【医師の働き方改革】開業医の4つの問題と生き残るための対策を解説

監修者

弁護士法人QUEST法律事務所
住川 佳祐

【医師の働き方改革】開業医の4つの問題と生き残るための対策を解説
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 医師の働き方改革が開業医に与える影響
  • 医師の働き方改革で新規開業医が増える可能性がある
  • 医師の働き方改革において開業医ができる対策

あなたは、

  • 医師の働き方改革は開業医には関係ないと思ったけど
  • 開業医にはどんな影響があるの?
  • 医師の確保が難しくなりそうで不安

などとお考えではないですか?

2024年4月から「医師の働き方改革」によって、勤務医の時間外労働時間の上限規制が適用されるため、開業医に及ぼす影響として、次の2つの問題があげられます。

  • 医師や医療スタッフの雇用が難しくなる
  • 新規開業医が増え、クリニック間の競争が激しくなる

そのため、開業医は、これらの問題が自院に与える影響をよく検討し、適切な対策を講じる必要があります。

そこでこの記事では、

1章では、医師の働き方改革が開業医に与える影響を

2章では、新規開業医が増える可能性について

3章では、働き方改革において開業医ができる対策

について詳しく解説していきます。

この記事を読んで、医師の働き方改革が開業医に与える影響をよく理解し、自院に必要な対策や他の医療機関との連携の検討などをおすすめします。

※この記事は2023年11月時点の情報となります。

医師の働き方改革に関する最新情報は、厚生労働省公式HPをご覧ください。

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1章:医師の働き方改革が開業医に与える影響

医師の働き方改革が、開業医に与える具体的な影響として、次の4つの問題があげられます。

  • 非常勤医師が働ける時間が制限される
  • 診療時間外の対応が増える可能性がある
  • 医師の確保が困難になる
  • 看護師などスタッフの確保が難しくなる

これらの問題に対して、開業医はそれぞれ対策を検討する必要があります。

順番に解説します。

1-1:非常勤医師が働ける時間が制限される

医師の働き方改革の中で、最も開業医に影響を与えると考えられるのは、非常勤医師の勤務時間に関する規制です。

今回の制度の大きなポイントとして、医師の時間外労働時間の上限規制「月100時間未満/年間960時間以内」があります。

(医療機関の役割によって3つの水準が定められており、B.C水準に当てはまる中隔病院はこの限りではありません。)

週の労働時間に換算すると、今後は週18時間程度の時間外労働に収める必要があります。

また、この時間外労働時間に対する上限規制は、勤務先全ての労働時間が合算されるため、今までのようにスポットで雇っていた非常勤医師の労働時間にも影響が及びます。

非常勤医師の雇用は、人件費や診察時間に限りがあるクリニックでは一般的に行われているため、対策を必要とする開業医は多いでしょう。

具体的には、非常勤医師の勤務スケジュールの見直し、必要に応じて新たな医師の採用が必要になります。

また、非常勤医師の勤務時間が制限されることで、クリニックの診療時間やサービス内容にも影響が出ます。

もし、雇用している医師が時間外労働の上限を超過した場合、労働基準法第141条に抵触するため、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」となります。

さらに罰則に加えて、従業員から損害賠償請求をされる可能性や、法令違反をした医療機関として公表される危険性があります。

努力目標ではなく義務だと認識し、必ず遵守するようにしましょう。

1-2:診療時間外の対応が増える可能性がある

次に、医師の働き方改革により、診療時間外の対応が増える可能性があります。

今までの診療時間のうち、非常勤医師が占める割合が多いクリニックでは、特に影響が予想されます。

例えば、非常勤医師の勤務時間が制限されることで、診察時間や診察可能日を増設したり、残った業務を開業医自身が診療時間外で対応したりするケースです。

また、今まで一般的であった、若い医師による自主勉強もグレーゾーンになるため、注意が必要です。

限られた雇用時間で効率的に業務を消化するためには、開業医自身の働き方も見直し、医療スタッフや業務システムなど総合的に検討すべきでしょう。

例えば、新型電子カルテの導入やオンライン診療の活用など、新しい技術を取り入れることで、診療時間外の業務負担を軽減できます。

1-3:医師の確保が困難になる

また、開業医のみならず、多くの病院で医師の確保が難しくなります。

医師全体の労働時間が減るため、人員不足が起きます。

医師約16,000人に厚生労働省が行った調査(2022年)によると、時間外労働時間が年間960時間を超過している医師は、現在も20%以上います。

※大学病院などの中隔病院勤務医の場合、特例的に勤務時間の規制は緩和されるので、規制時間を超過している医師全てに影響があるわけではありません。

※参照:厚生労働省「医師の勤務実態について」

非常勤業務は勤務時間を調整しやすいため、非常勤医師を多く雇用しているクリニックには影響が大きいです。

常勤業務を優先し、他のクリニックでの非常勤業務を辞めてしまう医師もいるかもしれません。

そのため開業医は、医師の確保においても新たな戦略を考える必要があるのです。

1-4:看護師などスタッフの確保が難しくなる

今回の働き方改革は、医師だけでなく看護師やその他の医療スタッフの確保にも影響します。

例えば、看護師の場合、時間外労働時間の上限が、「月45時間未満/年間360時間」に定められています。

看護師の働き方改革はすでに施行が始まっているので、対策しているクリニックも多いでしょう。

そのため、医師と同様に看護師の人員不足も発生するでしょう。

看護師の人員確保は、働き方改革施行以前より難しく、今後も慢性的な看護師不足は続きます。


また、少子高齢化により日本全体で人員不足のため、看護師を含む医療スタッフの確保は年々難しくなるでしょう。

そのため、いち早く労働環境を整備し、従業員や新規人員が働きやすい環境を整えることが重要です。

 

2章:医師の働き方改革で新規開業医が増える可能性がある

次に、医師の働き方改革によって、新規開業医が増える可能性について解説していきます。

この章でわかることは、下記のとおりです。

  • 新規開業医が増える理由
  • 既存の開業医に与える影響

働き方改革は、開業医の様々な面で影響が予想されます。

労働時間だけでなく、先を見据えた対策が必要です。

2-1:新規開業医が増える理由

医師の働き方改革により、新規開業医が増える可能性があります。

なぜなら、病院勤務医の労働環境が厳しくなる中で、より自由な働き方を求めて開業を選択する医師が増えると予想されるからです。

開業医としての働き方は、勤務時間のコントロールや、自身の専門性を活かしたクリニック運営ができ、多くの医師にとって魅力的な選択肢です。

先にあげた厚生労働省の調査によると、勤務医の中で1週あたり50時間以上の時間外労働をしている割合は、45%程度と高い割合でした。

比較して、開業医は、1週間の労働時間の合計が50時間以上の割合が、約36.7%でした。

※参照:東京都保険医協会「 開業医の働き方調査

近年、ワークライフバランスが重視されつつあり、働き方改革の影響で、開業医を選択する医師が増えるでしょう。

2-2:既存の開業医に与える影響

新規開業医が増えることによって、既存の開業医に与える影響は次の2つが考えられます。

  • 長時間労働に陥る可能性がある
  • 患者が分散し売上が減る可能性がある

新規開業医の増加により、地域のクリニック同士で競争が生まれるでしょう。

そのため、今まで以上に他クリニックとの差別化を考える必要があります。

以下で詳細を解説していきます。

2-2-1:長時間労働に陥る可能性がある

働き方改革によって既存の開業医は、長時間労働に陥るリスクがあります。

なぜなら、医師の労働時間が規制されると、特に人手不足が顕著な地域では、既存の開業医に患者の負担が集中する可能性があるからです。

そのため、開業医自身が、長時間労働になるおそれがあります。

また、他クリニックの増加により、非常勤医師などの人員分散がさらに進み、開業医の業務割合が増加する可能性があります。

医師以外の医療スタッフが雇用できない場合、診療業務だけでなく事務作業なども、開業医自身が行う必要があるため、過重な労働負担になります。

2-2-2:患者が分散し売上が減る可能性がある

新規開業医の増加によって患者が分散し、売上が減る可能性があります。

新規クリニックが同地域に開業されると、患者の選択肢が広がり、特定の開業医に集中していた患者が、新規クリニックに流れることが考えられます。

患者がクリニックを選択する理由は様々で、最新の医療機器の導入やアクセスのしやすさなど、患者一人一人によって違います。

既存のクリニックは、既に固定患者がいる点で有利ですが、競争相手が多い地域で開院している場合、対策が必要になります。

特に非常勤医師の確保が難しくなった場合、自身のクリニックで展開できる診療が絞られるため、患者離れにもつながりかねません。

医師の働き方改革が及ぼす影響には、他クリニックとの差別化と人員確保の対策の両方が重要です。

3章: 医師の働き方改革において開業医ができる対策

ここまでで、医師の働き方改革が、開業医に及ぼす影響を解説しましたが、ここからはそれらの対策について説明していきます。

具体的には、次の2つです。

  • サービスを充実させて他のクリニックと差別化する
  • 他の医療法人や非常勤医師と連携して人員を確保する

今後、医師の働き方改革で、開業医の経営戦略に影響が出ることが予想されます。

開業医として生き残るためには、経営者として柔軟な対応が求められるでしょう。

3-1:サービスを充実させて他のクリニックと差別化する

患者へのサービスの充実を図ることで、他のクリニックとの差別化をはかれます。

特に効果的なのは、患者の待ち時間を短縮するためのオンライン予約システムの導入や、診療時間外のオンライン相談サービスの提供などが考えられます。

実際に2020年に厚生労働省が行った調査でも、待ち時間が満足度に大きな影響を与えているという結果が出ており、外来・会計時の待ち時間短縮は、最も効果的な対策の一つと言えるでしょう。

※参照:厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況

またその他にも、最新の医療機器の導入や施設設備の充実化など、他のクリニックと差別化するために必要な施策を検討しましょう。

しかし、サービスの充実という点では、医師や医療スタッフの対応が最も重要です。

患者満足度の向上には、患者一人一人に対する思いやりが必要なことを忘れないようにしましょう。

3-2:他の医療法人や非常勤医師と連携して人員を確保する

開業医にとって、今後の人員確保は大きな課題です。

対策としては、他の医療法人や非常勤医師との連携が考えられます。

海外と比較すると日本の医師不足は深刻であり、今までも非常勤医師として医師が複数病院で働くことが一般的でした。

しかし、従来の医師紹介は、出身大学や以前の勤務病院を介したコネクションによるものが多く、今後の人員不足には対応しきれない可能性が高いです。

そのため、他のクリニックや医療法人と連携し、人員のシェアリングをしていく必要があります。

また、医師の労働時間を正確に把握するためにも、医療連携は有効です。

医師の働き方改革が完全に施行された後は、今までのような同医療法人内での人員確保や、大学病院からの医師の派遣では慢性的な人員不足になるかもしれません。

開業医としては、より積極的な対策と柔軟な対応が求められるでしょう。

まとめ:医師の働き方改革の開業医への影響

この記事では、2024年4月に施行される医師の働き方改革について、開業医が注意すべきポイントと対策を中心に解説しました。

大きな問題としては、次の4つがあげられます。

  • 非常勤医師が働ける時間が制限される
  • 診療時間外の対応が増える可能性がある
  • 医師の確保が困難になる
  • 看護師などスタッフの確保が難しくなる

また、人員不足に伴う開業医の業務増加や、ワークライフバランスを重視する医師の増加による、新規開業医の増加も対策が必要です。

開業医として、今のうちから既存患者の満足度向上、医療スタッフの働きやすさなど改善を行い、適切な対応をとっていきましょう。

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