年間休日100日は違法?休日ルールの最低ラインと少ない時の対処法を解説

監修者

弁護士法人新橋第一法律事務所
代表弁護士 住川 佳祐

年間休日100日は違法?休日ルールの最低ラインと少ない時の対処法を解説
チェック
この記事を読んで理解できること
  • 年間休日100日は労働基準法に違反している可能性あり!
  • 年間休日が100日以上の業種と現場の実態
  • 年間休日が少なすぎる場合の対処法

就職・転職の時に求人募集に記載された「年間休日」という項目を見たことがある人は多いのではないでしょうか。

年間休日100日と書かれた文字を見て、

「年間休日100日って、少ないんじゃないだろうか」
年間休日ってどのくらいあれば良いのだろうか」

といった疑問に思ったことはありませんか?

結論から言うと、年間休日100日というのは労働基準法が定める休日の最低ラインを下回り、違法に社員をこき使うブラック企業である可能性があります。

労働基準法には、休日に関わる2つの項目があります。

後から詳しく説明するように、フルタイムで働く人場合、最低ラインはおおよそ「年間105日」となっています。

そこでこの記事では、まずは労働基準法をもとに「年間休日100日」をどのように考えれば良いのか、そして実際にはどのくらい働くことになるのか生活イメージを解説します。

次に各種の調査を用いて休日の多い業種と少ない業種を紹介し、もしも年間休日が100日未満の会社に入ってしまったらどのように対処すれば良いかも解説します。

最後までしっかり読んで、自分の生活を大切にできる労働環境を整えましょう。

【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】

■法律上の休日のルール
・会社は労働者に対し「毎週1日以上の休日」を与える
・法定労働時間は「1日8時間、1週間に40時間」とする

■年間休日100日の働き方イメージ
・毎週1日が固定で休日
・祝日は全て出勤
・固定の休み以外に月に3〜4日の休日

■年間休日100日以下の業種
・運輸業、郵便業
・宿泊業、飲食サービス業など

■年間休日が100日を切るような場合の対処法

・労働基準監督署に相談する
・労働問題に強い弁護士に相談する
・転職する

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1章:年間休日100日は労働基準法に違反している可能性あり!

年間休日とは、1年間で会社が社員に与える休日の合計を意味します。

一般的に、有給休暇や特別休暇(慶弔休暇やリフレッシュ休暇など)は含まず、土日の休みや夏季休暇、年末年始の休暇は含まれます

ここからは年間休日が105日の場合について、 ・労働基準法上の扱い
・年間休日105日の生活イメージ
・平均との比較

という順番で解説していきます。

1-1:年間休日100日が違法になる理由

それでは早速、年間休日100日が労働基準法に違反している可能性が高い理由について解説します。

年間休日の日数は法律では決められていませんが、労働基準法には休日に関わる2つのルールがあります。

・会社は労働者に対し「毎週1日以上の休日」を与える
・法定労働時間は「1日8時間、1週間に40時間」とする

1点目だけを考えると、会社は社員に年間52〜53日の休日を与えればいいことになりますが、2点目の法定労働時間によって、そういった働かせ方をさせることはできません。

【年間休日の最低ライン】

労働基準法では、1日の労働時間は8時間、1週間では40時間までと定められています。

そのため、1年間に働くことができる労働時間の合計は

(365日÷7日)×40時間=2085.7時間
2085.7時間÷8時間=260日

と、計算することができ、会社が社員を1年間に260日働かせることができるとわかります。

そのため、フルタイムで働く人の場合、1年間の休日の最低ラインは、

365日-260日=105日

となります。

ただ従業員との間で、週40時間を超える労働についての協定(36協定)が締結され、割増分の賃金が支払われていれば、違法ではなくなります。 
 

36協定について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

36協定とは?5分で分かる定義・役割と、違法性が分かる判断基準

労働基準法上の休日については次の記事でも詳しく説明しているので、興味がある方は参考にしてください。

労働基準法上の休日の定義とよくある4つの疑問を弁護士が徹底解説!

1-2:年間休日100日の生活イメージ

前の章で説明したように、年間休日100日は労働基準法が定める休日の最低ラインを下回っています。

そのため、この休日の日数だと体力的にもかなり過酷な働き方になります。

一般的に、年間休日100日の働き方は以下のようになることが多いようです。

【年間休日100日の例1】
・毎週1日が固定で休日
・祝日は全て出勤
・固定の休み以外に月に3〜4日の休日

【年間休日100日の例2】
・不定期で月8日休み
・年末に数日の休暇(4日程度)

月に8日を休むと1年で96日になるため、残りの4日はお盆や年末年始の休暇として与えられるケースがよくみられます。

ただ、いわゆる「カレンダー通りの休み」は取ることができず、祝日が何日あっても月に8日しか休めないので、感覚的にも周りと比べて休みが少ない大変な生活になることが予想できます。

1-3:年間休日100日と平均休日数よりも少ない

年間休日100日というのは法律で決められた休日の最低ラインを下回っているおり、当然平均の休日よりも少なくなります。

会社員の年間休日の日数は、厚生労働省の調査(※)によると「平均113.7日」、転職サイトDODAの調査(※)によると「121.9日」という結果が出ています。

※厚生労働省「平成29年就労条件総合調査」

※DODA「業種別休日数ランキング-全80種-」

世の中の流れとして、年間休日の平均が年々多くなりつつある中、100日という日数は平均よりも2〜3週間ほども少ない過酷な職場であることがわかります。

2章:年間休日が100日以上の業種と現場の実態

この章では、年間休日が100日以上ある業種について様々な調査データを用いて紹介し、その上で実態としては休日数が調査結果を下回る職場も多いことも紹介します。

2-1:年間休日が100日以上の業種・100日未満の業種

まずは各種データを活用し、年間休日105日以上の業種、105日未満の業種について見ていきたいと思います。

年間休日に関する調査は、厚生労働省によるものと、転職サイトのDODAによるものからデータを引用しました。

まず、厚生労働省のデータから年間休日の業界別平均を紹介します。

年間休日120日の業界別平均

上記の表を見て分かるように、全16業種界のうち14が年間休日100日を超えています

このデータによると100日を下回っているのは、

・運輸業、郵便業
・宿泊業、飲食サービス業

のみとなっています。

この調査では各業界がひとまとまりになっているため、次により細かな業種を分類した転職サイトDODAの調査を見ていきましょう。

下位20位のみ抜粋すると、

年間休日

となります。全80位のうち、ほとんどが年間休日100日を超えている一方で、

・芸能/芸術
・外食/レストラン
・コンビニエンスストア

の3業種が100日を下回っていることがわかります。

年間休日が少ないのは接客業が中心ですが、こうしたアンケートではひとくくりにできない現場の実態もあるようです。

2-2:実際には年間休日100日を切る職場もある

アンケート上では、平均休日が労働基準法の最低ラインを下回るのは3つの業種だけでしたが、それ以外の業種の会社でも年間休日が100日を切ることがあります

インターネット上に挙げられた、そうした現場の声をいくつか紹介します。

3章:年間休日が少なすぎる場合の対処法

もしあなたが、年間休日が100日未満で、残業代や休日出勤手当を支払わないようなブラック企業で働いている場合は、すぐに何か現状を変える行動をとることをオススメします。

その方法としては、

労働基準監督署に相談する
労働問題に強い弁護士に相談する
・転職する

といったやり方があります。一つずつ見ていきましょう。

3-1:労働基準監督署に相談する

労働基準監督署とは、労働基準法などの法律が守られているかをチェックする行政機関で、明確な法律違反がある場合には強い権限を用いて問題に対処します。

労働者なら誰でも無料で相談し、会社が行なっている違法な行為の改善を訴えることが可能です。

今回の場合であれば、

・年間休日が法律の最低ラインを下回っているのに、残業代や休日手当が出ていない
・少ない休日も休みがもらえず、休日出勤や長時間労働が日常的になっている

といった場合は、会社は労働基準法に違反していることになります。

そのため、労働基準監督署に相談することで、調査や立ち入り検査に動いてくれる可能性があります。

労働基準監督署への相談については、次の記事も参考にしてください。

【労働基準監督署にできること】相談の流れとより確実に解決するコツ

3-2:労働問題に強い弁護士に相談する

年間休日が100日しかないといったケースでは、労働問題に強い弁護士に相談することでも、現状を改善できる可能性が高くなります。

労働問題に強い専門の弁護士は、

・豊富な知識と経験を生かし、自分の悩みを解決してくれる
・未払いの残業代や休日手当を取り返せる可能性が高い
・完全成功報酬制の弁護士であれば自分が負担する費用もかからない

といった強みがあります。

世の中には数多くの弁護士がおり得意とする分野も様々ですが、大切なのは労働問題に強い弁護士を選ぶということです。

働く環境についての相談は、労働問題を扱った経験が多く、実務に詳しい弁護士に相談することが問題解決の一番の近道になるでしょう。

労働問題に強い弁護士の選び方や、依頼時のポイントなどについては次の記事をご確認ください。

【保存版】手間、時間、お金をかけずに労働問題を解決するための全知識

3-3:転職する

自分が働く環境の現状を変える最も早い方法は、年間休日が今よりも多い会社に転職することです。

先ほども説明した通り、年間休日100日の会社の場合は、休みの日が平均よりも2〜3週間ほど少ない計算になります。

少ない休みが1年間で20日であれば、10年働けば200日、半年以上も平均的な会社よりも働いているのです。

また年間休日が少なくして社員をこき使おうとする会社なので、休日出勤をさせても休日手当を支払おうとしないブラック企業も多くあります。

つまり、休日が少ない会社で働き続けると金銭的な面でも損している可能性があるというわけです。

年間休日が100日以下だという人は、すぐにでも休日が多い会社への転職を検討してみましょう。

次の記事では、休日手当の考え方や計算方法、自分がもらえるかどうかのチェックリストを掲載しています。

自分が当てはまるという人は確認してみてください。

もう損しない!休日出勤で手当が出るケース・出ないケースと計算方法

まとめ

いかがでしたか?最後に今回の内容をもう一度振り返ってみましょう。

【法律上の休日のルール】
・会社は労働者に対し「毎週1日以上の休日」を与える
・法定労働時間は「1日8時間、1週間に40時間」とする

【年間休日100日の働き方イメージ】
・毎週1日が固定で休日
・祝日は全て出勤
・固定の休み以外に月に3〜4日の休日

【年間休日100日以下の業種】
・運輸業、郵便業
・宿泊業、飲食サービス業など

年間休日が100日を切るような場合の対処法として、

労働基準監督署に相談する
労働問題に強い弁護士に相談する
・転職する

といった手段も紹介しています。今いる会社の休みが少なすぎる場合は、すぐに行動して損のないようにしましょう。

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