- 更新日:2024.08.29
- #肋骨骨折後遺症
【肋骨の骨折の後遺症】4つの障害と慰謝料相場を弁護士が徹底解説
この記事を読んで理解できること
- 肋骨骨折で後遺症が残った場合のための基礎知識
- 【肋骨骨折の後遺症①】変形障害
- 【肋骨骨折の後遺症②】神経症状
- 肋骨骨折で後遺症が残った場合の損害金一覧
- 肋骨を骨折して後遺症が残った場合にやるべきこととポイント
- 肋骨の後遺症が残る場合は弁護士に相談しよう
あなたは、
「交通事故で肋骨を骨折した場合、どんな後遺症が残る可能性があるんだろう?」
「肋骨に後遺症が残ったら、慰謝料はどのくらいになるんだろう?」
「肋骨に後遺症が残ったら、何をすれば良いんだろう?」
等の悩み、疑問をお持ちではありませんか?
肋骨は骨折しやすい一方で、骨折してしまうと日常生活への影響が大きく、「このまま後遺症が残るのが不安」と感じられるかもしれません。
結論から言えば、肋骨の骨折でもし後遺症(後遺障害)が残ってしまった場合は、以下の慰謝料をもらうことができます。
弁護士に依頼すれば、後遺障害慰謝料だけでも上記を基準とした金額がもらえますが、自分だけで後遺障害慰謝料を請求すると、上記の金額より大幅に少なくなることがあります。
この記事では、まずは肋骨の後遺症であり得る後遺症(後遺障害)と知っておくべき基礎知識、そして後遺症(後遺障害)の状態別の後遺障害等級、慰謝料相場について詳しく解説します。
これからやるべきことのポイントと弁護士に相談するメリットも説明します。
やるべきことの流れは以下の通りです。
知りたいところから読んで、これからの行動の参考にしてください。
目次
1章:肋骨骨折で後遺症が残った場合のための基礎知識
それではまずは、肋骨を骨折して後遺症(後遺障害)が残った場合の基礎知識から解説していきます。
しかしその前に知っておいていただきたいのが、後遺症と後遺障害の違いです。
「後遺症も後遺障害も同じ意味では?」と思われているかもしれませんが、それぞれ以下のように意味が異なります。
- 後遺症:怪我によって残った障害の総称
- 後遺障害:「後遺障害等級」に認定された後遺症のこと
※後遺障害等級とは、後遺障害の重さに応じて1級~14級までのいずれかに認定される等級のことです。
ここまで後遺症と後遺障害を特に区別せずに使ってきましたが、これからは区別して使います。
それでは、解説していきます。
1-1:後遺障害認定を受けると損害金がもらえる
そもそも、交通事故の被害にあった場合、状況に応じて以下の損害金をもらうことができます。
肋骨の骨折で後遺症が残った場合、後遺障害等級(※)を申請し、認定してもらうことで、
- 後遺障害慰謝料
- 逸失利益
という示談金をもらうこともできます。
これは、後遺障害が認められなければもらえない示談金です。
※後遺障害等級とは、後遺障害の度合いに応じて認定される1級~14級の等級のことです。
後遺障害慰謝料、逸失利益は高額になるため、後遺症が残った場合、後遺障害等級を申請し認定してもらうことがとても大事なのです。
※示談金の詳しい項目や相場について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【交通事故の示談金相場】1円でも多く請求する方法を弁護士が解説
1-2:認定される鎖骨の後遺障害は3つ
肋骨の骨折で認定される可能性がある後遺障害は、以下の2つです。
- 変形障害(12級):肋骨の骨折によって裸になったときに外見で分かるほどの変形が残っている場合
- 神経症状(12級、14級):骨折によって痛みやしびれが残った場合
肋骨は折れやすい骨で、バイクの転倒事故等で折れてしまうことが多いです。
多くの場合は正常に繋がりますが、まれに骨が正常に繋がらず、変形障害や痛み、しびれ(神経症状)が残ることがあります。
その場合は、後遺障害等級が認定されることがあるのです。
後遺障害等級について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【部位別・後遺障害等級表】交通事故で損しないための方法を弁護士が解説
1-3:後遺障害等級認定までの流れ
後遺障害等級の必要性については理解できたかと思います。
実際に後遺障害等級を得るためには、以下の流れで手続きを進めることになります。
詳しい流れは4章で解説します。
2章:【肋骨骨折の後遺症①】変形障害
肋骨の骨折によって、骨が正常に繋がらなかったり、骨自体が欠損してしまうことがあります。
その場合は「変形障害」という症状として、後遺障害等級が認定されることがあります。
2-1:変形障害の後遺障害等級
交通事故の後遺障害等級は、自賠責保険(※)で定められた基準が認定の目安になります。
※自賠責保険とは、自動車の所有者が加入する義務がある、交通事故の被害者に最低限の補償を行う保険のことです。
■肋骨の変形障害の後遺障害等級
肋骨に「変形障害」が残ってしまった場合、認定される後遺障害等級は以下の通りです。
後遺障害等級 |
後遺障害の内容 |
12級5号 |
肋骨が著しく変形した |
■後遺障害等級の認定基準
「著しく変形した」とは、簡単に言えば裸になったときに変形が明らかに分かる程度のものを言います。
■後遺障害等級が認定されないもの
裸になったときに変形が分からない程度のものは、等級が認定されません。
たとえば、エックス線写真等では変形が分かるが、裸になったときの外見からは分からないという場合は、等級が認定されません。
2-2:変形障害の慰謝料相場
1章で説明した通り、後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料が支払われます。
これは、後遺障害が残ってしまったという精神的損害に対して支払われるものです。
肋骨骨折の変形障害の場合、認定されるのは「12級5号」という後遺障害等級で、慰謝料は以下の通りです。
表にある「自賠責基準」とは、自分で請求した場合に適用される基準のことです。「裁判基準」とは、弁護士に依頼した場合に適用される基準です。
自賠責基準より裁判基準の方が慰謝料の金額が大幅に高くなるため、慰謝料は弁護士に依頼した方が良いのです。
後遺障害慰謝料は、交通事故でもらえる損害金の中でも高額になる項目の一つです。
そのため、後遺症が残った場合は必ず後遺障害等級を申請し、妥当な等級を認定してもらうことが大事です。
詳しい方法は4章で説明します。
また、他にも入通院慰謝料や逸失利益といった損害金をもらうこともできますので、詳しくは4章で解説します。
3章:【肋骨骨折の後遺症②】神経症状
肋骨骨折で、変形障害は残らなかったものの骨折した所に痛みやしびれが残ってしまう場合もあります。
この場合、「神経症状」という症状で後遺障害等級が認定される場合があります。
3-1:肋骨の神経症状の後遺障害等級
肋骨骨折によって痛みやしびれが残った場合、認定される後遺障害等級は以下の通りです。
後遺障害等級 |
後遺障害の内容 |
12級13号 |
肋骨に頑固な神経症状が残っている |
14級9号 |
肋骨に神経症状が残っている |
肋骨骨折による神経症状で、12級13号と14級9号が認定される基準は以下の通りです。
■12級の認定基準
12級の認定基準は以下のようになっています。
- MRI等の画像で神経が圧迫されていることが分かる
- 画像で分かる圧迫されている神経の部分と、自覚症状がある痛みの部分が一致している
上記を両方満たす場合は、12級が認定されることが多いです。
つまり、画像で神経圧迫が分かりかつ自覚症状と一致しているかどうかが12級の判断基準です。
■14級の認定基準
一方、
- 画像で神経圧迫は見られないものの、正常とは言えないような状態がある
- 画像で分かる圧迫部位と自覚症状がある痛みの部位が一致しないものの、関連性はある可能性がある
といった場合には14級が認定されることが多いです。
■12級にも14級にも認定されない場合
- 画像で神経症状が確認できない
- 画像で分かる異常な部分と、自覚症状のある痛み、しびれの部分がまったく一致しない
- 通院期間が短い(たとえば6か月以下)
といった場合は、後遺障害等級が認定されないことが多いです。
3-2:肋骨の神経症状の慰謝料相場
肋骨骨折による神経症状の場合、12級13号、14級9号の後遺障害等級が認定されますので、後遺障害慰謝料の相場は以下の通りです。
このように12級と14級では、後遺障害慰謝料だけでも180万円も違います。
これ以外にも入通院慰謝料、逸失利益などの損害金が請求できますので、詳しくは4章で解説します。
4章:肋骨骨折で後遺症が残った場合の損害金一覧
交通事故にあって肋骨骨折で後遺症が残った場合、状況に応じて以下の損害金をもらうことができます。
よく言われる「慰謝料」とは、この損害金の中の一部に過ぎないのです。
それぞれ簡単に説明すると以下の通りです。
- 入通院慰謝料…入院・通院の期間や日数に応じて支払われる慰謝料。
- 後遺障害慰謝料…後遺障害等級に応じて支払われる慰謝料。
- 死亡慰謝料…被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料。
- 治療費・・・治療にかかったお金で、保険会社から病院に直接支払われることがほとんど。
- 交通費・・・治療のための通院にかかった交通費。
- 入院雑費・・・入院の際にかかった生活必需品などの雑費。
- 付添看護費・・・被害者の症状が重い、被害者が乳幼児などの場合で、看護が必要な場合に支払われる。
- 介護費・・・怪我により介護が必要になった場合に支払われる。
- 装具・器具費・・・事故により歩行が困難になるなど、装具・器具が必要になった場合に支払われる。
- 家屋改造費、自動車改造費・・・車椅子生活になるなどで、家や自動車の改造が必要になった場合に支払われる。
- 葬儀費用・・・事故によって亡くなった場合に支払われる。
- 休業損害・・・事故によって仕事を休まざるを得ず、損害が発生した分について支払われる。
- 逸失利益・・・後遺障害が残り、将来得られるはずの収入が減少してしまう場合に支払われる。
鎖骨の後遺症が残った場合のそれぞれの金額の一例を紹介します。
【損害金の一例(裁判基準)】
- 入通院慰謝料…入院5か月、通院3か月の場合、211万円。
- 後遺障害慰謝料…後遺障害等級12級の場合、290万円。
- 治療費・・・実際にかかった金額(実費)
- 交通費・・・実際にかかった金額(実費)
- 入院雑費・・・入院1日あたり1500円
- 付添看護費・・・プロに依頼した場合、実際にかかった金額(実費)
- 介護費・・・一時的な介護をプロに依頼した場合、実際にかかった金額(実費)
- 装具・器具費・・・基本的に、実際にかかった金額(実費)
- 家屋改造費、自動車改造費・・・後遺障害で改造が必要な場合、基本的に、実際にかかった金額(実費)
- 休業損害・・・会社員で、事故前3カ月の給与(額面)が合計90万円、出勤日数66日、休業日数が22日×4か月=88日だった場合、120万円
- 逸失利益・・・事故前1年間の給与が400万円、後遺障害等級が12級、症状固定時30歳の場合、約935万8160円
このように、特に「逸失利益」という項目で高額の損害金が支払われる場合がありますので、しっかり計算して請求することが大事です。
5章:肋骨を骨折して後遺症が残った場合にやるべきこととポイント
肋骨の後遺障害が残った場合、以下のポイントを押さえて行動することが大事です。
特に重要なのが、保険会社の言うままに行動しないということです。
保険会社は、
「そろそろ治療費を打ち切ります」
「そろそろ症状固定にしましょう」
などと一方的に言ってくることがあります。
しかし、保険会社の言うままに行動すると、あなたに本来もらえるはずの金額より、ずっと少ない示談金しかもらえなくなる可能性があります。
そのため、保険会社の言うままに行動せず、連絡が来たら弁護士に相談することをおすすめします。
後遺障害が残ってしまった場合のやるべきことについて、以下の記事で流れとポイントを詳しく説明しています。
6章:肋骨の後遺症が残る場合は弁護士に相談しよう
交通事故の被害にあった場合、できるだけ早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。
6-1:弁護士に依頼すべき理由
弁護士に依頼すべきなのは、、
- 医師の指示のもと、適切な内容の後遺障害診断書を作成してもらえる
- 面倒な手続きを任せられ、手間、時間、ストレスが最小限になる
- 慰謝料の金額が「裁判基準」で計算され、慰謝料が高額になる
といったメリットがあるからです。
特に重要なのが、慰謝料の計算基準が「裁判基準」になるという点です。
慰謝料の計算基準には、3つのものがあるのですが、弁護士に依頼した場合に適用される「裁判基準」が最も高額になります。
しかし、あなたが自分で請求しても、「裁判基準」が適用されることはほぼあり得ません。
そのため、より高額の慰謝料を請求したい場合は、弁護士への依頼が重要なのです。
慰謝料の基準や相場について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【弁護士が解説】交通事故の慰謝料を1円でも多くもらうための全知識
6-2:弁護士費用の負担は0円になる場合もある
弁護士に依頼するといっても「弁護士費用の負担が大きいなら依頼できない」とお考えかもしれません。
しかし、実は「弁護士費用特約」が利用できれば、あなたの弁護士費用は保険会社が負担してくれるため、あなたの負担は原則0円で依頼可能です。
詳しくは以下の記事で説明しています。
【事例別】交通事故の弁護士費用を最大限安くおさえる方法を徹底解説
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
【肋骨骨折の後遺障害で認定される可能性がある等級】
- 変形障害:12級
- 神経症状:12級、14級
この記事の内容を参考に、損しないように行動を始めてください。