トラック運転手の平均給料は32万円!その実態と仕組みを弁護士が解説

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住川 佳祐
(弁護士法人QUEST法律事務所 代表弁護士)

著者情報 弁護士法人QUEST法律事務所 代表弁護士 住川佳祐

東京弁護士会所属。東京大学法学部卒。『NHK あさイチ』のTV出演の他、『プレジデント』『ダイヤモンド・セレクト』などメディア掲載多数。弁護士法人QUEST法律事務所のHPはこちら。

トラック運転手の給料は32万円!給料の実態とよくある給料ルールとは

あなたは、

「トラック運転手の給料はどれくらいだろう?」
「トラック運転手の給料やボーナスが知りたい」
「トラック運転手の給料の仕組みや特徴は?」

などとお考えではないですか?

令和3年の厚生労働省の調査によると、トラック運転手の給料は、平均「月給32万9800円」です。

これを高いと思うかどうかはあなた次第ですが、「歩合給制」で、働くほど給料が上がる運送会社も多いです。

また、トラックの大きさや配送距離、企業規模などによって、その給料やボーナスも異なります。

さらに、気をつけて欲しいのは、運送会社の中には「歩合給制」や「みなし残業代制」を理由に、残業代をごまかし不当に少ない給料しか支払わない悪質な会社も多いということです。

そのため、トラック運転手として働くためには、給料や労働時間に関する法律上の正しいルールを知っておく必要があります。

そこでこの記事では、トラック運転手の給料の実態と給与体系、給料のルールについて詳しく解説します。

さらに、これからトラック運転手になりたいと考えている人のために、トラック運転手になるために必要な資格についても紹介します。

この記事を読んで、より良い給料で働けるように行動していきましょう。

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1章:トラック運転手の給料は平均32万9800円

この章では、令和3年の厚生省の「賃金構造基本統計調査」を参考にして、トラック運転手の給料の実態・特徴を紹介します。

調査項目としては、次の2つがあげられます。

  • トラック運転手の年齢別給与比較
  • 車種・企業規模別の給与比較

それぞれ解説していきます。

1-1:トラック運転手の年齢別給与比較

厚生労働省の調査によると、トラック運転手の平均給料は次のようになっています。

道路貨物運送業の年齢別平均給与

この調査によると、トラック運転手の平均給料は「32万9800円」で、もっとも高くなるのは40代後半で「35万5400円」となっています。

さらに、年間賞与やその他の特別支給額は、平均で「50万5300円」、40代後半では「58万6400円」となっています。

年収について、

年収=月給×12ヶ月+年間賞与

と考えると、

32万9800円×12ヶ月+50万5300円=446万2900円

と、平均年収は約446万円となります。

また、この調査から「年を取ると稼げなくなる」という特徴も分かります。

40代後半の「年収約485万円」のピークから、50代に入ると下がり始め、一般的な会社員が引退し始める60代前半には「約390万円」まで、100万円近くも下がってしまいます。

※令和3年賃金構造基本統計調査

1-2:車種・企業規模別の給与比較

次に、トラックの車種(大きさ)と会社の規模別の給料の平均額は、次のようになります。

貨物自動車運転者の平均給与

まず、大型車の運転手とそれを除く運転手を比べた場合、大型車の運転手の方が、給与は起業規模にかかわらず高くなっています。

企業規模10人以上で見た場合、先に解説したようにそれぞれの年収を計算してみると、

【大型車の運転手の年収】
35万4000円×12+38万3900円=463万1900円

【大型車を除く運転手の年収】
32万500円×12+46万300円=430万6300円

となります。

平均年収で見ると、大型車の運転手の方が、30万円以上高くなります。

また、企業規模で比べてみると、1000人以上の大きな企業の方が、どちらの区分の運転手も、月給・賞与その他ともに最も高くなっています。

つまり、トラック運転手の場合は、大型車の運転手の方が給与が高く、また車種に関係なく規模の大きな会社ほど稼げることが分かります。

ただし、同じ調査で産業全体の平均給与を見てみると、

  • 会社規模:10人以上
  • 月給:33万4800円
  • 賞与その他:87万5500円

となり、その年収は489万3100円となります。

つまり、トラック運転手としては年収の多い大型車の運転手の年収でも、産業全体の平均年収より25万円以上低いことが分かります。

ここまで解説したように、トラック運転手は、そこまで稼げる仕事というわけではありません。

しかも、中には不当に少ない額しか給料を支払わず、それを正当化しようとする会社もあるため、注意が必要です。

そこで、次にトラック運転手の給料の一般的な仕組みとルールについて解説します。

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2章:トラック運転手の給料の仕組みや手当

この章では、トラック運転手の給料の仕組みや、各種の手当について取り上げていきます。

  • トラック運転手の給料制度
  • 無事故手当などの各種手当

それぞれ解説していきます。

2-1:トラック運転手の給料制度

トラック運転手は、次の2つの給与制度が取られていることが多いです。

  • 歩合給制
  • みなし残業代制

これらは、一般的な、「残業するほど残業代が増える」という給料の仕組みとは異なりますので、仕組みとルールをしっかり押さえておく必要があります。

2-1-1:歩合給制

歩合給制とは、「個人の成績や売り上げに応じて給与が計算される給与体系」のことです。

トラック運転手の給料(歩合給制)

例えば、

  • 月の売上げの○%が給料に加算される
  • 年間売上げの○%が賞与として支払われる

などの形で算出されます。

トラック運転手の場合は、売上げの中から会社のガソリン代、トラックの維持費、会社の諸経費等が引かれ、その残りの30%〜40%程度が歩合給として運転手に支払われることが多いようです。

歩合給制には、

① 固定給+歩合給…固定給にプラスして、出来高に応じて給与が支払われる
② 完全歩合給制…給与のすべてが出来高に応じて支払われる

という2つがありますが、実は②は「成績が悪い場合に給与があまりにも低くなり最低賃金すら保証されない」という理由から、原則的に「違法」とされています。

そのため、トラック運転手は、

固定給20万円+歩合給(売上げの35%)

というような形式で給料が支払われるのが一般的です。

このような、歩合給制の場合に注意して欲しいのが、歩合給制であっても残業代が発生するということです。

残業代は、1日8時間・週40時間のどちらか一方でも超えて労働した場合に、その時間分発生するものです。

1日8時間・週40時間を超えたら残業

これは、歩合給制の場合も同じです。

しかし、歩合給制について、単に「働いた分だけ給料が増える」仕組みだと勘違いされていることも多いです。

特にトラック運転手は、1日8時間を超えるような長時間労働が日常化していることが多く、「歩合給制でも残業代が出る」とは思われていないケースが非常に多いです。

もしあなたも、歩合給制を理由に残業代をもらえていなければ、後から請求して取り返すこともできます。

詳しくは、以下の記事をご覧になってみてください。

「歩合給制だから残業代が出ない」は間違い!正しいルール・計算方法

2-1-2:みなし残業代制

同じくトラック運転手の給与体系に多いのが、「みなし残業代制」です。

みなし残業代制とは、「毎月一定時間の残業があることを前提に、一定額の残業代を定額で支払う」という仕組みのことです。

例えば、

  • 固定給に○○円分の残業代を含んでいる
  • ○○手当という形で、毎月残業代を支払っている

などと会社から言われていたら、あなたもみなし残業代制です。

ただし、注意して頂きたいのは、みなし残業代を理由に、どれだけ働いても残業代が変わらない場合は、それは違法である可能性が高いということです。

なぜなら、みなし残業代制では、みなし残業代が何時間の残業に対して支払われるのか、雇用契約等で定められていなければならず、定められた時間を超えて残業した場合は、残業代が発生する仕組みだからです。

あなたも、残業代がしっかりもらえているかどうかで、毎月の給料の金額も大きく変わりますので、自分の状況は違法ではないか確認してみてください。

自分の給与体系がどのようになっているのか確認するためには、就業規則を確認するのが一番手っ取り早いです。

しかし、トラック運転手の場合は、給与体系が複雑になっていることも多いため、内容がよく分からない場合は、弁護士等の専門家に聞いてみることをおすすめします。

給料・残業代の請求を弁護士に依頼した場合の流れについては、この後4章で解説します。

2-2:無事故手当などの各種手当

トラック運転手の場合、給与明細を見るといろいろな手当てが支給されています。

  • 役職手当
  • 皆勤手当
  • 時間外手当
  • 深夜手当
  • 無事故手当
  • 住宅手当
  • 家族手当

これらの他にも、運送会社それぞれで独自の手当を支給している場合もあります。

この中で時間外手当とは、一般的に言う残業代にあたり、厳密に言うと法定外残業に対する手当になります。

深夜手当とは、原則として午後10時から午前5時までの時間に労働した場合の手当になります。

時間外労働、深夜労働が発生した場合は、ともに時給(基礎賃金)の1.25倍の割増賃金が支払われます。

また、時間外かつ深夜労働の場合は、両者の割増率を掛け合わせた1.5倍の割増賃金が支払われます。

無事故手当とは、月間を通して運転による事故や、荷物の破損事故を起こさなかった運転手に対して支給されるものです。

法的に定められたものではありませんが、多くの運送会社が1~3万円程度の無事故手当を支給しています。

割増賃金について、詳しくは次の記事で解説しています。

残業代も割増しになる!3つの割増賃金と割増率や正しい計算方法を解説

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3章:トラック運転手になるために必要な資格

トラック運転手は、物流・倉庫会社に限らず、土木・建築会社、引っ越し会社、水道・電気・電話などのインフラ系の会社、産業廃棄物・ゴミ処理会社など、様々な会社で求められています。

しかし、必要とされる資格は、主に自動車の運転免許のみです。

主な3つの運転免許についてご紹介します。

3-1:長距離配送で必要な大型自動車運転免許

大型トラックでの長距離配送は、トラック運転手の中でももっとも稼げる職種です。

ただし、「大型自動車運転免許」が必要になり、受験資格が厳しいため、誰でもすぐになれるわけではありません。

〈大型自動車運転免許:受験資格〉
  • 21歳以上
  • 普通もしくは大型特殊免許を持っている期間が3年以上

大型トラックの運転手になるのは難しいですが、大型自動車運転免許は積載量や車両総重量に上限がないため、幅広い仕事が可能になるのが魅力です。

ただし、大型トラックは、長距離の配送業務が主であるため、拘束時間が長くなります。

さらに、道路が渋滞しない深夜に運転することも多いため、体力が求められる点は注意しておきましょう。

3-2:中距離配送・エリア配送で重宝される中型自動車運転免許

中距離の倉庫間配送業務やエリア配送では、「4トン車」が使われることが多いです。

4トン車は、運送会社や製造業、建設業など幅広い会社から必要とされるため、仕事に困ることはないでしょう。

また、大型自動車の免許に比べて取得しやすいため、これからトラック運転手になりたいという人は、取得を検討するべきです。

〈中型自動車運転免許:受験資格〉
  • 20歳以上
  • 普通免許もしくは大型特殊免許を持っている期間が通算2年以上

3-3:必ず必要な普通自動車運転免許

トラック運転手になるには、必ず必要なのが「普通自動車運転免許」です。

普通自動車免許を持っていれば、5トン未満の小型トラックを運転することができるため、運送会社のエリア配送などの仕事で求められます。

中型自動車免許や大型自動車免許を取得するためには、かならず普通自動車免許を取得しておく必要があるため、トラック運転手になりたい人は、必ず取得しておくことが求められます。

〈普通自動車免許:受験資格〉
  • 満18歳以上

3-4:持っていることが望ましい資格

これらの運転免許に加えて、他にもトラック運転手として持っていることが望ましい資格があります。

【けん引免許】
けん引免許は、トレーラーなどの大量の貨物を一度で配送する超大型の車両を運転するのに必要な免許です。

ただし、実際に仕事で活かすためには、高度な運転技術が必要です。

〈けん引免許:受験資格〉
  • 満18歳以上
  • 普通自動車免許等の自動車の運転免許を取得していること

【玉掛け作業者】
玉掛けとは、トラックから貨物を積み卸しするときに使うクレーンに、貨物を掛け外しする作業のことです。

これも、トラック運転手なら取得しておくと、より重宝される資格です。

技能講習を受けるだけで取得できます。

【フォークリフト運転技能者】
特に大型のトラック運転手になるなら、ほぼ確実に求められるのがフォークリフトの運転免許資格です。

フォークリフト運転技能者の資格は、トラックから貨物を積み下ろしするのに必要な資格で、トラック運転手の仕事ではあらゆる業種で必要とされます。

〈フォークリフト運転技能者:受験資格〉
  • 満18歳以上
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4章:給料・残業代の請求は弁護士に依頼しよう

2章で解説したように、今の給料や残業代が適正に支払われているか確かめたい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。

なぜなら、残業代の計算や会社との交渉は、専門的な知識が必要なため、1人で戦っては会社側に負けてしまうおそれが大きいからです。

残業代請求を弁護士に依頼する流れ

弁護士に相談するというと

「裁判みたいな大事になるのはちょっと・・・」
「費用だけで100万円くらいかかるのでは?」

と考えてしまう人もいるかもしれません。

しかし、弁護士に頼む=裁判ではありません。

残業手当請求のためにいきなり裁判になることは少なく、多くの場合「交渉」「労働審判」という形で会社に対して残業手当を請求していきます。

また、残業代請求に強い「完全成功報酬制」の弁護士に依頼すれば、「相談料」や「着手金」ゼロで依頼することができます。

弁護士に依頼した場合、

  • 交渉
  • 労働審判
  • 訴訟(裁判)

という流れで、解決に向けて手続きが進められていきます。その内容について順番に解説しています。

4-1:ほとんどこれで解決!弁護士と会社の「交渉」

交渉とは、弁護士が会社との間に入って、電話・書面・対面で直接会社と交渉して、トラブルの解決を図るものです。

弁護士が会社と交渉

弁護士があなたからヒアリングした内容をもとに交渉するため、あなたが会社に出向いたり会社の人と会う必要はありません。

また、あなたが在職中で、これから退職を考えている場合、実際に交渉を開始する時期については相談可能です。

つまり、会社にばれないようにこっそり準備を進め、退職と同時に残業代を請求し、交渉を開始するということも可能です。

交渉で合意に至らなかった場合は、労働審判や訴訟に進むことになります。

4-2:交渉で解決しなかった場合は「労働審判」

交渉で決着が付かなかった場合は、労働審判を申し立てます。

労働審判とは、裁判所に行き、あなたと会社・裁判官などの専門家で問題の内容を確認し、解決の方法を探す方法です。

裁判よりも手続きが簡単で費用も少なく、解決までの期間も短いのが特徴で、1回目で決着するパターンも多いです。

最初の1回のみはあなたも行く必要がありますが、弁護士に依頼すれば2回目以降は参加する必要がないことが多いです。

労働審判は以下のような流れで、解決まで進められます。

労働審判の流れ

第1回労働審判で解決されれば、申立てから1〜2か月程度、第2回、第3回まで延びれば1か月〜2か月程度期間も延びることになります。

労働審判は、最大3回までと決められているため、裁判のように何回も裁判所に行ったり、長期化することがないのが特徴です。

多くの場合、「交渉」か「労働審判」で決着が付きますが、労働審判において決定されたことに不服がある場合は、「訴訟(裁判)」へ移行します。

4-3:最後の手段が「訴訟(裁判)」

訴訟(裁判)は労働審判と違い、何回までという制限がなく、長期に渡り争い続ける可能性があります。

ただしあなたは、本人尋問を除けば、ほとんど出廷する必要がありません。

訴訟(裁判)では、裁判所で「原告(あなたもしくは、あなたが依頼した弁護士)」と「被告(会社)」が主張し合い、裁判官が判決を下します。

訴訟の流れは、次のようになっています。

訴訟(裁判)の流れ

最高裁まで行くことはほとんどないため、多くは地方裁判所までの1〜2年程度で終わるようです。

ただし、先ほどお伝えした通り、裁判まで行くことはほとんどなく労働審判で決着がつきます。

このように、弁護士を利用して訴えれば、あなたが思うよりも手間・時間・お金をかけずに、残業代を請求することができるのです。

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まとめ

最後に今回の内用をまとめます。

まず、トラック運転手の平均給料は以下のようになっています。

道路貨物運送業の年齢別平均給与

トラック運転手に多い給与体系は、以下の2つです。

《歩合給制》
「個人の成績や売り上げに応じて給与が計算される給与体系」

《みなし残業代制》
毎月一定時間の残業があることを前提に、一定額の残業代を定額で支払う給与体系

トラック運転手になるために必要な資格は、以下のものです。

〈大型自動車運転免許:受験資格〉
  • 21歳以上
  • 普通もしくは大型特殊免許を持っている期間が3年以上
〈中型自動車運転免許:受験資格〉
  • 20歳以上
  • 普通免許もしくは大型特殊免許を持っている期間が通算2年以上
〈普通自動車免許:受験資格〉
  • 満18歳以上
〈けん引免許:受験資格〉
  • 満18歳以上
  • 普通自動車免許等の自動車の運転免許を取得していること
〈フォークリフト運転技能者:受験資格〉
  • 満18歳以上

トラック運転手の給料の実態や給料の仕組み、ルールについて理解できたでしょうか?

この記事の内容をしっかり覚えて、より良い給料で働けるように行動していきましょう。

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