- 更新日:2024.09.25
- #職場いじめ相談
【職場いじめの4つの相談先】期待できる改善策や相談のポイントを解説
この記事を読んで理解できること
- 泣き寝入りはダメ!職場でいじめられたらまずは人に相談しよう
- 職場でのいじめが相談できる相談先一覧
- 相談前に準備しておくべき証拠
- 退職も視野に入れよう
あなたは職場でいじめ・嫌がらせを受けて、
と思っていませんか?
職場でのいじめ・嫌がらせを一人で悩み続けるのは苦しいですよね。
周囲の人に相談しても具体的な解決策にはならず、もんもんと悩み続けている人も多いのではないでしょうか。
しかし、一人で悩み続けることは良い解決策にはなりません。
なぜなら、職場の環境や人間関係は簡単には変わらない上、もし間違った対応をしてしまった場合、いじめ・嫌がらせがさらに激化する恐れもあるからです。
そのため、しかるべき相談先に相談し、専門家の力を借りることを強くおすすめします。
ただし、相談先はどこでも同じではありません。あなたの状況にあった相談先を選ぶことが大事です。
そこでこの記事では、まずは職場でのいじめ・嫌がらせを相談した場合に期待できる変化と、4つの相談先をご紹介します。
さらに、相談前に集めておくべき「証拠」や、相談以外の選択肢についても解説します。
最後までしっかり読んで、しかるべき相談先にすぐに相談してみましょう。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■職場いじめ・嫌がらせを、適切な相談先に相談することで期待できること
■職場いじめを相談する前に準備しておくべきこと
- 加害者は誰なのか
- いつからいじめ・嫌がらせに合っているのか
- 具体的にはどんないじめ・嫌がらせをされているのか
- いじめや嫌がらせをされている事実を証明できる証拠はあるか
- いじめ・嫌がらせによって、具体的にはどのような被害が発生しているのか
■職場いじめの相談先
- 各都道府県の労働局への相談
- 労働組合への相談
- 弁護士への相談
- 会社内の窓口
■集めておくべき証拠は
①いじめ・嫌がらせの事実が確認できる証拠
- メールの文面
- ICレコーダーやスマホでの音声の録音
- スマホ等で撮影した動画
②実際に発生した被害が確認できる証拠
- 病院にかかった場合の診断
目次
1章:泣き寝入りはダメ!職場でいじめられたらまずは人に相談しよう
職場でのいじめ・嫌がらせは、一人で悩み続けても解決できることは少ないです。
あなたも心のどこかで、
「人に相談しても良い解決策なんて出てこないだろう」
「もう相談してみたけれど、結局解決できなかった」
などと思っているかもしれません。
しかしいじめ・嫌がらせは、あなたの悩みを解決できるだけの知識を持った専門家や、あなたに合った相談先に相談することで、解決できる可能性が非常に高まります。
そこでまずは、あなたに合った相談先に相談することで期待できるあなたの変化について解説します。
それより先に、具体的な相談先について知りたいという場合は、2章から読んでください。
職場いじめをしかるべき相談先に相談することで、以下のようなことが期待できます。
それぞれ簡単に解説します。
①いじめ・嫌がらせがストップすることによる職場環境の改善
会社には、社員が安全に労働できるように配慮する義務(職場環境配慮義務)があり、社員が働きやすい環境を常に維持しなければなりません。
この義務に反して、会社でのいじめ・嫌がらせへの対応を怠ると、会社も責任が追及されることがあります。
そのため、あなたが適切な相談先に相談し、なんらかの対応を取ってもらうことで、会社もいじめ・嫌がらせをストップさせために真剣な対応を取るでしょう。
その結果、職場環境が改善されることが期待できます。
②加害者や会社への刑事責任の追及
適切な相談先に相談することで、加害者や会社の刑事責任が追求される可能性もあります。
ひどいいじめや嫌がらせ(暴行や人権侵害になるような侮辱など)は「犯罪行為」とみなされます。
その場合、加害者には刑事責任を追求することができるのです。
刑事責任を追及すると、加害者には「罰金」「懲役」という罰則が与えられる可能性があります。
③加害者や会社への民事責任の追求
刑事責任を追及できるほどのいじめ・嫌がらせではなかったとしても、あなたがストレスで精神疾患になった、就業が困難になったなどの場合は、加害者に民事責任を追及することができます。
つまり、加害者を訴えて損害賠償請求できるケースがあります。
適切な相談先に相談することで、損害賠償請求できる可能性等も確認できるでしょう。
損害賠償請求すると、加害者や会社から賠償金を回収できるかもしれません。
④加害者への社内での懲戒処分
いじめ・嫌がらせを相談し、相談先が解決のために動いてくれた場合、加害者の行為は社内でも知られることになり、加害者の社内での評価にも大きな影響を及ぼすと考えられます。
最近では、いじめ・嫌がらせのようなパワハラ行為をした社員に対して、会社が懲戒処分するケースも多いようです。
具体的には、
- 減給
- 出勤停止
- 懲戒解雇
などの対応が取られることがあります。
2章:職場でのいじめが相談できる相談先一覧
職場でのいじめ・嫌がらせを相談できる相談先は、以下の4つがあります。
- 各都道府県の労働局
- 労働組合
- 弁護士
- 会社内の窓口
これらの相談先は、どれでも同じわけではありません。以下のようなメリット・デメリットを知った上で、自分の悩みが解決できそうな相談先に相談することをおすすめします。
それではこれから、各相談先に相談するメリット・デメリットと、相談するための連絡先や手続きの流れについて解説します。
2-1:各都道府県の労働局への相談
会社と労働者との間で発生したトラブルに対しての助言、指導や、解決の手続きを提供する役割があります。
労働局に相談することで、以下のようなことが期待できます。
- いじめ・嫌がらせの解決に向けて、法律にのっとった具体的なアドバイスがもらえる
- あなたが対応を求める場合は、労働局の労働トラブル解決の手続き(あっせん)が利用できる
【労働局に相談するまでのステップ】
①証拠を集めておく
最終的に会社と話し合いの場を持つことになった場合のために、加害者から受けた扱いを証明することができるような証拠を集めておきます。
※証拠の具体例については、3章で解説しています。
②窓口で相談
自分の住む地域にある労働局を探して、窓口へ行って相談しましょう。多くの労働局では、電話やメールによる匿名での相談も可能です。
【労働局に相談した後の流れ】
①助言やあっせんを受ける
労働局では、トラブルを相談した場合「その問題にはこう対応したらいいよ」という助言を受けるだけであることが多いようです。ただし、労働局の下部組織である「紛争調整委員会」を利用すると、紛争調整員会の「あっせん(=裁判を利用せずにトラブルの解決を図る方法)」を受けることができます。
②助言やあっせんに伴う行動
「助言」を受けた場合は、その助言を参考に自分で行動をおこす必要があります。
「あっせん」の場合は、紛争調整員会によって話し合いの場が設けられます。ただし、あっせんには参加の強制力がないため、会社側は労働局が連絡しても、あっせんを無視することができます。そのため、実際には紛争調整員会を利用しても解決しないことが多いです。
2-2:労働組合への相談
- 同じ立場の人、いじめ・嫌がらせの経験者などに相談することができる
- 団体の力で会社にいじめ・嫌がらせの改善を働きかけてくれる
などのことが期待できます。
【労働組合に入るステップ】
①自分にあった労働組合を選んで入る
労働組合はどこでも良いわけではないため、
- 繰り返し通うことになるため、自宅から通いやすいところを選ぶ。
- 労働組合は、それぞれ得意とする問題が異なるため、いじめ・嫌がらせに強いと思われる労働組合を探して選ぶ。
という点に気をつけて選ぶ必要があります。
②相談して参加する
労働組合には、アポイントメントをとってトラブルの内容を相談し、自分のトラブルがその労働組合で解決できそうであれば、会費を払えばすぐにでも加入することができます。(会費は安いところで1000円程度のようです。)
【労働組合に入った後の流れ】
労働組合に加入すると、あなたの問題を解決するために助言やサポートしてくれます。
相談した後の展開は、以下の2つです。
<①労働組合と会社で団体交渉する>
まずは、あなたと一緒に労働組合が団体として会社と交渉します。労働組合との団体交渉を経営者が拒否することはできませんので、確実に交渉することができます。
<②交渉で解決しなかった場合、多様な方法で争う>
団体交渉で解決しなかった場合、様々な方法で会社に対して圧力をかけることが可能です。
あなたは望まないと思いますが、例えば、「会社の営業活動を妨害し、問題の解決を要求する」ための活動が行われることがあります。
具体的には、会社の不当な行為を訴えるビラを配る、などの活動です。
労働組合に入って訴えることで、一人で交渉するより解決の確実性が高まります。
ただし、労働組合はあくまで「組合員が一丸となって会社と戦う」組織であるため、あなたが個人的ないじめ・嫌がらせを受けている場合、あまり良い結果は期待できません。
あくまで、
「同じ立場の人に相談したい」
「いじめ・嫌がらせの経験者に、効果的なアドバイスをもらいたい」
という場合に、利用するものと考えておきましょう。
2-3:弁護士への相談
ただし、弁護士に相談する場合は、
- 相談料がかかることがある(初回無料の場合も)
- よっぽど悪質なケースでなければ、相談後に損害賠償請求し、賠償金を得ることなどは難しい
という点に注意が必要です。
いじめ・嫌がらせを弁護士に相談・依頼する場合の詳しい流れや費用などについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
職場いじめをより確実に解決するための5つのステップと弁護士の選び方
2-4:会社内の窓口にいじめの事実を報告する
- 会社に対応を迫りたい場合
- 窓口等がある会社の場合
ただし、
「社内窓口に相談して、社内にいじめ・嫌がらせを受けていることが知られるのが嫌だ」
「加害者に知られて、いじめ・嫌がらせが激しくなるのが怖い」
「社内窓口では解決が望めない」
などの場合は、別の相談先を利用するべきです。
さらに、会社としても実際に動くためには「いじめ・嫌がらせの証拠」が必要ですので、いじめ・嫌がらせの事実を証明できる「証拠」を集めておく必要があります。
3章:相談前に準備しておくべき証拠
いじめ・嫌がらせを相談し、外部の力を借りていじめ・嫌がらせに対応していきたい場合、もっとも重要なのが「証拠集め」です。
いじめ・嫌がらせを客観的に証明できる証拠がなければ、相談先の担当者等も、
「本当のいじめ・嫌がらせだったのかな?」
「本人がきつく受け取っただけで、実は業務上必要な指導だったんじゃないかな?」
などと思ってしまいます。さらに、いじめ・嫌がらせを裏付ける根拠がなければ、実際に加害者に責任追及することができません。
そこで、いじめ・嫌がらせを相談する前に、
- いじめ・嫌がらせの事実が確認できる証拠
- 実際に発生した被害が確認できる証拠
の2つを集めておくと、スムーズに相談でき、その後の対応を進めることができます。
それぞれ解説します。
①いじめ・嫌がらせの事実が確認できる証拠
いじめ・嫌がらせの事実が確認できる証拠とは、具体的には以下のようなものです。
- メールの文面
→人格の否定、侮辱などの事実が確認できるメールの文面をプリントアウト、もしくはデータをダウンロードして保存しておく - ICレコーダーやスマホでの音声の録音
→いじめ・嫌がらせの被害を立証できると思われる音声を録音し、保存しておく - スマホ等で撮影した動画
→同じく、加害者がいじめ・嫌がらせをしているところを撮影することが可能なら、動画として保存しておく こうした証拠を、できるだけ毎日、継続的に記録しておくことで、日常的にいじめ・嫌がらせをうけていたことを立証できます。
②実際に発生した被害が確認できる証拠
実際に発生した被害とは、傷害や精神疾患(うつ病、適応障害、PTSDなど)の発症などです。
いじめ・嫌がらせを原因として、あなたには具体的にどのような被害が発生したのか、明らかにできる証拠が必要です。
- 病院にかかった場合の診断書
→暴行による傷害、精神疾患の発症等で病院にかかった場合の診断書
診断書は被害の実態を示せるため、必ずとっておくようにしましょう。
【コラム】相談前に自分の悩みを整理しておくことが大事
いじめ・嫌がらせを相談する前にやっておくべきことがもう一つあります。それが「悩みの整理」です。
いじめ・嫌がらせに合っていると、精神的に辛く感情的になってしまいがちです。しかし、感情的な状態で相談しても、相手にあなたの悩みが正しく伝わりません。
正しく伝えることができなければ、適切な解決策を提示してもらうことが難しくなってしまいます。そのため、相談前にはまず頭を冷やして、
- 加害者は誰なのか
- いつからいじめ・嫌がらせに合っているのか
- 具体的にはどんないじめ・嫌がらせをされているのか
- いじめや嫌がらせをされている事実を証明できる証拠はあるか
- いじめ・嫌がらせによって、具体的にはどのような被害が発生しているのか
ということを、できる範囲で整理しておきましょう。
整理しておくことで、円滑な相談が可能になるはずです。
4章:退職も視野に入れよう
あなたが今の職場で日常的に「いじめ」「嫌がらせ」を受けている場合、いっそ今の職場を退職し、新しい環境でいちから人間関係を作り直すことをおすすめします。
なぜなら、どこかに相談し、外部の力を借りて行動したところで、いじめ・嫌がらせをするような人の考え方や、職場環境の改善に積極的ではない会社の姿勢は変わらないからです。
そのため「退職」という選択肢が最も抜本的な解決策ですので、一度検討してみてはいかがでしょうか?
もしあなたが退職する場合、いじめを受けていた会社に対し「未払い残業代請求」をして仕返しをする、という方法もあります。
加害者への直接の仕返しにはなりませんが、会社に経済的なダメージを与え、あなたはまとまったお金を取り返すことができる可能性があるため、メリットが大きいです。
今の会社からの円滑な退職方法や、退職後に未払い残業代請求をする方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
職場でいじめられたら退職するべき!その2つの理由と円滑に退職する流れ
また、残業代請求は弁護士に依頼すると、手間・時間・心理的負担を最小限にできるだけでなく、回収金額も高額になりがちです。弁護士に依頼する方法については、以下の記事をご覧ください。
失敗したら残業代ゼロ?弁護士選びの8つのポイントと請求にかかる費用
まとめ:職場いじめの相談先
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
いじめ・嫌がらせを、適切な相談先に相談することで期待できることは、以下のことです。
相談前には、以下のことを整理しておくことで、よりスムーズな相談が可能です。
- 加害者は誰なのか
- いつからいじめ・嫌がらせに合っているのか
- 具体的にはどんないじめ・嫌がらせをされているのか
- いじめや嫌がらせをされている事実を証明できる証拠はあるか
- いじめ・嫌がらせによって、具体的にはどのような被害が発生しているのか
相談先には以下の4つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
- 各都道府県の労働局への相談
- 労働組合への相談
- 弁護士への相談
- 会社内の窓口
集めておくべき証拠は、以下のものです。
①いじめ・嫌がらせの事実が確認できる証拠
- メールの文面
- ICレコーダーやスマホでの音声の録音
- スマホ等で撮影した動画
②実際に発生した被害が確認できる証拠
- 病院にかかった場合の診断
繰り返しになりますが、いじめ・嫌がらせには一人で悩まないでください。適切な相談先に相談することで、思いもよらなかった解決策が出てくるかもしれませんので、一度相談に行ってみてはいかがでしょうか。
【参考記事一覧】
残業代請求によって会社に会社に仕返しをしたい場合、以下の記事を読んで、請求手続きや費用、弁護士選びのポイントを確認しましょう。