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通報してやる!労働基準監督署での全手続きとトラブル解決のポイント

QUEST法律事務所

代表弁護士住川 佳祐

労働基準監督署に通報する男女

あなたは、会社との間で何らかのトラブルを抱えて、以下のような悩みや疑問をお持ちではありませんか?

「労働基準監督署に通報したら解決できるのかな?」

「労働基準監督署に通報したい!」

「労働基準監督署に通報して、会社に罰則を与えたい!」

会社から不当な扱いを受けると、解決方法を知りたい、できれば誰かの力を借りて解決したいと思いますよね。特に会社の行為が悪質なら、通報して罰則などを与えてほしいと思うこともあるでしょう。

労働基準監督署に通報する前に知っておいてほしいのが、「労働基準監督署は何でも解決してくれるところではない」ということです。なぜなら、労働基準監督署ができることは、法律で決められており、対象外の通報内容では対処できないこともあるからです。

そのため、通報して「トラブルを解決したい」「会社に罰則を与えたい」と思うなら、労働基準監督署への通報が最適な選択肢なのか、事前にしっかり判断することが大事です。

そこでこの記事では、まずは労働基準監督署に通報すべきトラブル・通報すべきではないトラブルの例と、通報した場合に労働基準監督署がやってくれることについて解説します。

さらに、労働基準監督署に通報する場合の具体的な手続きの方法・流れと、あなたのトラブルを優先的に扱ってもらうためのポイントをお伝えします。

そして最後に、労働基準監督署では解決できないトラブルの解決方法についても紹介します。

最後までしっかり読んで、より早く、より確実にトラブルを解決する方法を確認しましょう。


1章:労働基準監督署で解決できる?通報すべきトラブルと通報によって期待できること

労働基準監督署とは、労働基準法に基づいて全国の会社を監督する行政機関のことです。

そのため、労働基準法で定められた範囲のトラブルには強い権限を用いて対処できますが、範囲外のトラブルには対処できないのです。

そこでまずは、

  • 労働基準監督署に通報すべきトラブル
  • 労働基準監督署への通報によって期待できること

について確認しましょう。

それより、具体的な通報の方法について知りたいという場合は、2からご覧ください。

1-1:労働基準監督署に通報すべきトラブル

労働基準監督署に通報すべきトラブルは、以下のようなものです。

【労働基準監督署に通報すべきこと】

  • 賃金(給与、残業代、休日手当、深夜手当など)や退職金が未払い
  • 1ヶ月100時間を超えるなどの、長時間残業
  • 安全への配慮が不十分な危険な現場での作業
  • 労働条件が雇用契約と異なる
  • 会社が突然倒産してしまった
  • 会社が休日を与えてくれない
  • 会社が有給休暇を取得させてくれない
  • 不当解雇や不当な懲戒処分

上記のようなトラブルは、労働基準法違反になる可能性があるため、労働基準監督署に通報することで、何らかの解決策を提示してもらえる可能性があります。

一方で、以下のトラブルは労働基準監督署に通報しても解決できる可能性が低いため、別の方法で解決のための方法をとることをおすすめします。

※別の解決策については、この記事の最後でご紹介します。

【労働基準監督署に通報すべきではないこと】

  • いじめ、パワハラ、セクハラ、モラハラを受けている
  • 女性であることを理由に、職場で不平等な待遇を受けている
  • 育児・介護休業を取らせてくれない
  • アルバイト・パートの労働トラブルについて
  • 民事で扱うべきトラブル(損害賠償請求など)

これらのトラブルは「労働基準法違反」かどうか判断することが難しいため、労働基準監督署への通報では解決しない可能性が高いのです。

社員
何でも通報できるわけではないんですね。「通報できるトラブル」の場合、通報したらどうなるんでしょうか?
 
弁護士
それでは、通報した場合の労働基準監督署の対応や、会社に与えられる影響などについて解説します。
 

1-2:労働基準監督署への通報によって期待できること

 労働基準監督署に通報することで、以下のようなことが期待できます。

①労働基準法にのっとった具体的なアドバイスをくれる

②悪質な場合は解決のために動いてくれることもある

それぞれ解説します。

①労働基準法にのっとった具体的なアドバイスをくれる

あなたが労働基準監督署に通報をした場合、まずは窓口の担当者から、あなたのトラブルの法律上の扱いや具体的な対処方法などを教えてもらうことができます。

②悪質な場合は解決のために動いてくれることもある

労働基準監督署に通報した場合、解決のために「調査」「是正勧告」「逮捕」などの行動をとってくれることもあります。

全国の労働基準監督署には、トータルで約3000人の「労働基準監督官」という専門職員が在籍しており、彼らは、

  • 臨検監督
  • 司法警察官

という強力な権限を持っています。

簡単に言うと、裁判所の許可がなくても、労働基準法違反が疑われる会社に、直接立ち入って調査をする(臨検監督)ことが可能であり、労働基準法に違反する会社については、警察官と同じように逮捕や強制捜査を行うことができる(司法警察官)のです。

これらの対応が取られることによって、会社には以下のような影響が与えられます。

【労働基準監督署への通報で会社に与えられる影響】

  • 社会的信用を失う(書類送検された場合は厚生労働省のHPで公表される)
  • 経済的ダメージ(罰金や社員への未払い賃金の支払い)
  • 経営者の逮捕や懲役

通報して対応してもらうことができれば、あなたのトラブルが解決できるだけでなく、会社にも大きな影響があるのです。

社員
なるほど!通報で罰則を与えることもできるんですね。
 
弁護士
これは「動いてもらえた場合」ですので、動いてもらえなければ効果はない、ということに注意しておく必要があります。
 
社員
でも、動いてもらえるかどうかは事前には分からないのですよね?
 
弁護士
そうなんです。しかし、通報する時に、できるだけ労働基準監督署に動いてもらえるように工夫することはできます。まずは、通報の手続きの流れから解説します。
 


2章:労働基準監督署に通報する流れ

労働基準監督署に通報する流れには、

  • 準備
  • 通報
  • 通報後の流れ

の3つがあります。

それぞれの流れについて解説します。

2-1:準備:証拠集めと悩みの整理

労働基準監督署に相談に行く場合、

①会社の違法行為が分かる「証拠」を集める

②悩み、トラブルの整理をする

という準備をしてから行くことをおすすめします。

労働基準監督署に通報する前の準備

①会社の違法行為が分かる「証拠」を集める

労働基準監督署は、会社の違法行為が明らかであるほど、動いてくれる可能性が高まります。

そのため、通報前に違法行為の証拠になるものを集めておき、それを通報時に提示することをおすすめします。

集めるべき証拠については、4で詳しく解説します。

②悩み、トラブルの整理をする

この準備をしておくことで、労働基準監督署の担当者とスムーズに手続きを進めることができ、適切な解決策の案内につながります。

具体的には、

  • トラブルはどのような内容なのか
  • トラブルはいつから発生しているのか
  • どのような被害が発生しているのか
  • 違法行為を証明できる証拠はあるのか

などを整理しておきましょう。

2-2:通報:近くの労働基準監督署に行く

準備をしたらいよいよ通報です。

通報は以下の3つの方法で可能です。

  • メール
  • 電話
  • 直接訪問

さらに、これらの方法は「匿名」でも可能なため、通報することが会社にバレたくないという場合も、安心して通報可能です。

それぞれの方法について解説します。

メールで通報する(労働基準関連情報メール窓口)

あなたのトラブルをメールで通報するには、「労働基準関連情報メール窓口(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/mail_madoguchi.html)」

からメールを送りましょう。

メールですので、24時間いつでも通報可能です。

ただし、メールでの通報では、立ち入り調査の参考程度にしか使われないようです。実際に対応を求める場合は、他の方法をおすすめします。

電話で通報する(労働条件相談ほっとライン)

トラブルを電話で通報するには、「労働条件相談ほっとライン(0120−811−610)」に電話しましょう。

平日の夜間(17時〜22時)、休日の昼間(10時〜17時)に電話が可能なので、平日は忙しいという人でも大丈夫です。

しかし、これもあくまで相談窓口であり、相談に対して一般的な解決方法などのアドバイスが行われるのみです。

そのため、

  • 会社の違法行為を訴えて対策を求める
  • 会社の違法行為を暴きたい

という場合は、この方法では不十分です。

そのため、もっともおすすめなのは次に紹介する「直接訪問」です。

直接訪問して通報する

労働基準監督署は全国に321署もあります。そのため、あなたも最寄りの労働基準監督署に、直接訪問して通報することが可能です。

最寄りの労働基準監督署は、こちらから探すことができます。

(全国の労働基準監督署の所在案内:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html

ただし、労働基準監督署の受付時間は、平日の「8301715」だけです。そのため、平日働いていて会社を休むことが難しい場合は、直接出向いて通報することは難しいかもしれません。

そのため、「どうしても解決したい!」という重大なトラブルなら、会社を休んででも通報に行くか、もしくは他の解決の方法をおすすめします。

他の解決方法については、この記事の最後でご紹介します。

社員
通報後はどうなるのかな?
 
弁護士
通報後の、労働基準監督署による手続きの流れについて見てみましょう。
 

2-3:通報後の流れ

労働基準監督署に通報し、労働基準監督署が動いてくれた場合、1章で紹介したように、

  • 法律にのっとった具体的なアドバイス
  • 会社への立ち入り調査
  • 会社への是正勧告
  • 経営者の逮捕(悪質な場合)

などの対応を取ってくれる可能性があります。

これは、以下のような流れで行われます。

労働基準監督署に通報する流れ

あなたの通報から、あなたの会社の違法行為が疑われる場合、まずは事実確認のために「立ち入り調査」が行われます。

立ち入り調査では、賃金台帳などの資料や、経営者、労働者へのヒアリングでの調査が行われ、そこで違法性が確認できた場合は「これを改善しなさい」という是正勧告が行われます。

是正勧告後の「再監督」という再度の調査で、改善が見られなかった場合、経営者や会社への罰則が与えられることになります。

社員
違法なブラック企業には、しっかり罰則を受けてもらいたいですね!
 
弁護士
しかし、1章でもお伝えしたように、実際に罰則を受ける会社はごく一部です。
 注意して欲しいのが、労働基準監督署が書類送検するのは、例外的な悪質なケースのみだということです。

実際、平成27年のデータを見ると、労働基準監督署への「労働者からの申告」は、「26280件」、調査・勧告などの「監督業務」を行なったのは「22312件」なのに対し、実際に書類送検されたのは「966件」と、申告数のうちわずか「約3.6%」に過ぎないのです。

参考:「労働基準監督行政について:

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/roudou/20170316/170316roudou02.pdf

社員
それなら結局、労働基準監督署に通報することは意味がないことなんでしょうか?
 
弁護士
先ほども簡単に触れましたが、労働基準監督署に動いてもらうには「コツ」があります。これから紹介するコツを押さえておくことで、動いてもらえる可能性は高くなるため、一概に意味がないとも言えませんよ。
  


3章:通報で効果的に解決するためのポイント

労働基準監督署に通報する流れについて、理解できたでしょうか?

労働基準監督署に動いてもらうためには、

  • 実名、直接訪問で「申告」する
  • トラブルの事実を証明できる「証拠」を集める

という2つのポイントを押さえておくことが大事です。

それぞれについて解説します。

3-1:実名、直接訪問で「申告」する

労働基準監督署に通報する場合のポイント

ここまで「通報」という言葉を使ってきましたが、労働基準監督署に違法行為を訴える手続きには、「相談」「申告」があります。

申告というのは、ただの相談とは異なり、具体的な違法行為の事実を伝えて、何らかの対処を要求する手続きのことです。そのため、トラブルをより確実に解決するためには、「申告」の手続きの方がおすすめです。

さらに、先ほども簡単に触れましたが、通報(申告)は「匿名」や「メール・電話」より、「実名」「直接訪問」で行うべきです。

なぜなら、先ほどもお伝えしたように、労働基準監督署は慢性的な人員不足であるため、すべての通報で動くわけではないからです。

そのため、直接訪問し、連絡先や実名を明かした方が「緊急性が高い」と認識され、動いてくれる可能性が高まるのです。

3-2:トラブルの事実を証明できる証拠を集める

もう一点、とても大事なポイントがあります。それが、トラブルの証拠を集めることです。

必要になる証拠は、トラブルの内容によって異なります。

【賃金(給与、残業代、〇〇手当など)の未払いを示す証拠】

  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • 賃金規定
  • 給与明細

【残業時間を示す証拠】

  • タイムカード
  • シフト表
  • 業務日報
  • 運転日報
  • タコグラフ(ドライバーなどの場合)
  • 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
  • 残業時間の計測アプリ
  • 会社のパソコンの利用履歴
  • メール・FAXの送信記録

【不当解雇や不当な懲戒処分】

  • 解雇通知書
  • 解雇や懲戒処分を示す日記、メール

【労働条件に関するトラブル】

  • 雇用契約書
  • 給与明細

【パワハラ、セクハラなど】

  • パワハラ、セクハラ行為が分かるメールの文面
  • ICレコーダーやスマホでの音声の録音
  • スマホ等で撮影した動画
  • 被害が分かる診断書

 

弁護士
「証拠になりそう」と思うものがあれば、片っ端からコピーしたり、写真に撮ったりして後から利用できるように保存しておきましょう。
 
社員
分かりました!でも、これらのポイントを押さえて通報しても、動いてもらえなかったときはどうしたら良いんでしょうか?
 
弁護士
それでは最後に、通報で解決できなかった場合や、トラブルが労働基準監督署では解決しにくいものである場合の解決方法についてお伝えしましょう。
 


4章:労働基準監督署に動いてもらえない時は弁護士に相談

ここまでもお伝えしたように、労働基準監督署は、あなたの通報でも動いてくれないことも多いです。

さらに、仮に動いてくれたところで、労働基準監督署はあくまで「違法行為を監督する」行政機関なので、あなたが損しないように続きを進めてくれるとは限りません。

そこで、

「できるだけ早く、より確実に解決したい」

「ただトラブルを解決するだけじゃなく、できるだけ自分が損しない形で解決して欲しい」

という場合は、弁護士に依頼することも一つの選択肢です。

弁護士に依頼した場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。

【弁護士に依頼するメリット】

  • 依頼後、すぐにでも取りかかってもらえる
  • 手続きを弁護士に丸投げできるため、時間や手間がほとんどかからない
  • 会社との交渉などは弁護士が代理で行うため、心理的負担も少ない
  • トラブル内容や依頼する弁護士次第では、お金の負担もほとんどかからないことがある
  • トラブル内容や依頼する弁護士次第では、あなたが最も損しない形で解決してくれる

【弁護士に依頼するデメリット】

  • トラブルの内容によっては、依頼時にお金がかかる(内容によっては、初期費用ゼロでも依頼が可能)

労働問題専門の弁護士の中には、「初回の相談は無料」の弁護士も多いですので、まずは一度相談してみてはいかがでしょうか。

それより、まずは自分のトラブルの具体的な解決策を知りたいという場合は、ぜひ以下の記事をご覧ください。

【残業代の未払い】

【退職後でも可!】残業代請求の2つの方法と在職中から集めることができる証拠

【給料の未払い】

【未払い給料の請求方法】弁護士が教えるあなたが取るべきベストな選択肢

【職場でのいじめ・パワハラ】

職場いじめをより確実に解決するための5つのステップと弁護士の選び方

【職場でのセクハラ】

会社でセクハラされた!セクハラの判断基準と3つの相談先とは?

【不当解雇】

不当解雇で訴えたい!慰謝料請求の手順と戦い方を弁護士が徹底解説

【会社の倒産】

会社が倒産!未払い給料を取り返すためにやるべき事を弁護士が徹底解説


まとめ

いかがでしたか?

最後に今回の内容をまとめます。

【労働基準監督署に通報すべきこと】

  • 賃金(給与、残業代、休日手当、深夜手当など)や退職金が未払い
  • 1ヶ月100時間を超えるなどの、長時間残業
  • 安全への配慮が不十分な危険な現場での作業
  • 労働条件が雇用契約と異なる
  • 会社が突然倒産してしまった
  • 会社が休日を与えてくれない
  • 会社が有給休暇を取得させてくれない
  • 不当解雇や不当な懲戒処分

【労働基準監督署に通報すべきではないこと】

  • いじめ、パワハラ、セクハラ、モラハラを受けている
  • 女性であることを理由に、職場で不平等な待遇を受けている
  • 育児・介護休業を取らせてくれない
  • アルバイト・パートの労働トラブルについて
  • 民事で扱うべきトラブル(損害賠償請求など)

【労働基準監督署に通報することで期待できること】

①労働基準法にのっとった具体的なアドバイスをくれる

②悪質な場合は解決のために動いてくれることもある

【労働基準監督署への通報で会社に与えられる影響】

  • 社会的信用を失う(書類送検された場合は厚労省のHPで公表される)
  • 経済的ダメージ(罰金や社員への未払い賃金の支払い)
  • 経営者の逮捕や懲役

 【労働基準監督署に通報する流れ】

  • 準備:証拠集めと悩みの整理
  • 通報:近くの労働基準監督署に行く

【通報後の流れ】

労働基準監督署に通報する流れ

労働基準監督署への通報では解決が望めないトラブルや、より確実にトラブルを解決したい場合、「弁護士への依頼」がおすすめです。

【弁護士に依頼するメリット】

  • 依頼後、すぐにでも取りかかってもらえる
  • 手続きを弁護士に丸投げできるため、時間や手間がほとんどかからない
  • 会社との交渉などは、弁護士が代理で行うため、心理的負担も少ない
  • トラブル内容や依頼する弁護士次第では、お金の負担もほとんどかからないこともある
  • トラブル内容や依頼する弁護士次第では、あなたが最も損しない形で解決してくれる

【弁護士に依頼するデメリット】

トラブルの内容によっては、依頼時にお金がかかる(内容によっては、初期費用ゼロでも依頼が可能)

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