- 更新日:2024.08.28
- #交通事故むちうち慰謝料相場
最大460万円?むちうちの交通事故慰謝料の相場と高額請求のポイント
この記事を読んで理解できること
- 交通事故でむちうちになった場合の慰謝料相場
- むちうちで認定される可能性がある後遺障害等級
- 後遺障害等級認定の手続きの流れ
- むちうちで妥当な慰謝料をもらうポイント
あなたは、
「交通事故でむちうちになった、、慰謝料相場ってどのくらいなんだろう?」
「慰謝料相場ってどうやって決まるの」
「できるだけ高額の慰謝料をもらいたい」
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
結論から言えば、交通事故でむちうちになった場合の慰謝料相場は以下の通りです。
※これは一例です。
注意して頂きたいのが、上記の通り、むちうちの慰謝料の相場は、慰謝料の請求方法によって変わってくるということです。
そこでこの記事では、むちうちの場合の慰謝料相場と決まる基準、計算方法について説明し、それからむちうちで認定される可能性がある「後遺障害等級」についても解説します。
さらに、後遺障害等級を認定してもらうための流れと妥当な慰謝料をもらう方法を紹介します。
最後までしっかり読んで、損しないように行動をはじめてくださいね。
1章:交通事故でむちうちになった場合の慰謝料相場
それではさっそく、交通事故でむちうちになった場合の慰謝料について詳しく説明します。
むちうちになった場合の慰謝料には、以下の2つがあります。
- 入通院慰謝料・・・入院、通院した期間や日数に応じて、その精神的な負担に対して支払われる慰謝料
- 後遺障害慰謝料・・・むちうちが治療で完治せず、後遺障害が残ってしまった場合に、認定された後遺障害等級に応じて支払われる慰謝料
それぞれの慰謝料相場について紹介します。
1-1:むちうちによる入通院の相場
むちうちの場合の入通院慰謝料の相場は、以下の通りです。
入通院慰謝料には、以下の3つの算出基準があります。
- 自賠責基準・・・法律で定められた最低限の補償
- 任意保険基準・・・自動車の保険会社が独自に定めている基準
- 裁判基準・・・裁判例を参考にした基準
自分で慰謝料を請求した場合、「自賠責基準」もしくはそれに近い金額である「任意保険基準」が適用されるのが一般的です。
その場合、最も高額になる裁判基準に比べると、以下のように大幅に少ない金額しかもらうことができません。
3つの基準とそれぞれの慰謝料の計算方法を簡単に紹介します。
1-1-1:自賠責基準
自賠責基準は、
- 加害者が任意保険に入っていない
- 加害者が任意保険を使わない
- 被害者に一定の過失がある場合
などに適用される基準です。
自賠責基準の場合、
- 実通院日数(病院に通った日数)×2
- 治療期間(病院に通った期間)
のどちらか短い方の日数に「4200円」をかけて計算した金額が、示談金の相場になります。
【自賠責基準の計算方法の具体例】
①病院に通った期間・・・6ヶ月
②病院に通った日数・・・60日
上記の条件の場合、②60日×2=120日の方が①の180日より少ない日数になるため、120日に4200円をかけた金額が慰謝料の金額になります。
120日×4200円=50万4000円
1-1-2:任意保険基準
任意保険基準は、被害者であるあなたが、自分だけで示談しようとする場合に適用される基準です。
各保険会社が独自に設定している基準ですので、具体的な金額は公開されておらず、正確な相場は分かりません。
ただし、一般的に言って、裁判基準より自賠責基準に近い金額になるとお考えください。
1-1-3:裁判基準
裁判基準とは、弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準です。
裁判基準は、過去の裁判所の判例から、以下のように定められています。
【弁護士基準の入通院慰謝料(通常のもの)】
※単位は万円
上記の場合、入院が0日、通院が6ヶ月の場合は「116万円」になります。
先ほどの例では、自賠責基準の入通院慰謝料は6ヶ月で60日通院した場合で「50万4000円」でしたので、裁判基準の示談金相場の方が、2倍以上高額になることが分かると思います。
■他覚症状がない場合の慰謝料は少なくなる
ただし、ここで注意点があります。
むちうちで、他覚症状(他人から見て分かる症状)がない場合は、以下の表が適用され、多少後遺障害が安くなることもあるということです。
つまり、むちうちの自覚症状はあるが、MRIの画像上には何も症状が見当たらない、という場合です。
弁護士としての経験上、むちうちの場合は、多くのケースでこちらの基準が適用されます。
【弁護士基準の入通院慰謝料(むちうち症で他覚症状(他人から見て負傷の有無が分かる症状)がない場合等)】
ただし、病院で適切なテストや検査を受けた結果、他覚症状が明らかになり、「通常の場」の表が適用されることもあります。
適切なテストや検査を受けるためのポイントなどについて、詳しくは5章で解説します。
1-2:後遺障害が残った場合の相場
むちうちで後遺障害等級が認められた場合、以下のどちらかの後遺障害慰謝料が支払われます。
【後遺障害等級とは】
後遺障害等級とは、後遺障害のレベルに応じて、申請することで認めてもらう等級のことで、1級から14級まであります。
もっとも重い後遺障害が1級、軽いのが14級です。
むちうちの場合は、後遺障害が重い場合は12級13号、軽い場合は14級9号になると決められています。
後遺障害が残れば、それ以降の生活で精神的な苦痛を受けることがありますよね。
その苦痛に対して支払われるのが後遺障害慰謝料なのです。
後遺障害慰謝料にも、以下の3つの基準があります。
- 自賠責基準・・・法律で定められた最低限の補償
- 任意保険基準・・・自動車の保険会社が独自に定めている基準
- 裁判基準・・・裁判例を参考にした基準
2章:むちうちで認定される可能性がある後遺障害等級
むちうちに限りませんが、交通事故で慰謝料を請求する上でとても大事なのが「後遺障害等級」です。
なぜなら、妥当な後遺障害等級が認められなければ、後遺障害慰謝料の金額が大幅に変わってくるからです。
たとえば、むちうちの場合、12級13号なら、裁判基準で「290万円」、14級9号なら「110万円」です。
もしあなたの症状が12級13号に該当するものなのに、間違って14級9号しか認定されなかった場合、180万円分も損してしまうことになります。
そのため、これから紹介する後遺障害等級の知識を知っておいてください。
2-1:12級13号
むちうちで後遺障害等級が認められる場合、稀に12級13号が認められることがあります。
(14級9号が認められることの方が圧倒的に多いです。)
■12級13号の後遺障害等級の認定基準
12級13号は症状としては、
「局部に頑固な神経症状を残すもの」
であり、後遺障害等級の認定基準(自賠責保険)では、
「障害の存在が医学的に説明可能なもの」
とされています。
■12級13号が認められやすい場合
簡単に言うと、後遺障害の症状が、
- MRIの画像から神経が圧迫されていることが分かる
- 痛みやしびれに関する医学的な検査(テスト)で、圧迫されている神経と痛みなどの症状が出ている部分に関連があることが分かる
ということが共に認められる場合に、12級13号が認定されることがあるということです。
また、むちうちで多いのが肩の可動域に後遺障害が発生することで、この場合は12級6号が認められることがあります。
■12級13号が認められにくい場合
逆に言えば、
- 自覚症状があってもMRIやレントゲン、CTなどの画像に、神経の圧迫などが出ていない
- 痛みやしびれに関する医学的な検査(テスト)を受けて、圧迫されている神経と痛みなどの症状が出ている部分が一致しない
などの場合は、12級13号が認められる可能性は低いです。
2-2:14級9号
むちうちで後遺障害等級が認められる場合、ほとんどが14級9号に該当します。
弁護士としての経験上、むちうちで後遺障害等級を申請した場合、4割程度が14級9号に認定される傾向があります。
■14級9号の後遺障害等級認定基準
14級9号は、症状としては、
「局部に神経症状を残すもの」
で、後遺障害等級の認定基準(自賠責保険)では、
「障害の存在が医学的に説明可能なもの」
ということになっています。
これだけでは難しいですが、具体的に言うと、
- MRIやレントゲン、CTなどの画像で、神経の圧迫が見られるが、医学的なテストをした結果、後遺障害の症状が出ない
- 画像上圧迫されている神経と、異常が出ている部位とが異なる
などの場合は、12級13号は認められず、14級9号が認められることが多いです。
(後遺障害等級が認められないこともあります。)
さらに、弁護士としての経験上、以下のような要素も14級9号が認められるかどうかに関わることがあります。
- 乗っていた車がどのくらい壊れたか?
→修理費用が50万円にもいかない程度の軽い事故の場合、認められにくい - 通院期間が最低6ヶ月はある
→通院が6ヶ月に満たない場合でも、14級が認定された例はあるので、あくまで目安になります。 - 接骨院ではなく理学療法士がいる整形外科に通っている
あくまで経験上のことなので、これが認定基準になるというわけではありませんが、参考程度に考えてください。
3章:後遺障害等級認定の手続きの流れ
交通事故でむちうちの後遺障害が残った場合、以下の流れで後遺障害等級の手続きを行う必要があります。
「後遺障害診断書」とは以下のようなものです。
後遺障害等級の申請方法には、以下の二つの方法があります。
上記の通り、「被害者請求」にすると妥当な後遺障害等級を認めてもらえる可能性が高まります。
後遺障害等級申請の具体的な流れについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【部位別・後遺障害等級表】交通事故で損しないための方法を弁護士が解説
4章:むちうちで妥当な慰謝料をもらうポイント
むちうちで後遺障害が残った場合、妥当な慰謝料をもらうためには、以下の点に注意して行動することが大事です。
【妥当な慰謝料をもらうための注意点】
- 痛みなどの症状を我慢せずしっかり治療を受ける
- 症状をすべて医者に伝える
- 症状を伝える時にウソをつかない
- 理学療法士がいる整形外科に通う
- 後遺障害診断書を作成してもらう前に適切なテストを受ける
- 症状固定前に弁護士に依頼する
4-1:痛みなどの症状を我慢せずしっかり治療を受ける
むちうちの治療を受ける方の中には、痛みやしびれ、可動域の制限などが残っていても、診断を受けた時に、
「もう大丈夫かもしれません」
「良くなってきました」
など、治ってきたことを匂わせるようなことを伝えることがあります。
どうしても、お医者さんを目の前にすると、全然改善していなくても、つい、治っているかのように言ってしまうことがありますよね。
でも、本当に改善していないのに、治ってきたことを匂わせるようなことを伝えると、カルテや診断書に記録され、「症状はなおっている」と判断されてしまいます。
その結果、後遺障害等級も認められなくなります。
そのため、痛みやしびれなどが改善していないのであれば、医者には遠慮せず、そのようにはっきりと伝え続けることが大事です。
また、治っていないのに通院を切り上げようとはせず
- 医師の指示にしたがい適切なペースで通院する(週2~3回など)
- 症状がなくなるまで(目安は半年程度)なるべく通院する
ということも大事です。
4-2:症状をすべて医者に伝える
むちうちの場合、首に関連する症状だけでなく、肩関節の可動域が制限される、という症状が出ることがあります。
しかし、人によってはむちうちとは関係ないと考えて、肩の症状を医者に伝えないことがあるようです。
それでは、あなたは妥当な後遺障害等級が認定されず、慰謝料が減ってしまう可能性があります。
なぜなら、実は、肩の可動域制限はむちうちによる首の痛みと、肩の痛みを明確に分けることは難しいと思いますが、そういう場合、実は、肩の方に痛みの原因があったとして、肩の後遺障害等級(12級6号)が認められることがあるからです。
そのため、勝手に「この症状は関係ないだろう」と思わずに、しっかり症状を伝えるようにしましょう。
4-3:症状を伝える時にウソをつかない
むちうちで後遺障害等級を認定してもらいたいからと言って、ウソの症状まで医者に伝えたりしないようにしてください。
その理由は2つあります。
①症状が途中で変わると信憑性が疑われるため
後遺障害等級が認められる上で重視されるのが、事故後から後遺障害等級申請時までの「症状の一貫性」です。
なぜなら、中には「より高い慰謝料が欲しい」と考えて、大げさにウソの症状を医師に伝える人がいるからです。
そのようなことをすると、「症状に一貫性がない」つまり「信憑性が疑わしい」と考えられ、妥当な後遺障害等級が認められないことがあります。
②神経学的に、該当の神経と症状が出る部分には関連性があるため
むちうちでは、
- 首の神経が圧迫される
- 神経の圧迫によって、身体の一部(たとえば手の指)に痛みやしびれが出る
ということがあります。
そのため、圧迫されている神経と、症状が出ている部位が異なると、神経の圧迫と症状に関連性がないと思われてしまいます。
その結果、妥当な後遺障害等級が認定されない可能性が高まるのです。
そのため、ありもしない症状をでっち上げることは絶対にやらないでください。
4-4:理学療法士がいる整形外科に通う
むちうちの場合、骨折などの大きな怪我に比べると症状が軽いため、
- 夜間でも空いている
- 近場にある
- 予約が取りやすい
などの理由から接骨院に通われる方も多いです。
しかし、むちうちに限らず妥当な後遺障害等級を認定してもらうためには、専門医に通うことが大事なポイントです。
なぜなら、専門医じゃなければ、
- 診断書が不正確である可能がある(特に、接骨院では、診断書は書いてくれません)
- 等級認定時に、「専門医にかからなければならないほどの症状ではなかった」と不利に判断される材料になる
という理由があるからです。
そのため、むちうちの場合は、接骨院などではなく、理学療法士がいる整形外科に通うようにしてください。
4-5:後遺障害診断書を作成してもらう前に適切なテストを受ける
後遺障害等級を認定してもらうためには、
むちうちの場合は、MRI、レントゲン、CTなどの画像上には症状が出ないことがあります。
その場合は病院で、
- ジャクソンテスト
- スパーリングテスト
- イートンテスト
- アドソンテスト
などと言われる、むちうちに関する症状のテストを受けることが大事です。
このテストでは、どのような症状が、どの程度出ているのか判断することができるため、このテストの結果が「後遺障害診断書」に書かれていることが、後遺障害等級の認定材料になるからです。
4-6:症状固定前に弁護士に依頼する
妥当な後遺障害等級を認定してもらい、少しでも多くの慰謝料をもらうためには、弁護士に依頼することをおすすめします。
なぜなら、
- 弁護士に依頼すると、後遺障害診断書作成時に医師に指示をしてくれる
- 必要な医学的な資料を集めてくれる
- 慰謝料の基準が裁判基準になり、慰謝料が高額になる
- 手間、時間、心理的ストレスが最小限になる
というメリットがあるからです。
ポイントは、症状固定前に弁護士に依頼することです。
なぜなら、症状固定時には後遺障害診断書を作成してもらうことになるため、その時点で弁護士が指示できた方が、妥当な等級が認められやすいからです。
交通事故の場合、弁護士費用特約を使うことで費用負担が0円になることもあります。
相談料も無料の法律事務所が多いですので、詳しくは弁護士に相談してみてください。
※交通事故に強い弁護士の選び方については、こちらの記事を参考にしてみてください。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
※弁護士費用の相場や、弁護士費用特約について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【事例別】交通事故の弁護士費用を最大限安くおさえる方法を徹底解説
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
【むちうちで認定される後遺障害等級】
- 12級13号:よりひどい症状の場合
- 14級9号:ほとんどのむちうちの後遺障害
【妥当な慰謝料をもらうための注意点】
- 痛みなどの症状を我慢せずしっかり治療を受ける
- 症状をすべて医者に伝える
- 症状を伝える時にウソをつかない
- 理学療法士がいる整形外科に通う
- 後遺障害診断書を作成してもらう前に適切なテストを受ける
- 症状固定前に弁護士に依頼する
早めに弁護士に相談し、損しないように行動してください。
【部位別・後遺障害等級表】交通事故で損しないための方法を弁護士が解説