- 2020.04.01
- 2025.02.24
- #交通事故
- #介護を要する後遺障害
【弁護士が解説】交通事故で介護を要する後遺障害の各症状と慰謝料相場


この記事を読んで理解できること
- 介護を要する後遺障害等級1級、2級、各号の症状
- 損害賠償金の種類と3つの算出基準
- 介護を要する後遺障害等級1、2級の2つの慰謝料と相場
- 介護を要する後遺障害等級1、2級で慰謝料以外にも請求できるお金がある
- 適切な等級に認定してもらうための流れとポイント
- 介護を要する後遺障害等級1、2級の慰謝料請求は弁護士に依頼するのがおすすめ
あなたは、
「介護を要する後遺障害の症状とは?」
「介護を要する後遺障害の慰謝料はいくら?」
「介護を要する後遺障害に認定されるにはどうしたらいいの?」
という悩みや疑問をお持ちではありませんか?
結論から言うと、介護を要する後遺障害とは、交通事故による傷害で、脳や神経、臓器などに重度の障害が残り、介護を要する場合に認定されるもので、症状によって1級1、2号、2級1、2号の各号(別表第1、介護を要する後遺障害)があります。
後遺障害等級が認定されることで、被害者は、「後遺障害慰謝料」という慰謝料がもらえます。
この「後遺障害慰謝料」には、3つの算出基準があり、次に示すようにどの基準で算出するかによって金額が大きく変わってきます。
このように、裁判基準で慰謝料を算出すると、被害者がもらえる慰謝料は最も大きくなります。
例えば、介護を要する後遺障害等級1級の場合は、自賠責基準と裁判基準では、もらえる慰謝料の金額が2倍以上も差があります。
1番高い裁判基準での慰謝料をもらうためには、弁護士に依頼することが必須です。
というのも、保険会社は、できるだけお金を払いたくないので、自賠責基準や任意保険基準で算出することで安く済ませようとするからです。
また、弁護士に依頼することで、複雑な手続きや示談交渉なども対応してくれるので、ぜひ1度は交通事故専門の弁護士に相談することをおすすめします。
そこでこの記事ではまず、介護を要する後遺障害等級1級、2級の各号の症状、慰謝料の3つの算出基準やもらえるお金について解説します。
さらに、後遺障害等級認定までの流れやポイント、弁護士に依頼するメリットについても解説します。
知りたいところから読んで、これからの行動に活用してください。
※本記事でいう1、2級とは、後遺障害等級別表第1の1、2級をさします。
目次
1章:介護を要する後遺障害等級1級、2級、各号の症状
介護を要する後遺障害等級1、2級については、交通事故との因果関係が認められる障害のうち、脳や神経、臓器などの症状が各号にて規定されています。
各号の症状を表す文章はかなり難しく、わかりづらいので、一覧表の後に解説していきます。
1-1:1級1号)神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
交通事故による傷害で、脳や神経に重度の障害を残し、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要する状態です。
高次脳機能障害の中でも重篤なものや、脳損傷、脊髄損傷による麻痺などがある場合です。
1-2:1級2号)胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
重度の胸腹部臓器の障害のために、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するもので、日常生活の範囲が病床に限定されている状態です。
1-3:2級1号)神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
交通事故による傷害で、脳や神経に高度の障害を残し、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護や看視を要する状態です。
高次脳機能障害では、著しい判断力の低下や情動の不安定などのため、1人で外出することができず、日常の生活範囲な自宅内に限定されている状態です。
具体的には、身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができない状態です。
1-4:2級2号)胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
高度の胸腹部の障害のために、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもので、日常生活の範囲が主として病床にあるが、食事、用便、自宅内の歩行など短時間の離床が可能であるかまたは差し支えのない状態です。
以上、介護を要する後遺障害、各号の症状を解説しましたが、わかりにくいところも多いと思います。
各号の中には、決まった検査項目や基準値などが規定されていないものも多くあります。
また、医師の方でも、後遺障害に詳しくない方もおられますし、適切な検査をする機材をどこの病院でも揃えているわけでありません。
2章:損害賠償金の種類と3つの算出基準
この記事の始めに、後遺障害慰謝料とそれを決める3つの算出基準の話をしました。
交通事故の損害賠償金としてもらえるお金には、後遺障害慰謝料のほかに、治療費や働けなくなった期間の補償などいろいろな種類があります。
さらに、どの算出基準を適用するかによって、もらえるお金には大きな差が生じます。
この章では、後遺障害慰謝料を含めた、交通事故の損害賠償金の種類と、3つの算出基準について解説していきます。
2-1:損害賠償金の種類
交通事故で後遺障害等級が認定された場合、状況に応じて次のような損害賠償金をもらうことができます。
よく言われる「慰謝料」とは、この損害賠償金の中の一部に過ぎないのです。
それぞれ簡単に説明すると以下の通りです。
<3つの算出基準によって金額が大きく変わるもの>
- 入通院慰謝料…入院・通院の期間や日数に応じて支払われる慰謝料。
- 後遺障害慰謝料…後遺障害等級に応じて支払われる慰謝料。
- 死亡慰謝料…被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料。
- 休業損害・・・事故によって働けなくなった期間の、失われた収入について支払われる。
- 逸失利益・・・後遺障害が残り、将来得られるはずの収入が減少してしまう場合に支払われる。
<主に実費が支払われるもの>
- 治療費・・・治療にかかったお金で、保険会社から病院に直接支払われることがほとんど。
- 交通費・・・治療のための通院にかかった交通費。
- 入院雑費・・・入院の際にかかった生活必需品などの雑費。
- 付添看護費・・・被害者の症状が重い、被害者が乳幼児などの場合で、看護が必要なときに支払われる。
- 介護費・・・ケガにより介護が必要になった場合に支払われる。
- 装具・器具費・・・事故により歩行が困難になるなど、装具・器具が必要になった場合に支払われる。
- 家屋改造費、自動車改造費・・・車椅子生活になるなどで、家や自動車の改造が必要になった場合に支払われる。
- 葬儀費用・・・事故によって亡くなった場合に支払われる。
これらの損害賠償金の中で、とくに後遺障害に対する補償を、費目としてみていくと下記のとおりです。
- 後遺障害慰謝料
- 逸失利益
- 将来介護費(将来にわたって介護にかかる費用)
- 将来雑費(介護に伴い発生する雑費)
- 装具器具等購入費
- 家屋自動車等改造費
などが、後遺障害に対する損害賠償金として上げられます。
ここまで説明した損害賠償金の中で、金額が大きくなりやすい「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」は3章で、「休業損害」「逸失利益」「将来介護費」は4章で、詳しく解説していきます。
2-2:損害賠償金の3つの算出基準
損害賠償金の中には、後遺障害慰謝料や入通院慰謝料など、3つの算出基準によって大きく金額に差が出るものがあります。
- 自賠責基準:自賠責保険が定めた最低限度の基準
- 任意保険基準:任意保険会社が独自に定めた基準
- 裁判基準:過去の判例をもとに、弁護士に依頼することで得られる最も高額な算出基準
上図のように、自賠責基準は、自賠責保険による被害者救済のための最低限度の補償です。
任意保険基準は、任意保険会社が独自で定めた算出基準で、一般的には自賠責基準に多少増額した補償金額となっているようです。
裁判基準は、最も高額な補償となります。
一例として、自賠責基準と裁判基準の介護を要する後遺障害等級1、2級の後遺障害慰謝料を比較してみると、自賠責基準が1級1650万円、2級1203万円、裁判基準は1級2800万円、2級2370万円となります。
裁判基準の後遺障害慰謝料は、自賠責基準の補償額よりそれぞれ1100万円も高額となります。
次の3、4章では、自賠責基準と裁判基準それぞれの賠償金額を比較しながら解説していきます。
「任意保険基準の賠償金額」
各保険会社が独自の基準で設定していますので具体的な金額は公開されておらず、正確に計算、比較することができません。
一般的には自賠責基準と同程度か多少増額した査定金額となっているようです。
3章:介護を要する後遺障害等級1、2級の2つの慰謝料と相場
介護を要する後遺障害等級1、2級の損害賠償項目の中に、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料があります。
入通院慰謝料は、入院、通院期間によって算出され、後遺障害慰謝料は、その等級によって限度額が決められています。
3-1:入通院慰謝料
交通事故の被害者が、入院、通院にかかる治療費や交通費だけでなく、その期間の精神的損害に対する賠償として、入通院慰謝料があります。
ここでは、入院が12ヶ月の場合を想定して、自賠責基準の計算方法と補償額、裁判基準の補償額を比較していきます。
■自賠責基準の計算方法
自賠責基準では、一日あたりの補償額が4300>円と決められています。
それに、入通院期間の日数をかけて計算します。
ここでは、入院期間の12ヶ月から、360日の入通院期間とした場合、
4300円×360日=154万8000円
自賠責基準の入通院慰謝料は、154万8000円となります。
ただし、自賠責保険の場合は、傷害による損害の限度額は、治療費などを含めて120万円と決められているので、実際には、自分で請求しても、自賠責基準で計算した慰謝料すらもらえないこともあります。
■裁判基準の補償額
裁判基準の入通院慰謝料は、入院期間、通院期間をもとに、2つの表として定められています。
「別表1」が、通常の傷害による場合、「別表2」が、むちうちなど他覚症状がない場合の入通院慰謝料となります。
今回の例、入院12ヶ月の場合、
・通常の傷害による入通院慰謝料
入通院慰謝料は、321万円となります。
自賠責基準の入通院慰謝料は、計算上154万8000円でしたが、裁判基準では、321万円となり、自賠責基準の2倍以上の金額となります。
上記の表の金額は月単位の基準数値ですから、実際は入院、通院の日割り計算などが必要となります。
3-2:後遺障害慰謝料
交通事故が原因で後遺障害が残ったとき、医師に後遺障害診断書の作成を依頼して、後遺障害認定の申請を行ないます。
そして、後遺障害と認定された場合、その等級に対応した後遺障害慰謝料を請求することができます。
自賠責基準と裁判基準の介護を要する後遺障害等級1、2級の後遺障害慰謝料を比較してみると、自賠責基準が1級1650万円、2級1203万円、裁判基準は1級2800万円、2級2370万円となります。
後遺障害慰謝料も、自賠責基準より裁判基準のほうがかなり高額になります。
4章:介護を要する後遺障害等級1、2級で慰謝料以外にも請求できるお金がある
この章では、交通事故によるケガが原因で、働けなくなった期間の、収入に対する損害の補償を見ていきます。
4-1:休業損害
休業損害とは、交通事故の被害者がケガのために働けず、その期間に得られなかった収入に対する補償のことです。
交通事故で休んだために会社から支払われなかった給与やボーナスなどが対象です。
休業損害の計算は、まずあなたが仕事で得られるはずだった1日当たりの収入「日額基礎収入」を算出し、ケガのために働けなかった「休業日数」をかけて計算します。
「休業損害」=「日額基礎収入」×「休業日数」
日額基礎収入の算出方法は所得の種類によって異なり、また休業日数は治療期間中、実際に休んだ日数ではなく、ケガの内容、程度、治療過程や仕事の内容などによって妥当な日数が算出されます。
ここで、例として被害者が会社員(給与所得者)の場合の計算方法を解説します。
○被害者・・・39歳、会社員、事故前3ヶ月の給与114万円、出勤日数66日、休業日数は、入院期間の12ヶ月、360日とした場合。
■自賠責基準の場合
自賠責基準の休業損害の計算方法では、日額基礎収入が、1日6100円と決められています。
これに休業日数の360日をかけて、
6100円×360日=219万6000円 となります。
ここでも、自賠責基準の場合は、傷害による損害の限度額が120万円ですからかなり減額されるようです。
■裁判基準の計算方法
裁判基準の日額基礎収入は、自賠責基準のように定額ではなく、交通事故前3か月分の収入をもとに、日額基礎収入を算出します。
場合によっては、交通事故前1年分の収入を元に計算を行う場合もあります。
※3ヶ月で年間収入の平均を計算できない場合は、事故前1年間の収入を365日で割ります。
給与の合計額とは、基本給に残業代や手当などを足した支給額のことです。
税金、社会保険料などの各種控除が差し引かれた差引支給額ではありません。
ここではボーナスは含みません。ボーナスも減少してしまったという場合は、別途計算して請求します。
事故前の給与の証明として、会社から「休業損害証明書」と「源泉徴収票」を作成してもらい、それを保険会社に提出する必要があります。
「休業日数」には、交通事故の治療のために有給休暇を使った場合、その有給休暇も含めて計算できます。
今回の例の休業損害を、裁判基準で計算していきます。
事故前3ヶ月の給与114万円を、出勤日数66日で割り、日額基礎収入を出します。
114万円÷66日=17,272円
この日額基礎収入に、休業日数をかけて、
17,272円×360日=621万7920円
自賠責基準の休業損害は、219万6000円、対して裁判基準では、621万7920円となります。
休業損害の詳しい内容は、こちらをご覧ください。
【交通事故の休業損害とは】相場一覧と高額請求する方法を徹底解説
4-2:逸失利益
逸失利益とは、交通事故による後遺障害や死亡によって失われた、将来得られるはずの利益に対する賠償のことです。
被害者の現在の収入、年齢や後遺障害の等級をもとに計算します。
ここで、具体例として、
- 39歳男性、会社員
- 年収500万円
- 後遺障害等級1級2号
の場合を解説します。
■自賠責基準の場合
自賠責保険の基準では介護を要する後遺障害等級1級の、後遺障害による損失の限度額(逸失利益と後遺障害慰謝料の合計)は、4000万円となっています。
つまり、第3章で解説した自賠責保険の後遺障害慰謝料が、限度額1650万円でしたので、逸失利益の補償金としては、2350万円が限度額となります。
■裁判基準
後遺障害の逸失利益の計算方法は、以下の通りです。
各項目、順番に解説していきます。
○基礎収入の計算
・【会社員(給与所得者)】
会社員の場合は、事故前1年間の実際の収入額を、基礎収入として計算します。
・【個人事業主(事業所得)】
個人事業主の場合は、前年の確定申告で申告した金額を実際の収入として計算します。
・【会社役員(役員報酬)】
会社役員の場合は「労働の対価」として認められる部分のみが、基礎収入として計算できます。
・【専業主婦】
専業主婦の場合は、原則的に「賃金センサス」女性労働者の全年齢平均賃金を基礎収入として計算します。
「賃金センサス」とは厚生労働省の統計のことで、平成30年の女性労働者の全年齢平均給与額は382万6300円ですので、日額基礎収入は10483円となります。
・【学生】
学生の場合も専業主婦と同様に、「賃金センサス」における全年齢平均賃金を基礎収入として計算することが多いですが、その場合も、実際に働くことができる年までの分は控除されます。
こうして、それぞれの収入形態ごとに算出していきます。
○労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、後遺症によって失われた労働力を、後遺障害の等級に応じた喪失率を定めたものです。
【介護を要する後遺障害の場合】
介護を要する後遺障害等級1級の労働能力喪失率は、100%となります。
○労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
「労働能力喪失期間」とは、原則として「症状固定(治療してもこれ以上改善されないという診断)」の日から、67歳までの期間とされます。
例えば39歳で症状固定になった場合は、
67歳-39歳=28年
と計算でき、労働能力喪失期間は28年になります。
ライプニッツ係数とは、この労働能力喪失期間の中間利息を控除するための数値です。
この年齢に対応した「ライプニッツ係数」を下記の表から探します。
39歳(労働能力喪失期間は28年)の場合、ライプニッツ係数は「18.764」であることが分かります。
実際に計算すると、
年収500万円×労働能力喪失率1.00×ライプニッツ係数18.764=9382万円
裁判基準での逸失利益は、9382万円
となります。
介護を要する後遺障害等級1級の被害者が、後遺障害による逸失利益として受け取れる金額は、自賠責基準の場合、2350万円までとなっています。
裁判基準の逸失利益としての補償額は、自賠責基準より約7000万円以上も高額となります。
4-3:将来介護費
この介護を要する後遺障害等級1、2級では、被害者が生活するうえで、どうしても家族の介護が必要な場合や、職業介護人(介護士、ヘルパー等)を頼まなければならない場合があります。
このようなときは、将来介護費を請求することができます。
これから、将来介護費を請求するにはどうすればいいのか、将来介護費はどうやって計算するのか説明していきます。
4-3-1:将来介護費を請求するには
結論から言うと、将来介護費を請求する場合は、後遺障害や介護に対して経験のある弁護士に、相談されることをお勧めします。
なぜなら、将来介護費は、被害者の平均余命期間を対象とした補償であり、その金額も高額となりやすいため、加害者側(保険会社)も支払いをしぶり、決して妥当とは言えない補償金額となる場合が多いからです。
具体的には、将来的な介護の必要性を加害者側や裁判所に対して立証するためには、下記のような専門的かつ詳細な意見書や報告書等が必要となります。
- 医師による介護を必要とする診断書や専門的意見書
- 生活面での具体的な介護状況、将来の介護計画等の報告書
実際に、弁護士の主張によって将来介護費の必要性を、裁判所に理解してもらうことで、妥当な将来介護費の請求も認められ、加害者側から提示された金額より数千万円も高額な損害賠償金となる場合もあります。
4-3-2:将来介護費の計算方法
将来介護費は、近親者介護または職業介護人の介護費日額を算定し、被害者の平均余命期間に対して中間利息控除を考慮した「余命年数に対応したライプニッツ係数」を掛けて計算します。
将来介護費の計算式は以下の通りです。
ここで、被害者として、介護を要する後遺障害等級1級2号、39歳(症状固定時)男性の将来介護費を計算例として上げてみます。
被害者男性の介護人は、妻(35歳)による近親者介護と、職業介護人による介護とし、それぞれ妥当な額として、近親者介護日額8,000円、職業介護人介護日額16,000円、介護期間は、39歳男性の余命年数81歳までの42年間(厚生労働省、第22回生命表による)とします。
①近親者介護だけの場合
介護期間42年に対応するライプニッツ係数は、23.701となるので、
8000円×365日×23.701=6920万6920円
②週に2日、職業介護人による介護を受けた場合
近親者介護を年間261日、職業介護人介護を104日とすると、
8,000円×261日×23.701=4948万7688円
16,000円×104日×23.701=3943万8464円
合計、8892万6152円
③妻が就労可能年数の67歳に達した後の介護を、職業介護人だけの介護とした場合
妻が67歳になる32年間に対応するライプニッツ係数は、20.389、その後の10年間に対応するライプニッツ係数は、
23.701(42年間のライプニッツ係数)-20.389(32年間のライプニッツ係数)=3.312となるので、
8,000円×261日×20.389=4257万2232円
16,000円×104日×20.389=3392万7296円
16,000円×365日×3.312=1934万2080円
合計、9584万1608円
ここでは例として、3パターン上げてみましたが、実際にはその介護状況によって変わってきます。
このように、将来介護費は高額な賠償金となるため、その算定にあたっては、加害者側との争点となりやすい項目だといえます。
被害者の将来の生活を守るためには、将来的な介護の必要性を具体的に立証し、加害者側と交渉し、さらには裁判所に、妥当な将来介護費の請求を認めてもらう必要があります。
交通事故による後遺障害で介護を必要とし、被害者と家族の将来に不安を持たれているときは、ぜひ弁護士にご相談されることをお勧めします。
5章:適切な等級に認定してもらうための流れとポイント
後遺障害等級認定の審査は、妥当な後遺障害等級を認定してもらうために、以下のポイントを押さえて行動することが大事です。
介護を要する後遺障害等級1、2級にあたる症状は、4-2であげた労働能力喪失率100%という重度の後遺障害といえます。
その認定を得ること、また適切な等級に認定されることが、今後の生活を補償するより多くの損害賠償金を受け取るためには特に重要となります。
症状にあった適切な等級の認定を得るためには、レントゲンやCTなどの画像だけでなく、様々な検査を通して医学的に証明しなければなりません。
そのためには、できれば事故後の早い段階から、弁護士のアドバイスや、認定に必要な各種の検査などを受けられることをお勧めします。
また、加害者側の保険会社との対応で、特に重要なのが、保険会社の言うままに行動しないということです。
保険会社は、
「そろそろ治療費を打ち切ります」
「そろそろ症状固定にしましょう」
などと一方的に言ってくることがあります。
しかし、保険会社の言うままに行動すると、妥当な後遺障害等級が認定されず、慰謝料の金額が大幅に少なくなってしまう可能性があります。
そのため、保険会社の言うままに行動せず、連絡が来たら弁護士に相談することをおすすめします。
後遺障害が残ってしまった場合のやるべきことについて、以下の記事で流れとポイントを詳しく説明しています。
6章:介護を要する後遺障害等級1、2級の慰謝料請求は弁護士に依頼するのがおすすめ
交通事故で後遺障害が残った場合は、早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士のメリットと弁護士費用について説明します。
6-1:早めに弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼すべきなのは、
- 医師の指示のもと、適切な内容の後遺障害診断書を作成してもらえるため、妥当な後遺障害等級が認定される可能性が高まる
- 慰謝料の金額が「裁判基準」で計算され、慰謝料が高額になる
- 妥当な過失割合になり、慰謝料が増える場合がある
- 面倒な手続きを任せられ、手間、時間、ストレスが最小限になる
といったメリットがあるからです。
特に重要なのが、慰謝料の計算基準が「裁判基準」になるという点です。
2章で説明した通り、慰謝料などの計算には、3つの基準があり、弁護士に依頼した場合に適用される「裁判基準」が最も高額になります。
しかし、あなたが自分で請求しても、「裁判基準」が適用されることはほぼあり得ません。
そのため、より高額の慰謝料を請求したい場合は、弁護士への依頼が必須となります。
慰謝料の基準や相場について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【弁護士が解説】交通事故の慰謝料を1円でも多くもらうための全知識
6-2:弁護士費用を抑えるポイント
あなたは、
「弁護士に依頼したいけど、費用がかかりそうだから?」
と思われていませんか?
もし、あなたやあなたのご家族が加入している保険に、弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用の負担は原則0円になります。
また、弁護士費用特約がなくても、「相談料・着手金0円」「増額した場合のみ成功報酬が発生する」という費用体系を導入している事務所ならあなたの負担は非常に小さくてすみます。
まずは、弁護士にご相談ください。
弁護士費用について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
まとめ
いかがでしたか?
ここまで、介護を要する後遺障害等級1、2級について解説してきました。
最後に今回の内容をまとめます。
介護を要する後遺障害等級1、2級、各号の症状
介護を要する後遺障害等級1、2級の2つの慰謝料と相場
入通院慰謝料…入院、通院による精神的損害に対する慰謝料
後遺障害慰謝料…後遺障害による損害に対する慰謝料
後遺障害等級ごとに補償金額が定められています。
後遺障害慰謝料の計算で大事な3つの算出基準
後遺障害慰謝料の算出基準として、
- 自賠責基準:自賠責保険が定めた最低限度の基準
- 任意保険基準:任意保険会社が独自に定めた基準
- 裁判基準:過去の判例をもとに、弁護士に依頼することで得られる最も高額な算出基準
この3つの算出基準があります。
介護を要する後遺障害等級1、2級の2つの慰謝料と相場
入通院慰謝料…入院、通院による精神的損害に対する慰謝料
後遺障害慰謝料…後遺障害による損害に対する慰謝料
後遺障害等級ごとに補償金額が定められています。
介護を要する後遺障害等級1、2級で慰謝料以外にも請求できるお金がある
休業損害…治療期間の収入減に対する補償
逸失利益…将来の減収に対する補償
将来介護費…将来必要となる介護費
適切な等級に認定してもらうための流れとポイント
弁護士に依頼するメリット
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。
弁護士選びや弁護士費用について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
【事例別】交通事故の弁護士費用を最大限安くおさえる方法を徹底解説
【交通事故の休業損害とは】相場一覧と高額請求する方法を徹底解説