- 更新日:2024.08.28
- #解雇予告通知書
解雇予告通知書とは?必ず確認すべき箇所と貰った後にやるべきことを解説
この記事を読んで理解できること
- 解雇予告通知書と受け取った時に確認すること
- 解雇予告通知書の解雇理由に納得できない場合
- 不当解雇だった場合にすべきこと
あなたは、
「会社から解雇予告通知書を渡された、どうしよう」
「解雇予告通知書を渡されたけど辞めたくない」
「解雇される理由を具体的に知りたい」
などとお考えではないですか?
結論から言うと、会社から解雇予告通知書を渡され解雇理由に納得がいかない場合は、会社に解雇の理由を詳しく記載した「解雇理由証明書」の交付を求めることが重要です。
なぜなら、会社の一方的な解雇理由が、事実とは異なる、あるいは客観的な合理性と社会的相当性が認められないと判断された場合は、不当解雇にあたり無効になる可能性があるからです。
また、解雇理由証明書は、労働者が請求した場合、使用者はこれを交付することが義務づけられていますが、逆に言えば、あなたが請求しなければ受け取ることはできないからです。
解雇理由が正当と認められず解雇が無効とされた場合、あなたはまだ会社に在籍しているとみなされるため、不当解雇によって給料が支払われなかった期間の給料を請求できます。
そこでこの記事では
- 解雇予告通知書とは何か
- 解雇予告通知書を受け取った時に確認すること
- 解雇理由に納得いかない場合にすべきこと
などについて解説していきます。
この記事をよく読んで理解し、解雇予告通知書を受け取った後正しい行動をとれるようにしましょう。
目次
1章:解雇予告通知書と受け取った時に確認すること
まず始めに、解雇予告通知とはなにか、また受け取った時に確認することについて解説していきます。
1-1:解雇予告通知書とは
解雇予告通知書とは、解雇予定日を記載して解雇を予告する書面のことを言います。
労働基準法では、会社が社員を解雇する時には、原則として30日前に予告するか、あるいは30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないと定めています。(労働基準法20条1項)
労働者を即日解雇したい場合は、解雇通知に併せて30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要になります。
(解雇の予告)
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
解雇予告通知書の書き方について決まりはありませんが、ほとんどの解雇予告通知書には
① 解雇する従業員の氏名
② 解雇予告通知書の作成日
③ 社名・代表者名
④ 解雇する日
⑤「解雇します」という解雇の意思表示の文言
⑥ 解雇理由
⑦ あなたの解雇理由が該当する就業規則の条文
が記載されています。
ただし解雇予告は、次の場合は法律上不要とされています(労働基準法21条)。
- 日雇いの従業員で働き始めてから1か月以内に解雇する場合
- 2か月以内の期間を定めて使用する従業員を解雇する場合(契約期間を超えて引き続き使用した場合を除く)
- 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用する従業員を解雇する場合(契約期間を超えて引き続き使用した場合を除く)
- 使用期間中の従業員で働き始めてから14日以内に解雇する場合
しかし、このような場合でも、
「会社が本当にあなたを解雇したのか」
「どうして解雇したのか」
を明らかにしておく必要があります。
そのため、解雇予告通知書がもらえなくても、解雇理由証明書をもらうようにしましょう。
1-2:解雇予告通知書を受け取った時に確認すること
会社から解雇予告通知書を受け取った場合は、必ず次の3つを確認しましょう。
- 解雇日はいつか確認する
- 解雇理由を確認する
- 就業規則を確認する
それぞれ解説していきます。
1-2-1:解雇日はいつか確認する
解雇予告通知書を受け取った場合は、まずは解雇日を確認しましょう。
解雇する日は、解雇通知書を渡された翌日から30日以上経った日を指定しなければいけません。
万が一、即日解雇されたり解雇日が30日未満になっている場合は、あなたは解雇予告手当を受け取ることができます。
解雇予告手当の計算方法は、次のようになります。
(直前3か月に支払われた賃金総額)÷(3か月間の歴日数)×(解雇予告の短縮日数分)
(例)
- 給料:月給20万円(3か月で60万円)
- 解雇予告日:3月25日
- 解雇日:20日後(短縮10日)
→ 60万円÷90日※×短縮10日=66,666円
※歴日数の計算例
- 12月 31日間
- 1月 31日間
- 2月 28日間
計90日
解雇通知書に解雇予告手当の記載がない場合は、会社に請求することもできますが、解雇を無効として退職する意思がない場合は、請求は控えた方がいいでしょう。
1-2-2:解雇理由を確認する
解雇の理由については、本当にあなたが納得いくような理由が書かれているかを確認しましょう。
また解雇理由が、法律上解雇が認められる理由といえるかを確認する必要があります。
ただし、解雇予告通知書には、解雇の根拠となる就業規則の規定などが記載されているだけで、具体的な解雇理由が書かれていないことが多いです。
そのため、先に解説したように、会社に対して解雇理由証明書の交付を求めることが重要です。
会社の解雇理由が、不当解雇にあたると思われる場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
1-2-3:就業規則を確認する
解雇理由は、多くの場合就業規則で規定された内容を根拠としています。
そのため、記載された解雇理由が、実際に就業規則に書かれている内容と一致しているのか確認する必要があります。
就業規則は、次のいずれかの方法で周知しなければならないとされています。
- 常時各作業場の見やすい場所に掲示・備え付ける。
- 書面で交付する
- 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する。
(労働基準法106条1項)
必ず就業規則を確認し、解雇理由が該当しない場合は、弁護士に相談するべきです。
1-3:解雇理由証明書の交付を求める
解雇理由証明書は、労働者が請求した場合、使用者はこれを交付することが義務づけられています。
労働契約法第二十二条
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
解雇理由証明書を確認することによって、会社の解雇理由に不当解雇の疑いがある場合は、有力な証拠となる可能性があります。
逆に、解雇理由証明書を請求せず解雇理由が確認できない場合は、会社がどうしてあなたを解雇したのがわからないため、不当解雇を争うこともできません。
万が一、会社が解雇理由証明書を交付しない場合は、内容証明を使って、以下の文面を送りましょう。
私は、貴社にて勤務しておりましたが、令和○年○月○日に○氏より解雇を言い渡されました。
解雇には相当の理由が必要となり、何の理由もなく労働者を解雇することは許されません。
よって、労働基準法第22条に基づき、解雇理由証明書を請求致します。
令和○年○月○日までに、上記書面を私宛に交付願います 。
内容証明は自分で作ることができますが、書式が決まっていますので、書き方については、以下の記事を参照してください。
残業代を内容証明で請求!自分で出す方法と適切なタイミングを徹底解説
2章:解雇予告通知書の解雇理由に納得できない場合
解雇予告通知書の解雇理由に納得できない場合は、不当解雇にあたらないかしっかり確認することが重要です。
そこでこの章では、不当解雇とはなにか、不当解雇の判断を弁護士に相談するメリットについて解説していきます。
2-1:不当解雇とは
不当解雇とは、労働基準法・労働契約法等の法律で規定された事柄や、会社の就業規則の規定を守らずに、事業主の都合だけで一方的に労働者を解雇することをいいます。
労働基準法では、解雇理由は、客観的な合理性と社会的相当性がなければならないと定めています。(労働基準法20条1項)
次のようなケースは、原則的に不当解雇となります。
- 妊娠を理由とした解雇
- 病気や怪我を理由とした解雇
- 社長や上司との不仲を理由とした解雇
- 学歴を理由とした解雇
- 国籍を理由とした解雇
また整理解雇(リストラ)の場合、次のようなケースは要件を満たさず認められない可能性が高いです。
- 工場の生産能力をあげるための解雇
- 役員の給与をカットせず、いきなりリストラを行った
- 職場で嫌われている人から解雇していく
- 労働組合との話し合いをせず、リストラを始める
その他にも、会社の解雇理由に納得がいかない場合は、会社に解雇無効を主張し解雇の撤回を求めましょう。
2-2:不当解雇の判断を弁護士に相談する
解雇予告通知書の解雇理由に納得できない場合は、不当解雇にあたるかどうか、弁護士に相談することをおすすめします。
実際に解雇された場合、解雇を言い渡された具体的な経緯ややりとり、就業規則等その状況は様々です。
そのため、不当解雇にあたるかどうかの判断は、法的な知識がないと難しい場合が多いからです。
弁護士に相談し、不当解雇に当たると判断できる場合、弁護士に会社との交渉を依頼すると次の4つのメリットがあります。
- 解雇の無効を主張できる
- 交渉だけで解決できる可能性が高まる
- 労働審判や訴訟(裁判)によって解決を図れる
- 未払い賃金や未払い残業代の請求ができる
弁護士であれば、解雇の無効を主張し、会社に対して解雇の撤回を求める交渉を進めることができます。
また交渉がまとまらない場合でも、労働審判や訴訟(裁判)の申し立てからそれぞれの手続きまで、すべて任せることができます。
続いて、不当解雇だった場合の、未払い賃金の請求について解説します。
3章:不当解雇だった場合にすべきこと
不当解雇だった場合にすべきことは、次の2つです。
- 不当解雇を争う場合に必要な証拠を集めて相談する
- 解雇の無効を主張し未払い賃金を請求する
それぞれ解説します。
3-1:不当解雇を争う場合に必要な証拠
不当解雇された場合は、まず可能な限り証拠を集めましょう。
なぜなら、不当解雇にあたるとして解雇の撤回を求めるためには、労働者側で不当解雇であることを証明する必要があるからです。
役に立つ証拠としては、以下のようなものがあります。
- 解雇通知書(解雇予告通知書、解雇理由証明書)
- 雇用契約書など会社の規定に関する書類
- 日記やメールなど(解雇までの経緯を示す書面があるとよいでしょう。)
- ICレコーダーで録音した音声(暴言を吐かれたり、解雇の際に何か言われた場合には、録音しておくと良いでしょう。)
3-2:解雇の無効を主張し未払い賃金を請求する
不当解雇に当たる場合には、解雇の無効を主張し未払い賃金を請求することができます。
つまり、解雇の無効が認められた場合、あなたはまだ会社に在籍しているとみなされるため、不当解雇によって給料が支払われなかった期間の給料を請求することで貰える可能性があります。
不当解雇を会社に認めさせ、未払いの給料を請求する場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼することによって、会社側も解雇の無効を認め、解雇の撤回や未払い賃金の交渉がスムーズに進む可能性が高まります。
また、会社との交渉が決裂した場合は、労働審判や訴訟(裁判)によって解決を図っていきます。
弁護士に依頼すると、あなたの「会社と戦う」という精神的負担を、弁護士が肩代わりしてくれるだけでなく、時間・手間を節約することもできます。
ただし、弁護士に依頼する場合は、「弁護士なら誰でもいい」というわけではありません。
実は、法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の件については、あまり知識がない弁護士が多いです。
そのため、不当解雇や未払い賃金請求など労働問題に強い弁護士に依頼することをおすすめします。
まとめ:解雇予告通知書について
最後に簡単にまとめてみましょう。
- 解雇予告通知書とは、解雇を予告する書面のこと
解雇予告通知書を受け取った場合に確認すべきこと
- 解雇日はいつか確認する
- 解雇理由を確認する
- 就業規則を確認する
①解雇する日
解雇日が「解雇予告通知書を渡された翌日から30日以上経った日」になっているか
→30日未満の場合には、解雇予告手当をもらうことができる
②解雇理由
きちんとした理由でなければ不当解雇の可能性がある
③就業規則
解雇理由が、実際に就業規則に書かれている内容と一致しているのか確認する
- 解雇理由証明書の交付を求める
不当解雇を争う場合は、必要な証拠を集める
- 解雇通知書(解雇予告通知書、解雇理由証明書)
- 雇用契約書など会社の規定に関する書類
- 日記やメールなど(解雇までの経緯を示す書面があるとよいでしょう。)
- ICレコーダーで録音した音声(暴言を吐かれたり、解雇の際に何か言われた場合には、録音しておくと良いでしょう。)
不当解雇に当たる場合には、解雇の無効を主張し未払い賃金を請求することができます。
不当解雇や未払い賃金請求など、労働問題に強い弁護士に依頼することをおすすめします。