【2024年医師の働き方改革】当直バイトの扱いと注意点や探し方を解説

監修者

弁護士法人QUEST法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

【2024年医師の働き方改革】当直バイトの扱いと注意点や探し方を解説
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 【2024年医師の働き方改革】労働時間と当直・アルバイトの扱い方
  • 当直・アルバイトを希望する医師が注意すること
  • 【2024年医師の働き方改革】当直と宿日直許可
  • 宿日直許可のあるアルバイト先の探し方 

あなたは、

  • 医師の働き方改革で当直アルバイトはどうなる?
  • 医師の働き方改革で当直バイトができるか心配
  • 2024年の働き方改革で当直バイトの収入が減ると困る

などとお考えではないですか?

結論から言うと、2024年4月からの医師の働き方改革によって、時間外労働時間に上限が設けられるため、今までのように他の医療機関での当直・アルバイトができなくなる可能性があります。

なぜなら、通常の勤務先での労働時間に、当直・アルバイト先の労働時間も合算して申告する必要があるからです。

そのため、医師の労働時間は今までより大幅に短縮する必要があり、通常の勤務先での労働時間が制限されたり、当直・アルバイトも簡単にはできなくなるため、これまでの収入が大幅に減る可能性があります。

そこでこの記事では、

1章で、【2024年医師の働き方改革】労働時間と当直・アルバイトの扱い方

2章で、当直・アルバイトを希望する医師が注意すること

3章で、【2024年医師の働き方改革】当直と宿日直許可

4章で、宿日直許可のあるアルバイト先の探し方

など、2024年の医師の働き方改革によって、当直・アルバイトに及ぶ影響、知っておくべきことを順番に解説します。

さらに、宿日直許可の概要とアルバイト先の探し方を紹介します。

この記事を読んで、2024年の医師の働き方改革の当直・アルバイトへの影響をよく理解し対策を立てましょう。

 

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1章:【2024年医師の働き方改革】労働時間と当直・アルバイトの扱い方

2024年医師の働き方改革の労働時間と当直・アルバイトの扱い方について、次の3つをあげて解説します。

  • 医師の労働時間は、現状、約4割が年960時間超である。
  • 2024年の働き方改革により、時間外労働は原則、年960時間までに制限される。
  • 当直・アルバイトの労働時間も常勤先と合算される。

それでは順番に見ていきましょう。

1-1:医師の労働時間の現状

厚生労働省が2019年に行った調査結果によると、全国の病院勤務医の年間の労働時間は次のような状況になっています。

年960時間以内

約6割

年960時間超

約3割

年1,860時間超

約1割

約4割の医師は、2024年以降の原則的な労働時間の上限規制である、年960時間超の時間外労働を行っています。

このうち、年1,860時間超の労働を行っている医師は、大学病院や救命救急センター機能を有する病院に多く、実数にすると約2万人に上ると言われています。

厚生労働省:医師の長時間労働の実態について

1-2:2024年から導入される時間外労働の上限規制

2024年からは、次のように医師の時間外労働に上限規制が設けられます。

■原則(A水準)

休日労働を含めて年960時間まで(月100時間未満)

また、連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休息が努力義務となります。

■例外(B水準C水準)

休日労働を含めて年1,860時間まで(月100時間未満)

また、連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休息が義務となります。

1-3:当直・アルバイトの労働時間は常勤先と合算される

注意したい点は、上記の時間外労働の上限規制は、常勤先の病院での労働時間だけでなく、アルバイト先の病院の労働時間も合算されることです。

つまり、常勤先の病院での労働時間が、上記の上限規制を超えていれば、アルバイトはできなくなります。

また、アルバイト先で労働時間が伸びたために、上限規制を超えてしまうと、常勤先の病院のシフトに穴をあけてしまうリスクもあります。

2章:当直・アルバイトを希望する医師が注意すること

当直・アルバイトを希望する医師が注意するポイントは、次のとおりです。

  • 当直・アルバイトができなくなり収入が減る可能性がある。
  • 医師は自分の労働時間を調整する必要がある。
  • 当直アルバイト先は宿日直許可を得ているか確認する。

それでは順番に見ていきましょう。

2-1:当直・アルバイトができなくなり収入が減る可能性がある

当直アルバイトによってこれまで稼いでいた医師は、収入が減少してしまう可能性があります。

2024年医師の働き方改革の後は、医師の労働時間に上限が設けられるため、自由に当直アルバイトをすることができなくなるからです。

医師が常勤先で当直を行った場合の当直手当は、1回あたり15,000円から20,000円が相場です。

一方、アルバイト先で当直を行った場合は、1回あたり30,000円から100,000円が相場とされています。

常勤先で当直をやるよりもアルバイト先で当直を行った方が高額の給与を得られるため、副収入目当てで、常勤先の病院以外の当直アルバイトをやる医師もいます。

しかし、2024年4月以降は、A水準の医師であれば、常勤先の病院での労働時間が年960時間に達していれば、条件の良い当直アルバイトを見つけても、それ以上の労働はできなくなります。

2-2:医師は自分の労働時間を調整する必要がある

医師は、常勤先での労働時間はもちろん、アルバイト先での労働時間も正確に把握し、うまく調整する必要があります。

2024年の働き方改革以後は、医療機関の常勤医師の労働時間が時間外労働の上限を超えてしまうと、労働基準法による罰則が医療機関に科せられてしまいます。

そのため、医師個人としても労働時間の上限規制を遵守しなければならないからです。

これまでどおり、当直アルバイトをやりたいのであれば、変形労働時間制を採用したり、タスクシフト・シェア等により常勤先での労働時間をできる限り少なくすべきでしょう。

2-3:当直アルバイト先は宿日直許可を得ているか確認する

2024年の働き方改革以後、当直アルバイトを探す場合は、当直アルバイト先が宿日直許可を得ているか確認することが大事です。

労働基準監督署から、宿日直許可を得ている当直アルバイトであれば、原則として労働時間としてカウントされないからです。

そのため、宿日直許可を受けている当直アルバイトは、労働時間の上限規制を気にせずに稼げるため注目されています。

3章:【2024年医師の働き方改革】当直と宿日直許可

ここでは、2024年医師の働き方改革において、当直と宿日直許可について、次の2つのポイントをあげて解説します。

  • 当直の労働時間の判断基準
  • 宿日直許可がある当直は労働時間にカウントされない。

それでは順番に見ていきましょう。

3-1:当直の労働時間の判断基準

医師の働き方改革では、医師の当直の労働時間の判断基準があげられています。

まず当直とは、診療時間外にいつでも呼び出しに対応できるよう病院内に待機し、通常業務と異なる業務(対応がない時間は仮眠もとれます)を行うものです。

原則として、労働から離れることが保障されていない状態で待機等しているため、手待時間として労働時間とみなされます。

ただし、労働基準法では特例として、

〇労働密度がまばらであり、労働時間規制を適用しなくとも必ずしも労働者保護に欠けることのない一定の断続的労働

〇労働基準監督署長の許可を受けた場合

労働時間規制を適用除外しています。

つまり、上記の2項目を満たす場合は、当直は労働時間にはあたらないとしています。

この労働基準監督署の許可が、「宿日直許可」になります。

3-2:宿日直許可がある当直は労働時間にカウントされない

ここでは、宿日直許可について詳しく確認しましょう。

  • 宿日直許可とは?
  • 宿日直許可の許可状況と申請予定。

では一つ一つ見ていきます。

3-2-1:宿日直許可とは?

先にあげたように、宿日直許可とは、医療機関の申請に対して労働基準監督署長が許可するもので、労働時間規制の適用を除外されます。

つまり、その医療機関の当直は、労働時間にあたらないとみなされます。

宿日直許可を受けるための許可基準は、おおよそ次のようになっています。

  1. 緊急事態に備えて待機しているだけでよく、常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務であること。
  2. 通常の勤務時間の拘束から完全に解放されたものであること。
  3. 宿直の場合は、夜間に十分睡眠がとり得ること。
  4. 医師が診察する場合でも次の程度にとどまること。
  • 入院中の少数の要注意患者の診察や看護師に対する指示、確認を行うだけでよい。
  • 外来に対応する場合でも、少数の軽症の外来患者、かかりつけ患者の診察等や、看護師に対する指示、確認を行うだけでよい。

こうした軽度又は短時間の業務にかかわるだけでよいことが確認されれば、宿日直許可を受けることができます。

また、勤務と勤務の間の休息時間(勤務間インターバル)についても、宿日直許可を受けた宿日直で9時間以上連続したものについては休息時間として扱えるため、翌日の勤務も制約も受けません。

3-2-2:宿日直許可の許可状況と申請予定

宿日直許可を受けていれば、労働時間としてカウントされないため、医療機関の間では、宿日直許可を取得する動きが出ています。

厚生労働省が2022年に行った医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査によると、2024年4月以降の時間外・休日労働時間が960時間を超える医師がいる見込みがあると回答した529病院のうち、宿日直許可を得ている病院は168病院(32%)です。

ただ、234病院(44%)が宿日直許可を申請する予定と答えています。

2024年に向けて、宿日直許可を取得する病院が増加すると見込まれます。

4章:宿日直許可のあるアルバイト先の探し方 

宿日直許可のあるアルバイト先の探し方は、次のとおりです。

  • 複数の求人サイトに登録してアルバイトを探す。
  • 医療機関の内情に詳しいエージェントに相談する。
  • 条件限定の宿日直許可の募集もある。

それでは順番に見ていきましょう。

4-1:複数の求人サイトに登録してアルバイトを探す

医師のアルバイトは、医師向けの求人情報サイトで探すのが一般的です。

これまでは、アルバイト探しの決め手は、曜日、時間、日程や給与、勤務内容、場所などが挙げられていましたが、今後は、宿日直許可を取得しているかどうかもポイントとなります。

宿日直許可のあるアルバイトは、応募が殺到して、競争率が高くなることも考えられます。

そのため、気になった求人があればまずは応募して、面接できた病院と条件交渉する形になるでしょう。

求人サイト一つでは、希望の条件に合うアルバイトが見つからないこともあるので、複数の求人サイトに登録して、広く情報を集めましょう。

4-2:医療機関の内情に詳しいエージェントに相談する

医師専門の求人サイトでも、宿日直許可を取得しているかどうかは、はっきりと書かれていないことが多いです。

そのため、宿日直許可を取得しているかどうかは、応募した際に、医療機関に直接確認する必要がありますが、自分で一つ一つ問い合わせするのは効率的ではありません。

そこで、医療機関の内情に詳しいエージェントに、希望の条件、とりわけ、宿日直許可を取得していることが絶対条件である旨を伝えて、探してもらうのが効率的でしょう。

4-3:条件限定の宿日直許可の募集もある

宿日直許可は病院全体で取得するわけではなく、一部の診療科のみ、一部の時間帯のみで取得していることもあります。

そのため、同じ病院のアルバイトでも、診療科によって異なりますし、宿日直許可を取得している時間とそうではない時間が混在しているわけです。

たとえば、準夜帯は患者が結構来るため、宿日直許可の基準を満たせないけれど、深夜になれば、患者がほとんど来なくなるため、宿日直許可の基準を満たしている。

そのため、深夜の時間帯のみ、宿日直許可を取得していることもあります。

この場合、準夜帯の勤務は労働時間にカウントされますが、深夜は労働時間にカウントされないといった具合です。

特に大きな病院のアルバイトだと、診療科や時間帯により、宿日直許可の有無が異なることもあるので、よく確認する必要があります。

まとめ:2024年の医師の働き方改革以降は当直が制限される可能性がある!

最後に今回の内容を振り返ります。

■2024年の働き方改革により、当直・アルバイトに及ぶ影響

  • 現状、年960時間超労働している医師が4割いる。
  • 2024年の働き方改革により、時間外労働は原則、年960時間までに制限される。
  • 当直・アルバイトの労働時間も常勤先と合算される。

そのため、当直・アルバイトができなくなり収入が減る可能性がある。

■2024年の働き方改革後の当直・アルバイトに関して知っておくべきこと

  • 当直・アルバイト先は宿日直許可を得ているか確認する。
  • 宿日直許可がある当直は労働時間にカウントされない。

■宿日直許可のあるアルバイト先の探し方

  • 複数の求人サイトに登録してアルバイトを探す。
  • 医療機関の内情に詳しいエージェントに相談する。
  • 条件限定の宿日直許可の募集もある。

この記事の内容を参考に、2024年の医師の働き方改革の当直・アルバイトへの影響をよく理解して、対策を立てましょう。

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