応ができることがあります。
つまり、裁判で判決が出るまで、退職や出向をとりあえず保留してもらうことができるということです。
1-2:弁護士に依頼することでより確実に解決できる
以上のように、外部の相談先に相談することで、あなたの問題を解決できる可能性があるのです。
しかし、どこに相談してもいいわけではありません。トラブルの内容によって、相談できる相談先が異なります。
それぞれの相談先には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット | |
労働基準監督署 | 電話やメールで手軽に相談できる。 | 緊急性の高い案件でなければ動かないこともある。 |
匿名で相談・依頼可能。 | 賃金の不払いなどに対しては、動かないことが多い。 | |
労働局 | セクハラ、パワハラ、不当解雇、不当な配置転換なども相談可能。 | 相談に行っても会社との間での「話し合い」を促すだけであったり、助言するだけのことが多い。 |
紛争解決のために、会社に対して助言してくれる。 | ||
労働組合 | 労働組合との交渉を会社は断ることができないため、確実に交渉できる。 | 他の組合員の団体交渉などに参加しなければならないことがある。 |
団体の力を使えるため、会社に対して圧力をかけられる。 | 「組合費」活動のための「カンパ」など、費用がかかる。 | |
会社と戦うためのノウハウを持っている。 | あくまで自分が中心になって活動しなければならない。 | |
弁護士 | 会社からお金を取れる可能性が高い。 | お金がかかる。(ただし、完全成功報酬制の弁護士の活用で、負担はほとんど無くなる) |
有利に解決できる可能性が一番高い。 | 訴訟の場合は解決まで時間がかかることがある。(ただし、ほとんどは訴訟まで進まずに解決される) | |
自分のかわりに弁護士が前面に立って戦ってくれる。 | − |
ただし、あなたが慰謝料を請求したり、未払いの残業代を取り戻したいと考えている場合、労働問題のプロである弁護士へ相談することをおすすめします。
彼等は労働問題の解決のプロフェッショナルなので、他の相談先よりも、より確実にお金を取り戻すことができるからです。
そのお金の金額は、あなたの時給が1,200円で毎月60時間分の未払いの残業代があるとしたら、2年分で216万円にもなります。
より確実な相談先である弁護士に相談することで、あなたが受け取ることができるお金の金額も変わってきます。
取り戻すことのできる残業代の計算方法については、以下の記事をご覧ください。
残業代の時給をごまかす「3つの手口」と残業代の「正しい計算方法」
弁護士に相談することのメリットについて、理解することはできましたか?
とはいえ、他の選択肢も大事ですので、第2章ではそれぞれの相談先に相談したい場合、具体的には「どこに」「どんなことを」相談することができるのか、詳しく解説していきましょう。
2章:ブラック企業の4つの相談先とは
先ほど、あなたがブラック企業に関するお悩みを持っている場合に、相談先として以下の4つをご紹介しました。
- 労働基準監督署
- 労働局
- 労働組合
- 弁護士
とはいえ、これから初めて相談したいと考えているあなたは、どの相談先が「どんなところ」で、「どうやって相談に行けばいいのか」、「お金がかかるのか」など分からないことだらけだと思います。
どこに相談しても良いわけではなく、それぞれに向いている相談の内容があり、解決までのプロセスもそれぞれ異なります。
あなたの抱えるトラブルは、どの相談先が適切なのか、まずは知ることから始めましょう。
2-1:労働基準監督署への相談
あなたにとって、あまり身近な存在ではないかもしれませんが、「労働基準監督署」は様々な労働問題を相談することができる行政組織です。
あなたが抱えるトラブルの内容によっては、労働基準監督署へ相談することで解決することができるかもしれません。
労働基準監督署に相談できることは、以下のようなことです。
2-1-1:労働基準監督署に相談できること
労働基準監督署が得意とする相談内容は、「労働基準法に違反している可能性のある問題」です。
【得意とする相談内容】
- 毎日長時間労働させられている。
- 給料、残業代が払われてない。
- 労災がおりない。
- 危険な現場で仕事させられている。
こういった問題については、労働基準監督署に相談することで、解決につながる可能性があります。
それでは、労働基準監督署に相談する場合の、具体的な流れについて解説します。
2-1-2:労働基準監督署に相談した場合の流れ
【労働基準監督署に相談するまでの2つのステップ】
①証拠を集めておく
労働基準監督署に動いてもらうためには、証拠を集めて直接相談に行くことが一番有効です。
何故なら、証拠がないと労働基準監督署は、ただの「情報提供」としてしか扱わず、実際に調査に入らないことが多いからです。
②労働基準監督署に相談する
労働基準監督署に相談する場合、「電話」「メール」「窓口で相談」のどれかの方法を選ぶことができます。
また、匿名での相談も可能です。ただし、電話・メールでの相談や匿名の相談だと「緊急性が低い」と思われて、実際に動いてくれないことがあるので注意が必要です。
そのため、やはり、直接相談に行くことが一番有効です。(この場合は匿名での相談は難しい)
労働基準監督署の窓口は土日祝日が休みであり、かつ平日の17:15までしか開いていないため、平日の昼間に行く必要があります。
【労働基準監督署に訴えた後の流れ】
①労働基準監督署が会社を調査
労働基準監督署があなたの申告から、まずは実態がどうなっているのか調査します。
②違法性があったら会社へ是正勧告
違法性があった場合に、それを改善させるために「これをやめなさい」「こう改善しなさい」という是正勧告をします。
③従わなければ経営者を逮捕
再三の勧告で改善されなかった場合は、最終的には逮捕に踏み切ることもあります。
ただし、労働基準監督署が逮捕に踏み切るのは例外的な悪質なケースのみです。
全国には400万を超える法人があるにもかかわらず、日本の労働基準監督署の人員は、非常勤の職員を含めても約2400人しかおらず、明らかに人員不足です。
相談にいっても対応するのは非常勤の社労士であることが多く、労働基準監督署に訴えることは、確実に解決に繋がるとは言えません。
経営者にとっては痛くもかゆくもないことが多いため、特に「会社からお金を取り戻したい」という場合は、後から紹介する別の方法をおすすめします。
2-2:労働局への相談
2-2-1:労働局に相談できること
労働局には、労働問題に関する問題を何でも相談することができます。
ただし労働基準法に関わる問題(賃金、労働時間、危険作業など)は労働基準監督署に相談するべきなので、それ以外の問題を相談することができます。
特に、セクハラ、パワハラ、職場でのいじめなどは、労働局に相談されることが多いようです。
2-2-2:労働局に相談した場合の流れ
【労働局に相談するまでのステップ】
①証拠を集めておく
最終的に会社と話し合いの場を持つことになった場合のために、会社から受けた扱いを証明することができるような証拠を集めておきます。
②窓口で相談
自分の住む地域にある労働局を探して、窓口へ行って相談しましょう。多くの労働局では、電話やメールによる匿名での相談も可能です。
【労働局に相談した後の流れ】
①助言やあっせんを受ける
労働局では、トラブルを相談した場合「その問題にはこう対応したらいいよ」という助言を受けるだけであることが多いようです。
ただし、労働局の下部組織である「紛争調整委員会」を利用すると、紛争調整員会の「あっせん(=裁判を利用せずにトラブルの解決を図る方法)」を受けることができます。
②助言やあっせんに伴う行動
「助言」を受けた場合は、その助言を参考に自分で行動をおこす必要があります。
「あっせん」の場合は、紛争調整員会によって話し合いの場が設けられます。
ただし、あっせんには参加の強制力がないため、会社側は労働局が連絡しても、あっせんを無視することができます。
そのため、実際には紛争調整員会を利用しても解決しないことが多いです。
2-3:労働組合への相談
ブラック企業を訴える場合、あなた個人で訴えるのではなく、労働組合に入ることで、「団体の力を使って訴える」という選択肢もあります。
2-3-1:労働組合に相談できること
会社の労働組合や「個人加盟労働組合」には、以下のようなことが相談可能です。
【得意な相談内容】
労働組合によって得意とする問題が異なるため、あなたの訴えたい内容・業界・職種などに合ったところを選ぶ必要があります。
それでは、労働組合に入って訴えるためのステップについて解説します。
2-3-2:労働組合に相談した場合の流れ
【労働組合に入るステップ】
<①自分にあった労働組合を選んで入る>
労働組合はどこでも良いわけではないため、以下の2つの点から選ぶ必要があります。
<ポイント①>
繰り返し通うことになるため、自宅から通いやすいところを選ぶ。
どの地域にも複数の労働組合があるため、まずは自分の住む地域から加入できるところを探す必要があります。
インターネットで検索すれば簡単に探すことができます。
<ポイント②>
労働組合は、それぞれ得意とする問題が異なるため、あなたの訴えたい内容や業界・職種などに合ったところを選ぶ。
地域によっては以下のような様々な種類の労働組合があります。
- 女性の問題が得意な労働組合
- 管理職の問題が得意な労働組合
- 35歳未満のみが参加できる若者向けの労働組合
など。
そのため、よく調べてあなたに合った組合に入ることをおすすめします。
②相談して参加する
労働組合には、アポイントメントをとってトラブルの内容を相談し、自分のトラブルがその労働組合で解決できそうであれば、会費を払えばすぐにでも加入することができます。(会費は安いところで1000円程度のようです。)
【労働組合に入った後の流れ】
労働組合に加入すると、あなたの問題を解決するために助言やサポートしてくれます。
相談した後の展開は、以下の2つです。
<①労働組合と会社で団体交渉する>
まずは、あなたと一緒に労働組合が団体として会社と交渉します。
労働組合との団体交渉を経営者が拒否することはできませんので、確実に交渉することができます。
<②交渉で解決しなかった場合、多様な方法で争う>
団体交渉で解決しなかった場合、様々な方法で会社に対して圧力をかけることが可能です。
あなたは望まないと思いますが、例えば、「会社の営業活動を妨害し、問題の解決を要求する」ための活動が行われることがあります。
具体的には、
会社の不当な行為を訴えるビラを配る
などの活動です。
労働組合に入って訴えることで、一人で交渉するより解決の確実性が高まります。
しかし、手間や時間、会費などのお金がかかるというデメリットも多いため、これから紹介する弁護士を利用して訴える方法をおすすめします。
2-4:弁護士への相談
これまで紹介した方法に対して、より確実な効果が期待できるのが、弁護士に相談することです。
弁護士に相談するというと 「裁判みたいな大事になるのはちょっと・・・」
「何十万円もかかるんじゃないの?」
と考えてしまうかもしれません。
2-4-1:弁護士に相談できること
弁護士に依頼できるのは、以下のような相談内容です。
【得意な相談内容】
法律に関するトラブル全般
(給与の未払い、残業代請求、パワハラ、セクハラ、不当解雇など)
それでは、相談する場合の具体的な流れについて解説します。
2-4-2:弁護士に相談した場合の流れ
【弁護士に依頼するまでのステップ】
弁護士に依頼する前にやることとしては、以下のことがあります。
- 弁護士を探して電話や面談で相談
- 証拠を集める(詳しくは3章へ)
その後は、基本的に弁護士に任せておけば、弁護士が解決まで進めてくれます。
【弁護士に依頼した後の流れ】
弁護士に相談し会社と争うことになると、以下の3つの段階があります。
①弁護士が会社との間に入って交渉する
弁護士が電話や書面を用いて、直接会社と交渉します。
弁護士は、あなたからヒアリングした内容をもとに交渉しますので、あなたは会社に出向く必要はありません。
何度か弁護士と会社が交渉し、金額が折り合った時点で、残業代支払いとなります。
交渉だけで終わった場合、あなたはほとんど何もする必要がなく、いつのまにか弁護士が解決して口座にお金が振り込まれているイメージです。
②交渉で解決しなかった場合は労働審判
労働審判とは、裁判労働審判の場合は、解決するまで以下のような流れで進みます。
労働審判の回数は、最大3回までと決められているため、裁判のように何回も裁判所に行ったり、長期化することがないのが特徴です。
最初の1回のみは、あなたも労働審判に参加する必要がありますが、その後は参加しなくてもいい場合もあります。
裁判になると費用や手間がかかるため、ブラック企業の経営者もできれば裁判はやりたくないと考えています。
そのため、多くの場合、「交渉」か「労働審判」で決着が付きます。
しかし、労働審判において決定されたことに不服がある場合は、訴訟(裁判)へ移行します。
裁判所に行き、会社・あなた・裁判官などの専門家で問題の内容を確認し、解決の方法を探す方法です。
③労働審判で解決しなかった場合は訴訟(裁判)
訴訟(裁判)では、裁判所で「原告(あなたもしくは、あなたが依頼した弁護士)」と「被告(会社)」が主張し合い、裁判官が判決を下します。
訴訟は、労働審判と違って、回数の制限が無いため、数年単位に長期化する可能性があります。
訴訟の流れはこのようになっています。
最高裁まで行くことはほとんどないため、多くは高等裁判所での数年程度で終わるようです。
裁判所で「原告(あなたもしくは、あなたが依頼した弁護士)」と「被告(会社)」が主張し合い、裁判官が判決を下します。
裁判になると労働審判のように、最大3回という決まりもないため、数年単位で争うこともあります。
ただし、先ほどお伝えした通り、「残業代の請求」で裁判まで行くことは、ほとんどなく労働審判で決着がつきます。
【パワハラは、慰謝料ではなく残業代請求でお金をもらう!】
もし、あなたが訴えたい内容がパワハラの場合、これまで紹介した、どの方法で訴えたとしても慰謝料をもらえる確率はとても低いのが現実です。
【事例:第一興商事件(東京地裁判決 平成24年12月25日)】
「うちでは落ちこぼれ従業員はいらない」と言われたり、週一で開かれる部の全体会議にも出席させてもらえず、会議の内容を聞いても「お前に教えられるような情報はない」と言われるようなパワハラを受け視覚障害になったと主張したが、パワハラに関する請求が認められなかった事件。
一方、パワハラをするようなブラック企業は残業代をごまかしている可能性も高いです。
そこで、弁護士に依頼して「パワハラ」ではなく、「残業代請求」をすることが一番お金を取り戻せる可能性が高いです。
第3章:まずは証拠集めからはじめよう
どの相談先に相談するにしても、まずは証拠を集めることからはじめることをおすすめします。
そして、あなたのトラブルの内容に適した証拠を集めることがとても大事です。
それでは、まずは残業代をもらうために集めるべき証拠からついてお伝えします。
3-1:残業代を払ってもらうための証拠
残業代を払ってもらうため、また長時間労働やサービス残業を相談するために、証拠として有効なものには以下のものがあります。
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠の写真やコピーをとって、集めておきましょう。仮に、これらの証拠になるものが一切なくても、諦める必要はありません。
タイムカードを置いてなかったり、日報をつけない、勤怠管理してない会社でも、以下のようなものが証拠になり得ます。
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
できれば3年分の証拠があることが望ましいですが、それが無理なら半月分でもかまわないので、できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
会社に在籍しているうちに証拠を集めておくことで、残業代を取り戻せる可能性がより高くなるのです。
3-2:不当な扱いを受けたときの証拠
会社から不当に解雇されたり、パワハラやセクハラを受けた場合も、それぞれのケースによって必要となる証拠が異なります。
3-2-1:不当解雇の証拠
解雇が不当なことを証明するための証拠は、会社が提示する解雇理由によって異なります。
整理解雇の場合
会社の業績が極端に悪化してないことを示す証拠、自分が解雇された後に会社が新しく社員を募集していたことを示す求人票など。
能力不足を理由にした解雇
営業成績を示す表の写真、自分が担当して作った成果物など。
病気を理由にした解雇
病気がちでも働くことには問題がないことを示す診断書
懲戒解雇
解雇理由を詳しく確認できる「懲戒解雇理由証明書」。
不当解雇に関して詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。
3-2-2:パワハラ、セクハラを受けたときの証拠
会社の上司などからパワハラやセクハラを受けていた場合、以下のようなものを証拠として残しておくことが重要です。
暴力を受けて怪我した場合
医師の診断書
暴言を受けていた場合
ICレコーダー、スマホなどによる録音、メールを印刷したもの、パワハラを受けた日時や内容について詳細に記録したメモ
ただし、パワハラやセクハラは客観的に証明することが難しく、証拠がなければ訴えることは難しいです。
また、パワハラは労災として認定されるのは30%程度、慰謝料を請求してももらえるのは30万円前後と、あまり高額でもありません。
ただ、不当解雇やセクハラ・パワハラをするような会社は残業代もごまかしている可能性が高いです。
そのため、慰謝料請求よりも残業代の請求でお金をとる方が確実です。
証拠は正確なものがたくさんあるほど有効ですので、今の会社を辞めてしまう前に、少しずつコツコツと集めて、会社からお金を取り戻す準備をしていきましょう。
まとめ:ブラック企業の相談先
あなたが在籍している会社のことを、どこに、どのように相談すれば良いのか理解できたでしょうか?
最後にもう一度今回の内容を振り返ってみましょう。
まず、相談先としては「労働基準監督署」「労働局」「労働組合」「弁護士」の4つがあり、それぞれでできることが異なることを説明しました。
それぞれのメリットとデメリットをまとめました。
【労働基準監督署】
<メリット>
- 無料で相談できる
- とても悪質な場合は経営者の逮捕もできる
<デメリット>
- 全ての相談・申告で動くわけではない
- 賃金の不払いなどに対しては動かないことが多い
【労働組合】
<メリット>
- 経営者と確実に交渉することができる
- 会社と争うたくさんのノウハウを持っている
<デメリット>
- 他の組合員のために活動しなければならないことも
【弁護士】
<メリット>
- 解決できる可能性が一番高い
- 自分のかわりに弁護士が前面に立って戦ってくれる
<デメリット>
- ある程度のお金がかかる(ただし完全成功報酬制の事務所なら着手金がかからない)
- 訴訟の場合は解決まで時間がかかることがある(ただし訴訟まで進むことは少ない)
そして、いずれの方法でも会社と争うための証拠が必要で、残業代をもらうためにはタイムカードや業務日報、残業時間を記録したメモ、メールのコピーや録音などが有効だとお伝えしました。
これであなたは、行動するための具体的な手順や方法が、理解できたことと思います。
頑張って今の環境から脱出してください!