もう損しない!飲食店でも残業代が出る理由と残業代をもらう2つの方法

監修者

弁護士法人QUEST法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

もう損しない!飲食店でも残業代が出る理由と残業代をもらう2つの方法
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 飲食店で残業代が出ない「サービス残業」が多い理由
  • 飲食店で残業代が出ない6つのケース
  • 飲食店の労働時間と残業代のルール
  • 飲食店に残業代を請求する方法
  • 飲食店の残業代請求で集めるべき証拠

あなたは、

「飲食店では残業代が出ないのが普通なの?」
「休憩時間やタイムカードを切った後も働かされるって本当?」
「店長になると残業代が出ないのは違法では?」

などとお考えではありませんか?

結論から言うと、飲食店であっても他の職種と同じように労働基準法が適用されるため、残業の事実がありながら残業代が支払われない場合は「違法」です。

そのため、支払われなかった残業代は、後から請求して取り返すことも可能です。

飲食店は、店の営業時間外の仕事が多いことや、お客の入りによって業務量が左右されたり、離職率が高く人手不足になりがちなどの理由で、残業代が出ない「サービス残業」を強いられることが多いです。

そこでこの記事では、1章で飲食店で残業代が出ない「サービス残業」が多い理由を、2章では飲食店で残業代が出ない6つのケースを、3章では飲食店の労働時間と残業代のルールついて解説します。

さらに、4章では飲食店に残業代を請求する方法を、5章では飲食店の残業代請求で集めるべき証拠について解説します。

この記事で飲食店の残業代についてしっかり理解して、未払いの残業代がある場合は会社に請求し、あなたが損をしないように行動してください。

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1章:飲食店で残業代が出ない「サービス残業」が多い理由

飲食店で残業しても残業代が出ない、いわゆる「サービス残業」が多い理由として、次の3つがあげられます。

  • 営業時間外の業務が多い
  • 混み具合によって業務量が変わる
  • 人手不足になりやすい 

それぞれ解説していきます。

1-1:営業時間外の業務が多い

飲食店で残業しても残業代が出ない理由の1つは、営業時間外の業務が多いことです。

飲食店で働くあなたにとっては常識かもしれませんが、飲食店では、開店前には、店の掃除から料理の仕込み、材料の搬入や整理など。

閉店後には、食器や調理器具の片付け、店の掃除、会計処理、次の日の仕込みなどがあり、営業時間外にもたくさんの仕事があります。

こうした営業時間外の業務が必要なことは当たり前のことですが、なぜか飲食業界では軽視され労働時間とみなされないケースが多くみられます。

そのため、営業時間外の仕事について、

「タイムカードを打刻する前や打刻後に業務を行う」
「閉店の時刻までしか勤務時間に入らない」

などと決められることも多いようです。

また、個人経営の飲食店などでは、そもそも勤怠管理の仕組み(タイムカードなど)を持っていないこともあります。

出退勤の時間が大雑把にしか記録されず、営業時間外も働いているのに、店の営業時間しか出勤していないことになっている、というケースもあります。

このように、飲食業界では営業時間外の業務が多いにもかかわらず、残業代が出ない「サービス残業」が常態化しています。

1-2:混み具合によって業務量が変わる

客の混み具合や予約状況によって、業務量が大きく変わってくるというのも、飲食店で残業代が出ない「サービス残業」が多い理由の1つです。

例えば、

  • 予想以上に混んだため既定の時間に上がれなかった、休憩できなかった
  • 予想より多くの客が来たため、片付けや掃除に時間がかかった
  • 次の日に大勢の予約が入ったため、遅くまで店に残って仕込み作業を行った

など、経験がある人も多いと思います。

こんなイレギュラーが発生すると、残業しなければ仕事が終わらないため仕方なく残業する雰囲気になり、結果的に「サービス残業」になるケースも多いようです。

このように、客の混み具合や予約状況という予測が難しいことによって、業務量が左右されてしまうことも、残業代が出ない「サービス残業」になりやすい理由です。

1-3:人手不足になりやすい

飲食店では人員の多くをアルバイトで補っていて、しかも他の業界と比べてもそう高くはない時給で雇用していることが多いです。

店舗によっては常に人手が足りておらず、いつも誰かが無理しなければ店が回らない、ということもあります。

そのため、残業代が出なくてもしょうがなく残業する、という状況が生まれやすいのです。

これらの理由から、飲食店では残業代が出ない「サービス残業」が多いのですが、実際には、どんな理由があっても残業代が支払われない場合は違法です。

2章:飲食店で残業代が出ない6つのケース

飲食店で残業しても、実際は残業代が出ない・ごまかされているケースとして、次の6つがあげられます。

  • 準備時間・片付け時間はタダ働き
  • 休憩時間中も業務が入る
  • 店長だから残業代は出ない
  • 残業時間の端数を切り捨てる
  • 残業は禁止していた・指示していないと主張する
  • 基本給・固定残業代・各種手当に残業代を含んでいる

あなたも思い当たるものがないか、注意してチェックしてみてください。

2-1:準備時間・片付け時間はタダ働き

1章でも解説したように、飲食店で非常に多いのが出退勤の管理を曖昧にして、準備や片付けの時間はタダ働きさせるというものです。

しかも働いている従業員は、残業代が出ないことが分かっていても、

「自分が準備しないと店が開けられないから・・・」
「片付けないと次の日の仕事が増えるのは自分だから」

などと思って、無理に残業して仕事を片付けようとすることも多いようです。

しかしこれらの時間も、自主的にやっている仕事でも会社が黙認している場合は、労働時間になる可能性があります。

本来なら準備や片付けの時間は、営業するために行わなければならない業務であるため、営業時間以外の業務も労働時間とみなされるべき時間です。

2-2:休憩時間中も業務が入る

飲食店では、8時間を超える勤務でも休憩時間がわずかしか取れなかったり、完全に仕事から解放されないことが多いです。

例えば、次のようなケースがあげられます。

  • 賄いを食べたらすぐに仕事に戻らなければならない
  • 休憩中でも客が来たら対応しなければならない
  • 休憩中にメニュー開発や試作をしている

しかし、労働基準法では、

  • 6時間を超えて8時間以内の労働:45分の休憩
  • 8時間を超える労働:60分の休憩

を、従業員に取得させることが義務付けられています。

さらに休憩時間は、労働者が休息するために、労働から完全に解放され自由に利用できる必要があります。

また、業務を行っていない時間であっても、お客や電話があった場合はすぐに対応が必要な時間は「手待ち時間」となるため、休憩時間ではなく労働時間としてカウントされます。

2-3:店長だから残業代は出ない

飲食業界では「店長だから残業代は出ない」といったことがよく聞かれますが、ほとんどの場合サービス残業をさせられているだけです。

多くの人が誤解していますが、肩書きが「店長」であることは、残業代が発生しない理由にはなりません。

確かに、労働基準法上、会社の業務内容や採用などに大きな裁量を持っている人を「管理監督者」と呼び、深夜手当を除き、残業代を支払う必要がないとされています。

しかし、労働基準法上の管理監督者とみなされるには、非常に厳しい要素を満たす必要があり、経営者から雇われている、ほとんどの「店長」は、労働基準法上の管理監督者ではありません。

例えば、あなたが店舗の責任者で、アルバイト・従業員の採用権限やシフトの決定権、販促活動の企画・実施の権限などの持っていたとしても、

  • 権限の範囲が自分の店舗に限られる
  • 出退勤の時間が、事実上決められている(営業時間内は常に店舗にいる必要がある、など)

などの場合は、法律上の管理監督者とは言えません。

このように、限られた権限しか与えられていないのに、「店長」「マネージャー」といった名前だけで残業代が支払われていない人のことを「名ばかり管理職」と言うことがあります。

「名ばかり店長」は、残業代をごまかす方法として使われることが多いので注意してください。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

店長でも残業代が出る?3つの判断基準と違法性が分かる具体例

2-4:残業時間の端数を切り捨てる

飲食店では、残業時間の端数を切り捨てて勤怠管理されている店舗が多くあります。

つまり、残業の記録が、10分、30分単位などになっていて、1分単位で記録されていないケースです。

残業代は1分単位で支払う必要があるため、日々の残業時間が1分単位で記録されていなければ誤りとなります。

そのため、あなたの職場で勤怠管理が1分単位になっていない場合は、その分の残業時間をごまかして残業代が少なくなっている可能性があります。

残業時間の端数切り捨ての例外が認められるのは、1ヶ月の残業の合計時間についてのみで、次のように決められています。

【1ヶ月の残業、休日労働、深夜労働の端数】

  • 合計時間のうち30分未満の端数は切り捨て
  • 合計時間のうち30分以上は1時間に切り上げ

あなたの、日々の残業時間の端数が切り捨てられていた場合は、その分の残業代を請求することができます。

2-5:残業は禁止していた・指示していないと主張する

飲食店の経営者が、残業は禁止していた・指示していないと主張した場合でも、

  • 残業を行っているのを黙認する
  • 残業しなければ終わらない量の仕事を指示する

など、明らかに残業を強要するような行動があった場合、店には残業代を支払う義務があります。

例えば、

「別に残業しろなんて指示していない。」
「残業は禁止と言ったはずだ。」
「勝手に残業しても残業代は出さないよ。」

もしあなたが、このように言われていた場合は、店が残業代をごまかしている可能性が高いです。

2-6:基本給・固定残業代・各種手当に残業代を含んでいる

飲食店で残業代が出ない場合に多いのが、「一定の残業時間分の残業代を、最初から給料として払っておく制度」みなし残業代制(固定残業代制)を導入しているケースです。

しかし、みなし残業代制(固定残業代制)で基本給に一定の残業代が含まれていたり、固定残業代や各種手当として残業代が支払われている場合でも、実際の残業時間がみなし残業時間を超えた場合は、超過分の残業代が発生します。

そのため、これらを理由に残業代が支払われていなければ違法です。

詳しくは、以下の記事を参照してください。

みなし残業は違法?【弁護士が解説】7つのチェックポイント

3章:飲食店の労働時間と残業代のルール

飲食店であっても、労働基準法が適用されるため、他の職種と同じように残業代の支払いルールが法律で決められています。

これは、正社員もアルバイトも、同じように適用されます。

では、正しくは、残業代はどのような場合に発生するのでしょうか。

  • 飲食店で労働時間としてカウントされる時間
  • 残業代のルールと計算方法

について、詳しく解説します。 

3-1:飲食店で労働時間にカウントできる時間

1章でも解説したように、多くの飲食店では休憩時間も働かされたり、準備や片付けの時間もサービス残業をさせられたりすることがあるようです。

しかし、たとえタイムカードを打刻していなかったり、その時間の仕事が明確に指示されていたわけではなかったとしても、場合によってはそれが「労働時間」としてカウントされることがあります。

過去の判例から、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」は、労働時間としてカウントできるとされています。

「使用者」とは、簡単に言えばあなたの職場の「店長」「オーナー」などのことです。

その使用者から「この仕事をやってくれ」「この時間は働いてくれ」という指示を受けている時間は、すべて労働時間としてカウントされます。

さらに、会社から明らかに「この仕事を残ってやってくれ」と明確に指示されていなくても、

  • 就業時間内に終わらない量の仕事がある
  • 指示された時間内では完了できない

などのような、仕事上働かざるを得なかった時間は、「労働時間」としてカウントされる可能性が高いです。

そのため、以下の時間も、使用者の指揮命令下に置かれていたのであれば、労働時間としてカウントされます。

  • 準備時間:制服への着替え、開店前の掃除など
  • 後始末時間:閉店後の店の掃除や食器、調理器具の片付け、ゴミ捨てなど
  • 休憩時間:休憩時間でも、まかないを食べたらすぐに働かなければならない、お客様が来たら自分が対応しなければならない場合など
  • 仕込み時間:開店前やランチとディナーの間の仕込み時間

以上をまとめると、

  • 「1日8時間・週40時間」のどちらか一方を超えた時間
  • 使用者の指揮命令下に置かれている時間

の両方を満たす時間は、飲食店でも残業代が発生します。

3-2:残業代のルールと計算方法

残業代とは、「法定労働時間を超えて働いた時間(残業)」に対して支払われる賃金のことです。

法定労働時間とは、法律で定められた「1日8時間・週40時間」の時間のことで、これを超えた労働が「残業」になります。

つまり、以下のどちらか一方でも超えて働いた時間が残業です。 

  • 1日8時間を超えた労働時間
  • 週40時間を超えた労働時間

例えば、10時から22時が営業時間のお店で、開店のため朝の8時に出勤し、途中1時間の休憩を挟んで夜の23時まで働いた場合、8時から「8時間+休憩1時間分=9時間後」の17時までが「法定労働時間」になります。

そのため、17時から23時までの時間は残業時間であり、この時間は残業代が発生します。

さらに、残業代は、普段の賃金に「割増率」をかけたものでなければなりません。

「割増率」とは、「1日8時間、週40時間」を超えた残業時間の時給にかけられるもので、大きく分けると以下の4つがあります。

  • 通常の残業時間:1.25倍
  • 法定休日(週1日は必ず休まなければならない日):1.35倍
  • 通常の深夜残業(22:00〜翌朝5:00):1.5倍
  • 法定休日の深夜残業:1.6倍

例えば、1時間あたりの賃金が1,000円の人は、残業した場合は1時間あたりの賃金が1,250円以上になるのです。

ここまでの解説で、

「自分も正しい金額の残業代がもらえていないかもしれない」

と思った場合は、自分で正しい残業代の金額を計算し、本来ならどのくらいの残業代がもらえるはずなのか把握することをおすすめします。

残業代は、

残業代=基礎時給×割増率×残業時間

という計算式で計算できます。

詳しい計算方法については、以下の記事をご覧ください。

【図解で分かる】残業代の正しい計算3ステップを弁護士が解説

では、実際の金額はどのくらいになるのか、具体例を見て見ましょう。

(例)

  • 月給20万円
  • 一月平均所定労働時間170時間
  • 月の残業時間80時間

の場合

※一月平均所定労働時間とは、会社から決められている1か月の労働時間のことで、170時間前後であることが一般的です。

(20万円÷170時間)×1.25×80時間=11万7,600円(1か月の残業代)

ここで、実際の残業代が20時間分の3万円しか払われていなかったとすると、未払い残業代は1か月に8万7,600円になります。

この残業代を3年分さかのぼって請求すると考えると、

8万7,600円 × 36ヶ月 = 315万3,600円

になります。

未払い残業代として、3年間の合計で315万3,600円を請求することができます。

このように、請求できる残業代の金額は高額になるため、未払いの残業代は後からでもしっかり請求することをおすすめします。

4章:飲食店に残業代を請求する方法

未払いの残業代は、退職後でも店に請求することで、取り返せる可能性が高いです。

残業代の請求方法には、

  • 自分で店に直接請求する方法
  • 弁護士に依頼して請求する方法

の2つがあります。

この2つの方法には、次のようなメリット・デメリットがあります。

残業代請求を自分でやる場合と弁護士に依頼する場合の違い

これから、それぞれの方法を詳しく解説します。

4-1:自分で直接「配達証明付き内容証明郵便」を送って請求する

自分で未払い残業代を請求する方法としては、会社に「配達証明付き内容証明郵便」を送って請求するという方法があります。

内容証明とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる手紙の一種です。

そして、配達証明とは、配達した日付や宛名を証明してくれる郵便の制度です。

【内容証明ひな形】

私は○○年○○月○○日、貴社に入社し、○○年○○月○○日に退社した者です。

私は、○○年○○月○○日から○○年○○月○○日(以下「請求期間」とします。)まで、貴社に対し、合計■時間の時間外労働を提供いたしましたが、貴社からは、一切、割増賃金のお支払いただいておりません。

よって、私は、貴社に対し、請求期間内の未払割増賃金の合計額である★円の支払を請求いたしますので、本書面到達後1週間以内に、以下の口座に振り込む方法によるお支払をお願いいたします。

○○銀行○○支店 

○○預金(普通・定期などの別)

口座番号○○ 

口座名義人○○

なお、本書面到達後1週間を過ぎても貴社から何らご連絡いただけない場合は、やむを得ず訴訟を提起させていただくことをあらかじめ申し添えます。

「配達証明付き内容証明郵便」を送って残業代を請求する流れは、次の4つのステップからなります。

  • 証拠を集める
  • 残業代を計算する
  • 会社に配達証明付き内容証明郵便を送る
  • 自分で会社と交渉する

「配達証明付き内容証明郵便」を送って請求する方法は、必要な手続きの量が多いですので、詳しくは以下の記事を参照してください。

残業代を内容証明で請求!自分で出す方法と適切なタイミングを徹底解説

内容証明を送ると、店との交渉がスタートします。

運が良ければ、内容証明が届いた時点で支払いに応じる会社もあるかもしれません。

しかし、あなたの職場の経営者は、あなたになるべく残業代を払いたくないため、顧問弁護士等を介して減額の交渉をしてくるでしょう。

どの金額で折り合いがつくかは、あなた次第ですが、相手は、法律のプロである弁護士なので本来もらえる額より少ない金額で妥協しなくてはならない可能性が高いです。

また、一人で交渉しても経営者に対してはあまり圧力とならないため、相手にしてもらえず、内容証明を送っても無視されるという可能性もあります。

そんな場合は、次に紹介する「弁護士に依頼する」方法をおすすめします。

4-2:弁護士に依頼して請求する

より確実に残業代を取り返したい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。

なぜなら、残業代の計算や交渉は、専門的な知識が必要なうえに「すでに退職している」「これから準備を始める」という場合は、自分の知識だけでは円滑に手続きを進めることが難しいからです。

実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟(裁判)」になることは少ないです。

ほとんどが交渉労働審判という、訴訟(裁判)よりも簡単な手続きで解決します。

残業代請求に強い「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。

残業代請求を弁護士に依頼した場合の、詳しい手続きの流れや注意点について、以下の記事で詳しく解説しています。

【残業代請求】弁護士選びの8つのポイントと解決までの流れや費用を解説

未払いの残業代の対処方法について、理解することはできましたか?

もしあなたが、まだその飲食店に在籍している場合、集めておくと有利に請求手続きを進めることができる証拠がありますので、これから解説します。

5章:飲食店の残業代請求で集めるべき証拠

残業代請求を成功させるために、最も大事なのが「証拠集め」です。

証拠を取得せずに辞めてしまうと、後から証拠を集めることが非常に困難になりますので、やめる前から集めることがポイントです。

5-1:残業代が未払いであることを示す証拠

残業代が未払いであることを示す証拠は、以下のものです。

【残業代が未払いであることを示す証拠】

  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • 賃金規定
  • 給与明細
  • 実際の残業時間を示す証拠

実際の残業時間を示す証拠は、あなたの状況によって集められるものが限られると思いますので、以下の中から集められそうなものを探して見てください。

【まず集めておきたい証拠】

  • タイムカード
  • シフト表
  • 日報

日報などは、正確に書いていないことも少なくありませんが、正確ではない記録が残っていると、交渉になったときに不利になりやすいです。

また、タイムカードやシフト表は経営者側が都合良く改ざんしている可能性もあります。

職場で、タイムカードなどの勤怠管理がなされていない場合や、タイムカードなどはあるけれども経営者によって改ざんされているような場合は、次のような証拠を集めるとよいでしょう。

【証拠になるようなものがない場合でも証拠にできるもの】

  • 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
  • 残業時間の計測アプリ
  • 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)
  • レジのログ
  • 開店や閉店の時刻

会社が勤怠管理をしていない場合に証拠として以外におすすめなのは①です。

自分で勤務時間を記録する場合は、毎日手書きで、1分単位で時間を書きましょう。

具体的な業務についても、記録しておくことが望ましいです。

③のメールは、裁判になると証拠としては弱いので、できるだけ手書きでメモを取りましょう。

また、店に最後まで自分がいるのであれば、レジに使用者のログが残っていますので、レジ締めの時間が証拠になります。

さらに、あなたが店長などの立場の場合、基本的にお客様がいる開店時刻から閉店まで働いている可能性が高いと思いますので、タイムカードなどが全くなくても開店・閉店の時間そのものが証拠になります。  

【証拠になるものがまったくない場合】
さらに、証拠がないけれど拘束されていた時間についても、飲食店の従業員の方はあきらめる必要はありません。

例えば、全くタイムカードがなくても、開店時刻より前に来ていた時間や閉店時刻より遅く残っていた場合です。

飲食店ではない業界であれば、やはりタイムカードなどで早く来たこと(早出)や残業が記録されていないと、残業代が認められない可能性はあります。

他方、飲食店勤務の場合、職業上お客様の来る開店時刻より前に着て、仕込みをしたり、制服に着替えたりする必要があるのが普通です。

そのため、タイムカードがなかったとしても早出や残業についていくぶんか請求できる可能性が他の業界より高いといえます。

また、飲食店の場合、ランチタイムとディナータイムの間に、2~3時間の休憩時間がある場合、会社は「休憩だから労働していない」と言ってくる可能性があります。

この点についても、仮に証拠がなかったとしても、ディナータイムまでに仕込みを終わらせるのが常識なので、休憩時間中の労働も一定程度証明できることがあります。

5-2:証拠集めの注意点

証拠集めは、以下の点に注意して行ってみてください。

①できるだけ多くの証拠を集める。
証拠は、できれば3年分あることが望ましいですが、なければ一部でもかまいません。

できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。

②ウソの内容を書かない
「手書きのメモ」や「日報」など、残業時間を手書きで記録しておく方法もご紹介しましたが、その場合絶対に「ウソ」の内容を書いてはいけません。

証拠の中にウソの内容があると、その証拠全体の信用性が疑われ、証拠として利用できなくなり、残業していた事実を証明できなくなる可能性があります。

そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、曖昧さが指摘されないようにしておきましょう。 

まとめ:飲食店の残業代

最後にもう一度、今回の内容を振り返ります。

飲食店で残業しても残業代が出ない、いわゆる「サービス残業」が多い理由

  • 営業時間外の業務が多い
  • 混み具合によって業務量が変わる
  • 人手不足になりやすい 

飲食店で残業しても、実際は残業代が出ない・ごまかされているケース

  • 準備時間・片付け時間はタダ働き
  • 休憩時間中も業務が入る
  • 店長だから残業代は出ない
  • 残業時間の端数を切り捨てる
  • 残業は禁止していた・指示していないと主張する
  • 基本給・固定残業代・各種手当に残業代を含んでいる

残業代が発生する時間

  • 「1日8時間・週40時間」のどちらか一方を超えた時間
  • 使用者の指揮命令下に置かれている時間

残業代を請求する方法

  • 自分で直接「配達証明付き内容証明郵便」を送る
  • 弁護士に依頼して請求する

店長や経営者からどのようなことを言われていても、法律通りの残業代が出なければ違法ですので、損しないように行動していきましょう。

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