フレックスタイム制とは?正しい使い方とメリデメや残業代の計算方法

監修者

弁護士法人QUEST法律事務所
住川 佳祐

フレックスタイム制とは?正しい使い方とメリデメや残業代の計算方法
チェック
この記事を読んで理解できること
  • フレックスタイム制とは
  • フレックスタイム制の残業ルール
  • フレックスタイム制で未払い残業代を請求する方法
  • 長時間労働や未払い残業代など注意が必要なその他の制度

あなたは、

「フレックスタイム制とは何か知りたい」
「フレックスタイム制の仕組みは?」
「フレックスタイム制に残業はあるの?」

などとお考えではないですか?

フレックスタイム制とは、「始業や就業の時間を自分で自由に決めることができる働き方」のことです。

この制度は、プライベートと仕事とのバランスをとりながら、自由な時間に働けるというメリットがあります。

しかし、この制度を悪用し、残業代を払わなくてもよい制度であると社員に思い込ませ、残業代を違法に支払わないブラック企業も存在します。

そこで、この記事では、1章ではフレックスタイム制とはどんなものか、その仕組みやメリット・デメリットについて、2章ではフレックスタイム制の残業のルールについて解説します。

また3章では、フレックスタイム制で未払い残業代を請求する方法を解説し、4章では長時間労働や未払い残業代など注意が必要なその他の制度を紹介します。

フレックスタイム制とはどのようなものかしっかり理解して、自由な働き方で適正な賃金・残業代が得られるように行動しましょう。

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1章:フレックスタイム制とは

最近では、自由な働き方ができる制度として、「フレックスタイム制」を導入する企業が増えています。

しかし、「働く時間を自分で決められる」というイメージだけで、その仕組みや制度自体を知る方は、まだまだ少ないといえます。

そこでこの章では、次の3つの視点からフレックスタイム制を取り上げていきます。

  • フレックスタイム制の仕組み
  • フレックスタイム制のメリット・デメリット
  • フレックスタイム制で重要な労使協定の内容

それぞれ詳しく解説します。

1-1:フレックスタイム制の仕組み

フレックスタイム制は、社員の価値観やライフスタイルが多様化する中で、柔軟な労働の仕方を実現するというニーズにこたえられる制度になっています。

フレックスタイム制について厚生労働省では、次のように解説しています。

「フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度です。」

そのため、フレックスタイム制を導入した場合は、自ら日々の労働時間を決定するため、「1⽇8時間・週40時間」という法定労働時間を超えた場合でも、ただちに時間外労働とはなりません。

つまり、フレックスタイム制では、あらかじめ決めた労働時間の枠内なら何時間働いても残業代が出ないのです。

逆に、1⽇の労働時間が標準の労働時間に達しない場合も、欠勤になるわけではありません。

フレックスタイム制の仕組みでは、3か月以内の「一定の期間(清算期間)」と、その期間内の「総労働時間(総所定労働時間)」があらかじめ決められます。

清算期間内で契約時間を超えなければ、その期間は社員が1日8時間、週40時間を超えて自由に働くことができます。

例えば、清算期間1週間のうち、契約時間が40時間と設定されていた場合

フレックスタイム制の例

この例では、月曜は5時間、火曜は10時間と毎日働く時間が異なります。

しかし、清算期間1週間の労働時間は40時間に収まります。

これは契約時間内ですので、例えば火曜日に10時間働いたとしても、会社は残業代を支払わなくてよいのです。

次に、フレックスタイム制の1日の働き方を見ていきましょう。

フレックスタイム制を導入している多くの企業は、働く時間帯を2つにわけています。

  • フレキシブルタイム
    フレキシブルタイムとは、出勤するかを自由に選ぶことができる時間帯を指します。
    例えば、8時に出勤しても、11時に出勤しても、出勤しなくても構いません。
  • コアタイム
    コアタイムとは、1日の中で必ず出勤しなければいけない時間帯のことを指します。
    コアタイムは必ず必要なものではなく、1日中フレキシブルタイムにすることも可能です。

コアタイムとフレキシブルタイム

このような仕組みをあらかじめ就業規則に定め、労使協定を締結することによって、従業員はフレックスタイム制を有効に活用することができます。

1-2:フレックスタイムのメリット・デメリット

フレックスタイム制を導入し、社員が働きやすい環境を実現することによって、会社は社員のモチベーションアップや、優秀な人材が獲得できる可能性を高めることができます。

こうした社員の働き方も多様化するなかで、求められているフレックスタイム制ですが、他にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

フレックスタイム制の主なメリットとしては、次の4つがあげられます。

  • 働く時間帯を自由に設定できるので、子育てやプライベートとの調整がしやすい
  • 効率的に仕事ができる
  • 通勤ラッシュを避けるなど時間配分を工夫できる
  • 仕事が終われば帰ることができるので、残業を減らせる

また、フレックスタイム制の主なデメリットとしては、次の4つがあげられます。

  • 自己管理ができないと、仕事がうまく回らなくなってしまう
  • 社員同士でコミュニケーションをとるのが難しい
  • 仕事量が多い場合はかえって長時間労働になりやすい
  • 残業代をごまかされやすい(残業代を違法に低く支払われやすい)

このように、フレックスタイム制では、プライベートな時間と仕事の時間を自由に管理し、無駄なく有効に使い分けることができます。

しかし、タイムマネジメントが苦手な人や情報共有のスキルが乏しい人の場合は、かえって仕事の効率が悪くなり労働時間が増える結果になる可能性もあります。

1-3:フレックスタイム制で重要な労使協定の内容

フレックスタイム制は、社員にとっても会社にとってもメリットの多い有効な制度ですが、自由に使えるわけではありません。

フレックスタイム制を導入するためには、次にあげる3つの要件を満たしている必要があります。

  • 労使協定で所定の事項を定めること
  • 労働者の代表の選出
  • 就業規則等への規定

それぞれ解説していきます。

1-3-1:労使協定で所定の事項を定めること

労働組合(労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者)との間の労使協定(厳密には、労使協定のほかに労使委員会の決議等も含まれますが、ここでは割愛します。)で、次の6つの事項を定める必要があります。

就業規則の例

1,対象となる労働者の範囲
下記の例のように、労働者が、自分が対象労働者にあたるか判断できる必要があります。

「全従業員を対象とする」
「〇〇部に所属する正社員を対象とする」

2,清算期間(フレックス制の単位となる期間)と起算日を定める
「清算期間は1か月間とし、毎月1日を起算日とする」

この場合、1か月間の清算期間と、毎月1日という起算日が示されています。

清算期間は、3か月以内としなければなりません。

また、清算期間が1か月を超える場合は、所轄の労働基準監督署⻑に労使協定の届出が必要です。

3,清算期間において働くべき総労働時間(所定労働時間)を定める
総労働時間は、清算期間を平均し1週間あたりの労働時間が40時間ないし44時間の範囲内になります。

⽉単位の清算期間とした場合の法定労働時間の総枠は、次の図のようになります。

⽉単位の清算期間とした場合の法定労働時間の総枠

そのため、⽉単位の清算期間とした場合は、法定労働時間の総枠の範囲内に納めなければなりません。

4,標準となる1日の労働時間の長さを定める
「標準となる1日の労働時間は、7時間とする」

5,フレキシブルタイムの制限(任意)
必要な場合は、フレキシブルタイムの開始時刻と終了時刻を定める

6,コアタイム(任意)
必要な場合は、コアタイムの時間帯を定める

通常の労働時間制度とフレックスタイム制

1-3-2:労働者の代表の選出

労使協定の際に、労働者の過半数を代表する者を選ぶ手続きにおいて、民主的な方法で選ばれている必要があります。

また、過半数代表者は、会社の選ばれた人であってはなりません。

そのため、労働者の代表は、「フレックスタイム制採用のため」と事前に明らかにされた上での、投票や挙手などによる民主的方法で選出されていなければなりません。

1-3-3:就業規則等への規定

先にあげた、就業規則の例⑤にあるように、「始業時間・終業時間を労働者に委ねる」などフレックスタイム制を採ることを記載する必要があります。

なお、労使協定に、フレキシブルタイムとコアタイムを定めた場合は、就業規則にその時間を記載しなければなりません。

始業時刻と終業時刻の一方だけを労働者の自由にするのではなく、始業時刻と終業時刻の両方を自由にするのがフレックスタイム制です。

以上のうち1つでも満たしていない場合は、その会社におけるフレックスタイム制は違法です。

その場合には、原則通り、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間の残業代を請求することになります。

2章:フレックスタイム制の残業ルール

ここまで解説したように、フレックスタイム制を導入した場合、働き方の自由度はかなり増えることになります。

そのため、このようなことを会社から言われる可能性があります。

「フレックスタイム制は出社・帰社の時間が自由です。その代わり、残業代も出ません。」
「フレックスタイム制なので、何時間働いても残業代が出ないんですよ。」

しかし、これは大きな間違いであり、違法です。

この章では、フレックスタイム制と残業について、次の3つを取り上げて解説していきます。

  • フレックスタイム制でも残業は発生する
  • フレックスタイム制の残業時間の計算方法
  • フレックスタイム制の残業代の計算方法

フレックスタイム制の残業のルールを、しっかり理解してください。

2-1:フレックスタイム制でも残業は発生する

フレックスタイム制でも残業が発生した場合は、残業代が出ます。

フレックスタイム制の労働時間の基準は、清算期間における総労働時間になるため、その時間より実際に働いた時間の方が長い場合は残業代が出ます。

総労働時間を超過した場合と総労働時間に不足する場合

1週間を清算期間としている会社もあれば、1か月としている会社もありますが、この期間の総所定労働時間を超えると、フレックスタイム制でも残業代が発生します。
(ここでは、清算期間が1か月以内である場合の計算方法について説明します)

例えば、令和5年1月1日から月末までの清算期間において、総労働時間160時間と決められている場合に、1か月で200時間働いた場合、

200時間-160時間=40時間

が残業時間となります。

ここで、フレックスタイム制の留意事項として、残業時間だけでなく、自分の働いた時間が、決められた総労働時間に不足している場合も注意が必要です。

万が一、実際に働いた時間が総労働時間より短くなった場合は、不足分の給料がカットされてしまいますし、不足した時間分を次の週や月に繰り越して働かせることも、法定労働時間の総枠の範囲内であれば違法ではありません。

また、清算期間が3か月で実労働時間と総労働時間で過不足がある場合は、3か月の清算期間内であれば労働時間を調整できます。

逆に、残業代があるからといって、残業代分を翌月ただ働きさせることは違法です。

2-2:フレックスタイム制の残業時間の計算方法

次に、フレックスタイム制における、残業時間の計算方法を解説します。

清算期間の総労働時間を超える時間が残業時間になりますが、この残業時間には2つの種類があることを理解することが大事です。

1つは法定労働時間の総枠を超えた残業時間(法定外残業)で、2つ目は法定労働時間の総枠内で総労働時間(所定労働時間)を超えた残業時間(法定内残業)になります。

法定内残業においては割増率の適用はなく、法定外残業の場合は、割増率(1.25倍)の適用があります。

2-3:フレックスタイム制の残業代の計算方法

フレックスタイム制の残業代の計算式は、次のとおりです。

法定内残業時間×基礎時給+法定外残業時間×基礎時給×1.25

月給の場合、基礎時給は、

「あなたの月給(基本給)÷1か月平均所定労働時間」

となります。

1か月平均所定労働時間は、わかりやすく170時間としています。

例えば、令和5年1月1日から月末までの清算期間、契約時間160時間、基礎時給1000円のAさんが、その月において200時間働いた場合

法定労働時間は、その月ごとに、その月の日数により下の図のように違います。

⽉単位の清算期間とした場合の法定労働時間の総枠

1日の法定労働時間が40時間の場合、1月は31日あるので、法定労働時間の総枠は177.1時間となります。

よって、

法定内残業=177.1時間-160時間=17.1時間
法定外残業=200時間-177.1時間=22.9時間

法定内残業の残業代は、
1000円×17.1時間=1万7100円

法定外残業の残業代は、
1000円×1.25×22.9時間=2万8625円

合計
1万7100円+2万8625円=4万5725円

Aさんの残業代は、4万5725円となります。

このように、フレックスタイム制を導入した場合でも、残業代は発生するので、未払い残業代は会社に請求することができます。

ただし、上記の例では清算期間が1か月のため残業時間が発生しますが、清算期間が2か⽉、3か⽉といった期間だった場合は、次の図のように期間内で相殺することもできます。

残業時間の清算期間内での相殺

また、清算期間が1か⽉を超える場合には、次の条件を満たす必要があります。

  • 清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠を超えないこと(清算期間全体の労働時間が、週平均40時間または44時間を超えないこと)
  • 1か月ごとの労働時間が、週平均50時間を超えないこと

計算をした結果、残業代をもらえることがわかったら、証拠を集めたり、請求方法を考えたりしましょう。

詳しくはこちらをご覧ください。

失敗しない残業代請求!有効な証拠と請求方法、ブラック企業の対処法

3章:フレックスタイム制で未払い残業代を請求する方法

それではこれから、フレックスタイム制で未払い残業代を請求する方法について解説します。

会社から残業代を取り返すための方法には、

  • 自分で直接請求する方法
  • 弁護士に依頼する方法

という2つがあります。

この2つの方法には、それぞれ次のようなメリット・デメリットがあります。

未払い残業代を自分で請求する場合と弁護士に依頼する場合のメリット・デメリット

このように、自分で請求する方法では、手間・時間・精神的負担が大きいだけでなく、弁護士に頼む方法に比べて回収できる金額が少なくなる可能性が高いです。

そのため、残業代請求はプロの弁護士に依頼することをおすすめします。

3-1:自分で残業代を請求する2つの方法

自分で請求するには、『内容証明を送る』方法と『労働基準監督署に相談する』方法の2種類があります。

それぞれの方法の流れについて、詳しく解説します。

残業代請求を自分で行う流れ

3-1-1:自分で会社に内容証明を送って直接請求する

自分で会社に残業代を請求するためには、会社に「配達証明付き内容証明郵便」で、請求書を送る必要があります。

【内容証明ひな形】

私は○○年○○月○○日、貴社に入社し、○○年○○月○○日に退社した者です。

私は、○○年○○月○○日から○○年○○月○○日(以下「請求期間」とします。)まで、貴社に対し、合計■時間の時間外労働を提供いたしましたが、貴社からは、一切、割増賃金のお支払いただいておりません。

よって、私は、貴社に対し、請求期間内の未払割増賃金の合計額である★円の支払を請求いたしますので、本書面到達後1週間以内に、以下の口座に振り込む方法によるお支払をお願いいたします。

○○銀行○○支店

○○預金(普通・定期などの別)

口座番号○○

口座名義人○○

なお、本書面到達後1週間を過ぎても貴社から何らご連絡いただけない場合は、やむを得ず訴訟を提起させていただくことをあらかじめ申し添えます。

ただし、自分で会社に内容証明を送って残業代を請求しても、会社側にうまく丸め込まれてしまうおそれがあります。

つまり、あなたが残業代を請求しても、1円も取り戻せないかもしれないのです。

そこで、もう1つの自分でできる手段として、労働基準監督署に申告するという手段があります。

3-1-2:労働基準監督署に申告する

「労働基準監督署」とは、厚生労働省の出先機関で、労働基準法に基づいて会社を監督するところです。

給料の未払いは労働基準法違反のため、労働基準監督署に相談することで解決にいたる可能性もあります。

労働基準監督署に相談したときの流れ

このような流れで労働基準監督署に申告することができるのですが、この方法は「残業代を請求したい場合」は、あまりおすすめではありません。

なぜなら、労働基準監督署は、労働基準法に違反している会社の行為を「正す」機関であり、残業代を取り返してくれる機関ではないからです。

また、労働基準監督署は、労働者からのすべての申告で動くわけではありません。

それは、全国には400万を超える法人があるにもかかわらず、日本の労働基準監督署の人員は、非常勤の職員を含めても約2,400人しかおらず、明らかに人員不足だからです。

そのため、過労死や労働災害などの「人命に関わる問題」が優先して処理されるため、「残業代の未払い」では、直ちに動いてもらえない可能性もあります。

そこで、残業代を取り返す場合には、最初から弁護士に依頼することをおすすめします。

3-2:弁護士に依頼して残業代を請求する

残業代の計算や会社との交渉は、専門的な知識が必要なため、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士に相談するというと

「裁判みたいな大事になるのはちょっと・・・」
「費用だけで100万円くらいかかるのでは?」

と考えてしまう人もいるかもしれません。

しかし、弁護士に頼む=裁判ではありません。

残業手当請求のためにいきなり裁判になることは少なく、多くの場合「交渉」や「労働審判」という形で会社に対して残業手当を請求していきます。

また、残業代請求に強い「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。

弁護士に依頼した場合、

  • 交渉
  • 労働審判
  • 訴訟(裁判)

といった手段によって、残業代請求の手続きが進められます。

弁護士に依頼した場合の流れ

弁護士に依頼すると、あなたの「会社と戦う」という精神的負担を、弁護士が肩代わりしてくれるだけでなく、時間・手間を節約することもできるのです。

さらに、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼することで、初期費用もほぼゼロにできるのです。

ただし、弁護士に依頼する場合は「弁護士なら誰でもいいだろう」とは考えないでください。

実は、法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の件については、あまり知識がない弁護士が多いです。

そのため、残業代請求に強い弁護士に依頼することをおすすめします。

残業代請求に強い弁護士の選び方や、相談の流れ・かかる費用などについて、詳しくは以下の記事に書いていますので、ご覧になってください。

【残業代請求】弁護士選びの8つのポイントと解決までの流れや費用を解説

残業代の請求方法について、理解することができたでしょうか?

残業代請求時に注意すべき2つのポイントについて解説します。

3-3:残業代請求における2つのポイント

残業代請求には、

  • 3年の時効が成立する前に手続きを行う
  • 必要な証拠を集めておく

というポイントがあります。

それぞれ順番に解説します。

3-3-1:残業代請求には3年の時効がある

未払いの残業代は、いつまでも請求できるわけではありません。

「3年」の時効が成立すると、二度と請求できなくなります。 

時効の基準となるのは、「毎月の給料日」です。

【給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合】
例えば、給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合、2020年2月16日から3月15日までの給料は、2020年4月30日に支払われます。

そのため、2020年3月15日締めの給料は、2023年の4月30日経過時に時効を迎えます。

そこで、2020年3月15日締めの給料の時効を止めるためには、2023年の4月末までに「時効を止める」手続きを行う必要があります。

残業代請求の3年の時効

毎月の給料日がくるたびに時効が成立し、1ヶ月分の残業代が消滅してしまいます。

少しでも多くの残業代を取り返すために、できるだけ早く行動を開始しましょう。

3-3-2:残業代請求に必要な証拠一覧

未払いの残業代を請求するときに、まずやるべきなのが「証拠集め」です。

証拠集めは、まずは自分で行うことをおすすめします。

証拠集めも弁護士に依頼することは可能ですが、弁護士が証拠を要求しても提出しない悪質な会社もあるため、会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことがより確実なのです。

残業代請求の証拠として有効なのは、以下のようなものです。

【勤怠管理している会社で有効な証拠】

  • タイムカード
  • 会社のパソコンの利用履歴
  • 業務日報
  • 運転日報
  • メール・FAXの送信記録
  • シフト表

【勤怠管理していない会社で有効な証拠】

  • 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
  • 残業時間の計測アプリ
  • 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)

会社が勤怠管理をしていないため、自分で勤務時間を記録する場合、毎日手書きで、1分単位で時間を書きましょう。

具体的な業務についても書くのがベストです。

家族に帰宅を知らせるメールは、裁判になると証拠としては弱いので、できるだけ手書きでメモを取りましょう。

証拠は、できれば3年分あることが望ましいですが、なければ一部でもかまいません。

できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。

ただし、手書きの場合絶対に「ウソ」の内容のことを書いてはいけません。

証拠の中にウソの内容があると、その証拠の信用性が疑われ、証拠として利用できなくなり、残業していた事実を証明できなくなる可能性があります。

そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、曖昧さが指摘されないようにしておきましょう。

4章:長時間労働や未払い残業代など注意が必要なその他の制度

ここまでフレックスタイム制について説明してきましたが、長時間労働や未払い残業代など注意が必要なその他の制度があります。

ブラック企業の場合は、フレックスタイム制以外にも、残業代を違法に低い金額しか支払っていないこともあります。

4-1:裁量労働制

裁量労働制とは、ライターやシステムエンジニアなど、専門的な職種に多い働き方です。

労働時間の算出が難しい場合や、労働者に時間管理を任せた方がよい場合に導入されます。

具体的には、「何時間働いても一定時間働いたこととみなす制度」のことを言います。

例えば、「1日8時間働いたとみなす」という期待があれば、5時間働いても、10時間働いても、8時間働いたことにされてしまいます。

裁量労働制は使い方によってはサービス残業の横行につながりかねないため、導入には厳しい要件が課されています。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

裁量労働制とは?残業代のカラクリとメリット・デメリット

4-2:変形時間労働制

変形時間労働制とは、1か月単位や1週間単位の中で、総労働時間が規定の範囲を超えなければ、残業代が割増されない、という制度を指します。

フレックスタイム制によく似ていますが、変形時間労働制では、始業や終業の時間を社員が自由に決めることはできません。

あくまで、忙しい時期には長く働き、そうでない時期には早く帰れる、という制度になります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

変形労働時間制と残業代の関係性をわかりやすく解説

まとめ:フレックスタイム制とは

今回はフレックスタイム制の正しい意味について解説しました。

最後にもう一度、今回の内容を振り返ります。

  • 「フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度です。」
  • フレックスタイム制では、3か月以内の「一定の期間(清算期間)」と、その期間内の「総労働時間(総所定労働時間)」があらかじめ決められており、その時間は自由に働くことができる

フレックスタイム制の主なメリット

  • 働く時間帯を自由に設定できるので、子育てやプライベートとの調整がしやすい
  • 効率的に仕事ができる
  • 通勤ラッシュを避けるなど時間配分を工夫できる
  • 仕事が終われば帰ることができるので、残業を減らせる

フレックスタイム制の主なデメリット

  • 自己管理ができないと、仕事がうまく回らなくなってしまう
  • 社員同士でコミュニケーションをとるのが難しい
  • 仕事量が多い場合はかえって長時間労働になりやすい
  • 残業代をごまかされやすい(残業代を違法に低く支払われやすい)

フレックスタイム制を導入するための条件は3つ

  • 労使協定おいて、労働者の範囲・清算期間・総労働時間・標準的な1日の労働時間の記載が必要
  • 労働者の代表者が民主的に選出されていること
  • 就業規則にフレックスタイム制であることを書くこと

残業には、法定内残業と法定外残業が存在する

残業代は、

法定内残業時間×基礎時給+法定外残業時間×1.25×基礎時給

で計算できる

フレックスタイム制の正しい意味や残業代の計算方法をおさえ、もし、あなたが残業代をごまかされている場合は、もらうべき残業代をきちんと請求しましょう。

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