不当解雇された!4つの相談窓口と相談の仕方を弁護士が徹底解説
この記事を読んで理解できること
- 不当解雇された!どこに相談すればいいの?
- 相談する前に大切なのは、「あなたがどうしたいか」
- 相談するなら○○を準備しよう
- 弁護士に依頼したらどうなるの?
いきなり会社から解雇通告…そんなシチュエーションになったら、まずは「どこかに相談に行きたい」と考える人も多いでしょう。
相談にあたり、あなたはこんなことで悩んでいませんか?
不当解雇をされた場合には、しっかりと準備をしたうえで、適切な機関でアドバイスを受けることが大切です。そこで、この記事では
・不当解雇をされてしまったらどこに相談するか
・窓口で相談したあとの流れ
・相談する前に準備しておくこと
についてご説明していきます。
不当解雇にあたれば、会社からお金をもらったり、もとの職場に戻ることができます。
この記事をしっかり読んで、あなたをクビにした会社に一矢報いましょう!
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
不当解雇を相談できる窓口には下記のものがあります。
■不当解雇を相談できる窓口
- 労働組合に相談する【おすすめ度★】
- 労働基準監督署に相談する【おすすめ度★★】
- 都道府県の相談窓口を利用する【おすすめ度★★★】
- 弁護士に相談する【おすすめ度★★★★】
相談する前に下記のポイントを知っておくことが大事です。
■不当解雇を相談する場合は下記のものを準備しておきましょう
- 解雇通知書
- 就業規則
- 録音データ
■不当解雇を相談する場合の流れ
- 弁護士に相談するまで
- 交渉から裁判まで
目次
1章:不当解雇された!どこに相談すればいいの?
不当解雇にあった場合、まずすべきことは「誰かに相談すること」です。
とはいっても、友達に愚痴っているだけでは何も始まりません。
ここでは、無料で相談できる「法律のプロ」による相談窓口をご紹介していきます。
具体的には次の4つの相談窓口が挙げられます。
・労働組合
・労働基準監督局
・都道府県
・弁護士
この章を読み、自分に合った相談窓口を見つけましょう!
1-1:労働組合に相談する【おすすめ度★】
【労働組合とは?】
不当解雇の相談先の一つ目は、労働組合です。
労働組合とは、給与や労働時間などの、労働条件を良くするために働く団体のことをいいます。
労働組合に相談すると、組合があなたに代わって、会社と話し合いをしてくれます。
【メリット】
会社は労働組合との話し合いに応じなければならないので、逃げることができません。
また、組合があなたに代わって交渉してくれるので、心理的な負担が少ないでしょう。
【デメリット】
労働組合との交渉では、基本的には解雇予告金など多少のお金をもらえるにすぎません。
会社に戻りたい場合や、賠償金を欲しい場合には向かないといえます。
【相談後の流れ】
労働組合に相談をすると、労働組合が会社との交渉の場を設けてくれます。
会社と、労働組合の人、そして可能であれば本人も出席した話し合いです。
話し合いは必ず開かれますが、労働組合自体には強制力がありません。
そのため、話し合いがうまくいかなかったり、話し合いの内容を守ってくれない場合には、さらに弁護士に相談する必要があります。
1-2:労働基準監督署に相談する【おすすめ度★★】
【労働基準監督局とは】
二つ目の方法として、労働基準監督署への相談が挙げられます。
労働基準監督局とは、会社が法律違反をしていないか取り締まるところです。
労働基準監督署は、「解雇が不当である」とわかれば、立ち入り検査や指導を行ってくれます。
【メリット】
労働基準監督局は、会社に対して罰則を科すなどことができます。
そのため、会社に対して影響力があるといえます。
【デメリット】
労働基準監督局はとても忙しいため、個人の不当解雇問題だとなかなか動いてくれません。
また、賠償金をもらうなど、個別的な解決は難しいでしょう。
【相談後の流れ】
労働基準監督署は窓口相談のうえ、「不当残業がありそうだ」とわかれば、立ち入り検査や指導を行ってくれます。
その上で、解雇が法律に反していれば、会社を罰してくれます。
しかし、この方法をとっても、あなたの解雇がとりやめになったり、お金を払ってもらえることはほとんどありません。
「とりあえず法律的なことを相談したい」と言う場合には良いですが、その後の解決までしたい方にはおすすめできません。
1-3:都道府県の相談窓口を利用する【おすすめ度★★★】
【都道府県の相談窓口とは?】
不当解雇の相談窓口の三つ目は、都道府県の相談窓口です。
例えば、東京都には「東京都労働相談情報センター」というものがあり、労働問題全般について相談にのってくれます。
都道府県の相談窓口に相談すると、センターが会社とあなたの間に立って、話し合いのお手伝いをしてくれます。
【メリット】
都道府県が話し合いの仲介役になってくれるため、比較的スムーズに会社と話し合いをすることができます。
自分で言いたいことを言えるのが、この方法の一番の強みでしょう。
【デメリット】
都道府県はあくまで仲介役ですので、自分で会社と話し合わなければなりません。
自分をクビにした会社や上司と話し合わないといけないため、ストレスを感じる人もいるかもしれません。
【相談後の流れ】
都道府県の相談窓口に相談をすると、あっせんといって、話し合いを仲介してくれます。
都道府県の職員立ち合いのもの、話し合いにより解決を目指すのです。
しかし、この方法も労働組合同様、無理やりお金を払わせるなど強制力がありません。
1-4:弁護士に相談する【おすすめ度★★★★】
【弁護士とは】
不当解雇の相談先として、一番心強いのは弁護士です。
弁護士と言うと「いきなり裁判をするの?」と思われるかもしれませんが、そのようなことはありません。
はじめは会社と交渉をし、うまくいかない場合に裁判へと進みます。
【メリット】
弁護士に頼んだ場合、さまざまな解決策を取ることができます。
一例をあげると、
・解雇予告金
・もらえるはずの賃金請求
・元の職場への復帰
などの方法があります。
【デメリット】
弁護士に頼むとなると、やはりネックになるのが「お金がかかること」。
でも、安心してください。
最近では着手金無料で完全成功報酬制をとる事務所が増えてきています。
【相談後の流れ】
弁護士に相談すると、まず会社に対し、通告をしてくれます。
「解雇通知書をだすように」「話し合いに応じるように」などですね。
それから、弁護士が代理人になって話し合いが行われます。
このとき、あなたに代わって弁護士が出席することも可能ですので、「もう会社の人と顔を合わせたくない」と言う場合でも安心ですね。
話し合いがうまくいかないときに、はじめて裁判という道が出てきます。
2章 :相談する前に大切なのは、「あなたがどうしたいか」
相談窓口に行く際に大切なのは、「あなたがどうしたいのか」ということです。
・職場に残りたい
・お金がほしい
など、自分がこれからどのようなアクションを取りたいのか、事前に考えておきましょう。
2-1:職場に残りたい!
「解雇されてしまったけれど、やはり元の職場に戻りたい…」
このように考える人もいることでしょう。
この場合、労働組合の交渉や都道府県による話し合いの仲介の中で「職場に残してほしい」と主張するのも一つの手です。
しかし、会社が、いったん辞めさせた人を会社に戻すことはなかなかありません。
そこで頭に入れてほしいのが「裁判」という道。
裁判であれば「地位確認請求」という請求により、強制力をもって会社に残してもらうことができます。
会社に戻りたい場合には、弁護士に相談することがおすすめです。
ただし,訴訟を提起して仮に勝訴したとしても、それは「裁判確定時」においてあなたが従業員であることが判断されるだけです。
裁判をしたあなたに,会社がずっといてほしいと思うはずがなく,裁判の後,またいろいろな理由をつけて解雇されてしまうことがほとんどのようです。
不当解雇をするような会社に対しては、会社に復帰するのではなく、手切れ金のような形でお金をもらってきっぱり別れるのが一番賢明であるといえます。
2-2:お金がほしい!
一口に「お金がほしい」といっても、会社からお金を取る方法は様々です。
例えば、以下のような方法があります。
・解雇予告手当
解雇予告手当とは、30日前に解雇予告をする代わりに、会社があなたにお金を払うというものです。「解雇します」と言われてから30日以内に解雇されてしまった場合には、解雇予告手当を請求することができます。
・賃金
裁判などで解雇に争いがある場合、解雇が確定するまでは、あなたは「社員」ということになります。そのため、その間はお給料も発生しています。
以上のように,手切れ金のような形で,会社にお金を請求していきましょう。
なお,不当解雇をするような会社は,サービス残業を強要していることが多いです。
以上の賃金請求に加えて,残業代請求も同時にするのが賢いでしょう。
3章:相談するなら○○を準備しよう
窓口でスムーズに相談するためには、事前の準備がかかせません。
退職前から準備しておくものもありますので、この記事を読んで必要なものを集めておきましょう。
3-1:事前に用意しておくものはコレ!
不当解雇について相談する前に
・解雇通知書
・解雇理由証明書
・就業規則
を用意しておきましょう。
どちらも、完全に会社をやめてしまうと手に入りにくくなるので、退職前に準備しておきましょうね。
3-2:解雇通知書
解雇通知書とは、解雇のときにもらえる書面のことです。
ここには、解雇日や解雇理由、会社の名前などが書かれています。窓口で相談するときに解雇内容がすぐわかるため、必須アイテムのひとつとなっています。
この解雇通知書ですが、実はとても重要なもの。
なぜかというと、自ら会社を辞めたのではなく、「会社都合です」ということを証明する書面になるためです。
自分のせいでやめたというよりも、会社都合であるというほうが、再就職の際に有利になりますよ。
解雇通知書は解雇のときにもらうことができますが、ブラック企業の中にはわざと解雇通知書を出さないところがあります。
しかし、法律上、社員が「解雇通知書をください」と言えば、会社はこれを出さなければならないのです。
解雇通知書をもらえなかった場合には、相談窓口で相談してみましょう。
3-3:就業規則
在職中に就業規則を見たことがある人は少ないはず。
しかし、解雇にとって就業規則はなくてはならないものなのです。
実は、解雇をするためには、就業規則に書かれた理由が必要になります。
例えば、仕事をさぼって首になる場合には「職務の怠慢」などと就業規則に書かれていることが必要です。
就業規則は退職してしまうと手に入りにくくなるため、仕事を辞める前にコピーを取っておきましょう。
3-4:録音データ
一つの裏ワザとして、会社の社長や役員クラスの発言を録音しておくことが重要です。
録音機をもって,社長や役員に解雇の理由を聞きに行ってください。
「お前の態度が悪いからだよ」
「お前能力低いんだよ」
という漠然とした内容であれば、不当解雇の証拠になる可能性があります。
また、解雇を伝える雰囲気で、会社の悪質性なども裁判官に伝わりやすいです。
4章 :弁護士に依頼したらどうなるの?
不当解雇をされた場合、相談窓口として最もおすすめなのが、「弁護士に相談する」という方法です。
そこでこの章では、
・弁護士に相談するまでの流れ
・弁護士に相談した後の流れ
を解説していきます。
4-1: 弁護士に相談するまで
まずは弁護士を探して相談予約をしましょう。
このときに注意するのは、必ず労働問題を重点的に扱っている弁護士を探すという点です。
弁護士にも専門分野があり、人によっては「労働問題はあまりやったことがない」という人もいるからです。
弁護士の相談料は30分5000円が相場です。
しかし、最近では初回無料の法律相談も増えています。
予約の取りやすさや費用を考えて、相談予約をしてください。
【コラム】法テラスとは
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法テラスとは、無料で法律相談ができる窓口のことです。もし実際に弁護士に依頼することになれば、弁護士費用を立て替えてくれる制度もあります。
ただし、法テラスは人気なので、相談をするまでに長い時間待たされることもあります。時間やコストを考えて、相談先を決めるようにしましょう。
【コラム】弁護士の選び方
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弁護士の良しあしは一概にはいえません。しかし、弁護士を選ぶポイントとしては以下のようなものが挙げられます。
・ホームページに「労働問題に強い」と書かれている
・実績が載っている
・費用を明示してくれる
・まめに連絡をくれる
・あなたの話をしっかり聞いてくれる
4-2: 交渉から裁判まで
弁護士に相談をし、方向性を決めます。
例えばこのようなことを決めていきます。
・会社に残る方向で進める
・和解金で手を打ってもいい
方向性が決まったら、早速会社と交渉をします。
内容証明郵便を出すこともありますし、直接会社と話し合いをすることもあります。
これでもうまくいかない場合には、労働審判へと進みます。
労働審判が不調に終わった場合には、裁判へと進みます。
不当解雇で訴えたい!慰謝料請求の手順と戦い方を弁護士が徹底解説
どのように進めていくかは柔軟に変えることができますので、弁護士とこまめにコミュニケーションをとるようにしましょう。
まとめ:不当解雇と相談窓口
この記事では、
・不当解雇された場合の窓口には労働基準監督署、都道府県、弁護士があるが、弁護士がおすすめ
・相談をする前には解雇通知書と就業規則を用意しておく
・相談をするまえに、会社をやめたくないのか、お金がほしいのか考えておく
・相談後の流れとして、基本的に弁護士以外は強制力がない
ということをご説明してきました。
不当解雇をされてしまった場合、どうすれば良いのか路頭に迷ってしまうかもしれません。
しかし、相談窓口にいけば、
「あなたの解雇が不当解雇にあたるのか」
「会社に対し何ができるのか」
「話し合いをするのか」
などさまざまな相談に乗ってくれます。
まずは相談窓口に行ってみましょう!