内定取り消しとは?内定取り消しの対処法2選と未然に防ぐ方法まとめ

監修者

弁護士法人新橋第一法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

内定取り消しとは?内定取り消しの対処法2選と未然に防ぐ方法まとめ
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 内定取り消しの基礎知識
  • 内定取り消しをされないために
  • 内定取り消しに立ち向かう

内定取り消しとは「採用内定を会社が取り消すこと」を言います。

内定取り消しは、企業側が一方的に行ってくることもあり、いざ取り消されるとパニックになってしまいます。

しかし、内定をゲットした時点であなたは社員と同じ立場になるため、内定取り消しに屈する必要はありません。

この記事では、内定取り消しの基礎知識や予防策、対処法について紹介します。

内定取り消しについて正しい知識を身に着けましょう!

【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】

■内定取り消しとは

  • 内定取り消しは法律上の言葉ではなく、「採用内定を会社が取り消すこと」
  • 「取消はやむを得ない」と考えられる場合には、内定取り消しができる

■内定取り消しが違法になる場合

  • ① 労働契約が成立している
  • ② 採用内定当時には知らなかった事実がわかった
  • ③ その事実により採用内定を取り消すことが仕方ないといえる場合

■内定取り消しを争う方法

  • ① 内定取消通知書の交付を要求する
  • ② 内定を前提とする入社手続きを行う
  • ③ 会社と交渉する
  • ④労働審判を起こす

■内定取り消しをされた場合の対処法2選

  • 給与をはらってもらう
  • 賠償金をもらう

内定取り消しに関するポイント

未払い残業代を取り返したいというあなたへ、まずはお気軽にご相談ください
未払い残業代を取り返したいというあなたへ、まずはお気軽にご相談ください

1章:内定取り消しの基礎知識

まずは、内定取り消しの正しい意味や企業の意図、違法になる場合をおさえましょう。

1-1:内定取り消しとは

内定取り消しは法律上の言葉ではなく、「採用内定を会社が取り消すこと」を言います。

一般的には内定通知が出た時点で労働契約(会社とあなたの間に結ばれた契約)が成立したと判断されます。

 

内定って、法的にどういう状態

こでの労働契約は、就労開始日までに取り消し事由が生じた場合は解約できるという、「解約権留保付き労働契約」とされているのです。

取消事由は、採用内定通知書や誓約書に記載されており、例えば、以下のような理由があります。

【学生側の理由】
・会社が提出を求めた書類を期限までに提出しなかったとき
・採用内定日より健康状態が低下し、勤務遂行が困難であるとき
・提出書類の記載事項や面接時の発言に偽りがあったとき
・犯罪等を行ったとき

【企業側の理由】
・会社の経営状況が悪くなったとき
・他の面接者を採用したくなったとき

ただし、書面に記載されていない事由であっても、「取消はやむを得ない」と考えられる場合には、内定取り消しができます。

1-2:内定取り消しが違法になる場合


内定取り消しは、以下の条件を守らない場合には違法になり、無効とされます。

① 労働契約が成立している
② 採用内定当時には知らなかった事実がわかった
③ その事実により採用内定を取り消すことが仕方ないといえる場合

です。

以下でそれぞれ説明します。

①労働契約が成立している

基本的に、採用内定通知を会社が出した時点で労働契約が成立したと認められます。

② 採用内定当時には知らなかった事実がわかった

採用内定のときにはわからなかった新事実が発覚した場合を指します。

③ その事実により採用内定を取り消すことが仕方ないといえる場合

取消事由にあたっても、内定取り消しをするのもやむを得ない、といえるケースでなければ、取り消しをすることはできません。

例えば

・健康状態が悪くなったが、業務上の支障はない場合
・水商売のアルバイトを「飲食店」と記載していた

などの場合は、この条件を満たさないでしょう。

【コラム】内定と内々定の違いを知る


内々定とは、「内定通知前に、主に口頭で内定が決まっていることを伝える」ことを言います。就職協定により採用内定通知を出すことができないが、「どうしてもこの人を確保したい」という場合に使われる手法です。

この内々定ですが、内定と同様、労働契約の承諾と評価されることもあります。ただし、一概にはいえず、

・通知を受けた時の状況
・会社やあなたの認識
・採用を確信させるよう言動があったか
・他者への就職を妨げるような事情があったか

などから判断をします。

労働契約が成立しているいえる場合、取り消しの違法性は内定の場合と同じように判断します(1-2参照)

2章:内定取り消しをされないために

内定取り消しの対象になる人の多くが、大学生です

そのほとんどが、留年をしたり、はめをはずしすぎたことによります。

では、内定取り消しをされないためには、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

たとえば以下の行為はやめましょう。

・SNSの投稿に注意する
会社の情報や悪口、悪ふざけをしたこと、をSNSに書くのはやめましょう。人事部はあなたのSNSを確認している可能性があるからです。
SNSの書き込みをもとに、追い込まれた例を見てみましょう。

【レイプ発言を受けて内定取り消し】
有名百貨店M社に内定が決まっていた男子学生は、当時起きた大学生によるレイプ事件を受け、「レイプは別に悪いと思わない。女が悪い」などという旨のツイートをした。これが匿名掲示板で炎上し、就職内定先にも抗議の電話がかかった。企業側は明らかにしていないが、内定は取り消されただろうと考えられる。

【面接官の悪口を書いて内定取り消し】
ある大学生は、内定が決まった中で、面接を行った人事部長について「キモいおやじだった」などとfacebookで発言した。これが企業の担当者の目にとまり、内定取り消しになりました。

・経歴を偽らない
良くあるのが、TOEICの点数を高めにかいたり、留学経験を偽ることです。ばれた時のリスクは計り知れませんから、大したことはないと思わず、正しいことを書きましょう。

3章:内定取り消しに立ち向かう

ここでは内定取り消しをされた場合の対処法について説明します。

3-1:内定取り消しを争う方法

内定取り消しを争う場合、以下の流れで争うことになります。

内定取り消しに立ち向かう流れ

① 内定取消通知書の交付を要求する
会社に対し、内定取り消し通知書の交付を要求しましょう。この際、内定取消の理由を明らかにしてもらうことが大切です。

② 内定を前提とする入社手続きを行う
これをしていないと、後で争ったときに、「内定を争っているくせに、入社手続きをしていない。これは、内定取り消しを受け入れたということだ」という無用な反論を受ける可能性があります。

③ 会社と交渉する
①②が終わったら、早速会社と交渉をしましょう。会社に何を求めるかについては、3-2を参照してください。

④労働審判を起こす
交渉がうまくいかなかった場合、自分が社員であるということを認めてもらうために、労働審判で地位確認の訴えを提起します。
「労働審判とは」リンク


この①~③の流れを自分で行うのはとても大変です。なぜならば、会社が素直に従うことはまず考えられないからです。

内定取り消しを争う場合には、必ず弁護士に依頼しましょう。

3-2:内定取り消しをされた場合の対処法2選

では、内定取り消しをされた場合、会社に対して何を求めることができるでしょうか。ここでは、2つの対処法について説明します。

3-2-1:給与をはらってもらう

内定取り消しが違法無効の場合、あなたはその会社の社員です。

そのため、給与を払ってもらうことができるのです

まずは、

弁護士を通じ、内容証明を送ることで賃金の支払いを促します

それでも会社が払ってくれない場合には、裁判所に、賃金の仮支払いを求める仮処分を提起します

その上で、裁判を提起することになります。

3-2-2:賠償金をもらう

違法な内定取り消しの場合、賠償金を貰うことができます。内訳は

・慰謝料
・弁護士費用
・賃金(新卒の場合には1年分の給与・賞与全額)

貰える金額はケースによって異なりますが、転職を勧誘したうえ、内定取り消しをしたケースでは、慰謝料だけで300万円もの金額を認めたものがあります

3-3:必要な証拠はコレ

内定取り消しに対処するためには、証拠を準備することが重要です。

必要な証拠は、以下のものになります。

・内定通知書
労働契約が成立しているといえるために、必ず必要な書面です。
・誓約書
内定通知書とは別に誓約書を書かされたときには、これも控えておきましょう。
・内定取り消しを通知する書面
口頭で内定取り消しを伝えられた場合でも、別途書面を貰うようにしましょう。
・会社からの電話を録音したもの
内々定の場合には口頭で伝えられることもあるため、できるだけ録音して下さい。

まとめ:内定取り消しについて

内定取り消しについて、理解することができたでしょうか。

最後に、簡単にまとめてみましょう。

・内定取り消しとは「採用内定を会社が取り消すこと」
・内定通知により「解約権留保付き労働契約」が成立する
内々定も、基本的に労働契約の成立と評価される
・内定取り消しは、以下のルールを守らない場合には違法になり、無効とされる

① 労働契約が成立している
② 採用内定当時には知らなかった事実がわかった
③ その事実により採用内定を取り消すことが仕方ないといえる場合

・内定取り消しを防ぐには、内定取り消しをした企業を知る、SNSに書かない、経歴を偽らないことが大切

・内定取り消しをされたら①賃金をもらう②賠償金をもらうの2つの対処法がある

内定取り消しをされても泣き寝入りをせず、すぐに弁護士に相談に行きましょう!

『残業代請求に強い弁護士』があなたの悩みを解決します

あなたは、こんな悩みをお持ちではありませんか?

  • これから退職予定で、未払い残業代を請求したい
  • すでに退職しているが、以前勤めていた会社に残業代を請求したい
  • 自分の残業代、残業時間に納得がいかない

会社がおかしい・不当ではないかと感じたら1人で悩まずに、残業代請求に強い弁護士に相談することをおすすめします。残業代の時効は2年なので、時効になる前に早めに行動することが大切です。

弁護士法人新橋第一法律事務所へのご相談は無料です。当事務所では、電話・メール・郵送のみで残業代請求できます。ですので、全国どちらにお住まいの方でも対応可能です。お1人で悩まずに、まずは以下よりお気軽にご相談ください。

"残業代を取り返したい"
というあなたへ

1人で悩まずに!残業代請求に強い弁護士法人新橋第一法律事務所にご相談ください

今すぐお電話ください!

tel. 0120-649-026 電話で問い合わせる

携帯・PHS可

相談無料土日祝受付

24時間365日対応

  • lineシェア
  • twitterシェア
  • facebookシェア
  • hatenaシェア
  • pocketシェア

関連記事
Related article