【完全マニュアル】バレずにブラック企業を通報する方法と証拠や流れ

監修者

弁護士法人QUEST法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

【完全マニュアル】バレずにブラック企業を通報する方法と証拠や流れ
チェック
この記事を読んで理解できること
  • ブラック企業の通報は労働基準監督署へ
  • ブラック企業を通報することに関するQ&A
  • 問題が解決しなければ他の窓口に相談

ブラック企業で働いているあなたは、こんなことを考えていませんか?

「ブラック企業を通報したい」
「ブラック企業に罰則を与えてほしい」
「外部の力を借りて働く環境を良くしたい」

近年、会社の利益のために社員を使い捨てのコマのように扱うブラック企業が大きな問題になっています。

長時間労働や給料の未払い、社員へのパワハラなど、ブラック企業でまかり通っている理不尽な状況に辛い思いをしながら、声をあげることも転職もできず泣き寝入りしてしまっている人も多いのです。

しかし、「自分にできることは何もない」とあきらめてしまってはいけません。

あなたが労働基準監督署に通報することで、現状を変えられる可能性はあるのです。

この記事では、ブラック企業をどのように通報すれば良いかを、わかりやすく徹底解説します。

通報の仕方や必要なものをしっかりと理解し、すぐ行動するためのきっかけにしてください。

未払い残業代を取り返したいというあなたへ、まずはお気軽にご相談ください
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1章:ブラック企業の通報は労働基準監督署へ

あなたがブラック企業を関係機関に通報しようと思ったら、最初に窓口として思いつくのが「労働基準監督署」ではないでしょうか?

労働基準監督署=労働基準法などの法律が守られているかをチェックする行政機関で、明確な法律違反がある場合には強い権限を用いて問題に対処します。

この章では、労働基準監督署に通報できる内容や通報の仕方について見ていきましょう。

1-1:労働基準監督署に通報できる内容

労働基準監督署は、労働基準法などの法律に基づいて会社を監督しますが、担当範囲外の内容には対処してくれないという面もあります。

まずは、「労働基準監督署に通報すべきトラブル」を確認しましょう。

あなたが働くブラック企業について、通報できる内容としては、次のようなものがあります。

・賃金や退職金の未払いがある
・1か月で80時間を超えるなどの長時間残業
・就業規則に休日が設定されていない
・労働条件が雇用契約と異なる
・危険な現場での作業

上記のようなトラブルは、労働基準法違反になる可能性があるため、通報することで問題の解決につながる可能性があります。

一方で、自分が働くブラックな会社を通報しようと思っても、労働基準法などの法律には当てはまらない内容や、法律違反かどうか判断が分かれるような事例では、労働基準監督署は動いてくれません。

例えば、

・パワハラ、セクハラ、いじめを受けている
・職場で男女不平等な扱いがある
・不当かどうか判断が別れる解雇
・損害賠償請求など民事で扱うべきトラブル
・未払い残業代の請求

といった内容を通報しても、相談には乗ってくれるものの最終的に別の相談窓口を紹介されるというケースもあります。

労働基準監督署以外の窓口については、以下の記事もご確認ください。

【ブラック企業の4つの相談先】相談できることと解決までの流れを解説

また長時間にわたるサービス残業など労働基準法違反がある場合でも、労働基準監督署の役割は会社への行政指導に限定されており、当事者同士の民事の問題である残業代の請求は行ってくれません。

残業代の請求については、以下の記事でも詳しく説明しています。

興味がある方は、そちらも合わせてご覧ください。

失敗しない残業代請求!有効な証拠と請求方法、ブラック企業の対処法

1-2:通報の仕方は3種類

あなたが自分の働くブラック企業について、労働基準監督署に通報しようと思ったら、以下のような方法を選ぶことができます。

・労働基準監督署を訪問して通報する
・労働基準関連情報メール窓口に通報する
・労働基準監督署に電話で通報する

3つの方法の中で、具体的な対応に一番つながりやすいのが訪問です。

通報して立入検査や是正に期待しているのなら、労働基準監督署を訪れて直接相談員と話をすることをオススメします。

訪問および電話の場合は、受付時間が8時30分~17時15分までになっているので注意しましょう。

それぞれの方法について順番に見ていきます。

1-2-1:労働基準監督署を直接訪問して通報する

ブラック企業を通報して、すぐに動いてくれる可能性が高いのが訪問です。

明確な法律違反を示す証拠があれば、その場で担当者から「調査します」といった返事を聞くことができる場合もあります。

労働基準監督署は全国に321署あり、最寄りの労働基準監督署に訪問して通報することが可能です。

全国の労働基準監督署の所在はこちらをご覧ください。

1-2-2:メールで通報する(労働基準関連情報メール窓口)

訪問する手間がかからず、24時間いつでも可能なのがメールでの通報です。

ブラック企業をメールで通報するには、「労働基準関連情報メール窓口」からメールを送りましょう。

気軽に通報できる一方で、提供された情報は立ち入り調査の参考程度にしか使われないことが多くいようです。

基本的に返信などはなく、内容に関する照会も受け付けていないので、送った後は立入検査などに動いてくれることを待つことになります。

1-2-3:労働基準監督署に電話で通報する

電話の場合は、地域を担当する労働基準監督署に直接連絡し通報することができます。

メールよりは、より具体的な状況を伝えられますが、直接訪問に比べるとやや優先度が下がってしまうようです。

通報先については、上記の所在地から電話番号を調べて見てください。

“相談と申告”

ここまで「通報」という言葉を使ってきましたが、労働基準監督署にブラック企業の法律違反を訴える手続きには、「相談」と「申告」があります。

申告は、単に相談を行うだけではなく、具体的な違法行為の内容を説明し、何らかの対応を求めることです。

実際にすぐに動いてほしい内容の通報は、相談員に対して「申告」の手続きを取りたい旨を伝えましょう。

労働基準監督署に通報する場合のポイント

1-3:通報後の流れ

1-3-1:事実関係と証拠を整理

労働基準監督署は、法律違反を疑われる事実関係の説明と、証拠が不十分な場合には動いてくれません。

労働基準監督署に相談する前には、事実関係と証拠をしっかり整理する必要があります。

整理の具体的な方法については、1-4で解説します。

1-3-2:労働基準監督署に相談する

事実関係と証拠の整理が完了したら、労働基準監督署に相談します。

相談の方法は、

  • 訪問
  • メール
  • 電話

の3つありますが、対応を急ぐ場合には「訪問」を選択すべきです。

また、労働基準監督署に具体的な対応を求める場合には、「相談」ではなく「申告」であることを伝えてください。

1-3-3:助言に従った上で調査や指導の報告を待つ

労働基準監督署に相談した後は、相談の際の助言に従った上で、調査や指導の報告を待ちます。

通報によって、あなたの会社に法律違反の疑いがある場合、最初に行われるのが事実確認のための立ち入り調査です。

立ち入り調査では、資料の確認や、経営者・労働者へのヒアリングなどが行われ、違法性が確認できた場合は是正勧告が行われます。

是正勧告の内容としては、

  • 口頭での改善指導
  • 是正勧告書の交付
  • 是正、改善に関する報告書の提出を求める

などがあります。

是正勧告後、「再監督」という再調査でも改善が見られなければ、会社に対して罰則が与えられます。

労働基準監督署に相談しても、実際に動いてもらえるのか?立ち入り調査までの期間がどのくらいか?は、事案によってさまざまです。

事実関係が複雑な事案では、相談から立ち入り調査まで数か月かかる場合もあります。

調査に時間がかかるのは、通報が混み合っているなどの事情も考えられますが、より早く動いてもらうには、通報する側の準備も重要です。

1-4:すぐに動いてもらうために準備するもの

労働基準監督署を訪問して通報する際には、スムーズに調査に動いてもらえるように次のポイントを押さえておきましょう。

・要点をまとめる
・証拠を揃えておく

順番に解説します。

①要点をまとめる
相談の際には、通報したい内容をまとめて書面にできると担当者に要点が伝わりやすくなります。

プリントした紙に次のような内容を記載して、詳しい説明の前に目を通してもらいましょう。

会社名:◯◯◯◯商事

所在地:◯◯都◯◯区△△△x-x-x

法律違反がある部署:◯◯◯◯

概要(内容は一例):

知らないうちに、求人募集の勤務体系が適用されるのは最初の三ヶ月で、実際には不当な労働条件に当たる雇用契約にサインさせられていた。

多いときで月に80時間を超える長時間労働を強いられている。

雇用条件など:

・所定労働時間

・始業終業時刻、休憩時間

・所定休日

・賃金の条件

・労働時間の管理状況(タイムカードによって管理、会社から打刻時間を指示、など)

実態把握が可能な資料(例):

・雇用契約書

・就業規則

・タイムカードのコピー

・実際の労働時間を記載したメモ

(持ってきた資料を記載)

②証拠を揃えておく
通報の際には要点をまとめた用紙のほかに、実際に法律違反が行われていることを示す資料が必要になります。

必要になる書類は、どんな内容を通報したいかにによって異なります。

【賃金の未払いがある】
・雇用契約書
・就業規則
・賃金規定
・給与明細など

【違法な残業を強いられている】
・タイムカード
・シフト表
・業務日報
・運転日報
・タコグラフ(ドライバーなどの場合)
・手書きの勤務時間・業務内容の記録残業時間の計測アプリ
・会社のパソコンの利用履歴
・メール・FAXの送信記録

【不当解雇や不当な懲戒処分が下された】
・解雇通知書
・解雇や懲戒処分を示す日記、メール

【法律違反が疑われる労働条件】
・雇用契約書
・給与明細

原本を用意することが難しい書類はコピーを準備すれば証拠として扱ってもらえます。

このような証拠があると、担当者も実際の状況が把握しやすくなり、問題がある場合は調査に動いてくれる可能性が大きくなります。

2章:ブラック企業を通報することに関するQ&A

ここからは、通報の際のよくある疑問について解説します。

心配を解消して、心置きなく通報できるようにしましょう。

2-1:通報は匿名でもできる?

労働基準監督署への通報は、メールや電話を使って匿名で行うことも可能ですが、立ち入り検査の会社を決める参考情報くらいにしか扱われないことが多いようです。

ブラック企業を通報して、環境を改善したり、会社に罰則を与えたりしたい場合は直接訪問がオススメです。

2-2:通報すると会社から報復を受けますか?

労働基準監督署には守秘義務があるので、会社側から聞かれても誰が通報したのかを知らせることはまずありません。

立ち入り調査には、通常の調査と通報を受けて行う調査の2種類がありますが、会社側がどちらの調査を受けているのかわからないケースもあるようです。

会社は、誰が通報したのかわからない状態で調査を受けるので、通報した人はもちろんのこと家族や周辺の人も報復を受けることはまずあり得ません。

2-3:通報は代理人でもできるのか?

労働基準監督署の受付時間は、平日の8:30〜17:15となっており、平日に会社を休めなければ、訪問が難しくなります。

こういうケースでは代理人による通報が可能な場合もあります。

代理人とは

・家族
・弁護士

などです。

代理人に要点をまとめたペーパーや証拠を託して、労働基準監督署の担当者が対応してくれれば、あなたの会社の現状を伝えることができるかもしれません。

ただ、担当者から詳しい内容や状況についてさらに質問があることも多いので、可能であれば仕事を休んで本人が訪問するのがベターです。

2-4:何回くらい訪問する必要があるのか?

労働基準監督署を1回訪問すれば、担当者にひと通り事実関係の説明ができます。

あとは労働基準監督署が動いてくれるのを待つだけですが、確実に対応を求めたい場合はもう1度訪問して現状を訴えるケースもあります。

それによってより本気度が伝わり、労働基準監督署側にも緊急度が高いと認識してもらえることがあるようです。

2-5:自分で会社と交渉する必要がある?

労働基準監督署は、ブラック企業が法律違反をしているかどうかの判断は下さず、違反の疑いが強い時に初めて動くことができます。

そのため、証拠が揃っていないケースや、法律違反かどうか判断が微妙なケースでは「まずはご自分で会社に相談してください」と言われることもあります。

2-6:残業代や慰謝料請求はできる?

通報に対して労働基準監督署が実行するのは、会社への行政指導に限定されます。

残業代や慰謝料の請求は、会社と通報した人との間の民事上の問題のため、労働基準監督署では対応してもらえません。

残業代や慰謝料を請求するには、自分自身で請求するか弁護士に依頼する必要があります。

3章:問題が解決しなければ他の窓口に相談

あなたがブラック企業を通報しても、労働基準監督署が動いてくれない場合があることを説明しました。

「どこか力になってくれる窓口はないだろうか」
「早く問題を解決したい」

という場合は次のような相手に相談するのも一つの方法です。

・総合労働相談コーナー
・全労連ホットライン
・労働局雇用均等室
・弁護士

簡単にそれぞれの特徴を説明します。

詳しい内容が知りたいは以下の記事をご確認ください。

【ブラック企業の4つの相談先】相談できることと解決までの流れを解説

総合労働相談コーナーは、解雇や労働条件、いじめ、セクハラなど労働問題に関することならどんな分野でも相談できる厚生労働省の部局です。

全国労働組合総連合(全労連)は、日本の労働組合の全国中央組織です。

労働問題ホットラインは、その全労連が運営する相談窓口になります。

サービス残業から、雇用条件、パワハラ・セクハラ、嫌がらせまで職場でのあらゆることを扱っています。

都道府県の労働局に設置された雇用均等室では、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などの相談に応じてくれます。

4つの相談先の中で、ブラック企業で働くあなたの問題を解決するのに、最も直接的な効果が見込めるのが弁護士です。

特に労働問題に強い弁護士であれば解決の可能性が大きく、残業代の計算から交渉、裁判まであらゆる面でサポートしてくれます。

弁護士に依頼した場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。

【弁護士に依頼するメリット】
・依頼後、すぐにでも取りかかってもらえる
・手続きを弁護士に丸投げできるため、時間や手間がほとんどかからない
・会社との交渉などは弁護士が代理で行うため、心理的負担も少ない
・トラブル内容や依頼する弁護士次第では、あなたが最も損しない形で解決してくれる

【弁護士に依頼するデメリット】
・トラブルの内容によっては、依頼時にお金がかかる(内容によっては、初期費用ゼロで依頼可能)

弁護士と聞くと「裁判が大変そう」「お金がかかりそう」と思うかもしれませんが、すぐに裁判を行うわけではなく、まずは会社と交渉をし、うまくいかない場合に裁判へと進むという流れになります。

まとめ:ブラック企業の通報は労働基準監督署へ

いかがでしたか?今回の内容をもう一度振り返ってみましょう。

あなたがブラック企業を関係機関に通報しようと思ったら、利用したいのが「労働基準監督署」です。

労働基準監督署=労働基準法などの法律が守られているかをチェックする行政機関で、明確な法律違反がある場合には強い権限を用いて問題に対処します。

労働基準監督署に通報すべきトラブルは、次のようなものになります。

・賃金や退職金の未払いがある
・1か月で100時間を超えるなどの長時間残業
・会社が休日を与えてくれない
・労働条件が雇用契約と異なる
・危険な現場での作業

内容が労働基準監督署の担当する範囲で、実際に通報しようと思ったら、以下の3つの方法から選ぶことができます。

・訪問
・メール
・電話

3つの方法の中で、具体的な対応に一番つながりやすいのが訪問です。

立入検査や是正など労働基準監督署による行動に期待している場合は、直接訪問して担当者と話をするのがオススメです。

また通報の際には

・要点をまとめる
・証拠を揃えておく

ことが大切です。

ここで注意しておきたいのは、労働基準法などの違反以外の内容は労働基準監督署では扱ってくれないということです。

そうした場合は弁護士など、他の相手に相談することが問題の解決につながることがあるので、選択肢として頭に入れておきましょう。

働いているブラック企業を通報して、より働きやすい環境作りにつなげましょう。

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