【弁護士が解説】残業が長いプログラマーの実態と残業の正しい知識
この記事を読んで理解できること
- プログラマーの残業実態と残業が多い4つの理由
- プログラマーの残業とブラックな会社の特徴
- 残業が短い職場の見分け方
- 転職の際には未払い残業代も請求できる
あなたは、
「プログラマーの残業が多いのはなぜ?」
「プログラマーの残業が多い会社の特徴が知りたい」
「プログラマーの残業代はちゃんと出ているのか心配」
などとお考えではないですか?
結論から言うと、プログラマーの仕事は、働き方改革や人材確保のため残業の少ないホワイトな会社がある反面、長時間の残業が常態化しているブラックな会社もあります。
なぜなら、会社の規模や請け負う業務内容などによって、プログラムの仕事にも様々な側面があるからです。
例えば、ブラックな会社の場合、孫請けにあたるプログラミング業務のため、過労死レベルの月80時間以上の残業を強いられている人もいます。
この記事では、1章ではプログラマーの残業実態と残業が多い4つの理由を、2章ではプログラマーの残業とブラックな会社の特徴を、3章では残業が短い職場の見分け方をわかりやすく説明します。
さらに、4章では、転職の際に未払い賃金・残業代を請求する方法について解説します。
記事を理解し、会社にいいようにこき使われないよう、正しい知識を身につけましょう。
1章:プログラマーの残業実態と残業が多い4つの理由
この章では、長時間残業が多いプログラマーの残業の実態と、プログラマーに残業が多い4つの理由について解説していきます。
1-1:長時間残業が多いプログラマーの実態
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査※1」によると、「プログラマー※2」の残業時間(超過実労働時間数)の平均は次のようになっています。
- 企業規模10人以上 13時間
- 1000人以上 16時間
- 100~999人 14時間
- 10~99人 9時間
※1、令和3年賃金構造基本統計調査
※2、令和元年以前の職種区分では「プログラマー」とされていましたが、令和2年以降の職種区分では「ソフトウェア作成者」となっています。
ただし、厚生労働省の調査は、次のような理由から、実際の数字よりも少なく出ると言われています。
- 会社が回答するため実態を反映しづらい
- プログラマーの中でも残業の長い短いがある
- ブラックな環境で働く人は過少申告を求められる
つまり実際の現場には、もっと長い時間にわたって酷使され、残業に苦しんでいるプログラマーが多くいると考えられます。
プログラマーの仕事と言っても、次のような労働形態によって、待遇や勤務体系は様々です。
- 自社開発:自社で開発を行う
- 受託開発:他社から仕事を請け負っている
- 客先常駐:客先に常駐して仕事を行う
プログラマーの残業を考える時、問題になるのはこのうち「受託開発」と「客先常駐」です。
こうした働き方では、納期直前になると1か月で100時間を超える残業を強いられるケースもあります。
過去には、残業が毎月100時間を超えていたプログラマーが、体調を壊し働いていた会社を訴え、500万円を超える残業代を取り戻した事例もあります。
1-2:プログラマーに残業が多い4つの理由
プログラマーに残業が多い理由として、次の4つがあげられます。
- 小さな会社が多い
- スケジュールに余裕がない
- クライアントに振り回されやすい
- 勉強しなければならないことが多い
順番に解説していきます。
1-2-1:小さな会社が多い
近年では、プログラマーに対するニーズは幅広くなり、求められる仕事は細分化されています。
そのため、開発系のIT企業には、少人数で立ち上げたベンチャー企業など小さな会社も多くなっています。
こういった小さな会社の場合、人員や経営的な余裕があまりないため、クライアントの無理な要求を受け入れてでも仕事を受注するケースが多くあります。
こうしたしわ寄せが、働くプログラマーに及ぶのはよく見られるパターンです。
1-2-2:スケジュールに余裕がない
下請けや受託開発の案件では、スケジュールに余裕がないケースがよく見られます。
孫請けなど下層の企業になればなるほど納期が厳しくなり、しかも納期は絶対厳守が求められるため、スケジュールに追われ残業が多くなります。
人員不足や工数の計算違い、クライアントの要望など理由はさまざまですが、こうしたプロジェクトの都合に振り回され、残業が長くなってしまうのが、現場のプログラマーです。
1-2-3:クライアントに振り回されやすい
クライアントが作成途中のシステムに満足せず、改善や機能の追加を求める、というのもよく見られるケースです。
修正や変更の指示があっても、予算の追加やスケジュールの延長があれば問題ないのですが、大抵の場合、納期は変えずにクライアントの要望に応えなければなりません。
現場とクライアントの間に立つプロダクトマネージャーもクライアントを納得させることができず、現場のプログラマーが無理な残業を強いられるというパターンがよく起こります。
1-2-4:勉強しなければならないことが多い
「未経験OK」といった職場でよく見られる事例ですが、社内での教育体制が整っていない会社で現場に参加した場合、プログラマーにとっては分からないことばかりです。
仕事をこなしていくためには、自分で調べて勉強する必要があるため、必然的に会社にいる時間も長くなってしまいます。
こうした残業時間は「自主的な学習」とみなされることが多く、残業代の支払いは期待できないのが実情です。
このようにプログラマーの仕事は残業が多くなりがちなため、残業代をごまかすブラックな会社もあります。
2章:プログラマーの残業とブラックな会社の特徴
プログラマーの残業代を払わないブラックな会社の特徴として、次の4つがあげられます。
- さまざまな労働形態を悪用している
- 固定給に残業代が含まれている
- タイムカードを決まった時間に切る
- 翌日までのノルマを課す
順番に解説していきます。
2-1:さまざまな労働形態を悪用する
ブラックな会社は、プログラマーを残業させるために
- 裁量労働制
- 固定残業代制(みなし残業代制)
- フレックスタイム制
- 年棒制
といった制度を悪用するケースがよく見られます。
【裁量労働制】
裁量労働制とは、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ会社側と決めた時間を労働時間と「みなす」制度です。
例えば、会社側と1日のみなし労働時間を8時間と決めていたら、10時間働いた日でも働いた時間は8時間とみなされ、残業代は発生しません。
ただ、この裁量労働制は誰にでも適用できるわけではなく、対象が決められています。
プログラムの設計や作成を行うだけのプログラマーは、裁量労働制の対象となる業務ではないため、こうした適用は違法の疑いが強いと言えます。
裁量労働制の適用条件については、次の文章でも詳しく説明していますのでご確認ください。
SE・PG必見!【IT業界における裁量労働制】法律から見る違法性の高いケースとは
【固定残業代制(みなし残業代制)】
固定残業代制(みなし残業代制)とは、一定の残業時間分の残業代を最初から給料として払っておく制度です。
例えば、次のような求人があったとします。
A社:基本給32万円(60時間分の残業代5万円を含む)
B社:基本給27万円(残業代は規定による)
一見、A社の方が社員の残業代をしっかりと支払う良い会社のように思えますが、B社で通常の計算をもとに残業代をもらえれば、A社よりも給与は高くなります。
また、始めから60時間という長い残業時間が想定されているうえに、60時間を超えた残業をしても、それ以上の残業代は支払われません。
逆に、60時間に届かない場合は、その分残業代を減額するといったこともあります。
そもそも、60時間の残業に対して5万円の残業代は金額が低すぎるので、計算方法が不当である可能性も高いです。
固定残業代制については、次の記事でも詳しく解説していますのでご確認ください。
【フレックスタイム制】
フレックスタイム制とは、始業や就業の時間を社員が自分で決めることができる働き方のことです。
ブラックな会社では、プログラマーに対してフレックスタイム制が適用されていると説明しながら、基準をオーバーした労働時間を設定するケースがあります。
制度の要件を満たさず違法に導入されている場合は、法定労働時間を超えた時間は残業が認められ、残業代も発生することになります。
フレックスタイム制については、以下の記事でも解説していますので、自分の働き方が当てはまる人はご覧ください。
フレックスタイム制とは?正しい使い方とメリデメや残業代の計算方法
【年棒制】
IT企業で採用されることの多い年俸制ですが、「年俸制だから残業代が出ない」というのは誤りです。
年俸制は、1年単位で支払う給料の額を決めるため、その決まった額以上の金額は一切支払わないものとすると、会社側に悪用されることがとても多いです。
しかしこれは間違いで、例え年俸が決まっていても、残業した場合は、その分の割増賃金を支払わなければいけません。
もしあなたが会社との間に年俸制の契約を結んでいても「1日8時間、週40時間」を超えて働いた分の労働には残業代が発生します。
年俸制の残業代については、次の記事をご確認ください。
【年俸制でも残業代が出る】その理由と残業代の計算方法を徹底解説
2-2:固定給に残業代が含まれているとする
社員に長時間の残業を強いるブラックな会社は、
「固定給に残業代が含まれている」
「残業代はうちの会社では出ない」
などと主張するケースがあります。
しかし、固定給であっても、法定労働時間を超えた残業が発生した場合は、残業代を支払わなければ違法です。
一定の時間を超えたら残業代を支払うことが法律で定められているように、会社が一方的にそうしたことを決定することはできません。
2-3:タイムカードを決まった時間に切る
会社によっては、就業規則で決められた定時を迎えると、自動的にタイムカードが切られることがあります。
会社には、働く社員の勤務実態を把握する義務があり、それをしないどころか会社自ら実態を改ざんするのは問題です。
こうした場合では、タイムカードの記録にかかわらず働いた時間が労働時間になり、あなたは残業した分のお金を受け取る権利があります。
このように、タイムカードが違法な使われ方をしている場合や、タイムカードで勤怠が管理されていない場合は、手書きでもよいので出社時間や退社時間を記録しておきましょう。
2-4:翌日までのノルマを課す
あなたは、会社から次のように言われたことはないでしょうか。
「今やってもらってる件、明日までに終わらせておいてね」
そのように言われた社員は、チームに迷惑がかからないよう、仕事を終わせるために残業をしてしまいます。
残業かどうかを考えるときに、「会社や上司からの指示があったか」が判断材料になりますが、このように直接的な指示は出さずに残業をさせる例もあります。
仕事が業務時間に終わらない時や、日常的に遅くまで残って行う仕事が発生している場合では、直接的な指示がなくても残業として認められることがあります。
次章では残業が短い職場の見極め方について解説します。
3章:残業が短い職場の見分け方
今いる会社の長時間残業に悩んでいるあなたは、プログラマーとしてのキャリアが生かせる新しい職場を探したいと考えているかと思います。
残業が短い職場を見つけるためには、次のような項目をチェックしましょう。
当てはまるものが多ければ、それだけその会社は残業が短いと言えるかもしれません
- 残業代の規定がある
- 長時間のみなし残業代が規定されていない
- 自社開発が行われている
- ノー残業デーが設けられている
- 「生産性」を重視する文化がある
- 社員が定時退社している
- プライベートを大切にする雰囲気がある
「求人」「業務内容やルール」「社風」という3つの切り口から順番に解説していきましょう。
3-1:求人からわかるポイント
まずは、求人からわかるポイントについて説明します。
3-1-1:残業代の規定がある
求人情報には、ほとんどの場合「給与」という項目が記載されています。
例えば、次のような求人情報を考えてみましょう。
- 職種:プログラマー
- 雇用形態:正社員
- 給与:基本給24万円+各種手当(時間外手当、休日出勤手当、通勤手当など)
この「各種手当」に含まれているのが、時間外や休日に出勤した分の給料、通勤手当などです。
こうした記載がない場合には、残業代を支払っていない可能性があるので注意が必要です。
3-1-2:長時間のみなし残業代が規定されていない
求人募集に、
基本給32万円(80時間分の残業代を含む)
といったみなし残業時間についての記載があった場合は、プログラマーに対して残業代を払おうとしない会社と考えて良いかもしれません。
2章でも解説したように、始めから80時間という長い残業時間が想定されているうえに、80時間を超えた残業をしても、それ以上の残業代は支払われません。
最悪の場合、80時間に届かない場合は、その分基本給を減額するといったこともあり得ます。
逆に、こうしたことが書かれておらず、面接などで直接確認しても「そうした制度はない」と答えが得られた場合は残業時間が短い会社である可能性があります。
みなし残業代制についてはこちらの記事を参照してください。
3-2:会社の業務内容やルールからわかるポイント
次に、会社がどのような仕事をしているか、どのような社内ルールがあるか確認しましょう。
3-2-1:自社開発を行なっている
ITエンジニア業界では、仕事の性質を自社開発と受託開発と区分することができます。
- 自社開発:自社でシステムやwebサービス、アプリなどを開発・運営
- 受託開発:クライアントから仕事を請け負って開発を進める
自社開発を行っている職場は、大手または企業体力がある会社であることが多く、コンプライアンス等も整っているケースが目立ちます。
そのため、仕事内容が自社開発となっている場合は、残業時間や労働環境を考える手がかりになります。
3-2-2:ノー残業デーが決められている
IT業界には、長く日本で良しとされてきた長時間労働、年功序列といった文化を取り入れず、社員が働きやすい環境を整えようとする会社もあります。
「ノー残業デー」や「残業禁止」を掲げている会社もありますが、会社のトップがこうした目標を掲げている場合は、社員の残業時間も短くなる傾向があります。
3-3:社風からわかるポイント
会社の文化や雰囲気からも、残業時間が短いかどうかを判断することができます。
3-3-1:「生産性」を重視する文化がある
ひと時代前の会社では「長く働いている=頑張っている」とみなす価値観が強くありましたが、IT系など比較的若い会社には「長く働いている=非効率」とする考えが強くなっています。
時間をかけず、効率的に仕事を進めるのが良しとされている会社であれば、本質的には意味のない残業が少なくなります。
3-3-2:社員が定時退社している
当然のことながら、社員が定時退社している会社は残業時間が短いと言えるでしょう。
プログラマーであれば、夜に行われる交流会や勉強会に積極的に出席しているような人は、比較的早い時間に退社していると考えられます。
3-3-3:プライベートを大切にする雰囲気がある
会社や上司がプライベートを大切にしている場合も、残業が短い職場のひとつのサインになります。
もちろん、業務上避けられない残業はありますが、今すぐやる必要のない残業については、翌日に回したり、メンバーで分担したりといった調整を行ってくれることもあります。
今いる会社の残業時間や労働環境が改善されない場合は、転職を考えて行動することをおすすめします。
また、転職する場合は、これまで受け取れるはずだった残業代を、改めて見直し請求することができます。
4章:転職の際には未払い残業代も請求できる
もしあなたが、別の会社でプログラマーの仕事を続けようと考えている場合は、転職する前にこれまでタダで働いてきた分の残業代を請求することをおすすめします。
残業代を取り返そうと思った時、あなたが選べる選択肢としては
- 自分で請求する方法
- 弁護士に依頼する方法
という2つがあります。
それぞれのメリットとデメリットは次の通りです。
しかし、ただでさえ忙しいプログラマーのあなたが、転職活動と並行して証拠集めや残業代の計算、会社との交渉などに時間を使うのは大変な作業になります。
そのため、手間がかからず、残業代を取り返せる確率も高い「弁護士への依頼」をおすすめします。
4-1:弁護士に依頼して残業代を請求する
残業代をより高額かつ確実に取り返すためには、弁護士に依頼することが最善です。
なぜなら、残業代の計算や交渉は、専門的な知識が必要なため、1人で戦っては会社側に負けてしまうおそれがあるからです。
弁護士に依頼した場合、
- 交渉
- 労働審判
- 訴訟(裁判)
といった手段によって、残業代請求の手続きが進められます。
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟」になることは少ないです。
おそらくあなたが心配しているであろう「費用」の面でも、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
弁護士に依頼すると、あなたの「会社と戦う」という精神的負担を、弁護士が肩代わりしてくれるだけでなく、時間・手間を節約することもできるのです。
ただし、弁護士に依頼する場合は「弁護士なら誰でもいいだろう」とは考えないでください。
実は、法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の件については、あまり知識がない弁護士が多いです。
そのため、残業代請求に強い弁護士に依頼することをおすすめします。
残業代請求に強い弁護士の選び方や、相談の流れ・かかる費用などについて、詳しくは以下の記事に書いていますので、ご覧になってください。
【残業代請求】弁護士選びの8つのポイントと解決までの流れや費用を解説
4-2:残業代請求における2つのポイント
残業代請求には、
- 3年の時効が成立する前に手続きを行う
- 必要な証拠を集めておく
というポイントがあります。
それぞれ順番に解説します。
4-2-1:残業代請求には3年の時効がある
未払いの残業代は、いつまでも請求できるわけではありません。
「3年」の時効が成立すると、二度と請求できなくなります。
時効の基準となるのは、「毎月の給料日」です。
【給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合】
例えば、給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合、2020年2月16日から3月15日までの給料は、2020年4月30日に支払われます。
そのため、2020年3月15日締めの給料は、2023年の4月30日経過時に時効を迎えます。
そこで、2020年3月15日締めの給料の時効を止めるためには、2023年の4月末までに「時効を止める」手続きを行う必要があります。
毎月の給料日がくるたびに時効が成立し、1ヶ月分の残業代が消滅してしまいます。
少しでも多くの残業代を取り返すために、できるだけ早く行動を開始しましょう。
4-2-2:残業代請求に必要な証拠一覧
未払いの残業代を請求するときに、まずやるべきなのが「証拠集め」です。
証拠集めは、まずは自分で行うことをおすすめします。
証拠集めも弁護士に依頼することは可能ですが、弁護士が証拠を要求しても提出しない悪質な会社もあるため、会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことがより確実なのです。
残業代請求の証拠として有効なのは、以下のようなものです。
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)
会社が勤怠管理をしていないため、自分で勤務時間を記録する場合、毎日手書きで、1分単位で時間を書きましょう。
具体的な業務についても書くのがベストです。
家族に帰宅を知らせるメールは、裁判になると証拠としては弱いので、できるだけ手書きでメモを取りましょう。
証拠は、できれば3年分あることが望ましいですが、なければ一部でもかまいません。
できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
ただし、手書きの場合絶対に「ウソ」の内容のことを書いてはいけません。
証拠の中にウソの内容があると、その証拠の信用性が疑われ、証拠として利用できなくなり、残業していた事実を証明できなくなる可能性があります。
そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、曖昧さが指摘されないようにしておきましょう。
未払い残業代の請求が成否を分ける「証拠集め」については次の記事もご確認ください。
【弁護士が解説】残業代をアップさせる証拠一覧と集め方マニュアル
まとめ
ここまでの内容を振り返って見ましょう。
この記事ではITエンジニアのうち、プログラマーについて残業の実態や業界の実情について解説してきました。
残業が多いプログラマーは、納期直前になると一カ月で100時間を超える残業を強いられるケースもあります。こうした背景には、次のようなプログラマー業界の特性がありました。
- 小さな会社が多い
- スケジュールに余裕がない
- クライアントに振り回されやすい
- 勉強しなければならないことが多い
しかし、法律では基本的に「1日8時間、週40時間」を超えて社員を働かせた場合には残業代を支払うように定めています。
そのため、会社側がいろいろな理由をつけて社員に残業代を払わないのは違法の疑いが強くなります。
転職を決めたら、これまで受け取っていなかった残業代の請求も検討してみましょう。
転職した職場でプログラマーの仕事を楽しく続けるために、残業についてのルールをしっかりと理解して、新しい一歩を踏み出しましょう。