- 更新日:2024.08.22
- #労働問題弁護士費用
【労働問題の弁護士費用】相場と費用を抑える2つの方法を徹底解説
この記事を読んで理解できること
- 労働問題の弁護士費用を詳しく解説
- 労働問題の弁護士費用を少しでも抑える2つの方法
- 安さよりも「あなたの利益を最大にすること」を重視しよう
- 労働問題を自分で解決する2つの方法
あなたは、会社との間で労働問題を抱えて、
「弁護士に依頼したいけれど、費用はどのくらいかかるんだろう?」
「弁護士費用には、どのようなものがあるんだろう?」
「費用が高いなら依頼できないな」
などと思っていませんか?
労働問題にも「残業代、給料の未払い」「パワハラ、セクハラ、いじめ」「不当解雇」「労働条件の不当な変更」など様々なものがあります。
弁護士に労働問題の解決を依頼した場合、解決までにかかる費用の相場は、だいたい以下のようになります。
※ただし、相談料や着手金が無料で、成功した場合のみ報酬金が発生する「完全成功報酬制」という仕組みを導入する事務所もありますので、依頼時に高額な費用負担がないこともあります。
もしかしたら、これを見て「高い」と思われるかもしれません。
でも、安心してください。実はポイントを知っていれば、弁護士費用を抑えることができますし、弁護士に依頼しなくても、自分でできる手続きも存在するのです。
そこでこの記事では、まずはトラブル別の弁護士費用の相場について、現役弁護士が詳しく解説します。
さらに、弁護士費用を抑えるポイントと、自分でできる手続きの方法について紹介します。
しっかりポイントを押さえて、損しないように行動していきましょう。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■労働問題の弁護士費用の内訳
- 相談料・・・弁護士への相談にかかる費用
- 着手金・・・契約後、最初にかかる費用
- 実費・・・郵送や印刷代などの費用
- 報酬金・・・トラブルが解決した場合に、弁護士に支払う費用
■未払い残業代、未払い給料請求の弁護士費用
20万円〜40万円程度
■不当解雇の弁護士費用
30万円〜50万円程度
■セクハラ・パワハラ・いじめの弁護士費用
30万円〜50万円程度
■労働災害保険の弁護士費用
30万円〜60万円程度
■その他の労働問題の弁護士費用
経済的利益が300万円まで:〜72万円
経済的利益が300万円〜3000万円:72万〜720万円
経済的利益が3000万円を超える:720万円〜
目次
1章:労働問題の弁護士費用を詳しく解説
まずは弁護士費用のトータルの相場と、主にかかる内訳を確認しましょう。
【未払い残業代、未払い給料請求の弁護士費用】
20万円〜40万円程度
【不当解雇の弁護士費用】
30万円〜50万円程度
【セクハラ・パワハラ・いじめの弁護士費用】
30万円〜50万円程度
【労働災害保険の弁護士費用】
30万円〜60万円程度
【その他の労働問題の弁護士費用】
経済的利益が300万円まで:〜72万円
経済的利益が300万円〜3000万円:72万〜720万円
経済的利益が3000万円を超える:720万円〜
※ただし、弁護士費用は事務所によって大きく異なりますので、目安として考えてください。
どのような労働問題であっても、弁護士に依頼した場合は以下のような流れで解決されるため、以下の種類の弁護士費用がかかるのが一般的です。
弁護士に依頼した場合、上記のように、
- 交渉
- 労働審判
- 訴訟(裁判)
という順番で、問題が解決するまで手続きが進められます。
それぞれの手続きで費用が発生するため、早い段階で手続きが終わるほど、かかる費用も少なくなります。
※あなたの抱えている労働問題の内容によっては、相談料や着手金が無料にできることもあります。
弁護士費用の仕組みについて理解できたでしょうか?それでは、これから、以下のトラブル別に、順番に解説していきます。
- 未払い残業代、給料の請求
- 不当解雇
- セクハラ、パワハラ、いじめの損害賠償請求
- 労働災害(労災)補償
- その他(労働条件の不当な変更、会社からの損害賠償請求など)
あなたの悩みに該当するものから読んでください。
1-1:未払い残業代、未払い給料請求の弁護士費用
未払い残業代や未払い給料を請求する場合、費用の相場はトータルで大体、
20万円〜40万円程度
です。
内訳は以下のようになっています。
ただし、必ずしも、あなたが最初にこの金額を負担しなければならないわけではありません。
なぜなら、未払い残業代や給料の請求に強い弁護士なら、「完全成功報酬制」を採用している事務所も多いからです。
【完全成功報酬制とは】
相談料や着手金という初期費用を取らず、実費と、成功した場合の報酬金のみしか発生しない費用体系のことを、完全成功報酬制と言います。
完全成功報酬制の場合は、依頼時のあなたの負担はほとんどありません。
当事務所(新橋第一法律事務所)は、完全成功報酬制を導入しているため、あなたの費用負担は、実質的に実費のみです。
未払い残業代でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
残業代請求の弁護士費用について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
残業代請求の弁護士費用はいくら?費用相場と残業代をより高額取り返す方法
1-2:不当解雇の弁護士費用
会社から不当に解雇されたため、損害賠償請求したいという場合、トータルの費用は、一般的に、
30万円〜50万円程度
です。
内訳は以下のようになっています。
不当解雇は着手金が発生することが多い
不当解雇の場合は、解決手段によって着手金が発生することが多いです。
解決手段とは、以下の4つのことです。
【不当解雇の解決手段】
- 配達証明付き内容証明郵便の郵送・・・手間、時間、費用がほとんどかからない
- 交渉・・・内容証明に反論してきた場合の手段で、一番手間、時間、費用がかからない
- 労働審判・・・交渉より手間、時間がかかり、裁判所での申立て費用がかかる
- 訴訟(裁判)・・・最も手間、時間がかかり、裁判所で訴訟を提起する費用がかかる
手間や時間のかかる手続きほど、あなたの労働問題を解決できる可能性も高いです。
しかし、その分費用もかかってしまうため、30万円もの初期費用がかかってしまうこともあります。
不当解雇の報酬金
不当解雇の場合は、報酬金の金額にも注意が必要です。
不当解雇をされた場合、あなたが会社に求めるのは、
①損害賠償請求
②会社に戻ること
のどちらかだと思います。
①の場合は、貰えた損害賠償金の金額から一定割合の報酬金が差し引かれ、残りがあなたの手元に入ってきます。
②の場合は、あなたの利益を金額に換算できないため、あなたの過去の月額給与を元に、1〜3ヶ月分が報酬金になるのが一般的です。
不当解雇は、損害賠償請求できるケース、できないケースがありますので、詳しくは以下の記事をご覧ください。
1-3:セクハラ、パワハラ、いじめの損害賠償請求の弁護士費用
会社でセクハラ、パワハラ、いじめを受けたという場合も弁護士に依頼することができますが、弁護士費用の相場は、
30万円〜50万円程度
です。
内訳は以下のようになっています。
このように、セクハラ、パワハラ、いじめで損害賠償請求する場合、着手金が10万円以上かかるのが一般的です。
さらに注意点があります。
それは、パワハラやいじめでの損害賠償請求は、「パワハラやいじめを受けていた」ということが立証することが難しく、訴訟(裁判)になっても認められないことも多いということです。
つまり、数十万円の着手金を支払っても、損害賠償金が貰えず損することも多いのです。
さらに、損害賠償請求が認められても数十万円程度で、プラスマイナスゼロになってしまうこともあります。
そのため、パワハラやいじめで損害賠償請求する場合は、本当に自分が勝てるかどうか、弁護士に相談し、冷静になって行動することが大事です。
※セクハラの場合は、しっかりと証拠がある場合は、高額の損害賠償請求が認められることもあります。
これらの労働問題について、詳しく知りたい場合は以下の記事をご覧になってください。
セクハラについて
→会社でセクハラされた!セクハラの判断基準と3つの相談先とは?
パワハラについて
→【弁護士が徹底解説】パワハラのチェックリストと4つの対処法
職場いじめについて
→職場いじめから今すぐ脱出!6つのパターンと2個の対策を徹底解説
1-4:労働災害(労災)保険についての弁護士費用
労働災害(労災)保険とは、仕事中や通勤中のケガ、病気に対して支給される補償のことです。
あなたの労働災害(労災)を会社が申請せず、もみ消したせいで補償が受けられなかった、という場合、解決を弁護士に依頼すると、弁護士費用の相場は、
30万円〜60万円程度
です。
弁護士費用の内訳は、以下のようになっています。
労働災害(労災)保険について弁護士に依頼する場合、以下のように4つの解決手段があります。
【労働災害(労災)に関する解決手段】
- 配達証明付き内容証明郵便の郵送・・・手間、時間、費用がほとんどかからない
- 交渉・・・内容証明に反論してきた場合の手段で、一番手間、時間、費用がかからない
- 労働審判・・・交渉より手間、時間がかかり、裁判所での申立て費用がかかる
- 訴訟(裁判)・・・最も手間、時間がかかり、裁判所で訴訟を提起する費用がかかる
解決できる可能性が高い手段ほど、解決までに手間、時間、費用がかかります。
弁護士に依頼すれば、着手金だけで数十万円かかることもあります。
そのため、あなたは「労災がおりなかった!」と感情的になっているかもしれませんが、本当に弁護士に依頼する必要があるのかどうか、まずは冷静に検討することをおすすめします。
特に「労働災害をもみ消された(労災隠し)」などの問題については、まずは労働基準監督署に相談することをおすすめします。
詳しい方法は以下の記事をご覧ください。
【労働基準監督署にできること】相談の流れとより確実に解決するコツ
労働災害について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
労働災害とは?保険が貰えるケース・申請方法・トラブル解決法まとめ
1-5:その他(労働条件の不当な変更、会社からの損害賠償請求など)の弁護士費用
あなたの悩みが、
- 会社から、労働条件を一方的に変更された(給料が下げられたなど)
- 雇用契約と入社後の実際の条件が異なる
- 仕事上のミスで会社から高額の損害賠償請求をされている
などの場合も、弁護士によっては依頼が可能です。
かかる費用は弁護士やあなた抱えている労働問題の内容によって異なりますが、弁護士費用はトータルで、
経済的利益が300万円以下:〜72万円程度
経済的利益が300万円〜3000万円:72万円〜720万円程度
経済的利益が3000万円を超える:720万円〜
です。
詳しい費用体系は法律事務所によって異なりますが、(旧)日本弁護士連合会報酬規定にならって、以下のように決められていることが多いです。
詳しい費用は、弁護士に相談してみましょう。
2章:労働問題の弁護士費用を少しでも抑える2つの方法
労働問題で悩んでいるあなたは、
「弁護士に依頼したいけれど、高額なお金がかかるなら依頼できない」
と思うこともあるかもしれません。
しかし、弁護士費用は、以下の2つの方法で抑えられることがあります。
- 労働問題に強い弁護士に依頼する
- トラブルの証拠を集めておく
それぞれの方法について、詳しく解説します。
それより、自分で解決する方法が知りたい場合は、4章をお読みください。
2-1:労働問題に強い弁護士に依頼する
弁護士費用を抑える方法の一つは、労働問題に強い弁護士に依頼するということです。
なぜなら、労働問題に強い弁護士なら、立場の弱い労働者に金銭的な負担をかけないように、費用体系も工夫されているからです。
たとえば、労働問題に強い弁護士の中には、
- 初回相談料無料
- 着手金無料
で初期費用がかからず、成功した場合のみ報酬金が発生する「完全成功報酬制」の費用体系になっている事務所があります。
完全成功報酬制ではない法律事務所の場合は、たとえば、
- 相談料:1万円
- 着手金:35万円
合計36万円
程度の金額を最初に請求されることもあります。
しかし、完全成功報酬制の事務所なら、この分の費用負担が「ゼロ」になるのです。
労働問題に強い弁護士でなければ、このような費用体系になっている事務所は少ないです。
そのため、労働問題で悩んでいるなら、労働問題に強い弁護士を探すことが大事なのです。
しかし、弁護士の中には「労働問題に強い」と言いつつ、実は実績が少ない事務所もあります。
そのため、弁護士選びは、以下の点に注意してください。
【選ぶべき弁護士の特徴】
- HPに「労働問題に強い」と記載されている
- HPに「過去の解決実績」が掲載されている
- 相談料無料、着手金ゼロ、完全成功報酬の仕組みを導入している
- 残業代や慰謝料がどれくらいとれるのか、事前に答えることができる
【避けるべき弁護士の特徴】
- 大手の法律事務所
- 企業の顧問になっている法律事務所
- 裁判の実績の多さをあえてアピールしている
労働問題に強い弁護士を選ぶための注意点について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【保存版】手間、時間、お金をかけずに労働問題を解決するための全知識
2-2:証拠を集めておく
労働問題の解決を弁護士に依頼する場合、しっかりトラブルの証拠を集めておくことで、かかる費用を抑えられることもあります。詳しく説明します。
先ほどもお伝えした通り、弁護士に依頼すると、
- 交渉
- 労働審判
- 訴訟(裁判)
という3つの手段によって解決されます。
どれでも選べるわけではなく、解決が難しいトラブルほど労働審判や訴訟(裁判)のような、裁判所を通した手続きが必要になります。
しかし、会社とのトラブルの内容や、あなたが被った被害を示す証拠があるほど、「交渉」のような費用のかからない手続きで終わる可能性が高まるのです。
解決手段によって着手金や報酬金の金額が変わりますので、たとえば、最終的に貰えた慰謝料や未払い残業代の金額が「100万円」だったと仮定すると、以下のように弁護士費用が変わることがあります。
【交渉だけでの解決】
着手金10万円+報酬金20%+実費1万円=31万円
【労働審判での解決】
着手金20万円+報酬金20%+実費2万円=42万円
【訴訟(裁判)での解決】
着手金30万円+報酬金20%+実費3万円=53万円
集めるべき証拠は、以下のようにトラブルの内容によって異なります。
【給料の未払い】
- 雇用契約書
- 就業規則
- 給与明細
- 給与口座の取引明細(通帳)
- 源泉徴収票
【残業代の未払い】
残業代が未払いであることを示す証拠
- 雇用契約書
- 就業規則
- 給与明細
残業が存在したことを示す証拠
- タイムカード
- シフト表
- 業務日報
- 運転日報
- タコグラフ(ドライバーなどの場合)
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)
- 会社のパソコンの利用履歴
- メール・FAXの送信記録
【不当解雇】
- 解雇通知書
- 解雇の経緯を示す日記、メール
- ICレコーダーやスマホで録音した音声
【いじめ、パワハラ、セクハラ】
- メールの文面
- ICレコーダーやスマホで録音した音声
- スマホ等で撮影した動画
- 診断書
【労働災害(労災)】
- 労働災害の原因になった事故や上司の対応を記録した、メールや音声、動画
- 診断書
3章:安さよりも「あなたの利益を最大にすること」を重視しよう
労働問題の解決を弁護士に依頼する場合「できるだけ費用を安くしたい」と思う気持ちは分かります。
しかし、より重要なのは、
「あなたの利益を最大にすること」
です。
より具体的に言うと、
- 求めるものが金銭の場合(未払い残業代や損害賠償請求など)
→費用の安さより、あなたの手元に入る金額が最大になることが大事
- 求めるものが金銭以外の場合(不当解雇で会社に戻りたい、労働条件の不当な切りさげを戻して欲しい、など)
→より確実に解決されることが大事
ということです。
そのため、「法律事務所の費用体系だけを見比べて、より安い方を選ぶ」という選び方はおすすめできません。
費用が安さだけで法律事務所を選ぶと、
- 本来貰えるはずの金額より、少ない金額しか取り返せなかった
- あなたのトラブルが十分に解決されなかった
ということにもなりかねないからです。
特に、会社に金銭的な請求をする場合は、請求に自信がある事務所ほど報酬金額を高く設定する傾向があります。
報酬金額が高い分、手元に返ってくる残業代、給料、損害賠償金なども高くなる可能性があります。
4章:労働問題を自分で解決する2つの方法
労働問題を自分で解決する方法としては、
- 自分で直接会社に請求、交渉する
- 労働基準監督署に申告する
という2つの方法があります。
自分で直接請求するには、まずは配達証明付き内容証明郵便を送る必要がありますので、詳しくは以下の記事をご覧ください。
「内容証明 とは」
労働基準監督署を利用して解決したい場合は、以下の記事を参考に行動してみてください。
通報してやる!労働基準監督署での全手続きとトラブル解決のポイント
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
あらためて、費用体系を見てみましょう。
- 相談料・・・弁護士への相談にかかる費用
- 着手金・・・契約後、最初にかかる費用
- 実費・・・郵送や印刷代などの費用
- 報酬金・・・トラブルが解決した場合に、弁護士に支払う費用
この記事の内容をしっかり押さえて、より確実にあなたの悩みが解決できるように弁護士を選びましょう。
【参考記事一覧】
「残業代請求」の弁護士費用について詳しくは以下の記事で解説しています。
残業代請求の弁護士費用はいくら?費用相場と残業代をより高額取り返す方法
不当解雇を訴える方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
会社でセクハラ、パワハラ、いじめを受けた場合、それぞれ以下の記事をご覧ください。
会社でセクハラされた!セクハラの判断基準と3つの相談先とは?
職場いじめから今すぐ脱出!6つのパターンと2個の対策を徹底解説
労働問題を労働基準監督署を通して解決したい場合は、以下の記事を参考にしてください。
【労働基準監督署にできること】相談の流れとより確実に解決するコツ
労働災害について会社とトラブルになった場合、以下の記事で対処法を解説しています。
労働災害とは?保険が貰えるケース・申請方法・トラブル解決法まとめ
労働問題を弁護士に依頼して解決する方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。