- 2020.03.28
- 2024.11.26
- #腰椎破裂骨折後遺症
【腰椎破裂骨折の後遺症】3つの障害と慰謝料相場を弁護士が徹底解説
この記事を読んで理解できること
- 腰椎の破裂骨折による後遺症の基礎知識
- 【腰椎の破裂骨折の後遺症①】変形障害
- 【腰椎の破裂骨折の後遺症②】運動障害
- 腰椎の破裂骨折で後遺症が残った場合の損害金一覧
- より高額の示談金をもらうためにやるべきこととポイント
- 腰椎の破裂骨折で後遺症が残る場合は弁護士に相談しよう
あなたは、
「交通事故で腰椎を破裂骨折してしまった。後遺症が残るとしたらどんなもの?」
「後遺症が残ったら、慰謝料はいくらもらえるのかな?」
「これから何をしたら良いのだろう?」
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
腰椎はとても重要な部位ですので、破裂骨折するとこれからの生活、仕事などが不安ですよね。
破裂骨折は重い骨折の症状ですので、さまざまな後遺症の原因になります。
腰椎を破裂骨折して後遺症(後遺障害)が残ってしまった場合、等級に応じて以下の慰謝料をもらうことができます。
※上記は、弁護士に依頼した場合にもらうことができる基準の金額です。自分だけで請求した場合、上記の金額より大幅に少なくなる可能性があります。
また、後遺症(後遺障害)が残った場合のやるべきことは、以下の通りです。
この記事では、腰椎の破裂骨折によってあり得る後遺症(後遺障害)と知っておくべき基礎知識について、そして状態別の後遺障害の等級や相場を解説します。
さらに、これからやるべきことや弁護士に依頼するメリットについても紹介しますので、知りたいところから読んでください。
目次
1章:腰椎の破裂骨折による後遺症の基礎知識
それではこれから、腰椎を破裂骨折した場合の後遺症の基礎知識から解説していきます。
しかしその前に知っておいていただきたいのが、後遺症と後遺障害の違いです。
「後遺症も後遺障害も同じ意味では?」と思われているかもしれませんが、それぞれ以下のように意味が異なります。
「後遺症も後遺障害も同じ意味では?」と思われているかもしれませんが、それぞれ以下のように意味が異なります。
- 後遺症:怪我によって残った障害の総称
- 後遺障害:「後遺障害等級」に認定された後遺症のこと
※後遺障害等級とは、後遺障害の重さに応じて1級~14級までのいずれかに認定される等級のことです。
ここまで後遺症と後遺障害を特に区別せずに使ってきましたが、これからは区別して使います。
それでは、解説していきます。
1-1:腰椎の破裂骨折による後遺症の種類
そもそも、腰椎とは、下部にある5つの骨からなる部分です。一般に、「腰」と言われる部分の背骨の部位が腰椎です。
腰椎は背骨の下部にあることから、上半身全体を支える非常に重要な役割を持っています。
腰椎の骨折には「圧迫骨折」と「破裂骨折」があり、以下の違いがあります。
圧迫骨折・・・腰椎が圧迫されるようにして骨折している状態で、腰椎を構成している「椎骨」という骨の前方がつぶれること
破裂骨折・・・腰椎が破裂するように広い範囲で骨折し、骨の破片(骨片)が腰椎の神経を圧迫することもある状態
つまり、違いは骨折の及ぶ範囲のことで、破裂骨折の方が広範囲に及ぶということです。
破裂骨折になると、腰椎の可動域の制限や変形による後遺障害だけでなく、麻痺などの神経症状も出ることがあります。
この記事では、破裂骨折で残ることが多い後遺障害を2章以降で解説していきます。
1-2:後遺障害が残ると損害金がもらえる
後遺障害が残るとその後の生活や仕事に影響が出る場合があります。
そのため、交通事故で腰椎に後遺障害が残った場合、状況に応じて以下の損害金をもらうことができます。
※ここに記載していませんが、腰椎の骨折によって脊髄が損傷し麻痺などが残った場合は、さらに高額の慰謝料を請求できる可能性もあります。
腰椎の骨折で後遺症が残った場合、後遺障害等級(※)を申請し、認定してもらうことで、
- 後遺障害慰謝料・・・後遺障害に対する精神的な損害への補償
- 逸失利益・・・後遺障害によって減少すると考えられる、将来の収入に対する補償
という損害金をもらうこともできます。
これは、後遺障害が認められなければもらえない損害金です。
※後遺障害等級とは、後遺障害の度合いに応じて認定される1級~14級の等級のことです。
後遺障害慰謝料、逸失利益は高額になるため、後遺症が残った場合、後遺障害等級を申請し認定してもらうことがとても大事なのです。
※示談金の詳しい項目や相場について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【交通事故の示談金相場】1円でも多く請求する方法を弁護士が解説
1-3:認定される腰椎破裂骨折の後遺障害は2つ
腰椎の骨折で認定される可能性がある後遺障害は、主に「変形障害」と「運動障害」の2種類です。
変形障害とは、腰椎が後ろや横に曲がって戻らなくなってしまった障害のことです。運動障害とは、骨折等によって腰椎が動きにくくなったり、固まって動かない障害のことです。
それぞれ、認定される後遺障害等級は以下の通りです。
変形障害
- 6級5号:背骨に著しい変形がある
- 8級準用:背骨に中程度の変形がある
- 11級7号:背骨に変形が残った
運動障害
- 8級2号:背骨に運動障害が残った
このように後遺障害に応じて、3つの後遺障害等級が認定され、それに応じた慰謝料が支払われることになります。
※後遺障害等級について詳しくは以下の記事をご覧ください。
【部位別・後遺障害等級表】交通事故で損しないための方法を弁護士が解説
【コラム:破裂骨折は脊髄を損傷する場合もある】
さらに、腰椎の破裂骨折の場合、骨折によって脊髄が損傷し麻痺が生じる場合があります。
腰椎の場合、一般的には下肢に麻痺が残ることが多いです。
麻痺が残った場合は、麻痺の範囲や程度によって後遺障害等級12級~1級までのいずれかが認定されます。
ひどい麻痺が残る場合、後遺障害慰謝料や逸失利益といった損害金は非常に高額になりますので、脊髄損傷の可能性がある場合は、すぐに弁護士に相談してください。
1-4:腰椎の破裂骨折の後遺障害等級認定までの流れ
後遺障害等級の必要性については理解できたかと思います。
実際に後遺障害等級を得るためには、以下の流れで手続きを進めることになります。
詳しい流れは4章で解説します。
2章:【腰椎の破裂骨折の後遺症①】変形障害
まずは、骨折によって腰椎が変形してしまう「変形障害」の後遺障害から説明します。
変形障害とは、簡単に言えば腰椎が曲がったまま固まってしまった状態のことで、変形の度合いによって認定される後遺障害等級の種類が異なります。
これから詳しく説明します。
2-1:腰椎の変形障害の後遺障害等級
交通事故の後遺障害等級は、自賠責保険(※)で定められた基準が認定の目安になります。
※自賠責保険とは、自動車の所有者が加入する義務がある、交通事故の被害者に最低限の補償を行う保険のことです。
■腰椎の変形障害の後遺障害等級
腰椎に「変形障害」が残ってしまった場合、認定される後遺障害等級は以下の通りです。
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
6級5号 | 腰椎が著しく変形した |
8級準用 | 腰椎に中程度の変形が残った |
11級7号 | 腰椎に変形が残った |
腰椎の変形障害には認定基準があり、基準を満たす場合のみ後遺障害等級が認められます。
■6級の後遺障害等級認定基準
6級の後遺障害等級は、腰椎が後ろに向かって曲がっている程度(後彎)と横に向かって曲がっている程度(側彎)の度合いから認定されます。
6級は、エックス線写真やCT、MRI画像で骨折が確認できて、かつ以下のような条件を満たすものが認められます。
- 後ろに曲がっている(後彎)場合
背骨の「椎体」という部分が2個以上にわたって、前方の部分の高さが著しく減少している場合。 - 後彎と側彎(横に曲がっている)が共にある場合
「椎体」という部分が1個以上にわたって、前方の部分の高さが減少している場合で、かつ「コブ法」というテストによって、曲がっている角度が50度以上ある場合。
■8級の後遺障害等級認定基準
8級も、背骨が後ろに向かって曲がっている程度(後彎)と横に向かって曲がっている程度(側彎)の度合いから認定されます。
6級よりも変形の程度が少ないものが8級になる傾向にあります。
8級は、エックス線写真等によって骨折等を確認でき、かつ以下の条件を満たす場合に認定されます。
- 後ろに曲がっている(後彎)場合
背骨の「錐体」という部分が1個以上にわたって、前方の部分の高さが減少した場合。 - 横に曲がっている(側彎)場合
「コブ法」というテストによって、曲がっている角度が50度以上ある場合、など。
8級は、エックス線写真等によって骨折等を確認でき、かつ以下の条件を満たす場合に認定されます。
- 後ろに曲がっている(後彎)場合
腰椎の「錐体」という部分が1個以上にわたって、前方の部分の高さが減少した場合。 - 横に曲がっている(側彎)場合
「コブ法」というテストによって、曲がっている角度が50度以上ある場合、など。
■11級の後遺障害等級認定基準
11級の場合、以下の基準を参考に後遺障害等級が決まります。
- 脊椎の骨折がエックス線、CT、MRIなどの画像から確認できる
- 「脊椎固定術」が行われた
- 3つ以上の脊椎について、「椎弓形成術」を受けた
2-2:腰椎の変形障害の慰謝料相場
1章で説明したように、後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料が支払われます。
これは、後遺障害が残ってしまったという精神的損害に対して支払われるものです。
腰椎の骨折による変形障害の場合、6級5号、8級準用、11級7号の後遺障害等級が認定されますので、後遺障害慰謝料の相場は以下の通りです。
後遺障害慰謝料は、交通事故でもらえる損害金の中でも高額になる項目の一つです。
そのため、後遺症が残った場合は必ず後遺障害等級を申請し、妥当な等級を認定してもらうことが大事です。
詳しい方法は4章で説明します。
また、他にも入通院慰謝料や逸失利益といった損害金をもらうこともできますので、より詳しく示談金の相場が知りたい場合は以下の記事をご覧ください。
【交通事故の示談金相場】1円でも多く請求する方法を弁護士が解説
3章:【腰椎の破裂骨折の後遺症②】運動障害
腰椎を骨折した場合、怪我によって腰椎の可動域が狭まったり、強直(固まって動かない)という状態になることがあります。
これを「運動障害」と言います。
腰椎の「運動障害」について、
- 認定される等級と状態
- 慰謝料相場
をてそれぞれ解説します。
3-1:腰椎の運動障害の後遺障害等級と認定される症状
まず、腰椎の運動障害の後遺障害等級と認定の基準を紹介します。
■腰椎の運動障害の後遺障害等級
腰椎の骨折によって運動障害が残ってしまった場合、認定される後遺障害等級は以下の通りです。
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
8級2号 | 腰椎に運動障害が残った場合 |
■後遺障害等級8級の認定基準
8級の場合、まず、腰椎の可動域が2分の1以下になったという場合で、かつ以下の要素のいずれかを満たす場合が認定基準になります。
- 腰椎に圧迫骨折等が残り、それがエックス線画像などで確認できる
- 腰椎に「脊椎固定術」が行われた
- 「項背腰部軟部組織」に器質的変化が明らかにある
前提になるのは、エックス線、MRIやCTなどの画像で後遺障害部分が確認できることです。
上記の基準を前提に、これから紹介する可動域の制限が認定基準になります。
■胸腰部の可動域について
3-2:腰椎の運動障害の慰謝料相場
腰椎の破裂骨折による運動障害の場合、8級2号後遺障害等級が認定されますので、後遺障害慰謝料の相場は以下の通りです。
後遺障害慰謝料は、交通事故でもらえる損害金の中でも高額になる項目の一つです。
そのため、後遺症が残った場合は必ず後遺障害等級を申請し、妥当な等級を認定してもらうことが大事です。
詳しい方法は5章で説明します。
また、他にも入通院慰謝料や逸失利益といった損害金をもらうこともできますので、より詳しく示談金の相場が知りたい場合は以下の記事をご覧ください。
【交通事故の示談金相場】1円でも多く請求する方法を弁護士が解説
3-3:荷重障害の等級と慰謝料相場
腰椎骨折による後遺障害に、「荷重障害」もあります。
荷重障害とは、腰椎の骨折によって上半身をまっすぐ支えられなくなる障害のことです。
荷重障害については、以下の通りの基準と等級が定められています。
■8級(準用)の後遺障害等級の基準
- その原因が明らかに認められる場合
- 胸腰部の保持が困難
- 常に硬性補装具を必要とする
上記の3つに該当する場合は、後遺障害等級8級相当であるとされます。
荷重障害の場合は、下記の後遺障害慰謝料が支払われます。
4章:腰椎の破裂骨折で後遺症が残った場合の損害金一覧
交通事故にあって腰椎の破裂骨折で後遺障害が残った場合、状況に応じて以下の損害金をもらうことができます。
よく言われる「慰謝料」とは、この損害金の中の一部に過ぎないのです。
それぞれ簡単に説明すると以下の通りです。
- 入通院慰謝料…入院・通院の期間や日数に応じて支払われる慰謝料。
- 後遺障害慰謝料…後遺障害等級に応じて支払われる慰謝料。
- 死亡慰謝料…被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料。
- 治療費・・・治療にかかったお金で、保険会社から病院に直接支払われることがほとんど。
- 交通費・・・治療のための通院にかかった交通費。
- 入院雑費・・・入院の際にかかった生活必需品などの雑費。
- 付添看護費・・・被害者の症状が重い、被害者が乳幼児などの場合で、看護が必要な場合に支払われる。
- 介護費・・・怪我により介護が必要になった場合に支払われる。
- 装具・器具費・・・事故により歩行が困難になるなど、装具・器具が必要になった場合に支払われる。
- 家屋改造費、自動車改造費・・・車椅子生活になるなどで、家や自動車の改造が必要になった場合に支払われる。
- 葬儀費用・・・事故によって亡くなった場合に支払われる。
- 休業損害・・・事故によって仕事を休まざるを得ず、損害が発生した分について支払われる。
- 逸失利益・・・後遺障害が残り、将来得られるはずの収入が減少してしまう場合に支払われる。
腰椎に後遺症が残った場合のそれぞれの金額の一例を紹介します。
【損害金の一例(裁判基準)】
- 入通院慰謝料…入院7か月、通院10か月の場合、310万円。
- 後遺障害慰謝料…後遺障害等級6級の場合、498万円。
- 治療費・・・実際にかかった金額(実費)
- 交通費・・・実際にかかった金額(実費)
- 入院雑費・・・入院1日あたり1500円
- 付添看護費・・・プロに依頼した場合、実際にかかった金額(実費)
- 介護費・・・一時的な介護をプロに依頼した場合、実際にかかった金額(実費)
- 装具・器具費・・・基本的に、実際にかかった金額(実費)
- 家屋改造費、自動車改造費・・・後遺障害で改造が必要な場合、基本的に、実際にかかった金額(実費)
- 休業損害・・・会社員で、事故前3カ月の給与(額面)が合計75万円、出勤日数66日、休業日数が22日×7か月=132日だった場合、175万円
- 逸失利益・・・事故前1年間の給与が450万円、後遺障害等級が6級、症状固定時30歳の場合、約5038万3665円
このように、特に「逸失利益」という項目で高額の損害金が支払われる場合がありますので、しっかり計算して請求することが大事です。
※損害金の各項目の計算方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【弁護士がわかりやすく解説】交通事故示談金の相場と各項目の計算方法
5章:より高額の示談金をもらうためにやるべきこととポイント
腰椎に後遺障害が残った場合、以下のポイントを押さえて行動することが大事です。
特に重要なのが、保険会社の言うままに行動しないということです。
保険会社は、
「そろそろ治療費を打ち切ります」
「そろそろ症状固定にしましょう」
などと一方的に言ってくることがあります。
しかし、保険会社の言うままに行動すると、あなたに本来もらえるはずの金額より、ずっと少ない示談金しかもらえなくなる可能性があります。
そのため、保険会社の言うままに行動せず、連絡が来たら弁護士に相談することをおすすめします。
後遺障害が残ってしまった場合のやるべきことについて、以下の記事で流れとポイントを詳しく説明しています。
6章:腰椎の破裂骨折で後遺症が残る場合は弁護士に相談しよう
交通事故の被害にあった場合、できるだけ早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。
6-1:弁護士に依頼すべき理由
弁護士に依頼すべきなのは、、
- 医師の指示のもと、適切な内容の後遺障害診断書を作成してもらえる
- 面倒な手続きを任せられ、手間、時間、ストレスが最小限になる
- 慰謝料の金額が「裁判基準」で計算され、慰謝料が高額になる
といったメリットがあるからです。
特に重要なのが、慰謝料の計算基準が「裁判基準」になるという点です。
慰謝料の計算基準には、3つのものがあるのですが、弁護士に依頼した場合に適用される「裁判基準」が最も高額になります。
しかし、あなたが自分で請求しても、「裁判基準」が適用されることはほぼあり得ません。
そのため、より高額の慰謝料を請求したい場合は、弁護士への依頼が重要なのです。
慰謝料の基準や相場について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【弁護士が解説】交通事故の慰謝料を1円でも多くもらうための全知識
6-2:弁護士費用の負担は0円になる場合もある
弁護士に依頼するといっても「弁護士費用の負担が大きいなら依頼できない」とお考えかもしれません。
しかし、実は「弁護士費用特約」が利用できれば、あなたの弁護士費用は保険会社が負担してくれるため、あなたの負担は原則0円で依頼可能です。
詳しくは以下の記事で説明しています。
【事例別】交通事故の弁護士費用を最大限安くおさえる方法を徹底解説
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
■腰椎の破裂骨折であり得る後遺障害等級
変形障害
- 6級5号:腰椎に著しい変形がある
- 8級準用:腰椎に中程度の変形がある
- 11級7号:腰椎に変形が残った
運動障害
- 8級2号:腰椎に運動障害が残った
この記事の内容を参考にして、損しないように行動していきましょう。