- 2019.11.07
- 2025.01.23
- #交通事故治療費打ち切り
【交通事故の治療費打ち切り】これからやるべき3つの行動を徹底解説


この記事を読んで理解できること
- 交通事故で治療費が打ち切られた場合の対処法
- 保険会社が治療費を打ち切ろうとする理由
- 治療費打ち切りのよくあるシチュエーション
- 治療費の打ち切りは弁護士に相談しよう
あなたは、
「交通事故の治療費を打ち切りすると言われたが、どうすれば良いんだろう?」
「なぜ治療費を打ち切ると言われるの?」
などの悩みや疑問をお持ちではありませんか?
私の弁護士としての経験上、特に下記のような場合の打ち切られることが多いです。
- 30日以上通院していない
- 通院頻度が少ない
- 事故が軽微
- 他覚所見が無い
結論から言えば、保険会社は一方的に治療費打ち切りを連絡してくることがありますが、治療費打ち切りには対処が可能です。
なぜなら、治療費は一般的に、「完治」もしくは「症状固定」までは支払われる必要があるからです。
そこでこの記事では、まずは交通事故の治療費打ち切りへの対処法について詳しく説明します。
そして、保険会社が治療費を打ち切ろうとしてくる理由や治療費打ち切りのよくあるシチュエーション、そして弁護士に相談するメリットを紹介します。
読みたいところから読んで、すぐに行動をはじめましょう。
目次
1章:交通事故で治療費が打ち切られた場合の対処法
交通事故で「治療費を打ち切る」と言われても、治療費を支払ってもらうことを諦めてはいけません。
交通事故と怪我の因果関係さえ認められれば、保険会社には治療費を補償する義務が生じるからです。
治療費を打ち切ると言われた場合、以下の対処法を実践してください。
【治療費打ち切りへの対処法】
- 弁護士に相談する
- 主治医に今後も治療する必要があることを確認する
- 健康保険を利用して治療を続ける
順番に解説します。
1-1:弁護士に依頼する
まず、何より大事なのがすぐにでも弁護士に相談することです。
■一人で治療費の交渉をするリスク
治療費の打ち切りを打診された、すでに打ち切られたという場合、自分だけで治療費打ち切りを撤回してもらうことは難しいです。
なぜなら、治療費の打ち切りを撤回してもらうためには、そのための合理的な根拠や法律の知識が必要だからです。
それに、保険会社は治療費打ち切りを撤回してほしい、と言われることにも慣れていますから、仮にあなたが法律の知識を勉強したとしても、相手にしてくれないことが多いです。
その結果、一人だけで対応しようとしても、保険会社から言いくるめられ、治療費打ち切りを撤回できない可能性が高いのです。
■弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼すれば、保険会社の態度はガラリと変わることが多いです。
なぜなら、
- 弁護士がつくだけで保険会社にプレッシャーを与えられる
- 治療費打ち切りを撤回できる根拠や専門知識を持っている
という理由があるからです。
弁護士に依頼したことで、交渉の結果、半年~1年といった期間の治療費の支払いを認めてもらったケースもあります。
そのため、まずはすぐにでも弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故に強い弁護士なら、無料相談を行っていることもあります。詳しくは4章で解説しています。
1-2:主治医に今後も治療をする必要があることを確認する
治療費を打ち切られた場合、次にやるべきなのが、主治医に今後も治療を続ける必要があることを確認することです。
なぜなら、本来保険会社には「完治」や「症状固定(※)」を判断する権利はないからです。
※症状固定とは、「これ以上治療しても症状が改善されない」という状態のことです。
「完治」や「症状固定」を決める上で重要なのは、あなたの主治医の判断です。
主治医が「まだ治療の必要がある」と診断しているのであれば、保険会社に治療費の打ち切りを撤回してもらえる可能性があります。
そのため、これからやるべきなのは、
- 主治医に治療の必要性を確認し、現段階での診断書を作成してもらう
- それを保険会社に提出して治療費の支払いを続けてもらえるように交渉する
ということです。
■主治医に症状を伝え続けることが大事
主治医は、あなたの症状から「完治」や「症状固定」を判断します。
そのため、症状が続いているのであれば、入通院する過程でどのような症状があるのか、主治医に伝え続けることが大事です。
1-3:健康保険を利用して治療を続ける
もし、診断書を提出しても保険会社が治療費の支払いをしてくれない場合でも、健康保険を利用して自費で入通院を続けることをおすすめします。
理由は3つあります。
①治療費を後から支払ってもらえる可能性がある
治療費の支払いを打ち切られても、
- 主治医に治療の継続の必要性があると診断されている
- その上で、自費で治療を続けている
という場合は、後から保険会社に治療費を支払ってもらえる可能性があります。
なぜなら、繰り返しになりますが、治療費とは「完治」「症状固定」までは支払いが必要なもので、「完治」「症状固定」を判断するのは保険会社ではないからです。
主治医の診断のもと治療を継続していれば、「治療の必要があった」と認められやすいため、後から請求できる可能性が高いのです。
そのため、治療の必要がある場合は、「治療費を支払ってもらえないから」と入通院をやめてしまうことは避けてください。
②入通院慰謝料を増額できる可能性がある
治療費以外にも、保険会社から支払ってもらえる示談金は複数あります。
その中に「入通院慰謝料」もあるのですが、入通院慰謝料は入通院した期間や日数から計算されます。
【入通院慰謝料とは】
入通院慰謝料とは、入通院することによる精神的負担に対して支払われる慰謝料で、入通院の期間や日数から計算される。
入通院するほど慰謝料が高額になるため、治療の必要があればしっかりと入通院することが大事なのです。
入通院慰謝料について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
③妥当な後遺障害等級を認定してもらいやすい
交通事故の怪我が完治せず、後遺障害が残ってしまった場合、「後遺障害等級」を申請し、認定してもらうことで、
- 後遺障害慰謝料:後遺障害が残ってしまったことに対する、精神的損害への補償
- 逸失利益:後遺障害によって仕事に影響が出て、その分将来の収入が減ることに対する補償
を支払ってもらえます。
※後遺障害等級とは、後遺障害の度合いに応じて認定される1級~14級の等級のことで、1級が最も重い障害、14級が最も軽い障害です。
後遺障害等級の認定には、入通院の期間も判断基準になります。
そのため、治療の必要があればしっかりと入通院を続けることが大事なのです。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
2章:保険会社が治療費を打ち切ろうとする理由
保険会社が治療費を打ち切ろうとするのは
- 被害者に支払う治療費をできるだけ少なくしたい
- 入通院を早く切り上げさせ、入通院慰謝料を減らしたい
などの理由があるからです。
保険会社も営利企業ですから、自社が負担する示談金の金額はできるだけ少ない方が良いと考えます。
そして、治療費を含む示談金の一部は「自賠責保険」が支払い、任意保険会社が支払うのは自賠責保険が補償できなかった差額のみです。
そのため、保険会社はあらゆる手を使ってその差額部分を減らし、自社が支払う示談金を少なくしようと考えるのです。
3章:治療費打ち切りのよくあるシチュエーション
治療費の打ち切りでよくあるシチュエーションは以下の通りです。
【治療費打ち切りのよくあるシチュエーション】
- 30日以上通院していない
- 通院頻度が少ない
- 事故が軽微
- 他覚所見が無い
あなたもどれかに当てはまるかもしれません。
順番に解説します。
3-1:30日以上通院していない
交通事故の治療費は、一般的に、打撲が1か月、むちうちは3カ月、骨折は6か月で打ち切られると言われることがあります。
実際は、1章で説明したように、治療の必要性があれば治療費の打ち切りには交渉可能なのですが、上記の期間で打ち切られることも多いのです。
したがって、そもそも30日以上通院していないと言う場合は、
「もう怪我は治ったのだろう」
「怪我は軽いものだったのだろう」
と保険会社の担当者から考えられ、治療費を打ち切られる可能性が高いです。
3-2:通院頻度が少ない
仕事や生活が忙しく、治療のための通院の頻度が少ない(たとえば週に1回だけ、など)という場合は、治療費を打ち切られてしまう場合があります。
保険会社の担当者が「この程度の頻度の治療で良いのなら、もう治療の必要性はないのだろう」と考えるからです。
もちろん、無理に治療の頻度を多くする必要はありませんが、必要な限りはしっかりと通院する(たとえばむちうちなら週2~3回程度など)ようにしましょう。
3-3:事故が軽微
- 自動車の修理費が10万円にも満たないくらいの警備な事故だった
- 自転車だったが転倒しなかった
このような場合は、事故が非常に軽微であったと考えられ、治療費の支払いが打ち切られたり、そもそも治療の必要がない(受傷否認)と言われてしまうことがあります。
治療の継続が必要なのに、このようなことを言われた場合、2章で紹介した方法で対処可能です。
しかし、保険会社が治療の必要性を認めてくれないこともありますので、弁護士に相談することをおすすめします。
3-4:他覚所見が無い
他覚所見とは、医師の診察やMRI、レントゲンなどの画像によって怪我の症状が分かることを言います。
「痛み、しびれを感じる」
「動かしにくい」
などの自覚症状だけで、それが他覚所見によって確認できない怪我の場合は、治療費の支払いが打ち切られることがあります。
なぜなら、保険会社は医師の診断結果や画像などの客観的に明らかな根拠を重視するからです。
しかし、必要な検査を受けることで他覚所見が明らかになることもありますので、弁護士への相談や、適切な検査を受けることを医師に相談してみることが大事です。
4章:治療費の打ち切りは弁護士に相談しよう
繰り返しになりますが、交通事故の治療費支払いを打ち切られた場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することには、以下のメリットがあるからです。
- 示談金の計算基準が「裁判基準」になり、示談金の大幅アップも可能
- 治療費支払い再開のために、迅速に行動してくれる
- 保険会社と交渉する手間、時間、ストレスが最小限になる
特に重要なのが、示談金の計算基準が「裁判基準」になるという点です。
あなたは治療費打ち切りに焦り、他の示談金のことなどまだ考える余裕がないかもしれませんが、交通事故の被害者は状況に応じて、以下の示談金を受け取ることができます。
特に高額になる「慰謝料」「逸失利益」などの項目は、自分だけで請求した場合と、弁護士に依頼した場合で大幅に示談金額が変わることが多いです。
そのため、治療費以外の示談金をしっかりもらうためにも、早めに弁護士に相談することが大事なのです。
弁護士費用の負担0円で依頼できる場合もありますので、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
【治療費打ち切りへの対処法】
- 弁護士に相談する
- 主治医に今後も治療する必要があることを確認する
- 健康保険を利用して治療を続ける
【保険会社が治療費を打ち切る理由】
- 被害者に支払う治療費をできるだけ少なくしたい
- 入通院を早く切り上げさせ、入通院慰謝料を減らしたい
【治療費打ち切りのよくあるシチュエーション】
- 30日以上通院していない
- 入通院頻度が少ない
- 事故が軽微
- 他覚所見が無い
この記事を参考に、すぐに行動を開始してください。