
「会社から解雇予告通知書をもらってしまった」
このような事態に直面すると、誰でもパニックになってしまいます。解雇予告通知書が出たということは、会社を解雇になる、ということだからです。
しかし、このようなときこそ、慌てず対処することが大切です。
・解雇に納得がいかず、争いたい
・生活費として、お金が欲しい
など、これから自分がどうしたいのかを考え、計画的に行動する必要があります。
そこで、この記事では
・解雇予告通知書とは何か
・解雇予告通知書をもらったらすべき4つのこと
・不当解雇をされた場合にすべきこと
についてまとめました。
この記事を読み、解雇予告通知書をもらってから正しい行動をとれるようにしましょう。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■解雇予告通知書とは、解雇を予告する書面のこと
■解雇予告通知書をもらったときに確認すべきことは2つ
①解雇する日
解雇日が「解雇予告通知書を渡された翌日から30日以上経った日」になっているか
→30日未満の場合には、解雇予告手当をもらうことができる
②解雇理由
きちんとした理由でなければ不当解雇の可能性がある
■解雇予告通知書をもらったらやるべきこと
①退職理由証明書②離職票
を必ずもらい、
③退職金④未払いの残業代
を請求する
■不当解雇をされた場合の対処法
①証拠を集める
②以下の場所に相談に行く
・労働組合
・労働基準監督署
・都道府県の相談窓口
・弁護士
目次
1章:解雇予告通知書とは
まずは、解雇予告通知書とは何かを知りましょう。
1-1:解雇予告通知書|解雇の予告をする書面
解雇予告通知書とは、解雇の予告をする書面のことを言います。
解雇の予告は口頭でしてもいいのですが、書面に残さないと「言った・言わない」で後々争いになってしまいます。そこで、会社は「あなたを○日後に解雇しますよ」という証拠を書面で残すのです。
1-2:確認すべき2つのポイント
次に、解雇予告通知書の文面を確認しましょう。
解雇予告通知書の書き方について、法律による決まりはありません。しかし、ほとんどの解雇予告通知書は以下のような内容を記載しています。
①解雇する従業員の氏名
②解雇予告通知書の作成日
③社名・代表者名
④解雇する日
⑤「解雇します」という解雇の意思表示の文言
⑥解雇理由
⑦あなたの解雇理由が該当する就業規則の条文
あなたが解雇予告通知書をもらったら、特に確認するべき箇所は、
④解雇する日
⑥解雇理由
です。
【④解雇する日】
解雇する日は、「解雇予告通知書を渡された翌日から30日以上経った日」でないといけません。
もしもあなたの解雇日が「解雇予告通知書を渡された翌日から30日未満」になっている場合、会社は解雇予告手当を払う必要があります。
解雇予告手当は、以下の式を使って計算することができます。
*解雇予告手当の計算方法
(直前3か月に支払われた賃金総額)÷(3か月間の歴日数)×(解雇予告の短縮日数分)
(例)Aさんのケース
給料:月給20万円(3か月で60万円)
解雇予告日:3月25日
解雇日:20日後(短縮10日)
→60万円÷90日×短縮10日=66,666円
※歴日数の計算
12月 31日間
1月 31日間
2月 28日間 計90日
【⑥解雇の理由】
会社があなたを解雇する場合には、「解雇もやむを得ないな」と言えるだけのきちんとした理由が必要です。
「心当たりがないことでクビにされた」
「解雇の理由を経営難と言いつつ、新規採用はしている」
など、解雇の理由が納得できるものでなければ、あなたの解雇は不当解雇にあたるかもしれません。
不当解雇については3章で説明しますので、こちらを読んでください。
2章:解雇予告通知書をもらったらすべき4つのこと
解雇予告通知書をもらったら①解雇理由証明書②離職票を必ずもらい、可能であれば③退職金④未払い残業代を請求しましょう。
2-1:必ずやるべき2つのこと
解雇予告通知書をもらったら、会社から解雇理由証明書と離職票を必ずもらいましょう。
2-1-1:解雇理由証明書をもらう
まずは解雇理由証明書をもらいましょう。
「解雇理由証明書」とは、主に解雇の理由を示すための書面になります。
解雇理由証明書は、失業保険の手続きだけでなく、不当解雇を争う場合に必須となる重要な書類です。
社員から解雇理由証明書を出すよう求められたら、会社は必ずこれを発行しなければなりません。法律によって決められているためです。
口頭で発行をお願いすれば良いので、退職前に必ずもらいましょう。
万が一、会社が解雇理由証明書を出してくれない場合には、内容証明を使って、以下の文面を送りましょう。
私は、貴社にて勤務しておりましたが、平成○年○日に○氏より解雇を言い渡されました。
解雇には相当の理由が必要となり、何の理由もなく労働者を解雇することは許されません。
よって、労働基準法第22条に基づき、解雇理由証明書を請求致します。平成○年○月○日までに、上記書面を私宛に交付願います 。
内容証明は自分で作ることができますが、書式が決まっています。
内容証明の書き方については、以下の記事を参照してください。
残業代を内容証明で請求!自分で出す方法と適切なタイミングを徹底解説
2-1-2:離職票をもらう
退職前にもらうものとしては、他に離職票があります。これは失業保険の手続きの際に必要となるもので「離職票1」と「離職票2」の2枚あります。
【図】離職票1
【図】離職票2
会社が離職票をくれなかった場合には、ハローワークの担当者に相談しましょう。ハローワークから、直接会社に催促してくれます。
2-2:可能であれば会社に請求すべきこと
可能であれば、会社に対し、退職金と未払いの残業代を請求しましょう。
2-2-1:退職金をもらう
会社の就業規則や退職金規定を見てください。そこに「退職金を支払う」ことが書かれており、「勤続○年」などの条件を満たしていれば、退職金をもらうことができます。
懲戒解雇になっても、解雇の原因となった行為が「会社での頑張りを打ち消すほど悪質な場合」でなければ、退職金が支払われることが多いのです。
懲戒解雇になった場合に退職金をもらう条件・方法について以下の記事を参照してください。
5分で分かる!懲戒解雇で退職金を貰う条件と方法―チェックリスト付き
2-2-2:未払いの残業代を支払ってもらう
あなたが、会社から支払ってもらっていない残業代がある場合は、しっかり取り返しましょう。
例えば、あなたはこのように会社や上司から言われていませんでしたか?
・管理職、店長だから残業代は出ないよ
・ 裁量労働制、みなし残業代制だから残業代は出ないよ
このようなケースでは、ほとんどの場合は残業代をもらう権利があります。
残業代は思ったよりも高額になることが多いので、そのまま退職してしまうのはもったいないです。
まずは自分で会社に支払いを求め、会社が支払ってくれないようでしたら、弁護士に相談しましょう。
ただし、残業代は最後の請求日から3年で時効にかかり消滅してしまいます。また、退職してしまうと社内の証拠を集めにくくもなります。
次章では、あなたの「不当解雇かも?」と思ったときにすべきことを説明します。
3章:不当解雇だった場合にすべきこと
不当解雇に当たる場合には、
・会社に戻って賃金を払ってもらう
・賠償金をもらう
ことができます。
【Step1】証拠を集める
まず可能な限り証拠を集めることが大切です。どのような理由で解雇されたのかがわからなければ、会社に様々な請求をすることができないからです。
役に立つ証拠としては、以下のようなものがあります。
・解雇通知書(解雇予告通知書、解雇理由証明書)
・日記やメールなど
解雇までの経緯を示す書面があるとよいでしょう。
・ICレコーダーで録音した音声
暴言を吐かれたり、解雇の際に何か言われた場合には、録音しておくと良いでしょう。
【Step2】相談する
次に、証拠を持って相談に行きましょう。
相談先としては以下のような場所があります。
【労働組合】
給与や労働時間など、労働条件を良くする団体
○必ず会社が話し合いに応じてくれる
×賠償金をもらったり、会社に戻りたい場合には向かない
【労働基準監督署】
会社が法律違反をしていないか取り締まるところ
○会社に罰則を科すなど影響力も大きい
×個人の問題ではほとんど動いてくれない
【都道府県の相談窓口】
労働問題全体について、会社との話し合いのお手伝いをしてくれる
○一人よりも話し合いがスムーズにいく
×自分で話し合いの場に出ないといけないのがネック
【弁護士】
まずは会社と交渉をし、うまくいかなければ労働審判、裁判へと進む
○良い結果が出る可能性が高い
×多少お金がかかる
相談先によって、費用や時間、効果などの面でさまざまなメリットやデメリットがあります。ただし、最終的な結果の面から見ると弁護士がおすすめと言えます。
不当解雇された場合の相談先について、詳しくは以下の記事を参照してください。
不当解雇された!4つの相談窓口と相談の仕方を弁護士が徹底解説
まとめ:解雇予告通知書について
いかがだったでしょうか。
最後に簡単にまとめてみましょう。
・解雇予告通知書とは、解雇を予告する書面のこと
・解雇予告通知書をもらったときに確認すべきことは2つ
①解雇する日
解雇日が「解雇予告通知書を渡された翌日から30日以上経った日」になっているか
→30日未満の場合には、解雇予告手当をもらうことができる
②解雇理由
きちんとした理由でなければ不当解雇の可能性がある
・解雇予告通知書をもらったら
①退職理由証明書②離職票
を必ずもらい、
③退職金④未払いの残業代
を請求する
・不当解雇をされたら、
①証拠を集める
②以下の場所に相談に行く
・労働組合
・労働基準監督署
・都道府県の相談窓口
・弁護士
解雇予告通知書をもらったら、どのように動くかが肝心です。この記事を参考にしつつ、計画的に動きましょう。