会社都合退職とは?自己都合退職との違いや会社都合で退職する方法

監修者

弁護士法人新橋第一法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

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チェック
この記事を読んで理解できること
  • 会社都合退職とは
  • 会社都合退職のメリット・デメリット
  • 会社が「会社都合退職」を嫌がる理由
  • 会社都合退職で退職するための方法
  • 損しないように退職する方法

あなたは、

会社都合退職って何?自己都合退職とどう違うの?」
「会社都合退職のメリット、デメリットって何だろう?」
「会社都合退職で退職するにはどうしたら良い?」

などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?

結論から言えば、会社都合退職とは、「解雇」「倒産」等の会社側が原因で退職させられることです。

「会社都合退職」の場合、会社側の都合で退職させられるため、失業保険が手厚く支給されるメリットがあります。

逆にあなたが、転職等の理由で自分で退職する場合は「自己都合退職」になります。

ここで注意すべきなのは、会社側の都合なのに、「自己都合退職」で退職させられる場合もあるということです。

その場合は、失業保険が少なくなってしまうため、会社都合退職に切り替える手続きを行う必要があるのです。

そこでこの記事では、まず会社都合退職という制度や会社都合退職になるケース・自己都合退職になるケース、これらの違い、メリット・デメリットを解説します。

それから、会社が会社都合退職を嫌がる理由や、自己都合にされた場合に会社都合退職に切り替える方法、損しない対処法について解説します。

読みたいところから読んで、これからの行動に活用していってください。

【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】

■会社都合退職とは

会社側の原因による退職のこと。

■会社都合退職が認められるケース

  • 解雇
  • 倒産
  • 長時間残業
  • 賃金未払いセクハラ、パワハラ

■会社都合退職のメリット・デメリット

  • メリット:失業保険(失業給付金)が手厚い
  • デメリット:転職活動時に敬遠されることがある

■会社都合退職で辞める方法

  • 退職願・退職届を書くことを断る
  • ハローワークで会社都合であることを伝える

※退職時に損しないために、未払い残業代を請求することもおすすめです。

未払い残業代を取り返したいというあなたへ、まずはお気軽にご相談ください
未払い残業代を取り返したいというあなたへ、まずはお気軽にご相談ください

1章:会社都合退職とは

そもそも、会社都合退職とは会社側の原因よる退職のことを言います。

まず1章では、

  • 会社都合退職と自己都合退職で失業保険の受給額が違う
  • 会社都合退職になるケース・ならないケース

について解説します。

1-1:会社都合退職と自己都合退職で失業保険の手厚さが違う

繰り返しになりますが、会社側の原因よって退職することを、会社都合退職と言います。

これに対し、労働者が自分の判断で退職する場合を自己都合退職と言います。

「そもそも、会社都合退職になるとどうなるの?」と疑問をお持ちかもしれませんが、会社都合退職と自己都合退職では、失業保険の受給期間に違いが出ます。

失業保険における会社都合退社と自己都合退社の違い

失業保険の受給期間が、自己都合退職の場合よりも会社都合退職の方が長くなるのです。

また、2章で解説しますが、失業保険をもらえるまでの期間にも違いがあります。

つまり、失業保険をより多くもらう上では会社都合退職の方が有利なのです。
 

「何を見れば会社都合退職なのかどうか分かるの?」という疑問もあるかもしれませんが、これは退職後にもらう「離職票」を見ると分かります。

離職票は一般的には退職後2週間以内に届くもので、下記のようなものです。

離職票1

離職票1

離職票2

離職票2

「退職から2週間以上経つのに離職票が届いていない」という場合は下記の記事を読んでみてください。

離職票は2週間以内に届く!届かない原因と3つの対処法を詳しく解説

1-2:会社都合退職が認められるケース

会社都合退職とは、正確に言えば失業保険における「特定受給資格者」という対象に該当する人の事で、具体的には下記のケースに該当する人が「会社都合退職」となります。

1-2-1:倒産などの理由

まず、下記の「倒産などの理由」で退職した場合、「特定受給資格者」となります。

■会社都合扱いにできる場合

(1)会社が倒産した

(2)1か月に30人以上の離職or同じ事業主の元で雇用保険に入っている人のうち3分の1を超える人が離職した

(3)事業所の廃止

(4)事業所の移転により、通勤することが難しくなった

1-2-2:解雇などの理由

また、下記の解雇などの理由によって退職した場合も、「特定受給資格者」となります。

■会社都合扱いにできる場合

(1)解雇(自分が理由なものを除く。)

(2)労働契約を結んだ時に明示された労働条件が、実際の労働条件と著しく異なる場合

(3)賃金未払いが以下のような場合
 賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった

(4)従前の賃金の85%未満まで賃金カットされた

(5)離職の直前6か月間のうち、

  1. いずれか連続する3か月で45時間の残業
  2. いずれか1か月で100時間の残業
  3. いずれか連続する2か月以上の期間の残業を平均して1か月で80時間を超える残業が行われたため

(6)職種転換などに際し、会社が必要な配慮を行わなかった

(7)契約を更新して3年以上働いているときに、労働契約が更新されなかった場合

(8)期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(7)に該当する者を除く。)

(9)パワハラやセクハラを受けた

(10)退職勧奨により退職した

(11)会社のせいで行われた休業が、引き続き3か月以上となった

(12)事業所の業務が法令に違反した

簡単に言えば倒産、解雇などによって失業した人が会社都合退職として扱われるということです。

このように会社都合退職に該当するケースは多くあるのですが、会社からの解雇だけでなく、「長時間残業」「賃金未払い」「セクハラ、パワハラ」といった場合も、会社都合退職として退職できることが分かると思います。

1-3:会社都合退職が認められないケース(自己都合退職になるケース)

一方、自分の判断で会社を辞めるのが自己都合退職です。

例えば、

  • 転職するため
  • 会社に不満があるため
  • 結婚や出産、家族の介護のため
  • 引っ越しのため
  • 病気の治療のため

などは、自分の意思によって退職しているため、自己都合退職になります。

また、下記のように、懲戒解雇などあなた側に非があって辞めさせられるケースは自己都合退職となります。

  • 会社の風紀を乱した
  • パワハラやセクハラの加害者
  • 犯罪行為をした
  • 正当な理由なく2週間以上無断欠勤した
  • 常習的な遅刻、早退
  • 経歴詐称
  • 横領

自己都合退職の場合、繰り返しになりますが失業保険が受給できる期間が会社都合退職よりも短くなります。

■退職勧奨・退職強要の会社都合退職になる

退職勧奨、退職強要とはそれぞれ以下の意味です。

  • 退職勧奨
    様々な理由をつけて、あなたに自発的に退職届を出させようとするもの(「肩たたき」等)です。具体的には、直接「辞めたらどうか?」などと言ってくることが多いです。

  • 退職強要
    退職勧奨の手段の範囲を超えて、暴言や暴力、度を超えた説教などで辞めることを強要することです。

こうした行為を受けて、あなたが仕方なく退職届を提出した場合、会社から送られてくる離職票は自己都合退職になっていますが、後に会社都合退職に変更することができます。

詳しくは4章の手続きを読んでください。

また、退職強要された場合、会社に対して損害賠償請求できる可能性もあります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

正解は「拒否する」!退職強要された場合のシーン別対処法を紹介

2章:会社都合退職のメリット・デメリット

これから、会社都合退職のメリット・デメリットを整理します。

2-1:【メリット】失業保険(失業給付金)が手厚い

1章でも解説した通り、会社都合退職のメリットは失業保険が手厚い点です。

たとえばあなたが30歳未満で、失業保険に加入していた期間が5年以上10年未満である場合は、失業保険を「120日間」もらうことができます。

一方、自己都合退職であれば「90日」しかもらえませんので、約1か月分、会社都合退職の方がもらえる期間が長くなるのです。

もらえる期間が長くなるため、もらえる失業保険の総額が高くなります。

会社都合退職で失業保険をもらえる期間は、具体的には以下の通りです。

会社都合で退職した場合の受給期間

受給期間が長くなる分、もらえる失業保険の総額も会社都合退職の方が長くなります。

それだけではありません。

自己都合退職と会社都合退職では、失業保険を受給できるまでの期間にも差があるのです。

失業保険の給付を受けることができるまでの期間

つまり、会社都合退職は離職票提出から7日間で失業保険を受給できるのですが、自己都合退職の場合、これに加えて給付制限期間として3カ月もの期間、受給できないのです。

失業保険の具体的な計算方法等について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

失業保険とは?貰える金額から手続きの方法、受給資格などを徹底解説

2-2:【デメリット】転職活動時に敬遠されることがある

会社都合退職のデメリットとして、転職活動時にマイナスの評価を受ける可能性がある、ということが言われることがあります。

前述のように、自分の意思で会社を辞めて転職活動する人は、一般的に「自己都合退職」になります。

そのため、あなたが会社都合退職になっていれば、「この人はどんな理由で会社都合退職になったんだろう?」と疑問を抱かれる可能性はあります。

しかし、前述の通り会社都合退職にはさまざまな理由があるため、普通の会社なら「なぜ会社都合退職になったのですか?」と聞いてくるはずですし、あなたは素直に答えれば問題ありません。

したがって、会社都合退職になっている場合、退職の理由について包み隠さずに答えれば問題ありません。

3章:会社が「会社都合退職」を嫌がる理由

繰り返しになりますが、会社は、本当は会社都合なのに「自己都合退職」として社員を辞めさせようとすることがあります。

なぜなら、会社都合退職になると会社が国から一部の「助成金」をもらえなくなるからです。

助成金というのは、例えば雇用関係のものとして、

「雇用維持関係の助成金」

「雇入れ関係の助成金」

「雇用環境整備等関係の助成金」

といったものがあります。

これらは国から、従業員をより多く雇用すること、より良い労働環境を作ることを名目に支給される助成金です。

これらの助成金をもらうことで、会社はより多くの人を雇ったり、労働環境を改善することにお金が使えるようになるということです。

しかし、国からこういった助成金をもらっているのに、「お金はもらったからもう従業員はいらない」と従業員を辞めさせていては、助成金の意味がありません。

そのため、会社都合退職で従業員を辞めさせた会社は、一定期間助成金をもらえないことになっているのです。

こうした理由から、会社は従業員を辞めさせたい場合に「会社都合退職」ではなく「自己都合退職」として辞めさせ、助成金を打ち切られないようにしようとすることがあるのです。

4章:会社都合退職で退職するための方法

普通の会社なら、会社都合で退職する場合は会社に手続きを任せておけば問題ありません。

あなたが、会社都合で辞める手続きを行う必要はないのです。

しかし、会社都合なのに自己都合で辞めさせられそう、辞めさせられた、という場合は、以下のことを行う必要があります。

  • 退職願、退職届を書くことを断る
  • ハローワークで会社都合であることを伝える

順番に解説します。

4-1:退職願・退職届を書くことを断る

そもそも、会社都合で退職させられる場合は、あなたの意思で辞めるわけではないため、退職願や退職届を提出する必要はありません(※)。

※退職願とは退職することを会社に願い出る書面、退職届とは退職することを会社に通告する書面です。

そのため、会社都合退職なのに退職願や退職届を書くように言われている場合は、まず断ることが大事です。

しかし、社内の手続き上退職願や退職届が必要である、と言われる場合もあるようです。

その場合は、退職理由について、

「一身上の都合により退職」

といった記載はせず、

「会社からの退職勧奨に従い退職」

といった記載をしましょう。

こうすることで、後に会社から「あなたの自己都合退職だ」と言われても、そうでないことを示すことができます。

4-2:ハローワークで会社都合であることを伝える

すでに退職してしまい、会社都合による退職だったのに、離職票が「自己都合退職」になっているという場合は、ハローワークで変更する手続きが可能です。

なぜなら、最終的に離職理由が会社都合であるのか、自己都合であるのか決めるのはハローワークであるからです。

たとえば、

  • 会社から一方的にクビにされた
  • 期間の定めのある雇用契約が更新されなかった
  • セクハラやパワハラで辞めざるを得なかった
  • 長時間残業で辞めざるを得なかった
  • 賃金が一方的にカットされたため退職した

といった場合は、ハローワークで申し出ることで会社都合退職にすることが可能な場合があります。

ただし、これらをハローワークに認めてもらうためには証拠が必要ですので、上司とのやり取りのメールの文面、録音した音声データ、勤怠記録等をできる限り残しておくことが大事です。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

失業保険とは?貰える金額から手続きの方法、受給資格などを徹底解説

また、円滑な退職の流れについては、以下の記事をご覧ください。

最短2週間で退職可!労働基準法・民法上のルールと退職手続きの流れ

5章:損しないように退職する方法

退職時に損しないための方法として、会社に未払い残業代を請求する方法もあります。

実は、会社を退職するとき、もしくは退職したあと、3年前の残業までさかのぼって、未払い残業代を請求することが可能です。

多くの会社では、「残業ありき」の仕事量が押しつけられ、残業が常態化し、しかも残業代が全額出ないということがよくあります。

残業代を支払わないことは違法であるため、退職するときに請求すれば、取り返すことができる可能性が高いです。

残業代は、過去3年分までさかのぼって請求することができるため、請求できる金額はあなたが思っているよりずっと大きくなる可能性があります。

未払い残業代請求について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【保存版】弁護士直伝!残業代で困った時に役立つ残業代マニュアル

まとめ

いかがでしたか?

最後にこの記事の内容を振り返ります。

■会社都合退職とは

会社側の原因による退職のこと。

■会社都合退職が認められるケース

  • 解雇
  • 倒産
  • 長時間残業
  • 賃金未払いセクハラ、パワハラ

■会社都合退職のメリット・デメリット

  • メリット:失業保険(失業給付金)が手厚い
  • デメリット:転職活動時に敬遠されることがある

■会社都合退職で辞める方法

  • 退職願・退職届を書くことを断る
  • ハローワークで会社都合であることを伝える

この記事の内容を参考に、行動を開始していってください。

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