ブラックな運送業の実態と見分ける7つの判断基準や対処法を弁護士が解説

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監修者 住川佳祐

弁護士法人QUEST法律事務所
住川 佳祐

ブラックな運送業の実態と見分ける7つの判断基準や対処法を弁護士が解説
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この記事を読んで理解できること
  • 運送業のブラックな実態
  • 運送業がブラックになりやすい理由
  • ブラックな運送会社を見分ける7つの判断基準
  • ブラックな運送会社に入ってしまった場合の対処

あなたは、

「運送業はブラックな会社が多いって本当?」
「運送業がブラックと言われる理由が知りたい」
「ホワイトな運送会社に転職したい」

などとお考えではないですか?

結論から言うと、運送業は「労働時間が長い」「給料が低い」「危険な作業で怪我や事故が多い」という、ブラックな企業が多い実情があります。

私も労働問題に積極的に取り組んできた弁護士として、特に運送業の人からは数多くの相談を受けてきました。

つまり、それだけ運送業にはブラックな会社が多いと言えます。

とは言え、運送業の会社のすべてがブラックというわけではありません。

ブラックな運送会社の見分け方を知ることで、そういった会社を避けることができますし、万が一入ってからブラックな会社と分かった場合でも、適切な対処法を知っておくことでそこから抜け出すこともできます。

そこでこの記事では、1章で運送業のブラックな実態を、2章では運送業がブラックになりやすい理由を、3章ではブラックな運送会社を見分ける7つの判断基準について解説します。

さらに、4章では万が一ブラックな運送会社に入ってしまった場合の対処法について解説します。

この記事をしっかり読んで今後の行動に活かしてください。

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1章:運送業のブラックな実態

運送業がブラックと言われる理由としては、次の3つがあげられます。

  • 運送業の労働時間は全産業平均より長い
  • 運送業の給料は全産業平均より低い
  • 運送業の労働災害保険の支給数が一番多い

この運送業のブラックな実態について、それぞれ解説していきます。

1-1:運送業の労働時間は全産業平均より長い

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、運送業の労働時間について、次のような調査結果が出ています。

道路貨物運送業の平均労働時間

厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査:H 運輸業,郵便業(H42~H49)」

これを見て分かるように、トラック運転手の平均残業時間は月に「28時間」、合計労働時間は「202時間」、最も長いのは45~49歳の「207時間」であることが分かります。

これは、1日当たり9.2時間弱の労働をしている計算です(月22日出勤の場合)。

それでは、同じ調査の各産業全体を見てみると、次のような結果が出ています。

産業計 平均労働時間(1ヶ月)

これを見ると、各産業全体の平均残業時間は月に「11時間」、合計労働時間は「176時間」であることが分かります。

1か月の平均労働時間を比較してみると、運送業は各産業全体より26時間以上長く働いているのです。 

賃金構造統計調査は、会社の自己申告による調査であるため、労働時間は実態より短く出ている可能性もあります。

それでも、各産業全体と比べると運送業の労働時間の長さが際立っています。

運送業は、労働時間から見てブラックな企業が多いと言えるでしょう。

次に、給料から運送業のブラックさを確認してみましょう。

1-2:運送業の給料は全産業平均より低い

先ほどと同じ、賃金構造統計調査では、運送業の平均給与は次のようになっています。

道路貨物運送業の平均給与

これを見て分かるように、運送業の平均月額給与は「約33万円」です。

これは、残業代や休日手当も含んだ額面の給与です。

平均年収は「約446万円」で、従業員1000人以上の大企業では年収は「約490万円」になっています。

それでは、各産業全体の平均給与も見てみましょう。

産業計の平均給与(単位:千円)

これを見ると、平均月額給与は「約33万5,000円」で、平均年収は「約489万円」になっています。

運送業の平均給与は、各産業全体の平均よりも少なく、特に年間賞与に差が見られ、会社の規模が大きくなるほど年収の差は広がっています。

これらの調査結果から、運送業は、「長時間労働なのに給料が低い」と言えます。

さらに、労働災害保険の支給状況から、運送業の仕事の危険性についても見てみましょう。

1-3:運送業の労働災害保険の支給数が一番多い

労働災害保険(労災保険)とは、業務中や通勤中に起こったことが原因で、病気や怪我になった時に、国が支給する保険のことです。

よく聞く、「労災がおりるかおりないか」と言われる、あの労災のことです。

この支給が多いほど、「健康に悪影響を及ぼす過酷な仕事」、つまりブラックな仕事であると考えることができます。

次にあげる厚生労働省の調査結果を見てください。

表1-2 脳・心臓疾患の業種別請求、決定及び支給決定件数

厚生労働省「別添資料1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況(令和3年度)」より引用

これは、「脳・心臓疾患」の労働災害保険の支給状況に関するデータですが、「運輸業・郵便業」は、令和2年、3年共にワースト1位であることが分かります。

また次のデータでは、「道路貨物運送業」が、請求件数で他の業種にかなりの差をつけて1位になっています。

脳・心臓疾患の請求件数の多い業種

さらに別の調査によると、トラック運転手の「死傷災害における事故の型別災害発生状況」は、次のようになっています。

【死傷災害※における事故の型別災害発生状況】

  1. 墜落・転落:28%
  2. 動作の反動・ 無理な動作:16%
  3. 転倒:16%
  4. はさまれ・巻き込まれ:11%
  5. 激突:8%
  6. 交通事故(道路):5%
  7. その他:16%

※ここでの死傷災害とは、死亡や4日以上休業した怪我の数。

厚生労働省「陸上貨物運送事業における労働災害発生状況」から引用

このように、運送業は長時間労働だけでなく、日常的に怪我や死亡事故の危険にさらされており、実際に多くの人が健康への影響を受けている仕事だと言えます。 

2章:運送業がブラックになりやすい理由

運送業がブラックになりやすい理由として、次の6つがあげられます。

  • 拘束時間が長い
  • 深夜労働が多い
  • 道路状況や荷受人の都合に振り回される
  • 積み下ろし作業を行わなければならないことがある
  • ネットショッピングによる荷物量の増加と配達指定
  • 6割以上の運送会社で人手不足

それぞれ順番に解説します。

2-1:拘束時間が長い

運送業がブラックになる最も大きな理由は、労働時間だけでなく拘束時間が長いことがあげられます。

会社にもよりますが、運送業の場合は、運転時間以外にも朝礼、出発前の点検などの準備、整備の時間、車両を掃除する時間など様々な業務が発生します。

さらに、運送業の業務では、「荷待ち時間」がかかる場合があります。

1運行あたりの拘束時間とその内訳(令和3年調査)

 

厚生労働省「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」

令和3年の調査によると、荷待ち時間のある運行の場合、平均荷待ち時間は 1 時間 34 分でした。

これは、平成27年の調査に比べると11分短くなっていますが、荷待ち時間のない運行に比べるとその分拘束時間が長くなっています。

さらに、令和3年の調査では、荷物の積み下ろしの作業「荷役時間」が、平成27年の調査に比べてかなり短くなっていますが、それでも約1時間半の時間がかかっています。

【荷待ち時間がある運行の平均値】

  • 令和3年
    平均拘束時間:12時間26分
    荷待ち時間:1時間34分
    荷役時間:1時間29分
  • 平成27年
    平均拘束時間:13時間27分
    荷待ち時間:1時間45分
    荷役時間:2時間44分

【荷待ち時間がない運行の平均値】

  • 令和3年
    平均拘束時間:10時間38分
    荷役時間:1時間29分
  • 平成27年
    平均拘束時間:11時間34分
    荷役時間:2時間49分

運送会社以外の多くの会社員の場合は、拘束時間は「労働時間+休憩時間」の9時間で、残業が3時間あってもようやく12時間に達する程度です。

運送業の場合は、そもそも仕事に費やす時間が長いだけでなく、平均拘束時間が12時間にもおよぶというブラックな一面があります。

2-2:深夜労働が多い

さらに運送業では、業務が深夜に及ぶことも多いです。

特にトラック運転手の場合は、深夜労働が必要になる理由として、次の2つがあげられます。

①渋滞を避けるため
特に長距離ドライバーの場合は、渋滞すると運転時間が長時間化してしまいます。

そのため、できるだけ渋滞を避けるために、深夜に運転することも多いのです。

②荷受人の都合
ほとんどの小売店は、朝9時、10時頃に開店します。

そのため、7時頃からその日の開店準備を始めることが多いです。

また、コンビニは、店舗が混み始める前の早朝5時、6時ごろに搬入作業をするのが一般的です。

そのため、こうした荷受人の都合に合わせて、トラック運転手は早朝に納品する必要があり、深夜に配送業務を行うことが多いです。

このように、運送業では深夜労働が多いため、生活リズムが昼夜逆転し、心身への負担が大きくなります。

深夜労働が多いことも、運送業の仕事がブラックになる理由の1つです。

2-3:道路状況や荷受人の都合に振り回される

運送業の場合、労働時間が道路状況や荷受人の都合で左右されることも、ブラックになる理由の1つです。

運送業では、配送業務という仕事柄、どうしても道路状況の影響を受けます。

しかし、道路状況は、事故や天候、イベント、工事など様々な理由で乱れることが多いため、配送にかかる時間が数時間単位で変わることもあります。

さらに、荷待ち時間や荷役時間が必要になるなど、荷受人の都合によっても労働時間が変わります。

例えば、配送先の倉庫にトラックが集中し、荷待ち時間が数時間も発生してしまうケースや、個人宛の配送業務の場合は、受取人が不在で再配達が必要になるケースなど様々です。

このような、道路状況や荷受人の都合による影響は、労働時間が長くなるだけでなく、精神的なストレスにもなる点がブラックになる理由の1つと言えます。

2-4:積み下ろし作業を行わなければならないことがある

先に解説した実態調査にもあるように、運送業では運転業務以外にも、荷物の積み下ろし作業をやらなければならないケースも多く、作業中の怪我や事故も他の業種に比べて多くなっています。

荷物の積み下ろし作業は、

  • フォークリフト
  • 手作業

の2パターンがあります。

フォークリフトの場合体力は消耗しませんが、それなりの技術力が必要ですし、そもそもフォークリフトの免許を持っていなければ扱うこともできません。

また、手作業で積み下ろしする場合は、体力面の消耗が非常に大きく、特に夏場の荷台に入っての作業は、過酷だと言えます。

このように、積み下ろし作業や作業中の事故が発生しやすいことも、運送業の仕事がブラックになる理由の1つです。

2-5:ネットショッピングによる荷物量の増加と配達指定

近年、ネットショッピングを利用して買い物をする人が増えたことで、宅配便の量が急増しています。

それに伴って、運送業の業務量も大幅に増えています。

宅配便個数・対比表

「令和3年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」

国土交通省が集計した「令和3年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」によると、令和3年度の宅配便の取扱個数は、49億5300万個となっています。

平成28年度の調査では、宅配便の取扱個数は40億1900万個となっていたので、5年間に9億3400万個も増加したことになります。

しかも、国内の物流の9割以上がトラックによって担われています。

物流の手段には、

  • 航空
  • 鉄道
  • 海運
  • トラック

がありますが、航空、鉄道、海運を合わせても全体のわずか8.7%で、それ以外はすべてトラックによって担われています。

そのため、宅配便の急増が運送業の業務量にダイレクトに繋がり、ブラックになる理由の1つとなっています。

2-6:6割以上の運送会社で人手不足

運送会社の間で「人手不足」が広がっていることも、運送業の仕事がブラックになる理由の1つです。

全日本トラック協会の調査によると、令和4年6月時点の「貨物自動車運転者」の有効求人倍率は「2.01」で、全職業の有効求人倍率「1.09」のほぼ倍となっています。

「トラック運送業界の2024年問題について」

人手不足を感じている運送会社の数は、大きく増加してきています。

また、令和4年4月~6月期のデータを見ると、運送会社でトラック運転手の人手不足を感じている会社の割合は、次のようになっています。

  • 運転手が不足している:17.7%
  • 運転手がやや不足している:45.9%

合計で、6割以上の会社が、トラック運転手の人手不足を感じているのです。

そのため、トラック運転手1人当たりの労働量が増え、仕事がより過酷になりがちな現状となっています。

さらに、ブラックな運送会社であまりにも仕事が過酷な場合は、違法な状況で働かされている可能性もあります。

それでは、これからブラックな運送会社を見分ける、7つの判断基準を解説します。

3章:ブラックな運送会社を見分ける7つの判断基準

今働いている運送会社がブラックかもと思っていたり、これから運送会社に就職したい場合に、ブラックな運送会社を見分ける判断基準として次の7つがあげられます。

  • 給料や残業代が未払い
  • 長時間のみなし残業時間がある
  • 歩合給制で固定給部分が異常に少ない
  • 雇用契約ではなく請負契約での採用
  • 離職率が高く常に求人をかけている
  • ドライバー・車両の数が少ない
  • 会社には古い車両ばかり

それぞれ順番に解説します。

3-1:給料や残業代が未払い

あなたが今働いている運送会社で、

  • 給料を分割で支払う
  • 給料を給料日に支払わず滞納する
  • 残業しているのに、残業代が一切出ない

といったことがある場合は、その会社はブラックな運送会社です。

運送業の会社の中には、社員を不当に安い賃金で、長時間労働させる会社が少なくありません。

運送業界で給料や残業代の未払いが多いのは、長い間トラック運転手が個人事業主のように扱われ、労働時間ではなく、仕事量で給料を決めるような慣習があったからだと考えられます。

しかし、あなたと会社との関係が雇用契約なら、どんな理由があっても、給料や残業代の全額もしくは一部が支払われないことは、違法です。

残業代は、「1日8時間・週40時間」を超えて働いた場合に発生するものです。

あなたが歩合給制で働いていたとしても、必ず発生します。

そのため、

「トラック運転手には残業代は出ない」
「歩合給制だから残業代は出ない」

などと言われている場合、それは違法であるため、後からでも請求して取り返すことが可能です。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

【給料の未払い】
【未払い給料を取り戻す2つの方法】具体的なステップを弁護士が解説

【残業代の未払い】
失敗しない残業代請求!有効な証拠と請求方法、ブラック企業の対処法

3-2:長時間のみなし残業時間がある

ブラック運送業では長時間のみなし残業がある

現在働いている、もしくはこれから働こうと思っている運送会社で、「長時間のみなし残業時間」が定められている場合は、ブラックな運送会社の可能性があります。

みなし残業代制とは、毎月一定の残業時間に対して、一定額の残業代が支払われる制度のことです。

長時間のみなし残業時間をあらかじめ規定しておくこと自体は、違法ではありません。

しかし、たとえば、求人票や雇用契約書などに、

残業手当あり(みなし残業80時間分)

などと書かれている場合は、基本的に毎月最低それだけの残業があると考えられるため、長時間残業が常態化しているブラックな運送会社であるおそれがあります。

さらに、会社との間で36協定※を締結していても、基本的に月に45時間を超えて労働することは違法ですし、毎月の平均残業時間が80時間を超えている場合は、「過労死基準」を超えているため健康障害を発症する可能性が高いです。

※36協定とは、残業を可能にするために会社と従業員との間で締結される協定のことです。

みなし残業代制について、詳しくは以下の記事で解説しています。

みなし残業は違法?【弁護士が解説】7つのチェックポイント

3-3:歩合給制で固定給部分が異常に少ない

ブラック運送業では歩合給しか出ない

もしあなたがいる会社や、これから入ろうと思っている会社で歩合給制が採用されていて、

  • 歩合の割合が高い
  • 固定給がなく、給料の全てが歩合給

という場合は、ブラックな運送会社である可能性が高いです。

歩合給制とは、

個人の成績や売り上げに応じて給与が計算される給与体系

のことで、運送業の多くの会社で採用されています。

運送業の場合は、売上げの中から会社のガソリン代、トラックの維持費、会社の諸経費等が引かれ、その残りの30%〜40%程度が歩合給として運転手に支払われることが多いようです。

歩合給制には、

①固定給+歩合給…固定給にプラスして、出来高に応じて給与が支払われる
②完全歩合給制…給与のすべてが出来高に応じて支払われる

という2つがありますが、実は②は「成績が悪い場合に給与があまりにも低くなり最低賃金すら保証されない」という理由から原則的に「違法」とされています。

そのため、固定給部分がなかったり異常に少ない場合は、ブラックな運送会社である可能性が高いです。

3-4:雇用契約ではなく請負契約での採用

あなたが働いている会社や、これから働こうと思っている会社で、採用条件が雇用契約ではなく請負契約になっている場合は、ブラックな運送会社である可能性があります。

雇用契約と請負契約の違いは次のようになります。

ブラック運送業では請負契約

運送業の場合、特にトラック運転手は雇用契約ではなく請負契約で契約することも多いです。

請負契約の場合、会社からすれば、

  • 社会保険や厚生年金を負担する必要がない
  • 残業代や深夜手当、休日手当を支払う必要がない

というメリットがあります。

しかし、契約が請負契約でも、

  • 他の運送会社の仕事が取れず、仕事を選択する自由がない
  • 始業時間、終業時間が決められている

などの場合は、実態としては雇用契約と同じです。

もし、実態は雇用契約と変わらないのに、採用条件が請負契約である場合は、会社が残業代等をごまかしているブラックな運送会社の可能性が高いです。

3-5:離職率が高く常に求人をかけている

あなたが今働いている会社、もしくはこれから働こうと思っている会社が、平均勤続年数が短く離職率が高い場合は、ブラックな運送会社である可能性が高いです。

なぜなら、従業員が定着しないのは、会社側に何らかの原因があると考えられるからです。

入社前だと離職率が高いかどうか判断しにくいかもしれませんが、

  • 常に求人をかけている会社
  • 転職系の口コミサイトで悪い評判が多い会社
  • 企業規模と採用人数を照らし合わせて、やたらと大量採用している会社

等は、離職率が高いために常に求人をかけている可能性があるため、就職は避けることをおすすめします。

3-6:ドライバーや車両の数が少ない

あなたが働いている会社や、これから働く予定の会社で、会社規模に比べてドライバーや車両の数が少ない場合は、ブラックな運送会社である可能性があります。

なぜなら、ドライバーや車両の数が少ない会社は、離職率が高い、利益が上がっていない会社で、少ない従業員を低い賃金で長時間使っている可能性があるからです。

利益を上げている会社、離職者の少ない会社は、しっかりとドライバーや車両を確保して業務を行っています。

入社前でも面接時や会社を訪問したときに、車両やドライバーの数をチェックすることができますので、できるだけ車両やドライバー数が多い会社を選びましょう。

3-7:会社には古い車両ばかり

古い車両ばかりの会社も、ブラックな運送会社である可能性があります。

運送業には、常に「交通事故」のリスクが伴います。

その事故のリスクを最小限にしてくれるのが、衝突被害軽減ブレーキ車線一脱警報装置などの安全装置です。

こうした安全装置は、古い車両には十分に搭載されていないことが多いです。

そのため、ある程度利益を上げている運送会社では、最新の安全装置を搭載した車両を導入していますが、利益を上げていない会社、社員を大事にしていない会社は導入していない場合があります。

十分に安全に配慮している会社で働くためには、古い車両ばかりの会社はできるだけ避けるべきでしょう。

4章:ブラックな運送会社に入ってしまった場合の対処法

もしブラックな運送会社に入ってしまった場合、

  • 労働基準監督署に相談する
  • ホワイトな運送会社に転職する
  • 未払い残業代を請求する

といった行動をはじめることをおすすめします。

なぜなら、そのまま会社に居続けた場合、長時間の過酷な労働を強いられるだけで、本来もらえるはずのお金がもらえなかったり、仕事の負担で健康を害してしまう可能性があるからです。

それぞれ順番に解説しますので、今後の行動の参考にしてください。

4-1:労働基準監督署に相談する

もしあなたが、

「会社の違法行為を訴えたい」
「職場の違法な労働環境を改善して欲しい」

などと考えている場合は、労働基準監督署に相談することをおすすめします。

労働基準監督署とは、労働基準法にのっとって会社を監督・指導する行政機関で、全国に300署以上存在し、無料で相談することも可能です。

労働基準監督署に相談することで、

  • 労働基準法にのっとった具体的なアドバイスがもらえる
  • 会社の行為が悪質な場合は、会社に対して「調査」「是正勧告」などの対応をとってもらえる

ということが期待できます。

労働基準監督署に相談したときの流れ

労働基準監督署に相談できることや、相談する流れなどについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

【労働基準監督署】相談できることと相談前の準備、相談するメリット

ただしあなたが、「未払いの給料や残業代を支払って欲しい」という場合は、労働基準監督署はあまりおすすめできません。

なぜなら、労働基準監督署はあくまで労働基準法に違反している会社の行為を「正す」機関であり、あなたの給料や残業代を取り返してくれる機関ではないからです。

未払いの給料や残業代の請求方法は、4-3で解説します。

4-2:ホワイトな運送会社に転職する

今の会社がブラックな運送会社の場合は、すぐにホワイトな運送会社に転職することも有効な対処法です。

なぜなら、会社の利益優先で、社員であるトラック運転手の給与や健康面を大切に思っていないブラックな会社では、あなたの大切な時間が失われるだけでなく、事故や病気などのリスクが高まるばかりだからです。

また物流・運送業界では、荷物量の増大に反して運転手の高齢化・人手不足が進んでいるため、国の政策としても働き方改革を進めています。

そのため、トラック運転手の待遇改善を積極的に進めている、ホワイトな運送会社が増えています。

そういったホワイトな運送会社を積極的に探し、転職によって待遇改善・年収アップを目指すことをおすすめします。

また転職する場合は、「未払い給料・残業代を請求する」などのことを行って、できるだけ損をしないように辞めることをおすすめします。

損をしないための退職の流れについて、詳しくは次の記事で解説しています。

弁護士が徹底解説!退職するときに損しないための“有給消化”と“貰えるお金”の話

4-3:未払い残業代を請求する

ここまで解説したように、ブラックな運送会社で働いている場合、残業代が未払いになっている可能性があります。

そのため、退職時には未払い残業代を請求することをおすすめします。

トラック運転手の場合は、未払い残業代は高額になることが多いです。

簡単に計算してみましょう、

(例)

  • 基本給25万円
  • 1か月平均所定労働時間170時間

※1か月平均所定労働時間とは、会社によって定められた1か月の平均労働時間のことで、170時間前後であることが一般的です。

  • 月の残業の合計:80時間
  • 月の深夜労働の合計:28時間

上記の場合は、

  • 1か月の残業代
    (25万円÷170時間)×1.25倍×80時間=14万7000円
  • 1か月の深夜手当
    (25万円÷170時間)×0.25倍×28時間=1万290円

と計算でき、合計金額は15万7,290円にもなります。

残業代や深夜手当は、3年分までさかのぼって請求できるため、

15万7,290円×36ヶ月=566万2,440円

と高額になります。

トラック運転手の場合、荷待ち時間が労働時間にカウントされ、高額な未払い残業代が発生するケースも珍しくありません。

そのため、他の職種よりも残業代が高額になる可能性が高いです。

トラック運転手の残業代のルールや計算方法、請求する方法などについて、詳しくは次の記事をご覧ください。

【トラック運転手向け】残業代請求の全手順と正しい残業代の計算方法

このようなブラックな運送会社の場合は、弁護士に相談して適正な残業代を計算してもらい、未払いの残業代を会社に請求することをおすすめします。

弁護士に未払い残業代の請求を依頼することによって、高額の残業代を取り返せる可能性が高まります。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

【残業代請求】弁護士選びの8つのポイントと解決までの流れや費用を解説

まとめ

最後に今回の内容をまとめます。

【運送業の労働時間の実態】 
道路貨物運送業の平均労働時間

【運送業の給料の実態】
道路貨物運送業の平均給与

【運送業がブラックになる理由】

  • 拘束時間が長いこと
  • 深夜労働が多いこと
  • 道路状況や荷受人の都合に振り回されること
  • 積み下ろし作業を行わなければならないことがあること
  • ネットショッピングによる荷物量の増加と配達指定
  • 6割以上の運送会社で人手不足

【ブラック運送業を見分ける判断基準】

  • 給料や残業代が未払い
  • 長時間のみなし残業時間がある
  • 歩合給制で固定給部分が異常に少ない
  • 雇用契約ではなく請負契約での採用
  • 離職率が高く常に求人をかけている
  • ドライバー・車両の数が少ない
  • 会社には古い車両ばかり

【ブラック運送会社に入ってしまった場合の対処法】

  • 労働基準監督署に相談する
  • 別の会社に転職する
  • 未払い残業代を請求する

運送業もすべてがブラックというわけではありませんので、自分らしい働き方ができるように、正しい知識を覚えて行動していきましょう。

 

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