- 更新日:2024.09.09
- #トラック運転手年収
トラック運転手は稼げる?年収・必要資格とブラック企業を避けるポイント
この記事を読んで理解できること
- トラック運転手の年収は平均446万円
- トラック運転手の給料の仕組みや手当
- トラック運転手の仕事がきつい6つの理由
- ブラックな運送会社を見抜く4つのポイント
- 給料・残業代の請求は弁護士に依頼しよう
- トラック運転手になるために必要な資格
あなたは、
「トラック運転手の年収が知りたい」
「トラック運転手の年収は高いと聞いたけど本当?」
「トラック運転手は本当に稼げる?」
などとお考えではないですか?
令和3年の厚生労働省の調査によると、トラック運転手の年収は平均446万円となっています。
また、トラック運転手の場合は、大型トラックの運転手の方が給与は高く、さらに企業規模によって年収は変わってきます。
一般的に、トラック運転手は「稼げる」というイメージがありますが、実態は労働時間が長時間に渡る一方で、平均年収は各産業全体の平均よりも少なくなっています。
また、運送会社の中には、残業代が全額出ないことも多く、仕事を続けるうちに「こんなはずじゃなかった・・・」と思う人も多いようです。
そこでこの記事では、まずはトラック運転手の平均年収について、年齢や車種・会社規模などに分けてご紹介します。
次に、トラック運転手の給与の仕組みや手当、労働実態から、ブラックな運送会社を見抜く4つのポイントと、残業代の請求方法について解説します。
そして最後に、トラック運転手になるために必要な資格などについて解説します。
最後までしっかり読んで、あなたの求める仕事がトラック運転手なのかどうか判断してみてください。
目次
1章:トラック運転手の年収は平均446万円
この章では、令和3年の厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を参考にして、トラック運転手の年収の実態や特徴を紹介します。
調査項目としては、次の2つがあげられます。
- トラック運転手の年齢別給与比較
- 車種・企業規模別の給与比較
それぞれ解説していきます。
1-1:トラック運転手の年齢別年収比較
厚生労働省の調査によると、トラック運転手の平均給料は次のようになっています。
この調査によると、トラック運転手の平均給料は「32万9800円」で、もっとも高くなるのは40代後半で「35万5400円」となっています。
さらに、年間賞与やその他の特別支給額は、平均で「50万5300円」、40代後半では「58万6400円」となっています。
年収について、
年収=月給×12ヶ月+年間賞与
と考えると、
32万9800円×12ヶ月+50万5300円=446万2900円
と、平均年収は約446万円となります。
また、この調査から「年を取ると稼げなくなる」という特徴も分かります。
40代後半の「年収約485万円」のピークから、50代に入ると下がり始め、一般的な会社員が引退し始める60代前半には「約390万円」まで、100万円近くも下がってしまいます。
1-2:車種・企業規模別の給与比較
次に、トラックの車種(大きさ)と会社の規模別の給料の平均額は、次のようになります。
まず、大型車の運転手とそれを除く運転手を比べた場合、大型車の運転手の方が、給与は企業規模にかかわらず高くなっています。
企業規模10人以上で見た場合、先に解説したようにそれぞれの年収を計算してみると、
【大型車の運転手の年収】
35万4000円×12+38万3900円=463万1900円
【大型車を除く運転手の年収】
32万500円×12+46万300円=430万6300円
となります。
平均年収で見ると、大型車の運転手の方が、30万円以上高くなります。
また、企業規模で比べてみると、1000人以上の大きな企業の方が、どちらの区分の運転手も、月給・賞与その他ともに最も高くなっています。
つまり、トラック運転手の場合は、大型車の運転手の方が給与が高く、また車種に関係なく規模の大きな会社ほど稼げることが分かります。
先ほどと同様の調査で平均給与を、会社の従業員数で比べてみると次のようになります。
これを見て分かるように、トラック運転手の平均月額給与は「約33万円」で、これは、残業代や休日手当も含んだ額面の給与になります。
平均年収は「約446万円」で、従業員1000人以上の大企業では年収は「約490万円」になっています。
それでは、各産業全体の平均給与も見てみましょう。
これを見ると、平均月額給与は「約33万5,000円」で、平均年収は「約489万円」になっています。
トラック運転手の平均給与は、各産業全体の平均よりも少なく、特に年間賞与に差が見られ、会社の規模が大きくなるほど年収の差は広がっています。
ここまで解説したように、トラック運転手は、そこまで稼げる仕事というわけではありません。
しかも、中には不当に少ない額しか給料を支払わず、それを正当化しようとする会社もあるため、注意が必要です。
そこで、次にトラック運転手の給料の一般的な仕組みとルールについて解説します。
2章:トラック運転手の給料の仕組みや手当
この章では、トラック運転手の給料の仕組みや、各種の手当について取り上げていきます。
- トラック運転手の給料制度
- 無事故手当などの各種手当
それぞれ解説していきます。
2-1:トラック運転手の給料制度
トラック運転手は、次の2つの給与制度が取られていることが多いです。
- 歩合給制
- みなし残業代制
これらは、一般的な、「残業するほど残業代が増える」という給料の仕組みとは異なりますので、仕組みとルールをしっかり押さえておく必要があります。
2-1-1:歩合給制
歩合給制とは、「個人の成績や売り上げに応じて給与が計算される給与体系」のことです。
例えば、
- 月の売上げの○%が給料に加算される
- 年間売上げの○%が賞与として支払われる
などの形で算出されます。
トラック運転手の場合は、売上げの中から会社のガソリン代、トラックの維持費、会社の諸経費等が引かれ、その残りの30%〜40%程度が歩合給として運転手に支払われることが多いようです。
歩合給制には、
① 固定給+歩合給…固定給にプラスして、出来高に応じて給与が支払われる
② 完全歩合給制…給与のすべてが出来高に応じて支払われる
という2つがありますが、実は②は「成績が悪い場合に給与があまりにも低くなり最低賃金すら保証されない」という理由から、原則的に「違法」とされています。
そのため、トラック運転手は、
固定給20万円+歩合給(売上げの35%)
というような形式で給料が支払われるのが一般的です。
このような、歩合給制の場合に注意して欲しいのが、歩合給制であっても残業代が発生するということです。
残業代は、1日8時間・週40時間のどちらか一方でも超えて労働した場合に、その時間分発生するものです。
これは、歩合給制の場合も同じです。
しかし、歩合給制について、単に「働いた分だけ給料が増える」仕組みだと勘違いされていることも多いです。
特にトラック運転手は、1日8時間を超えるような長時間労働が日常化していることが多く、「歩合給制でも残業代が出る」とは思われていないケースが非常に多いです。
もしあなたも、歩合給制を理由に残業代をもらえていなければ、後から請求して取り返すこともできます。
詳しくは、以下の記事をご覧になってみてください。
「歩合給制だから残業代が出ない」は間違い!正しいルール・計算方法
2-1-2:みなし残業代制
同じくトラック運転手の給与体系に多いのが、「みなし残業代制」です。
みなし残業代制とは、「毎月一定時間の残業があることを前提に、一定額の残業代を定額で支払う」という仕組みのことです。
例えば、
- 固定給に○○円分の残業代を含んでいる
- ○○手当という形で、毎月残業代を支払っている
などと会社から言われていたら、あなたの給与もみなし残業代制です。
ただし、注意して頂きたいのは、みなし残業代を理由に、どれだけ働いても残業代が変わらない場合は、それは違法である可能性が高いということです。
なぜなら、みなし残業代制では、みなし残業代が何時間の残業に対して支払われるのか、雇用契約等で定められていなければならず、定められた時間を超えて残業した場合は、残業代が発生する仕組みだからです。
あなたも、残業代がしっかりもらえているかどうかで、毎月の給料の金額も大きく変わりますので、自分の状況は違法ではないか確認してみてください。
自分の給与体系がどのようになっているのか確認するためには、就業規則を確認するのが一番手っ取り早いです。
しかし、トラック運転手の場合は、給与体系が複雑になっていることも多いため、内容がよく分からない場合は、弁護士等の専門家に聞いてみることをおすすめします。
給料・残業代の請求を弁護士に依頼した場合の流れについては、この後5章で解説します。
2-2:無事故手当などの各種手当
トラック運転手の場合、給与明細を見るといろいろな手当てが支給されています。
- 役職手当
- 皆勤手当
- 時間外手当
- 深夜手当
- 無事故手当
- 住宅手当
- 家族手当
これらの他にも、運送会社それぞれで独自の手当を支給している場合もあります。
この中で時間外手当とは、一般的に言う残業代にあたり、厳密に言うと法定外残業に対する手当になります。
深夜手当とは、原則として午後10時から午前5時までの時間に労働した場合の手当になります。
時間外労働、深夜労働が発生した場合は、ともに時給(基礎賃金)の1.25倍の割増賃金が支払われます。
また、時間外かつ深夜労働の場合は、両者の割増率を掛け合わせた1.5倍の割増賃金が支払われます。
無事故手当とは、月間を通して運転による事故や、荷物の破損事故を起こさなかった運転手に対して支給されるものです。
法的に定められたものではありませんが、多くの運送会社が1~3万円程度の無事故手当を支給しています。
割増賃金について、詳しくは次の記事で解説しています。
残業代も割増しになる!3つの割増賃金と割増率や正しい計算方法を解説
3章:トラック運転手の仕事がきつい6つの理由
トラック運転手の仕事がきついといわれる理由は、次の6つです。
- 拘束時間が長い
- 深夜労働が多い
- 道路状況や荷受人の都合に振り回される
- 積み下ろし作業を行わなければならないことがある
- ネットショッピングによる荷物量の増加と配達指定
- 6割以上の運送会社で人手不足
それぞれ順番に解説します。
3-1:拘束時間が長い
トラック運転手の仕事がきつい最大の理由は、拘束時間の長さです。
会社にもよりますが、トラック運転手の場合は、運転時間以外にも朝礼、出発前の点検などの準備、整備の時間、トラックを掃除する時間など様々な業務が発生します。
さらに、トラック運転手の業務では、「荷待ち時間」がかかる場合があります。
令和3年の調査によると、荷待ち時間のある運行の場合、平均荷待ち時間は 1 時間 34 分でした。
これは、平成27年の調査に比べると11分短くなっていますが、荷待ち時間のない運行に比べるとその分拘束時間が長くなっています。
さらに、令和3年の調査では、荷物の積み下ろしの作業「荷役時間」が、平成27年の調査に比べてかなり短くなっていますが、それでも約1時間半の時間がかかっています。
- 令和3年
平均拘束時間:12時間26分
荷待ち時間:1時間34分
荷役時間:1時間29分
- 平成27年
平均拘束時間:13時間27分
荷待ち時間:1時間45分
荷役時間:2時間44分
- 令和3年
平均拘束時間:10時間38分
荷役時間:1時間29分
- 平成27年
平均拘束時間:11時間34分
荷役時間:2時間49分
運送会社以外の多くの会社員の場合は、拘束時間は「労働時間+休憩時間」の9時間で、残業が3時間あってもようやく12時間に達する程度です。
トラック運転手の場合は、そもそも仕事に費やす時間が長く、平均拘束時間が12時間もあるため、それが仕事のきつさに繋がっています。
3-2:深夜労働が多い
さらに、トラック運転手は、業務が深夜に及ぶことも多い仕事です。
トラック運転手に深夜労働が必要になる理由として、次の2つがあります。
①渋滞を避けるため
特に長距離ドライバーの場合は、渋滞すると運転時間が長時間化してしまいます。
そのため、できるだけ渋滞を避けるために、深夜に運転することも多いのです。
②荷受人の都合
ほとんどの小売店は、朝9時、10時頃に開店します。
そのため、7時頃からその日の開店準備を始めることが多いです。
また、コンビニは、店舗が混み始める前の早朝5時、6時ごろに搬入作業をするのが一般的です。
そのため、こうした荷受人の都合に合わせて、トラック運転手は早朝に納品する必要があり、深夜に配送業務を行うことが多いです。
このように、トラック運転手は深夜労働が多いため、生活リズムが昼夜逆転し、心身への負担が大きくなります。
深夜労働が多いことも、トラック運転手の仕事がきつくなる理由の1つです。
3-3:道路状況や荷受人の都合に振り回される
トラック運転手の場合、労働時間が道路状況や荷受人の都合で左右されることも、仕事がきつい理由の1つです。
トラック運転手は、配送業務という仕事柄、どうしても道路状況の影響を受けます。
しかし、道路状況は、事故や天候、イベント、工事など様々な理由で乱れることが多いため、配送にかかる時間が数時間単位で変わることもあります。
さらに、トラック運転手の場合、荷待ち時間や荷役時間が必要になるなど、荷受人の都合によっても労働時間が変わります。
例えば、配送先の倉庫にトラックが集中し、荷待ち時間が数時間も発生してしまうケースや、個人宛の配送業務の場合は、受取人が不在で再配達が必要になるケースなど様々です。
このような、道路状況や荷受人の都合による影響は、労働時間が長くなるだけでなく、精神的なストレスにも繋がっています。
3-4:積み下ろし作業を行わなければならないことがある
先に解説した実態調査にもあるように、トラック運転手は、運転業務以外にも、荷物の積み下ろし作業をやらなければならないケースも多いです。
荷物の積み下ろし作業は、
- フォークリフト
- 手作業
の2パターンがあります。
フォークリフトの場合体力は消耗しませんが、それなりの技術力が必要ですし、そもそもフォークリフトの免許を持っていなければ扱うこともできません。
また、手作業で積み下ろしする場合は、体力面の消耗が非常に大きくなります。
特に、夏場の荷台に入っての作業は、身体への負担が非常に大きくきつい仕事です。
このように、積み下ろし作業があることも、トラック運転手の仕事がきつい理由の1つです。
3-5:ネットショッピングによる荷物量の増加と配達指定
近年、ネットショッピングを利用して買い物をする人が増えたことで、宅配便の量が急増しています。
それに伴って、トラック運転手の業務量も大幅に増えています。
国土交通省が集計した「令和3年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」によると、令和3年度の宅配便の取扱個数は、49億5300万個となっています。
平成28年度の調査では、宅配便の取扱個数は40億1900万個となっていたので、5年間に9億3400万個も増加したことになります。
しかも、国内の物流の9割以上がトラック運転手によって担われています。
物流の手段には、
- 航空
- 鉄道
- 海運
- トラック
がありますが、航空、鉄道、海運を合わせても全体のわずか8.7%で、それ以外はすべてトラックによって担われています。
そのため、宅配便の急増がトラック運転手の業務量にダイレクトに繋がり、トラック運転手の仕事がきつくなるのです。
3-6:6割以上の運送会社で人手不足
運送会社の間で「人手不足」が広がっていることも、トラック運転手の仕事がきつい理由の1つです。
全日本トラック協会の調査によると、令和4年6月時点の「貨物自動車運転者」の有効求人倍率は「2.01」で、全職業の有効求人倍率「1.09」のほぼ倍となっています。
人手不足を感じている運送会社の数は、大きく増加してきています。
また、令和4年4月~6月期のデータを見ると、運送会社でトラック運転手の人手不足を感じている会社の割合は、次のようになっています。
- 運転手が不足している:17.7%
- 運転手がやや不足している:45.9%
合計で、6割以上の会社が、トラック運転手の人手不足を感じているのです。
そのため、トラック運転手1人当たりの労働量が増え、仕事がよりきつくなりがちな現状にあります。
さらに、トラック運転手の場合、あまりにも仕事がきつい場合は、違法な状況で働かされている可能性もあります。
そこでこれから、ブラックな運送会社を見抜くポイントを解説します。
4章:ブラックな運送会社を見抜く4つのポイント
運送会社に就職・転職する場合に、注意しなければならないことがあります。
それは必ず、受ける会社がブラック企業ではないか、事前に調べておくことです。
なぜなら、運送業界には、
- 車両の安全対策を怠り、繰り返し死亡事故が発生している
- 労働災害が多く発生している&労働災害を隠している
- 社員を不当に安い賃金で長時間労働させている
などのブラックな会社が多いため、入ってみてはじめて「とんでもないブラック企業だった」と気付くこともあり得るからです。
法律に違反して、書類送検されたブラック企業は、厚生労働省が公表しているリストから確認することができます。
しかし実際には、厚生労働省が確認できていない、数多くのブラック企業が存在します。
そのため、それらを見分ける判断基準を、事前に知っておくべきです。
これから、ブラックな運送会社に入らないための4つのポイントについて解説します。
4-1:古い車両ばかりを使っている
トラック運転手という仕事につきものなのが、事故です。
その事故のリスクを最小限にしてくれるのが、衝突被害軽減ブレーキや車線一脱警報装置などの安全装置です。
こうした安全装置は、古い車両には十分に搭載されていないことが多いです。
そのため、ある程度利益を上げている運送会社では、最新の安全装置を搭載した車両を導入していますが、利益を上げていない会社や、社員を大事にしていない会社は導入していないことがあります。
十分に安全に配慮している会社で働くためには、古い車両ばかりの会社はできるだけ避けるべきでしょう。
4-2:ドライバー・車両の数が少ない
利益を上げている会社、離職者の少ない会社は、しっかりとドライバーや車両を確保して業務を行っています。
他方で、離職者が多い会社や利益が上がっていない会社は、ドライバーや車両の数が不足しており、少ない従業員を低い賃金で長時間こき使っている可能性があります。
そのため、できるだけ車両やドライバー数が多い会社を選ぶことが重要です。
4-3:平均勤続年数が短く離職率が高い
常に求人をかけている企業は、離職率の高いブラック企業である可能性があります。
そのため、
- どのくらいのペースで求人を出しているか
- 求人に期限をつけているか
などをチェックしてみましょう。
また、離職率に関する情報は、
- 四季報
- 転職系口コミサイト
- 企業規模と採用人数を照らし合わせてみる
などの方法でもチェックできますので、ぜひ調べてみてください。
4-4:長時間のみなし残業時間がある
みなし残業時間をあらかじめ規定しておくこと自体は、必ずしも違法ではありません。
しかし、たとえば、求人票などに、
「残業手当あり(みなし残業100時間分)」
などと書かれている場合は、基本的に毎月最低それだけの残業があると考えられるため、長時間残業が常態化しているブラック企業であると考えられます。
このような長時間労働を想定したみなし残業代は、無効になる可能性が高いです。
情報収集の手段としては、
- 転職口コミサイトで調べる
- 会社に面接に行ったときに車両や職場の雰囲気をチェックする
などが考えられます。
工夫次第で情報を集めることはできますので、常にアンテナを張っておきましょう。
ブラック企業を見分けるポイントについて、理解することはできましたか?
最後にもう一点知っておいて欲しいことがあります。
それは、これから転職するのであれば、転職にあたって、今の会社に残業代を請求することで、残業代を取り返せる可能性があるということです。
5章:給料・残業代の請求は弁護士に依頼しよう
2章で解説したように、今の給料や残業代が適正に支払われているか確かめたい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。
なぜなら、残業代の計算や会社との交渉は、専門的な知識が必要なため、1人で戦っては会社側に負けてしまうおそれが大きいからです。
弁護士に相談するというと
「裁判みたいな大事になるのはちょっと・・・」
「費用だけで100万円くらいかかるのでは?」
と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、弁護士に頼む=裁判ではありません。
残業手当請求のためにいきなり裁判になることは少なく、多くの場合「交渉」や「労働審判」という形で会社に対して残業代を請求していきます。
また、残業代請求に強い「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。
弁護士に依頼した場合、
- 交渉
- 労働審判
- 訴訟(裁判)
という流れで、解決に向けて手続きが進められていきます。その内容について順番に解説しています。
5-1:弁護士と会社の「交渉」
交渉とは、弁護士が会社との間に入って、電話・書面・対面で直接会社と話し合い、トラブルの解決を図るものです。
弁護士があなたからヒアリングした内容をもとに交渉するため、あなたが会社に出向いたり会社の人と会う必要はありません。
また、あなたが在職中で、これから退職を考えている場合は、実際に交渉を開始する時期については相談可能です。
つまり、会社にばれないようにこっそり準備を進め、退職と同時に残業代を請求し、交渉を開始するということも可能です。
交渉で合意に至らなかった場合は、労働審判や訴訟に進むことになります。
5-2:交渉で解決しなかった場合は「労働審判」
交渉で決着が付かなかった場合は、労働審判を申し立てます。
労働審判とは、裁判所に行き、あなたと会社・裁判官などの専門家で問題の内容を確認し、解決の方法を探す方法です。
裁判よりも手続きが簡単で費用も少なく、解決までの期間も短いのが特徴で、1回目で決着するパターンも多いです。
最初の1回のみはあなたも行く必要がありますが、弁護士に依頼すれば2回目以降は参加する必要がないことが多いです。
労働審判は以下のような流れで、解決まで進められます。
第1回労働審判で解決されれば、申立てから1〜2か月程度、第2回、第3回まで延びれば1か月〜2か月程度期間も延びることになります。
労働審判は、最大3回までと決められているため、裁判のように何回も裁判所に行ったり、長期化することがないのが特徴です。
多くの場合、「交渉」か「労働審判」で決着が付きますが、労働審判において決定されたことに不服がある場合は、「訴訟(裁判)」へ移行します。
5-3:最後の手段が「訴訟(裁判)」
訴訟(裁判)は労働審判と違い、何回までという制限がなく、長期に渡り争い続ける可能性があります。
ただしあなたは、本人尋問を除けば、ほとんど出廷する必要がありません。
訴訟(裁判)では、裁判所で「原告(あなたもしくは、あなたが依頼した弁護士)」と「被告(会社)」が主張し合い、裁判官が判決を下します。
訴訟の流れは、次のようになっています。
最高裁まで行くことはほとんどないため、多くは地方裁判所までの1〜2年程度で終わるようです。
ただし、先ほどお伝えした通り、裁判まで行くことはほとんどなく労働審判で決着がつきます。
このように、弁護士を利用して訴えれば、あなたが思うよりも手間・時間・お金をかけずに、残業代を請求することができるのです。
6章:トラック運転手になるために必要な資格
トラック運転手は、物流・倉庫会社に限らず、土木・建築会社、引っ越し会社、水道・電気・電話などのインフラ系の会社、産業廃棄物・ゴミ処理会社など、様々な会社で求められます。
しかし、必要とされる資格は、主に自動車の運転免許のみです。
主な3つの運転免許についてご紹介します。
6-1:長距離配送で必要な大型自動車運転免許
大型トラックでの長距離配送は、トラック運転手の中でももっとも稼げる職種です。
ただし、「大型自動車運転免許」が必要になり、受験資格が厳しいため、誰でもすぐになれるわけではありません。
- 21歳以上
- 普通もしくは大型特殊免許を持っている期間が3年以上
大型トラックの運転手になるのは難しいですが、大型自動車運転免許は積載量や車両総重量に上限がないため、幅広い仕事が可能になるのが魅力です。
ただし、大型トラックは長距離の配送業務が主であるため、拘束時間が長いです。
さらに、道路が渋滞しない深夜に運転することも多いため、体力が求められる点は注意しておきましょう。
6-2:中距離配送・エリア配送で重宝される中型自動車運転免許
中距離の倉庫間配送業務やエリア配送では、「4トン車」が使われることが多いです。
4トン車は運送会社や製造業、建設業など幅広い会社から必要とされるため、仕事に困ることはないでしょう。
また、大型自動車の免許に比べて取得しやすいため、これからトラック運転手になりたいという人は、取得を検討するべきです。
- 20歳以上
- 普通免許もしくは大型特殊免許を持っている期間が通算2年以上
6-3:必ず必要な普通自動車運転免許
トラック運転手になるには、必ず必要なのが「普通自動車運転免許」です。
普通自動車免許を持っていれば、5トン未満の小型トラックを運転することができるため、運送会社のエリア配送などの仕事で求められます。
中型自動車免許や大型自動車免許を取得するためには、かならず普通自動車免許を取得しておく必要があるため、トラック運転手になりたい人は、必ず取得しておくことが求められます。
- 満18歳以上
6-4:持っていることが望ましい資格
これらの運転免許に加えて、他にもトラック運転手として持っていることが望ましい資格があります。
【けん引免許】
けん引免許は、トレーラーなどの大量の貨物を一度で配送する超大型の車両を運転するのに必要な免許です。
ただし、実際に仕事で活かすためには、高度な運転技術が必要のようです。
- 満18歳以上
- 普通自動車免許等の自動車の運転免許を取得していること
【玉掛け作業者】
玉掛けとは、トラックから貨物を積み卸しするときに使うクレーンに、貨物を掛け外しする作業のことです。
これも、トラック運転手なら取得しておくと、より重宝される資格です。
技能講習を受けるだけで取得できます。
【フォークリフト運転技能者】
特に大型のトラック運転手になるなら、ほぼ確実に求められるのがフォークリフトの運転免許資格です。
この資格は、トラックから貨物を積み下ろしするのに必要な資格で、トラック運転手の仕事ではあらゆる業種で必要とされます。
- 満18歳以上
資格をどんどん取得していくと、確実にできる仕事の幅が広がり、給料アップにつながっていきます。
まとめ:トラック運転手の年収について
最後に今回の内容をまとめます。
【トラック運転手の年収】
- 拘束時間が長い
- 深夜労働が多い
- 道路状況や荷受人の都合に振り回される
- 積み下ろし作業を行わなければならないことがある
- ネットショッピングによる荷物量の増加と配達指定
- 6割以上の運送会社で人手不足
- 古い車両ばかりを使っている
- ドライバー・車両の数が少ない
- 平均勤続年数が短く離職率が高い
- 長時間のみなし残業時間がある
今の会社を辞める場合は、会社に残業代を請求することができますので、ぜひ早めに行動することをおすすめします。