- 2019.07.25
- 2025.01.21
- #交通事故示談金
【弁護士が解説】交通事故の示談金を最大限UPさせるためのポイント


この記事を読んで理解できること
- 交通事故の示談金とは?
- 交通事故の示談金相場とより高額請求のポイント
- 示談金をもらうまでの手続きの流れ
- 妥当な示談金をもらうためには弁護士に依頼しよう
あなたは、
「交通事故の示談金ってどんなもの?」
「交通事故の示談金っていくらくらいもらえるの?」
「交通事故の示談金をもらうためにはどうしたら良い?」
「交通事故の示談金で損したくない!」
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
交通事故の被害にあうと、治療のために仕事を休まなければならなかったり、怪我のせいで生活に支障が出たりして、お金の不安があると思います。
そこで大事なのが、示談金として「何がもらえるのか」を知った上で、妥当な金額の示談金をもらうポイントを押さえて手続きすることです。
そこでこの記事では、まずは交通事故の示談金について基本的なことを解説した上で、示談金が決まる基準や計算方法と示談金をもらうための手続きのながれについて解説します。
さらに、妥当な金額の示談金をもらうためのポイントも紹介します。
ぜひこの記事を読みながら、行動に移していってくださいね。
1章:交通事故の示談金とは?
さっそくこれから、交通事故の示談金について基本的なことを解説していきます。
知っていること、知らないことがあると思いますので、気になる所から読んでください。
1-1:示談金とは加害者(の保険会社)からもらえるお金の総称
交通事故の被害にあうと、加害者(の保険会社)の間で、被害者であるあなたが被った、
- 財産に対する損害:治療費、交通費、休業損害など
- 精神的苦痛という損害:慰謝料
がどのくらいのもので、いくらのお金を支払えば解決できるかを話し合います。
このお金のことを示談金と言います。
示談金には、以下のものが含まれます。
よく「示談金」と「慰謝料」の違いが分からないという方がいらっしゃいますが、上記のように、慰謝料は示談金の一部に過ぎません。
ただ、慰謝料は高額になることが多いので、どのようなものがもらえるのか知っておくことが大事です。
慰謝料以外の示談金を簡単に説明すると、以下のようになります。
【示談金の内訳】
- 治療費・・・治療にかかったお金で、保険会社から病院に直接支払われることがほとんど。
- 交通費・・・治療のための通院にかかった交通費。
- 入院雑費・・・入院の際にかかった生活必需品などの雑費。
- 付添看護費・・・被害者の症状が重い、被害者が乳幼児などの場合で、看護が必要な場合に支払われる。
- 介護費・・・怪我により介護が必要になった場合に支払われる。
- 装具・器具費・・・事故により歩行が困難になるなど、装具・器具が必要になった場合に支払われる。
- 家屋改造費、自動車改造費・・・車椅子生活になるなどで、家や自動車の改造が必要になった場合に支払われる。
- 葬儀費用・・・事故によって亡くなった場合に支払われる。
- 休業損害・・・事故によって仕事を休まざるを得ず、損害が発生した分について支払われる。
- 逸失利益・・・後遺障害が残り、将来得られるはずの収入が減少してしまう場合に支払われる。
1-2:示談金を請求する相手は加害者もしくは保険会社
示談金を請求する相手は、
- 加害者が任意保険に入っていなかったまたは、入っていても使用しない場合→加害者本人
- 加害者が任意保険を使用する場合→加害者の保険会社
になります。
一般的には加害者が保険会社に入っていることが多いため、示談金の請求相手は保険会社になります。
その場合、あなたが交通事故の被害にあい、治療を受けている段階で保険会社から「示談のお話しをしたいのですが」という連絡がきて、それから示談金の金額や条件を話し合うことになります。
保険会社が提示する示談金額に納得がいけば、「示談書」にサインをして示談成立となります。
2章:交通事故の示談金相場とより高額請求のポイント
交通事故の示談金は、
- 3つの基準
- 後遺障害等級
- 入通院の日数
など複数の要素から決まります。
これから詳しく説明します。
2-1:示談金額は弁護士に依頼すると高額になる
早く示談金をもらいたいと考えて「示談書にすぐサインしよう」と考える方もいらっしゃいますが、焦ってはいけません。
なぜなら、保険会社が提示する示談金は「自賠責基準」や「任意保険基準」という基準に基づいて決められたもので、多くの場合、本来もらえる金額より少ない金額だからです。
弁護士に依頼すると「裁判基準」が適用されるのですが、裁判基準では、例えば後遺障害慰謝料について、一般的には自賠責基準の2.3倍〜3.4倍にもなります。
あなたが自分だけで示談金を請求・交渉しても、裁判基準が適用されることはほぼありません。
そのため、示談金の請求・交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。
2-2:交通事故の示談金の相場
交通事故の示談金は、怪我の程度や事故の状況などによって、金額が大きく変わります。
以下の表は、一部の代表的な症状のみしか書いていませんが、示談金の相場ですので参考にしてください。
示談金の価格は、後遺障害等級や入通院期間、過失割合など様々な要因によって変わってきますので、あくまで参考程度にしてください。
示談金相場について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【交通事故の示談金相場】1円でも多く請求する方法を弁護士が解説
2-3:交通事故の示談金を決める3つの基準
交通事故の示談金を決めるのは、「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判基準」という3つの基準です。
- 自賠責基準・・・法律で定められた最低限の補償。
- 任意保険基準・・・自動車の保険会社が独自に定めている基準で、多くの場合自賠責基準に近い金額になる。自分だけで保険会社と対応した場合、任意保険基準になる傾向がある。
- 裁判基準・・・裁判例を参考にした基準で、示談金が最も高額になる。弁護士に依頼した場合に適用される基準。
注意して頂きたいのが、自分だけで示談金を請求すると、ほぼ確実に自賠責基準や任意保険基準になるということです。
その場合、本来もらえるはずの示談金額よりずっと少なくなってしまうことが多いのです。
それぞれの慰謝料の基準を比べると、以下の通り金額が大きく異なるのです。
示談金の詳しい基準や計算方法について知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
【弁護士がわかりやすく解説】交通事故示談金の相場と各項目の計算方法
3章:示談金をもらうまでの手続きの流れ
それではこれから、より妥当な示談金をもらうための流れとそれぞれの段階でのポイントを時系列で説明します。
示談で損をしないためにあなたが注意すべきなのは、以下の点です。
順番に解説します。
3-1:交通事故発生時のポイント
交通事故が発生したら、焦って通常の精神状態ではいられなくなると思います。
しかし、だからこそ、思い込みや加害者の言うとおりに動いてはなりません。
交通事故が発生したら、できるだけ以下の対応を行うようにしましょう。。
- その場で警察を呼ぶ
- 実況見分に必ず立ち会う
- 交通事故証明書を確認し「人身事故」になっているか確認する
順番に見ていきましょう。
■その場で警察を呼ぶ
事故を起こした場合、必ずその場で警察に連絡します。加害者が連絡してくれない場合、自分で連絡する必要があるので、気をつけてください。
警察はすぐに来てくれることが多いですから、それまではその場を勝手に立ち去ってはなりません。また、痛いところがあれば、必ず警察に伝えましょう。
なぜなら、
- その場で警察に連絡しないと、交通事故にあったことを証明できない
- 加害者の連絡先が分からなければ、示談金を請求することができない
という理由があるからです。
■救急車を呼んで病院に搬送してもらう
けがをしている以上、無理に現場にとどまる必要はありません。
下に記載している実況見分は後日でもできます。
■実況見分に必ず立ち会う
後日(稀に、当日)、警察と一緒に「実況見分」という、事故現場の状況を一緒に確認する手続きが行われます。
この時大事なのが、被害者のあなたもできるだけ一緒に立ち会うということです。
なぜなら、加害者の立ち会いしかないと加害者に有利な実況見分が行われる可能性があるからです。
そのため、大きな怪我をしていない場合は、警察を呼んでそのまま現場に留まり、実況見分が行われるのを待ちましょう。
実況見分の際は、警察に対して、ちゃんと自分が認識した事故状況を説明しましょう。
■交通事故証明書を確認し「人身事故」になっているか確認する
あなたがあった事故の詳細は、後日、警察によって「交通事故証明書」という書類に記載されます。
「交通事故証明書」をもらったら、あなたの事故が「物損事故」か「人身事故」のどちらで処理されているか確認しましょう。
もしあなたが怪我をしているのに「物損事故」で処理されていたら、警察に連絡して「人身事故」に切り替えてもらえるように手続きをしましょう。
なぜなら「物損事故」として処理されてしまうと、保険会社から治療費が出ない可能性があるからです。
切り替え手続きには、病院の診断書が必要ですので、診断書を発行してもらい、それを持って警察に手続きに行く必要があります。
次に、治療中のポイントを解説します。
3-2:治療中のポイント
交通事故で怪我をした場合、入院・通院によって治療をすることになります。
治療中に知っておくべきことは、以下の通りです。
- まずは病院で治療を受け、診断や治療の記録を残しておくこと
- 整骨院、接骨院で施術を受ける場合、外科、整形外科にも通院して医師の許可を得ておくこと
- 場合によっては、労災保険や健康保険を利用すること
順番に解説します。
■まずは病院で治療を受け、診断や治療の記録を残しておくこと
交通事故にあったら、たとえ怪我が軽くてもまずは必ず病院に行って、しかるべき治療を受けましょう。
なぜなら、病院に行って治療を受けていなければ「治療費」をもらえないからです。
また、治療中は、あなたが感じている症状についてしっかり医師に伝え、必要な治療を行ってもらうことが大事です。
なぜなら、示談金の金額は、特に後遺障害等級の認定については事故後の診断結果や治療経過も判断材料になるため、違和感があれば何でも伝えるようにするべきだからです。
■整骨院、接骨院に通う場合、外科、整形外科にも通院すること
原則的には、整形外科に通院することが望ましいです。
しかし、整形外科に行く時間がなかなか取れない人は、症状によっては、整骨院や接骨院に通院して治してもらうこともあると思います。
その場合注意すべきなのが、整骨院等に通う間も、定期的に外科や整形外科に診断してもらっておくことです。
なぜなら、整骨院等は、保険会社から「治療として認められないので、整骨院等にかかった費用は支払いません」と言われることがあるからです。
外科や整形外科に通院して、医師から整骨院等に通うことの許可を受けていれば、整骨院等にかかった費用も保険会社に負担してもらえる可能性が高まります。
■場合によっては、労災保険や健康保険を利用すること
- 保険会社が治療費を立て替えてくれないとき
- 交通事故の過失が自己に少しでもあるとき
こんな場合には労災保険を、労災保険が使えない場合は健康保険を利用して通院したほうがよいでしょう。
労災保険や健康保険を使わず、自由診療のままにしてしまうと、同じ治療内容でも、治療費が高くなってしまいますので、損をしてしまいます。
治療が終わり、痛みやしびれも残らず完治した場合、等級認定手続きをしなくても示談交渉がはじめられます。
示談交渉の流れについては、3−4をお読みください。
怪我が完治せず、痛みやしびれが残った場合は、後遺症に関する診断や認定手続きが必要ですので、3−3をお読みください。
3-3:後遺症が残った場合の手続きのポイント
治療が終わった状態では、怪我が完治していることが望ましいですが、場合によっては痛みやしびれ(後遺症)が残り、それ以上の改善が望めない場合もあります。
後遺症が残った場合は、治療後に以下のポイントを抑えて手続きを進めることが大事です。
- 「症状固定」のタイミングは医師に判断してもらう
- 「後遺障害等級認定時」は弁護士にサポートしてもらう
- 等級に不満がある場合は異議申立する
順番に解説します。
■「症状固定」のタイミングは医師に判断してもらう
「これ以上治療をしても、症状が改善されない」という状態のことを「症状固定」と言います。
症状固定になると、それ以降の症状は後遺症であり、改善できないものです。
症状が改善しないという扱いになるので、まだ痛み等が残っていても、「症状固定」以降に発生した治療費や休業損害については、請求することができなくなってしまいます。
症状固定以降に治療をしても、その分は自己負担になります。
その代わり、症状固定の時点で残っている後遺症について、後遺障害等級が認定されれば、保険会社が、後遺症の影響による収入の減少などへの補償(逸失利益)や、後遺症が残ったことに対する慰謝料(後遺障害慰謝料)を賠償することになります。
注意すべきなのは「症状固定」のタイミングを、保険会社が勝手に決めようとしてくることがあることです。
保険会社は、できるだけ支払う治療費や休業損害を抑えたいと考えます。
そのため、場合によっては勝手に「もう治療の必要はない」と判断し、それ以降の治療費の支払いを打ち切ろうとすることがあるのです。
まだ治療が残っている場合、勝手に打ち切られては困ってしまいますよね。
症状固定は、保険会社が勝手に判断していいものではありません。
プロであるあなたの医師の意見が重要になりますので、医師がまだ治療が必要と判断している場合、治療の支払を求めて保険会社と交渉したほうがよいでしょう。
この段階で、保険会社から勝手に「治療費の支払いを打ち切る」などと言われた場合は、弁護士に相談してその後の対応を任せることをおすすめします。
症状固定について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
「症状固定」
■「後遺障害等級認定時」は弁護士にサポートしてもらう
後遺症が残っている場合、その後遺症の度合いを「後遺障害等級」というレベルで決められます。
等級には1級から14級までがあり、1級が一番重篤な障害、14級が一番軽い障害です。
症状別の後遺障害等級と示談金について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【部位別・後遺障害等級表】交通事故で損しないための方法を弁護士が解説
後遺障害等級の認定があれば、示談交渉の際に将来の収入に関する「逸失利益」や、後遺症が残った「後遺障害慰謝料」を請求することができます。
そのため、後遺症が残ったら必ず後遺障害等級を申請することが必要です。
後遺障害等級の認定は「後遺障害診断書」の内容が基準になるため、
- 後遺症の詳細が十分に記載されていること
- 十分な検査結果が診断書に記載されていること
という2点が大事なポイントです。
したがって、医師にはもれがないように診断書を作成してもらうことが大事です。
後遺障害認定に必要な検査内容や提出資料は、医師ですら正確に把握していないことがあります。
交通事故のトラブルに強い弁護士に依頼すれば、必要な検査や提出資料について、弁護士が医師に指示し、後悔のないような後遺障害等級を認定してもらうことができるのです。
■等級に不満がある場合は異議申立する
もし、認定された後遺障害の等級に不満がある場合「異議申立」という手続きを行うことで、再度認定し直してもらうことも可能です。
ただし、ただ単に「異議申立」すれば、等級を再度見直してくれるわけではありません。
認定のどこに誤りがあるのか、医学的な根拠に基づいて指摘しなければ、結局同じ等級にされてしまいます。
そのため、後遺障害等級の異議申立について、医学的根拠に基づいて判断できる弁護士に依頼するのが、大事なポイントです。
※ただし「異議申立」で等級が見直してもらえることは稀です。
3-4:示談交渉時のポイント
示談交渉で、最大限の示談金をもらうためには、弁護士に依頼することが重要です。
なぜなら、1章で解説したように、保険会社は「できるだけ示談金を安く抑えたい」と考えるからです。
特に、後遺障害慰謝料の場合は慰謝料の算出基準に3つのものがあるのですが、保険会社は独自の基準である「任意保険基準」で慰謝料を計算します。
そのため、慰謝料の額が本来もらえる最大の額より、ずっと少なくなってしまうのです。
弁護士に依頼すると「裁判基準」の示談金で交渉することができるため、保険会社が提示した示談金より、さらに高額が請求できます。
4章:妥当な示談金をもらうためには弁護士に依頼しよう
交通事故の示談金請求を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
【弁護士に依頼するメリット】
- 示談金額を最大限にできる
- 手間、時間、心理的ストレスを最小限にできる
- 弁護士特約があれば弁護士費用の負担が0円になることもある
簡単に説明します。
4-1:示談金額を最大限にできる
ここまでも説明してきたように、弁護士に依頼すると示談金の算出基準が「裁判基準」になるため、示談金額が最大限にできるメリットがあります。
4-2:手間、時間、心理的ストレスを最小限にできる
治療を受けながら示談金を請求するために保険会社の対応をしたり、必要な資料を集めて郵送したりするのは大きな負担になります。
手間や時間もかかりますし、何より心理的ストレスも大きいです。
示談金請求を弁護士に依頼すると、依頼後の手続きをほぼ丸投げできるため、示談金請求にかかる手間や時間、心理的ストレスが最小限になります。
あなたは治療や生活への復帰に専念することができるのです。
4-3:弁護士特約があれば弁護士費用の負担が0円になることもある
あなたは、「弁護士費用が高いなら、依頼して損することもあるかもしれない」と思われるかもしれません。
しかし、実は「弁護士特約」があれば、弁護士費用が原則0円でご依頼頂くことが可能です。
弁護士特約は、ご家族の方が加入している保険のものでも利用できますので、ぜひご確認ください。
もし弁護士特約が付いていなくても、交通事故被害者救済に強い法律事務所ならば、「相談料・着手金0円」「増額した場合のみ成功報酬が発生する」という費用体系を導入していることが多いです。
そのため、費用が心配な場合もまずは一度ご相談ください。
弁護士費用について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
「交通事故 弁護士費用」
まとめ
最後にこの記事の内容をまとめます。
【弁護士に依頼するメリット】
- 示談金額を最大限にできる
- 手間、時間、心理的ストレスを最小限にできる
- 弁護士特約があれば弁護士費用の負担が0円になることもある
この記事の内容を参考に、損しないように行動していってくださいね。