
トラック運転手の仕事に興味のある人は、
「トラック運転手の年収」について一番に知りたいのではないかと思います。
一般的に、トラック運転手は「稼げる」というイメージがあるため、他の仕事と比べて本当に年収が高いのか気になるところですよね。
しかし、実態はイメージと異なり、労働時間が長時間に渡る一方で、残業代が全額出ないことも多く、仕事を続けるうちに「こんなはずじゃなかった・・・」と思う人も多いようです。
そこでこの記事では、まずはトラック運転手の平均年収について、「大型」「普通・小型」「大手企業」「中小企業」などに分けてご紹介します。
次に、トラック運転手になるのに必要な資格や経歴・資質などについて解説します。
さらに、今後転職することを検討している人に向けて、少しでもいい会社を見分ける方法についてもお伝えします。
最後までしっかり読んで、あなたの求める仕事がトラック運転手なのかどうか判断してみてください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■営業用大型貨物自動車運転者の年収
■常用普通・小型貨物自動車運転者の年収
■トラック運転手になるために必要な資格
〈大型自動車運転免許〉
長距離配送などの仕事に必要
〈中型自動車運転免許〉
中距離配送・エリア配送の仕事に必要
〈普通自動車運転免許〉
トラック運転手には必ず必要
■ブラックな運送会社を避けて就職・転職するためのポイント
- 古い車両ばかりの会社はブラックである可能性が高い
- ドライバー・車両の数が少ない
- 平均勤続年数が短く離職率が高い
- 長時間のみなし残業時間がある
目次
1章:トラック運転手の年収・仕事内容とは?
まずは、トラック運転手に興味がある人に向けて、平均年収と、拘束時間や仕事内容についてご紹介します。
1-1:トラック運転手の平均年収は意外と少ない?
それでは、さっそくトラック運転手の平均年収を見てみましょう。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(平成28年度)」によると、トラック運転手の年収は以下のようになっています。
普通・小型トラックの場合は、従業員1000人以上の会社が年収が一番高いのですが、100人〜999人の会社は少なく、100人未満の会社の方が、中堅企業よりも年収が高くなっていることが分かります。ただし、全体的に大型トラックよりは年収が少なくなります。これを見て分かるように、大型トラックの場合は、従業員1000人以上の大きな会社でも、100人〜999人の中堅企業でも、年収では大差ありません。一方で、企業規模100人未満の会社の場合、大手や中堅よりも少なくなるようです。
また、トラック運転手が自分のトラックを傷つけてしまった場合など、会社が運転手に修理費用を請求し、勝手に給料から天引きして支払わせることがあります。そのような場合は、手取りの給料がさらに少なくなってしまうこともあるのです。
1-2:トラック運転手の拘束時間
先ほどと同じく、厚生労働省の調査を見ると、トラック運転手の労働時間は、以下のようなデータが出ています。
これを見る限り、1ヶ月の残業時間は20時間〜50時間程度であることになりますが、実際には、もっと長いことが多いです。
なぜなら、この調査は会社の自己申告に基づいているため、実態を正しく反映しているとは言い難いからです。
トラック運転手は、
- 渋滞に巻き込まれた
- 搬入、搬出作業に予定より時間がかかった
- 荷待ち時間が長かった
- 運送業務後のトラックの清掃や事務作業時間もある
などの理由で、長時間残業が発生しがちですので、「残業したくない」という人には向いていない仕事です。
さらに、多くの運送会社では、残業時間が正しく記録されず、実際に働いた時間よりも少なくカウントされている実態があります。そのためもしあなたがトラック運転手になりたいのであれば、入社を考えている会社がブラック企業ではないか、入社前にしっかり見極める必要があるでしょう。
2章:トラック運転手になるために必要な資格
トラック運転手は、物流・倉庫会社に限らず、土木・建築会社、引っ越し会社、水道・電気・電話などのインフラ系の会社、産業廃棄物・ゴミ処理会社など、様々な会社で求められます。
しかし、必要とされる資格は、主に自動車の運転免許のみです。主な3つの運転免許についてご紹介します。
2-1:長距離配送で必要な大型自動車運転免許
大型トラックでの長距離配送は、トラック運転手の中でももっとも稼げる職種です。ただし、「大型自動車運転免許」が必要になり、受験資格が厳しいため、誰でもすぐになれるわけではありません。
〈大型自動車運転免許:受験資格〉
- 21歳以上
- 普通もしくは大型特殊免許を持っている期間が3年以上
大型トラックの運転手になるのは難しいですが、大型自動車運転免許は積載量や車両総重量に上限がないため、幅広い仕事が可能になるのが魅力です。
ただし、大型トラックは長距離の配送業務が主であるため、拘束時間が長いです。さらに、道路が渋滞しない深夜に運転することも多いため、体力が求められる点は注意しておきましょう。
2-2:中距離配送・エリア配送で重宝される中型自動車運転免許
中距離の倉庫間配送業務やエリア配送では、「4トン車」が使われることが多いです。4トン車は運送会社や製造業、建設業など幅広い会社から必要とされるため、仕事に困ることはないでしょう。
また、大型自動車の免許に比べて取得しやすいため、これからトラック運転手になりたいという人は、取得を検討するべきです。
〈中型自動車運転免許:受験資格〉
- 20歳以上
- 普通免許もしくは大型特殊免許を持っている期間が通算2年以上
2-3:必ず必要な普通自動車運転免許
トラック運転手になるには、必ず必要なのが「普通自動車運転免許」です。普通自動車免許を持っていれば、5トン未満の小型トラックを運転することができるため、運送会社のエリア配送などの仕事で求められます。
中型自動車免許や大型自動車免許を取得するためには、かならず普通自動車免許を取得しておく必要があるため、トラック運転手になりたい人は、必ず取得しておくことが求められます。
〈普通自動車免許:受験資格〉
- 満18歳以上
2-4:持っていることが望ましい資格
これらの運転免許に加えて、他にもトラック運転手として持っていることが望ましい資格があります。
【けん引免許】
けん引免許は、トレーラーなどの大量の貨物を一度で配送する超大型の車両を運転するのに必要な免許です。ただし、実際に仕事で活かすためには、高度な運転技術が必要のようです。
〈けん引免許:受験資格〉
- 満18歳以上
- 普通自動車免許等の自動車の運転免許を取得していること
【玉掛け作業者】
玉掛けとは、トラックから貨物を積み卸しするときに使うクレーンに、貨物を掛け外しする作業のことです。これも、トラック運転手なら取得しておくと、より重宝される資格です。技能講習を受けるだけで取得できます。
【フォークリフト運転技能者】
特に大型のトラック運転手になるなら、ほぼ確実に求められるのがフォークリフトの運転免許資格です。それがフォークリフト運転技能者です。
この資格は、トラックから貨物を積み下ろしするのに必要な資格で、トラック運転手の仕事ではあらゆる業種で必要とされます。
〈フォークリフト運転技能者:受験資格〉
- 満18歳以上
3章:ブラックな運送会社を見抜く4つのポイント
運送会社に就職・転職する場合に、注意しなければならないことがあります。それは、必ず、受けている会社がブラック企業ではないか事前に調べておくことです。
なぜなら、運送業界には、
- 車両の安全対策を怠り、繰り返し死亡事故が発生している
- 労働災害が多く発生している&労働災害を隠している
- 社員を不当に安い賃金で長時間労働させている
などのブラックな会社が多いため、入ってみてはじめて「とんでもないブラック企業だった」と気付くこともあり得るからです。
ブラックな運送会社に入らないための4つのポイントについて解説します。
3-1:古い車両ばかりを使っている
トラック運転手という仕事につきものなのが「事故」です。その事故のリスクを最小限にしてくれるのが、衝突被害軽減ブレーキや車線一脱警報装置などの安全装置です。
こうした安全装置は、古い車両には十分に搭載されていないことが多いです。
そのため、ある程度利益を上げている運送会社では、最新の安全装置を搭載した車両を導入していますが、利益を上げていない会社、社員を大事にしていない会社は導入していないことがあります。
十分に安全に配慮している会社で働くためには、古い車両ばかりの会社はできるだけ避けるべきでしょう。
3-2:ドライバー・車両の数が少ない
利益を上げている会社、離職者の少ない会社は、しっかりとドライバーや車両を確保して業務を行っています。
他方で、離職者が多い会社や利益が上がっていない会社は、ドライバーや車両の数が不足しており、少ない従業員を低い賃金で長時間こき使っている可能性があります。
そのため、できるだけ車両やドライバー数が多い会社を選びましょう。
3-3:平均勤続年数が短く離職率が高い
常に求人をかけている企業は、離職率の高いブラック企業である可能性があります。そのため、
- どのくらいのペースで求人を出しているか
- 求人に期限をつけているか
などをチェックしてみましょう。
また、離職率に関する情報は、
- 四季報
- 転職系口コミサイト
- 企業規模と採用人数を照らし合わせてみる
などの方法でもチェックできますので、ぜひ調べてみてください。
3-4:長時間のみなし残業時間がある
長時間のみなし残業時間をあらかじめ規定しておくこと自体は、違法ではありません。しかし、たとえば、求人票などに、
「残業手当あり(みなし残業95時間分)」
などと書かれていたら、基本的に毎月最低それだけの残業があると考えられるため、長時間残業が常態化しているブラック企業であると考えられます。
・転職口コミサイトで調べる
・会社に面接に行ったときに車両や職場の雰囲気をチェックする
などが考えられます。工夫次第で情報を集めることはできますので、常にアンテナを張っておきましょう。
最後にもう一点知っておいて欲しいことがあります。それは、これから転職するのであれば、転職にあたって、今の会社に残業代を請求することで、残業代を取り返せる可能性がある、ということです。
4章:転職するなら今の会社に残業代請求するのがおすすめ
転職するのであれば、会社に残業代を請求してみてはいかがでしょうか。
多くの会社では、社員に対して適正な金額の残業代を支払っていないことが多く、会社に請求することで、取り返すことができる可能性が高いのです。
たとえば、
- 月給20万円
- 月100時間残業
だった場合は、1ヶ月の残業代は、14万7000円にもなります。
残業代を請求する場合、3年前の分までさかのぼって請求することができるため、請求できる残業代の総額は、529万2000円にもなります。
しかし、請求しなければ、毎月1ヶ月分の時効が成立し、退職から3年がたつと、すべての残業代の、請求できる権利が消滅してしまいます。
そのため、もし請求するならば、できるだけ早く行動をはじめる必要があります。
残業代を請求する場合は、他にも注意点があります。
【まずは証拠集めをはじめる】
勤怠管理している会社で有効な証拠
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
勤怠管理していない会社で有効な証拠
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録(最もおすすめ)
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール(証拠能力は低い)
証拠として一番良いのは①です。毎日手書きで、1分単位で時間を書きましょう。具体的な業務についても書くのがベストです。③のメールは、裁判になると証拠としては弱いので、できるだけ手書きでメモを取りましょう。
証拠は、できれば3年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でもかまいません。できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
ただし、手書きの場合絶対に「ウソ」の内容のことを書いてはいけません。証拠の中にウソの内容があると、その証拠の信用性が疑われ、証拠として利用できなくなり、残業していた事実を証明できなくなる可能性があります。
そのため、証拠は「19時30分」ではなく、「19時27分」のように、1分単位で記録するようにし、正確に記録していることをアピールできるようにしておきましょう。
【弁護士に依頼して請求してもらう】
残業代請求は、自分だけで行うこともできますが、自分で行う方法では手間・時間・心理的負担が大きくかかってしまうため、弁護士に依頼することをおすすめします。
最近では残業代請求を弁護士に依頼して、気軽に残業代を取り返す人も増えていますので、ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。
失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用
まとめ:トラック運転手の年収について
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
トラック運転手の年収は、大型と普通・小型で異なり、以下のようになっています。
【営業用大型貨物自動車運転者】
【常用普通・小型貨物自動車運転者】
トラック運転手になるためには、以下の資格が必要です。
〈大型自動車運転免許〉
長距離配送などの仕事に必要
〈中型自動車運転免許〉
中距離配送・エリア配送の仕事に必要
〈普通自動車運転免許〉
トラック運転手には必ず必要
ブラックな運送会社を避けて就職・転職するためには、
- 古い車両ばかりの会社はブラックである可能性が高い
- ドライバー・車両の数が少ない
- 平均勤続年数が短く離職率が高い
- 長時間のみなし残業時間がある
という点に注意して探してみましょう。
今の会社を辞める場合は、会社に残業代を請求することができますので、ぜひ早めに行動することをおすすめします。