有給休暇に理由は必要なし!「私用」を拒否された時の対処法を解説

監修者

弁護士法人QUEST法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

有給休暇に理由は必要なし!「私用」を拒否された時の対処法を解説
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 有給休暇の申請に理由は必要ない
  • 有給休暇申請時に書くべきたった一つの理由
  • 有給休暇の取得が拒否されるケースと対処法

あなたは、有給休暇について、

「取得するのに理由が必要なのかな?」

「どんな理由なら、有給休暇を取得しやすいんだろう?」

「有給休暇の理由で、申請を断られてしまった、、」

などの疑問やお悩みはありませんか?

有給休暇を取得する際、自分がいないことで職場の他の人に迷惑をかけると思い、申請しにくいことがありますよね。

しかし、実は労働基準法では、有給休暇の申請に理由や会社の許可は必要ないとされています。

そのため、有給休暇を申請する際に、特別な理由を考えたり、理由によって断られることを心配する必要はないのです。

とは言え、会社によっては、理由次第では有給休暇の申請を断ることもあるようです。

そこでこの記事では、まずは有給休暇の申請、取得に理由が必要ない根拠を解説します。さらに、よくある有給休暇申請時の8つの理由と、有給休暇の申請が拒否された場合の対処法について紹介します。

最後まで読んで、しっかり有給休暇を取得しましょう。

【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】

■有給休暇についてもっとも大事なこと

有給休暇の申請には「年休自由利用の原則」があるため、理由を言う必要はない。

※ただし、時季変更のために理由を聞かれることはある

■有給休暇申請時に記載するべき理由

→どのような場合でも「私用」と記載すれば問題ない。

■有給休暇の申請が拒否された場合の対処法

①労働基準監督署に相談する

②労働問題に強い弁護士に解決を依頼する

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1章:有給休暇の申請に理由は必要ない

繰り返しになりますが、有給休暇の申請、取得に理由は必要ありません。

①年休自由利用の原則」で有給申請に理由は必要ない

まず、労働基準法では、

  • 雇入れの日から6ヶ月が経過していること
  • 全労働日の8割以上出社していること

という2つの条件を満たす全ての労働者が、有給休暇を取得する権利を持っていることが定められています(労働基準法第39条)。

上記の条件を満たしている場合、あなたは理由に関係なく有給休暇を取得することができますし、たとえ申請時に言った理由と別の使途で有給休暇を利用したとしても、何も問題ありません。

なぜなら、

「休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である」

という「年休自由利用の原則」があるからです。

(「林野庁白石営林署事件」昭和48年3月2日最高裁)

②例外的に有給休暇申請の理由を聞かれるケース

ただし、例外的に有給休暇申請の理由を、会社が従業員に聞いても良いとされるケースがあります。

それは、会社の業務上、申請された日程に有給休暇を取られると通常の業務を行えなくなるという場合です。

この場合は、会社は時季変更権という、従業員に有給休暇の日程を変更させる権利を使って、日程をずらすように要請することができます。

この場合に限って、有給休暇申請の理由を尋ねることも問題ないとされているのです。

弁護士
弁護士
つまり、業務上問題がある場合は、従業員に有給休暇申請の理由を聞いて、緊急度が低い理由なら「日程をずらして欲しい」とお願いできるということですね。
社員
社員
理由が必要ないとは知りませんでした。しかし、会社の有給休暇の申請書に理由欄があることもありますよね?
弁護士
弁護士
その場合は、単に「私用」と書けばOKです。

2章:有給休暇申請時に書くべきたった一つの理由

1章では、有給休暇を申請するのに理由は必要ないこと、申請時と別の使途で有給休暇を使っても問題ないことを解説しました。

しかし、れでも有給休暇の申請書に「理由」の欄があり、空白で出すのは抵抗があるという場合もあると思います。

そんな場合は、単に「私用のため」と理由を記載して申請しましょう。

そもそも、有給休暇の申請に理由は必要ないのですから、申請時に理由が必要でも、単に「私用」で問題ありません。

実際には旅行や遊びの予定であっても「私用」と記載すれば、労働基準法上問題なく有給休暇を取得することができます。

有給休暇を取得したい理由は、実際には、

  • 体調不良
  • 冠婚葬祭
  • 親の介護
  • 家族やペットの病気
  • 家族の行事
  • 資格試験
  • 行政手続き
  • 引っ越し

など様々なものがあるかもしれませんが、すべて「私用」で申請して問題ありません。

社員
社員
もし、有給休暇を申請して会社から却下された場合はどうすれば良いのでしょうか?
弁護士
弁護士
その場合は、これから紹介する対処法を実践してください。

3章:有給休暇の取得が拒否されるケースと対処法

1章でお伝えしたように、有給休暇の取得は労働者の権利ですので、会社はそれを断ることはできません。

ただし、会社は有給休暇の申請自体を却下することはできませんが、時季(日程)を変更させる権利はあります。

そこで、

  • 会社の時季変更権について
  • 有給休暇の申請を拒否されたときの対処法

について、順番に解説します。

3-1:会社は有給の時季(日程)を変更できる

有給休暇を取得する時には、あなたは自分で取得する「時季(日程)」を指定する必要があります。

ただし、会社にとって都合が悪い場合は、会社は例外的に他の時季(日程)に変更することができます(労働基準法第39条5項但し書き)。

都合が悪い場合とは、あなたに有給休暇を取らせると「事業の正常な運営を妨げる」場合です。過去の判例から、以下の2つの要件を満たす場合、時季変更が認められるとされています。

【有給休暇の時季変更が認められる2つの要件】

  1. 有給休暇を取ることで営業に支障が出ること
    たとえば、引越会社の従業員の場合、引越が多い3月に有給休暇を申請されると、業務の営業上支障が出てしまいます。
  2. 会社側が有給休暇を取れるように配慮をしていること(シフト調整など)
    会社は従業員に対して、有給休暇を取得できるように代わりの人員を補充したり、シフトを調整して部分的にでも有給休暇を認めるなど、できるだけ従業員が希望通りに有給休暇が取得できるように配慮する必要があります。(時事通信社事件・最三小判平4年6月23日)

有給休暇を取得されることで営業に支障が出る場合で、従業員が有給休暇を取得できるように可能な範囲で配慮している場合は、会社からの時季変更が認められるのです。

したがって、有給休暇を申請した場合に、必ずしもあなたが取りたい日程で申請が通るとは限らないのです。

時季(日程)の調整を要求されたら、上司と相談して日程を調整しましょう。

弁護士
弁護士
ただし、時季変更権は日程を変える権利のことであり、申請を拒否することではありません。会社にできるのは、日程を変更することだけで有給休暇を取らせないことはできないのです。

3-2:有給休暇の申請が拒否された場合の2つの対処法

もし、会社から有給休暇の申請を拒否され、付与された日数を取得できないという場合、それは違法行為ですので、

  • 労働基準監督署に相談する
  • 労働問題に強い弁護士に解決を依頼する

という方法で、解決できることがあります。

それぞれの方法を解説します。

①労働基準監督署に相談する

有給休暇の申請を拒否されることについて、労働基準監督署に相談すれば解決する可能性があります。

労働基準監督署とは、労働基準法にのっとって全国の会社を監督・指導する行政機関です。

どのような理由でも、有給休暇の申請を拒否することは「違法」ですので、労働基準監督署に相談すると、

  • 立入調査が行われる
  • 会社に対して是正勧告(改善命令)がされる
  • 再三の是正勧告に従わない場合、経営者が逮捕される

などの対応をとってもらえることがあります。

その結果、会社がしっかり有給休暇を取得させてくれるようになる可能性はあります。

労働基準監督署に相談する方法や動いてもらうためのコツについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

【労働基準監督署にできること】相談の流れとより確実に解決するコツ

②労働問題に強い弁護士に解決を依頼する

有給休暇の申請が拒否される場合、労働問題に強い弁護士に相談するというのも一つの選択肢です。

労働問題に強い弁護士に依頼することには、

  • 専門知識や豊富な経験があるため、迅速に解決できる可能性が高い
  • 問題解決のために最後まで責任を持って取り組んでくれる

などのメリットがあります。

つまり、有給休暇が取得できないというお悩みも、労働問題に強い弁護士に相談することで、解決できる可能性があるのです。

しかも、有給休暇の申請を拒否するような会社は、他にも、

  • 残業代の未払い
  • 異常な長時間労働

などの違法行為を行っている可能性もあり、そういった他のトラブルもまとめて解決してくれる可能性があります。

労働問題に強い弁護士への依頼方法や選び方について、詳しくは以下の記事で解説しています。

【保存版】手間、時間、お金をかけずに労働問題を解決するための全知識

まとめ

いかがでしたか?

最後にもう一度今回のポイントをまとめます。

【もっとも大事なこと】

有給休暇の申請には「年休自由利用の原則」があるため、理由を言う必要はない。

※ただし、時季変更のために理由を聞かれることはある

【有給休暇申請時に記載するべき理由】

→どのような場合でも「私用」と記載すれば問題ない。

【有給休暇の申請が拒否された場合の対処法】

①労働基準監督署に相談する

②労働問題に強い弁護士に解決を依頼する

有給休暇の申請は、勘違いされていることも多いですので、ぜひ周りの人にも教えてあげてくださいね。

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