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残業代未払いには罰金・懲役の罰則もある!罰則の内容・ルールを徹底解説

QUEST法律事務所

代表弁護士住川 佳祐

残業代未払いで罰則を受けた男性

あなたは、このような悩み・疑問をお持ちではありませんか?

 

残業代未払いの罰則に関するポイント

適正な金額の残業代を支払わないことは、労働基準法違反です。そのため、残業代を未払いにしている会社には、「懲役」や「罰金」という、厳しい罰則が与えられます。

ただし、会社に罰則を与えるには「告発」が必要です。しかも、告発すれば必ずしも会社に罰則が与えられるとは限りません。

そこでこの記事では、まずは残業代未払いで会社に与えられる「罰則」の詳しい内容や、罰則の対象になる人、罰則の条件などについて解説します。

さらに、会社に罰則を与えるために必要な手続きについてもお伝えします。

最後までしっかり読んで、正しい知識と行動方法を学んでください。

残業代未払いに対する罰則のポイント


1:残業代未払いで罰金や逮捕もある!

残業代を未払いにすることは、労働基準法違反です。そのため、会社や経営者には逮捕」や「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則があります。

まずは、残業代未払いに対する罰則について、

  • 罰則の内容
  • 罰則を受ける人
  • 罰則を受ける条件

などについて解説します。

116ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金とは

労働基準法では、残業代について以下のように規定されています。そのため、これに違反すると罰則が与えられるのです。

(労働基準法1191号)

会社は、従業員に残業させた場合、通常の時給にに「1.25倍」の割増率をかけた残業代を支払わなければならない。

また、

会社は、従業員に休日労働させた場合、通常の時給に「1.35倍」の割増率をかけた残業代を支払わなければならない。

※法律は分かりやすく改変しています。

これに違反した会社や経営者は、労働基準法を監督する「労働基準監督署」によって、逮捕される可能性があります。 

弁護士
労働基準監督署とは、労働基準法にのっとって全国の会社を監督・指導する行政機関のことです。逮捕権も持っているため、悪質な経営者を逮捕することも可能です。(労働基準法102条)
 労働基準監督署は、主に労働者からの、会社の違法行為の相談・申告を受けることで、会社への立ち入り調査を行い、違法行為に対して「是正勧告」を行うことがあります。

さらに、繰り返しの勧告にも従わない悪質な経営者は、逮捕することすらできるのです。

さらに、労働基準法に違反した会社・経営者には、

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」(労働基準法119条1項1号)

という罰則が与えられます。

6ヶ月以下の懲役」とは、6ヶ月以下の間、「刑務所などに拘置されて、労働(刑務作業)させられる刑罰のことです。有罪判決が出れば、当然「前科者」になってしまいます。

30万円以下の罰金」とは、労働基準法違反の罰として、30万円以下の金額を罰金として支払わなければならないというものです。

適正な金額の残業代を支払わないという違法行為をすると、罰金、最悪の場合は懲役刑になってしまうのです。

社員
罰則を受けるのは、会社の経営者なんでしょうか?
 
弁護士
実は経営者だけではありません。罰則の対象になる人についても解説します。
 

12:罰則を受ける「使用者」とは

労働基準法に違反すると、罰則を受けるのは、違法行為を行った「使用者」です。

【労働基準法の使用者】

この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

(労働基準法第10条)

つまり、「経営者」はもちろんですが、それだけでなく、各事業の実質的な権限を持つ人も使用者になります。

「部長」「課長」「店長」「所長」などの、経営者以外の人でも、その事業の業務命令や、労働者の指揮監督を行う場合は、使用者です。

そのため、会社が「適正な金額の残業代を支払わない」という違法行為をしていた場合、あなたの残業代の支払いについて、実際の権限を持っていた人が「使用者」であり、罰則の対象になるのです。

また,労基法に違反し残業代を支払わない場合,人だけでなく「会社自体」も罰金刑に処せられます(労基法121条)

残業代未払いの両罰規定

社員
労働基準法に違反した会社は、すべてこのような罰則を受けるのかな?
 
弁護士
実はそうではありません。罰則を受けるのは、悪質な一部の会社のみなのです。これから簡単に紹介します。
 

13:罰則を受けるのは悪質な一部の企業のみ

実は、残業代の未払いでは、罰則を受ける会社は一部のみです。なぜなら、罰則を受けるのは、労働基準監督署が繰り返し「残業代を支払いなさい」と言っても従わないような悪質な会社だけだからです。

労働基準法に違反し、書類送検されたた会社は、厚生労働省によって、公表されていますが、残業代の未払いで公表されている会社は、471社中、たった4のみです。

社員
会社に罰則を与えるのは難しいということですか?
 
弁護士
そうですね。労働基準監督署に行って対応を求めても、実際に罰則が与えられる可能性は低いでしょう。
 
社員
それでも、なんとか会社にダメージを与えることはできないのでしょうか?
 
弁護士
それでは、まずは労働基準監督署に動いてもらい、残業代の未払いを告発して会社に民事上や行政上の制裁を与える方法について解説します。
 


2章:労働基準監督署に申告して会社に罰則を与える方法

1章で紹介した罰則を会社に与えるためには、

「労働基準監督署への申告」

が必要です。

ただし、労働基準監督署に動いてもらうには、押さえておくべきポイントがありますので、これから解説します。

労働基準監督署に申告する方法は、

  • メールで告発
  • 電話で告発
  • 訪問して告発

という3つがあります。

しかし、どの方法でも同じではありません。労働基準監督署に動いてもらうためには、「実名」で「直接訪問」して、申告することをおすすめします。

なぜなら、労働基準監督署は、労働者からのすべての申告で動くわけではないからです。

それは、全国には400万を超える法人があるにもかかわらず、日本の労働基準監督署の人員は、非常勤の職員を含めても約2400人しかおらず、明らかに人員不足であることが理由です。

そのため、「より緊急性の高い案件」であることをアピールして優先的に扱ってもらう必要があり、匿名ではなく実名で、電話やメールではなく直接訪問しての申告を行うことがポイントなのです。

労働基準監督署に申告する詳しい方法やポイントについて、以下の記事で詳しく解説しています。

サービス残業を告発するべき?告発するメリットと集めるべき証拠

社員
労働基準監督署に動いてもらうのは、そんなに難しいんですね。
 
弁護士
そうなんです。より確実に会社にダメージを与えたいなら、労働基準監督署に行くことよりも良い方法がありますので、これから解説します。
 


3章:会社にダメージを与えることができる2つの方法

労働基準監督署に行く方法以外にも、

  • あなたの会社の本社に残業代の未払いを報告する
  • 弁護士を使って残業代を請求する

という方法でも、会社にダメージを与えられる可能性があります。

それぞれについて、見てみましょう。

3-1:残業代の未払いを本社に報告する

残業代が未払いになっていることについて、自分が勤務していた支社や店舗ではなく、本社に直接連絡して相談することをおすすめします。

なぜなら、あなたが残業代をカットしていることを、本社は知らない可能性がある上、本社は問題になることを恐れて、あなたの上司よりも誠実な対応をしてくれる可能性があるからです。

本社に報告することで、あなたの現在の店長や上司などに、本社からなんらかのペナルティが科せられる可能性があります。

社員
なるほど・・・でも私の会社は本社に行っても対応が期待できない気がします。
 
弁護士

  • 本社に直接言うのは怖くでできない
  • 試したけれど効果がなかった

などの場合は、これから紹介するもう一つの方法がおすすめです。

 

3-2:弁護士を使って残業代を請求する

未払いの残業代がある場合、対処方法として最も効果的なのが、弁護士に依頼して未払い残業代を請求することです。

ここまででお伝えしたように、労働基準監督署への申告や、本社への違法行為の報告では、実際に会社にダメージを与えることができるかやってみなければ分かりません。

しかし、弁護士なら、労働基準監督署と違ってすぐにあなたのために動いてくれ、責任を持ってやり遂げてくれるでしょう。

弁護士に依頼して未払い残業代を請求した場合、過去2年分までさかのぼって、未払い残業代が請求できますので、会社は大きな経済的負担を与えられることになります。

(例)

  • 月給:25万円
  • 残業:月70時間
  • 一月平均所定労働時間:170時間

※一月平均所定労働時間とは、会社が設定している月の平均労働時間のことで、大体170時間前後であることが多いです。

(25万円÷170時間)×1.25倍×70時間=12万8590円(1ヶ月の残業代)

2年分が請求できるとすると、

12万8590円×24ヶ月=308万6160円

さらに、会社の残業代未払いが悪質なものと裁判所から判断されれば、

  • 付加金
  • 遅延損害金

も加えて請求できる可能性があります。

付加金とは、裁判になった時に、未払いの残業代額と同等の金額を、会社に請求できるというものです。

遅延損害金とは、

  • 社員が在職中は年利6
  • 社員が退職して以降は年利146

が請求できるというものです。

1章で解説した罰則が「刑事上の罰則」であるのに対し、残業代請求による付加金や遅延損害金は、いわば「民事上の制裁」です。刑事上の罰則を与えることは難しいのですが、このように民事上の制裁として、会社に経済的なダメージを与えることは比較的難しくないのです。

ただし、付加金や遅延損害金を請求できるのは訴訟(裁判)まで進んだ場合のみです。

残業代請求の詳しい方法については、以下の記事をご覧ください。

失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用

社員
罰則以外にもいろいろな方法があるんですね!
 
弁護士
そうなんです。罰則にこだわらず、あなたに合った方法で行動していくことが大事です。
 


まとめ

いかがでしたか?

最後に今回の内容を振り返ってみましょう。

残業代の未払いは違法行為のため、

「逮捕」

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」

という罰則が科せられます。

罰則の対象になるのは、労働基準法上の「使用者」であり、

  • 経営者
  • 残業代未払いの実際の決定権を持つ上司
  • 会社

に罰則が与えらえれます。

残業代未払いで会社にダメージを与える方法には、

  • 労働基準監督署への申告
  • 本社への報告
  • 弁護士に依頼して未払い残業代を請求する

という3つがあります。

労働基準監督署への申告で会社にダメージを与えることは難しいこともありますので、あなたに合ったより確実な方法で行動することをおすすめします。

【参考記事一覧】

未払い残業代の請求を弁護士に依頼する場合の、必要な手続き、かかる費用、弁護士の選び方について詳しくは以下の記事をご覧ください。

失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用

サービス残業を告発したい場合は、以下の記事を参照してください。

サービス残業を告発するべき?告発するメリットと集めるべき証拠

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