年間休日の平均は114〜122日!休日が少ない場合の対処法を弁護士が解説
この記事を読んで理解できること
- 年間休日の平均日数は114日〜122日
- 年間休日の業種別・ 会社規模別の平均日数一覧
- 年間休日が平均より大幅に少ないなら違法の可能性アリ
- 年間休日が少なすぎる場合の対処法
あなたは、
「年間休日の平均って何日なんだろう?」
「年間休日が平均より多い会社で働きたい」
と思っていませんか?
結論から言えば、年間休日の平均は114日〜122日程度です。
そのため、就職・転職時などには、これを超える年間休日を労働条件として記載している会社を探すことが、一つのポイントになります。
ただし、一点注意しておいてほしいことがあります。
それは、業界や会社規模によって年間休日の平均日数が大きく異なるということです。
そのため、もしあなたが志望する業界が、年間休日が平均より大きく少ない業界なら、平均日数以上に年間休日がある会社を探すことは難しいかもしれません。
そこでこの記事では、まずは年間休日の平均日数や法律上の最低ラインについて解説し、それから年間休日が多い業種や少ない業種について、詳しく紹介します。
さらに、年間休日が平均より大幅に少ない場合は「違法」である可能性があるため、違法な場合の対処法についてもお伝えします。
最後までしっかり読んで、少しでも労働条件の良い会社を探す上で、参考にしてください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■年間休日の平均日数
厚生労働省の調査(※)・・・113.7日
転職サイトDODAの調査(※)・・・121.9日
■年間休日が平均より少ない業種の特徴
- BtoCの業種(個人の消費者に対する事業)
- 労働集約的な業種(飲食、接客、建設など従業員の労働力によって業務が行われる部分が大きい事業)
■年間休日の少なさを正当化する会社の手口
- サービス残業(無給の休日出勤)がある
- 管理職を理由に無給での休日出勤や連勤がある
■年間休日が少なすぎる場合の対処法
- 労働基準監督署に相談する
- 労働問題に強い弁護士に相談する
- 転職する
目次
1章:年間休日の平均日数は114日〜122日
それではさっそく年間休日の平均について紹介しますが、その前に年間休日の考え方について理解しておきましょう。
1-1:年間休日とは
年間休日とは、その会社における1年間の休日の合計のことです。
一般的に、有給休暇や特別休暇(慶弔休暇やリフレッシュ休暇など)は含まず、土日の休みや夏季休暇、年末年始の休暇は含まれます。
※特別休暇や有給休暇について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【特別休暇とは?】会社によって異なるルールと7つの例を弁護士が解説
【保存版】労働基準法上の有給休暇の日数、理由、時効を弁護士が解説
1-2:年間休日の平均日数(全産業の平均)
年間休日の平均日数について、厚生労働省と転職サイトDODAの調査から見てみましょう。
【年間休日の平均日数】
厚生労働省の調査(※)・・・113.7日
転職サイトDODAの調査(※)・・・121.9日
※厚生労働省「平成29年就労条件総合調査」
※DODA「業種別休日数ランキング-全80種-」
この結果から、年間休日の平均日数は114日〜122日程度だということが分かります。
【年間休日が平均程度の場合の生活イメージ】
年間休日の平均を120日程度として考えると、休日は以下のようにとる事ができます。
例①
- 土日は完全に休日
- GW、夏季休暇、年末年始休暇がそれぞれ5日ずつ
例②
- 土日は完全に休日
- 国民の祝日(GWを含む)はすべて休日(1年で15日程度)
例③
- 土曜は隔週出勤で、日曜日は完全に休日
- GW、夏季休暇、年末年始休暇がそれぞれ10日ずつ
- その他の国民の祝日もほぼすべて休日
これを見ると、一般的な、休日をしっかり取ることができる会社員の生活が想像できるのではないでしょうか。
逆に言えば、年間休日が平均以下になるほど、他の人が働いている間に自分だけ働かなければならない、ということになってしまいます。
2章:年間休日の業種別・ 会社規模別の平均日数一覧
年間休日の日数は、業種によって異なり、平均より大きく上回る業種や、大きく下回る業種があります。
さらに、会社の規模によっても、平均と異なる場合があります。
そこで、これから年間休日の平均日数を、
- 業種別
- 会社規模別
に分けてそれぞれ紹介します。
2-1:年間休日の業種別平均
業種別の年間休日の平均日数は、以下の通りです。
厚生労働省の調査における、年間休日の平均は「113.7日」です。上記の表を見ると、年間休日が平均以上の業種は、
- 金融業、保険業
- 情報通信業
- 学術研究、専門・技術サービス業
- 電気・ガス・熱供給・水道業
- 教育、学習支援業
であることが分かります。
ただし、厚生労働省の調査では細かい業種が分かりませんので、次に転職サイトDODAの調査から見てみましょう。
こちらの調査での年間休日の平均日数は「121.9日」です。
上記の表では、32位以上の業種が、年間休日平均以上の職種です。
これを見ると、年間休日が平均以上の業種は、
- メーカー
- 商社
- IT
- 金融(リース、クレジット、都市銀行、保険、信託銀行、地方銀行)
- サービス(マーケティング、人材)
であることが分かります。
一方で、年間休日の平均を大きく下回るのが、
- BtoCの業種(個人の消費者に対する事業)
- 労働集約的な業種(飲食、接客、建設など従業員の労働力によって業務が行われる部分が大きい事業)
といった特徴を持つ業種です。
代表的なのは、コンビニ、飲食、理容師などです。
もし、年間休日が平均以上にある会社に入りたい場合は、これらの業種は避けて会社を探した方が良いかもしれません。
2-2:会社規模別の平均年間休日
厚生労働省の調査によると、会社規模別の平均年間休日は、以下のような結果が出ています。
これを見て分かるように、大きな企業になるほど年間休日も多くなる傾向にあるようです。
したがって、年間休日がより多く欲しいという人は、同じ業種でもより規模の大きな会社を探す方が良いかもしれません。
3章:年間休日が平均より大幅に少ないなら違法の可能性アリ
もしあなたが入った会社が、年間休日が平均より大幅に少ないという場合、その会社は違法なブラック企業である可能性があります。
そこで、
- 年間休日が違法になる最低ライン
- ブラック企業が違法行為を正当化する手口
について、これから紹介します。
3-1:年間休日の最低ラインは105日
労働基準法では、以下のように年間休日の最低ラインが定められています。
【年間休日の最低ライン】
労働基準法では、1週間の労働時間は40時間までと定められています。また、1日の労働時間は8時間までと定められています。
そこで、1年間に働くことができる労働時間の合計は、以下のように計算することができます。
(365日÷7日)×40時間=2085.7時間
2085.7時間÷8時間=260日
つまり、1年間に働くことができる日数は、260日までなのです。そのため、1年間の休日の最低ラインは、
365日-260日=105日
と計算することができるのです。
もしあなたがこの「105日」の最低ラインを下回る会社に入ってしまった場合、それは違法なブラック企業である可能性があります。
※ただし、年間休日が105日未満の会社がすべて違法というわけではありません。
従業員との間で、週40時間を超える労働や、休日出勤をすることを同意する協定(36協定)を締結していれば、違法ではなくなります。
※36協定について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
36協定とは?5分で分かる定義・役割と、違法性が分かる判断基準
3-2:年間休日の少なさを正当化する会社の手口
もしあなたの会社で年間休日が平均より大幅に少なく、
- サービス残業(無給の休日出勤)がある
- 管理職を理由に休日出勤させられ、休日手当が出ない
といったことがある場合、それは違法である可能性があります。
これらの行為の違法性について順番に解説します。
それより先に対処法を知りたい場合、4章からお読みください。
3-2-1:サービス残業(無給の休日出勤)がある
年間休日が105日未満であるという場合、残業代や休日手当が出なければ違法です。
なぜなら、労働基準法では、
- 1日8時間・週40時間を超える労働には残業代が発生する
- 週1日の休日(法定休日)に出勤した場合、休日手当が発生する
と定められており、これらのルールに違反すると違法だからです。
そして、年間休日105日未満の場合は、これらの基準を超えている可能性が高いのです。
もしあなたが、年間休日105日未満の会社で働いていて、残業代や休日手当が一切出ていない場合、4章で紹介する対処法を実践してください。
サービス残業について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
サービス残業とは?ブラック企業が残業代を払わずに働かせる8つの手口】
3-2-2:管理職を理由に無給での休日出勤や連勤がある
一部のブラック企業では、肩書きが「店長」「係長」「所長」などの管理職であることを理由に、
- 休日出勤させても、残業代や休日手当が出ない
- 休日がなく、連勤が続く
という違法行為を正当化することがあります。
確かに、労働基準法上の管理職にあたる「管理監督者」に該当する人の場合は、休日出勤や残業代、休日手当のルールが適用されません。
そのため、上記の行為も違法ではなくなります。
しかし、実はほとんどの管理職の人は、労働基準法上の管理監督者に該当しないため、上記の行為が違法になるのです。
あなたも該当する場合は、4章で紹介する対処法を実践してください。
管理職について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
弁護士が「名ばかり管理職」を解説「管理職だから残業代無し」は違法
4章:年間休日が少なすぎる場合の対処法
もしあなたが、3章で紹介したような会社に入ってしまった場合、あなたは連勤や長時間労働で、健康障害を発症してしまう可能性もあります。
そこで、その場合は、
- 労働基準監督署に相談する
- 労働問題に強い弁護士に相談する
- 転職する
といった手段で、現状を変えることをおすすめします。
4-1:労働基準監督署に相談する
労働基準監督署とは、労働基準法にのっとって全国の会社を監督・指導する行政機関です。
労働者なら誰でも無料で相談し、会社の違法行為の改善を訴えることができます。
- 年間休日が105日未満なのに、残業代や休日手当が出ていない
- ほとんど休みが取れず、休日出勤や長時間労働が日常的になっている
といった場合は、会社は違法行為を行っていることになります。
そのため、労働基準監督署に相談することで、現状を改善できる可能性があります。
労働基準監督署に相談する詳しい方法やポイントについて、以下の記事を参考にしてください。
【労働基準監督署にできること】相談の流れとより確実に解決するコツ
4-2:労働問題に強い弁護士に相談する
労働問題に強い弁護士に相談することでも、あなたの悩みを解決できる可能性が高いです。
労働問題に強い弁護士なら、
- 専門的な知識や豊富な経験を使って、最後まで責任を持って解決してくれる
- 未払いの残業代や休日手当を取り返してくれる
- 完全成功報酬制で、自分が負担する費用もほとんどかからない
といったメリットがあります。
ポイントは、労働問題に強い弁護士を選ぶということです。
なぜなら、医者に眼科、耳鼻科などの専門があるように、弁護士にも、離婚問題、交通事故、労働問題などの得意分野があり、それ以外の分野は苦手な弁護士が多いからです。
労働問題に強い弁護士の選び方や、依頼時のポイントなどについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
【保存版】手間、時間、お金をかけずに労働問題を解決するための全知識
4-3:転職する
現状を変える最も手軽で確実な方法は、今の会社から年間休日が少しでも多い会社に転職することです。
「年間休日が少ないくらいで転職するのは気が引ける」
と思われるかもしれませんが、年間休日が105日以下という人は、年間休日が平均的な人と比べて1年に2週間前後も休みが取れないのです。
10年その会社で働き続ければ、140日、つまり5ヶ月近くもの日数を損していることになるのです。
それだけではありません。
年間休日が少ない会社の中には、休日出勤に対して休日手当を支払わないブラック企業も少なくありません。
つまり、金銭的な面でも損している可能性があるのです。
そのため、年間休日が平均未満という人は、もっと休日が多い会社に転職することも検討してみることをおすすめします。
※休日手当の考え方や計算方法、未払いが発生していないか簡単にチェックする方法について、以下の記事で紹介しています。
もう損しない!休日出勤で手当が出るケース・出ないケースと計算方法
※ホワイト企業に転職したい場合は、以下の記事をご覧ください。
5分で分かる!ブラック企業から転職する流れと知っておくべき2つのこと
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回の内容をまとめます。
【年間休日の平均日数】
厚生労働省の調査(※)・・・113.7日
転職サイトDODAの調査(※)・・・121.9日
【年間休日が平均より少ない業種の特徴】
- BtoCの業種(個人の消費者に対する事業)
- 労働集約的な業種(飲食、接客、建設など従業員の労働力によって業務が行われる部分が大きい事業)
【年間休日の少なさを正当化する会社の手口】
- サービス残業(無給の休日出勤)がある
- 管理職を理由に無給での休日出勤や連勤がある
【年間休日が少なすぎる場合の対処法】
- 労働基準監督署に相談する
- 労働問題に強い弁護士に相談する
- 転職する
この記事を参考にして、年間休日についてあなたの条件に合う会社を見つけてくださいね。