- 2019.09.18
- 2024.11.27
- #交通事故死亡慰謝料
【弁護士直伝】交通事故の死亡慰謝料の相場と円滑に高額請求する方法
この記事を読んで理解できること
- 交通事故で死亡した場合にもらえる慰謝料と相場
- 交通事故の死亡慰謝料の計算方法
- 交通事故の死亡慰謝料が増額されるケース
- 死亡した場合に慰謝料をより高額に、円滑に請求するためのポイント
- 交通事故で親族が死亡した場合は弁護士に依頼しよう
あなたは、
「交通事故で死亡したら、どんな慰謝料がもらえるんだろう?」
「死亡慰謝料はいくらもらえるんだろう?」
「少しでも多く慰謝料をもらいたい」
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
結論から言えば、交通事故で被害者が死亡した場合、一般的には以下の慰謝料をもらえます。
また、高額になる死亡慰謝料の相場は以下の通りです。
そして重要なのが、慰謝料の金額は自分で請求した場合と弁護士に依頼した場合とで大きく金額が異なるということです。
上記の表の通り、弁護士に依頼した方が大幅に慰謝料が高額になるのです。
さらにそれ以外にも、慰謝料請求時には様々な注意点があります。
そこでこの記事では、まずはもらえる慰謝料と死亡慰謝料の相場、計算方法について紹介し、それから死亡慰謝料が増額されるケースを説明します。
そしてより円滑に、より高額請求するためのポイントと、弁護士に依頼するメリットと注意点を解説します。
読みたいところから読んで、すぐに行動をはじめてください。
目次
1章:交通事故で死亡した場合にもらえる慰謝料と相場
それでは交通事故で被害者が死亡してしまった場合にもらえる慰謝料の一覧と、その相場について説明します。
1-1:死亡した場合にもらえる慰謝料(示談金)
交通事故で被害者が死亡した場合に、もらえる慰謝料(示談金)は以下の通りです。
※状況によってもらえるものともらえないものがあります。
よく「示談金」と「慰謝料」を同じものと思われている方もいらっしゃいますが、被害者が加害者からもらえるお金をまとめて「示談金」と言い、慰謝料はもらえるお金の一つに過ぎません。
それぞれ、以下のようなものです。
【示談金の詳細】
- 葬儀費用・・・事故によって亡くなった場合に支払われる。
- 逸失利益・・・死亡したことで将来得られるはずだった収入が減少するため、その損害として支払われる。
- 死亡慰謝料・・・被害者が死亡してしまった場合に、被害者本人や遺族に対して支払われる。
- 治療費・・・死亡するまでの治療にかかったお金で、保険会社から病院に直接支払われることがほとんど。
- 交通費・・・治療のための移動にかかった交通費。
- 入院雑費・・・入院の際にかかった生活必需品などの雑費。
- 付添看護費・・・被害者の症状が重い、被害者が乳幼児などの場合で、家族の看護が必要な場合に支払われる。
- 介護費・・・治療の過程で介護が必要だった場合に支払われる。
- 装具・器具費・・・事故により歩行が困難になるなど、装具・器具が必要になった場合に支払われる。
- 休業損害・・・事故によって仕事を休まざるを得ず、損害が発生した分について支払われる。
- 入通院慰謝料・・・入院、通院した日数に応じて支払われる。
- 後遺障害慰謝料・・・後遺障害が残ってしまった場合に、後遺障害の度合いに応じて支払われる。
※状況によっては支払われない項目もあります。
被害者が死亡してしまった場合、特に知っておくべきなのは、
- 葬儀費用
- 逸失利益
- 死亡慰謝料
の3点です。
なぜなら、これらは被害者が死亡してしまった場合、ほぼ確実にもらえる示談金ですし、高額になることが多いからです。
1-2:死亡した場合の慰謝料の相場
特に高額になる「葬儀費用」「逸失利益」「死亡慰謝料」のそれぞれの相場を紹介します。
交通事故で被害者が死亡してしまった場合、上記の慰謝料(示談金)はほぼ確実に請求可能なものです。
詳しい内容や計算方法については3章で説明します。
1-3:死亡慰謝料は弁護士に依頼すると高額になる
上記の表を見て分かると思いますが、交通事故の慰謝料(示談金)は弁護士に依頼した方が高額になる可能性が高いです。
なぜなら、慰謝料(示談金)が計算される基準には以下の3つがあり、「裁判基準」が最も高額になるからです。
【慰謝料の3つの基準】
- 自賠責基準…自分で請求した場合などに適用される基準
- 任意保険基準…保険会社が独自に決めている基準で、自賠責基準に近い金額になる
- 裁判基準…弁護士に依頼した場合の基準で、最も高額になる
注意すべきなのは、被害者の家族が自分で請求した場合は、「自賠責基準」か「任意保険基準」が適用され、本来もらえるはずの金額より少ない額しかもらえないことが多いということです。
自分たちだけで請求しても、裁判基準が適用されることはほぼありません。
そのため、慰謝料を請求する場合は弁護士に相談することが大事なのです。
2章:交通事故の死亡慰謝料の計算方法
それではこれから、交通事故で被害者が死亡してしまった場合にもらえる慰謝料(示談金)のうち、高額になる、
- 葬儀費用
- 死亡慰謝料
- 逸失利益
のそれぞれの計算方法を説明します。
※なお、慰謝料の金額にはさまざまな要素が関わってきますので、正確な請求可能額が知りたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
2-1:葬儀費用
交通事故で被害者が亡くなってしまった場合、葬儀費用を慰謝料(示談金)として請求することができます。
葬儀費用には、
- 葬儀や四十九日などの法要、供養のための費用
- 仏壇、仏具の購入費
- 墓碑の建立費用
など、葬儀だけでなく関連して行われる儀式や必要となるものも含めて請求できることがあります。
葬儀費用は、以下の基準から決められます。
- 自賠責保険基準・・・原則60万円、必要かつ妥当であれば100万円が上限
→葬儀費用の根拠となる資料があり、それが60万円を超えている場合、100万円までは実費がみとめられることがあります。 - 任意保険基準・・・自賠責保険基準と同じくらいであるのが一般的
- 裁判基準・・・原則150万円まで(実際の支出が150万円を下回る場合は、実際の支出額が認められる)
→多くの場合、葬儀費用は150万円を超えるため、満額の150万円が支払われることが多い。
このように、葬儀費用も弁護士に依頼した場合が最も高額になり、自賠責基準と比べると、裁判基準の方が約2.5倍にもなるのです。
2-2:死亡慰謝料
被害者が死亡した場合は、死亡してしまった精神的苦痛に対して慰謝料を請求することができます。
死亡慰謝料の金額は、以下のように決められています。
■自賠責基準の死亡慰謝料
自賠責基準では、
- 本人(故人)に対して:350万円
- 遺族に対して:1人の場合550万円、2人なら650万円、3人以上なら750万円
- 扶養家族が1人でもいる場合:200万円加算
が支払われます。
ここでの遺族とは、
- 被害者の両親
- 被害者の配偶者
- 被害者の子供
のことです。
被害者の家族だけでなく死亡した本人にも慰謝料が発生することに注意してください。
【具体例】
死亡した被害者(父親)が4人家族で、学生(扶養家族)の子供が2人いた場合、
350万円+750万円+200万円=1300万円
が死亡慰謝料として支払われる。
■任意保険基準の死亡慰謝料
任意保険基準は公開されていないため、正確な慰謝料金額は分かりませんが、おおむね、自賠責基準に近い金額になると考えてください。
■裁判基準
裁判基準では、以下の表の通り、死亡慰謝料の金額が決められています。
※「その他」とは、子供や独身の男女のことです。
上記の表から分かるように、弁護士に依頼すると、
- 一家を支えていた親が死亡(扶養家族が2人いた場合):約2.1倍
- 母親が死亡(扶養家族なしで4人家族):約2.3倍
- 子供が死亡(4人家族):約2~2.5倍
という金額になるのです。
※上記の例は参考程度にしてください。
2-3:逸失利益
交通事故で被害者が死亡してしまうと、被害者は「将来得ることができたはずの収入」を全て失ってしまいます。
この「将来得ることができたはずの収入」のことを、逸失利益と言います。
将来得られた収入が失われたのですから、その分の補償を保険会社から受けることができるのです。
逸失利益は以下のように計算されます。
実際の計算方法は難しいので、計算方法について詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
【弁護士がわかりやすく解説】交通事故示談金の相場と各項目の計算方法
具体例を示すと、以下のようになります。
【逸失利益計算の具体例】
以下の条件で実際に計算してみます。
- 妻子ありの会社員(年収400万円)→基礎収入400万円
- 生活費控除→30%
- 死亡→労働能力喪失率100%
- 症状固定時40歳→ライプニッツ係数14.643
{400万円–(400万円×30%)}×100%×14.643=4100万0400円
逸失利益は4100万400円請求できます。
3章:交通事故の死亡慰謝料が増額されるケース
交通事故の慰謝料は、基本的にここまで説明してきた基準、計算方法から計算されるのですが、まれにさらに増額できる場合(増額事由)があります。
それは、以下のようなケースです。
【慰謝料が増額するケース】
- 加害者に故意や重過失がある
- 加害者の態度が著しく不誠実
- 胎児が死亡した
簡単に説明します。
3-1:加害者に故意や重過失がある
加害者に故意や重過失がある場合は、慰謝料の増額事由になります。
「故意」とは、わざと交通事故を起こしたということです。
また、「重過失」とは、
- 飲酒運転
- 無免許運転
- ひき逃げ
- 信号無視
- 著しいスピード違反
など、さらに重い罪に問われる行為をした場合のことです。
これらの場合は、加害者に大きな非があると考えられるため、慰謝料が増額されることがあるのです。
3-2:加害者の態度が著しく不誠実
交通事故後の加害者の態度が、
- 被害者やその家族に一切謝罪しない
- 被害者やその家族の人格を否定する、罵倒する
- 警察の取り調べでウソをつく
- けが人の救護に協力しない
など、著しく不誠実であった場合は、慰謝料の増額事由になります。
これらの場合は、被害者の精神的な損害も大きくなると考えられるからです。
ただし、単に「加害者の誠意が感じられない」とか、「加害者の言うことに間違いがある」といった一般的な程度なら、「著しく不誠実」とはみなされません。
また、加害者の態度について、あえて証拠に集めようと努力する必要はありません。
特に事故の現場で証拠を取ろうとしていれば、逆に被害が少なかった、とみなされて示談金が減額する可能性もあるからです。
ただし、ドライブレコーダー等に記録されている場合は、証拠になりますので、データを保管しておくことをおすすめします。
3-3:胎児が死亡した
交通事故で死亡した被害者が妊娠しており、胎児もともに死亡してしまった場合は、胎児の分も慰謝料額に考慮され、結果的に高額請求できます。
4章:死亡した場合に慰謝料をより高額に、円滑に請求するためのポイント
交通事故で家族が死亡してしまった場合、ショックでなかなかやるべき行動を始める気にならないかもしれません。
しかし、十分な準備をせずに保険会社の言いなりに行動すると、慰謝料が大幅に少なく抑えられてしまうことがあります。
それでは、後から悔やむことになりかねません。
そこで、より高額の慰謝料を円滑に請求するために、以下のことを行っておきましょう。
順番に解説します。
4-1:葬儀などの領収書をもらっておく
交通事故で被害者が死亡した場合、葬儀費用も請求できることは先ほど説明した通りです。
その葬儀費用について重要なのが、「いくらの費用が発生したのか」という根拠として、領収書等をもらっておくことです。
なぜなら、領収書がなければ葬儀にいくらかかったのかわからず、もらえる葬儀費用が安くなってしまうことがあるからです。
そのため、具体的には、
- 遺体や遺骨の運搬費用
- 通夜、葬儀、告別式などについて葬儀会社に支払った費用、飲食代
- 火葬、埋葬、納骨にかかった費用
- 読経、戒名、お布施などの、お寺に支払った費用
などについて領収書をもらっておきましょう。
葬儀会社やお寺などは、こちらから言わなければ領収書を発行してくれないことが多いです。
忙しい状況かもしれませんが、忘れずにお願いして領収書をもらっておきましょう。
さらに、葬儀費用以外にも、被害者が死亡するまでにかかった、
- 治療費
- 医療機関への移動にかかった交通費
- 介護費
なども請求する上で領収書が必要ですので、これらについてももらって保管しておきましょう。
4-2:相続人全員で請求する
交通事故で被害者が死亡した場合、慰謝料(示談金)は相続人全員にもらう権利があります。
【相続人とは】
相続人とは、死亡した人の財産を相続することができる人のことで、法律で定められた順位の通りに一定の権利を持ちます。
※なお、示談金のうち慰謝料だけは、相続人でなくても請求できる可能性があります。詳しくは弁護士にお問合せください。
交通事故で被害者が死亡した場合に、慰謝料(示談金)を請求できるのは、まず配偶者がいます。その他にも相続人がいます。
配偶者以外の相続人は、以下の順位になります。
■第一順位:被害者の子供
被害者の配偶者がいる場合、子供と共に相続人になります。また、子供がおらず被害者の孫がいる場合は、孫もこの順位です。
■第二順位:被害者の親
子供がいない場合、被害者の配偶者と共に親が相続人になります。
■第三順位:被害者の兄弟姉妹
被害者に子供、親がいない場合、被害者の配偶者と共に兄弟姉妹が相続人になります。
相続された慰謝料は、相続人の間で分配されることになります。
このように、状況によって相続人が変わるのですが、重要なのは、相続人全員の同意がなければ、慰謝料の請求に応じてくれないことがあるということです。
なぜなら、相続人全員の合意がなければ相続人全員の合意がなければ示談しない、という運用をしている保険会社があるからです。
そのため、
- 死亡した被害者の、生まれたから死亡するまでのすべての戸籍を集めて相続人を確認する
- すべての相続人に連絡を取り、慰謝料請求について同意を得る
ということが必要です。
これは、保険会社からも必ず言われる点ですので、早めに示談したければできるだけ早めに行っておくことをおすすめします。
4-3:逸失利益を正しく計算する
次に、慰謝料(示談金)の中でも高額になる「逸失利益」を正しく計算することが大事です。
逸失利益は、基本的には3章でお伝えしたように決まった基準から計算されます。
ただし、
- 計算の一つの要素である「生活費控除」を何割で計算するのか
- 将来もらえる年金についてどう計算するのか
といった内容は、弁護士でも十分な経験がなければ、正確に計算できないことがあります。
計算を間違えば、本来もらえるはずの金額よりも、もらえる金額が少なくなってしまうことにもなりかねません。
少なくとも、保険会社はあなたに有利な計算はしてくれませんので、正確に逸失利益を計算することは、慰謝料請求の大前提なのです。
したがって、逸失利益を正しく計算するために、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
5章:交通事故で親族が死亡した場合は弁護士に依頼しよう
交通事故で家族が死亡してしまった場合、示談金の計算や請求などの手続きは、弁護士に依頼することをおすすめします。
なぜなら、弁護士に依頼することには、以下のようなメリットがあるからです。
【弁護士に依頼するメリット】
- 示談金が増額する
- 手間、時間、心理的ストレスが最小限になる
順番に解説します。
5-1:示談金が増額する可能性が高まる
交通事故の示談金の計算や請求を弁護士に依頼すると、慰謝料(示談金)が増額する可能性が高いです。
なぜなら、この記事の中でも繰り返し解説しましたが、保険会社が提示する示談金は「任意保険基準」という、本来もらえる金額より少ない基準になる傾向があるからです。
最大限の示談金をもらうためには「裁判基準」での請求が必要なのです。
弁護士に依頼すれば、ほぼ自動的に示談金の各項目が裁判基準になるため、示談金の高額請求が可能になるのです。
5-2:手間、時間、心理的ストレスが最小限になる
示談金の計算や請求を弁護士に依頼すれば、手間、時間、心理的ストレスが最小限になります。
交通事故で親族が死亡してしまうと、深い悲しみが癒えないうちに、加害者や保険会社とのやり取りをはじめなければなりません。
それはとてもストレスの大きなことです。
弁護士に依頼すれば、示談金の計算から加害者・保険会社との対応まで、ほとんどの作業を任せることも可能です。
そのため、できるだけ早い段階で弁護士に依頼することが大事です。
ただし、弁護士は「誰でも良い」というわけではありません。
交通事故対応に強い弁護士じゃなければ、慰謝料請求に失敗したり、余計なトラブルが発生することがあります。
弁護士の選び方について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
弁護士法人新橋第一法律事務所では、交通事故の被害者救済について、遺族の方の手間、時間、ストレスを最小限にする仕組みを持っています。
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まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
【被害者が死亡した場合に高額になる慰謝料】
- 葬儀費用
- 逸失利益
- 死亡慰謝料
【慰謝料が増額するケース】
- 加害者に故意や重過失がある
- 加害者の態度が著しく不誠実
- 胎児が死亡した
【弁護士に依頼するメリット】
- 示談金が増額する
- 手間、時間、心理的ストレスが最小限になる
相談料無料の法律事務所も多いですので、まずは相談してこれからの行動方法を考えていきましょう。