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5分で分かる!正しい残業代の計算方法と実は残業になる8つの時間

QUEST法律事務所

代表弁護士住川 佳祐

残業代を計算する男性

あなたは、

私の残業代って本当にこれだけなのかな?

と思ったことはありませんか?

残業代の計算を会社任せにしていると、気付かないうちに、会社から残業代をごまかされている可能性があります。

経営者
ほとんどの社員は、残業代の計算方法を知らないようだ。だったら気付かれないように残業代を減らしてもバレねえな。

頑張って働いた分の残業代を、会社からごまかされていたら悔しいですよね。

しかし、適正な残業代が会社から払われていなければ「違法」であり、未払いの残業代は、会社に請求して取り返すことができます。

そこで、この記事では、まずは自分の「本当の残業代」を把握するための残業代の計算方法を解説します。そして、次にどのように行動をおこせば良いのか、具体的な行動の手続きや流れについて解説します。

最後までしっかり読んで、絶対に損しないための知識を身につけてください。


1章:簡単にできる!ステップ別残業代の計算方法

それでは、さっそく残業代の計算方法について、

  • 基本的な計算方法
  • 変則的な雇用形態で働いている場合(変形労働時間制など)

に分けて解説します。

まずは基本的な計算方法から解説します。

11:基本的な計算方法

残業代は、以下の簡単な計算式で計算することができます。

残業代の計算式

計算式は簡単ですが、正確に残業代を計算するためには、以下のステップで計算する必要があります。

残業手当(残業代)計算のステップ

それでは、順番に解説していきます。

1111時間あたりの賃金(基礎時給)を求めよう

 まずは、1時間あたりの賃金(基礎時給)の計算方法から説明します。

残業代の計算式(基礎時給)

基礎時給とは、1時間当たりの賃金のことで、時給制で働いている場合は、そのまま自分に適用されている時給のことです。

基礎時給の計算は、月給や日給、歩合給などでそれぞれ異なります。

①月給制

月給制の場合は、以下の計算式で計算することができます。

基礎時給の計算式

ここでの「月給」には、自分の基本給だけではなく、以下の手当を含めることができます。

基礎時給に入れられる手当・入れられない手当

一月所定労働時間」とは、あなたの雇用契約で定められている1ヶ月あたりの平均労働時間のことで、一般的に170時間前後であることが多いです。

たとえば、基本給が20万円、基礎時給の計算に含めることができる手当が3万円あり、一月平均所定労働時間が170時間である場合は、

(基本給20万円+手当3万円)÷170時間=約1353

と計算することができます。

②時給

時給制の場合は、単にあなたの時給が、基礎時給となります。

③日給

日給制の場合は、あなたの日給の額を、あなたの一日の所定労働時間を割った額が基礎時給となります。

例えば、あなたの日給が12000円で、かつ、18時間労働が義務付けられているのであれば、あなたの基礎時給は、

基礎時給=12000円÷8時間=1500

となります。

④年俸制

年俸制とは、年単位で賃金の金額を決める制度のことです。

年俸制の場合、残業代の計算式における基礎時給の計算」のみが異なります。

残業代の計算式(基礎時給)

年俸制の場合は、まずは年俸の金額を12で割り、その金額を一月平均所定労働時間で割って、基礎時給を計算します。

なお、ボーナスの額も含めて年俸額が決まっている場合は、年俸の金額からボーナスを引く必要がありません。

年俸制の場合の基礎時給の計算

この基礎時給に、通常通り割増率や残業時間をかけることで、残業代を計算することができます。

年俸制について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

誰でも5分でわかる「年俸制とは?」と不当な低賃金への対処法

⑤歩合制

歩合制の場合の基礎時給の計算方法は少し特殊です。

歩合制の場合、

歩合給で算定される賃金の総額を総労働時間数で割ったものが基礎時給となります。

歩合給制の基礎時給の計算式

総労働時間数というのは、所定労働時間と残業時間の合計です。

例えば、1か月ごとに歩合給の額を算定している場合、所定労働時間が170時間で、残業時間が30時間だとしましょう。

その場合、総労働時間数は、

170+30200時間ということになります。

歩合給の額が、20万円であれば基礎時給は、

基礎時給=歩合給÷総労働時間数

    =20万円÷200時間

    =1000

となります。

歩合給については、以下の記事を参考にしてください。

歩合給制とは?誰でも5分でわかる正しい意味と不当な低賃金への対処法

基礎時給について理解できたら、次に基礎時給にかける「割増率」について把握しましょう。 

112:「割増率」は残業した時間によって異なる

残業代の計算式(割増率)

それでは、割増率について解説します。割増率とは、1時間当たりの賃金(基礎時給)に対してかける割合のことで、月給制の場合、以下の種類があります。

割増率一覧

原則的に、「1日8時間・週40時間」を超えた時間働いた場合、その時間の基礎時給に「1.25倍」の割増率をかけた残業代がもらえます。

また、通常の残業時間とは別に、深夜残業の時間についても把握しておく必要があります。

【深夜労働の時間】

深夜労働とは、深夜(22時〜翌朝5時)の時間帯に働いた時間のことです。深夜労働は、通常の残業とは適用される割増率が異なりますので、注意してください。

深夜労働をした場合の割増率

また、通常の残業と法定休日の労働も、適用される割増率が異なるため、区別して考えなければなりません。

【法定休日の労働】

法律上、労働者は週1日以上の休日(法定休日)を取得できる権利があります。
そのため、その週に7日働いた場合は、7日目が法定休日になります。

社員
うちの会社では土日が休みだけれど、土日に出勤したらどっちも法定休日出勤になるのかな?
弁護士
法定休日はあくまで「週1日」ですので、日曜から土曜まで働いた場合、その週の7連勤目である土曜日のみ「法定休日」になります。
 

たとえば、基礎時給が1000円の場合は、

  • 通常の残業:1250
  • 深夜残業:1500
  • 法定休日労働:1350
  • 法定休日における深夜労働:1600

が、1時間あたりの残業代として支払われるということです。

なお、歩合給の場合に限り、割増率が異なります。

1.25倍ではなく0.25倍となることに注意が必要です。

この点については、詳しくは、以下の記事をご参考ください。

歩合給制とは?誰でも5分でわかる正しい意味と不当な低賃金への対処法

社員
残業時間って、正確にはどの時間のことなんだろう?
弁護士
それらの時間について、これから詳しく解説します。
 

113:残業時間を正しくカウントしよう

残業代の計算式(残業時間)

残業時間とは、以下のように「法定労働時間」を超えて働いた時間のことです。

  • 1日8時間を超えて働いた時間
  • 週40時間を超えて働いた時間

残業時間には1.25倍の割増率がかけられる

さらに、ブラック企業はごまかそうとしますが、以下の8つの時間も残業時間としてカウントすることができることがあります。つまり、これらの時間も残業代計算に含められる可能性があります。

【ごまかされやすい8つの時間】

  1. 準備時間:制服、作業服、防護服などに着替える時間、始業前の朝礼・体操の時間など
  2. 後始末時間:着替え、掃除、清身
  3. 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
  4. 仕込み時間:開店前の準備やランチとディナーの間の仕込み時間
  5. 待機時間:トラックの荷待ちの時間
  6. 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
  7. 研修:会社からの指示で参加した研修
  8. 自宅の作業:仕事が終わらず自宅に持ち帰って仕事した時間

社員
じゃあ、自分が勝手に会社に残って働いた時間も残業時間にできるっていうこと?
弁護士
そうではありません。働いた時間としてカウントできるのは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」である必要があります。簡単に言うと、上司などから明らかに「この作業をやりなさい」と指示されていた場合や、明確な指示は無かったものの、納期に間に合わないために、どうしても残業しなければなかった場合などの時間のことです。
 

残業の定義上記の「8つの時間」について、残業時間にカウントするためには証拠が必要です。必要な証拠については、第3章で詳しく解説します。

さて、残業時間を正しくカウントする方法について、理解できたでしょうか?

弁護士
まとめると、
・「1日8時間・週40時間」を超えて働いた時間が残業時間
・週に7日働いた場合、7日目が法定休日
であり、割増賃金は下記の倍率に応じて会社が支払う義務があるということです。
・通常の残業:1.25倍
・深夜残業:1.5倍
・法定休日労働:1.35倍
・法定休日の深夜労働:1.6倍
※割増率は中業企業の場合
 それでは、具体例を紹介しますので、一緒に計算してみましょう。

114:残業代計算のシミュレーションをしよう

以下の例でシミュレーションしてみます。

(例)飲食店勤務のAさん

  • 月給23万円(手当込み)
  • 1ヶ月の残業時間100時間(深夜残業なし)
  • 法定休日の出勤:8時間×2日)
  • 一月平均所定労働時間170時間

まずは基礎時給を計算すると、

月給23万円÷170時間=約1353

Aさんは100時間の残業16時間分の休日労働をしているため、

通常の残業:基礎時給1353円×割増率1.25倍×100時間=169125

休日労働分:基礎時給1353円×割増率1.35倍×16時間=約29225

で、1ヶ月の残業代は、

16万9152円+29225円=198350

と、合計19万8350円になることが分かります。仮に、同じ残業・休日出勤をすっと続けているとすると、残業代は2年前の分までさかのぼって請求することができるため、

19万8350円×24ヶ月=476万400円

となります。これほどの多額の残業代を請求することができるのです。

ここまで、基本的な計算方法について解説しましたが、理解できたでしょうか?

次に、これを踏まえて「変形労働時間制・裁量労働制」などの変則的な雇用形態を採用されているケースについて、解説します。

変則的なケース以外の人は、「2章:残業代請求の「自分でやる」と「弁護士に依頼」の2つの方法」に飛んでください。

12:みなし残業制・変形労働時間制などの場合の計算方法

最近、固定残業代制(みなし残業代制)を採用する会社が増えてきました。

固定残業代制(みなし残業代制)は違法であることのほうが多いのですが、仮にもし固定残業代制(みなし残業代制)が認められてしまうと、固定残業代の分を引いた残業代の計算をしなければなりません。

また、変則的な雇用形態を採用する会社も増えており、その場合が計算方法が特殊です。

一般的に採用されている変則的な雇用形態としては、

  • 裁量労働制
  • 変形労働時間制

などがあります。

これらの制度で働いている場合は、通常の残業代計算の方法とは計算方法が少し異なります。これから、これらの制度での残業代計算の正しい方法についてお伝えします。

121:固定残業代制(みなし残業代制)が認められる場合の残業代計算

固定残業代制(みなし残業代制)の場合、残業代の計算式で異なるのは、最後に固定残業代分を差し引くという点のみです。

固定残業代制の計算式

固定残業代制(みなし残業代制)とは、毎月の決められた時間の残業に対して、定額の固定残業代を支払う制度のことです。たとえば、毎月30時間のみなし残業に対して、5万円の固定残業代を払うイメージです。

固定残業代(みなし残業代)の払われるイメージ

固定残業代制(みなし残業代制)では、実際に働いた時間がみなし労働時間を下回っても、決められた固定残業代が払われなければ違法です。また、実際に働いた時間がみなし労働時間を超えた場合は、その超えた時間分の残業代が払われなければ違法です。

そのため、固定残業代制(みなし残業代制)の残業代計算では、これまで通りの計算をした後に、その金額から固定残業代分を差し引くことで、「本来もらえるはずの残業代」を計算することができます。

固定残業代制(みなし残業代制)の残業代計算の方法について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

あなたも違法?正しい固定残業代の計算方法と残業代を取り返す2つの手段

弁護士
また、固定残業代制(みなし残業代制)はブラック企業によって悪用されることがとても多いです。そのため、多くの固定残業代制(みなし残業代制)で残業代が払われている人は、残業代を全額もらえていない可能性が高いです。違法性があり、固定残業代が認められなかった場合、下記のように請求額が大きくアップする可能性もあります。
 

固定残業代が認められたケース

固定残業代が認められなかったケース

122:裁量労働制の残業代計算

裁量労働制の場合は、残業代の計算式における「残業時間」のカウント方法のみが異なります。

裁量労働制とは、実際に働いた時間に関係なく、決められた時間働いたと「みなす」制度のことです。たとえば、1日のみなし労働時間を8時間と決めていた場合、4時間働いた日も、12時間働いた日も「8時間働いた」とみなされることになります。

裁量労働制の場合のみなし労働時間

ただし、裁量労働制でも残業代が発生するケースもあります。それは、みなし労働時間が最初から法定労働時間を超えて設定されている場合です。たとえば、1日のみなし労働時間が「9時間」に設定されていたら、8時間を超える1時間分には、割増賃金が払われなければなりません。また、深夜の労働や休日の労働に関しても、割増賃金がもらえる権利があります。

また、そもそも裁量労働制が違法に適用されているケースがあります。そのような場合は、18時間・週40時間を超えるすべての時間を残業時間にカウントできる可能性があります。

裁量労働制について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

【裁量労働制とは?】弁護士が解説する本当の意味と残業代のカラクリ

123:変形労働時間制の残業代計算

変形労働時間制の場合、残業代の計算方法が異なるのは、残業時間のカウント方法のみで、それ以外はここまで解説した通りの計算方法で計算できます。

残業代の計算式(残業時間)

変形労働時間制とは、一定の期間を設定し、その期間内の特定の日や週について、法定労働時間を超える所定労働時間を設定することができる制度です。

たとえば、特定の期間(例えば1か月)の平均所定労働時間が40時間の範囲内となるのであれば、特定の日において一日8時間を超えたり、特定の週において一日40時間を超えて残業させることが可能になる制度です。例えば、4月の他の週の残業時間をトータル5時間減らせば、4月の1週目の1週間の所定労働時間を45時間にすることができます。通常は「週40時間」を超えて働いた時間は、残業代が払われなければなりませんが、変形労働時間制が正しく適用されていた場合、残業代は発生しません。

変形労働時間制の場合の残業

上の図の場合は、この週の木曜日と金曜日は、1日の労働時間が10時間30分を超えた時間(上図だと2130分)から残業時間となります。その部分は、残業代(割増賃金)がもらえなければなりません。

変形労働時間制について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

変形労働時間制とは?誤解されがちな意味と企業が悪用している時の対処法

弁護士
変則的なケースの残業時間の計算について、注意しなければならない点があります。それは、これらの制度は正しく適用されていることが少なく、ブラック企業が残業代をごまかす手段として悪用していることが多いということです。

そのため、残業代を計算する前に、これらの制度が正しく適用される要件を満たしているか判断する必要があります。要件を満たしていない場合、これらの制度は無効であり、原則通り、18時間・週40時間を超える時間が残業時間となります。判断が難しければ、弁護士に相談することをオススメします。

 変則的な雇用形態の場合の残業代計算の方法について、理解できたでしょうか?

「会社から払われている残業代が、計算結果より少なくなった!」

という場合は、これから紹介する残業代請求の方法についてしっかり読んで、残業請求の行動に活用してください。


2章:残業代請求の「自分でやる」と「弁護士に依頼」の2つの方法

それでは、これから残業代を請求するための方法について解説します。

会社から残業代を取り返すための方法には、

  • 自分で請求する方法
  • 弁護士に依頼する方法

という2つがあります。

自分で請求する場合と、弁護士に依頼して請求する場合とでは、下記のように流れが異なります。

残業代請求を自分でやる流れ・弁護士に依頼する流れ

自分で請求する方法」と「弁護士に依頼する方法」のメリット・デメリットをまとめると、以下の図のようになります。

結論を言うと、自分で請求する方法では手間・時間・精神的負担が大きいわりに、取り返すことができる金額が少なくなりがちです。

そのため、残業代請求専門の弁護士に相談することをおすすめします。

残業代請求を自分でやる場合と弁護士に依頼する場合の違い

それでは、これから残業代請求の2つの方法について、詳しく解説します。

21:自分で残業代を請求する方法はこの2つ!

弁護士
自分で請求するには『内容証明を送る』方法と『労働基準監督署に相談する』方法の2種類があります
 それぞれの方法の流れについて、詳しく解説します。

【自分で会社に内容証明を送って直接請求する】

自分で会社に残業代を請求するためには、会社に「配達証明付き内容証明郵便」で、請求書を送る必要があります。

弁護士
内容証明とは、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、日本郵便が証明してくれる手紙の一種です。また、配達証明とは、届けた日付を証明してくれる仕組みのことです。
 

<内容証明テンプレート>

私は○○年○○月○○日,貴社に入社し,○○年○○月○○日に退社した者です

私は,平成○○年○○月○○日から平成○○年○○月○○日(以下「請求期間」とします。)まで,貴社に対し,合計■時間の時間外労働を提供いたしましたが,貴社からは,一切,割増賃金のお支払いただいておりません。

よって,私は,貴社に対し,請求期間内の未払割増賃金の合計額である★円の支払を請求いたしますので,本書面到達後1週間以内に,以下の口座に振り込む方法によるお支払をお願いいたします。

○○銀行○○支店 

○○預金(普通・定期などの別) 

口座番号○○ 

口座名義人○○

なお,本書面到達後を1週間を過ぎても貴社から何らご連絡いただけない場合は,やむを得ず労働基準監督署への申告,訴訟の手段をとらせていただくことをあらかじめ申し添えます。

内容証明で請求書などを送ることで、会社は「届いてない」と言い張っても、郵便局が届いたことを証明してくれます。これが内容証明です。 

ただし、自分で会社に内容証明を送って残業代を請求しても、会社側にも顧問弁護士が付いていて、うまく丸め込まれてしまう可能性が高いです。つまり、あなたが残業代を請求しても、1円も取り戻せないかもしれないのです。

そこで、もう1つの自分でできる手段として、労働基準監督署に申告するという手段があります。

【労働基準監督署に申告する】

弁護士
「労働基準監督署」とは、厚生労働省の出先機関で、労働基準法に基づいて会社を監督するところです。給料の未払いは労働基準法違反のため、労働基準法に相談することで解決にいたる可能性もあります。
 労働基準監督署への申告は、以下のような流れで可能です。

労働基準監督署に相談したときの流れ

弁護士

このような流れで労働基準監督署に申告することができるのですが、この方法は「残業代を請求したい場合」は、あまりおすすめではありません。

なぜなら、労働基準監督署は、労働基準法に違反している会社の行為を「正す」機関であり、残業代を取り返してくれる機関ではないからです。

 また、労働基準監督署は、労働者からのすべての申告で動くわけではありません。それは、全国には400万を超える法人があるにもかかわらず、日本の労働基準監督署の人員は、非常勤の職員を含めても約2400人しかおらず、明らかに人員不足だからです。そのため、過労死や労働災害などの「人命に関わる問題」が優先して処理されるため、「残業代の未払い」では、動いてもらえない可能性が高いのです。

そこで、残業代を取り返す場合には、最初から弁護士に依頼することをオススメします。

2-2:より多く取り戻すには弁護士がオススメ

 

弁護士
残業代をより高額かつ確実に取り返すためには、弁護士に依頼することが最善です。なぜなら、残業代の計算や交渉は、専門的な知識が必要なため、1人で戦っては会社側の弁護士に負けてしまうからです。
 弁護士に依頼した場合、

  • 交渉
  • 労働審判
  • 訴訟(裁判)

という手段によって、残業代請求の手続きが進められます。

弁護士に依頼した場合の流れ

弁護士
実は、弁護士に依頼すると言っても「訴訟」になることは少ないです。おそらくあなたが心配しているであろう「費用」の面でも、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
 弁護士に依頼すると、あなたの「会社と戦う」という心理的負担を、弁護士が肩代わりしてくれるだけでなく、時間・手間を節約することもできるのです。さらに、「完全成功報酬制」の弁護士に依頼することで、初期費用もほぼゼロにできるのです。
弁護士
ただし、弁護士に依頼する場合は「弁護士なら誰でもいいだろう」とは考えないでください。実は、法律の知識は広い範囲に及ぶため、自分の専門分野以外の件については、あまり知識がない弁護士が多いです。そのため、残業代請求に強い弁護士に依頼することをお勧めします。
 残業代請求に強い弁護士の選び方や、相談の流れ・かかる費用などについて、詳しくは以下の記事に書いていますので、ご覧になってください。

失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用

残業代請求の手続きの方法・流れについて、理解できたでしょうか?

こうした請求の手続きを進める前にやっておいてほしいのが、「証拠集め」です。必要な証拠と、集める上での注意点についてお伝えします。


3章:残業代請求のために集めるべき証拠一覧

弁護士
残業代を請求する最初のステップとして、自分で証拠集めを始めることをオススメします。
残業代請求でもっとも大事なのが「証拠集め」です。証拠集めは弁護士に依頼し、弁護士から会社に証拠提出を要求してもらうこともできます。しかし、悪質な会社は、証拠を提出しないケースがあります。

そのため、可能ならば、会社に在籍しているうちに、自分で証拠を集めておくことがより確実なのです。

残業代の証拠として有効なものを、勤怠管理をしている会社としていない会社に分けてご紹介します。

【勤怠管理している会社で有効な証拠】

  1. タイムカード
  2. 会社のパソコンの利用履歴
  3. 業務日報
  4. 運転日報
  5. メール・FAXの送信記録
  6. シフト表

これらの証拠を集めることができなくても、諦める必要がありません。以下のように「手書き」のものなども証拠になるのです。

【勤怠管理していない会社で有効な証拠】

  1. 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もオススメ)
  2. 残業時間の計測アプリ
  3. 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)

①のように、本人の筆跡が確認できる「手書き」のものが、もっとも証拠としての有効性を認められる可能性が高いです。③の家族へのメールなどは、証拠として認められる可能性が低いため、できるだけ手書きで記録を残すようにしてください。

証拠は、できれば2年分集めることが望ましいですが、難しければ半月分でもかまいません。できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。

弁護士
手書きの証拠を集めるときに注意しなければならないのは「ウソ」を絶対に書かないことです。ウソの内容が発覚すれば、証拠の信用性が疑われてその証拠が認められなくなってしまうからです。そのため、証拠はたとえば「2030分」ではなく「2027分」のように、できるだけ正確に記録するようにしましょう。
 集めるべき証拠について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

【保存版】知らないと損する?残業代請求する為に揃えておくべき証拠


4章:残業代請求には2年の時効がある!行動は早めに

もう一点注意してもらいたいのが、残業代請求には2年という消滅時効があるということです。時効を過ぎると、どんなブラック企業が相手だったとしても、残業代は二度と取り返すことができなくなります。

そのため、未払いの残業代を取り返したい場合は、すぐに行動を始める必要があるのです。

残業代請求の時効について、詳しくは以下の記事を参照してください。

残業代請求の時効は2年!時効を止める3つの手段と具体的な手続きの流れ


まとめ

いかがだったでしょうか?

最後にもう一度、今回の内容を振り返りましょう。

まず、残業代は以下の計算式で計算することができます。

残業代の計算式

基礎時給は、

基礎時給の計算式

で計算でき、

割増率には、以下のものがあります。

割増率一覧

また、残業時間とは「1日8時間・週40時間」を超えた労働のことで、以下の8つ時間も入れることができます。

【ごまかされやすい8つの時間】

  1. 準備時間:制服、作業服、防護服などに着替える時間、始業前の朝礼・体操の時間など
  2. 後始末時間:着替え、掃除、清身
  3. 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
  4. 仕込み時間:開店前の準備やランチとディナーの間の仕込み時間
  5. 待機時間:トラックの荷待ちの時間
  6. 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
  7. 研修:会社からの指示で参加した研修
  8. 自宅の作業:仕事が終わらず自宅に持ち帰って仕事した時間

これらの計算の結果、未払いの残業代があることが分かれば、

  • 自分で会社に直接内容証明を送る
  • 労働基準監督署に申告する
  • 弁護士に依頼する

という手段を取ることで、残業代を請求することができます。

残業代請求には2年の時効がありますので、未払いの残業代があるなら、すぐに行動を開始しましょう。

【参考記事一覧】

誰でも5分でわかる「年俸制とは?」と不当な低賃金への対処法

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  • これから退職予定で、未払い残業代を請求したい
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会社がおかしい・不当ではないかと感じたら1人で悩まずに、労働問題専門の弁護士に相談することをおすすめします。残業代の時効は2年なので、時効になる前に早めに行動することが大切です。

QUEST法律事務所へのご相談は無料です。当事務所では、電話・メール・郵送のみで残業代請求できます。ですので、全国どちらにお住まいの方でも対応可能です。お1人で悩まずに、まずは以下よりお気軽にご相談ください。

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