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もう損しない!飲食店でも残業代が出る理由と残業代をもらう2つの方法

QUEST法律事務所

代表弁護士住川 佳祐

飲食店で働いているが残業代が出ない女性

飲食店では残業代が出ないことが「当たり前」になっていることが多いですよね。

あなたも、

「飲食店では残業代が出ないのが普通と言われる」

休憩時間も働かされる」

「タイムカードを切った後に片付けや仕込みの時間がある」

「肩書きが店長だから、残業代が出ないと言われている」

などの状況があり、「残業したのに給料はこれだけ?」と思ったことはありませんか?

飲食店は、店の営業時間外の仕事が多いことや、お客の入りによって業務量が左右されること、人手不足になりがちなどの理由で、残業代が出ない「サービス残業」が発生しがちです。

しかし、飲食店であっても、他の職種とまったく同じように労働基準法が適用されますので、残業の事実があるのに残業代が出ないことは「違法」です。

そのため、支払われなかった残業代は、後から請求して取り返すことも可能です。

そこでこの記事では、まずは飲食店で残業代がごまかされやすい理由と、飲食店で働く人の実態に沿って、残業代が出る仕組みや、実は労働時間にカウントされる「休憩時間・準備や片付けの時間」などについて解説します。

さらに、一部のブラック飲食店が行う残業代をごまかす手口や、あなたの正しい残業代を把握し、しっかり取り返すための方法についてもお伝えします。

この記事から正しい知識を得て、ぜひ周りの知り合いなどにも教えてみてください。

飲食店の残業に関するポイント


1章:飲食店で残業代がごまかされやすい理由

「残業したのに残業代が出ない!」

特に飲食店で働く人の中には、こんな経験がある人が多いようです。

実は、飲食店では、残業代がごまかされがちになる、以下のような2つの理由があります。

  • 営業時間外の業務量が多い
  • 客の入り具合によって業務量が変わる
  • 人手不足になって無理なシフトが組まれることが多い

まずは、なぜ飲食店では残業代がごまかされやすいのか、簡単に解説します。

それよりも先に残業代が支払われるルール労働時間について知りたい場合は、2章から読んでください。

1-1:営業時間外の業務量が多い

飲食店で残業代がごまかされやすい理由の1つは、営業時間外の業務量が多いことです。

飲食店で働くあなたにとっては常識かもしれませんが、飲食店では、開店前には、店の掃除から料理の仕込み、材料の搬入や整理など。閉店後には、食器や調理器具の片付け、店の掃除、会計処理、次の日の仕込みなどがあり、営業時間外にもたくさんの仕事があります。

そのため、営業時間外の仕事について、

「タイムカードを打刻する前や打刻後にも業務を行う」

「閉店の時刻までしか勤務時間に入らない」

などのことも多いようです。

また、個人経営の飲食店などでは、そもそも勤怠管理の仕組み(タイムカードなど)を持っていないこともあります。出退勤の時間が大雑把にしか記録されず、営業時間外も働いているのに、店の営業時間しか出勤していないことになっている、というケースもあります。

このように、飲食店では営業時間外の業務量の多さから、残業代がごまかされがちなのです。

他にも理由があります。

1-2:客の入り具合によって業務量が変わる

客の入りや予約状況によって、業務量が大きく変わってくるというのも、飲食店で残業代がごまかされやすい理由の1つです。

たとえば、

  • 次の日に急に大勢の予約が入ったため、遅くまで店に残って仕込み作業をしなければならない
  • 予想より多くの客が来たため、片付けや掃除の量も多くなった

などのことは、経験がある人も多いのではないでしょうか。

こんなイレギュラーが発生すると、残業しなければ仕事が終わらないため仕方なく残業する雰囲気になり、結果的にサービス残業になるケースも多いようです。

このように、客の入りや予約状況という予測が難しいことによって、業務量が左右されてしまうことも、残業代がごまかされやすい理由です。

1-3:人手不足になりやすい

飲食店では、人員の多くをアルバイトで、しかも高くはない時給で雇用していることが多いです。そのため、店舗によっては常に人手が足りておらず、いつも誰かが無理しなければ店が回らない、ということもあります。

そのため、残業代が出なくてもしょうがなく残業する、という状況が生まれやすいのです。 

弁護士
これらの理由から、飲食店では残業代がごまかされることが多いのですが、実際には、どんな理由があっても残業代が出ないことは違法です。
 次に、飲食店でも残業代が出る根拠と、実は労働時間にカウントされる可能性がある「休憩」「準備」「片付け」などの時間について解説します。


2章:飲食店でも残業代が出る!残業代の支払いルールと実は労働時間にカウントできる時間

 飲食店であっても、労働基準法が適用されるため、他の職種と同じように、残業代の支払いルールが法律で決められています。

これは、正社員もアルバイトも、同じように適用されるものです。

では、正しくは、残業代はどのような場合に発生するのでしょうか。

  • 法律上の残業代の支払いルール
  • 労働時間としてカウントされる時間

について、詳しく解説します。

2-1:法律上の残業代が発生する時間

残業代とは、以下の「法定労働時間を超えて働いた時間(残業)」に対して支払われる賃金のことです。

法定労働時間とは、法律で定められた「18時間・週40時間」の時間のことで、これを超えた労働が「残業」になります。つまり、以下のどちらか一方でも超えて働いた時間が残業です。 

  • 18時間を超えた労働時間
  • 40時間を超えた労働時間

1日8時間・週40時間を超えたら残業

たとえば、10時から22時が営業時間のお店で、開店のため朝の8時に出勤し、途中1時間の休憩を挟んで夜の23時まで働いた場合、8時から「8時間+休憩1時間分=9時間後」の17時までが「法定労働時間」になります。

そのため、17時から23時までの時間は残業時間であり、この時間は残業代が発生するのです。

飲食店の残業時間の例

さらに、残業代は、普段の賃金に「割増率」をかけたものでなければなりません。

※割増率とは、時間当たりに換算した賃金(基礎時給)にかけられる1.25倍〜1.6倍の倍率のことです。

たとえば、1時間あたりの賃金が1000円の人は、残業した場合は1時間あたりの賃金が1250円以上になるのです。 

弁護士
さらに知っておくべきポイントがあります。それは、休憩時間も働かされている場合や、タイムカードを打刻する前や後に働いていた時間などは、労働時間としてカウントされ、その分の残業代が発生するということです。
 

2-2:飲食店で労働時間にカウントされる時間

多くの飲食店では、休憩時間も働かせられたり、準備や片付けの時間はタダ働きさせられたりすることがあるようです。

しかし、たとえタイムカードを打刻していなかったり、その時間の仕事が明確に指示されていたわけではなかったとしても、場合によってはそれが「労働時間」としてカウントされることがあります。

飲食店で労働時間としてカウントされる時間の例

過去の判例から、「労働時間」としてカウントできるのは、

「使用者の指揮命令下に置かれている」時間

(三菱重工業長崎造船所事件・最判平成1239日労判778号)

のことであるとされています。

「使用者」とは、簡単に言えばあなたの職場の「店長」「オーナー」などのことです。その使用者から「この仕事をやってくれ」「この時間は働いてくれ」という指示を受けている時間は、すべて労働時間としてカウントされます。

さらに、会社から明らかに「この仕事を残ってやってくれ」と明確に指示されていなくても、

  • 就業時間内に終わらない量の仕事がある
  • 指示された時間内では完了できない

などのような、仕事上働かざるを得なかった時間は、「労働時間」としてカウントされる可能性が高いです。

使用者の指揮命令下に置かれている時間

そのため、以下の時間も、使用者の指揮命令下に置かれていたのであれば、労働時間としてカウントされます。

  1. 準備時間:制服への着替え、開店前の掃除など
  2. 後始末時間:閉店後の店の掃除や食器、調理器具の片付け、ゴミ捨てなど
  3.  休憩時間:休憩時間でも、まかないを食べたらすぐに働かなければならない、お客様が来たら自分が対応しなければならない場合など
  4. 仕込み時間:開店前やランチとディナーの間の仕込み時間

以上をまとめると、

18時間・週40時間」のどちらか一方を超えた時間

で、かつ、

「使用者の指揮命令下に置かれている」時間

の両方を満たす時間は、飲食店でも残業代が発生するのです。

従業員
私の職場でも、労働時間がごまかされることは日常的になっています。
 
弁護士
労働時間の管理を曖昧にしてしまっている飲食店は多いようです。中には、人件費を抑えるために、様々な手口を意図的に使って残業代をごまかす飲食店もありますので、これからその手口を解説します。
 


3章:飲食店で残業代がごまかされる6つの手口

意図的に残業代をごまかし、従業員を安い賃金で長く働かせようとする「ブラック飲食店」では、以下のような手口を使って、残業代をごまかしていることがあります。

  • 準備時間・片付け時間はタダ働き
  • 休憩時間も働かせる
  • 店長だから残業代はない
  • 残業時間の端数を切り捨てる
  • 残業は禁止していたと主張する
  • 基本給に残業代が入っている

あなたも思い当たるものがないか、注意してチェックしてみてください。

3-1:準備時間・片付け時間はタダ働き

 

店長
準備や片付けは営業時間外の仕事だから、勤務時間にはならないんだよ。
飲食店で非常に多いのが、出退勤の管理を曖昧にして、準備や片付けの時間はタダ働きさせるというものです。

しかも働いている従業員は、残業代が出ないことが分かっていても、

「自分が準備しないと店が開けられないから・・・」

「片付けないと次の日の仕事が増えるのは自分だから」

などと思って、無理に残業して仕事を片付けようとすることも多いようです。

しかし、2章で解説したように、これらの時間も本来なら労働時間としてカウントされますので、残業代が出ないことを泣き寝入りする必要はありません。

3-2:休憩時間も働かせる

店長
休憩をとっていいとは言ったけど、まかないを食べたらすぐ仕事に戻ってね。みんな忙しいのに自分だけ休んでいるのは非常識だよ。
このようなことを言われていたら、あなたの店は、従業員を安い賃金で長時間働かせようとしています。

労働基準法では、

  • 6時間を超えて8時間以内の労働:45分の休憩
  • 8時間を超える労働:60分の休憩

を、従業員に取得させることが義務付けられています。そのため、この時間働かせてはならないのです。

休憩時間が取得できないと違法になるケース

しかし、多くの飲食店では、

  • 8時間を超える勤務でも休憩時間がわずかしかない
  • 休憩中も、従業員は客が来たら対応をしなければならない

などの場合があります。

このようなことを言われていたら、あなたの上司は労働基準法に無知であるか、安い賃金であなたをできるだけ長時間働かせようとしている可能性があります。

3-3:店長だから残業代はない

経営者
店長には残業代が出ないって労働基準法で決められているんだよ。
多くの人が誤解していますが、肩書きが「店長」であることは、残業代が発生しない理由にはなりません。

確かに、労働基準法上、会社のサービスや採用などに大きな裁量を持っている人を「管理監督者」と呼び、深夜手当を除き、残業代を支払う必要がないとされています。

しかし、労働基準法上の管理監督者とみなされるには、非常に厳しい要素を満たす必要があり、経営者から雇われている、ほとんどの「店長」の人は、労働基準法上の管理監督者ではありません。

たとえば、あなたが店舗の責任者で、アルバイト・従業員の採用権限やシフトの決定権、販促活動の企画・実施の権限などの持っていたとしても、

  • 権限の範囲が自分の店舗に限られる
  • 出退勤の時間が、事実上決められている(営業時間内は常に店舗にいる必要がある、など)

などの場合は、法律上の管理監督者とは言えません。

このように、たいした裁量もないのに、「店長」といった名前だけ与えられ、残業代の支払いをされていない人のことを「名ばかり店長」と言います。「名ばかり店長」は、残業代をごまかすの手口として使われることが多いですので、注意してください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

店長でも残業代が出る?3つの判断基準と違法性が分かる具体例

3-4:残業時間の端数を切り捨てる

 

経営者
出退勤の記録は30分未満は切り捨てて記録するんだぞ。
あなたの職場では、以下のような方法で勤怠管理がされていませんか?

残業の記録が、5分、15分、30分単位などになっていて、1分単位ではない

こんな行為は認められません。

なぜなら、日々の残業時間は1分単位で記録しなければならないからです。そのため、あなたの職場で日々の残業の記録が1分単位になっていなかったら、それはその分の残業時間をごまかし、残業代をカットする手口である可能性があります。

残業時間の端数切り捨ての例外が認められるのは、1ヶ月の残業の合計時間についてのみで、以下のように決められています。

1ヶ月の残業、休日労働、深夜労働の端数】

  • 合計時間のうち30分未満の端数は切り捨て
  • 合計時間のうち30分以上は1時間に切り上げ

あなたの日々の残業時間の端数が切り捨てられていたら、その分の残業代を請求することができます。

3-5:残業は禁止していた・指示していないと主張する

店長
別に残業しろなんて指示していない。決められた時間内に仕事が終わらないのは、自分の責任だろう。
店長
残業は禁止と言ったはずだ。勝手に残業しても残業代は出さないよ。
残業禁止と言ったり、残業の指示をしていないと言いながら、

  • 残業を行っているのを黙認する
  • 残業しなければ終わらない量の仕事を指示する

など明らかに残業を強要するような行動があった場合、店には残業代を支払う義務があります。

あなたがこれらのようなことを言われていたら、それは店による残業代をごまかす手口である可能性が高いです。

3-6基本給・固定残業代・各種手当に残業代を含んでいる

店長
基本給に残業代をすでに含んでいるので、追加で支払う必要はない

  • 残業代は基本給に組み込まれている
  • ○○手当の形で残業代を支払っている

このように、残業代がみなし残業代固定手当として支払われていても、残業代は発生します。そのため、これらを理由に残業代が支払われていなければ違法です。詳しくは、以下の記事を参照してください。

みなし残業(固定残業)の違法性を判断する7つのポイントを徹底解説

従業員
こんなにいろんな手口があるんですね・・・
 
弁護士
そうなんです。そのため、自分が正しい残業代をもらえているのか、自分で正しく把握できるようになっておく必要があります。
 
社員
その方法を教えてください!
 
弁護士
それでは、これから自分の残業代を正しく計算する方法についてお伝えします。
 


4章:正しい残業代を計算する方法

ここまでの解説で、

「自分も正しい金額の残業代がもらえていないかもしれない」

と思ったあなたは、自分で正しい残業代の金額を計算し、本来ならどのくらいの残業代がもらえるはずなのか把握することをおすすめします。

残業代は、

残業代の計算式

という計算式で計算できます。

詳しい計算方法については、以下の記事をご覧ください。

5分で分かる!正しい残業代の計算方法と実は残業になる8つの時間

では、実際の金額はどのくらいになるのか、具体例を見て見ましょう。

(例)

  • 月給20万円
  • 一月平均所定労働直170時間
  • 月の残業時間80時間

の場合

※一月平均所定労働時間とは、会社から決められている1ヶ月の労働時間のことで、170時間前後であることが一般的です。

20万円÷170時間)×1.25×80時間=11万7600円1ヶ月の残業代)

と、1ヶ月分でも11万円以上の残業代が発生することが分かります。さらに、未払いの残業代は、後から2年分までさかのぼって請求できるため、

11万7600円×24ヶ月=282万2400円2年分の残業代)

と、請求できる残業代の金額は高額になります。

従業員
こんなに高額になるんですね・・・
 
弁護士
そうなんです。そのため、残業代は後からでもしっかり請求することをおすすめします。
 
従業員
請求ってどうしたら良いんですか?方法を知りたいです。
  


5章:飲食店に残業代を請求する方法

未払いの残業代は、退職後でも店に請求することで、取り返せる可能性が高いです。

残業代の請求方法には、

  • 自分で店に直接請求する方法
  • 弁護士に依頼して請求する方法

2つがあります。

この2つの方法には、ぞれぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。

残業代請求を自分でやる場合と弁護士に依頼する場合の違い

これから、それぞれの方法を詳しく解説します。

5-1:自分で直接「配達証明付き内容証明郵便」を送って請求する

未払い残業代について、自分で自分の職場に「配達証明付き内容証明郵便」を送って請求するという方法があります。

内容証明とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる手紙の一種です。そして、配達証明とは、配達した日付や宛名を証明してくれる郵便の制度です。

書面は以下のようなものです。

私は○○年○○月○○日,貴社に入社し,○○年○○月○○日に退社した者です

私は,平成○○年○○月○○日から平成○○年○○月○○日(以下「請求期間」とします。)まで,貴社に対し,合計■時間の時間外労働を提供いたしましたが,貴社からは,一切,割増賃金のお支払いただいておりません。

よって,私は,貴社に対し,請求期間内の未払割増賃金の合計額である★円の支払を請求いたしますので,本書面到達後1週間以内に,以下の口座に振り込む方法によるお支払をお願いいたします。

○○銀行○○支店 

○○預金(普通・定期などの別) 

口座番号○○ 

口座名義人○○

なお,本書面到達後を1週間を過ぎても貴社から何らご連絡いただけない場合は,やむを得ず労働基準監督署への申告,訴訟の手段をとらせていただくことをあらかじめ申し添えます。

「配達証明付き内容証明郵便」で店に請求書を送ることで、会社は「そんなもの届いていない」としらばっくれることができなくなります。

「配達証明付き内容証明郵便」を送って残業代を請求する流れは、以下の4つのステップからなります。

  1. 証拠を集める
  2. 残業代を計算する
  3. 会社に配達証明付き内容証明郵便を送る
  4. 自分で会社と交渉する

店に「配達証明付き内容証明郵便」を送って請求する方法は、必要な手続きの量が多いですので、詳しくは以下の記事を参照してください。

「内容証明 とは」

内容証明を送くると、店との交渉がスタートします。運が良ければ、内容証明が届いた時点で支払いに応じる会社もあるかもしれません。

しかし、あなたの職場の経営者は、あなたになるべく残業代を払いたくないため、顧問弁護士等を介して減額の交渉をしてくるでしょう。

どの金額で折り合いがつくかは、あなた次第ですが、相手は、法律のプロである弁護士なので本来もらえる額より少ない金額で妥協しなくてはならない可能性が高いです。

また、一人で交渉しても経営者に対してはあまり圧力とならないため、相手にしてもらえず、内容証明を送っても無視されるという可能性もあります。

そんな場合は、次に紹介する「弁護士に依頼する」方法をおすすめします。

5-2:弁護士に依頼して請求(手間・時間がかからず回収金額が高くなる可能性アリ)

より確実に残業代を取り返したいなら、弁護士に依頼することをおすすめします。なぜなら、残業代の計算や交渉は、専門的な知識が必要になりますし、「すでに退職している」「これから準備を始める」という場合は、自分の知識だけでは円滑に手続きを進めることが、より難しいからです。

残業代請求を弁護士に依頼する流れ

従業員
弁護士に依頼して裁判みたいな大事にするのはちょっと・・・
 
弁護士
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟(裁判)」になることは少ないです。ほとんどが交渉や労働審判という、訴訟(裁判)よりも簡単な手続きで解決します。
 
社員
でも、弁護士に依頼すると高いお金を払わないといけないイメージがあるんだけど・・・
 
弁護士
実はそうとも限りません。残業代請求に強い「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
 残業代請求を弁護士に依頼した場合の、詳しい手続きの流れや注意点について、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧になってください。

失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用

未払いの残業代の対処方法について、理解することはできましたか?

もしあなたが、まだその飲食店に在籍している場合、集めておくと有利に請求手続きを進めることができる証拠がありますので、これから解説します。


6章:飲食店の残業代請求で集めるべき証拠

残業代請求を成功させるために、最も大事なのが「証拠集め」です。

証拠を取得せずに辞めてしまうと、後から証拠を集めることが非常に困難になりますので、やめる前から集めるのがポイントです。

集めるべき証拠には、

  • 残業代が未払いであることを示す証拠
  • 残業時間を示す証拠

2種類があります。

順番に解説します。

6-1:残業代が未払いであることを示す証拠

残業代が未払いであることを示す証拠は、以下のものです。

【残業代が未払いであることを示す証拠】

  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • 賃金規定
  • 給与明細

6-2:残業時間を示す証拠

残業時間を示す証拠は、あなたの状況によって集められるものが限られると思いますので、以下の中から集められそうなものを探して見てください。

①まず集めておきたい証拠

  1. タイムカード
  2. シフト表
  3. 日報

【ポイント】

日報などは、正確に書いていないことも多いと思います。正確ではない記録が残っていると、交渉になったときに不利になりやすいです。また、タイムカードやシフト表は経営者側が都合良く改ざんしている可能性もあります。

職場で、タイムカードなどの勤怠管理がなされていない場合や、タイムカードなどはあるけれども経営者によって改ざんされているような場合は、以下のような証拠を集めるとよいでしょう。

②証拠になるようなものがない場合でも証拠にできるもの

  1.  手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
  2.  残業時間の計測アプリ
  3.  家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い
  4.  レジのログ
  5. ⑤開店や閉店の時刻

【ポイント】

会社が勤怠管理をしていない場合に証拠として以外におススメなのは①です。毎日手書きで、1分単位で時間を書きましょう。具体的な業務についても書くのがベストです。③のメールは、裁判になると証拠としては弱いので、できるだけ手書きでメモを取りましょう。

また、店に最後まで自分がいるのであれば、レジに使用者のログが残っていますので、レジ締めの時間が証拠になります。

さらに、あなたが店長などの立場の場合、基本的にお客様がいる開店時刻から閉店まで働いている可能性が高いと思いますので、タイムカードなどが全くなくても開店・閉店の時間そのものが証拠になります。  

③証拠になるものがまったくない場合

さらに,証拠がないけれど拘束されていた時間についても,飲食店の従業員の方はあきらめる必要はありません。

例えば,全くタイムカードがなくても,開店時刻より前に来ていた時間や閉店時刻より遅く残っていた場合です。

飲食店ではない業界であれば,やはりタイムカードなどで早く来たこと(早出)や残業が記録されていないと,残業代が認められない可能性はあります。

他方,飲食店勤務の場合,職業柄,お客様の来る開店時刻より前に着て,仕込みをしたり,制服に着替えたりする必要があるのが普通です。

ですので,タイムカードがなかったとしても早出残業についていくぶんか請求できる可能性が他の業界より高いといえます。

また,飲食店の場合,ランチタイムとディナータイムの間に,2~3時間の休憩時間がある場合,会社は「休憩だから労働していない」と言ってくる可能性があります。

この点についても,仮に証拠がなかったとしても,ディナータイムまでに仕込みを終わらせるのが常識なので,休憩時間中の労働も一定程度証明できることがあります。

6-3:証拠集めの注意点 

弁護士
証拠集めは、以下の点に注意して行ってみてください。
 

① できるだけ多くの証拠を集める。

証拠は、できれば2年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でも請求は可能です。できるだけ毎日の記録を集めておくと良いでしょう。

②ウソの内容を書かない

「手書きのメモ」や「日報」など、残業時間を手書きで記録しておく方法もご紹介しましたが、その場合絶対に「ウソ」の内容のことを書いてはいけません。

証拠の中にウソの内容があると、その証拠の信用性が疑われ、裁判官の心証が悪くなり、有効な証拠として認められない可能性があります。

そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、正確に記録していることを示せるようにしておきましょう。

手書きで証拠を記録する場合の注意点


まとめ

いかがでしたか?

最後にもう一度、今回の内容を振り返ります。

【飲食店で残業代がごまかされやすい理由】

  • 営業時間外の業務量が多い
  • 客の入り具合によって業務量が変わる
  • 人手不足になりやすい

【残業代が発生する時間】

1日8時間・週40時間」のどちらか一方を超えた時間

で、かつ、

「使用者の指揮命令下に置かれている」時間

【飲食店で残業代がごまかされる手口】

  • 準備時間・片付け時間はタダ働き
  • 休憩時間も働かせる
  • 店長だから残業代はない
  • 残業時間の端数を切り捨てる
  • 残業は禁止していた・指示していないと主張する
  • 基本給・固定残業代・各種手当に残業代を含んでいる

【残業代を請求する方法】

  • 自分で直接「配達証明付き内容証明郵便」を送る
  • 弁護士に依頼して請求する

店長や経営者からどのようなことを言われていても、法律通りの残業代が出なければ違法ですので、損しないように行動していきましょう。

【参考記事一覧】

「店長」の場合の残業代が出る基準や違法性のポイントについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

店長でも残業代が出る?3つの判断基準と違法性が分かる具体例

みなし残業代制(固定残業代制)の場合の、違法性の判断や残業代が請求できるか判断する基準などについて、詳しくは以下の記事で解説しています。

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自分で会社に「配達証明付内容証明郵便」を送って請求する方法などについて、詳しくは以下の記事で解説しています。

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残業代請求を弁護士に依頼する場合の手続きの流れやポイントについて、詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

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