
あなたは、以下のような疑問・悩みをお持ちではありませんか?
トラック運転手としてこれから働こうと考えている場合、休みがしっかり取れるのかどうか気になりますよね。また、すでにトラック運転手として働いているなら、正しいルールを把握したいと思うのではないでしょうか。
結論から言うと、トラック運転手の休みは少なく、休日出勤が多い実態があるようです。
しかし、トラック運転手には労働基準法上のルールがありますので、異常に休みが少ない場合は、「違法」である可能性があります。
そこでこの記事では、トラック運転手の休みの実態と休みのルールについて詳しく解説します。
さらに、トラック運転手の中でも休みが取りやすい職種、取りにくい職種についても紹介します。
最後までしっかり読んで、損する働き方をしないように行動していきましょう。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■トラック運転手の休みの実態
- トラック運転手の約1割は、1週間に1日も休日がない
- トラック運転手は土日休みが取得できないケースも多い
- 大型・長距離トラックほど休みが取りにくく、土日の休みも取得しにくい
■トラック運転手の休みのルール
- 休息期間
→拘束時間と拘束時間の間に、8時間以上の休息期間が必要 - 休日
→拘束時間8時間+休日24時間=32時間が取得できなければならない
→休日出勤は2週間に1日まで - 有給休暇
→申請すれば必ず取得できる
■休みが取りやすい運送会社
- 短距離、中距離の運送会社
- 大手の運送会社
■休みが違法に取得できない場合の対処法
- 労働基準監督署に相談する
- ホワイトな運送会社に転職する
目次
1章:トラック運転手の休みの実態
それではさっそく、トラック運転手の休みの実態を紹介します。
国土交通省の調査によると、トラック運転手の休日の実態について、以下のような結果が出ています。
※平成27年9月14日〜20日の7日間の調査(国土交通省「トラック運送状況の実態調査結果」)
これを見て分かるように、トラック運転手の約1割は、1週間に1日も休日がないという実態があることが分かります。
また、車種別に見ると、大型トラックほど休日を取得できないトラック運転手の割合が高く、普通トラックは4%とかなり少ないことが分かります。
さらに、地方別に見ると以下のような結果が出ています。
※平成27年9月14日〜20日の7日間の調査(国土交通省「トラック運送状況の実態調査結果」)
地方別に見ると、休日を取得できないトラック運転手の割合が最も高いのが九州で、その次が東北、四国です。地方によって片寄っていることが分かります。
トラック運転手の職種にもよりますが、私がこれまでに受けてきた相談では、小型トラックのエリア配送の人は休みが取りやすく、土日の休みも取れることがあるようでした。小型トラックの方が定期運行が多く、労働時間のずれが発生しにくいからです。
一方で、大型・長距離トラックほど休みが取りにくく、土日の休みも取得しにくいようでした。特に食品輸送などは、どんな時期でも頻繁に運送する必要があるため、土日祝日やGW、盆正月も、ローテーションで休日を取得します。そのため、休日は週に1日程度で、さらに取得できる曜日もバラバラ、という実情があるようです。
このように、トラック運転手は職種によってはブラックなことが多いため、休みをしっかり取りたい場合は、3章で解説する運送会社を選んで就職・転職することをおすすめします。
2章:トラック運転手の休みのルール
トラック運転手の場合、休みについて他の職種とは異なるルールが適用されます。そのため、しっかり把握していないと、知らず知らずのうちに違法な状況で働かされていることもあります。
ただし、休みにも種類がありますので、
- 休息期間
- 休日
- 有給休暇
について順番に解説していきます。
2−1:トラック運転手の休息期間
トラック運転手の休みのルールを把握するためには、まずは「休息期間」についてのルールを知っておく必要があります。
【休息期間とは】
トラック運転手が連続して労働し続けることがないように設定される、拘束時間と拘束時間の間の自由な時間のこと。
※拘束時間とは、1回に勤務における、始業から終業までの労働時間と休憩時間を合わせた時間のことです。
簡単に言うと、一定時間の休息を毎日取得しなければならない、というルールがあるのです
休息期間は、トラック運転手が働き過ぎて事故を起こしたり、健康障害を発症しないように定められているもので、勤務終了後、8時間以上の連続した時間が1休息になります。
休息期間が8時間未満になると違法ですので、労働基準監督署(※)に相談することをおすすめします。
※労働基準監督署とは、労働基準法にのっとって会社を監督・指導する行政機関のことで、無料で相談することができます。
2−2:トラック運転手の休日のルール
次に、トラック運転手の休日のルールについて紹介します。
休日には、法律上、会社が社員に与える義務のある休日(法定休日)と、法律上の義務ではなくても、会社が社員に与える休日があります。
会社が社員に与える休日は、会社ごとにルールが異なるため、ここでは法律上の休日のルールを解説します。
トラック運転手は、休日について「休息時間+休日」で考えるルールがあります。詳しく説明しましょう。
トラック運転手の場合は、拘束時間が日をまたがることもあります。休日の当日に残業が伸び、帰りが深夜3時になっていた場合、その日は休日でも24時間―3時間=21時間しか休むことができません。これでは1日休んだとは言えないため、休息期間+休日で「1休日」になります。
先ほどもお伝えしたように、休息期間は8時間以上というルールがあるため、
休息期間8時間+休日24時間=32時間
の時間が確保されて、それが1休日となります。
休日が32時間未満しかなければ違法です。
さらに、トラック運転手には、休日出勤に関するルールもあります。
法律上、どんな仕事でも週に1日以上の休日(法定休日)を取ることが義務づけられています。しかし、会社と社員との間で休日出勤を認める協定(36協定)を締結していれば、休日出勤が可能になります。
ただし、トラック運転手の場合は、労働の負担が重くならないように、休日出勤は2週間に1日までしか認められません。
2−3:有給休暇のルール
有給休暇について、「会社の許可がないと取得できない」と誤解されていることが多いです。
しかし、実は有給休暇は、会社に申請すれば必ず取得することができます。なぜなら、有給休暇は法律上、以下の日数が与えられることが決められているからです。
会社は、社員からの有給休暇の申請を拒否することができません。もし、有給休暇を取得するとペナルティが与えられるようなことがあれば、違法です。
3章:休みが取りやすいトラック運転手の職種
それでは、休みが取りやすいトラック運転手の職種について紹介します。
3−1:短距離、中距離の配送業務
短距離、中距離の配送業務を行うトラック運転手は、休みが取りやすい傾向があるようです。
なぜなら、短距離、中距離の配送は1度の運転距離が長くなく、道路状況や天候、荷受人の都合などで多少のズレが生じても、大幅に仕事の時間が延びることはないからです。
一方、大型トラック、長距離トラックの場合は、運転する距離が長いため、労働時間も長時間化しがちで、休みが取りづらい傾向があるようです。
そのため、もしあなたが休みを取りやすい仕事がしたい場合、トラック運転手の中でも短距離、中距離の仕事を選ぶことをおすすめします。
3−2:大手の運送会社
大手の運送会社のトラック運転手も、休みを取りやすい傾向があるようです。理由は2つあります。
①トラック運転手が多いため
大手の方がトラック運転手の数が多く、業務量もシステムで管理されているため、急に業務が発生したり事故で仕事が長時間化しても、人員の量で対応が可能です。
業務の調整が柔軟であるため、休みを取りやすいのです。
②コンプライアンスがあるため
大手の運送会社の場合、トラック運転手を違法に働かせ、それが明るみになると、企業イメージが傷つきます。
大手の会社ほどコンプライアンスを大事にせざるを得ないため、休みが違法に取れない状況で働かせられる可能性は低いはずです。
一方で、規模の小さい中小企業だと、
- 社員が少ないため、イレギュラーに対応することが難しい
- 社員数が少ないため、社員を騙したり脅したりすることで、違法に働かせても告発されないようにコントロールできる
などの理由から、休みが取りにくいことも多いようです。
4章:違法に休みがない場合の対処法
2章でお伝えした通り、
- 休息期間が8時間に満たない
- 休日が休息期間とプラスしても32時間に満たない
- 法定休日の労働(休日出勤)が毎週ある
- 有給休暇の取得を拒否される
などの場合は違法ですので、なんらかの行動をおこして現状を変えることをおすすめします。
そこで、違法な場合の対処方法として、
- 労働基準監督署に相談する
- ホワイトな運送会社に転職する
という方法をお伝えします。
4−1:労働基準監督署に相談する
もし、違法な場合で働かされている現状を変えたいなら、労働基準監督署に相談することをおすすめします。
労働基準監督署とは、労働基準法にのっとって会社を監督・指導する行政機関です。
労働基準監督署は、労働者からの相談や申告(※)を受けると、労働基準法にのっとったアドバイスをしてくれたり、会社の違法行為が認められる場合は、会社への立ち入り調査や「こう改善しなさい」という是正勧告をしてくれる可能性があります。
ただし、労働基準監督署慢性的な人員不足です。全国に400万社の会社があるのに対して、労働基準監督官は全国に3000人しかいません。そのため、労働災害や人命に関わるような危険な案件でなければ、労働基準監督署が動いてくれない可能性も高いです。
4−2:ホワイトな運送会社に転職する
もう一つの選択肢は、しっかり休みが取れるホワイトな運送会社に転職することです。
そのまま違法な状況で働かせられ続けると、疲労が回復できず重大な事故を起こしてしまう可能性もあります。
そのため、できるだけホワイトな運送会社を探して、就職・転職しましょう。
ブラックな運送会社、ホワイトな運送会社の見分け方について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【徹底解説】ブラック運送業の実態と良い会社を見分ける7つのポイント
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容を振り返りましょう。
【トラック運転手の休みの実態】
- トラック運転手の約1割は、1週間に1日も休日がない
- トラック運転手は土日休みが取得できないケースも多い
- 大型・長距離トラックほど休みが取りにくく、土日の休みも取得しにくい
【トラック運転手の休みのルール】
- 休息期間
→拘束時間と拘束時間の間に、8時間以上の休息期間が必要 - 休日
→拘束時間8時間+休日24時間=32時間が取得できなければならない
→休日出勤は2週間に1日まで - 有給休暇
→申請すれば必ず取得できる
【休みが取りやすい運送会社】
- 短距離、中距離の運送会社
- 大手の運送会社
【休みが違法に取得できない場合の対処法】
- 労働基準監督署に相談する
- ホワイトな運送会社に転職する
この記事の内容をしっかり覚えて、損しないように行動していきましょう。