- 2019.07.07
- 2024.11.22
- #交通事故過失割合
178パターン網羅!交通事故の過失割合の決まり方と変えるための方法
この記事を読んで理解できること
- 交通事故の過失割合とは?
- 歩行者の交通事故の過失割合
- 四輪車同士の事故の過失割合
- バイク・原付と四輪車の事故の過失割合
- 交通事故の過失割合を変えてもらう方法
- 過失割合に不服があれば弁護士に相談しよう
あなたは、
「交通事故の過失割合ってどういうもの?」
「自分の過失割合って妥当なのかな?」
「過失割合に納得がいかない!」
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
確かに、保険会社から一方的に「今回の事故の過失割合は〇対〇です」と言われても、納得できないですよね。
まず大事なのが、
- 過失割合によって、もらえる示談金の額が大きく変わる
- 過失割合に不服があれば、変更してもらえることもある
ということです。
そのため、あなたに知っておいて欲しいのは「自分の本当の過失割合はどのくらいなのか」「過失割合はどうすれば変更できるのか」という知識です。
そこでこの記事では、まずは過失割合の基本的なことについて解説し、それから各状況における過失割合について詳しく説明します。
さらに、過失割合に不服がある場合の対処法もお伝えします。
あなたに該当する所から読んで、これからの行動に活かしてくださいね。
目次
1章:交通事故の過失割合とは?
それではまずは、交通事故の過失割合の基本的なことを説明します。
先に具体的な状況別の過失割合が知りたいという場合は、2章からお読みください。
1-1:過失割合によって示談金額が増減する
交通事故は、加害者が100%悪い場合ばかりではありません。
被害者にも一定の落ち度がある場合があり、その場合は状況によって過失割合が「90対10」「80対20」などと決められ、その割合が示談金の総額から差し引かれるのです。
これを「過失相殺」と言います。
たとえば、過失割合が「80対20」で示談金が1000万円なら、200万円が差し引かれ、800万円が支払われることになります。
これほど示談金額が変わるのですから、正しい過失割合を決めることがとても大事なのです。
1-2:過失割合の決まり方
実は、過失割合は、過去の判決などをもとに、ある程度事故状況に応じて類型化されています。
弁護士も保険会社も、裁判になった場合は裁判官も、この類型化された基準をもとに判断しています。
類型化された事故は、300種類を超えていると言われています。
さらにこの類型から、条件によって割合を調整する「修正要素」というものがあり、類型によって決まった過失割合から修正要素によって調整されて、具体的な過失割合が決まります。
修正要素とは、それぞれの状況において、
- 夜間の事故
- 幹線道路での事故
- 住宅街・商店街での事故
- 被害者が幼児・身体障害者
などの要素がある場合に、過失割合が「+5」「+10」「-5」などの足し引きがされるものです。
たとえば、過失割合が「加害者90:被害者10」の事故で、被害者側の修正要素が「+10」となっている場合は、被害者の過失が「20」になり「80:20」の過失割合になる、といったものです。
そのため、過失割合が妥当かどうかは、類型と修正要素のそれぞれを確認することが大事です。
1-3:保険会社は過失割合を一方的に決めてくる
さて、過失割合について、保険会社は一方的に決めてきます。
交通事故で被害にあった場合、保険会社から示談金の提案と共に「過失割合は〇対〇です」と、この書籍のコピーが送られてくることが多いです。
この時、「100対0」で、過失相殺がない場合は問題ないのですが、「90対10」「80対20」「70対30」など、あなたにも過失があるとみなされている場合は、その過失割合が妥当かどうか確認する必要があるのです。
もし不服があれば、5章で紹介するように保険会社に交渉することで、過失割合が変わることもあります。
2章:歩行者の交通事故の過失割合
まずは歩行者の交通事故の類型から、紹介していきます。
本来なら、これから紹介する類型から「修正要素」で調整されます。
ただし、修正要素まで紹介すると膨大な量になるので、ここでは類型のみ紹介します。
より正確な過失割合が知りたい場合は、弁護士に相談してください。
2-1:信号機の設置されていない横断歩道上の事故
信号機が設置されていない横断歩道上の事故の過失割合は、以下の通りです。
2-2:信号機の設置されている横断歩道上の事故
以下に紹介しているのは、
- 被害者:横断歩道を歩行中
- 加害者:四輪車や二輪車
- 状況:信号機が設置されている
の過失割合の類型です。
それでは状況別に順番に紹介します。
2-2-1:歩行者と直進車の事故
歩行者と直進車の交通事故の過失割合は以下の通りです。
2-2-2:歩行者と右折車の事故
歩行者と右折車の交通事故の過失割合は、以下の通りです。
2-3:横断歩道外の事故
以下に紹介しているのは、
- 被害者:横断中の歩行者
- 加害者:四輪車や二輪車
- 状況:横断歩道以外の場所での事故
の過失割合の類型です。
2-3-1:横断歩道通過後の事故
横断歩道通過後の事故の過失割合は、以下の通りです。
2-3-2:横断歩道の手前での事故
横断歩道の手前での事故の過失割合は、以下の通りです。
2-3-3:右左折する車と歩行者の事故
右左折する車と歩行者の交通事故の過失割合は、以下の通りです。
2-3-4:横断歩道のない交差点またはその直近における事故
横断歩道がない交差点や、そのすぐ近くでの交通事故の過失割合は、以下の通りです。
①幹線道路や広路での事故
②狭路における事故
③優先関係のない交差点の事故
2-3-5:その他の場所の事故
横断歩道がなく、交差点や横断歩道の近くでもない場所での、道路の横断に伴う交通事故の過失割合は、以下の通りです。
3章:四輪車同士の事故の過失割合
ここでは四輪車と四輪車同士の事故の過失割合を紹介します。
あなたの状況にあったものを読んでみてください。
3-1:交差点における直進車同士の出会い頭事故
交差点における、直進車同士の出会い事故の類型を順番に紹介します。
3-1-1:信号機がない交差点の事故
信号機がない交差点での交通事故の過失割合は、以下の通りです。
①左方車と右方車の事故
②一方通行違反がある場合の事故
③一方が明らかに広い道路である場合
④一方に一時停止規制がある場合
⑤一方が優先道路である場合
⑥一方道路車両用信号赤色表示と押しボタン式歩行者用信号青色表示(交差道路の車両用信号なし)
3-1-2:信号機がある交差点の事故
信号機がある交差点の事故の過失割合は、以下の通りです。
3-2:交差点における右折車と直進車との事故
交差点における右折車と直進車との事故の類型は、以下の通りです。
3-2-1:同一道路を対向方向から進入
同一の道路を対向方向から進入した場合の事故の過失割合は、以下の通りです。
①信号機がある交差点
②信号機がない交差点
3-2-2:左または右方向から進入
左もしくは右方向から交差点に進入した場合の事故の過失割合は、以下の通りです。
①右折車が左方車である場合(幅員が同じ場合)
②右折車が右方車である場合
③右折車が狭路から広路に出る場合
④右折車が広路から直進車の進入してきた狭路に入る場合
⑤右折車が広路から直進車の向かう狭路に入る場合
⑥右折車に一時停止の規制がある場合
⑦直進車に一時停止の規制があり、右折車が左方車である場合
⑧直進車に一時停止の規制があり、右折車が右方車である場合
⑨右折車が非優先道路から優先道路に出る場合
⑩右折車が優先道路から直進車の進入してきた非優先道路に入る場合
⑪右折車が優先道路から直進車の向かう非優先道路に入る場合
3-2-3:右(左)折車と後続直進車(追越)との事故
右折・左折する車と、追越しようとした後続直進車との事故で、追越直進車が中央線や道路中央を越えていた場合の過失割合は、以下の通りです。
3-3:道路外出入車と直進車との事故
道路外から道路に進入、もしくは道路から道路外に出る車と直進車との事故の場合、以下の類型があります。
①道路外から道路に進入するため右折する場合
②道路外から道路に進入するため左折する場合
③道路外に出るため右折する場合
3-4:対向車同士の事故(センターオーバー)
一方が中央線を越えて事故になってしまった場合の過失割合は、以下の通りです。
3-5:同一方向に進行する車両同士の事故
同じ方向に進行する車両同士の、追越は車線変更に伴う事故の類型は、以下の通りです。
①追越車と被追越車の事故
②進路変更車と後続直進車の事故
③追突事故(被追越車が急ブレーキをかけた場合)
追突事故は、基本的に被害者側の過失は「0」です。しかし、被追越車が急ブレーキをかけた場合は、被追越車にも過失があるとみなされます。
4章:バイク・原付と四輪車の事故の過失割合
ここでは、バイクや原付などの単車と四輪車との交通事故について、状況別に過失割合を紹介します。
該当するところを読んでみてください。
4-1:交差点における直進車同士の出会い頭事故
交差点での直進車同士の出会い頭事故の場合、過失割合は以下の通りです。
4-1-1:信号がある交差点の事故
4-1-2:信号機がない交差点の事故
信号機がない交差点では、以下の類型があります。
①単車左方車・四輪車右方車
②単車右方車・四輪車左方車
③単車広路・四輪車狭路
④単車狭路・四輪車広路
⑤四輪車に一時停止規制
⑥単車に一時停止規制あり
⑦一方が優先道路
⑧一方通行違反
4-2:交差点における左折車と直進車の事故
交差点での左折車と直進車の事故の場合、過失割合は以下の通りです。
①直進車と先行左折四輪車
②直進単車と追越左折四輪車
③先行左折単車と直進四輪車
④追越左折単車と直進四輪車
4-3:交差点における右折車と直進車の事故
交差点での右折車と直進車の事故の場合、過失割合は以下の通りです。
4-3-1:同一方向を対向方向から進入(信号機がある道路)
信号機がある道路の場合を紹介します。
①単車が直進、車が右折
②単車が右折、車が直進
4-3-2:同一方向を対向方向から進入(信号機がない道路)
次に、信号機がない場合の過失割合を紹介します。
①単車直進・四輪車右折
②単車右折・四輪車直進
③右折車が左方車(同幅員)
④右折車が左方車(同幅員)
⑤右折車が狭路から広路に出る場合
⑥右折車が広路から直進車の進入してきた狭路に入る場合
⑦右折車が広路から直進車の向かう狭路に入る場合
⑧直進車に一時停止規制があり、右折車が右方車である場合
⑨直進車に一時停止規制があり、右折車が左方車である場合
⑩右折車に一時停止規制がある場合
⑪右折車が非優先道路から優先道路に出る場合
⑫右折車が優先道路から直進車の進入してきた非優先道路に入る場合
⑬右折車が優先道路から直進車の向かう非優先道路に入る場合
4-4:渋滞中の車両間の事故
渋滞中の車両間での単車と四輪車の事故の場合、過失割合は以下の通りです。
4-5:道路外出入車と直進車との事故
道路外からの道路への進入、もしくは道路から道路外に出る場合の事故の場合、過失割合は以下の通りです。
①単車が直進、四輪車が路外へ進入
②単車が路外へ進入、四輪車が直進
③四輪車が道路外に出るために右折
4-6:対向車同士の事故(センターオーバー)
一方が中央線を越えて事故になった場合の過失割合は、以下の通りです。
4-7:転回車と直進車の事故
一方が転回したことに伴う事故の場合、過失割合は以下の通りです。
①転回中の事故
②転回終了直後の事故
4-8:同一方向に進行する車両同士の事故
追越や進路変更、追突などの事故の場合の過失割合は以下の通りです。
①追越単車と被追越四輪車との事故
②進路変更車と後続直進車の事故
③追突事故
4-9:ドア開放事故
四輪車がドアを開放していたことによる事故の場合、過失割合は以下の通りです。
4-10:駐停車車両に対する単車の追突
駐停車された車両に対する単車の追突事故の場合、過失割合は以下の通りです。
5章:交通事故の過失割合を変えてもらう方法
交通事故の過失割合は、保険会社が調査した上で決めるものです。
そして、重要なのは、保険会社は「できるだけ示談金を少なくしたい」と考えているため、過失割合はあなたにとって不利なものになる可能性がある、少なくともあなたに有利には決められないということです。
保険会社から示談金が提示された時に、「過失割合は〇:〇になります」と告げられるのですが、その時に、過失割合に不服があれば交渉して変えてもらうことが大事です。
■過失割合変更を交渉するためには証拠が必要
過失割合の変更を交渉するためには、「保険会社が提示する過失割合が間違っている」ことを証明できる証拠が必要です。
証拠がなければ、保険会社が過失割合を変えてくれることはありません。
そこで、以下のような証拠になるものを集めて保険会社に提出し、「妥当な過失割合は〇:〇です」と交渉する必要があります。
【刑事記録(実況見分調書、供述調書)】
①実況見分を行った警察署に連絡し、実況見分調書が必要である旨を伝える
②検察庁に連絡して、①で聞いた「送致番号」などを伝え、実況見分調書の閲覧・コピーの予約をする。
③予約した日に検察庁に行き、実況見分調書をコピーする
※各都道府県毎に手続が異なりますので、詳しくは事故現場を管轄する警察署・検察庁にお問合せください。
【目撃者の証言の記録】
自分で交通事故が起きた現場の近隣の店舗や住民に聞き込みを行い、目撃者の証言や、防犯カメラの映像等を集める。これらについては、すぐに行動することをおすすめします。
ただし、上記の証拠を集めるためには専門知識が必要ですし、膨大な手間、時間がかかることがあります。
そのため、これらのことは弁護士に依頼して任せてしまうことをおすすめします。
6章:過失割合に不服があれば弁護士に相談しよう
過失割合に不服がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
なぜなら、
- 正確に過失割合を判断するためには、専門知識が必要なため
- 過失割合の交渉に必要な証拠を集めるためには、膨大な手間や時間、ストレスがかかるため
- 保険会社は、弁護士が付いていなければ交渉してもまともに取り合ってくれないことがあるため
という理由があるからです。
それだけではありません。
あなたは「妥当な金額の示談金をもらいたい」と思っていると思いますが、妥当な示談金をもらうためには、
- 妥当な後遺障害等級を認定してもらう(後遺障害が残った場合)
- 示談金の基準を、弁護士が付いた場合に適用される「裁判基準」にする
ということが大事です。
これらも弁護士なら対応可能ですので、交通事故の被害にあった場合は、まずはできるだけ早い段階で弁護士に相談することが大事なのです。
それぞれ、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【交通事故に強い弁護士選びについて】
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
【弁護士費用の相場や、弁護士費用特約について】
【事例別】交通事故の弁護士費用を最大限安くおさえる方法を徹底解説
【交通事故の後遺障害等級について】
【部位別・後遺障害等級表】交通事故で損しないための方法を弁護士が解説
【交通事故の基準と示談金相場の関係について】
【交通事故の示談金相場】1円でも多く請求する方法を弁護士が解説
まとめ
いかがでしたか?
それでは今回の内容をまとめます。
過失割合とは、以下のようなものです。
【過失割合とは】
- 被害者にも過失がある場合に、過失の度合いに応じて決められる割合
- 過失割合を決めるのは保険会社
- 不服がある場合は変更の交渉ができる
- 「類型」と「修正要素」から決まる
過失割合は、保険会社と交渉することで変えられますが、そのためには以下の証拠を集める必要があります。
【過失割合を変えるために必要な証拠】
- 刑事記録(実況見分調書、供述調書)
- 目撃者の証言やカメラに記録された映像
弁護士に依頼すると以下のメリットがあります。
【弁護士に依頼するメリット】
- 正確な過失割合が分かる
- 過失割合の変更の交渉をやってもらえる
- 妥当な後遺障害等級を認定してもらえる
- 示談金の基準を、「裁判基準」にできる
この記事を参考に、妥当な過失割合にするための行動を始めてくださいね。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
【事例別】交通事故の弁護士費用を最大限安くおさえる方法を徹底解説