- 更新日:2024.09.13
- #残業代請求負ける
【保存版】残業代請求に負ける5ケースと負ける可能性を激減させる方法
この記事を読んで理解できること
- 残業代請求に負ける可能性がある5つのケース
- 残業代請求に負けないための2つのポイント
- 残業代請求に負けるとどうなる?ありがちな悩みに弁護士が回答
あなたは、以下のような悩み・疑問はありませんか?
「残業代請求をしたいけれど、負ける可能性ってあるのかな?」
「残業代を請求して、負けた場合はどうなるんだろう?」
「残業代請求で負けてしまうのはどんな場合?」
確かに、残業代を請求すると会社と争うことになるため、もし負けたらと思うと請求すべきかどうか悩んでしまいますよね。
しかし、私のこれまでの経験上、未払い残業代があるのに、残業代請求に負けてしまうケースは非常に稀です。
なぜなら、残業代を未払いにすることは違法であり、会社側が悪いのは第三者から見ても明らかだからです。
それでも負けてしまう可能性はゼロではありませんが、「負ける可能性を最小限にできる方法」があります。
この方法を知っているかどうかで、あなたの残業代請求の成功確率は大きく変わるでしょう。
そこでこの記事では、まずは残業代請求に負ける可能性があるケースについて紹介し、それから負ける可能性を最小限にできる2つのポイントを解説します。
さらに、万が一負けた場合にはどんなことが起こるのか、心配されがちなことにお答えします。
最後までしっかり読んで、1円でも多く取り返せるように行動をはじめましょう。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■残業代請求に負ける可能性があるケース
- 自分ですべての手続きをやろうとする
- 残業代請求を苦手とする弁護士に依頼する
- 請求額があまりにも少ない
- 証拠が一切無い
- 時効が過ぎている
■残業代請求に負けないためのポイント
- 有効な証拠を集める
- 残業代請求に強い弁護士に依頼する
■残業代請求に負けた場合についてのありがちな悩み
- 弁護士費用の負担で損をする
→完全成功報酬制の弁護士なら、万が一負けても費用の負担はほとんどない - 会社側にお金を支払わなければならない
→会社の弁護士費用を負担する必要はないし、損害賠償請求される可能性はほぼない。 - 会社から嫌がらせされる
→ほとんどないが、万が一にそなえて会社にばれないように手続きを行うことができる。 - 転職先の会社に残業代請求されたことがバラされる
→会社にとってもリスクがある行為であるため、バラされる可能性は低い。
1章:残業代請求に負ける可能性がある5つのケース
繰り返しになりますが、残業代未払いの事実があれば「違法」ですので、残業代請求に負ける可能性は、基本的にありません。
ただし、以下のようなケースでは、負けてしまう可能性もあります。
あなたも、これらのケースに当てはまらないか、まずはチェックしてみてください。
【残業代請求に負ける可能性があるケース】
- 自分ですべての手続きをやろうとする
- 残業代請求を苦手とする弁護士に依頼する
- 請求額があまりにも少ない
- 証拠が一切無い
- 時効が過ぎている
それでは、順番に解説します。
それより先に、負ける可能性を最小限にするポイントが知りたい場合は、2章からお読みください。
1-1:自分ですべての手続きをやろうとする
残業代請求の手続きをすべて自分でやろうとすると、残業代請求に負けてしまう可能性があります。
なぜなら、残業代を請求するためには、
- 有効な証拠の収集
- 各書類の作成
- 残業代の請求金額の計算
- 会社との交渉
- 労働審判(※)の手続き
- 裁判(訴訟)の手続き
など、専門知識や経験がなければ難しい手続きが多いからです。
もし、自分で全ての手続きをやろうとすると、
- 会社に対して有利に交渉を進められない
- 本当は証拠にできるものを見逃してしまう
- 残業代の請求額の計算を間違って、少なく計算してしまう
という可能性があり、負けてしまう可能性があるのです。
※労働審判とは、会社との間のトラブルを解決するための、裁判(訴訟)よりも簡単な、裁判所で行う手続きのことです。
1-2:残業代請求を苦手とする弁護士に依頼する
残業代請求を苦手とする弁護士に、請求手続きを依頼してしまった場合も、負けてしまう可能性が高いです。
あなたは、
「弁護士なのだから、誰でも同じなのでは?」
と思うかもしれませんが、実は医者に「内科」「耳鼻科」などの専門があるように、弁護士にも「不倫慰謝料」「残業代請求」などの専門があるのです。
そして、弁護士も自分が積極的に取り組んでいる分野以外に関しては、苦手なことも多いのです。
残業代請求を苦手とする弁護士に依頼すると、
- 本来なら取り返せたはずの金額より、ずっと少ない金額しか回収できない
- 残業代請求に失敗して、1円も取り返せない
ということもあり得ます。
つまり、請求に負ける可能性があるのです。
1-3:請求額があまりにも少ない
残業代の請求金額があまりにも少ない場合も、残業代請求に失敗する可能性があります。
たとえば、請求額が数千円〜数万円単位なら、自分で請求しても会社から、
「もう支払っている」
「残業の事実はなかった」
と言われて、ごまかされてしまうこともあります。
弁護士等の専門家に依頼しても、少額すぎると断れてしまう可能性が高いです。
ただし、正しい知識を持って自分で手続きを行えば、必ずしも負けてしまうとは限りません。
詳しい方法は、以下の記事をご覧ください。
自分で残業代を請求する3つの方法と専門弁護士が教える請求額を増やすコツ
1-4:証拠が一切無い
残業代を請求するためには、「労働条件」「残業の事実があったこと」を証明できなければなりません。
なぜなら、証拠がなければ、会社から「未払い残業代はない」と言われても、反論することができないからです。
さらに、残業代を請求するためには、労働基準監督署や弁護士等の外部の専門家に頼らなければならないことが多いですが、その場合は、自分の未払い残業代を、第三者に証明する必要があります。
証明するためには証拠が必要です。証拠がなければ、外部の専門家は、どれだけあなたを助けたくても、助けることができないのです。
そのため、未払い残業代の証拠が一切なければ、残業代請求に負ける可能性が高いのです。
ただし、実は意外なものも証拠にできることはあまり知られていません。
詳しい証拠の内容や集め方は、2-1で紹介します。
1-5:時効が過ぎている
あまり知られていませんが、残業代請求には、「3年」の時効があります。
時効の基準になるのは毎月の給料日(または給料日だった日)で、毎月の給料日が過ぎる度に、3年前の1ヶ月分の未払い残業代が消滅していきます。
【給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合】
たとえば、給料の支払日が「15日締め・翌月末払い」の場合、2020年2月16日から3月15日までの給料は、2020年4月30日に支払われます。そのため、2020年3月15日締めの給料は、2023年の4月30日経過時に時効を迎えます。
そこで、2020年3月15日締めの給料の時効を止めるためには、2023年の4月末までに「時効を止める」手続きを行う必要があります。
そのため、もしあなたが退職から3年以上経過している場合は、すでにすべての時効が経過しています。
そのため、会社側が時効の知識を把握している場合、請求しても負ける可能性が高いです。
2章:残業代請求に負けないための2つのポイント
残業代請求は、これから紹介する2つのポイントを押さえて手続きすることで、負ける可能性を最小限にすることができます。
ポイントは、以下の2つです。
- 有効な証拠を集める
- 残業代請求に強い弁護士に依頼する
それでは、これから詳しく解説します。
2-1:有効な証拠を集める
1章でもお伝えしたように、残業代請求に負けないためには、証拠を集めることが大事です。
証拠には、
- 労働条件を示す証拠
- 残業時間を示す証拠
の2つがあり、その両方を集める必要があります。
2-1-1:労働条件を示す証拠
労働条件を示す証拠には、以下のものがあります。
- 雇用契約書
- 就業規則
- シフト表
- 給与明細
これらを証拠として残しておくことで、あなたが本来どのような契約で雇用されているのか、残業した場合にいくらの残業代が発生するのか証明することができます。
2-1-2:残業時間を示す証拠
残業時間を示す証拠には、以下のようなものがあります。
《集めやすい証拠》
- タイムカード
- シフト表
- 業務日報(上司のサインや印鑑などがあれば、より強い証拠になる)
【ポイント】
日報などは、正確に書いていないことも多いと思います。正確ではない記録が残っていると、交渉になったときに不利になる可能性あります。また、タイムカードやシフト表は会社側が都合良く改ざんしている可能性もあります。
このように、以上の証拠の正確性が期待できない場合は、以下に示す証拠を使うこともできます。
《証拠になり得るもの》
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
- 会社のパソコンの利用履歴
- メール・FAXの送信記録
- セキュリティカード
- PASMOなどのICカード
- 会社内の時計の写真
【ポイント】
証拠として一番良いのは①です。毎日手書きで、1分単位で時間を書きましょう。具体的な業務についても書くのがベストです。③のメールは、裁判になると証拠としては弱いので、できるだけ手書きでメモを取りましょう。
《証拠集めの注意点》
①毎日の残業時間が分かるように集める
証拠は、できれば3年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でもかまいません。できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
②ウソの内容を書かない
「手書きのメモ」や「日報」など、残業時間を手書きで記録しておく方法もご紹介しましたが、その場合絶対に「ウソ」の内容のことを書いてはいけません。
証拠の中にウソの内容があると、その証拠の信用性が疑われ、裁判官の心証が悪くなり、有効な証拠として認められない可能性があります。
そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、正確に記録していることをアピールできるようにしておきましょう。
証拠集めのポイントについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
【弁護士が解説】残業代をアップさせる証拠一覧と集め方マニュアル
2-2:残業代請求に強い弁護士に依頼する
残業代請求に負けないためのもう一つのポイントは、残業代請求に強い弁護士に依頼するということです。
しかし、法律事務所の中には「残業代請求に強い」と言いつつ、実は実績が少ない事務所もあります。
そのため、弁護士選びは、以下の点に注意してください。
【選ぶべき弁護士の特徴】
- HPに「残業代請求に強い」と記載されている
- HPに「過去の請求額実績」が掲載されている
- 相談料無料、着手金ゼロ、完全成功報酬の仕組みを導入している
- 残業代がどれくらいとれるのか、事前に答えることができる
【避けるべき弁護士の特徴】
- 大手の法律事務所
- 企業の顧問になっている法律事務所
- 裁判の実績の多さをあえてアピールしている
残業代請求に強い弁護士を選ぶための注意点について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用
3章:残業代請求に負けるとどうなる?ありがちな悩みに弁護士が回答
私がこれまで弁護士として残業代請求の相談を受ける中で、依頼者の中には以下のようなことを心配される人もいらっしゃいました。
【残業代請求に負けた場合についてのありがちな悩み】
- 弁護士費用の負担で損をする
- 会社側にお金を支払わなければならない
- 会社から嫌がらせされる
- 転職先の会社に残業代請求されたことがバラされる
最後に、これらの悩みにお答えします。
3-1:弁護士費用の負担で損をする
あなたもこのような心配をしているかもしれませんが、「完全成功報酬制」の法律事務所を選べば、その心配はありません。
弁護士に依頼すると、一般的に、
- 相談料
- 着手金
- 実費(郵送、印刷にかかる費用等)
- 報酬金
の費用がかかりますが、完全成功報酬制の法律事務所の場合は、「相談料」「着手金」が無料です。
費用は、残業代請求に勝った場合のみ、会社から支払われた残業代の中から一部支払われる形になります。
つまり、あなたの手出しは、「実費」のみの数千円〜数万円だけなのです。
これは、万が一残業代請求に負けても変わりませんので、あなたが大きく損してしまうことはないのです。
しかも、完全成功報酬制の法律事務所は残業代請求に自信がある事務所ですので、あなたの依頼を受けた時点で、負ける可能性は非常に低いと言えるでしょう。
弁護士費用について、詳しく知りたい場合は以下の記事をご覧ください。
残業代請求の弁護士費用はいくら?費用相場と残業代をより高額取り返す方法
3-2:会社側にお金を支払わなければならない
- 相手の弁護士費用を支払わなければならない
- 会社から損害賠償請求される
と思っている人もいるようです。
しかし、まず、相手側の弁護士費用等を負担する必要はありませんし、会社から損害賠償請求されても、認められることはめったにありません。
たとえば、
「会社の備品(運送業のトラックなどに多い)を壊したから、損害賠償請求する」と言われるケースも稀にありますが、それでも、通常は会社が保険に入っているため、あなた個人に請求されることはありません。
会社が保険に入っていない場合は請求されることがありますが、労働者の業務上のミスに基づく損害賠償請求は、以下のように、過去の判例では制限されています。
①労働者に故意または重過失がなければならないこと
②故意または重過失があったとしても、すべての損害を賠償する必要はないこと
以上のように、会社から損害賠償請求されても、多額の賠償が必要になることは、ほとんどないのです。
3-3:会社から嫌がらせされる
残業代請求に負けると、会社から仕返しとして何らかの嫌がらせをされるのではないか、と不安になることもありますよね。
確かに、会社に在籍中に残業代を請求し、しかもそれに万が一負けてしまえば、会社から何らかの嫌がらせをされる可能性はあります。
しかし、バレないように在籍中は証拠集めをして、辞めたから請求手続きを開始することで、嫌がらせをさけることができます。
退職後に残業代請求をすれば、万が一負けてしまっても、嫌がらせの影響はほとんどないはずです。
3-4:転職先の会社に残業代請求されたことがバラされる
残業代請求に負けると、会社から仕返しとして「転職先にバラされるかも」と心配することがあるかもしれません。
私のこれまでの経験上、残業代請求そして、転職先の会社に、残業代を請求したことがバラされたことはほとんどありませんでした。
なぜなら、転職先の会社にバラすことは、その会社にとってもデメリットがあるからです。
そのデメリットには2つがあります。
①会社は社員の個人情報を勝手に漏洩することはできない
あなたの同意なくあなたの情報を第三者に伝えることは、違法であるとされています。
そのため、普通の会社は法を犯してまで、自社の利益にもならない嫌がらせをしようとはしません。
②会社のイメージダウンになる
残業代を請求されたことを他社に伝えるということは、自分たちが違法に残業代をごまかしていたことを、第三者に伝えることになります。
つまり、会社は自分で自分のイメージをダウンさせることになるのです。
以上の2つの理由から、普通の会社なら、転職先にあなたが残業代請求したことをバラすことは、基本的にはないはずです。
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容を振り返りましょう。
【残業代請求に負ける可能性があるケース】
- 自分ですべての手続きをやろうとする
- 残業代請求を苦手とする弁護士に依頼する
- 請求額があまりにも少ない
- 証拠が一切無い
- 時効が過ぎている
【残業代請求に負けないためのポイント】
- 有効な証拠を集める
- 残業代請求に強い弁護士に依頼する
【集めるべき証拠】
《労働条件を示す証拠》
- 雇用契約書
- 就業規則
- シフト表
- 給与明細
《残業時間を示す証拠》
- タイムカード
- シフト表
- 業務日報(上司のサインや印鑑などがあれば、より強い証拠になる)
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
- 会社のパソコンの利用履歴
- メール・FAXの送信記録
- セキュリティカード
- PASMOなどのICカード
- 会社内の時計の写真
【選ぶべき弁護士の特徴】
- HPに「残業代請求に強い」と記載されている
- HPに「過去の請求額実績」が掲載されている
- 相談料無料、着手金ゼロ、完全成功報酬の仕組みを導入している
- 残業代がどれくらいとれるのか、事前に答えることができる
【避けるべき弁護士の特徴】
- 大手の法律事務所
- 企業の顧問になっている法律事務所
- 裁判の実績の多さをあえてアピールしている
【残業代請求に負けた場合についてのありがちな悩み】
- 弁護士費用の負担で損をする
→完全成功報酬制の弁護士なら、万が一負けても費用の負担はほとんどない - 会社側にお金を支払わなければならない
→会社の弁護士費用を負担する必要はないし、損害賠償請求される可能性はほぼない。 - 会社から嫌がらせされる
→ほとんどないが、万が一にそなえて会社にばれないように手続きを行うことができる。 - 転職先の会社に残業代請求されたことがバラされる
→会社にとってもリスクがある行為であるため、バラされる可能性は低い。
残業代請求に負ける可能性は低いですが、万が一にそなえて、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか?